JP2006103210A - インクジェット記録体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低透気性または非透気性の支持体を使用して、銀塩写真並に白紙光沢や面質が良好で、かつ、白紙部の耐擦過性に優れ、顔料インクの定着性に優れたインクジェット記録体を提供することにある。
【解決手段】低透気性若しくは非透気性の支持体上に、又は該支持体上に形成された溶媒吸収層上に、インク受容層、光沢層を順次形成するインクジェット記録体の製造方法において、光沢層は、カチオン性微細顔料およびカチオン性エマルジョン型接着剤を含有する光沢層用塗工液を塗布し、その塗工液層面が光沢ロールに接するように光沢ロールとプレスロールによりプレスすることを特徴とするインクジェット記録体の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録体の製造方法に関し、特に、樹脂被覆紙や樹脂フィルムを支持体として使用したインクジェット記録体の製造方法に関する。
水性インクを微細なノズルから噴出して記録体に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること、また、他の印刷装置より安価であること等の理由から、端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及や高精細化・高速化、さらにはデジタルカメラの登場により、インクジェット記録方式において用いられる記録体にも高度な特性が要望されるようになっている。すなわち、速いインク吸収性、高い記録濃度、優れた耐水性や保存性等の記録特性、特に、銀塩写真に匹敵する画質、表面光沢および保存性を兼ね備えたインクジェット記録体の実現が強く求められている。
一方、記録画像の保存性を達成するために、プリンタ装置側から、染料インクに代わり、顔料インクを用いたインクジェットプリンタが商品化されている。顔料インクの場合、染料インクでは、生じなかった耐擦過性や顔料インクの定着性などが充分なものが得られず、顔料インクタイプのインクジェットプリンタに適した記録体の開発が要求されている。
一般に、インクジェット記録体に光沢を付与する方法としては、スーパーカレンダー等の装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することによって塗工層表面を平滑化する方法(カレンダー仕上げ)が知られている。しかし、カレンダー仕上げにより得られる記録体は、光沢度が不十分であるうえに、塗工層の空隙が減少してしまうため、インク吸収性が低下し、結果として印字のにじみを生じやすくなるという問題を有している。
このようなカレンダー仕上げの他に、光沢度を向上させるために、光沢を有する平滑なプラスティックフィルムまたは樹脂被覆紙(例えばポリエチレンラミネート紙)の表面に、澱粉、ゼラチン、水溶性セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、変性ポリウレタン等のインク吸収性樹脂によるインク受容層を設ける方法も数多く提案されている。しかし、このような方法で得られる記録体は、ある程度の光沢度は得られるものの、インク吸収性は十分でなく、インクの乾燥も遅いために、ハンドリングが悪く、インクの吸収ムラが発生しやすく、耐水性も劣るという問題がある。
例えば、特許文献1〜5においては、平均粒子径の小さなコロイダルシリカなどの超微粒子顔料を主成分とした塗工層を設ける方法が提案されている。しかしながら、これらの方法により得られる記録体は、ある程度の光沢は有しているものの、超微粒子顔料を使用しているために、塗工層に十分な空隙が形成されず、依然として、満足できるインク吸収性は得られなかった。
また、特許文献4では、支持体に近い方から、一次粒子の平均粒径が50nm以下の気相法による合成シリカを含有する層及びコロイダルシリカを含有する層を少なくとも有するインクジェット記録用シートが提案されている。しかしながら、光沢性は向上するが、コロイダルシリカのような一次粒子体は空隙率が低くなるため、インク吸収性が低下しやすい。インク吸収性を持たせるために塗工量を低下させると、干渉縞を生じて光沢面の品質が低下したり、十分な光沢性が得られない。
また、特許文献5では、支持体上に、該支持体に近い側から、一次粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法による合成シリカを含有する層とカチオン性コロイド粒子を含有する層とを少なくとも有するインクジェット記録用シートが提案されている。カチオン性コロイド粒子を用いることにより、印画後の画像の経時による滲み及び耐水性が改善されるものの、特許文献4と同様に、インク吸収性が低下する問題がある。つまり、特許文献1〜5等には、インク吸収速度をなるべく低下させずに光沢性を向上するための方法については何ら記載されていない。
その他の光沢を付与する方法として、鏡面を有する加熱した光沢ロールに湿潤塗工層を圧着させ、乾燥することにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、いわゆるキャスト塗工法が知られている(例えば、特許文献6及び7参照)。
キャスト塗工法としては、
(1)顔料および接着剤を主成分とする顔料組成物を原紙上に塗工後、塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱光沢ロールに圧接、乾燥させて光沢仕上げするウェットキャスト法、
(2)湿潤状態の塗工層を酸や塩、熱によりゲル状態とし、これを加熱光沢ロールに圧接、乾燥させて光沢仕上げするゲル化キャスト法、
(3)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥した後、これを再湿潤液で湿潤可塑化し、これを加熱光沢ロールに圧接、乾燥させて光沢仕上げするリウェットキャスト法等のキャスト法が、一般に知られている。
これらのキャスト塗工法は、当業者間では、それぞれ別個の技術として認知されているものではあるが、いずれも湿潤可塑化状態にある塗工層表面を、加熱された光沢ロール(例えばキャストドラム)に圧接、乾燥し、光沢ロールから離型して鏡面を写し取る点においては、共通するものである。
このようなキャスト塗工法により得られるキャスト塗工紙は、カレンダー仕上げされた通常の記録体に比較して、高い表面光沢と優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られることから高級印刷物等の用途に専ら利用されている。しかしながら、これらのキャスト塗工紙は、インクジェット記録体に利用する場合には、種々の難点を抱えている。
例えば、上述のようなキャスト塗工紙は、例えば特許文献6に開示されているように、その塗工層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物質が、キャストコーターの光沢ロール表面を写し取ることにより高い光沢を得ているものであり、この成膜性物質の存在によって塗工層の多孔性が失われ、インクジェット記録時のインク吸収性が極端に低下してしまう。
そこで、キャスト塗工紙のインク吸収性を改善するために、塗工層を多孔質にすることが重要である。
しかしその一方で、銀塩写真並の高画質を得るためには、インクジェットプリンターの微細なノズルから噴出されたインクをひび割れなく再現できるように、塗工層は均一な膜が形成されていることが必要であるが、塗工層を多孔質にすると、塗工層を均一な膜に形成することが困難となる。
つまり、従来のキャスト塗工法では、ひび割れのない均一な膜と多孔質とを両立させることは、きわめて困難なことであった。
また、キャスト塗工紙においては、湿潤した塗料を光沢ロールに接触させて乾燥するため、塗料中の水分が蒸気となって裏面に抜けることが必要である。そのため、樹脂被覆紙やフィルムのような、著しく透気性の低い支持体を使用すると、蒸気が塗工層内部に滞留する。蒸気の体積は、蒸発前の水の体積と比較し、非常に大きいため、逃げ場のなくなった蒸気は支持体を持ち上げる。そのときに、塗工層の最も弱い部分が破壊される。例えば、加熱した鏡面仕上げの光沢ロールに対する塗料の接着が弱い場合は、塗工層と光沢ロールの界面で剥離し、光沢ロールの鏡面を十分に写し取ることができず、いわゆる密着不良という現象を引き起こす。一方、光沢ロールと塗料との接着力より未乾燥の塗工層の方が弱い場合は、塗工層内部で破断するため、塗工層の一部が光沢ロールの表面に残り、光沢ロール汚れを引き起こす。どちらの場合も美しいキャスト面を形成することが不可能であり、品質上、操業上のトラブルとなる。したがって、樹脂被覆紙やフィルムのような、低透気性又は非透気性の支持体を使用してキャスト塗工紙を得ることには非常に大きな困難が伴うものである。
さらに、紙を支持体に用いたキャスト塗工紙に、インクジェット記録すると、印字した際に、インク中に含まれる水分等の溶媒の影響で記録体が伸びて波打つ、いわゆるコックリングという欠陥が観察されることが知られている。コックリングは、印字物の外観を損なうのみならず、コックリングした記録体と記録ヘッドが接触して記録体を汚したり、甚だしい場合は記録体が破れ、または記録ヘッドの故障を引き起こす場合がある。コックリングを抑えるには、インク中の溶媒により伸びたりしない支持体を使用するか、インク受容層と支持体の間に、インク中の溶媒を通さない層を設けることが効果的である。例えば、支持体として、樹脂被覆紙やフィルム等の低透気性又は非透気性の支持体を用いると、コックリングは効果的に抑えられる。しかしながら、上述したように、低透気性又は非透気性の支持体を使用してキャスト塗工紙を得ることには非常に大きな困難が伴う。
本発明者は、上記の問題を解決する方法として、特許文献8で提案したように、低透気性又は非透気性の支持体上に、顔料と接着剤を有するインク受容層を形成し、次いで、微細顔料と離型剤を有する光沢層を形成するインクジェット記録体において、微細顔料を有する光沢層用塗工液層を設ける工程、該光沢層用塗工液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程、および該光沢層用塗工液層を乾燥する工程を含む光沢化手段で光沢層を形成する方法で光沢を付与することが可能となった。
しかしながら、顔料インクタイプのインクジェットプリンタで記録を行った場合、顔料インクの定着性と耐擦過性が劣るという問題があった。
特開平2−274587号公報(第1,5及び6頁) 特開平8−67064号公報(第2,7及び8頁) 特開平8−118790号公報(第2,5及び6頁) 特開2000−37944号公報(第2,5及び6頁) 特開2001−353957号公報(第2,13及び14頁) 米国特許第5275846号明細書(カラム9,18〜20) 特開平7−89220号公報(第2,7〜10頁) 国際公開番号WO03/039881
本発明の課題は、低透気性または非透気性の支持体を使用して、銀塩写真並に白紙光沢や面質が良好で、かつ、白紙部の耐擦過性に優れ、顔料インクの定着性に優れたインクジェット記録体を提供することにある。
(1)低透気性若しくは非透気性の支持体上に、又は該支持体上に形成された溶媒吸収層上に、インク受容層、光沢層を順次形成するインクジェット記録体の製造方法において、光沢層は、カチオン性微細顔料およびカチオン性エマルジョン型接着剤を含有する光沢層用塗工液を塗布し、その塗工液層面が光沢ロールに接するように光沢ロールとプレスロールによりプレスすることを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
プレスした後、塗工液層面が光沢ロールに接しない状態で乾燥することが好ましい。
(2)カチオン性微細顔料が、平均一次粒子径3〜100nmのカチオン化コロイダルシリカ、平均一次粒子径3〜100nm、且つ平均二次粒子径が1μm以下のカチオン化気相法シリカ、及び、平均一次粒子径3〜100nm、且つ平均二次粒子径が1μm以下の気相法アルミナから選ばれる少なくとも一種である(1)記載のインクジェット記録体の製造方法。
(3)カチオン性エマルジョン型接着剤の最低造膜温度が20〜110℃である(1)又は(2)記載のインクジェット記録体の製造方法。
(4)カチオン性エマルジョン型接着剤の粒子径が5nm〜1000nmである(1)〜(3)のいずれか一項に記載のインクジェット記録体の製造方法。
(5)カチオン性エマルジョン型接着剤が、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(共)重合体、メラミン系樹脂、尿素系樹脂又はオレフィン系樹脂の中から選択される1種または2種以上の共重合体の材料から選択される(1)〜(4)のいずれか一項に記載のインクジェット記録体の製造方法。
(6)前記光沢層において、該離型剤が下記一般式で表わされる離型剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一に記載のインクジェット記録体の製造方法。
−N (一般式)
〔式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、R、R、RはそれぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
(7)前記光沢層の塗工量が0.01〜3g/mである(1)〜(6)のいずれか一に記載のインクジェット記録体の製造方法。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製造方法で製造したインクジェット記録体。
本発明のインクジェット記録体は、銀塩写真並に白紙光沢や面質が良好で、印字濃度に優れ、かつ、白紙部の耐擦過性に優れ、顔料インクの定着性に優れたものである。
(支持体について)
本発明において、低透気性又は非透気性の支持体とは、透気度が好ましくは500秒以上、より好ましくは1000秒以上であるような支持体を意味する。透気性は、一般に、紙や不織布などの多孔性を評価する項目として知られている透気度によって表される。透気度は、空気100mlが面積645mmの試験片を通過するのに要する時間で表され、JIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)に規定されている。
前述のとおり、従来、キャスト塗工においては、キャスト塗工層の乾燥時、塗料の水分は蒸気となり、支持体を通って裏面に抜けるため、キャスト塗工に用いられる支持体の透気度は高い方が好ましかった。しかし、本発明においては、透気度に拘る必要はない。逆に、コックリングを抑えるためには、支持体は、水分や水蒸気を通さないことが好ましい。したがって、本発明で用いられる支持体は、平滑な表面を持つ低透気性又は非透気性のものであれば、特に材質は問わない。
好ましい支持体としては、例えば、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した、ユポ(ユポ・コーポレーション社製)に代表される合成紙や、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル(例えばPET)等のフィルムや、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの樹脂で、紙などの基材表面を被覆した樹脂被覆紙が挙げられる。中でも合成紙や樹脂被覆紙が好ましく、特に、酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂で紙表面を被覆した樹脂被覆紙は、仕上がった外観が写真印画紙と同等であるため、特に好ましく用いられる。
合成紙は、通常、炭酸カルシウムなどの無機顔料を含有するポリプロピレン樹脂を押出し、二軸延伸することにより内部等に空隙を形成して得られる。中でも複数層からなる積層シートであることが好ましく、特に、インク受容層を形成する面には、凹凸のないスキン層を有する合成紙の使用が好ましい。例えば、商品名GWGシリーズ、GFGシリーズとして市販されている。
支持体が樹脂被覆紙の場合、樹脂層の厚みに特に制限はないが、例えばポリエチレン樹脂を被覆した樹脂被覆紙の場合、ポリエチレン樹脂層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。ポリエチレン樹脂層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆時にポリエチレン樹脂層に穴等の欠陥が生じやすくなり、厚みのコントロールに困難がある場合が多くなり、平滑性も得にくくなる。逆に50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。
支持体の表面には、塗工適性を改善するために、或いは帯電性を改善するために、アンカー層、プライマー層、帯電防止層などの各種の層を形成していても構わない。
また、樹脂被覆紙の基材として紙を用いる場合、紙基材としては、木材パルプを主材料として製造されたものが好ましく用いられる。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P 8121)程度が好ましい範囲である。またいわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、木材パルプに顔料を添加することができる。顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があり、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
(溶媒吸収層について)
本発明は、支持体上にインク受容層を形成してもよいが、支持体とインク受容層の間にインク吸収性を高めるために溶媒吸収層を形成してもよく、また形成することが好ましい。支持体上に形成する溶媒吸収層は、インク中の溶媒をいち早く吸収し保持する役割を有する層であり、顔料とバインダーを含有する層である。
顔料としては、公知の各種顔料が使用できる。例えば、シリカ、コロイダルシリカ、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙分野などで公知公用の各種顔料を1種若しくは2種以上使用することができる。これらの中でも、インク吸収性の高い湿式法シリカ、気相法シリカ、アルミナ、ゼオライトが好ましく、特に、湿式法シリカを用いることが好ましい。
湿式法シリカは、二酸化珪素(SiO)、主として珪砂を原料として製造され、ゲル法、沈降法がその代表的な製造方法である。
ゲル法の非晶質シリカは、例えば、高純度珪砂を原料としたケイ酸ソーダと硫酸を混合し珪酸ゾルを生成する。ケイ酸ゾルは次第に重合し、一次粒子を形成し、さらに三次元的に凝集体を形成し、ゲル化する。このシリカをミクロンサイズにし微粉化する。即ち、ゲル法では酸性サイドで反応重合させ、ゲル状(シャーベット状)になるまで静置し、水洗して乾燥してゲル法の非晶質シリカを得る。沈降法の非晶質シリカは、アルカリサイドで反応重合させ、そのまま沈降させて乾燥して得る。ゲル法シリカは、一次粒子間の細孔径が小さく、沈降法シリカは大きい。
本発明においては、インク吸収性および印字後の耐熱湿性において、特にゲル法シリカが好ましい。この理由は必ずしも定かではないが、インク中の溶媒を染料と素早く分離し、細孔の溶媒保持能力が高いためと思われる。シリカ粒子の平均細孔径には、特に限定はないが、例えば20nm以下であり、好ましくは15nm以下である。光沢性や印字濃度の点では、ゲル法シリカの平均粒子径は、1μm以下が好ましく、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下である。
バインダーとしては、特に限定するものではなく、水溶性バインダー、例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体等、或いは水分散性樹脂、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス等、一般に塗工紙分野で公知公用の各種接着剤が挙げられる。これらの中でも、インク溶媒の吸収性、塗膜耐水性付与のため、ポリビニルアルコールが好ましく使用される。さらに成膜性とインク吸収性のバランスから重合度2000以上、鹸化度95%以上が好ましく、さらに好ましくは重合度4000以上、鹸化度98%以上である。また、必要に応じて他のバインダーを併用することもできる。
溶媒吸収層のバインダーの配合量は、無機顔料100質量部に対して20質量部以下、好ましくは7質量部以上18質量部以下、更に好ましくは8質量部以上15質量部以下である。バインダー量が過多であると、顔料間に形成される細孔が小さくなり、高いインク吸収速度が得られにくくなることがあり、また少なすぎると、溶媒吸収層にひび割れが生ずることがある。
溶媒吸収層の塗工量は、3〜100g/m程度、より好ましくは3〜50g/m程度である。塗工方法は公知の塗工手段が採用でき、塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーターなど、公知の各種塗工装置が挙げられる。なお、溶媒吸収層は複数層積層しても構わない。
(インク受容層について)
インク受容層は、支持体上に、或いは溶媒吸収層上に形成される。インク受容層は、顔料と接着剤を含み、さらに、必要に応じて、カチオン性化合物を含む層であり、インク中の染料や顔料の色材を固定する役割を主に有する層である。
インク受容層は一層であっても多層であってもよい。インク受容層が多層の場合、用いる顔料や接着剤は各インク受容層毎に変えることができる。このとき、例えばインク受容層が二層構造の場合、光沢層と接するインク受容層(第1層)では、光沢度を高くするために非常に微細な顔料を用い、支持体又は溶媒吸収層と接するインク受容層(第2層)にインク受容層(第1層)よりも大きな粒子径の顔料を用いると、第1層のインク吸収性が低くても、第2層のインク吸収性を高くなるので、光沢度とインク吸収性を共に維持又は向上させることができる。
インク受容層に使用される顔料としては、平均粒子径1μm以下、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下の無機顔料であり、溶媒吸収層で使用する顔料の粒子径と同等か、より細かいほうが好ましい。平均粒子径が1μm以下であれば、細孔直径分布曲線における極大値が100nm以下とすることができるので、ひび割れのない塗工層が得られやすく、ドット再現性、インク吸収性が良好で、かつ、インク受容層の透明性が向上するので、記録濃度も高い。
本発明でいう、平均粒子径(平均二次粒子径)とは、5%シリカ分散液をホモミキサーにて5000rpm30分撹拌分散した直後に分散液を塗工してサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
また、顔料の比表面積は、特に限定されないが、150m/g以上であることが好ましい。ここで、顔料の比表面積とは、微細顔料を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の窒素吸脱着等温線をCoulter社製のSA3100型を用いて、200℃で2時間真空脱気した後測定し、比表面積をt法により算出したものである。比表面積は、微細顔料の質量あたりの表面積であり、その値が大きいほど一次粒子が小さく、二次粒子の形状が複雑になりやすく、細孔内の容量が大きくなり、インク吸収性が向上すると考えられる。
無機顔料としては、例えば、コロイダルシリカ、無定形シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン等の透明または白色顔料が例示され、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
中でも、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物、アルミナ酸化物、およびアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。このなかで、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用される。アルミナ酸化物の中では気相法(フュームド)アルミナ酸化物が好ましい。特に好ましいのは、気相法シリカである。
一般的に合成シリカは、原料に金属イオンなどの不純物が存在し、また製造工程においても不純物が混入される。不純物を多く含有する合成シリカは、屈折率が大きくなり透明性に劣る。
気相法シリカは、原料となる四塩化珪素の純度を蒸留により比較的高くすることができ、さらにクローズドシステムにより四塩化珪素を気相中で燃焼加水分解して製造可能なため、製造工程においても不純物の混入を防ぐことが可能である。このような純度の高い気相法シリカを含有すると高印字濃度、高光沢を得ることが可能である。また,気相法シリカは高分散性を有し、公知の分散方法を用いることにより100〜800nm程度の平均粒子径のシリカを得る事が可能である。
メソポーラスシリカとは、1.5〜100nmに平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m/gが好ましく、細孔容積としては0.5〜4cc/gが好ましい。
メソポーラスシリカの合成方法は、特に限定されないが、米国特許第3556725号明細書に記載されている、シリカのアルコキシドをシリカ源として、長鎖のアルキルを含む4級アンモニウム塩をテンプレートとした合成方法、特表平5−503499号公報等に記載されているアモルファスシリカ粉末やアルカリシリケート水溶液をシリカ源として、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスホニウム塩をテンプレートとする水熱合成法、特開平4−238810号公報等に記載されているシリカ源としてカネマイト等の層状ケイ酸塩を、長鎖のアルキルアンモニウムカチオン等をテンプレートとしてイオン交換法により合成する方法、更にドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン、ノニオン系界面活性剤等をテンプレートとして、シリカ源として水ガラス等をイオン交換した活性シリカを用いて合成する方法などである。ナノポーラスシリカ前駆体からのテンプレートの除去方法としては高温で焼成する方法、有機溶媒で抽出する方法が挙げられる。
活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物とは、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体であり、例えば特開平2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
アルミナ酸化物とは、一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。具体的には、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナ酸化物が好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ酸化物(フュームドアルミナ)が最も好ましい。
気相法アルミナ酸化物とは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の1次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナ酸化物は、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナ酸化物の使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
アルミナ水和物とは、特に限定するものではないが、インク吸収速度や成膜性の観点からベーマイトか擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報など)などが挙げられる。
シリカやアルミナは、より高印字濃度、高光沢を得るために平均粒子径が1μm以下、好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下に調節される。なお、平均1次粒子径としては3〜50nm程度、より好ましくは5〜40nmのものである。
平均粒子径500nm以下の超微粒子は、市販の顔料を機械的手段により粉砕、分散することにより得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。また、シリカは、カチオン性化合物で処理されたカチオン性化合物−シリカの複合粒子であってもよく、またこの複合粒子が好ましい。
インク受容層に使用される接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの水溶性樹脂や、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどの水分散性樹脂から適宜選択して使用することができる。なかでも、塗膜強度に優れていることから、ポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールを用いる場合、重合度は3000〜8000のものが好ましく、3500〜5000のものがより好ましく用いられる。重合度が上記範囲内のポリビニルアルコールを用いることにより、インク受容層のひび割れを少なくすることができ、しかもインクの溶剤による膨潤も少ないため、インク吸収速度の低下が少ない。また、ポリビニルアルコールのケン化度の好ましい範囲は90〜100%であり、より好ましくは95〜100%である。ケン化度が90%を下まわると、インクの溶剤によるポリビニルアルコールの膨潤により、インク吸収速度の低下のおそれがある。
接着剤の含有量としては、顔料100質量部に対し、好ましくは、3〜100質量部、より好ましくは5〜30質量部程度が好ましい。接着剤が3質量部より少ないとインク受容層にひび割れが生じやすく、100質量部より多いと、顔料により形成される細孔を接着剤が塞ぎ、インク吸収容量の低下を招いてしまう可能性がある。
インク受容層には、必要に応じて、後述する光沢層と同様、インク中の染料を固着し、耐水性を付与し、記録濃度を向上させるために、カチオン性化合物を添加することができる。例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO2重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性化合物等が例示できる。
カチオン性化合物は、インク受容層だけでなく、前述の溶媒吸収層にも含有させることもできるが、好ましい形態は、溶媒吸収層にはカチオン性化合物を実質的に含有せず、インク受容層にはカチオン性化合物を含有せしめる構成である。
インクの色材成分は通常、アニオン性であるため、カチオン性化合物の有する層に定着されやすい。前述の通り、支持体に近い溶媒吸収層はインク中の溶媒成分を吸収し保持する役割を、また、印刷面側であるインク受容層はインク中の色材を保持する役割を想定しており、インク受容層に効率よく色材を保持させることが、高印字濃度を得るために有利である。なお、溶媒吸収層にはカチオン性化合物が実質的に含有せずとは、カチオン性界面活性剤等を助剤的に微量添加すること、また溶媒吸収層とインク受容層との界面に補助的に分布させることは除外される。
カチオン性化合物と顔料を配合する際、前記顔料に混合すれば良いが、特に顔料が微細シリカの場合は、微細シリカは一般にアニオン性であり、混合の際に微細シリカ粒子の凝集が起こる場合がある。この場合、一般的に市販されている非晶質シリカ(数ミクロンの2次粒子径を有する)を機械的手段により強い力を与えて微細粒子に粉砕する際、粉砕処理前の非晶質シリカにカチオン性物質を一緒に混合分散してから機械的手段により分散・粉砕するか、あるいは微細化したシリカ2次粒子分散体にカチオン性物質を混合し、一旦増粘・凝集させた後、再度機械分散・粉砕する方法等をとることにより、前記特定の粒子径に調整することができる。このようにして処理した顔料はカチオン性物質が一部結合した構造をとり、安定して分散したスラリーとなっているためか、更に別途カチオン性化合物を追加配合しても凝集し難いという特徴を有する。本発明では、このようなカチオン性物質で処理した微細顔料をカチオン性微細顔料という。
前記顔料と前記カチオン性物質の混合物、もしくは凝集物を分散あるいは粉砕するには、前述の機械的手法が用いられる。平均2次粒子径が1000nmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均2次粒子径を1000nm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
本発明において圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中、高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×106〜343.2×106Pa(200〜3500kgf/cm2)、より好ましくは49.0×106〜245.3×106Pa(500〜2500kgf/cm2)、さらに好ましくは、98.1×106〜196.2×106Pa(1000〜2000kgf/cm2)である。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。さらに高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散、或いは粉砕方式を用いることがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐してさらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。このようにして処理されたカチオン性微細顔料は、一般に固形分濃度が5〜20質量%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒子)として得られる。
カチオン性微細顔料に使用するカチオン性物質としては、特に限定するものではなく、前述のものが適宜使用できる。中でも、好ましいカチオン性物質としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体の塩酸塩、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体および5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが、発色性に優れ、にじみが少なく、優れた画像が得られるので好ましい。
前記顔料と前記カチオン性化合物の配合比は、質量比で顔料100質量部に対してカチオン性化合物が1〜30質量部であることが好ましく、さらに好ましくは、3〜20質量部である。カチオン性化合物が1質量部より少ないと、印字濃度向上の効果が得られにくく、30質量部より多いと、余分なカチオン性化合物が空隙を塞いでしまい、インク吸収性が阻害され、画像のにじみやムラが発生するおそれもある。
インク受容層は、吸収性をもたせるために極力バインダー成分を抑えた方が好ましく、そのような塗膜は塗工の際にひび割れを生じやすい。その場合は、例えば、塗料を乾燥初期に増粘またはゲル化させることで乾燥時の熱風による塗工層のひび割れを防ぐことができる。
塗布された塗工液を増粘またはゲル化させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、塗工液に配合した親水性バインダーと架橋反応可能な架橋剤を用いて増粘またはゲル化させる方法、電子線などのエネルギーを供給することにより増粘またはゲル化させる方法、親水性バインダーとして、温度条件によって親水性と疎水性を示す感温性高分子化合物を用い、温度変化させることにより増粘またはゲル化させる方法などが挙げられる。
例えば、インク受容層に配合した親水性バインダーと架橋反応可能な架橋剤を用いて増粘またはゲル化させる方法としては、前記例示した親水性バインダーと、該親水性バインダーを架橋反応可能な架橋剤を組み合わせて使用する。架橋剤を溶媒吸収層に塗布・含浸させておき、インク受容層塗工液を塗布する、インク受容層塗工液に架橋剤を配合せしめておき塗布する、インク受容層塗工液を塗布後、架橋剤を塗布する方法などにより製造するとよいが、架橋剤を予め塗布しておくことが、増粘またはゲル化が均一なインク受容層が得られるため、好ましい。
架橋剤としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素化合物は、ポリビニルアルコールと組み合わせた場合、増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及び親水性バインダーの種類にもよるが、基材の片面に0.01〜1.5g/m含有されるのが好ましい。1.5g/mより多いと親水性バインダーとの架橋密度が高くなり、塗膜が硬くなって折り割れしやすくなる。また、0.01g/mより少ないと親水性バインダーとの架橋が弱く、塗料のゲル化も弱くなって塗膜がひび割れやすくなる。
電子線などのエネルギーを供給することにより増粘またはゲル化させる方法としては、インク受容層のバインダーとして、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーを用い、前記無機顔料100質量部に対して、親水性バインダー1〜100質量部の割合で含有する塗工液を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布された塗工液をハイドロゲル化させた後、乾燥してインク受容層を形成するとよい。
ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの共重合体などが例示でき、これらを単独使用、或いは併用するとよい。電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は50〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は1〜200kGy程度の範囲で調節するのが好ましい。1kGy未満では塗工層をゲル化させるのに不十分であり、200kGyを越えるような照射は基材や塗工層の劣化や変色をもたらす恐れがあるため好ましくない。
親水性バインダーとして、温度条件によって親水性と疎水性を示す感温性高分子化合物を用い、温度変化させることにより増粘またはゲル化させる方法としては、バインダーとして、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物を用いるとよい。この感温性高分子化合物を用いた場合、感温点以上の温度で塗工を行い、感温点以下に冷却することにより、塗工した層が増粘またはゲル化され、その後乾燥して記録層を形成するとよい。このような感温性高分子化合物としては、特開2003−40916号公報に開示されている、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物が例示できる。
インク受容層は、溶媒中に、上述のような顔料等の成分を分散させた塗工液を溶媒吸収層上に塗工し、乾燥させることによって形成される。塗工液の溶媒としては、特に限定はないが、塗工適性などの理由で、水が好ましい。
塗工する手段としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーターなど、公知の各種塗工装置が挙げられる。特に、エアナイフコーターは、幅広い塗料物性、塗工量に対応可能なため、好適に用いられる。また、ダイコーターやカーテンコーターは、塗工量の均一性に優れるため、特に高精細な記録を目的とする光沢タイプのインクジェット記録体に適しており、好ましい塗工方法である。
乾燥する手段としては、特に限定はないが、従来から公知公用の熱風乾燥、ガスヒータ乾燥、高周波乾燥、電気ヒータ乾燥、赤外線ヒータ乾燥、レーザ乾燥、電子線乾燥等の各種加熱乾燥方式が適宜採用される。
インク受容層は、複数層積層してもよい。この場合、同一の配合塗工液であっても、異なった配合の塗工液であっても構わない。塗工量の合計は、3〜100g/mが好ましく、3〜80g/mがより好ましく、3〜50g/mが更に好ましい。塗工量が3g/m未満の場合、光沢層が十分に形成できない可能性があるのみならず、インク吸収性が低下し、記録適性が劣る場合があり、塗工量が100g/mを超えると、塗工層の強度が低下し、記録用紙の断裁加工時や、プリンタでの記録体の搬送時に、トラブルを起こしやすくなるおそれがある。
インク受容層用の塗工液には、光沢層と同様、記録体表面を光沢ロールからスムーズに安定して剥離するように、必要に応じて離型剤を添加することができる。離型剤については後述するが、光沢層に添加できるものがそのまま例示できる。また、光沢層とインク受容層では、異なる種類の離型剤を適宜選択でき、更に、複数の離型剤を併用することも可能である。
また、インク受容層用の塗工液には、上記のほかにも、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
(光沢層について)
光沢層は、カチオン性微細顔料およびカチオン性エマルジョン型接着剤を含有する光沢層用塗工液層を塗布し、その塗工液層面が光沢ロールに接するように光沢ロールとプレスロールでプレスして形成する。塗工液層面は、プレス後の乾燥工程で乾燥して層を形成するとよい。微細顔料がプレスされることにより、インク受容層表面の微細な凹凸を平滑化することで、高光沢な記録体となる。また、微細な粒子構造を有する接着剤がともに存在することで、表面強度が向上し、耐擦過性に優れた記録体となる。更に、光沢ロールに接するようにプレスするので、表面が平滑化して高光沢な記録体となる。
カチオン性微細顔料としては、カチオン化コロイダルシリカ、カチオン化気相法シリカ、気相法アルミナ等の透明または白色顔料が例示される。なお、カチオン化気相法シリカとは、インク受容層で例示したカチオン性微細顔料のうち、顔料として気相法シリカを用いたものをいう。
カチオン化コロイダルシリカを使用すると、光沢性が向上する。カチオン化コロイダルシリカは、平均一次粒子径3〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましい。さらに好ましくは20〜70nmである。平均粒子径が3nm未満の場合は、インク吸収性が低下する場合があり、平均粒子径が100nmを超えると、透明性が低下するため、印字濃度が低下する傾向がある。
カチオン化気相法シリカまたは気相法アルミナを使用する場合、好ましくは平均一次粒子径3〜100nm、より好ましくは3〜40nmのものを用いる。また、カチオン化気相法シリカまたは気相法アルミナは、好ましくは平均二次粒子径1μm以下、より好ましくは10〜700nmのものを用いる。
これらの中でも、平均一次粒子径3〜100nm、かつ平均二次粒子径が1μm以下のカチオン化気相法シリカ、平均一次粒子径3〜100nm、かつ平均二次粒子径が1μm以下の気相法アルミナから選ばれる少なくとも一種が、光沢層に含まれると、顔料インクの定着性が向上するので、特に好ましい。
(カチオン性接着剤)
カチオン性エマルジョン型接着剤としては、例えば、アミノ基のようなカチオン性官能基を有する水不溶性の熱可塑性樹脂の粒子であり、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(共)重合体、メラミン系樹脂、尿素系樹脂又はオレフィン系樹脂などが例示でき、これらを単独或いは併用して用いることができる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、ポリエーテル系ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(共)重合体、の中から選択される1種または2種以上の共重合体の材料が好ましい。
カチオン性エマルジョン型接着剤の粒子径は、特に限定しないが、5〜1000nm程度、好ましくは12〜500nm程度、より好ましくは20〜300nm程度である。粒子径が大きいと、透明度が低下するため、印字濃度が低下する場合があり、粒子径が小さいと、インク吸収性が低下する場合がある。
カチオン性エマルジョン型接着剤の最低造膜温度は、特に限定するものではないが、20〜110℃程度、好ましくは30〜100℃程度であることが好ましい。因みに、最低造膜温度が110℃より高いと成膜が弱いため、インクジェット記録体の表面強度が低下する場合がある。20℃よりも低いと接着剤の成膜が進みすぎるためインク吸収性が低下する場合がある。
カチオン性エマルジョン型接着剤の配合量は、微細顔料100質量部に対し、接着剤が、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部の範囲内であることが好ましい。
光沢層には、上記カチオン性エマルジョン型接着剤の効果を損なわない範囲で、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびその共重合物、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、変性グアーガム類、変性澱粉類等の多糖類を併用することができる。
本発明の光沢層は、カチオン性微細顔料およびカチオン性接着剤を含有する光沢層用塗工液をインク受容層上に塗工した光沢層用塗工液層を、加熱された光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスして形成する。この際の光沢ロールから剥離性を調節するために、離型剤を用いることが好ましい。
離型剤を使用する場合、光沢層用塗工液に含有させる方法のほかに、インク受容層用塗工液中に含有させる方法、光沢ロールに塗布する方法等があり、いずれも金属面からの離型性に優れるため好ましく適用でき、これらの方法を適宜組み合わせて採用することもできるが、その中でも、光沢層用塗工液に離型剤を含有させる方法は、少ない離型剤の使用量で効果が発現しやすく、特に好ましい。
離型剤としては、キャスト塗工紙の分野でしられている各種離型剤が使用できるが、下記式で示す離型剤を用いることが好ましい。
−N
〔式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、R、R、RはそれぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
具体例として、ステアリルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリエチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリブチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルブロマイド、ステアリルトリメチルフルオライド、ステアリルトリメチルアイオダイド、ステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルアンモニウムクロライド、オレイルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリエチルアンモニウムクロライド、オレイルトリブチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルブロマイド、オレイルトリメチルフルオライド、オレイルトリメチルアイオダイド、オレイルモノメチルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリエチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリブチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルブロマイド、ラウリルトリメチルフルオライド、ラウリルトリメチルアイオダイド、ラウリルモノメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルアンモニウムクロライド、パルミチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、スパルミチルトリエチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリブチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルブロマイド、パルミチルトリメチルフルオライド、パルミチルトリメチルアイオダイド、パルミチルモノメチルアンモニウムクロライド、パルミチルジメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリエチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリブチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルブロマイド、ミリスチルトリメチルフルオライド、ミリスチルトリメチルアイオダイド、ミリスチルモノメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
光沢層には、必要に応じて、インク受容層と同様、インク中の染料を固着し、耐水性を付与し、記録濃度を向上させるために、カチオン性化合物を添加することができる。
カチオン性化合物としては、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、第2、3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ポリビニルアミン類、ポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物、ジアリルアミン塩−二酸化イオウ共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミン(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等のカチオン性化合物、アクリロニトリルとN−ビニルアクリルアミジン塩酸重合体、及び、その加水分解物、ポリアミジン系樹脂、ポリオキシ塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化ジルコニウム等が挙げられ、単独または数種類を組み合わせて使用しても良い。
光沢層には、必要に応じて、保存性改良剤としてイオウ含有化合物を添加しても良い。イオウ含有化合物の中でも特に、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ブタン、2,2’−ジチオエタノールおよび3,3’−チオジプロピオン酸が好ましく、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタンがより好ましい。これらのイオウ含有化合物は、単独で配合されても、2種以上を混合して配合されてもよい。
光沢層を形成するための塗工液は、これらの成分を適当な分散媒に分散させることにより調製される。また、光沢層用塗工液には、上記のほかにも、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
光沢層は、インク吸収性を損なわないために、インク受容層上にごく薄く設ける必要がある。光沢層の固形分塗布量は、0.1〜10g/mの範囲が好ましく、0.2〜5g/mがより好ましく、0.5〜2g/mがさらに好ましい。塗工量が少ないと、塗膜が薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が多いと、インク吸収速度が著しく低下するおそれがある。
光沢層を得るための塗工装置としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーターなど、公知の各種塗工装置が挙げられる。また、光沢ロールとプレスロールのニップ部で、塗工液を塗工することもできる。
光沢層は、塗工液を塗布し、その液が湿潤状態にある間に、加熱された光沢ロールに接するように裏面側よりプレスロールでプレスし、光沢ロールから塗工液層を剥離し、乾燥して形成する。光沢ロールとしては、材種等特に限定するものではないが、クロムメッキされた鏡面ロール(例えばキャストドラム)が使用できる。
光沢ロールの表面温度は、乾燥条件等の操業性、インク受容層への密着性、光沢層表面の光沢性から、40〜110℃の範囲が好ましく、60〜100℃の範囲がより好ましい。光沢ロールの表面温度が、40℃未満の場合は、インクジェット記録体の表面強度が低下するおそれや、インク受容層の接着剤が軟化し難く、インク受容層への密着性が悪化したりする。110℃を超える場合は、インク受容層の接着剤の成膜が進みすぎるためインク吸収性が低下したり、光沢層用塗工液が沸騰し、光沢面が悪化するおそれがある。
一般に、光沢ロールを用いた光沢紙の製造方法としてはキャスト塗被紙がある。キャスト塗工紙の製造方法としては、(1)顔料および接着剤を主成分とする顔料組成物を原紙上に塗工後、塗工層が湿潤状態にある間に、鏡面仕上げの加熱された光沢ロール(鏡面ドラム)に圧接、乾燥させて光沢仕上げするウェットキャスト法、(2)湿潤状態の塗工層を酸や塩、熱によりゲル状態とし、これを鏡面仕上げの加熱された光沢ロール(鏡面ドラム)に圧接、乾燥させて光沢仕上げするゲル化キャスト法、(3)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥した後、これを再湿潤液で湿潤可塑化し、これを鏡面仕上げの加熱された光沢ロール(鏡面ドラム)に圧接、乾燥させて光沢仕上げするリウェットキャスト法等が知られている。
これらのキャスト塗工紙の製造方法においては、湿潤した塗料を光沢ロールに接触させて、接触させた状態で乾燥するため、塗料中の水分が蒸気となって裏面に抜けることになる。しかしながら、本発明では、低透気性又は非透気性である支持体を使用するので、発生した蒸気は逃げ場がなく、支持体と光沢ロールの間に存在することになる。このとき、光沢ロールに接触中に逃げ場のなくなった蒸気が支持体を持ち上げ、塗工層(記録層、光沢発現層、溶媒吸収層)の最も弱い部分を破壊してしまうことがある。或いは、鏡面仕上げの加熱された光沢ロールに対する塗料の接着が弱い場合は、塗工層と光沢ロールの界面で剥離し、光沢ロールの鏡面を十分に写し取ることができず、いわゆる密着不良という現象を引き起こすことになる。或いは、光沢ロールと塗料との接着力より未乾燥の塗工層の方が弱い場合は、塗工層内部で破断するため、塗工層の一部が光沢ロールの表面に残り、光沢ロール汚れを引き起こすことになる。
どちらの場合も、美しいキャスト面を形成することが不可能であり、品質上、操業上のトラブルとなる。したがって、本発明のように樹脂被覆紙やプラスチックフィルムのような、低透気性又は非透気性である支持体を使用してキャスト光沢紙を得ることには非常に大きな困難が伴うものである。
一般のキャスト塗工紙の製造方法においては、先に述べたとおり、湿潤可塑化状態にある塗布層表面を、加熱された光沢ロールに圧接、乾燥し、光沢ロールから離型して、鏡面を写し取るものであるが、本発明では支持体が低透気性又は非透気性支持体であるため、塗工液を塗布後すぐ、或いは塗布しながら鏡面ドラムに押し当て(例えば、ニップする)、後工程の乾燥装置で乾燥するとよい。
すなわち、湿潤可塑化状態にある光沢層用塗工液の塗布層表面を、加熱した光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスすることにより、圧接、乾燥し、光沢ロールから離型して鏡面を写し取るものである。インク受容層に塗布した光沢層用塗工液を必ずしも完全に乾燥させる必要はない。光沢層用塗工液中の水分がインク受容層中に移行し、光沢層用塗工液中のカチオン化微細顔料の濃度が上昇して、インク受容層の表層で不動化した後、乾燥ゾーンで別途乾燥することも可能である。
なお、光沢ロールは、耐熱性がよく、優れた鏡面性が得られることから、金属ロールであることが好ましい。また、表面に微細な凹凸をつけて光沢性を低下させるいわゆる半光沢紙にする場合、金属ロールに微細な凹凸をつけてもよい。光沢ロールの平均線中心粗さRaは、目標とする光沢によって変わるが、例えば、10μm以下である。
プレスロールの材質は特に限定しないが、上述のような光沢ロールとの間での加圧をより均一にするために耐熱樹脂製のロールが好ましい。
プレスロールによる加圧は、光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、好ましくは50〜3500N/cm、より好ましくは200〜3000N/cmになるように行うことが好ましい。光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、50N/cm未満の場合は、線圧が均一になり難く光沢性が低下したり、光沢層用塗工液層7のインク受容層3に対する密着性が低下し、表面がひび割れたりするおそれがあり、3500N/cmを超える場合は、インクジェット記録体を過度に加圧するためにインク受容層および光沢層の空隙を破壊するためにインク吸収性が低下するおそれがある。
なお、図1は、本発明の好ましい光沢層の形成方法の一例を示す図である。
まず、支持体2上に直接、或いは溶媒吸収層(図示せず)を設けた上に、インク受容層3を単層あるいは複数層設けた後、支持体2をインク受容層3が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間に配置する。次いで、インク受容層3上に、光沢層を形成するための光沢層用塗工液4を供給して、光沢ロール5とプレスロール6との接線の上部に光沢層用塗工液溜りを形成する(光沢層用塗工液供給工程)。
そして、供給された光沢層用塗工液4が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、支持体2を、光沢層用塗工液4が供給された面が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間をプレスしながら通過させて光沢層用塗工液層7を形成した後、速やかに光沢ロール5から光沢層用塗工液層7を剥離する(プレス工程)。
その後、ドライヤー9を用いて乾燥(調湿)して、支持体2、インク受容層3、光沢層8からなるインクジェット記録用紙1を得る。(乾燥(調湿)工程)
以下、光沢層用塗工液供給工程、プレス工程、乾燥(調湿)工程の各工程について、より詳細に説明する。
(光沢層用塗工液供給工程)
光沢層は、溶媒中に、上述のような微細顔料等の成分を分散させた塗工液を支持体に塗工し、乾燥させることによって形成される。塗工液の溶媒としては、特に限定はないが、塗工適性などの理由で、水が好ましい。
(プレス工程)
供給された光沢層用塗工液4が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、支持体2を、光沢層用塗工液4が供給された面が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間をプレスしながら通過させて光沢層用塗工液層7を形成した後、直ちに光沢ロール5から光沢層用塗工液層7を剥離するプレス工程を行う。
湿潤又は半乾燥状態にある光沢層用塗工液4を、加熱した光沢ロール5とプレスロール6との間を、塗工液4が供給された面が光沢ロール5に接するようにプレスロール6でプレスすることにより、インク受容層3上に光沢層用塗工液層7が形成される。この際、プレス圧と温度により光沢層用塗工液層7はインク受容層3に密着され、ひび割れのない均一な膜が形成される。
プレス工程後、光沢層用塗工液層7を、ドライヤー9などの乾燥ゾーンで別途乾燥させる乾燥(調湿)工程を行うことも可能である。
光沢ロールの表面温度は、乾燥条件等の操業性、インク受容層への密着性、光沢層表面の光沢性から、40〜110℃の範囲が好ましく、60〜100℃の範囲がより好ましい。光沢ロールの表面温度が、40℃未満の場合は、インクジェット記録体の表面強度が低下するおそれや、インク受容層の接着剤が軟化し難く、インク受容層への密着性が悪化したりする。110℃を超える場合は、インク受容層の接着剤の成膜が進みすぎるためインク吸収性が低下したり、光沢層用塗工液4が沸騰し、光沢面が悪化するおそれがある。
また、光沢ロールは、耐熱性がよく、優れた鏡面性が得られることから、金属ロールであることが好ましい。また、表面に微細な凹凸をつけて光沢性を低下させるいわゆる半光沢紙にする場合、金属ロールに微細な凹凸をつけてもよい。光沢ロールの平均線中心粗さRaは、目標とする光沢によって変わるが、例えば、10μm以下である。
プレスロールの材質は、上述のような光沢ロールとの間での加圧をより均一にするために耐熱樹脂製が好ましい。
プレスロールによる加圧は、光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、好ましくは50〜3500N/cm、より好ましくは200〜3000N/cmになるように行うことが好ましい。光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、50N/cm未満の場合は、線圧が均一になり難く光沢性が低下したり、光沢層用塗工液層7のインク受容層3に対する密着性が低下し、表面がひび割れたりするおそれがあり、3500N/cmを超える場合は、インクジェット記録体を過度に加圧するためにインク受容層および光沢層の空隙を破壊するためにインク吸収性が低下するおそれがある。
(乾燥(調湿)工程)
本発明において、光沢ロール5から剥離した直後のインクジェット記録体1(支持体2、インク受容層3及び光沢層用塗工液層7)中の水分は、湿潤状態又は半乾燥状態である。塗工層の水分率は、インク受容層や光沢層の塗工量により大きく影響されるが、例えば7〜100%である。
光沢ロール5から剥離した後、ワインダーで巻き取るまでの間に平衡水分に達するような場合には、調湿・乾燥装置は不要であるが、塗工速度が速く、紙等の支持体2に含まれる水分が高い場合は、光沢ロール5から剥離してワインダーで巻き取るまでの間に、調湿装置を有する調湿工程または乾燥装置を有する乾燥工程が必要である。調湿または乾燥装置の能力や仕様は、インクジェット記録体が光沢ロール5から剥離された時点で持っている水分と平衡水分との差および塗工速度により、適宜設定される。
なお、図1では、光沢ロール5とプレスロール6とを左右に並べて配置し、光沢ロール5とプレスロール6との接線の上部に光沢層用塗工液溜りを形成して、縦方向に支持体を通過させたが、例えば、光沢ロール5とプレスロール6を上下に並べて配置し、インク受容層3上に塗工液4を供給して、横方向に支持体を通過させてもよい。
上述のように、従来のキャスト塗工紙の製造方法が、湿潤可塑化状態にある塗工層表面を、加熱した光沢ロールに圧接、乾燥して光沢層を形成した後、光沢ロールから離型して鏡面を写し取るのに対し、本実施形態では、インク受容層上に、光沢層を形成するための、微細顔料と特定の離型剤とを含有する塗工液を供給し、該塗工液が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、支持体を、該塗工液が供給された面が光沢ロールに接するように、光沢ロールとプレスロールとの間をプレスしながら通過させて光沢層用塗工液層を形成した後、直ちに前記光沢ロールから該光沢層用塗工液層を剥離することにより光沢層を設ける。
光沢層の塗工量は、0.01〜3g/mが好ましく、0.03〜2g/mがより好ましく、0.05〜1g/mが更に好ましい。塗工量が0.01g/m未満の場合は、十分な光沢層を形成することが困難なために、光沢度が低くなりやすい。また、塗工量が3g/mを超えると、光沢度は得やすいが、インク吸収性や記録濃度が低下しやすい。
また、光沢層の表面は、銀塩写真様の風合いを得るために、75度表面光沢度(JIS P 8142)が好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上であり、かつ、幅2.0mmの光学くしを使用した時の写像性(JIS H 8686−2)が好ましくは55%以上、より好ましくは57%以上、さらに好ましくは60%以上、最も好ましくは65%以上であることが好ましい。
このようにして得られる本実施形態のインクジェット記録体は、銀塩写真並に白紙光沢や面質が良好で、かつ、白紙部の耐擦過性に優れ、顔料インクの定着性に優れたインクジェット記録性を有する。
本発明を下記実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
・シリカ分散液の調製
(カチオン化シリカ分散液A)
沈降法シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均一次粒子径10nm、平均二次粒子径4.5μm、トクヤマ社製)100部をイオン交換水1249部中に攪拌装置により分散した後、湿式超微粒化装置ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径80nmの分散液を調製した。さらに、分散液にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの39%水溶液(商品名:ユニセンスCP−103、センカ社製)26部を加え、顔料の凝集と分散液の増粘を起こさせた後、再度湿式超微粒化装置ナノマイザーを用いて粉砕分散を繰り返し、濃度8%、平均二次粒子径250nmのカチオン化シリカ分散液Aを調整した。
(カチオン化シリカ分散液B)
気相法シリカ(商品名:アエロジル380、平均一次粒子径7nm、BET法による比表面積380m/g、日本アエロジル社製)100部を、イオン交換水849部、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド)の25%水溶液(商品名:PAS−J−81、日東紡績社製)51部からなる組成物中に攪拌装置により分散した後、湿式超微粒化装置ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて粉砕分散を繰り返し、濃度12%、平均二次粒子径400nmのカチオン化シリカ分散液Bを調製した。
・接着剤分散液の調製
(カチオン性接着剤分散液A)
イオン交換水187.7部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液10部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液60部を添加した。これとは別に、メタクリル酸メチル75部、アクリル酸n−ブチル25部をイオン交換水37.3部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液3部からなる組成物中に乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を反応容器に4時間かけて滴下したのち、70℃で4時間保持した。さらに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液10部を添加したのち、70℃で3時間保持して重合を完結させ、濃度25%、pH5、粒子径54nm、最低造膜温度45℃のカチオン性接着剤分散液Aを調整した。
(カチオン性接着剤分散液B)
イオン交換水187.7部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液10部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液60部を添加した。これとは別に、メタクリル酸メチル90部、アクリル酸n−ブチル10部をイオン交換水37.3部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液3部からなる組成物中に乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を反応容器に4時間かけて滴下したのち、70℃で4時間保持した。さらに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液10部を添加したのち、70℃で3時間保持して重合を完結させ、濃度25%、pH5、粒子径50nm、最低造膜温度85℃のカチオン性接着剤分散液Bを調整した。
(カチオン性接着剤分散液C)
イオン交換水187.7部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液10部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液60部を添加した。これとは別に、メタクリル酸メチル99部、アクリル酸n−ブチル1部をイオン交換水37.3部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液3部からなる組成物中に乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を反応容器に4時間かけて滴下したのち、70℃で4時間保持した。さらに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液10部を添加したのち、70℃で3時間保持して重合を完結させ、濃度25%、pH5、粒子径50nm、最低造膜温度107℃のカチオン性接着剤分散液Cを調整した。
(カチオン性接着剤分散液D)
イオン交換水187.7部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液10部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液60部を添加した。これとは別に、メタクリル酸メチル60部、アクリル酸n−ブチル40部をイオン交換水37.3部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの10%水溶液3部からなる組成物中に乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を反応容器に4時間かけて滴下したのち、70℃で4時間保持した。さらに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の1%水溶液10部を添加したのち、70℃で3時間保持して重合を完結させ、濃度25%、pH5、粒子径48nm、最低造膜温度10℃のカチオン性接着剤分散液Dを調整した。
(アニオン性接着剤分散液A)
イオン交換水197.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液10部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、過硫酸カリウムの1%水溶液60部を添加した。これとは別に、メタクリル酸メチル90部、アクリル酸n−ブチル10部をイオン交換水37.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液3部からなる組成物中に乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を反応容器に4時間かけて滴下したのち、70℃で4時間保持して重合を完結させ、濃度25%、pH2、粒子径48nm、最低造膜温度85℃のアニオン性接着剤分散液Aを調整した。
・各層塗工液の調製
(溶媒吸収層用塗工液の調製)
ゲル法シリカ(商品名:サイロジェットP612、平均一次粒子径10nm、平均二次粒子径7.5μm、グレースデビソン社製)109部、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール PVA R−1130、クラレ社製)の5%水溶液523部、水269部からなる組成物を混合攪拌してインク受容層用塗工液Aを調製した。
(インク受容層用塗工液の調製)
カチオン化シリカ分散液A105部、ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール PVA−135H、クラレ社製)の5%水溶液503部、水1017部からなる組成物を混合攪拌してインク受容層用塗工液Bを調製した。
・支持体の作製
(支持体A)
CSF(JIS P 8121)が250mLまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、CSFが250mLまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して分散させた。
上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m、密度1.0g/cmの原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて過熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面に、合計で25mL/m塗工して、支持体Aを得た。
(支持体B)
上記支持体Aの両面に、コロナ放電処理した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物Aを、支持体Aのフェルト面側に、塗工量25g/mとなるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物Bを、支持体Aのワイヤー側に、塗工量20g/mとなるように、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗工し、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P 8138)が93%の樹脂被覆した支持体Bを得た。
「ポリオレフィン樹脂組成物A」
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、チバガイギー社製)0.03部、群青(商品名:青口群青NO.2000、第一化成社製)0.09部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバガイギー社製)0.3部を混合し、ポリオレフィン樹脂組成物Aとした。
「ポリオレフィン樹脂組成物B」
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)35部を溶融混合し、ポリオレフィン樹脂組成物Bとした。
(支持体C)
ポリプロピレン合成紙(商品名:ユポ GWG−140、ユポ・コーポレーション社製)を使用した。
実施例1
支持体Bに、インク受容層用塗工液を、乾燥塗工量が27g/mとなるように、ダイコーターで塗工した。インク受容層の厚さは44μmであった。
次に、下記光沢層用塗工液Aを、塗工し、光沢層用塗工液層が湿潤状態にあるうちに、直ちに表面温度を90℃としたクロム鍍金仕上げした鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接し光沢層を形成したのち、ドライヤーで乾燥してインクジェット記録体を得た。なお、光沢層の塗工量は0.5g/mであった。
(光沢層用塗工液Aの調製)
カチオン化コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学社製)21.7部とカチオン化シリカ分散液B36.2部、カチオン性接着剤分散液A(粒子径54nm、最低造膜温度45℃)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水29.9部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Aを調製した。
実施例2
実施例1において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Bを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Bの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、カチオン性接着剤分散液A(粒子径54nm、最低造膜温度45℃)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.1部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Bを調製した。
実施例3
支持体Bに、溶媒吸収層用塗工液を、乾燥塗工量が20g/mとなるように、ダイコーターで塗工した。溶媒吸収層用塗工液が乾燥する前に、インク受容層用塗工液を乾燥塗工量が7g/mとなるように、ダイコーターで塗工、乾燥した。溶媒吸収層とインク受容層の厚さの合計は41μmであった。
次に、光沢層用塗工液A(実施例1と同様)を、塗工し、光沢層用塗工液層が湿潤状態にあるうちに、直ちに表面温度を95℃としたクロム鍍金仕上げした鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接し光沢層を形成したのち、ドライヤーで乾燥してインクジェット記録体を得た。光沢層の塗工量は0.5g/mであった。
実施例4
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液B(実施例2と同様)を用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
実施例5
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Cを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Cの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、カチオン性接着剤分散液B(粒子径50nm、最低造膜温度85℃)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.1部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Cを調製した。
実施例6
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Dを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Dの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、カチオン性接着剤分散液C(粒子径48nm、最低造膜温度107℃)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.1部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Dを調製した。
実施例7
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Eを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Eの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂(商品名:スーパーフレックス600、粒子径10nm、最低造膜温度約84℃、第一工業製薬社製)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.1部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Eを調製した。
実施例8
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Fを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Fの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、ポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂(商品名:スーパーフレックス620、粒子径30nm、最低造膜温度30℃、第一工業製薬社製)2.9部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.7部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Fを調製した。
実施例9
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Gを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Gの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、カチオン性エチレンメタクリル酸共重合体(商品名:アクアテックスAC−3100、粒子径700nm、最低造膜温度90℃、中央理化工業社製)1.9部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水67.7部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Gを調製した。
実施例10
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Hを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Hの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、カチオン性エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名:アクアテックスMC−3800、粒子径900nm、最低造膜温度80℃、中央理化工業社製)2.2部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水67.4部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Hを調製した。
実施例11
実施例2において、支持体Bの替わりに支持体Cを用いた以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録体を得た。
実施例12
実施例4において、支持体Bの替わりに支持体Cを用いた以外は、実施例4と同様にしてインクジェット記録体を得た。
実施例13
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Iを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Iの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、カチオン性接着剤分散液D(粒子径56nm、最低造膜温度10℃)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.1部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Iを調製した。
比較例1
実施例2において、支持体Bの替わりに支持体Aを用いた以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録体を得た。
比較例2
実施例4において、支持体Bの替わりに支持体Aを用いた以外は、実施例4と同様にしてインクジェット記録体を得た。
比較例3
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに下記光沢層用塗工液Kを用いてインクジェット記録体を作成しようとしたが、塗工液に凝集物が発生したため、光沢層を形成することができなかった。
(光沢層用塗工液Kの調製)
気相法アルミナ(商品名:PG003、キャボット社製)21.7部と、アニオン性接着剤分散液A(粒子径48nm、最低造膜温度85℃)3.5部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水66.1部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Kを調製したが、凝集物が発生した。
比較例4
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Lを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Lの調製)
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学社製)43.5部と、アニオン性接着剤分散液A(粒子径48nm、最低造膜温度85℃)3.5部、脂肪酸誘導体(商品名:DEF−002、日新化学研究所社製)2.2部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水46.5部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Lを調製した。
比較例5
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Mを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Mの調製)
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学社製)43.5部と、ポリエーテル系アニオン性ポリウレタン樹脂(商品名:スーパーフレックス130、粒子径20nm、最低造膜温度約55℃、第一工業製薬社製)2.5部、脂肪酸誘導体(商品名:DEF−002、日新化学研究所社製)2.2部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水47.5部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Mを調製した。
比較例6
実施例3において、光沢層用塗工液Aの替わりに光沢層用塗工液Nを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を得た。
(光沢層用塗工液Nの調製)
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学社製)43.5部と、アニオン性エチレン酢酸ビニル共重合体(商品名:アクアテックスEA−2800、粒子径1200nm、最低造膜温度65℃、中央理化工業社製)1.8部、脂肪酸誘導体(商品名:DEF−002、日新化学研究所社製)2.2部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(商品名:オルフィンE1004、日信化学社製)4.4部、水48.2部からなる組成物を混合攪拌して光沢層用塗工液Nを調製した。
(評価方法)
実施例および比較例で行ったインクジェット記録体の作成にあたり、塗料安定性を評価した結果を表1に示した。また、実施例および比較例により得たインクジェット記録体の75度表面光沢度、写像性、コックリング、インク吸収性、印字濃度、顔料インク適性を評価した結果を表1に示した。各評価については、下記の方法で行った。
(塗料安定性)
光沢層用塗工液の安定性を官能評価で行った。
○:問題なし。
×:塗料が凝集したため、塗工ができない。
(75度表面光沢度)
JIS P 8142に記載の方法で、インクジェット記録体の75度表面光沢度を測定した。また、インクジェット記録体が得られなかったため、評価ができないものは表中に−を記した。
(写像性)
JIS H 8686−2に記載の方法で、写像性測定機(ICM−1DP、スガ試験機社製)で反射45度、2.0mmの光学くしにおける白紙部の写像性を塗工方向がスリットと直角になるように測定した。表中に示した数字は5回測定の平均値である。また、インクジェット記録体が得られなかったため、評価ができないものは表中に−を記した。
(コックリング)
コックリングは、インクジェットプリンタBJ−F870(キヤノン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、キヤノン社製BCI−6C、BCI−6M、BCI−6Y、BCI−BK、BCI−6PCフォトおよびBCI−6PMフォトを使用した。評価は、シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字部に発生したコックリングを目視にて評価した。
○:コックリングが全く認められず、良好な状態。
△:コックリングがあり、使用状況によっては問題となるレベル。
×:コックリングが著しく、実用にならないレベル。
−:インクジェット記録体が得られなかったため、評価ができない。
(インク吸収性)
インクジェットプリンタPIXUS 850i(キヤノン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、キヤノン社製BCI−3eY、BCI−3eM、BCI−3eC、BCI−3eBKを用いて緑ベタ印字を行い、ベタ印字部を目視にて評価した。
◎:ベタ部にムラが見られず、良好な状態。
○:ベタ部にムラが若干見られるが、実用上問題ないレベル。
△:ベタ部にムラが多少見られ、使用状況によっては問題となるレベル。
−:インクジェット記録体が得られなかったため、評価ができない。
(印字濃度)
印字濃度は、インクジェットプリンタPM−970C(エプソン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、エプソン社製ICY21、ICM21、ICC21、ICLM21、ICLC21、ICDY21、ICBK21を使用した。評価は、黒ベタ印字部をグレタグマクベス反射濃度計(グレタグマクベス社製、RD−19I)を用いて測定した。表中に示した数字は5回測定の平均値である。また、インクジェット記録体が得られなかったため、評価ができないものは表中に−を記した。
(顔料インク定着性)
印字濃度は、インクジェットプリンタPX−G900(エプソン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、エプソン社製ICC33、ICM33、ICY33、ICBL33、ICR13、ICGL33、ICBK33、ICMB33を使用した。評価は、黒ベタ印字部を印字直後に指で1回、また、指で5回擦り、顔料インク定着性の官能評価を行った。
◎:指で1回擦っても、5回擦っても、黒ベタ印字部が印字後の状態を保っている。
○:指で1回擦っても黒ベタ印字部が印字後の状態を保っている。指で5回擦ると、
わずかながら黒ベタの一部が取れるが、実用上問題ないレベル。
×:指で1回擦ると黒ベタ印字部が取れて白紙部が現れる。
−:インクジェット記録体が得られなかったため、評価ができない。
Figure 2006103210
本発明方法で得られるインクジェット記録体は、高光沢、高印字濃度、高保存性を有するものであり、デジタルカメラなどの写真画像などの出力に適した記録体である。
本方法発明の一実施態様の説明図である。
符号の説明
1 インクジェット記録体
2 支持体
3 インク受容層
4 光沢層用塗工液
5 光沢ロール
6 プレスロール
7 光沢層用塗工液層
8 光沢層
9 ドライヤー

Claims (4)

  1. 低透気性若しくは非透気性の支持体上に、又は該支持体上に形成された溶媒吸収層上に、インク受容層、光沢層を順次形成するインクジェット記録体の製造方法において、光沢層は、カチオン性微細顔料およびカチオン性エマルジョン型接着剤を含有する光沢層用塗工液を塗布し、その塗工液層面が光沢ロールに接するように光沢ロールとプレスロールによりプレスすることを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
  2. カチオン性微細顔料が、平均一次粒子径3〜100nmのカチオン化コロイダルシリカ、平均一次粒子径3〜100nm、且つ平均二次粒子径が1μm以下のカチオン化気相法シリカ、及び、平均一次粒子径3〜100nm、且つ平均二次粒子径が1μm以下の気相法アルミナから選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のインクジェット記録体の製造方法。
  3. カチオン性エマルジョン型接着剤の最低造膜温度が20〜110℃である請求項1又は2記載のインクジェット記録体の製造方法。
  4. カチオン性エマルジョン型接着剤の粒子径が5nm〜1000nmである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録体の製造方法。

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