JP4356692B2 - インクジェット記録用紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関するものであり、更に詳しくはインクジェット記録を行う面をキャスト法により形成された光沢を有するインクジェット記録用紙に関するものである。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録用紙に向かって噴出し、その記録表面上に画像を形成するインクジェット記録方式は、記録操作の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンター、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンターの急速な普及と、高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録用紙には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められ、さらに、デジタルカメラによる撮影画像の記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する、高い均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、記録画像の色濃度及び光沢感の更なる向上が望まれている。
高いインク吸収性を得るために、1層以上のインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、最上層の空孔分布曲線の1つのピークが0.2〜10μmに、かつ、インク受理層全体の空孔分布曲線のピークが少なくとも0.2〜10μmおよび0.05μm以下の2ヶ所に設計したインクジェット記録用紙の提案がある(例えば、特許文献1参照。)。この提案ではインク吸収性の向上効果は著しいが、このようなインクジェット記録用紙を得るには、インク受容層は1μm以上(ミクロンオーダー)の平均粒子径を有する顔料を主成分に設計することが不可欠であり、ミクロンオーダーの顔料を使用することにより、光沢は勿論のこと画像濃度も低く、またドットの真円性が得られないために画像の均一性が極めて低いものであった。
また、平均粒子径0.1μm以下の微細顔料を用い、塗膜のひび割れの制御したインクジェット記録用紙が記載されているが(例えば、特許文献2参照。)、光沢、画像濃度に優れるインクジェット記録用紙が得られるものの、プリンタの高速化が著しく進歩したため、インク吸収性の面で大きな難点が残った。
同様に、透明性、高光沢を重要視するインクジェット記録用紙を得るために、インク受容層の全層をサブミクロンオーダーの顔料にすることにより、細孔分布をほぼ50nm(0.05μm)以下に制御したインクジェット記録用紙の提案があるが(例えば、特許文献3参照。)、高いインク吸収性の達成には至らなかった。また、サブミクロンオーダーの顔料を多量に使用するためコストが高くなるという欠点もあった。
インク吸収性と光沢の向上を同時に満足させるために、基材上に細孔直径分布曲線におけるピークが0.1〜10μmにある第1塗工層と、前記第1塗工層上に細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にある第2塗工層を有するインクジェット記録用紙が提案され、第2塗工層は塗布と同時に、または形成した塗工層の乾燥途中であって該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、塗布した塗料を増粘又は架橋させることによって塗工層のひび割れを制御し、画像濃度にも優れたインクジェット記録用紙が得られる(例えば、特許文献4、5参照。)。しかし、このようなインクジェット記録用紙は印字品質には極めて優れるものの、高温高湿もしくは低温低湿の環境下でのカールが大きく、印字後には更にカールしやすくなり改善が求められていた。
一方、インクジェット記録用紙の平滑性や光沢を高めるために、例えば、基材と塗工層と最表層とを順次設けたインクジェット記録用紙において、最表層に汎用のコロイダルシリカを用いて、該最表層を加熱された鏡面ドラム面に圧着する方法(いわゆるキャスト法)等が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。このキャスト法によって仕上げられたインクジェット記録用紙は光沢と平滑性に優れるが、最表層が鏡面ドラムに貼りついて乾燥するために記録体のカールは更に大きくなりやすかった。
インクジェット記録用紙のカールを矯正するためには、気相法シリカを含有するインク受容層と、親水性バインダー及びガラス転移温度(Tg)が60℃以上のラテックスからなる裏面を設けた記録体(例えば、特許文献7参照。)が提案されている。これによってカールは矯正されるが、透気度が高すぎてキャスト法により仕上げることができず、インクジェット記録用紙の平滑性及び光沢は不十分なものであった。
また、キャスト法で仕上げた後に裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設ける方法もあるが(例えば、特許文献8参照。)、光沢面に傷が入りやすく、カール矯正も必ずしも十分とは言えなかった。
優れた画質と高い光沢、及びカールの矯正を全て満足させるために、微細顔料を用いたインク受容層と同一な裏面層を設けた後、キャスト法によって仕上げる方法が提案されている(例えば、特許文献9参照。)。これによって画像濃度及び光沢に優れ、カールも良好な記録体が得られるが、高価な微細顔料を含有する塗工層を両面に設けなければならないために、コスト的に不利であった。
特開昭58−110287号公報 特開平7−117334号公報 特開平7−276789号公報 特開2005−199550号公報 特開2005−225070号公報 特開2004−167959号公報 特許3619927号公報 特許3551047号公報 特開2004−209654号公報
本発明は、インクジェット記録を行う面をキャスト法により形成された光沢を有するインクジェット記録用紙の、高温高湿もしくは低温低湿の環境におけるカールが改善され、印字後のコックリング(原紙の波うち)が小さく、画質に優れた、インクジェット記録用紙を製造する方法を提供する。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、特定のインク受容層を採用し、且つキャスト法により表面を処理する前に、キャスト前の透気度が特定の範囲を満足するように、水溶性樹脂を主成分とする裏面層を形成することで、カールが改善され、かつ印字後のコックリングを最小限に抑えることを見出し、本発明に至ったのである。
本発明は下記態様を含む。
[1]紙基材の一方の面にキャスト法により仕上げされたインク受容層、あるいは紙基材の一方の面にインク受容層及びキャスト法により仕上げされた光沢発現層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該インク受容層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下のみであり、かつキャスト法により仕上げを行う前に、紙基材の他方の面に、透気度(JIS−P−8117)が500〜3000秒となるように水溶性樹脂を主成分とする裏面層を形成するインクジェット記録用紙の製造方法。
[2] 前記透気度が1200〜2500秒となるように前記裏面層を形成する[1]に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
[3] 前記インク受容層の無機顔料が、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均2次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物のいずれかである[1]又は[2]に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
[4] 前記裏面層の水溶性樹脂が、でんぷん又はけん化度が85以上のポリビニルアルコールである[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
[5] 紙基材とインク受容層の間に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下で平均1次粒子径が1μm以下の無機顔料と、エマルションラテックスとを含有する下塗り層を設けた[1]〜[4]のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
[6] 前記光沢発現層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、湿式ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法により製造されたインクジェット記録用紙である。
本発明によれば、インクジェット記録用紙の高温高湿もしくは低温低湿の環境におけるカールが改善され、印字後のコックリング(原紙の波うち)が小さく、光沢と画質に優れた、キャスト法によるインクジェット記録用紙を提供することができる。
(層構成について)
本発明により製造されるインクジェット記録用紙は、紙基材の片面に、キャスト法により形成されるインク受容層、他面に裏面層を有する構成、紙基材の片面に、インク受容層、キャスト法により形成される光沢発現層、他面に裏面層を有する構成であるが、紙基材とインク受容層の間に下塗り層を有してもよく、インク受容層を複数層積層してもよい。
本発明は、このようなインクジェット記録用紙を製造するにあたり、キャスト法によりインク受容層又は光沢発現層を形成するよりも前に、裏面層を形成し、且つ、キャスト法によりインク受容層又は光沢発現層を形成する際の透気度を500〜3000秒にすることによって、カール及びコックリングが改善され、かつ高光沢のインクジェット記録用紙を得ることができる。まず、紙基材、各層について説明する。
(紙基材について)
紙基材としては、特に限定するものではなく、例えば、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等のような基材が使用できる。
紙基材は、一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調製するために、叩解機により叩解度を調製できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙の波打ち(コックリング)や記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、クレー、シリカ、酸化チタン等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録用紙の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少ないと紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は7〜20%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として光沢感が優れたインクジェット記録用紙が得られ易くなる。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調製できる。
紙基材の種類、形状、寸法などについては特に制限はないが、紙基材の厚さは180〜280μm程度が好ましく、緊度は0.75〜0.95g/cm程度が好ましい。更に、基材の厚さを200〜250μmにすると、カールとコックリングの改善効果が大きいためになお好ましい。坪量においても160〜230g/m程度が好ましく、180〜220g/mが更に好ましい。
ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いと塗料が均一に塗布できない場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。
紙基材の平滑度は特に限定はないが、高光沢、高平滑な面を得るためにベック平滑度は70秒(王研式、J.TAPPI No.5)以上であることが好ましい。また、基材の不透明度にも特に限定はないが、銀塩写真ライクな外観(特に視感白色度)を得るためには、その不透明度(JIS P8138)が85%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
また、紙基材の透気度(JIS P8117)は20〜500秒であることが好ましく、更には30〜300秒がより好ましい。因みに、透気度を20秒以上にすることによりインクジェット記録用紙のボコツキを大きく低減できる。一方、500秒以下にすることにより、インクジェット記録を行った際のインクの溶媒がインク受容層から紙基材に吸収されるために、インク受容層中に再移動することがなく、経時にじみが良好となる。
(下塗り層について)
インクジェット記録用紙の平滑感を高め、かつ紙基材への過剰なインク溶媒吸収性を下げてコックリングを抑制するために、紙基材とインク受容層の間に一層以上の下塗り層を設けてもよい。なお、下塗り層は、顔料とバインダーを含む層である。
この下塗り層に用いられる顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメントなどが例示でき、適宜併用することができる。中でも、単分散コロイダルシリカ、湿式シリカ、アルミナ、カオリン、二酸化チタン、炭酸カルシウムが好ましく、更に、単分散コロイダルシリカ、湿式シリカ、炭酸カルシウムは溶媒吸収性に優れるので特に好ましい。また上記顔料は、一次粒子のみ、もしくは一次粒子が凝集した二次粒子として水に分散されているものを用いることが更に好ましい。コックリング抑制のためには、BET法による細孔容積が0.5ml/g以下であり平均粒子径が1.5μm以下の顔料を含有することが好ましい。
下塗り層に用いられるバインダーとしては、公知のバインダーが使用でき、例えば、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、あるいは水分散性樹脂(例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等)などのような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。
なお、後述するインク受容層が、架橋性を有する化合物を用いて形成される場合((B)の方法)、下塗り層のバインダーにエマルションラテックスを用いると、架橋性を有する化合物による下塗り層の硬化が起きないため、塗膜の折り割れを防止することができるので好ましい。更に、下塗り層塗液中にインク受容層のバインダーに対し架橋性を有する化合物を配合することができるので特に好ましい。エマルションラテックスに特に限定はないが、アクリル系樹脂エマルション、ウレタン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルションが白紙の保存性が良好なために好ましく使用される。
下塗り層の細孔直径分布曲線におけるピークは0.06μm以下のみである必要はなく、特に限定はないが1μm以上にピークがある方が、カールが改善される傾向にあるので好ましい。
下塗り層の乾燥固形分塗工質量に制限はないが、一般に2〜10g/m程度である。塗工量が過少であると記録体の平滑感が不足するおそれがあり、塗工量が多すぎるとコスト的に不利になるので好ましくない。
下塗り層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
なお、紙基材と下塗り層の積層状態の透気度は、特に限定するものではないが、30〜500秒程度が好ましく、更に35〜300秒が好ましい。透気度が500秒よりインクジェット記録を行った際のインクの溶媒がインク受容層から下塗り層及び紙基材に吸収させることができる。なお、30秒より低いとコックリングの抑制効果が少なくなる傾向にある。
(インク受容層について)
本発明のインク受容層は、顔料とバインダーを少なくとも有する層であり、且つ細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下である必要がある。
写真調のインクジェット記録画質を実現する為には、インク中の染料や顔料が定着するインク受容層の透明性が欠かせない。インク受容層が透明であるほど、インク受容層中に定着した染料が外からよく見える為、画像の奥行き、つまり深みがあり、より銀塩写真に近いものが得られる。
透明性の高い塗工層は、一般的にインクを吸収し難いと言われているが、顔料とバインダーを有する塗工層で、且つ塗工層上に光の波長より大きい細孔をなくすことでインク受容層の成膜性とインク吸収性が両立できることを見出し、インク受容層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に光の波長より小さい0.06μm以下とすることで、インク吸収性と塗工層の透明性を同時に達成した。このようなインク受容層は、塗膜にひび割れがなく、顔料とバインダーなどからなる連続膜となっている。
上記の細孔直径分布を有するインク受容層を形成させるためには、インク受容層が、塗工の直後に、また塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗料を増粘または架橋させて成膜して製造されるのが好ましい。具体的には、下記(A)〜(C)に挙げる方法が例示でき、適宜採用できるが、これらの方法に限るものではない。
例えば、
(A)電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工の直後に、また塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗液層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、
(B)バインダーを含有する塗液であり、塗工の直後に、また塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、バインダーとの架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、
(C)例えば、バインダーとして感温性高分子化合物(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工の直後に塗液層温度を低下させることによって塗液層を増粘させる方法、
等が例示できる。
上記(A)の方法でインク受容層を形成する場合、バインダーとしては、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーを用い、顔料100質量部に対して、親水性バインダー1〜100質量部の割合で含有する塗液を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布された塗液をハイドロゲル化させた後、乾燥して形成してインク受容層を形成するとよい。
ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの共重合体などが例示でき、これらを単独使用、或いは併用するとよい。
電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は50〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は1〜200kGy程度の範囲で調節するのが好ましい。1kGy未満では塗工層をゲル化させるのに不十分であり、200kGyを越えるような照射は基材や塗工層の劣化や変色をもたらす恐れがあるため好ましくない。
電子線照射を施す方法として、(1)塗工、電子線照射、乾燥を繰り返しても良いし、(2)塗工し電子線照射後に次の層を塗工して乾燥しても良く、(3)多層を同時に塗工し、電子線照射を行う、等の方法がある。
上記(B)の方法でインク受容層を形成する場合、インクジェット記録用紙用として使用される公知のバインダーが使用できる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性樹脂が挙げられる。特に、顔料との接着性の高い、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。特に成膜性と、インク吸収性とのバランスを良好にするためには、2000以上の重合度を有するポリビニルアルコールを用いることが好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールはより好ましい。インク吸収性などを改善するためには2種以上のバインダー用材料(例えば、2種以上の水溶性樹脂の混合物、1種以上の水溶性樹脂と1種以上のラテックスとの混合物)を用いてもよい。
この場合、インク受容層における顔料と水溶性樹脂との乾燥固形分質量比率は、顔料100質量部に対し2〜50質量部の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには5〜30質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがさらに好ましい。
バインダーとの架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。なかでも、ホウ素化合物は増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、基材の片面に0.01〜1.5g/m含有されるのが好ましい。1.5g/mより多いと親水性バインダーとの架橋密度が高くなり、塗膜が硬くなって折り割れしやすくなる。また、0.01g/mより少ないと親水性バインダーとの架橋が弱く、塗料のゲル化も弱くなって塗膜がひび割れやすくなる。
インク受容層は、例えばインク塗工層用塗液に架橋剤を配合せしめておき塗布する、またはインク塗工層用塗液を塗布後、架橋剤を塗布する、または架橋剤を予め基材もしくは基材とインク受容層の間に設けた下塗り層に塗布・含有させておき、その上にインク塗工層用塗液を塗布するなどの方法により製造するとよいが、架橋剤を予め塗布しておくと架橋剤がインク受容層に移動して、インク受容層の増粘またはゲル化が均一におこるために好ましい。
上記(C)の方法でインク受容層を形成する場合、バインダーとして、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物を用いるとよい。
この感温性高分子化合物を用いた場合、感温点以上の温度で塗工を行い、感温点以下に冷却することにより、塗工した層が増粘またはゲル化され、その後乾燥して記録層を形成するとよい。感温点は5〜35℃の範囲が好ましい。15〜30℃の範囲が更に好ましい。このような感温性高分子化合物としては、特開2003−40916号公報に開示されている、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物が例示できる。
インク受容層に用いられる顔料としては、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる二次粒子の分散体である微細顔料が好ましい。
微細顔料の平均二次粒子径は0.7μm以下が好ましい。平均二次粒子径が0.7μmより大きい無機顔料を使用すると、印字濃度が低下する。0.7μm以下の粒子径に調節するために、たとえば機械的手段で強い力を施す方法、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により製造することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と粉砕とを繰り返して施すことができる。一方、平均二次粒子径が0.03μmより小さいと、塗膜にひび割れが生じやすいため0.03〜0.7μmであることが好ましい。
また、微細顔料のBET法による細孔容積は0.8ml/g以上が好ましい。0.8ml/gより小さいとインク吸収性が不足する。より好ましくは、1.0〜1.2ml/gである。
本発明に使用される顔料としては、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が挙げられるが、なかでも塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点から、気相法シリカが最も好ましく使用される。
気相法シリカは、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって得られた無水シリカ微粒子のことである。
気相法シリカは、ゲル法シリカや沈降法シリカなどの湿式法シリカと比較すると、表面のシラノール基の密度や細孔容積などに相違があり異なった性質を示す。湿式法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmで多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易いために細孔径が0.06μm以下における細孔容積は低めだが、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから、疎な軟凝集(フロキュレート)となって細孔容積が高くなり、その結果、空隙率が高い三次元構造が形成される。
アルミナは、一般的に結晶性を有する酸化アルミニウムとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有するアルミナが挙げられる。光沢感やインク吸収性から、気相法アルミナ、γ、δ、θ結晶を有するアルミナが好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ(フュームドアルミナ)は特に好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成される。
また、アルミナ水和物は特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報)などが挙げられる。
インク受容層には、記録画像の耐水性や保存性を高めるために、カチオン性高分子を含有することが好ましい。カチオン性高分子としては、ポリアルキレンアミン化合物(例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−キルムアルデヒド重縮合物)、エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO共重合体、ジアリルアミン−SO共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、アリルアミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体などが例示でき、単独或いは併用できる。これらのカチオン性高分子は、分子量が5000より低いとインク吸収性を阻害するおそれがあるので、分子量5000以上のものを用いることが好ましい。
一般的に、シリカの場合はシラノール基が表面に存在しているため電気的にマイナスを示し、カチオン性高分子と混合することにより凝集する。このため、シリカをカチオン性高分子で処理した複合粒子の形態で用いると、分散性が優れるほか、印字濃度、画像耐水性などにおいても優れ、銀塩写真に匹敵する優れた品質が得られる。
このような複合粒子を得るためには、例えば水中で気相法シリカとカチオン性高分子を混合し、凝集させることによって得られたカチオン性高分子−シリカの凝集体粒子を、平均粒子径が0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.7μm、より好ましくは0.1〜0.5μmとなるように粉砕、分散してカチオン性高分子−シリカ複合粒子を製造することが好ましい。
カチオン性高分子は、上記例示のカチオン性高分子の中から適宜選択され、単独使用或いは併用される。インク中の染料及び顔料の定着性、及びシリカ分散体の分散性を向上させるためには、5員環アミジン類、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、及びアルコキシカルボニル変性アリルアミン塩の重合体を用いることがより好ましい。カチオン性化合物の添加量は、顔料100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。
前記シリカと前記カチオン性高分子の混合物、もしくは凝集体を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
平均粒子径が1μmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均粒子径を1μm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
圧力式分散方法である高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが挙げられるが、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
また、例えば、シリカ微粒子の水分散液を所望によりこれに粉砕処理を施してその平均二次粒子径を所望値まで低下させ、この分散液にアンモニウム塩を有するシランカップリング剤やポリ塩基性塩化アルミニウムなどのアルミニウム化合物を添加して、シリカ−カチオン化合物凝集体を形成させ、これに粉砕処理を施して、その平均二次粒子径を500nm以下に調製したものも使用することができる。
インク受容層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に5〜20g/m程度であることが好ましく、より好ましくは7〜18g/mである。塗工量が過少であると、高精細且つ高速のプリンターではインク吸収性が不足するおそれがあり、塗工量が多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難になることがある。なお、インク受容層は、複数回に分けて塗布してもよく、複数層同時に重ねて形成してもよい。
インク受容層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、スライドビードコーターおよびカーテンコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
本発明において、インク受容層の上に光沢発現層を設ける場合は、インク受容層を80〜150℃の熱風で乾燥して形成すると、コスト的にも有利なので好ましい。また、(紙基材+インク受容層)もしくは(紙基材+下塗り層+インク受容層)の透気度は100〜2000秒が好ましく、300〜1500秒が更に好ましい。透気度が2000秒より高いと、裏面層を設けた後のキャスト仕上げの時に、離型が悪くなるために好ましくない。
また、本発明において、インク受容層をキャスト法により形成する場合、インク受容層を形成するよりも前に、後述する裏面層を先に形成しておく必要がある。
キャスト法により形成すると、インク受容層が湿潤状態にある間に、これを加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥して、鏡面を塗工層に写し取るため、高光沢の表面が形成することができる。キャスト方式としては、従来から印刷用塗工紙の分野で知られているウェットキャスト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などが適用できる。なかでも、インク受容層を塗布し、乾燥或いは半乾燥した後、湿潤液を付与して湿潤させた後、直ちに鏡面ドラムに圧着させて乾燥させるリウエット法は、得られたインクジェット記録用紙が銀塩写真に匹敵する光沢および画質が得られるので好ましい。
加熱された鏡面の表面温度は、乾燥効率を考えると80〜120℃の範囲内にコントロールすることが好ましい。圧着された鏡面からインク受容層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを水溶液中に含有させてもよく、或は鏡面に塗布してもよい。これらのなかで、特にカチオン系離型剤を用いることが好ましく、離型剤の添加量は特に限定はないが、一般に水溶液100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
(光沢発現層について)
本発明は、上記インク受容層上に、更に鏡面ドラムに圧接、乾燥仕上される光沢発現層を設けて、インクジェット記録用紙を形成することもできる。なお、本発明においては、光沢発現層をキャスト法により形成するよりも前に、後述する裏面層を先に形成しておく必要がある。
光沢発現層に含まれる顔料としては、平均1次粒子径が0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均二次粒子径が1μm以下のアルミナやアルミナ水和物、平均二次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカや湿式ゲル法シリカが好ましく用いられる。
光沢発現層には、上記微細顔料の他にバインダーを含有してもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂でもよく、水不溶性のエマルジョン樹脂でもよい。水溶性樹脂の場合は分子量などに制限はなく、顔料とバインダーの乾燥固形分質量比率は100/10〜100/0が好ましい。添加率が10%より多いとインク吸収速度が遅くなる。エマルジョン樹脂の場合、記録画像の色濃度を高くするために、樹脂含有粒子の平均粒子径は100nm以下であることが好ましく、より好ましい範囲は10〜80nmであり、顔料とバインダーの乾燥固形分質量比率は100/30〜100/5が好ましい。
光沢発現層の塗料はpHが8以下で、かつ粘度が100mPa・s以下であることが好ましい。粘度が100mPa・sより高くなると光沢が低下するので、低粘度の塗料になるようにバインダーの種類及び添加量を適宜調製すればよい。
光沢発現層に用いられるバインダーには格別の制限はないが、インクの定着性及び耐水性を高めるためには、カチオン性置換基を有する水不溶性のエマルジョン樹脂が好ましい。
特に、エステル基にカチオン性置換基を有するアクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、あるいはメタクリル酸エステルの少なくとも1成分を共重合成分とするアクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、カチオン性置換基を有するイソシアネートとポリオールの共重合体のアイオノマー樹脂粒子を分散させたウレタン系エマルジョン樹脂が好ましく用いられる。
また、ガラス転移温度に特に限定はないが、エマルジョン樹脂の粒子径は20〜50nmが好ましい。粒子径が20nmより小さいとインク吸収速度が遅くなり、50nmより大きいと画像濃度が低下するために好ましくない。
光沢発現層の乾燥固形分塗工量は、0.3〜5g/mの範囲内にあることが好ましく、0.5〜3g/mがより好ましい。塗工量が過少であると、塗膜が過度に薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が過多であるとインク吸収速度が著しく低下するおそれがある。インク吸収速度とインク吸収容量のバランスをよくするためには、インク受容層の塗工量は光沢発現層の塗工量の5〜30倍であることが好ましく、7〜20倍であることが更に好ましい。
光沢発現層は湿潤状態にある間に、これを加熱された鏡面ドラムに圧着し乾燥して、鏡面を塗工層に写し取る、キャスト方式によって塗工される。キャスト方式としては、従来から印刷用塗工紙の分野で知られているウェットキャスト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などが適用できる。
また、インク受容層が鏡面ドラムに圧接される直前に、プレスロール上のインク受容層面と鏡面ドラムの間に光沢発現層用塗工液を付与し、直ちに圧着させて乾燥させる方式による鏡面仕上げ(以下、ニップキャスト法仕上げともいう)を施すこともでき、この方法により得られた記録体は銀塩写真に匹敵する光沢および画質が得られるので好ましい。
このとき、ひび割れを防止し及び乾燥効率を高くするためには、加熱された鏡面の表面温度は80〜120℃の範囲内にコントロールすることが好ましい。圧着された鏡面から光沢発現層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを光沢発現層中に含有させてもよく、或は鏡面に塗布してもよい。これらの中でも、特にカチオン系離型剤を用いることが好ましい。離型剤の添加量は特に限定はないが、一般に光沢発現層中に含まれる顔料100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
また、光沢発現層の細孔直径分布曲線におけるピークは、インク受容層と同様に実質的に0.06μm以下のみにあることが好ましい。
光沢発現層の細孔直径分布曲線において、細孔直径のピークが0.06μmを超える領域にあると画像の光沢が不十分になり、また光沢発現層にひび割れが発生し、記録画像のドットの真円性が低下して記録画像の均一性が不良になる。
つまり、光沢発現層及びこれと隣接するインク受容層の細孔直径分布曲線におけるピークを0.06μm以下の領域に存在させ、塗膜にひび割れが実質上ない状態にすることにより、記録画像の均一性を高めることが可能になった。
(裏面層について)
紙基材の裏面(インク受容層を形成しない面)には、表面側へのカールを矯正するために、水溶性樹脂を主成分とする塗工層を設ける。裏面層を設けることで、インク溶媒の原紙への浸透も抑制することができ、コックリング防止にも有効である。
裏面層は、インク受容層或いは光沢発現層を鏡面ドラムで処理するよりも前であればどの段階で設けてもかまわないが、製造工程の最後に、キャスト法によってインクジェット記録用紙を仕上げることで高い光沢を付与することができる。一方、キャスト法で仕上げた後のインクジェット記録用紙の裏面に水溶性樹脂を塗工すると、カールの矯正はできるがインクジェット記録用紙の光沢に低下が見られる。また、インクジェット記録用紙の光沢面に傷なども入りやすい。
インク受容層を塗工した後に裏面層を塗工した場合、(裏面層+紙基材+インク受容層)もしくは(裏面層+紙基材+下塗り層+インク受容層)の透気度は500〜3000秒が好ましく、更には1200〜2500秒が好ましい。透気度が500秒より低いと鏡面ドラムへの貼り付きが弱く、光沢感が不足する。また、カールの矯正効果が小さくなる。透気度が3000秒より高いと、鏡面ドラムからの離型が悪くなるので好ましくない。
また、インク受容層を塗工する前に裏面層を塗工した場合、(裏面層+紙基材)もしくは(裏面層+紙基材+下塗り層)の透気度は200〜2000秒が好ましい。
裏面層に使用される水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などが挙げられるが、透気性が高くカールの矯正効果が大きいでんぷん、もしくはけん化度が85以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。ポリビニルアルコールのけん化度が85より低いと、記録体の耐水性が低下するので好ましくない。ポリビニルアルコールの重合度に特に限定はないが、1000〜3500が塗工しやすく好ましい。
基材の裏面層には、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、更に帯電防止剤やブロッキング防止剤などで処理してもよい。また、キャスト法で仕上げられたインクジェット記録用紙の裏面を、更にポリエチレンなどでラミネート処理してより写真調の質感に近づけてもよい。
(平均粒子径の測定方法)
本発明でいう顔料の平均粒子径は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径を、一次粒子のみの単分散状態の場合は一次粒子径を示していると考えられ、当該顔料が粉体状にあるか、又はスラリー状にあるかには関係ない。
測定方法は、顔料濃度が3質量%の水分散液200gを調製し、これをホモミキサーに供して1000rpm、30分間の攪拌分散処理を施した後、直ちにこの分散液を電子顕微鏡(SEMとTEM)観察に供して1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、写真中の5cm×5cm四方の面積中に存在する粒子のマーチン径を測定し平均したものである。(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
(細孔直径分布の測定)
本発明の規定の細孔直径分布曲線におけるピークについて説明する。測定方法としては、支持体の影響を避けるために、得られた記録体の塗工層をカッター等で剥がし取り測定に用いた。細孔分布は、マイクロメトリックス・ポアサイザー9320(島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた。水銀圧入法による細孔直径の測定は、細孔の断面を円形と仮定して導かれた下記の式を使って計算した。
R=−2γCOSθ/P
ただし、式中でそれぞれR:細孔半径(2R=細孔直径)、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。
水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力の低圧部(0〜30psia、測定細孔半径:180〜3μm)と高圧部(0〜30001psia、測定細孔半径:3〜0.003μm)にて測定した。
細孔直径分布は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に細孔内に進入した水銀の体積すなわち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した細孔直径(2R)と細孔容積との関係を描き、この関係曲線の微分係数dV/d(2R)を求めて縦軸とし、細孔直径2Rを横軸にすることで求められる。塗工層の細孔直径分布曲線は通常1〜数個のピークが認められる。
(BET法による細孔容積測定方法)
本発明でいう、BET法による細孔容積測定方法について説明する。無機顔料、もしくは該無機顔料の分散液を105℃で乾燥し、測定用粉体試料を得た。この粉体試料の細孔容積を、窒素ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。また、細孔容積は細孔径3〜200nmの全細孔容積の値(窒素相対圧0.991)を使用した。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。まず、実施例及び比較例において使用する材料について説明する。
(1)紙基材の作製
濃度0.5質量%のパルプスラリー(NBKP;ろ水度250mlCSFと、LBKP;ろ水度280mlCSFを、質量比2:8の割合で混合したもの)中に、パルプ絶乾質量に対しカチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.4質量%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7質量%を添加し、十分に撹拌して分散させた。上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量210g/m、緊度0.9g/cmの紙基材を製造した。この紙基材の厚さは234μm、透気度は80秒であった。
(2)カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aの調製(気相法シリカ使用:インク受容層用)
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約8nm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、平均二次粒子径が800nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
このシリカ微粒子分散液100質量部に対し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均二次粒子径が0.15μmの10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aを調製した。この複合粒子のBETによる細孔容積は1.1ml/gであった。
〔実施例1〕
「下塗り層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Aを、乾燥塗工量が7g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、下塗り層を得た。この際の(紙基材+下塗り層)の透気度は70秒であった。
<塗工液A>
酸性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.3ml/g、アニオン性)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)20質量部を水中で混合して水分散液(濃度:20質量%)を調製した。
「裏面層の形成」
下塗り層を設けた面の反対側に、8%でんぷん水溶液を1.5g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、裏面層を得た。この際の(裏面層+紙基材+下塗り層)の透気度は1300秒であった。
「インク受容層の形成」
次いで、下塗り層上に8%硼砂水溶液を塗布した後、下記組成の塗工液Bを塗工し、インク受容層をハイドロゲル化させた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を、90℃に加熱した鏡面ドラムに圧着させて乾燥してインクジェット記録用紙を作製した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
<塗工液B>
無機顔料として、上記カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、インク受容層をハイドロゲル化させた後、120℃の熱風乾燥機で乾燥させた。この際の(裏面層+紙基材+下塗り層+インク受容層)の透気度は2800秒であった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、インク受容層を鏡面ドラム側となるようにし、インク受容層面と鏡面ドラムの間に、離型剤(オレイン酸アンモニウム)を水100質量部に対して1質量%添加した水溶液を供給してインク受容層を湿潤させた後、プレスロールで圧着しながら直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させてインクジェット記録用紙を作製した。
〔実施例3〕
下塗り層を塗工せずに、基材上に8%硼砂水溶液を塗布した後、実施例2と同様にして、ハイドロゲル化したインク受容層を120℃の熱風乾燥機で乾燥させた。この際の(裏面層+紙基材+インク受容層)の透気度は1800秒であった。
次いで、実施例2と同様にインク受容層を湿潤させた後、プレスロールで圧着しながら直ちに鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させてインクジェット記録用紙を作製した。
〔実施例4〕
「下塗り層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Cを、乾燥塗工量が7g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、下塗り層を得た。この際の(紙基材+下塗り層)の透気度は100秒であった。
<塗工液C>
アルカリ性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−20L、平均粒子径0.045μm、細孔容積0.2ml/g、アニオン性)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系エマルジョンラテックス(明成化学社製、商品名:JK7000)20質量部、及び硼砂13質量部を水中で混合して水分散液(濃度:20質量%)を調製した。
「インク受容層の形成」
次いで、実施例1と同様の塗工液Bを下塗り層の上に塗工し、インク受容層をハイドロゲル化させた後120℃の熱風乾燥機で乾燥させた。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。この際の(紙基材+下塗り層+インク受容層)の透気度は900秒であった。
「裏面層の形成」
次いで、インク受容層を設けた面とは反対側に、実施例1と同様して8%でんぷん水溶液を1.5g/mとなるように塗工した。この際の(裏面層+紙基材+下塗り層+インク受容層)の透気度は2400秒であった。
「光沢発現層の形成」
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、インク受容層を鏡面ドラム側となるようにし、インク受容層面と鏡面ドラムの間に下記塗工液Dを供給し、プレスロールで圧着しながら塗工後、そのまま鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させて光沢発現層を形成し、インクジェット記録用紙を得た。乾燥塗工量は1.5g/mであった。
<塗工液D>
カチオン性コロイダルシリカ(グレース社製、商品名:SJ4001、平均粒子径0.04μm)100質量部(固形分)に、バインダーとしてエマルジョン型アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:0.06μm、Tg=100℃)10質量部、離型剤(オレイン酸アンモニウム)5質量部を水中で混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
〔実施例5〕
実施例1において、裏面層に塗工する塗工液を8%でんぷん水溶液から、けん化度85のポリビニルアルコールの8%水溶液に変えたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。この際の(裏面層+紙基材+下塗り層)の透気度は1500秒であった。
〔実施例6〕
実施例5において、使用する紙基材の坪量を180g/m(厚さ205μm)に変えたこと以外は実施例5と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。この際の(裏面層+紙基材+下塗り層)の透気度は600秒であった。
〔実施例7〕
実施例4において、下塗り層を塗工する前に裏面層を塗工したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。この際の(裏面層+紙基材+下塗り層+インク受容層)の透気度は2400秒であった。
〔実施例8〕
実施例3と同様にして下塗り層を塗工せず、また基材上に8%硼砂水溶液も塗布せずに、基材の一方の面側に、塗工液Bを塗工量が18g/mになるように塗工した後、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射してインク受容層をハイドロゲル化させ、120℃の熱風乾燥機で乾燥してインク受容層を形成した。
次に、実施例4と同様に裏面層を塗工した。この際の(裏面層+紙基材+インク受容層)の透気度は2500秒であった。
次いで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、インク受容層を鏡面ドラム側となるようにし、インク受容層面と鏡面ドラムの間に実施例4の塗工液Dを供給し、プレスロールで圧着しながら塗工後、そのまま鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させて光沢発現層を形成し、インクジェット記録用紙を得た。乾燥塗工量は1.5g/mであった。
〔比較例1〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、キャスト法による仕上げは行わなかった。
〔比較例2〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、8%硼砂水溶液に代えて、4%硼砂水溶液を下塗り層に塗布した。得られた記録体のインク受容層には、小さなひび割れが見られた。
〔比較例3〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、実施例1のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aに代えて、湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−30、平均粒子径:3μm、細孔容積2.0ml/g)を使用し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)をシリカ100質量部に対して10質量部添加した。
〔比較例4〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、裏面層を塗工しなかった。
〔比較例5〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、裏面層の塗工量を1.5g/mから5g/mに変更した
〔比較例6〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、裏面層をキャスト仕上げした後に塗工した。
〔比較例7〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。但し、裏面層にでんぷん水溶液を塗工する代りに、下記塗工液Eを5g/m塗工した。
<塗工液E>
二酸化チタン(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、細孔容積0.2ml/g)100質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)20質量部を水中で混合して水分散液(濃度:30質量%)を調製した。
評価方法
得られたインクジェット記録用紙について、記録画像の色濃度、光沢感、環境カール、及びコックリングを下記に示す方法で評価した。尚、評価には染料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−G820、印字モード:EPSON写真用紙 きれいモード)を使用した。評価結果を表1に示す。
(1)記録画像の色濃度
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Macbeth RD−920、マクベス社製)にて測定した。ブラックの色濃度を表1に示した。
(2)光沢感
供試されたインクジェット記録用紙に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、画像を記録体表面に対して傾斜している角度から目視し、下記の4段階に評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
○:銀塩写真より若干劣るが、充分な光沢感がある。
△:光沢紙としては、光沢感が足りない。
×:光沢はほとんどなく、マットに近いレベル。
(3)環境カール
供試されたインクジェット記録用紙の白紙、及びISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字した記録体の印字物を、A4サイズで1枚づつ下記条件の部屋に置き、一日後にカールの状況を調べた。
(イ)常温常湿:温度25℃、湿度60%
(ロ)高温高湿:温度35℃、湿度85%
◎:(イ)、(ロ)の両条件で、白紙、印字物ともにカールはなく、フラットである。
○:(ロ)の条件で、印字物が印字面側に少しカールするが、使用上問題とならないレベ
ル。
△:(ロ)の条件で、白紙及び印字物ともに印字面側にカールする。
×:(イ)、(ロ)の条件で、白紙及び印字物ともに印字面側にカールする。
(4)コックリング(原紙の波うち)
供試されたインクジェット記録用紙(A4サイズ)にグリーン色を記録体全体にベタ印字し、印字直後からのコックリングを目視で観察し、下記の3段階に評価した。
◎:コックリングは全く見られない。
○:少しコックリングが見られるが、ほとんど目立たない。
×:コックリングが目立つ。
Figure 0004356692
表1から、紙基材の一方の面にキャスト法により仕上げされたインク受容層、あるいは紙基材の一方の面にインク受容層及びキャスト法により仕上げされた光沢発現層を有するインクジェット記録用紙において、インク受容層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下のみであり、かつキャスト法により仕上げされる前に、基材の他方の面に透気度(JIS−P−8117)が500〜3000となるように水溶性樹脂を主成分とする裏面層を形成した実施例のインクジェット記録用紙は、高温高湿もしくは低温低湿の環境におけるカールやコックリングが改善され、他のいずれの評価項目についても良好な結果であった。
一方、前記細孔直径分布曲線におけるピークとは異なるインク受容層を形成した、比較例のインクジェット記録用紙はいずれかの評価項目に劣るものであった。また、前記透気度となるように裏面層を形成しなかったり、キャスト後に裏面層を形成したり、キャストによる仕上げを行わなかった比較例のインクジェット記録用紙は、どれも良好な光沢を得ることができなかった。
したがって、本発明によれば、インクジェット記録用紙の高温高湿もしくは低温低湿の環境におけるカールが改善され、印字後のコックリングが小さく、光沢と画質に優れたインクジェット記録用紙となる。

Claims (6)

  1. 紙基材の一方の面にキャスト法により仕上げされたインク受容層、あるいは紙基材の一方の面にインク受容層及びキャスト法により仕上げされた光沢発現層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該インク受容層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下のみであり、かつキャスト法により仕上げを行う前に、紙基材の他方の面に、透気度(JIS−P−8117)が500〜3000秒となるように水溶性樹脂を主成分とする裏面層を形成するインクジェット記録用紙の製造方法。
  2. 前記透気度が1200〜2500秒となるように前記裏面層を形成する請求項1に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  3. 前記インク受容層の無機顔料が、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均2次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物のいずれかである請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  4. 前記裏面層の水溶性樹脂が、でんぷん又はけん化度が85以上のポリビニルアルコールである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  5. 紙基材とインク受容層の間に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以下で平均1次粒子径が1μm以下の無機顔料と、エマルションラテックスとを含有する下塗り層を設けた請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  6. 前記光沢発現層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、湿式ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。

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