JP4124083B2 - インクジェット記録体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、染料インク及び顔料インクの吸収性が良好で、高速記録が可能であって、画像ドットの形状が真円に近く、画像の色濃度、及び光沢が高く、かつ画像の均一性が極めて良好なインクジェット記録体の製造方法に関するものである。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に向かって噴出し、その記録表面上に画像を形成するインクジェット記録方式は、記録操作の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と、高精細・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録体には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められ、さらに、デジタルカメラによる撮影画像の記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する、高い均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、記録画像の色濃度及び光沢性の一層の向上が望まれている。
一方で、銀塩写真と同等の画像保存性を実現するために、インク自体の改良も提案されており、従来のインクジェット記録用インクの主流を占める親水性の高い着色剤を使用する水性染料インク(以下、染料インクと呼称)とともに、耐水性及び耐光性に優れた、疎水性着色顔料を着色剤として含むインク(以下、顔料インクと呼称)もしばしば用いられるようになっている。
インクジェット記録体インクとして顔料インクが用いられたとき、それに含まれる着色顔料の大部分は、インクジェット記録体の記録表面に保持されることから、染料インク用高光沢インクジェット記録体に顔料インクを適用すると、顔料インクの定着性及び顔料インク画像の擦過性が不十分になることが多い。このため、染料インク、顔料インクのいずれに対しても、高品質の画像を印画可能な記録メディアの出頭が強く要望されている。
特開平7−101142号公報(特許文献1)は、光沢及びインク吸収性が高いインクジェット記録体を得るために、ミクロンオーダーの微細な顔料粒子を主成分として含む記録層上に、コロイド粒子と高分子ラテックスを含有する光沢発現層を設けることを開示している。しかしこのような構成では、ある程度の光沢は得られるが、インク中の染料がミクロンオーダーの微細顔料を含む記録層に定着するため、画像の色濃度が低く、画像の均一性も不十分になる。また、光沢発現層の細孔分布曲線におけるピークが0.1μmより大きい領域にあって、つまり光沢発現層がひび割れているため、目視光沢が低く、顔料インクの定着性も不十分になるという問題があった。
特開平7−117335号公報(特許文献2)には光沢発現層の光沢を更に向上させるために、光沢発現層が湿潤状態にあるうちに、これを加熱された鏡面ドラムに圧着し、その鏡面を写し取る方法を提案されている。このようにすると、ある程度の光沢の向上は得られるが、光沢発現層にはひび割れが発生し、画像の均一性が不十分であった。さらに、この手段によって、十分な画像の色濃度、及び顔料インク適性の向上は得られなかった。
特開2001−10220号公報(特許文献3)は、光沢、画像の色濃度、及びインク吸収性などの問題を解決するために基材上に2層以上の記録層を設け、その最外表面層に、平均粒子径1μm以下の凝集体顔料を含有させ、この最外表面層にキャスト加工を施した。しかし、最外表面層の細孔直径分布曲線におけるピークが0.1μm以下の領域外にも存在していた。つまり最外表面層のひび割れが十分に防止されていないため、印字画像ドット形状が、真円性に欠け、画像の色濃度が不足し、画像の均一性が極めて低いものであった。また、昨今の高精細・高速化されたプリンターに使用したとき、記録層のインク吸収性が不十分であった。さらに、この記録層に顔料インクを適用した場合には、塗膜のひび割れ部分に着色顔料が多く吸収されるため、画像にムラが生じ、その品質は不十分なものであった。
上記先行技術によって、インクジェット記録において、高印字濃度、画像の均一性を達成するためには、記録層の細孔直径分布曲線において、細孔直径が、ほぼ0.1μm以下の領域中にピークが存在するように制御すること、つまり塗膜のひび割れを制御し、ドットの真円性を向上させ、さらにインク吸収性を高めることが必須であることが明らかになった。
特開平10−119423号公報(特許文献4)、特開平11−115308号公報(特許文献5)、特開平2000−211235号公報(特許文献6)、特公平7−37175号公報(特許文献7)などには、インクジェット記録体の記録層中に、微細顔料とポリビニルアルコールを含有させ、ほう砂又はほう酸とポリビニルアルコールとの架橋反応を利用して、バインダー量を減量させつつ、記録層のひび割れを制御する手段が開示されている。記録層のひび割れ制御することによって、記録画像ドットの真円性を高めることができるが、最外表面層が微細顔料とポリビニルアルコールにより形成されるため、その表面光沢性が不十分であり、かつ、インク吸収性も不十分であった。
特開平9−286165号公報(特許文献8)、特開平10−181190号公報(特許文献9)及び特開平10−181191号公報(特許文献10)などには、インクジェット記録体の光沢、画像の色濃度、及び画像の均一性を改良するために、インク受容層中に粒径がサブミクロンオーダーの微細顔料を含有させ、ホウ素系架橋剤による架橋反応を利用することなく、インク受容層の細孔直径分布曲線におけるピークがほぼ0.1μm以下の細孔直径領域にあるように制御し、つまりひび割れを制御することが開示されている。この場合、最外表面層は微細顔料とポリビニルアルコールにより形成されているため、表面光沢性が不十分であり、インク吸収性も不十分であった。高い光沢を得るために、フィルムを用いる鏡面転写が提案されたが、製造コストが高くフィルムの使い捨てによる環境付荷が高くなるなどの問題があった。
特開平7−101142号公報、第4および9〜10頁 特開平7−117335号公報、第4頁 特開2001−10220号公報、第3および9〜10頁 特開平10−119423号公報、第3および5頁 特開平11−115308号公報、第3〜6頁 特開2000−211235号公報、第5〜7頁 特公平7−37175号公報、第2〜3頁 特開平9−286165号公報、第3〜4頁 特開平10−181190号公報、第2〜5頁 特開平10−181191号公報、第3および5〜6頁
本発明は、上記の問題を解決し、染料インク及び顔料インクの両方に十分なインク吸収性を有し、かつ記録画像のドット形状が真円に近く、記録画像が極めて良好な均一性を有し、かつ高い光沢感及び画像の色濃度を有するインクジェット記録体の製造方法を提供しようとするものである。
本発明のインクジェット記録体製造方法は、基材の少なくとも1面上に、互に積層された複数の塗工層からなるインク受容層を形成するに際し、
前記インク受容層の最外表面塗工層は、平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料粒子と、水不溶性合成樹脂ラテックスを主成分として含むバインダーとを含み、多孔質構造と0.1〜2g/m2の塗工量を有する塗工層により形成し、かつこれに鏡面仕上げを施し、
前記インク受容層の最外表面塗工層に隣接する第1内側塗工層は、平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料粒子と、ポリビニルアルコールを主成分とする水溶性樹脂を含む塗料を用い、かつ前記最外面塗工層の10〜50倍の塗工量を有する塗工層から形成し、このとき、第1内側塗工層用塗料の塗布層に対し、その塗布の前に、前記ポリビニルアルコールに架橋性を有する化合物を前記第1内側塗工層を形成する前記基材の表面に予め塗布しておくことにより、増粘・架橋処理を施して、前記第1内側塗工層用塗料層を成膜し、それによって、前記第1内側塗工層に隣接して形成された最外表面塗工層の細孔直径分布曲線が、細孔直径が0.001〜0.1μmの領域においてピークを示すようにすることを特徴とするものである。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記インク受容層に含まれる微細顔料が、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、シリカ−カチオン性化合物凝集体微細粒子、アルミナ及びアルミナ水和物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記インク受容層に含まれる湿式法シリカが、コロイド状シリカシード粒子の水性分散液中にアルカリ水溶液を添加し、さらに活性珪酸及びアルコキシシランからなる群から選ばれた少なくとも1種の水溶液を、徐々に添加することにより調製され、二次シリカ微粒子の形状を有しているものであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記インク受容層に含まれるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子が、シリカの水性分散液にカチオン性化合物を混合することによって調製されたものであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記基材が、透気性の紙又は合成紙からなることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記インク受容層の最外表面塗工層に含まれる水不溶性合成樹脂ラテックスがカチオン性を示し、かつ前記ラテックス中の水不溶性合成樹脂含有粒子の平均粒子径が0.01〜0.08μmであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記インク受容層の最外表面塗工層に含まれる水不溶性合成樹脂ラテックスに含まれる水不溶性合成樹脂が、−50〜30℃のガラス転移温度を有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記第1内側塗工層が多孔質構造を有し、その細孔直径分布曲線において、細孔直径が0.001〜0.1μmの領域にピークを有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法において、前記インク受容層の最外表面塗工層及び第1内側塗工層のそれぞれのヘイズ値が3〜30%であり、かつ最外表面塗工層及び第1内側塗工層のヘイズ値の合計が5〜40%であることが好ましい。
本発明方法により得られるインクジェット記録体は、染料インク及び、顔料インクの両方のインク吸収性が高く、従って高速記録が可能であり、インク画像のドットが真円に近く、かつ画像の濃度及び光沢が高く、しかも画像の均一性が極めて良好であるという優れた効果を有するものである。
本発明方法により得られるインクジェット記録体は、基材と、その少なくとも1面に形成されたインク受容層とを含むものである。
本発明に用いられる基材としては、例えば、セロハン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、金属フォイル、合成紙などのシート類が適宜使用される。これら基材用材料のなかでも、透気性を有する紙又は合成紙を用いることが好ましい。このような透気性シート材料は、インクジェット印写されたインク画像の吸収及び乾燥をスムーズに促進することができる。
本発明方法では、高光沢を得る目的で、最表層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥するため、透気性を有する紙類が特に好ましく選択される。
本発明方法において、インク受容層は、互に積層された複数の塗工層から構成される。これらの塗工層のなかで、最外表面塗工層と、それに直接隣接する第1内側塗工層が重要である。
最外表面塗工層及び第1内側塗工層について
最外表面塗工層を設ける目的について説明する。
最外表面塗工層は、インク受容層の表面光沢を高めること以外に、インク中の染料または顔料をすばやく定着させ、高発色(高い色濃度)、且つ、均一画像(画像ドット形状の高い真円度)を得ることを目的とするものである。
最外表面塗工層の目的を達成するために、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、最外表面塗工層に平均粒子径が0.01〜0.7μmの顔料と、水不溶性合成樹脂ラテックスを主成分として含むバインダーとを含有させること、このような組成の最外表面塗工層が多孔性構造を有すること、及びこの多孔質最外表面塗工層の細孔直径分布曲線において、細孔直径が0.001〜0.1μmの領域内にピークを有することが重要である。本発明の最外表面塗工層において、平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料粒子と水不溶性合成樹脂ラテックスを主成分として含むバインダーの使用により最外表面塗工層は微細多孔質構造を有することができ、それによって、適度な光沢及び高い画像の色濃度を発現し及びこれらの性能とよくバランスのとれた高いインク吸収速度を発現することが可能となる。また多孔質最外表面塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークを0.001〜0.1μmの領域に存在させ、つまり、塗膜にひび割れが実質上ない状態にすることにより、記録画像の均一性を高めることが可能になる。
本発明の最外表面塗工層において、微細顔料粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、適度の細孔直径分布を有する微細多孔質構造を形成することが困難になり、またそれが0.7μmをこえると、細孔直径が0.001〜0.1μmの領域にピークを有する細孔分布を有する多孔質構造を形成することが困難になる。
また、多孔質最外表面塗工層の細孔直径分布曲線において、ピークが細孔直径が0.001μm未満の領域にあると、細孔直径の平均値が小さくなりすぎて、インク吸収容量、インク吸収速度などが過小になり、また前記ピークが0.1μmを超える領域にあると、最外表面塗工層表面及びそれに記録された画像の光沢が不十分になり、最外表面塗工層にひび割れが多く発生し、記録画像のドットの真円性が低下し、記録画像の均一性が不良になる。
最外表面塗工層の表面に高い光沢を付与するためにはこれにカレンダー仕上げ、又は鏡面仕上げを施すことが好ましい。最外表面塗工層に鏡面仕上げを施すには、それを鏡面に接触させ、加熱及び加圧を施すことが有効であるが、特に最外表面塗工層が湿潤状態にある間にこれを加熱された鏡面、例えば鏡面ドラムに圧着し乾燥して、鏡面を塗工層に写し取る、所謂キャスト法仕上げを施すことが好ましい。このとき、ひび割れを防止し及び乾燥効率を高くするためには、加熱された鏡面の表面温度は80〜120℃の範囲内にコントロールされることが好ましい。圧着された鏡面から最外表面塗工層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを最外表面塗工層中に含有させてもよく、或は、鏡面に塗布してもよい。これらの中でも、特に、カチオン系離型剤を用いることが好ましい。最外表面塗工層中の離型剤の添加量は、特に限定はないが、一般に、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
最外表面塗工層に直接隣接する第1内側塗工層は、最外表面塗工層中に吸収しきれず、これを透過したインク中の着色料及び溶剤を吸収定着することを目的として設けられる。この目的を達成するために、第1内側塗工層には、高い平滑性と成膜性とが要求される。発明者らが鋭意に検討を重ねた結果、第1内側塗工層を0.01〜0.7μmの平均粒子径を有する顔料粒子と、水溶性樹脂を主成分として含むバインダーを含むように構成すれば、上記目的の達成が可能であることを見出した。平均粒子径が0.01〜0.7μmの顔料粒子と水溶性樹脂バインダーとの使用により、インク受容層合体の記録画像の色濃度、インク吸収速度、及びインク吸収容量の相互バランスの調整が可能である。また、最外表面塗工層に所望の光沢を発現しやすくなり、最外表面塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが0.001〜0.1μmの領域に存在するようにすることができ、つまり、塗膜のひび割れ防止制御が簡単に実現し得ることを見出した。
顔料について
最外表面塗工層及び第1内側塗工層に含有される顔料は、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、シリカ−カチオン性化合物凝集体微細粒子、アルミナ及びアルミナ水和物から選ばれた少なくとも1種からなるものであることが好ましい。湿式法シリカは、コロイド状に分散したシリカシード粒子の水性分散液中にアルカリ水溶液を添加し、さらに、このシード分散液に、活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれた少なくとも1種の水溶液を少量ずつ、徐々に添加してシリカ微粒子を成長させて調製することができる。この湿式法シリカ粒子は、微細なシリカ一次粒子体、コロイダルシリカ、アルミナの複数個が凝集して形成された二次粒子の形状を有している。光沢性、塗工層の成膜性、及び/又は、記録画像の色濃度を高めるためには、気相法シリカ及び/又はアルミナを用いることが好ましい。アルミナの中では、気相法(フュームド)アルミナを用いることが好ましい。
記録画像の色濃度、及び/又は塗工層の光沢を高めるために上記顔料の平均粒子径は0.01〜0.7μmの範囲内にあることが必要である。顔料の形態は単分散体(一次粒子)であってもよく、凝集粒子分散体(二次粒子)であってもよい。インク吸収速度を高めるためには、平均一次粒子径0.003〜0.04μmの複数の一次粒子が凝集してなる平均二次粒子径が0.7μm以下の凝集体顔料粒子を用いることが好ましい。インク中の染料及び顔料などの着色料を固定しやすく、かつインク吸収速度、記録画像の色濃度、及び光沢を高めるためには、平均一次粒子径0.005〜0.020μmの複数の一次粒子が凝集してなる平均二次粒子径0.5μm以下の顔料粒子を用いることがより好ましい。さらに好ましくは平均一次粒子径0.007〜0.013μmの複数の一次粒子が凝集してなる平均二次粒子径0.2μm以下の顔料粒子である。
平均粒子径が0.01〜0.7μmの顔料粒子は、たとえば機械的手段で強い力を施す方法、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により製造することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と粉砕とを繰り返して施すことができる。
本発明に用いられる顔料粒子の平均粒子径は、当該顔料が粉体状にあるか、又は、スラリー状にあるか関係なく、この顔料から、濃度3質量%の水分散液200gを調整し、これをホモミキサーに供して1000rpm、30分間の攪拌分散処理を施した後、直ちにこの分散液を電子顕微鏡(SEMとTEM)観察に供して1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、写真中の5cm×5cm四方の面積中に存在する粒子のマーチン径を測定し平均したものである。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。本発明者らが測定した結果、供試顔料が粉体状の場合(粒子径1μm以上の顔料が殆ど)は、メーカーカタログ値とほぼ一致するが、それがスラリー状の場合(粒子径1μm以下の顔料が殆ど)は、分散一次粒子の凝集状態によって粒子径が大きく変動する。しかし、上記の測定条件下において測定すれば、測定値に再現性がある。
本発明に用いる気相法シリカはフュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的に説明すると、四塩化珪素を、水素及び酸素と共に燃焼してシリカを製造する方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりに、メチルトリクロロシラン及び/又はトリクロロシランなどのシラン類も、単独で、または、四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。
本発明に用いられるメソポーラスシリカとは、1.5〜100nmの平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m2 /gであることが好ましく、細孔容積としては0.5〜4ml/gであることが好ましい。メソポーラスシリカの合成方法には特に限定はないが、米国特許第3556725号明細書に記載されている方法、すなわち、シリカのアルコキシドをシリカ源として用い、かつ、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩をテンプレートとして用いる合成方法、特表平5−503499号公報等に記載されている方法、すなわちアモルファスシリカ粉末又はアルカリシリケート水溶液をシリカ源として用い、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスホニウム塩をテンプレートとして用いる水熱合成法、特開平4−238810号公報等に記載されている方法、すなわちシリカ源としてカネマイト等の層状ケイ酸塩を用い、長鎖のアルキルアンモニウムカチオン等をテンプレートとして用いるイオン交換法により合成する方法、更に、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン、ノニオン系界面活性剤等をテンプレートとして用い、かつ、シリカ源として水ガラス等をイオン交換した活性シリカを用いて合成する方法などである。ナノポーラスシリカ前駆体から、テンプレートを除去する方法としては、高温で焼成する方法、及び有機溶媒で抽出する方法が挙げられる。
本発明に用いられる湿式法シリカを製造するには、コロイド状に分散したシリカシードの水分散液に、アルカリを添加し、この分散液に対し、活性珪酸の水溶液とアルコキシシランから選ばれた少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ徐々に添加してシリカ微粒子を成長させて、二次シリカ分散体を調製する方法を用いればよく、この方法は特開2001−354408号公報などに記載されている。この方法で得られた湿式法シリカの中でも、BET法による比表面積が100〜400m2 /gであり、かつ細孔容積が0.5〜2.0ml/gであるのが、インク吸収速度及び光沢を高めるため好ましい。
本発明に微細顔料として使用されるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子は、下記のようにして製造することができる。
(1)気相法シリカ微粒子を水中に分散し、所望によりこれに粉砕処理を施してその平均粒子径を所望値まで低下させ、この分散液にカチオン性物質を添加して、シリカ−カチオン化合物凝集体を形成させ、これに粉砕処理を施して、その平均粒子径を、0.01〜0.7μmに調整する。
(2)シラン化合物、例えばテトラエトキシシラン、をテンプレートとしてアルキレンオキサイド重合体(例えばエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体)と、無機酸水溶液(例えば塩酸水溶液)と、1,3,5−トリメチルベンゼンとを含む水性溶液中に添加し、得られた複合体を濾過採取し、乾燥して、シリカ−テンプレートの複合体粉末を調製する。この粉末を焼成して、メソポーラスシリカを調製する。このメソポーラスシリカを水中に分散し、これに粉砕処理を施して、メソポーラスシリカの平均粒径を、所望値に調整する。この分散液に、カチオン化合物を添加して、メソポーラスシリカ−カチオン性化合物凝集体を形成させ、これに粉砕処理を施してその平均粒子径を所望値(0.01〜0.7μm)に調整する。
(3)ケイ酸ソーダ溶液を水で希釈し、この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂により処理して、活性ケイ酸水溶液を調製する。この活性ケイ酸水溶液の一部分を100℃に加熱された蒸留水に添加し、シリカ微粒子含有シード液を調整する。このシード液をアンモニア水により安定化し、100℃に加熱し、前記残余の活性ケイ酸水溶液を添加し、この混合液を100℃において加熱還流し、シリカ微粒子分散液を調製する。
適当な濃度に調製されたシリカ微粒子分散液にカチオン性化合物を混合し、生成したシリカ−カチオン性化合物凝集体の分散液を、粉砕処理に供して、凝集体粒子の平均粒子径を所定の平均粒子径(0.01〜0.7μm)に調整する。
上記シリカ−カチオン性化合物微細粒子の調製に用いられるカチオン性化合物は、ポリアルキレンアミン化合物(例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−キルムアルデヒド重縮合物)、エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO2 共重合体、ジアリルアミン−SO2 共重合体、ジメチチルアリルアンモニウムクロライド重合体アリルミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体、ポリ塩化アルミニウム、ポリ塩酸アルミニウム及びポリ乳酸アルミニウムなどを適宜用いることができる。
本発明に用いられるアルミナは、一般的に結晶性を有するアルミナとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有するアルミナが挙げられる。本発明においては、インク受容層の光沢感及びインク吸収性を高めるためには、気相法アルミナ、γ、δ、θ結晶を有するアルミナなどが好ましく用いられる。気相法アルミナ酸化物(フュームドアルミナ)は、粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れているので、最も好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって製造することができ、この方法によれば結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これらアルミナ粒子の一次粒子径はナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を有する。このような気相法アルミナ粒子は、その表面に、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工において、気相法アルミナを使用することは、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
本発明に用いられるアルミナ水和物には格別の制限がないが、インク受容層に高いインク吸収性及び成膜性を付与するためには、ベーマイト又は擬ベーマイトであることが好ましい。アルミナ水和物の製造方法は、例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)及びアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06-064918号公報など)などが挙げられる。
ラテックスバインダーについて
最外表面塗工層に含有される水不溶性合成樹脂ラテックスには格別の制限はなく、例えばアクリル系樹脂のエマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂のエマルション、スチレン系樹脂のエマルション、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂のエマルション、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂のエマルション、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体系樹脂のエマルション、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体及び/又は共重合体系樹脂のエマルション、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体樹脂のエマルション、或いはこれら重合体又は共重合体を、カルボキシル基などの官能基を含有する単量体により変性された官能基変性重合体樹脂のエマルションなどが挙げられる。特に、アクリル系樹脂のエマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂のエマルション、及びスチレン系樹脂のエマルションが好ましく用いられる。最外表面塗工層の光沢及び記録画像の色濃度を高くするためには、エマルション中の樹脂含有粒子の平均粒子径は0.01〜0.08μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.05μmの範囲内にあることである。インクの定着性を高めるためには、ラテックスがカチオン性を示すもの、すなわち水不溶性合成樹脂が、カチオン性基を有するもの、例えばカチオン変性されているものが好ましい。本発明に用いられるカチオン変性合成樹脂のラテックスは、例えば特開2003−211821号公報に記載のカチオン性有機粒子を含んでいてもよい(但し、そのガラス転移温度は−50〜30℃の範囲内にあることが好ましい)。最外表面塗工層の光沢を高めるためには、それが、カレンダー仕上げ、又は鏡面仕上げされていることが好ましく、特に、最外表面塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面例えば鏡面ドラムに圧着し乾燥して、鏡面を塗工層に転写する方法所謂キャスト法を用いることが好ましい。より高平滑、高光沢の最外表面塗工層面を得るためには、ラテックス中の合成樹脂のガラス転移温度は−50℃〜30℃であることが好ましい。更に好ましい範囲は−50℃〜10℃、一層好ましい範囲は−35℃〜0℃である。勿論、品質を阻害しない程度で、バインダー中に、上記水不溶性合成樹脂ラテックス以外に、その他のバインダー物質(例えば、水溶性樹脂バインダー)を併用してもよい。
水溶性樹脂バインダーについて
第1内側塗工層に含有される水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールが用いられる。すなわち顔料との接着性の高い、ポリビニルアルコールが用いられる。特に成膜性と、インク吸収性とのバランスを良好にするためには、2000以上の重合度を有するポリビニルアルコールを用いることが好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールはより好ましい。インク吸収性などを改善するためには2種以上のバインダー用材料(例えば、2種以上の水溶性樹脂の混合物、1種以上の水溶性樹脂と1種以上のラテックスとの混合物)を用いてもよい。
カチオン性化合物について
最外表面塗布層、第1内側塗工層は、それぞれカチオン性化合物を含有してもよい。特に第1内側塗工層は、カチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物としては、例えば、1)ポリエチレンポリアミン及びポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類、及びそれらの誘導体類、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基、及び/又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、4)例えばジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物などのジシアン系カチオン樹脂、5)例えばジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物などのポリアミン系カチオン樹脂、6)エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO2共重合物、8)ジアリルアミン−SO2共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、10)アリルアミン塩の重合物、11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級アンモニウム塩重合物、12)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、並びに、13)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、及びポリ乳酸アルミニウムなどのポリアルミニウム塩、などが挙げられる。なお、カチオン性化合物の添加量は、顔料100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。
顔料としてシリカ系顔料を使用する場合は、前述のようにシリカとカチオン性化合物を混合し凝集させることによって得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を、平均粒子径が0.01〜0.7μmになるように粉砕したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を用いることが好ましい。この場合カチオン性化合物は、前記記載のカチオン性化合物から適宜選択することができる。特に、インク中の染料及び顔料の定着性、分散性を向上させるためには、1)5員環アミジン類、及び2)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を用いることが好ましい。
その他の成分について
画像の均一性及び色濃度を高めるためには、第1内側塗工層は、最外表面塗工層と同様に、細孔直径分布曲線におけるピークが、0.001〜0.1μmの領域内にあり、つまり、塗膜にひび割れがない方が好ましい。第1内側塗工層におけるひび割れの発生の制御方法には格別の制限はないが、例えば、第1内側塗工層が塗布と同時に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、塗布された塗料層を、増粘または架橋させて成膜する方法が挙げられる。具体例として、第1内側塗工層用塗料に電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)を含有させ、塗工直後に、または形成した塗料層の乾燥途中であって、該塗料層が減率乾燥速度を示す前に、この塗料層に電子線を照射して塗料層を増粘(ハイドロゲル)させる方法、及びポリビニルアルコール含有塗料層に、塗工直後に、また形成した塗料層の乾燥途中であって、該塗料層が減率乾燥速度を示す前に、ポリビニルアルコールに対し架橋性を有する化合物(例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明礬、硼酸および硼砂などのホウ素含有化合物)によって塗料層を増粘、架橋させる方法が挙げられる。
最外表面塗工層に含まれる顔料とラテックスとの乾燥固形分質量比率には、それがインク吸収性を阻害しない限り格別の制限はないが、一般に前記質量比が100/100〜100/3の範囲内にあることが好ましく、インク吸収性と塗膜強度とのバランスをよくするためには100/30〜100/5の範囲内にあることが好ましい。
最外表面塗布層の乾燥固形分塗布量は、0.1〜10g/m2の範囲内にあることが好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましく、0.5〜2g/m2がさらに好ましい。塗工量が過少であると、塗膜が過度に薄くなり、光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が過度であると、インク吸収速度が著しく低下するおそれがある。
第1内側塗工層における顔料と水溶性樹脂との乾燥固形分質量比率は、100/50〜100/2の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには100/30〜100/5であることが好ましく、100/25〜100/10であることがさらに好ましい。
第1内側塗工層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に1〜40g/m2程度であることが好ましく、より好ましくは5〜30g/m2ある。塗工量が過少であると、高精細且つ高速のプリンターではインク吸収性が不足するおそれがあり、それが多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難になることがある。
インク吸収速度とインク吸収容量のバランスをよくするためには、第1内側塗工層の塗布量は最外表面塗布層の塗工量の3〜50倍であることが好ましく、7〜30倍であることがさらに好ましく10〜25倍であることが一層好ましい。
本発明において、インク受容層の最外表面塗工層、第1内側塗工層は、透明性が高いほど、記録画像の色濃度も高くなる傾向がある。最外表面塗工層、及び第1内側塗工層のそれぞれのヘイズ度(JIS K 7105)は3〜30%であり、最外表面塗工層と第1内側塗工層のヘイズ度の和は5〜40%であることが好ましい。最外表面塗工層、及び第1内側塗工層のそれぞれのヘイズ度が3〜15%であり、これらのヘイズ度の和が5〜25%であることがさらに好ましい。
他の塗工層について
本発明において、インク受容層は、基材と第1内側塗工層の間に、基材と第1内側塗工層との間の密着性の改良及びインク吸収性の改善などの目的で、第2、第3・・・内側塗工層を設けてもよい。また、基材の裏面に、インクジェット記録体のカール防止及び搬送性などの改良のために裏面層を設けてもよい。
本発明のインク受容層の各塗工層は、顔料とバインダーに加えて、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜含有していてもよい。
塗工方法について
最外表面塗工層、並びに第1およびその他の内側塗工層を形成するための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種塗工装置が挙げられる。
2層以上の塗工層を塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
また、電子線照射を施す方法として、(1)塗工、電子線照射、乾燥を繰り返しても良いし、(2)塗工し電子線照射後に次の層を塗工して乾燥しても良く、(3)多層を同時に塗工し、電子線照射を行う、等の方法がある。
インクについて
本発明のインクジェット記録体にインクジェット記録するためのインクは、像を形成するための色素とこの色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分として含み、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調製される。
インクに使用される染料又は顔料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種着色顔料等が用いられ、それぞれ従来の染料又は顔料から選択することができる。インク中の前記染料及び顔料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して設定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中における染・顔料の含有量、即ち、0.1〜20質量%程度に設定することができる。
前記インク用溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
実施例
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。下記実施例及び比較例においては、下記材料が用いられる。
(1)紙基材A
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100質量部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、市販サイズ剤0.05質量部、硫酸バンド1.5質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量157g/m 2 の紙基材Aを製造した。
(2)樹脂被覆紙の作製用紙基材B
濃度0.5質量%のパルプスラリー(NBKP;ろ水度250mlCSFと、LBKP;ろ水度280mlCSFを、質量比2:8の割合で混合したもの)中にパルプ絶乾質量に対しカチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.4質量%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7質量%を添加し、十分に撹拌して分散させた。上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量101g/m2 、緊度1.0g/cm3 の原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5質量%に調製したもので、このサイズプレス液を、紙の両面に合計25ml/m2を塗布して、平滑度(J.TAPPI No.5−2)が380秒の紙基材Bを作製した。
(3)樹脂被覆紙A
前記紙基材Bの両面にコロナ放電処理を施した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を原紙のフェルト面側に塗工量が15g/m2 になるようにして、また、ポリオレフィン樹脂組成物2(裏面用樹脂組成物)を原紙のワイヤー面側に塗工量が25g/m2 になるようにして、T型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布し、フェルト側を鏡面、ワイヤー側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、不透明度(JIS P8138)が93%、鏡面側(原紙のフェルト側)の平滑度(J.TAPPI No.5−2)が26000秒の樹脂被覆紙Aを製造した。
(4)ポリオレフィン樹脂組成物1
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm3 、メルトインデックス20g/10分)35質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(A−220;石原産業製)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(Irganox1010;チバガイギー製)0.03質量部、群青(青口群青No. 2000;第一化成製)0.09質量部、蛍光増白剤(UVITEX OB;チバガイギー製)0.3質量部よりポリオレフィン樹脂組成物1を調製した。
(5)ポリオレフィン樹脂組成物2
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm3、メルトインデックス20g/10分)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、メルトインデックス4g/10分)35質量部からポリオレフィン樹脂組成物2を調製した。
(6)カチオン性シリカ微粒子A
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、平均粒子径が0.08μmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%の水分散液を調製した。前記10質量%水分散液100質量部に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmの10%の水分散液を調製した。
(7)カチオン性シリカ微粒子B
水60gにテンプレートとしてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合物(旭電化工業製、プルロニックP123)8gと2N塩酸水溶液240gを加えて35℃で攪拌溶解させた。これに1,3,5−トリメチルベンゼン1.6gを攪拌しながら加えた。さらにテトラエトキシシラン17gを攪拌しながら添加し、35℃で20時間攪拌し、90℃で24時間静置した。得られた複合体を濾過し、水洗後48時間風乾し、シリカとテンプレートの複合体粉末を得た。得られた粉末を500℃で6時間焼成しメソポーラスシリカを得た。
得られた粉末を、ホモミキサーにより水中に分散した後、高速流衝突型ホモジナイザーで平均粒子径が0.1μmになるまで粉砕分散し、10質量%の水分散液を調製した。この10質量%水分散液100質量部に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmの10質量%の水分散液を調製した。
(8)カチオン性シリカ微粒子C
(a)活性ケイ酸水溶液の調製
SiO2 濃度:30質量%、SiO2 /Na2 Oモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液(トクヤマ社製、商品名:三号珪酸ソーダ)に蒸留水を混合し、SiO2 濃度:4.0質量%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名:ダイヤイオンSK−1BH)が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO2 濃度は4.0質量%、pHは2.9であった。また、Na2 O換算濃度は0.1質量%以下であった。
(b)シード液の調製
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。
(c)シリカ微粒子分散液の調製
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニア0.015モルを添加して安定化し、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液合計550gを、1.5g/分の速度で添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、シリカ微粒子分散液を得た。この分散液をエバポレーターにて濃縮し、10質量%の水分散液を調製した。
(d)カチオン性シリカ微粒子の調製
前記10質量%シリカ水分散液100質量部に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10質量部を添加し、平均粒子径が0.15μmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%の水分散液を調製した。
(9)アルミナ微粒子A
平均粒子径約3.0μmの高純度アルミナ(住友化学工業社製、商品名:AKP−G015、γ結晶酸化アルミナ、平均1次粒子径:約0.1μm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.25μmになるまで液流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散操作を繰り返し、濃度:10質量%の水分散液を調製した。
参考例1〕
(1)塗工液A
カチオン性シリカ微粒子A100部に、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度3500、けん化度88.5%)18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
(2)塗工液B
一次粒子分散体コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径:0.045μm)100質量部に、バインダーとしてエマルション型アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:0.03μm、Tg=−20℃)15質量部、離型剤(オレイン酸アンモニウム)5質量部を水中で混合して5質量%水分散液を調製した。
(3)インクジェット記録体の作製
紙基材Aの1面上に、カチオン性シリカ微粒子とポリビニルアルコールを主成分とする塗工液Aを、塗工量が25g/m2になるように塗工した後、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面は塗料がゼリー状の固体となっており、ハイドロゲル化していた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を乾燥させ、第1内側塗工層を形成した。この第1内側塗工層上に、塗工液Bを塗工量が2g/m2になるように塗工し乾燥し、最外表面塗工層を形成して、インクジェット記録体を作製した。
参考例2〕
参考例1と同様にしてインクジェット記録紙を作製した。但し、参考例1と同様にして最外表面塗工層用塗工液Bを塗工後、それが湿潤状態にある間に、表面温度が95℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥、剥離させて高光沢性最外表面塗工層を形成した。
参考例3〕
参考例2と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、最外表面塗布層形成用塗工液として、塗工液Bの代りに下記組成の塗工液Cを用いた。
塗工液C
カチオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AK−L)100質量部、カチオン性シリカ微粒子A100質量部、エマルション型カチオン変性アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:0.03μm、Tg=−20℃)20質量部、離型剤(ステアリン酸アミド)5質量部を水中で混合して5質量%水溶液を調製した。
参考例4〕
参考例2と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、最外表面塗工層形成用塗工液として、塗工液Bの代りに、組成を有する下記塗工液Dを用いた。
塗工液D
カチオン性シリカ微粒子A100質量部と、エマルション型カチオン変性アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:0.03μm、Tg=−20℃)20質量部と、離型剤(ステアリン酸アミド)5質量部とを水に混合して5質量%水溶液を調製した。
参考例5〕
樹脂被覆紙Aの鏡面側(原紙のフェルト側)にコロナ放電処理を施し、このシートの前記処理面上に、塗工液Aを塗工量が25g/m2になるように塗工した後、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量30kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面は塗料がゼリー状の固体となっており、ハイドロゲル化していた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を乾燥させ、第1内側塗工層を形成した。この第1内側塗工層上に、塗工液Dを95℃にてニップキャスト(第1塗工層が鏡面ドラムに圧接される直前に、プレスロール上の第1塗工層面と鏡面ドラムの間に塗工液Dを付与し、直ちに圧着させる方式による鏡面仕上)し、最外表面塗工層を形成して、インクジェット記録体を作製した。この最外表面塗工層の塗工層は0.5g/m2であった。
参考例6〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1内側塗工層形成用塗工液Aの代りに下記組成の塗工液Eを用いた。
塗工液E
カチオン性シリカ微粒子B100質量部と、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度3500、けん化度88.5%)20質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2質量部との混合物から水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
参考例7〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1内側塗工層形成用塗工液Aの代りに下記組成の塗工液Fを用いた。
塗工液F
カチオン性シリカ微粒子C100質量部と、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−145、重合度4500、けん化度98.5%)20質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2質量部とを水中に混合して、水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
参考例8〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録紙を作製した。但し、最外表面塗工層形成用塗工液Cの代りに下記組成の塗工液Gを用いた。
塗工液G
アルミナ微粒子A100質量部とエマルション型カチオン変性アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:0.03μm、Tg=−20℃)7質量部と、離型剤(ステアリン酸アミド)3質量部とを混合し、この混合物を水中に分散して、5質量%水分散液を調製した。
参考例9〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、参考例4において用いられたエマルション型カチオン変性アクリル樹脂ラテックスに含まれるガラス転移温度が−20℃のカチオン変性アクリル樹脂の代りに、ガラス転移温度が10℃のカチオン変性アクリル樹脂を含むものを用いた。
参考例10〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、参考例4において用いられたカチオン変性アクリル樹脂ラテックスにおいて、それに含まれる−20℃のガラス転移温度を有するカチオン変性アクリル樹脂の代りに50℃のガラス転移温度を有するカチオン変性アクリル樹脂を含むものを用いた。
参考例11〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、参考例4のカチオン変性アクリル樹脂含有ラテックスの樹脂含有粒子の平均粒子径を30nmから60nmに変更した。
参考例12〕
紙基材Aの1面上に、下記組成を有する塗工液Hを塗工量が10g/m2になるように塗工、乾燥して第2内側塗工層を形成した。この第2内側塗工層上に、水塗りを施した後、塗工液Aを塗工量が15g/m2になるように塗工した後、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面は塗料がゼリー状の固体となっており、ハイドロゲル化していた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を乾燥させ、第1内側塗工層を形成した。更に、この第1内側塗工層上に最外表面塗工層用塗工液Dを塗工量が2g/m2になるように塗工した後、湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥、剥離させてインクジェット記録体を作製した。
塗工液H
平均粒子径1.8μmの非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:F−80)100質量部と、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235)30質量部とを混合し、この混合物を水中に分散・溶解して20質量%水溶液を調製した。
〔実施例
紙基材A上に、10質量%の硼砂水溶液を、乾燥塗工量が1.5g/m2になるように、塗布し、その上に塗工液Aを、その塗工量が15g/m2になるようにWet on Wet法(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)により塗工、乾燥し、第1内側塗工層を形成した。この第1内側塗工層上に、塗工液Dを塗工量が2g/m2になるよう塗工し、それが湿潤状態にある間に、表面温度が95℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥、剥離して最外表面塗布層を形成してインクジェット記録体を作製した。
参考例1
参考例4と同様にインクジェット記録体を作製した。但し、塗工液A、D中のカチオン性シリカ微粒子Aの粒径を0.6μmに調整した。
〔比較例1〕
参考例4と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、参考例4の最外表面塗工層(塗工液D)のバインダーを、エマルション型カチオン変性アクリル樹脂ラテックスの代りにポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−124、重合度2400、けん化度98.5%)に変更した。
〔比較例2〕
紙基材Aの1面上に、下記組成の塗工液Iを塗工量が10g/m2になるように塗工、乾燥させて第1内側塗工層を形成した。この第1内側塗工層上に、塗工液Bを塗工量が2g/m2になるように塗工乾燥した後、それが湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥、剥離して最外表面塗工層を形成してインクジェット記録体を作製した。
塗工液I
カチオン性シリカ微粒子A100質量部と、バインダーとしてカチオン性水性ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、商品名:F−8564D、Tg=70℃)20質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2質量部とを水中で混合して水分散液(質量:15質量%)を調製した。
〔比較例3〕
参考例4と同様にインクジェット記録体を作製した。但し、塗工液D中のカチオン性シリカ微粒子Aの粒径を0.8μmに調整した。
〔比較例4〕
参考例4と同様にインクジェット記録体を作製した。但し、塗工液A中のカチオン性シリカ微粒子Aの粒径を0.8μmに調整した。
〔比較例5〕
参考例4と同様にインクジェット記録体を作製した。但し、塗工液A、D中のカチオン性シリカ微粒子Aの粒径を0.8μmに調整した。
〔比較例6〕
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Kを塗工量が8g/m2になるように塗工、乾燥し、第1内側塗工層を形成した。この第1内側塗工層上に、下記組成の塗工液Lを塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥させて最外表面塗工層を形成した。次にこの積層体をカレンダー処理に供し、最外表面塗工層の表面がチルドロールに接するようにして、カレンダー処理(チルドロール表面温度50℃、線圧100kg/cm)を施し、インクジェット記録体を作製した。
塗工液K
非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール X−37B)100質量部と、ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA−117、重合度1700、けん化度98.5%)30質量部、単分散体コロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名:ST−O、平均粒子径:0.015μm)30質量部と、カチオン性染料定着剤(住友化学社製、商品名:スミレズレジン1001)20質量部とを水中に混合して15質量%水分散液を調製した。
塗工液L
平均粒子径が0.2μmのポリスチレン系有機粒子(旭化成工業社製、商品名:L8999)100質量部と、バインダーとしてスチレン・ブタジエン系ラテックス(日本合成ゴム社製、商品名:0693、平均粒子径:0.135μm)30質量部と、離型剤(オレイン酸カリウム)2質量部とを水中に混合した25質量%水分散液を調製した。
〔比較例7〕
紙基材上に、塗工液Kを塗工量が8g/m2になるように塗工し乾燥して第1内側塗工層を形成した。この第1内側塗工層上に、塗工液Lを塗工量が3g/m2になるように塗工し、それが湿潤状態にある間に、表面温度が95℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥、剥離して最外表面塗工層を形成しインクジェット記録紙を作製した。
〔比較例8〕
(1)シリカ微粒子D
平均粒子径4.5μmの非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール X−45、平均1次粒子径:約0.015μm)を圧力式ホモジナイザーを用いて、平均粒子径が0.05μmになるまで分散操作を繰り返し、濃度10質量%の水分散液を調製した。
(2)インクジェット記録体の作製
紙基材上に、下記組成の塗工液Mを、塗工量が15g/m2 になるように、塗工、乾燥して第2内側塗工層を形成した。この第2内側塗工層上に下記組成の塗工液Nを、乾燥重量が3g/m2 になるように塗工、乾燥して第1内側塗工層を形成した。続いて、この第1内側塗工層上に、下記組成の最外表面塗工層用塗工液Oを、塗工量が2g/m2になるように、塗工し、それが湿潤状態にある間に、表面温度が100℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥、剥離して最外表面塗工層を形成しインクジェット記録体を作製した。
塗工液M
平均粒子径が6.0μmの非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、1次粒子径:0.015μm)80質量部と、平均粒子ゼオライト(トーソー社製、商品名:トヨビルダー、平均粒子径:1.5μm)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20質量部と、ガラス転移点75℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体と粒子径0.03μmのコロイダルシリカとの複合体エマルジョン(共重合体とコロイダルシリカは重量比で40:60、エマルジョンの粒子径は0.08μm)40質量部と、蛍光染料(住友化学社製、商品名:WhitexBPSH)2質量部とを水中に混合し水分散液(濃度20質量%)を調製した。
塗工液N
シリカ微粒子D100質量部と、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(カチオン性化合物、日東紡績社製、商品名:PAS−J−81)10質量部と、カチオン性水性ポリエーテルポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、商品名:F−8564D)30質量部とを水中に混合して水分散液(濃度:13質量%)を調製した。
塗工液O
シリカ微粒子D100質量部と、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(カチオン性化合物、日東紡績社製、商品名:PAS−J−81) 25質量部と、カチオン性水性ポリエステルポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、商品名:F−8570D、Tg=12℃)60質量部と、離型剤(ステアリン酸アミド)2質量部とを水中に混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
評価方法
実施例1、参考例1〜13および比較例1〜8の各々において製造されたインクジェット記録体の最外表面塗工層の細孔直径の分布曲線上のピーク、インク吸収性、画像均一性、印字濃度、光沢感および顔料インク適性を、下記に示す方法で評価した。またインクジェット記録を、インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−950C、印字モード:PM写真用紙 きれいモード)を用いて行った。なお、顔料インク適性評価の場合には、プリンターとして、EPSON社製、商標:PM−4000PXを用い、インクジェット記録を、印字モード:MC光沢紙 はやいモードを使用して行った。評価結果を表1に示す。
(1)細孔直径分布曲線上のピーク
本発明に規定されている細孔直径分布曲線におけるピークの測定方法について説明する。測定方法において、基材の影響を避けるために、基材から塗工層をカッター等で剥がし取って測定に供した。細孔直径の分布は、測定器としてマイクロメトリックス・ポアサイザー9320(モテル、島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた。水銀圧入法による細孔直径の測定は、細孔の断面を円形と仮定して導かれた下記の式を使って計算した。
R=−2γCOSθ/P
ただし、式中Rは細孔半径(2R=細孔直径)を表し、γは水銀の表面張力を表し、θは接触角を表し、Pは圧力を表す。
水銀の表面張力は48.2536μN/cm(482.536dyn/cm)であり、使用接触角は130°であり、水銀圧力の低圧部(0〜約0.207MPa(0〜30psia)、測定細孔半径:180〜3μm)と高圧部(0〜約207MPa(0〜30000psia)、測定細孔半径:3〜0.003μm)にて測定した。
細孔直径分布は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に細孔内に進入した水銀の体積すなわち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した細孔直径(2R)と細孔容積との関係を描き、この関係曲線の微分係数dV/d(2R)を求めて縦軸とし、細孔直径2Rを横軸にすることで求められる。塗工層の細孔直径分布曲線には通常1〜数個のピークが認められる。
(2)インク吸収性(印字斑)
供試された記録体にグリーン色インクをベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の4段階に評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題がない。
△:印字斑が見られ、実用性が低い。
×:印字斑が多い。
(3)画像均一性(ドットの真円性)
供試された記録体にISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像の均一性(背景部)を目視で観察し、下記2段階に評価した。ドットが真円状であれば、ドットとドットが多く重なっている部分は極めて均一になるが、ドットの真円性が低下するほど、画像の均一性が低下する。
○:画像が均一で斑が見えない(ドットは真円に近くで、エッジ部にギザギザは全く見られない)。
×:画像が不均一で、斑が見られる(ドットの真円性が低く、エッジ部がギザギザである)。
(4)記録画像の色濃度
黒色インクによりベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Macbeth RD−920、マクベス社製)で測定した。
(5)光沢
供試された記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像を、記録体表面に対して傾斜している角度から目視し、下記の3段階に評価した。
○:銀塩写真と同レベルの光沢がある。
△:銀塩写真よりやや劣るレベルの光沢がある。
×:従来の光沢インクジェット記録体と同等又は低い光沢がある。
(6)顔料インク適性
供試された記録体に黒色顔料インクによりベタ印字を施し、ベタ印字部の均一性、及び記録工程において搬送ロールにより形成された拍車跡を下記4段階に評価した。
◎:印字斑、拍車跡は、全く見られない。
○:印字斑、拍車跡は、多少あるが、実用上問題はない。
△:印字斑、拍車跡が見られ、実用性は低い。
×:印字斑、拍車跡が多い。
Figure 0004124083
本発明方法で得られたインクジェット記録体はインク吸収性が良好で、インク受容層(特に第1内側塗工層および最外表面塗工層)にひび割れがなく、記録画像のドットの真円度が高いため、記録画像の品質は極めて良好である。本発明方法により得られるインクジェット記録体は、写真と同等の画像品質を有する染料インク画像及び顔料インク画像記録に有用なものである。

Claims (9)

  1. 基材の少なくとも1面上に、互に積層された複数の塗工層からなるインク受容層を形成するに際し、
    前記インク受容層の最外表面塗工層を、平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料粒子と、水不溶性合成樹脂ラテックスを主成分として含むバインダーとを含み、多孔質構造と0.1〜2g/m2の塗工量を有する塗工層により形成し、かつこれに鏡面仕上げを施し、
    前記インク受容層の最外表面塗工層に隣接する第1内側塗工層を、平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料粒子と、ポリビニルアルコールを主成分とする水溶性樹脂を含む塗料を用い、かつ前記最外面塗工層の10〜50倍の塗工量を有する塗工層から形成し、このとき、第1内側塗工層用塗料の塗布層に対し、その塗布の前に、前記ポリビニルアルコールに架橋性を有する化合物を前記第1内側塗工層を形成する前記基材の表面に予め塗布しておくことにより、増粘・架橋処理を施して、前記第1内側塗工層用塗料層を成膜し、それによって、前記第1内側塗工層に隣接して形成された最外表面塗工層の細孔直径分布曲線が、細孔直径が0.001〜0.1μmの領域においてピークを示すようにすることを特徴とする、インクジェット記録体の製造方法。
  2. 前記インク受容層に含まれる微細顔料が、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、シリカ−カチオン性化合物凝集体微細粒子、アルミナ及びアルミナ水和物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  3. 前記インク受容層に含まれる湿式法シリカが、コロイド状シリカシード粒子の水性分散液中にアルカリ水溶液を添加し、さらに活性珪酸及びアルコキシシランからなる群から選ばれた少なくとも1種の水溶液を、徐々に添加することにより調製され、二次シリカ微粒子の形状を有しているものである、請求項2に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  4. 前記インク受容層に含まれるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子が、シリカの水性分散液にカチオン性化合物を混合することによって調製されたものである、請求項2に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  5. 前記基材が、透気性の紙又は合成紙からなる、請求項1に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  6. 前記インク受容層の最外表面塗工層に含まれる水不溶性合成樹脂ラテックスがカチオン性を示し、かつ前記ラテックス中の水不溶性合成樹脂含有粒子の平均粒子径が0.01〜0.08μmである、請求項1に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  7. 前記インク受容層の最外表面塗工層に含まれる水不溶性合成樹脂ラテックスに含まれる水不溶性合成樹脂が、−50〜30℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  8. 前記第1内側塗工層が多孔質構造を有し、その細孔直径分布曲線において、細孔直径が0.001〜0.1μmの領域にピークを有する、請求項1に記載のインクジェット記録体の製造方法。
  9. 前記インク受容層の最外表面塗工層及び第1内側塗工層のそれぞれのヘイズ値が3〜30%であり、かつ最外表面塗工層及び第1内側塗工層のヘイズ値の合計が5〜40%である、請求項1〜4及び6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録体の製造方法。
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