JP4506731B2 - インクジェット記録体 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録体の画像の経時にじみが改善され、塗膜の折り割れがなく、かつカッター断裁の際の紙粉の発生が少なく、光沢及び平滑性に優れたインクジェット記録体に関するものである。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に向かって噴出し、その記録表面上に画像を形成するインクジェット記録方式は、記録操作の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と、高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録体には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められ、さらに、デジタルカメラによる撮影画像の記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する、高い均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、記録画像の色濃度及び光沢感の更なる向上が望まれている。
インク吸収性と光沢の向上を同時に満足させるために、特許第3246887号公報(特許文献1参照)では、非塗工紙の表面にシリカ、アルミナ、カオリン、二酸化チタンなどから選択された少なくとも1種の顔料及びバインダーを含有する塗工層を設け、該塗工層のコッブ吸水度が30〜100g/m、且つ王研式平滑度が30秒以上であるキャストコート用基材を提案している。しかし、この記録体は印字濃度が低く、画質も写真調とは程遠いものであった。また記録体のコックリングとインク吸収性を両立させることも困難であった。
写真調の高画質の記録体を得るために、インク吸収性と印字濃度の両立を目的として近年、一次粒子径が3〜30nmであり、二次粒子径が1μm以下である微細顔料をインク受容層に含有するインクジェット記録体が数多く開示されている。微細顔料を用いることにより印字濃度は向上するが、インク受容層はひび割れやすくなり、いかにひび割れを抑えて塗工量を増やすかが開発のポイントとなってきた。
そのなかで、インク受容層に含まれるポリビニルアルコールと架橋反応を起こす化合物をインク受容層中に含有して、インク受容層のひび割れを抑制する方法が最も有効である。この方法により得られたインクジェット記録体は優れた画質を示し、インク吸収性と印字濃度の両立を達成することができる。
しかし、架橋によってインク受容層が硬化するため、曲げ応力などによって塗膜が折り割れやすく、また断裁時に記録体の切り口から多量の紙粉が発生した。
カッター断裁時の紙粉を少なくするために、特開2004−114475号公報(特許文献2参照)では、基紙の下塗りに耐水性の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体をバインダーとして含有するキャストコート紙が提案されている。しかし、この方法では二次粒子径が1μm以下の微細顔料が使用されていないために画質が低かった。
また、特開2004−82448号公報(特許文献3参照)では、支持体上にエマルション型接着剤と無機微粒子を含有する1層を有し、その上にエマルション型接着剤を含有しないインク受容層を1層有することによって、塗膜に折り割れのない光沢に優れた記録体が提案されている。この記録体は上下層ともに細孔容積の高い微細顔料を含有しているため、インク吸収性は高く画質も優れたものが得られる。しかし、下層にエマルション型接着剤とともにポリビニルアルコールも含まれているために、依然として塗膜は折り割れやすく紙粉の発生も多かった。
また、特開2001−246832号公報(特許文献4参照)では、支持体上に顔料やバインダーを含まないホウ素化合物のみを塗工し、その上に気相法シリカを含有するインク受容層を設けた記録体が提案されている。この記録体は印字濃度が高くインク吸収性も良好であるが、紙の地合いが目立つために表面の平滑性が不足し、光沢も不十分である。
一方、記録体の平滑性や光沢を高めるために、特開2005−96285号公報(特許文献5参照)では、酸化チタンなどの白色顔料と熱可塑性樹脂微粒子からなる層を支持体上に設け、該支持体を熱可塑性樹脂微粒子のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧処理することを提案している。この層によって記録体の平滑性は向上するが、加熱による加圧処理のために層の空隙が減少してインク吸収容量が低下し(透気度が高くなって)、鏡面ドラムからの離型が難しくなり、また下塗り層に白色顔料を含有するために印字濃度、すなわち画質の低下も見られた。
また、特開2002−219854号公報(特許文献6参照)や特開2002−292996号公報(特許文献7参照)では、支持体上にアルカリ土類金属の塩とアクリル系樹脂からなる下塗り層を設け、その上に気相法シリカを含有するインク受容層を塗工し、該インク受容層が湿潤状態である間に加熱された鏡面ドラムに圧接して得られる記録体を提案している。
このようにして得られた記録体は平滑性や光沢に優れるが、アルカリ土類金属の塩の粒子径が大きいために下塗り層の塗膜強度は弱く、インク吸収性も低すぎるために画質の低下が見られた。
特許第3246887号公報 特開2004−114475号公報 特開2004−82448号公報 特開2001−246832号公報 特開2005−96285号公報 特開2002−219854号公報 特開2002−292996号公報
本発明は、インクジェット記録体の画像の経時にじみが改善され、塗膜の折り割れがなく、かつカッター断裁時の紙粉の発生が少なく、光沢及び平滑性に優れたインクジェット記録体に関するものである。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体で、基材に近い第1塗工層にBETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分として含有することで、インク溶媒の吸収と塗工層の平滑性を付与した。
次に、前記第1塗工層上の第2塗工層にBETによる細孔容積が0.8ml/g以上であり平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分として含有することで高い画質と光沢を付与し、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有することによって、塗膜の折り割れ及び断裁時の紙粉発生を改善した。
そして、該第2塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥することで強光沢、高平滑性及びインク吸収性の向上を同時に達成することを見出し、本第1発明に至ったのである。
また、該第2塗工層上に第3塗工層を設け、前記第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥することで強光沢、高平滑性及びインク吸収性の向上を同時に達成することを見出し、本第2発明に至ったのである。
本発明は下記態様を含む。
[1]透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得られるインクジェット記録体である。
[2]透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層上に第3塗工層を有し、前記第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られるインクジェット記録体である。
[3]第3塗工層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、湿式法ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする[2]に記載のインクジェット記録体。
[4第1塗工層に含有するエマルション型接着剤が、アクリル系、アクリルシリコーン系、アクリルエポキシ系、アクリルスチレン系、アクリルウレタン系、酢酸ビニル系から選ばれる少なくとも一種のエマルション型接着剤である[1]〜[]のいずれか1項に記載のインクジェット記録体である。
]第2塗工層に含有するBETによる細孔容積が0.8ml/g以上の無機微細顔料が、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均2次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物のいずれかである[1]〜[]のいずれか1項に記載のインクジェット記録体である。
]ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物がホウ素化合物である[1]〜[]のいずれか1項に記載のインクジェット記録体である。
本発明によれば画像の経時にじみが改善され、塗膜の折り割れがなく、かつカッター断裁時の紙粉の発生が少なく、光沢及び平滑性に優れたインクジェット記録体を提供することができる。
本発明のインクジェット記録体に用いられる透気性基材としては、透気性を有するシート状物であれば特に限定するものではなく、例えば、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の紙基材や不織布、透気性フィルムなどがも使用できるが、紙基材の使用が好ましい。
紙基材は、一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調製するために、叩解機により叩解度を調製できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙の波打ち(コックリング)や記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録用紙の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少ないと紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は7〜20%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として光沢感が優れたインクジェット記録用紙が得られ易くなる。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調製できる。
透気性基材の種類、形状、寸法などについては特に制限はないが、ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いと染料が均一に塗布できない場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。基材の厚さは、写真調の風合いを得るために150〜280μmが好ましい。坪量においても、特に限定はされないが、120〜280g/m程度である。
また、本発明では、第2塗工層又は第3塗工層を鏡面ドラムによって処理されるために、基材の透気度(JIS P8117)は30〜500secであることが好ましく、更には35〜300secがより好ましい。因みに、透気度を30sec以上にすることによりインクジェット記録体のボコツキを大きく低減でき、また500sec以下にすることにより鏡面ドラムからの離型が優れ、高い表面光沢が得られる。
基材の平滑度は特に限定はないが、高光沢、高平滑な面を得るためにベック平滑度は70秒(王研式、J.TAPPI No.5)以上であることが好ましい。また、基材の不透明度にも特に限定はないが、銀塩写真ライクな外観(特に視感白色度)を得るためには、その不透明度(JIS P8138)が85%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
基材の裏面(第1塗工層、第2塗工層を形成しない面)には、表面側へのカールを矯正するためにコート層を設ける、あるいはポリオレフィン樹脂のラミネート層を設けるなど、裏面層を設けることが好ましい。裏面層は、第2塗工層又は第3塗工層を鏡面ドラムで処理する前でも後でも設けることができるが、透気度の高い裏面層であれば、鏡面ドラムで処理する前に裏面層を設けることが可能である。また、基材の裏面には、更に、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、帯電防止剤やブロッキング防止剤などで処理してもよい。
また、基材が透気性(吸液性)であると、インクジェット記録を行った際のインクの溶媒が第1塗工層から基材に吸収されるために、第1塗工層や第2塗工層中に再移動することがなく、経時にじみが非吸液性(非透気性)基材のインクジェット記録体に比べて非常に良好である。
(インクジェット記録体の層構成について)
本発明では基材のこのような利点をいかして、上記透気性基材上に、特定の顔料及びバインダーを含有する第1塗工層、第1塗工層上に特定の顔料およびバインダーを有する第2塗工層を少なくとも有する(第1発明)。或いは、第2塗工層の上に更に第3塗工層を有する(第2発明)。
(第1塗工層について)
第1塗工層には、BET法による細孔容積が0.5ml/g以下であり、平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分として含有する。主成分とは、無機顔料とエマルション型接着剤の合計が他の成分より多ければよいが、第1塗工層全質量中の80質量%以上であることが好ましい。
無機顔料の平均粒子径が1.5μmより大きいと、記録画像の鮮明性が低下する。なお、平均粒子径が0.01μmより小さいとインク中の溶媒吸収力が低下する傾向にあるので、0.01〜1.5μmであることが好ましい。画質と溶媒吸収性のバランスをさらに良くするためには、平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。
更に、BET法による細孔容積が0.5ml/gより大きいと、印字後に原紙の波打ち(コックリング)が見られ、断裁の際の紙粉も多く発生しやすい。なお、細孔容積が0.15ml/gより小さいと、溶媒の吸収性が不足するので、0.15〜0.5ml/gであることが好ましい。
第1塗工層に用いられる無機顔料は、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、アルミナ、カオリン、二酸化チタン、炭酸カルシウムなど適宜併用することも可能である。この場合、無機顔料の表面を他の無機顔料で表面を被覆した複合顔料も含まれる。なかでも単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムが溶媒吸収性に優れるので本発明に使用される。また上記無機顔料は、一次粒子のみ、もしくは一次粒子が凝集した二次粒子として水に分散されているものが更に好ましい。
単分散コロイダルシリカは、一次粒子径が0.01〜0.07μmのものが好ましく、0.02〜0.06μmが更に好ましい。シリカはアニオン性でもカチオン性でもよく、またアルカリ性でも酸性でもかまわない。
また湿式法シリカは、ゲル法シリカ、沈降法シリカなどが例示できるが、更に、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体は特開2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
第1塗工層に用いられるエマルション型接着剤はバインダーとして使用され、第1塗工層中にはポリビニルアルコールを実質的に含有しない。
エマルション型接着剤は、アクリル系、アクリルシリコーン系、アクリルエポキシ系、アクリルスチレン系、アクリルウレタン系、酢酸ビニル系等のエマルション、ブタジエン系等のラテックスなどが挙げられ、アニオン性でもカチオン性でもノニオン性でもかまわない。このなかで、特にアクリル系樹脂エマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルションが経時における白紙の保存性が良好であるため好ましく選択される。
また、エマルション型接着剤のガラス転移温度は特に限定はないが、ガラス転移温度の高いエマルション型接着剤の方が塗工層の透気度が低く(インク吸収容量が高く)なるために好ましい。
無機顔料とバインダーの配合割合は、その種類にもよるが、一般に無機顔料100質量部に対しバインダー5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲で調節される。その他、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、蛍光染料、着色剤、白色顔料等を添加して記録体を写真調の白色度に近づけることもできる。
第1塗工層を形成する方法としては、上記成分を含む塗液を公知の塗工方法により塗布するとよい。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知の塗工装置により塗工するとよい。なお、第1塗工層を複数層積層してもよく、この場合、両塗工層の配合成分は異なっていてもよい。
第1塗工層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に2〜16g/m程度であることが好ましく、より好ましくは4〜14g/mある。塗工量が過少であると、基材のボコツキや地合いの悪さを抑制できないおそれがあり、塗工量が多すぎると透気度が高くなり、第2塗工層もしくは第3塗工層をキャストドラムに圧着させて乾燥する際、乾燥が不十分となる場合があるので好ましくない。
なお、第1塗工層を基材上に設けた際のコッブ法による60秒の吸水度(JIS P8140)は、8〜50g/mであることが好ましい。吸水度が8g/mより小さいとインクの溶媒吸収性が不足し、50g/mより大きいと基材のボコツキが抑制し難くなる。
(第2塗工層について)
第2塗工層には、BET法による細孔容積が0.8ml/g以上であり平均粒子径が0.7μm以下の無機顔料とポリビニルアルコールを主成分として含有する。ここで主成分とは、無機顔料とポリビニルアルコールの合計質量が、第2塗工層全質量中の50質量%以上あればよい。特に、第2塗工層全質量中の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
平均粒子径が0.7μmより大きい無機顔料を使用すると印字濃度が低下する。0.7μm以下の粒子径に調節するために、たとえば機械的手段で強い力を施す方法、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により製造することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と粉砕とを繰り返して施すことができる。一方、平均粒子径が0.03μmより小さいと、塗膜にひび割れが生じやすいため0.03〜0.7μmであることが好ましい。
また、BET法による細孔容積が0.8ml/gより小さいとインク吸収性が不足する。より好ましい細孔容積は、1.0〜1.2ml/gである。
このような無機顔料としては、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる二次粒子の分散体である微細顔料が好ましく、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が挙げられる。なかでも、塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点から、気相法シリカが最も好ましく使用される。
シリカ微粒子は、通常、製造法によって湿式法シリカと乾式法(気相法)シリカとに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流であり、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカなどがこれらに属する。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、前記気相法シリカとは、該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。
気相法シリカは、湿式法シリカと表面のシラノール基の密度、細孔容積などに相違があり、異なった性質を示す。湿式法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmで多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易いために細孔径が100nm以下における細孔容積は低めだが、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから、疎な軟凝集(フロキュレート)となって細孔容積が高くなり、その結果、空隙率が高い三次元構造が形成される。
本発明においても、この性質の差を利用して第1塗工層には湿式法シリカを含有して溶媒吸収性と原紙のコックリングを制御し、第2塗工層には気相法シリカを含有して空隙率が高い三次元構造が形成し、インク吸収性と画質を制御する組み合わせが最も適している。
アルミナは、一般的に結晶性を有する酸化アルミニウムとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有するアルミナが挙げられる。光沢感やインク吸収性から、気相法アルミナ、γ、δ、θ結晶を有するアルミナが好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ(フュームドアルミナ)は特に好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成される。
また、アルミナ水和物は特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報)などが挙げられる。
第2塗工層にバインダーとして使用されるポリビニルアルコールは、成膜性とインク吸収性とのバランスを良好にするために、2000以上の重合度を有するものが好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールがより好ましい。水不溶性の樹脂ラテックスなどを、第2塗工層全質量中の10質量%より少ない範囲であれば混合して用いてもよい。
この場合、第2塗工層における顔料と水溶性樹脂との乾燥固形分質量比率は、顔料100質量部に対し5〜30質量部の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには10〜25質量部であることが好ましい。
本発明は、ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を第1及び第2塗工層に含有する。含有する方法としては、架橋剤を予め含有した第1塗工層を塗工し、乾燥した後に第2塗工層用塗液を塗布する方法、架橋剤を予め含有した第1塗工層を塗工し、湿潤状態である間に第2塗工層を塗工する方法(すなわちWet on Wet方法)、または第1塗工層を形成後、架橋剤を含有する塗液を塗布・含浸させて、第2塗工層用塗液を塗布する方法のいずれかがひび割れのない塗工層を得られやすいため好ましい。
第2塗工層をひび割れなく成膜させるために、第2塗工層が塗工の直後に、また塗工された塗液の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、ポリビニルアルコールと架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させるとよいが、架橋剤を第2塗工層用塗液中に含有せしめると、塗液粘度が上昇し、均一な第2塗工層が得られない。予め第1塗工層に架橋剤を含有せしめ、第2塗工層を塗工した際に、架橋剤の一部が第2塗工層に移動し、第2塗工層を増粘、架橋させることによりひび割れのない第2塗工層が形成できる。
特に、第1塗工層塗液中に、架橋剤を配合すると、新たに架橋剤を含有する塗液を塗布する必要がなく、生産性に優れるので好ましい。本発明は、第1塗工層中に、実質的にポリビニルアルコールを含有しないので、架橋剤を配合することができる。
ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できるが、なかでもホウ素化合物は塗料の増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物の種類及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、第2塗工層の全質量に対して2〜10質量%含有されるのが好ましい。2質量%より少ないとポリビニルアルコールとの架橋が弱く、塗料のゲル化も弱くなって塗膜がひび割れやすくなる。また、10質量%より多いと塗膜が硬くなり好ましくない。
第2塗工層には、記録画像の耐水性や保存性を高めるために、カチオン性高分子を含有することが好ましい。カチオン性高分子としては、ポリアルキレンアミン化合物(例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−キルムアルデヒド重縮合物)、エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO共重合体、ジアリルアミン−SO共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、アリルアミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体などが例示でき、単独或いは併用できる。これらのカチオン性高分子は、分子量が5000より低いとインク吸収性を阻害するおそれがあるので、分子量5000以上のものを用いることが好ましい。
一般的に、シリカの場合はシラノール基が表面に存在しているため電気的にマイナスを示し、カチオン性高分子と混合することにより凝集する。このため、シリカをカチオン性高分子で処理した複合粒子の形態で用いると、分散性が優れるほか、印字濃度、画像耐水性などにおいても優れ、銀塩写真に匹敵する優れた品質が得られる。
このような複合粒子を得るためには、例えば水中で気相法シリカとカチオン性高分子を混合し、凝集させることによって得られたカチオン性高分子−シリカの凝集体粒子を、平均粒子径が0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.7μm、より好ましくは0.1〜0.5μmとなるように粉砕、分散してカチオン性高分子−シリカ複合粒子を製造することが好ましい。
カチオン性高分子は、上記例示のカチオン性高分子の中から適宜選択され、単独使用或いは併用される。インク中の染料及び顔料の定着性、及びシリカ分散体の分散性を向上させるためには、5員環アミジン類、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、及びアルコキシカルボニル変性アリルアミン塩の重合体を用いることがより好ましい。カチオン性化合物の添加量は、顔料100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。
前記シリカと前記カチオン性高分子の混合物、もしくは凝集体を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
平均粒子径が1μmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均粒子径を1μm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
圧力式分散方法である高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが挙げられるが、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
第2塗工層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に5〜20g/m程度であることが好ましく、より好ましくは7〜18g/mである。塗工量が過少であると、高精細且つ高速のプリンターではインク吸収性が不足するおそれがあり、塗工量が多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難になることがある。
第2塗工層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
第1発明は、この第2塗工層が湿潤状態にある間に、これを加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥して、鏡面を塗工層に写し取る、所謂キャスト方式によってインクジェット記録体を仕上げる。キャスト方式としては、従来から印刷用塗工紙の分野で知られているウェットキャスト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などが適用できる。中でも、第2塗工層を塗布し、乾燥或いは半乾燥した後、湿潤液を付与して湿潤させた後、直ちに鏡面ドラムに圧着させて乾燥させるリウエット法は、得られた記録体が銀塩写真に匹敵する光沢および画質が得られるので好ましい。
加熱された鏡面の表面温度は、乾燥効率を考えると80〜120℃の範囲内にコントロールすることが好ましい。圧着された鏡面から第2塗工層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを水溶液中に含有させてもよく、或は鏡面に塗布してもよい。これらのなかで、特にカチオン系離型剤を用いることが好ましく、離型剤の添加量は特に限定はないが、一般に水溶液100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
(第3塗工層について)
第2発明は、上記第2塗工層上に、更に鏡面ドラムに圧接、乾燥仕上される第3塗工層(最表層)を形成して、第1発明とは異なる光沢感をもつインクジェット記録体を形成することができる。
第3塗工層に含まれる顔料としては、平均一次粒子径が0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均二次粒子径が1μm以下のアルミナやアルミナ水和物、平均二次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカやゲル法シリカが好ましく用いられる。
第3塗工層には、上記微細顔料の他にバインダーを含有してもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂でもよく、水不溶性のエマルション樹脂でもよい。水溶性樹脂の場合は分子量などに制限はなく、顔料とバインダーの乾燥固形分質量比率は100/10〜100/0が好ましい。添加率が10%より多いとインク吸収速度が遅くなる。エマルション樹脂の場合、記録画像の色濃度を高くするために、樹脂含有粒子の平均粒子径は100nm以下であることが好ましく、より好ましい範囲は10〜80nmであり、顔料とバインダーの乾燥固形分質量比率は100/30〜100/5が好ましい。
第3塗工層に用いられるバインダーには格別の制限はないが、インクの定着性及び耐水性を高めるためには、カチオン性置換基を有する水不溶性のエマルション樹脂が好ましい。
特に、エステル基にカチオン性置換基を有するアクリル酸エステル系エマルション樹脂、あるいはメタクリル酸エステルの少なくとも1成分を共重合成分とするアクリル酸エステル系エマルション樹脂、カチオン性置換基を有するイソシアネートとポリオールの共重合体のアイオノマー樹脂粒子を分散させたウレタン系エマルション樹脂が好ましく用いられる。
また、ガラス転移温度に特に限定はないが、エマルション樹脂の粒子径は20〜50nmが好ましい。粒子径が20nmより小さいとインク吸収速度が遅くなり、50nmより大きいと画像濃度が低下するために好ましくない。
第3塗工層の乾燥固形分塗布量は、0.3〜5g/mの範囲内にあることが好ましく、0.5〜3g/mがより好ましい。塗工量が過少であると、塗膜が過度に薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が過多であるとインク吸収速度が著しく低下するおそれがある。インク吸収速度とインク吸収容量のバランスをよくするためには、第2塗工層の塗布量は第3塗工層の塗工量の3〜20倍であることが好ましく、5〜15倍であることが更に好ましい。
第3塗工層は湿潤状態にある間に、これを加熱された鏡面ドラムに圧着し乾燥して、鏡面を塗工層に写し取る、キャスト方式によって塗工される。キャスト方式としては、従来から印刷用塗工紙の分野で知られているウェットキャスト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などが適用できる。
また、第2塗工層が鏡面ドラムに圧接される直前に、プレスロール上の第2塗工層面と鏡面ドラムの間に第3塗工層用塗工液を付与し、直ちに圧着させて乾燥させる方式による鏡面仕上げ(以下、ニップキャスト法仕上げともいう)を施すこともでき、この方法により得られた記録体は銀塩写真に匹敵する光沢および画質が得られるので好ましい。
このとき、ひび割れを防止し及び乾燥効率を高くするためには、加熱された鏡面の表面温度は80〜120℃の範囲内にコントロールすることが好ましい。圧着された鏡面から第3塗工層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを第3塗工層中に含有させてもよく、或は鏡面に塗布してもよい。これらの中でも、特にカチオン系離型剤を用いることが好ましい。離型剤の添加量は特に限定はないが、一般に第3塗工層中に含まれる顔料100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
(平均粒子径の測定方法)
なお、本発明でいう顔料の平均粒子径は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径を、一次粒子のみの単分散状態の場合は一次粒子径を示していると考えられ、当該顔料が粉体状にあるか、又はスラリー状にあるかには関係ない。
測定方法は、顔料濃度が3質量%の水分散液200gを調製し、これをホモミキサーに供して1000rpm、30分間の攪拌分散処理を施した後、直ちにこの分散液を電子顕微鏡(SEMとTEM)観察に供して1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、写真中の5cm×5cm四方の面積中に存在する粒子のマーチン径を測定し平均したものである。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
(BETによる細孔容積測定方法)
無機顔料、もしくは該無機顔料の分散液を105℃で乾燥し、測定用粉体試料を得た。この粉体試料の細孔容積を、窒素ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。また、細孔容積は細孔径3〜200nmの全細孔容積の値(窒素相対圧0.991)を使用した。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。まず、実施例及び比較例において使用する材料について説明する。
(1)紙基材の作製
濃度0.5質量%のパルプスラリー(NBKP;ろ水度250mlCSFと、LBKP;ろ水度280mlCSFを、質量比2:8の割合で混合したもの)中に、パルプ絶乾質量に対しカチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.4質量%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7質量%を添加し、十分に撹拌して分散させた。上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量101g/m、緊度1.0g/cmの紙基材を製造した。
上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5質量%に調製したもので、このサイズプレス液を、紙の両面に合計25ml/mを塗布して、平滑度(J.TAPPI No.5−2)が380秒の紙基材を作製した。
(2)カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aの調製(気相法シリカ使用:第2塗工層用)
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約8nm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、平均二次粒子径が800nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
このシリカ微粒子分散液100質量部に対し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均二次粒子径が0.15μmの10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aを調製した。この複合粒子のBETによる細孔容積は1.1ml/gであった。
(3)シリカ粒子分散液Bの調製(活性珪酸を縮合して得られた湿式法シリカ使用:第1塗工層用)
(a)活性ケイ酸水溶液の調製
SiO濃度:30質量%、SiO/NaOモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液(トクヤマ社製、商品名:三号珪酸ソーダ)に蒸留水を混合し、SiO濃度:4.0質量%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名:ダイヤイオンSK−1BH)が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO濃度は4.0質量%、pHは2.9であった。また、NaO換算濃度は0.1質量%以下であった。
(b)シード液の調製
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。
(c)シリカ微粒子分散液の調製
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニア0.015モルを添加して安定化し、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液合計550gを、1.5g/分の速度で添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、シリカ微粒子分散液を得た。この分散液をエバポレーターにて濃縮し、10質量%のシリカ微粒子分散液Bを調製した。
このシリカの粒子径は0.1μmであり、BETによる細孔容積は0.4ml/gであった。
〔実施例1〕
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Aを、乾燥塗工量が7g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。
<塗工液A>
酸性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.3ml/g、アニオン性)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルション型接着剤)20質量部を水中で混合して水分散液(濃度:20質量%)を調製した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に8%硼砂水溶液を塗布した後、下記組成の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を、鏡面ドラム(表面温度95℃)に圧着させて乾燥してインクジェット記録体を作製した。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/mであった。
<塗工液B>
無機顔料として、上記カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
〔実施例2〕
「第1塗工層の形成」
実施例1において、第1塗工層に含有される酸性コロイダルシリカをカチオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.2ml/g)に変更した以外は実施例1と同様にして第1塗工層を形成した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に8%硼砂水溶液を塗布した後、実施例1と同様の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させ、90℃の熱風乾燥機で乾燥させた。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/mであった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を水100質量部に対して1質量%添加した水溶液を供給して第2塗工層を湿潤させた後、プレスロールで圧着しながら直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させてインクジェット記録体を作製した。
〔実施例3〕
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Cを、乾燥塗工量が7g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。
<塗工液C>
アルカリ性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−20L、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.2ml/g、アニオン性)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系エマルション型接着剤(明成化学社製、商品名:JK7000)20質量部、及び硼砂13質量部を水中で混合して水分散液(濃度:20質量%)を調製した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に実施例1と同様の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させ、90℃の熱風乾燥機で乾燥させた。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/mであった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を水100質量部に対して1質量%添加した水溶液を供給して第2塗工層を湿潤させた後、プレスロールで圧着しながら直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させてインクジェット記録体を作製した。
〔実施例4〕
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカを、分散液Bの湿式法シリカ(平均粒子径0.1μm、細孔容積0.4ml/g)に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔実施例5〕
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカのうち10質量部を、カオリン(エンゲルハード社製、商品名:URTLA WHITE90、平均粒子径0.7μm、細孔容積0.2ml/g)に置き換えて、コロイダルシリカとカオリンの混合顔料とした以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔実施例6〕
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのコロイダルシリカのうち20質量部を、二酸化チタン(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、細孔容積0.5ml/g)に置き換えて、コロイダルシリカと二酸化チタンの混合顔料とした以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔実施例7〕
実施例3において、第2塗工層を形成する塗工液の無機顔料(カチオン性高分子−シリカ複合粒子)を、気相法アルミナ(CABOT社製、商品名:PG003、平均粒子径0.25μm、細孔容積0.9ml/g)に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔実施例8〕
「第1塗工層の形成」
実施例3と同様にして、第1塗工層を形成した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に実施例1と同様の塗工液Bを塗工し、第2塗工層をハイドロゲル化させ、90℃の熱風乾燥機で乾燥させた。第2塗工層の乾燥塗工量は18g/mであった。
「第3塗工層」
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に下記塗工液Dを供給し、プレスロールで圧着しながら塗工後、そのまま鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させて第3塗工層を形成し、インクジェット記録体を得た。乾燥塗工量は1.5g/mであった。
<塗工液D>
カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A(平均粒子径0.1μm)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系エマルション型接着剤(平均粒子径:0.06μm、Tg=100℃)10質量部、離型剤(オレイン酸アンモニウム)5質量部を水中で混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
〔実施例9〕
実施例8において、第3塗工層を形成する塗工液Dの無機顔料(カチオン性高分子−シリカ複合粒子)をカチオン性コロイダルシリカ(グレース社製、商品名:SJ4001、平均粒子径0.04μm)に変更した以外は実施例8と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔実施例10〕
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカを、重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、平均粒子径0.8μm、細孔容積0.2ml/g)に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔実施例11〕
実施例3において、第1塗工層を形成する塗工液Cのアルカリ性コロイダルシリカ100質量部を、重質炭酸カルシウム(平均粒子径0.5μm、細孔容積0.15ml/g)80質量部とゲル法シリカ(平均粒子径6μm、細孔容積2.0ml/g)20質量部に変更した以外は実施例3と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔比較例1〕
実施例2において、基材を透気性の紙基材に変えて、紙基材Aの両面をポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙を用い、第2塗工層をハイドロゲル化させた後、90℃の熱風乾燥機で乾燥し、直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)に圧接後、剥離(基材が非透気性であり、鏡面ドラム上では実質的な乾燥を行わない)した以外は実施例2と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
〔比較例2〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aのコロイダルシリカに代えて、湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−30、平均粒子径:3μm、細孔容積2.0ml/g)を使用した。
〔比較例3〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aのコロイダルシリカに代えて、分散液Aの気相法シリカ(平均粒子径0.15μm、細孔容積1.1ml/g)を使用した。
〔比較例4〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層の作製において、塗工液Bの気相法シリカに代えて、分散液Bの湿式法シリカ(平均粒子径0.1μm、細孔容積0.4ml/g)を使用した。
〔比較例5〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aのコロイダルシリカを分散液Aの気相法シリカ(平均粒子径0.15μm、細孔容積1.1ml/g)に変更し、またエマルション型接着剤をポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度3500)に変更した。
〔比較例6〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層の作製において、塗工液Aのポリビニルアルコールに代えて、アクリル樹脂系エマルション型接着剤(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)を使用した。
〔比較例7〕
実施例3と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において塗工液Cに硼砂を含有しなかったところ、第2塗工層がひび割れて塗工できなかった。
〔比較例8〕
実施例2と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層上に8%硼砂水溶液を塗布することなく、第2塗工層上のみに8%硼砂水溶液を塗布した。
〔比較例9〕
実施例3と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層を水溶液で湿潤させてから、鏡面ドラムに圧着及び乾燥させなかった。
評価方法
得られたインクジェット記録体のインク吸収性、光沢、画質、塗膜の折り割れおよび断裁時の紙粉の発生量を下記に示す方法で評価した。尚、評価には染料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−G820、印字モード:EPSON写真用紙 きれいモード)を使用した。評価結果を表1に示す。
(1)インク吸収性(印字斑)
供試された記録体にグリーン色インクをベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の4段階に評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題がない。
×:印字斑が見られ、実用性が低い。
(2)記録画像の色濃度
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Macbeth RD−920、マクベス社製)にて測定した。
(3)光沢
供試された記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像を、記録体表面に対して傾斜している角度から目視し、下記の4段階に評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
○:銀塩写真より若干劣るが、充分な光沢感がある。
△:光沢紙としては、光沢感が足りない。
×:光沢はほとんどなく、マットに近いレベル。
(4)塗膜の折り割れ
供試された記録体(A4サイズ)を直径が12cmの円筒に丸めて入れた後、これを取り出して塗膜の表面に見られる横割れを目視で判定した。
○:塗膜に折り割れなし。
×:塗膜に折り割れが見られる。
(5)断裁時の紙粉の発生量
供試された記録体(A4サイズ)を20枚重ねてカッターで断裁し、発生した紙粉の量を目視で判定して下記の3段階に評価した。
◎:紙粉はほとんど発生しない。
○:紙粉は少し発生するが、使用上問題とならないレベル。
×:記録体の端面の塗膜がはがれ落ち、多くの紙粉が発生する。
(6)画像の経時にじみ
供試された記録体(L版サイズ)3枚に画像を印字後、直ぐにそれらを重ねてビニール袋に入れ、1日後に取り出して画像のにじみを目視で判定して下記の3段階に評価した。
○:画像のにじみがほとんどない
△:にじみが少しある。
×:にじみが大きく、画像がぼやける。
Figure 0004506731
表1から、第1塗工層に細孔容積が0.5ml/g以下である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分として含有し、第2塗工層には細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分として含有し、第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、第2塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られる実施例のインクジェット記録体は、高い光沢と断裁時の紙粉発生の抑制を両立することができ、他のいずれの評価項目についても良好な結果であった。
また、第2塗工層上に第3塗工層をニップキャスト法(ニップ部で塗工層を形成する方法)により設けても、上記の結果と同様にいずれの評価項目についても良好であった。
一方、前記平均粒子径や細孔容積とは異なる無機顔料を含有する、比較例のインクジェット記録体はいずれかの評価項目に劣るものであった。また、前記バインダーと異なるものを使用したり、第1及び第2塗工層に架橋性化合物を含まなかったり、キャストによる仕上げを行わなかった比較例のインクジェット記録体は、良好な光沢と紙粉発生の抑制を両立することができなかった。
また、画像の経時にじみも非透気性基材のインクジェット記録体に比べて良好であった。
したがって、本発明によれば画像の経時にじみが改善され、塗膜の折り割れがなく、かつカッター断裁時の紙粉の発生が少なく、光沢及び平滑性に優れたインクジェット記録体となる。

Claims (5)

  1. 透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得られるインクジェット記録体。
  2. 透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層が、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下であり、単分散コロイダルシリカ、湿式法シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である平均粒子径が1.5μm以下の無機顔料とエマルション型接着剤を主成分とし、前記第1塗工層上の第2塗工層が、BETによる細孔容積が0.8ml/g以上である平均粒子径が0.7μm以下の無機微細顔料とポリビニルアルコールを主成分とし、前記第1塗工層にポリビニルアルコールを実質的に含有せず、且つ第1及び第2塗工層中にポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物を含有し、更に、前記第2塗工層上に第3塗工層を有し、前記第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られるインクジェット記録体。
  3. 第3塗工層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、湿式法ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする請求項2に記載のインクジェット記録体
  4. 第1塗工層に含有するエマルション型接着剤が、アクリル系、アクリルシリコーン系、アクリルエポキシ系、アクリルスチレン系、アクリルウレタン系、酢酸ビニル系から選ばれる少なくとも一種のエマルション型接着剤である請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
  5. 第2塗工層に含有するBETによる細孔容積が0.8ml/g以上の無機微細顔料が、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均2次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物のいずれかである請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
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