JP4506731B2 - インクジェット記録体 - Google Patents
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Description
しかし、架橋によってインク受容層が硬化するため、曲げ応力などによって塗膜が折り割れやすく、また断裁時に記録体の切り口から多量の紙粉が発生した。
また、特開2004−82448号公報(特許文献3参照)では、支持体上にエマルション型接着剤と無機微粒子を含有する1層を有し、その上にエマルション型接着剤を含有しないインク受容層を1層有することによって、塗膜に折り割れのない光沢に優れた記録体が提案されている。この記録体は上下層ともに細孔容積の高い微細顔料を含有しているため、インク吸収性は高く画質も優れたものが得られる。しかし、下層にエマルション型接着剤とともにポリビニルアルコールも含まれているために、依然として塗膜は折り割れやすく紙粉の発生も多かった。
また、特開2002−219854号公報(特許文献6参照)や特開2002−292996号公報(特許文献7参照)では、支持体上にアルカリ土類金属の塩とアクリル系樹脂からなる下塗り層を設け、その上に気相法シリカを含有するインク受容層を塗工し、該インク受容層が湿潤状態である間に加熱された鏡面ドラムに圧接して得られる記録体を提案している。
このようにして得られた記録体は平滑性や光沢に優れるが、アルカリ土類金属の塩の粒子径が大きいために下塗り層の塗膜強度は弱く、インク吸収性も低すぎるために画質の低下が見られた。
次に、前記第1塗工層上の第2塗工層にBETによる細孔容積が0.8ml/g以上であり平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分として含有することで高い画質と光沢を付与し、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有することによって、塗膜の折り割れ及び断裁時の紙粉発生を改善した。
[1]透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得られるインクジェット記録体である。
[2]透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層上に第3塗工層を有し、前記第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られるインクジェット記録体である。
[3]第3塗工層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、湿式法ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする[2]に記載のインクジェット記録体。
[6]ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物がホウ素化合物である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のインクジェット記録体である。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調製するために、叩解機により叩解度を調製できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙の波打ち(コックリング)や記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調製できる。
本発明では基材のこのような利点をいかして、上記透気性基材上に、特定の顔料及びバインダーを含有する第1塗工層、第1塗工層上に特定の顔料およびバインダーを有する第2塗工層を少なくとも有する(第1発明)。或いは、第2塗工層の上に更に第3塗工層を有する(第2発明)。
第1塗工層には、BET法による細孔容積が0.5ml/g以下であり、平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分として含有する。主成分とは、無機顔料とエマルション型接着剤の合計が他の成分より多ければよいが、第1塗工層全質量中の80質量%以上であることが好ましい。
無機顔料の平均粒子径が1.5μmより大きいと、記録画像の鮮明性が低下する。なお、平均粒子径が0.01μmより小さいとインク中の溶媒吸収力が低下する傾向にあるので、0.01〜1.5μmであることが好ましい。画質と溶媒吸収性のバランスをさらに良くするためには、平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。
更に、BET法による細孔容積が0.5ml/gより大きいと、印字後に原紙の波打ち(コックリング)が見られ、断裁の際の紙粉も多く発生しやすい。なお、細孔容積が0.15ml/gより小さいと、溶媒の吸収性が不足するので、0.15〜0.5ml/gであることが好ましい。
また湿式法シリカは、ゲル法シリカ、沈降法シリカなどが例示できるが、更に、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体は特開2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
エマルション型接着剤は、アクリル系、アクリルシリコーン系、アクリルエポキシ系、アクリルスチレン系、アクリルウレタン系、酢酸ビニル系等のエマルション、ブタジエン系等のラテックスなどが挙げられ、アニオン性でもカチオン性でもノニオン性でもかまわない。このなかで、特にアクリル系樹脂エマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルションが経時における白紙の保存性が良好であるため好ましく選択される。
また、エマルション型接着剤のガラス転移温度は特に限定はないが、ガラス転移温度の高いエマルション型接着剤の方が塗工層の透気度が低く(インク吸収容量が高く)なるために好ましい。
第2塗工層には、BET法による細孔容積が0.8ml/g以上であり平均粒子径が0.7μm以下の無機顔料とポリビニルアルコールを主成分として含有する。ここで主成分とは、無機顔料とポリビニルアルコールの合計質量が、第2塗工層全質量中の50質量%以上あればよい。特に、第2塗工層全質量中の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
本発明においても、この性質の差を利用して第1塗工層には湿式法シリカを含有して溶媒吸収性と原紙のコックリングを制御し、第2塗工層には気相法シリカを含有して空隙率が高い三次元構造が形成し、インク吸収性と画質を制御する組み合わせが最も適している。
また、アルミナ水和物は特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報)などが挙げられる。
この場合、第2塗工層における顔料と水溶性樹脂との乾燥固形分質量比率は、顔料100質量部に対し5〜30質量部の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには10〜25質量部であることが好ましい。
特に、第1塗工層塗液中に、架橋剤を配合すると、新たに架橋剤を含有する塗液を塗布する必要がなく、生産性に優れるので好ましい。本発明は、第1塗工層中に、実質的にポリビニルアルコールを含有しないので、架橋剤を配合することができる。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
このような複合粒子を得るためには、例えば水中で気相法シリカとカチオン性高分子を混合し、凝集させることによって得られたカチオン性高分子−シリカの凝集体粒子を、平均粒子径が0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.7μm、より好ましくは0.1〜0.5μmとなるように粉砕、分散してカチオン性高分子−シリカ複合粒子を製造することが好ましい。
カチオン性高分子は、上記例示のカチオン性高分子の中から適宜選択され、単独使用或いは併用される。インク中の染料及び顔料の定着性、及びシリカ分散体の分散性を向上させるためには、5員環アミジン類、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、及びアルコキシカルボニル変性アリルアミン塩の重合体を用いることがより好ましい。カチオン性化合物の添加量は、顔料100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。
平均粒子径が1μmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均粒子径を1μm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
圧力式分散方法である高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが挙げられるが、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
第2塗工層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
第2発明は、上記第2塗工層上に、更に鏡面ドラムに圧接、乾燥仕上される第3塗工層(最表層)を形成して、第1発明とは異なる光沢感をもつインクジェット記録体を形成することができる。
特に、エステル基にカチオン性置換基を有するアクリル酸エステル系エマルション樹脂、あるいはメタクリル酸エステルの少なくとも1成分を共重合成分とするアクリル酸エステル系エマルション樹脂、カチオン性置換基を有するイソシアネートとポリオールの共重合体のアイオノマー樹脂粒子を分散させたウレタン系エマルション樹脂が好ましく用いられる。
また、ガラス転移温度に特に限定はないが、エマルション樹脂の粒子径は20〜50nmが好ましい。粒子径が20nmより小さいとインク吸収速度が遅くなり、50nmより大きいと画像濃度が低下するために好ましくない。
また、第2塗工層が鏡面ドラムに圧接される直前に、プレスロール上の第2塗工層面と鏡面ドラムの間に第3塗工層用塗工液を付与し、直ちに圧着させて乾燥させる方式による鏡面仕上げ(以下、ニップキャスト法仕上げともいう)を施すこともでき、この方法により得られた記録体は銀塩写真に匹敵する光沢および画質が得られるので好ましい。
なお、本発明でいう顔料の平均粒子径は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径を、一次粒子のみの単分散状態の場合は一次粒子径を示していると考えられ、当該顔料が粉体状にあるか、又はスラリー状にあるかには関係ない。
測定方法は、顔料濃度が3質量%の水分散液200gを調製し、これをホモミキサーに供して1000rpm、30分間の攪拌分散処理を施した後、直ちにこの分散液を電子顕微鏡(SEMとTEM)観察に供して1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、写真中の5cm×5cm四方の面積中に存在する粒子のマーチン径を測定し平均したものである。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
無機顔料、もしくは該無機顔料の分散液を105℃で乾燥し、測定用粉体試料を得た。この粉体試料の細孔容積を、窒素ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。また、細孔容積は細孔径3〜200nmの全細孔容積の値(窒素相対圧0.991)を使用した。
濃度0.5質量%のパルプスラリー(NBKP;ろ水度250mlCSFと、LBKP;ろ水度280mlCSFを、質量比2:8の割合で混合したもの)中に、パルプ絶乾質量に対しカチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.4質量%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7質量%を添加し、十分に撹拌して分散させた。上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量101g/m2、緊度1.0g/cm3の紙基材を製造した。
上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5質量%に調製したもので、このサイズプレス液を、紙の両面に合計25ml/m2を塗布して、平滑度(J.TAPPI No.5−2)が380秒の紙基材を作製した。
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約8nm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、平均二次粒子径が800nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
このシリカ微粒子分散液100質量部に対し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均二次粒子径が0.15μmの10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aを調製した。この複合粒子のBETによる細孔容積は1.1ml/gであった。
(a)活性ケイ酸水溶液の調製
SiO2濃度:30質量%、SiO2/Na2Oモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液(トクヤマ社製、商品名:三号珪酸ソーダ)に蒸留水を混合し、SiO2濃度:4.0質量%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名:ダイヤイオンSK−1BH)が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO2濃度は4.0質量%、pHは2.9であった。また、Na2O換算濃度は0.1質量%以下であった。
(b)シード液の調製
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。
(c)シリカ微粒子分散液の調製
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニア0.015モルを添加して安定化し、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液合計550gを、1.5g/分の速度で添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、シリカ微粒子分散液を得た。この分散液をエバポレーターにて濃縮し、10質量%のシリカ微粒子分散液Bを調製した。
このシリカの粒子径は0.1μmであり、BETによる細孔容積は0.4ml/gであった。
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Aを、乾燥塗工量が7g/m2になるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。
<塗工液A>
酸性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.3ml/g、アニオン性)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルション型接着剤)20質量部を水中で混合して水分散液(濃度:20質量%)を調製した。
次いで、この第1塗工層上に8%硼砂水溶液を塗布した後、下記組成の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を、鏡面ドラム(表面温度95℃)に圧着させて乾燥してインクジェット記録体を作製した。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/m2であった。
<塗工液B>
無機顔料として、上記カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
「第1塗工層の形成」
実施例1において、第1塗工層に含有される酸性コロイダルシリカをカチオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.2ml/g)に変更した以外は実施例1と同様にして第1塗工層を形成した。
次いで、この第1塗工層上に8%硼砂水溶液を塗布した後、実施例1と同様の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させ、90℃の熱風乾燥機で乾燥させた。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/m2であった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を水100質量部に対して1質量%添加した水溶液を供給して第2塗工層を湿潤させた後、プレスロールで圧着しながら直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させてインクジェット記録体を作製した。
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Cを、乾燥塗工量が7g/m2になるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。
<塗工液C>
アルカリ性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−20L、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.2ml/g、アニオン性)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系エマルション型接着剤(明成化学社製、商品名:JK7000)20質量部、及び硼砂13質量部を水中で混合して水分散液(濃度:20質量%)を調製した。
次いで、この第1塗工層上に実施例1と同様の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させ、90℃の熱風乾燥機で乾燥させた。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/m2であった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を水100質量部に対して1質量%添加した水溶液を供給して第2塗工層を湿潤させた後、プレスロールで圧着しながら直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させてインクジェット記録体を作製した。
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカを、分散液Bの湿式法シリカ(平均粒子径0.1μm、細孔容積0.4ml/g)に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカのうち10質量部を、カオリン(エンゲルハード社製、商品名:URTLA WHITE90、平均粒子径0.7μm、細孔容積0.2ml/g)に置き換えて、コロイダルシリカとカオリンの混合顔料とした以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのコロイダルシリカのうち20質量部を、二酸化チタン(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、細孔容積0.5ml/g)に置き換えて、コロイダルシリカと二酸化チタンの混合顔料とした以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例3において、第2塗工層を形成する塗工液の無機顔料(カチオン性高分子−シリカ複合粒子)を、気相法アルミナ(CABOT社製、商品名:PG003、平均粒子径0.25μm、細孔容積0.9ml/g)に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
「第1塗工層の形成」
実施例3と同様にして、第1塗工層を形成した。
次いで、この第1塗工層上に実施例1と同様の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させ、90℃の熱風乾燥機で乾燥させた。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/m2であった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に下記塗工液Dを供給し、プレスロールで圧着しながら塗工後、そのまま鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させて第3塗工層を形成し、インクジェット記録体を得た。乾燥塗工量は1.5g/m2であった。
<塗工液D>
カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A(平均粒子径0.1μm)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系エマルション型接着剤(平均粒子径:0.06μm、Tg=100℃)10質量部、離型剤(オレイン酸アンモニウム)5質量部を水中で混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
実施例8において、第3塗工層を形成する塗工液Dの無機顔料(カチオン性高分子−シリカ複合粒子)をカチオン性コロイダルシリカ(グレース社製、商品名:SJ4001、平均粒子径0.04μm)に変更した以外は実施例8と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカを、重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、平均粒子径0.8μm、細孔容積0.2ml/g)に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカ100質量部を、重質炭酸カルシウム(平均粒子径0.5μm、細孔容積0.15ml/g)80質量部とゲル法シリカ(平均粒子径6μm、細孔容積2.0ml/g)20質量部に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例2において、基材を透気性の紙基材に変えて、紙基材Aの両面をポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙を用い、第2塗工層をハイドロゲル化させた後、90℃の熱風乾燥機で乾燥し、直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)に圧接後、剥離(基材が非透気性であり、鏡面ドラム上では実質的な乾燥を行わない)した以外は実施例2と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aのコロイダルシリカに代えて、湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−30、平均粒子径:3μm、細孔容積2.0ml/g)を使用した。
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aのコロイダルシリカに代えて、分散液Aの気相法シリカ(平均粒子径0.15μm、細孔容積1.1ml/g)を使用した。
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層の作製において、塗工液Bの気相法シリカに代えて、分散液Bの湿式法シリカ(平均粒子径0.1μm、細孔容積0.4ml/g)を使用した。
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aのコロイダルシリカを分散液Aの気相法シリカ(平均粒子径0.15μm、細孔容積1.1ml/g)に変更し、またエマルション型接着剤をポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度3500)に変更した。
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層の作製において、塗工液Aのポリビニルアルコールに代えて、アクリル樹脂系エマルション型接着剤(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)を使用した。
実施例3と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において塗工液Cに硼砂を含有しなかったところ、第2塗工層がひび割れて塗工できなかった。
実施例2と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層上に8%硼砂水溶液を塗布することなく、第2塗工層上のみに8%硼砂水溶液を塗布した。
実施例3と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層を水溶液で湿潤させてから、鏡面ドラムに圧着及び乾燥させなかった。
得られたインクジェット記録体のインク吸収性、光沢、画質、塗膜の折り割れおよび断裁時の紙粉の発生量を下記に示す方法で評価した。尚、評価には染料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−G820、印字モード:EPSON写真用紙 きれいモード)を使用した。評価結果を表1に示す。
供試された記録体にグリーン色インクをベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の4段階に評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題がない。
×:印字斑が見られ、実用性が低い。
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Macbeth RD−920、マクベス社製)にて測定した。
供試された記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像を、記録体表面に対して傾斜している角度から目視し、下記の4段階に評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
○:銀塩写真より若干劣るが、充分な光沢感がある。
△:光沢紙としては、光沢感が足りない。
×:光沢はほとんどなく、マットに近いレベル。
供試された記録体(A4サイズ)を直径が12cmの円筒に丸めて入れた後、これを取り出して塗膜の表面に見られる横割れを目視で判定した。
○:塗膜に折り割れなし。
×:塗膜に折り割れが見られる。
供試された記録体(A4サイズ)を20枚重ねてカッターで断裁し、発生した紙粉の量を目視で判定して下記の3段階に評価した。
◎:紙粉はほとんど発生しない。
○:紙粉は少し発生するが、使用上問題とならないレベル。
×:記録体の端面の塗膜がはがれ落ち、多くの紙粉が発生する。
供試された記録体(L版サイズ)3枚に画像を印字後、直ぐにそれらを重ねてビニール袋に入れ、1日後に取り出して画像のにじみを目視で判定して下記の3段階に評価した。
○:画像のにじみがほとんどない
△:にじみが少しある。
×:にじみが大きく、画像がぼやける。
また、第2塗工層上に第3塗工層をニップキャスト法(ニップ部で塗工層を形成する方法)により設けても、上記の結果と同様にいずれの評価項目についても良好であった。
一方、前記平均粒子径や細孔容積とは異なる無機顔料を含有する、比較例のインクジェット記録体はいずれかの評価項目に劣るものであった。また、前記バインダーと異なるものを使用したり、第1及び第2塗工層に架橋性化合物を含まなかったり、キャストによる仕上げを行わなかった比較例のインクジェット記録体は、良好な光沢と紙粉発生の抑制を両立することができなかった。
また、画像の経時にじみも非透気性基材のインクジェット記録体に比べて良好であった。
したがって、本発明によれば画像の経時にじみが改善され、塗膜の折り割れがなく、かつカッター断裁時の紙粉の発生が少なく、光沢及び平滑性に優れたインクジェット記録体となる。
Claims (5)
- 透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得られるインクジェット記録体。
- 透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層上に第3塗工層を有し、前記第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られるインクジェット記録体。
- 第3塗工層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、湿式法ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする請求項2に記載のインクジェット記録体。
- 第1塗工層に含有するエマルション型接着剤が、アクリル系、アクリルシリコーン系、アクリルエポキシ系、アクリルスチレン系、アクリルウレタン系、酢酸ビニル系から選ばれる少なくとも一種のエマルション型接着剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
- 第2塗工層に含有するBETによる細孔容積が0.8ml/g以上の無機微細顔料が、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均2次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物のいずれかである請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
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