JP4337717B2 - インクジェット記録体 - Google Patents
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Description
顔料インク中の着色顔料は塗工表面に留まり易く、これまでに供されている染料インク対応の高光沢のインクジェット記録体では、顔料インクの定着性や擦過性が劣っているため、染料、顔料インクともに高画質で印画可能な記録メディアが強く要望されている。
同様に、特開平7−117334号公報(特許文献3参照)には、平均粒子径0.1μm以下の微細顔料を用い、塗膜のひび割れの制御が記載されているが、いずれも、光沢、画像濃度が高く、均一性も極めて優れるインクジェット記録体が得られるが、プリンタの高速化が著しく進歩したため、インク吸収速度の面で大きな難点が残った。
本発明者らは、特開2001−341412号公報(特許文献5参照)に、耐光性向上の目的で、塗膜に硼酸などを配合することを開示したが、各層の細孔分布におけるピークの制御によるインク吸収性などが考慮されておらず、最近発売されたインク量の多いフォトプリンタを使用した場合には、インク吸収速度が不足するという問題が生じた。
特開平3−96333号公報(特許文献9参照)には、細孔分布曲線におけるピークを0.06〜2.0μmにする記載があるが、染料を定着する多孔質層の細孔を0.06〜2.0μmにすると、ドットの真円性が崩れ、画像の均一性が得られなかった。
特開2001−10220号公報(特許文献10参照)には、2層以上の構成のインク定着層で、インク定着層中の顔料には、平均粒子径1μm以下の微細顔料を使用し、かつインク定着層の表層をキャスト加工することにより、画像濃度、光沢、インク吸収性などを同時に解決することが記載されているが、塗膜のひび割れを制御することが出来ず、得られたインクジェット記録体は、ドットの真円性が劣り、画像の均一性が極めて低く、インク吸収性も不分であった。
特開平10―71764号公報(特許文献11参照)には、光沢、画像濃度、画像の均一性を改良する目的で、インク受容層にサブミクロンオーダーの湿式シリカを導入し、インク受容層の細孔径分布曲線のピークを100nm(0.1μm)以下に制御ことが記載されている。湿式シリカは塗工時のひび割れ制御が極めて困難で、また、インク吸収性(塗工層のポーラス度)も不十分であるため、改良が不可欠である。
〔1〕基材と、前記基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層のバインダーがエマルションラテックスであり、第1塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが、0.1〜10μmに少なくとも1つあり、前記第1塗工層上の第2塗工層のバインダーは重合度2000以上のポリビニルアルコールを主成分とし、該ポリビニルアルコールは層中の架橋性を有する化合物により架橋され、第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ第2塗工層中に気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有し、第2塗工層上に、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料を主成分とする第3塗工層を有し、前記第3塗工層が、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られることを特徴とするインクジェット記録体。
〔2〕前記第1塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークは、0.04μm以下と0.2〜5μmにそれぞれ少なくとも1つあり、かつ前記第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークは、実質的に0.04μm以下にある〔1〕記載のインクジェット記録体。
〔3〕前記第1塗工層のPB比(顔料/バインダーの比率、以下PB比と記す)は2〜5、第2塗工層のPB比は4〜12であり、かつ第2塗工層のPB比は第1塗工層のPB比より大きい〔1〕または〔2〕記載のインクジェット記録体。
〔4〕前記第2塗工層のPB比は第1塗工層のPB比の1.2〜4.5を有する〔3〕記載のインクジェット記録体。
〔5〕前記第1塗工層は、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7〜3μmの顔料を主成分とし、前記第2塗工層は、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7μm以下の顔料を主成分とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のインクジェット記録体。
〔6〕前記アルミナは、気相法アルミナである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のインクジェット記録体。
〔7〕前記第1塗工層及び第2塗工層の顔料は、シリカを主成分とし、かつ、前記第1塗工層中のシリカは湿式法シリカであり、前記第2塗工層中のシリカは気相法シリカである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のインクジェット記録体。
〔8〕前記第2塗工層中のシリカ顔料は、カチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を1.0μm以下に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(基材)
本発明の基材としては、例えば、非透気性基材として、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、ポリエチレンラミネート紙、金属フォイル、合成紙などのシート類が適宜使用される。一方、透気性基材として、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類が適宜使用される。
中でも、写真調にする為にはアート紙、コート紙、バライタ紙、ポリエチレンラミネート紙(特に酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂被覆紙、所謂RC紙)が好ましい。
さらに好ましくは、高光沢を得る目的で、最表層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、好ましくは圧着、乾燥させるため、透気性基材を使用する。透気性基材としては、透気性を有する基材であれば特に限定されるものではなく、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、あるいは中性紙等の紙基材が適宜使用される。また透気性を有する樹脂シート類や不織布類などでも用いることができる。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類が適宜使用される。
本発明の規定の細孔直径分布曲線におけるピークについて説明する。 測定方法としては、支持体の影響を避けるために、塗工層をカッター等で剥がし取り測定に用いた。細孔分布は、マイクロメトリックス・ポアサイザー9320(島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた。水銀圧入法による細孔直径の測定は、細孔の断面を円形と仮定して導かれた下記の式を使って計算した。
R=−2γCOSθ/P
ただし、式中でそれぞれR:細孔半径(2R=細孔直径)、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。
水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力の低圧部(0〜30psia、測定細孔半径:180〜3μm)と高圧部(0〜30000psia、測定細孔半径:3〜0.003μm)にて測定した。
細孔直径分布は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に細孔内に進入した水銀の体積すなわち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した細孔直径(2R)と細孔容積との関係を描き、この関係曲線の微分係数dV/d(2R)を求めて縦軸とし、細孔直径2Rを横軸にすることで求められる。塗工層の細孔直径分布曲線は通常1〜数個のピークが認められる。
第1塗工層及び第2塗工層を設ける目的、構成および形成方法について説明する。
第1塗工層は、インク中の溶媒をすばやく分離吸収するのが主な目的である。第1塗工層が溶媒をすばやく分離することで、第2塗工層は、インク中の染料や顔料を斑なく定着させることが可能となる。第2塗工層は、インク中の染料や顔料をすばやく定着させ、高発色(高印字濃度)、均一画像(ドットの真円性)を得るのが目的である。第1塗工層及び第2塗工層が機能分離し、得られたインクジェット記録体は、インク吸収速度が速く、画像の均一性が極めて優れたものである。
第1塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークを0.1〜10μmに少なくとも1つ設けると、プリンタヘッドから飛来するインク中の溶媒の分離速度が格段に向上する。第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークを実質的に0.06μm以下にすることで、第2塗工層に定着された染料や顔料は、高発色(高印字濃度)になり、均一な画像(ドットの真円性)を形成する。
塗料を増粘または架橋させる方法は、特に限定されず、例えば、電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工直後に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗工層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、前記第1塗工層が、ポリビニルアルコールを含有し、塗工直後に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、感温性ポリマー(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工直後に塗工温度を低下させることによって、塗工層を増粘させる方法を例示できる。
感温ポリマーを使用する場合、バインダーとして使用することがインク吸収性の点からより効果的である。
上記構成の第2塗工層を得るためには、第2塗工層が塗布と同時に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、塗料を増粘または架橋させて成膜して製造される。
本発明は塗布と同時に、または形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、塗料を増粘または架橋させる方法として、ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法が選択される。
透明性がある塗工層は、一般的にはインクを吸収しないと言われているが、第2塗工層の成膜性とインク吸収性を両立させることが本発明の最も重要なポイントであるため、それを実現するには、単に、塗工層が構成される顔料を小さくするだけでは達成できない。
そこで、本発明者らは、塗工層上に光の波長より大きい細孔をなくすことが不可欠であることを見出し、鋭意検討した結果、第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に光の波長より小さい0.06μm以下、つまり、塗膜にひび割れがなく、顔料とバインダーなどを連続膜に制御することで達成される。
第1塗工層に用いる顔料としては、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、メソポーラスシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料を単独又は2種以上混合して使用してもよい。中でも、画像濃度、インク吸収性の点で、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、メソポーラスシリカ、アルミナ、アルミナ水和物(特に、擬ベーマイト)、アルミノシリケート、炭酸カルシウムが好ましい。
第2塗工層に用いる顔料としては、細孔直径分布曲線におけるピークを実質的に0.06μm以下に制御する必要があるため、例えば、乾式シリカ、メソポーラスシリカ、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、及びアルミナ水和物から少なくとも1種が選ばれる。中でも、塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点で、気相法シリカやアルミナが好ましい。さらに好ましくは、気相法(フュームド)アルミナである。
本発明に用いる気相法シリカは、フュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することが出来る。
本発明に用いるメソポーラスシリカとは1.5〜100nmに平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m2 /gが好ましく、細孔容積としては0.5〜4ml/gが好ましい。メソポーラスシリカの合成方法は特に限定されないが、米国特許第3556725号明細書に記載されている、シリカのアルコキシドをシリカ源として、長鎖のアルキルを含む4級アンモニウム塩をテンプレートとした合成方法、特表平5−503499号公報等に記載されているアモルファスシリカ粉末やアルカリシリケート水溶液をシリカ源として、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスホニウム塩をテンプレートとする水熱合成法、特開平4−238810号公報等に記載されているシリカ源としてカネマイト等の層状ケイ酸塩を、長鎖のアルキルアンモニウムカチオン等をテンプレートとしてイオン交換法により合成する方法、更にドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン、ノニオン系界面活性剤等をテンプレートとして、シリカ源として水ガラス等をイオン交換した活性シリカを用いて合成する方法などである。ナノポーラスシリカ前駆体からのテンプレートの除去方法としては高温で焼成する方法、有機溶媒で抽出する方法が挙げられる。
本発明に用いるコロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体は特開2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
本発明に用いるアルミナは一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナ酸化物が好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ酸化物(フュームドアルミナ)は最も好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の一次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナ酸化物は、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナの使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
本発明に用いるアルミナ水和物は、特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918)などが挙げられる。
第1及び2塗工層に含有するバインダーとして、従来公知のものが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体や高分子ラテックス(エマルション型、溶剤型、無溶剤型)、合成樹脂エマルションなどの水分散性接着剤、感温性ポリマー等が挙げられる。第1塗工層に含有するバインダーとしては、高分子ラテックスを使用することで塗膜強度が強く、第2塗工層に含有する架橋剤の影響で塗膜が脆くなることも殆どないので、高分子ラテックスが好ましい。本発明は、中でも、塗料の分散安定性からエマルション型のラテックスを主成分とする。さらに好ましくは、塗膜強度と塗料安定性からアクリル系エマルション型ラテックス、ウレタン系エマルション型ラテックスである。勿論、インク吸収性などの調整で他の水溶性バインダーを含有しても問題はない。第2塗工層のバインダーとしては、本発明は、顔料との接着性の点で、ポリビニルアルコールを主成分とすることが好ましく、また、インク吸収性及びひび割れ制御の点から重合度2000以上のポリビニルアルコールを使用する。重合度3500以上、ケン化度95%以上のポリビニルアルコールがさらに好ましい。重合度4000以上、ケン化度97%以上のポリビニルアルコールが最も好ましい。インク吸収性などを改善する意味で2種以上のバインダーを併用しても良い。
ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物は、例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明ばん、硼酸及び硼砂などのホウ素含有化合物が挙げられる。本発明では、特に、硬膜効果が優れるホウ素含有化合物が好ましく、その中でも特に硼砂がより好ましい。
第1塗工層は、細孔直径分布曲線におけるピークを0.1〜10μmに少なくとも1つ有する。第2塗工層の成膜性向上およびインク中の溶媒成分の分離速度を更に向上する為には、第1塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークは、0.04μm以下と0.2〜5μmにそれぞれ少なくとも1つを有するのが好ましく、0.03μm以下と0.5〜2μmにそれぞれ1つを有するのが更に好ましい。
第1塗工層の顔料は、細孔直径分布曲線におけるピークが、0.1〜10μmに少なくとも1つあれば、特に限定するものではないが、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7〜3μmの顔料が好ましい。インク吸収性とインクジェット記録体の表面平滑性をさらに良くするためには、平均1次粒子径0.005〜0.025μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径1.0〜2.5μmの顔料がより好ましい。
第1塗工層上に設ける第2塗工層は、上記顔料とバインダーを含有する。特に、細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下、つまり、ひび割れをなくす必要性から、顔料としては、成膜性が良好な気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有することが必要である。
第2塗工層は、細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下に制御する必要がある。染料や顔料をインクからすばやく分離し、かつ高印字濃度を得るためには、細孔直径分布曲線におけるピークは、0.04μm以下が好ましく、0.025μm以下がより好ましい。本発明で言う実質的に細孔直径分布曲線におけるピークが0.06μm以下の意味は、塗膜に多少のひび割れやごみの付着(例えば、10cm2当たりにひび割れやごみのトータル量が20個以下程度)に起因する細孔は、塗工層全体のインク吸収容量から見れば殆ど無視出来るレベルである。
また、顔料としてシリカ系顔料を使用する場合は、シリカとカチオン性化合物を混合し凝集させることによって得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を1.0μm以下に粉砕したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子であることが望ましい。この場合、カチオン性化合物は、前記記載のカチオン性化合物から適宜選択される。特にインク中の染料や顔料の定着性、分散性から1)5員環アミジン類、2)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が好ましい。
成膜性を向上する目的でポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物が含有され、その中でもホウ素含有化合物を含有した方が好ましい。ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物の含有量は、ポリビニルアルコール100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。少ないと架橋の効果が得られにくく、多いと塗膜が硬くなりすぎて、塗工層が折り割れし易いという問題が生じるおそれがある。
また、第2塗工層の細孔容積は、0.3〜1ml/gの範囲に調節されるのが好ましく、0.5〜0.8ml/gがより好ましい。細孔容積が少ないとインク吸収速度が不足し、一方、多すぎると塗膜の透明性が低下し、印字濃度が著しく低下するおそれがある。
第1塗工層のPB比は2〜5の範囲であれば問題がなく、インク吸収性と塗膜強度のバランスから2.2〜4の範囲が好ましく、2.5〜3.5の範囲がさらに好ましい。
PB比が2より小さいとインク吸収速度の制御ができず、ビーディングが生じるおそれがあり、4を超えると塗膜の強度が著しく低下し、実用性がなくなる。
本発明では、第2塗工層上に第3塗工層を設けることにより光沢を高める。第3塗工層は、光沢発現を主目的とし、染料定着機能は、特に必要とするものではない。
第3塗工層の顔料は、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料である。中でも0.01〜0.06μmの単分散コロイダルシリカが、光沢感が良好である。前記の単分散コロイダルシリカは、カチオン変性コロイダルシリカであっても良い。
第3塗工層は、インク吸収性を阻害しない限り、前記記載の第1塗工層及び第2塗工層に用いられるバインダーを適宜含有してもよい。
第3塗工層の塗工量は、0.1〜10g/m2の範囲が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましく、0.5〜2g/m2がさらに好ましい。塗工量が少ないと、塗膜が薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が多いと、インク吸収速度が著しく低下するおそれがある。
本発明は基材と第1塗工層の間に、基材と第1塗工層の密着性の改良や更なるインク吸収性の改善などの目的で、別の塗工層を設けることが可能である。また、カールや搬送性などを改良する目的で裏面層を設けることも可能である。また、写真の風合いを出すために裏面層にポリエチレン層を設けても良い。
第1、第2及び第3塗工層を得るための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。勿論、2層以上塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法であるWet on Wetで塗工することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクとしては、画像を形成するための色素(染料、顔料)と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整される。
中でも、顔料インク中に水溶性有機溶剤として、1,2−ヘキサンジオールおよびグリセリンを含有し、かつ、両者の合計が水溶性溶剤の80%以上である顔料インクと本発明の記録体との組合せが、耐擦過性の点で好適である。
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
水60gにテンプレートとしてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合物(旭電化工業製、プルロニックP123)8gと2N塩酸水溶液240gを加えて35℃で攪拌溶解させた。これに1,3,5−トリメチルベンゼン1.6gを攪拌しながら加えた。さらにテトラエトキシシラン17gを攪拌しながら添加し、35℃で20時間攪拌し、90℃で24時間静置した。得られた複合体を濾過し、水洗後48時間風乾し、シリカとテンプレートの複合体粉末を得た。得られた粉末を500℃で6時間焼成しメソポーラスシリカを得た。
得られた粉末を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.1μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
(活性ケイ酸水溶液の調製)
SiO2 濃度30重量%、SiO2 /Na2 Oモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液〔(株)トクヤマ製、三号珪酸ソーダ〕に蒸留水を混合し、SiO2 濃度4.0重量%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂〔三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH〕が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO2 濃度は4.0重量%、pHは2.9であった。また、Na2 O換算濃度は0.1重量%以下であった。
(シード液の調製)
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。
(シリカ微粒子分散液の調製)
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニアを0.015モル添加し安定化させ、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計550g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、シリカ微粒子分散液を得た。
平均粒子径2.0μmの湿式法シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD、平均1次粒子径:約0.013μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.4μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.6μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した
容量2Lのガラス製反応容器(セバラブルフラスコ、攪拌羽根・温度計付き)に、イソプロピルアルコール100gを仕込み、オイルバスヒーターにより液温を60℃に加熱した。攪拌羽根(直径3cm、3枚羽根)を100rpmで回転させて攪拌しながら、アルミニウムイソプロポキシド(和光純薬工業社製)5gを添加した後、酸触媒として酢酸(和光純薬工業社製)1.0gを添加して、温度を保ちながら24時間環流した。これとは別に、同上のガラス製反応容器にイオン交換水100gを仕込み、60℃に加温した後、オルト珪酸エチル(和光純薬工業社製)1.8gを添加した後、酸触媒として硝酸(和光純薬工業社製)1gを添加して、温度を保ちながら24時間環流した。ついで上述のオルト珪酸エチル−硝酸−イオン交換水溶液を、アルミニウムイソプロポキシド−酢酸−イソプロピルアルコール溶液に加えて、60℃で6時間攪拌を続けてアルミナシリケート微粒子を製造した。ついで60℃に加温してエバポレーターで濃縮し、アルミナシリケートの凝集体を得た。得られた粒子のアルミナ:シリカの組成比は3:2であり、1次粒子の粒径が10nmであった。次に、凝集体に水を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、超音波ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が60nmになるまでサンドグラインダーと超音波ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、8%の水溶液を試作した。
平均粒子径約3.0μmの高純度アルミナ(住友化学工業社製、商品名:AKP−G015、γ結晶酸化アルミナ、平均1次粒子径:約0.1μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.25μmになるまでサンドグラインダーと液流衝突型ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水溶液を調製した。
[塗工液A]
平均粒子径1.5μmの湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均1次粒子径:約0.009μm)100部に、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−224)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部、カチオン性化合物としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(日東紡社製、商品名:PAS−J−81)2部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:15%)を調整した。
[塗工液B]
シリカ微粒子A100部に、バインダーとして重合度7500、ケン化度98%のポリビニルアルコール20部、カチオン変性アクリル樹脂5部を混合し、5%の水溶液を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
市販塗工紙(王子製紙社製、商品名:OKコート、127.9g/m 2 )に、塗工液Aを塗工量が10g/m 2 になるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、水塗り後、塗工液Bの塗工量が2.5g/m 2 になるように塗工乾燥し、第2塗工層を得、インクジェット記録体を作製した。
比較例1のシリカ微粒子Aをシリカ微粒子Bに変更した以外は、比較例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例1のシリカ微粒子Aをシリカ微粒子Cに変更した以外は、比較例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
[塗工液C]
気相法酸化アルミナ(CABOT社製、商品名:PG003)100部に、バインダーとして重合度7500、ケン化度98%のポリビニルアルコール9部を混合し、10%の水溶液を調整した。
塗工液Bの塗工層を塗工液Cの塗工層に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
[塗工液D]
平均粒子径約0.4μmの擬ベーマイト(触媒化成社製、商品名:AS−3)100部に、バインダーとして重合度7500、ケン化度98%のポリビニルアルコール12部を混合し、10%の水溶液を調整した。
塗工液Bの塗工層を塗工液Dの塗工層に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
[塗工液E]
塗工液A中のシリカを平均粒子3μmの湿式法シリカ(水澤化学工業社製、商品名:ミズカシル P−78A、平均1次粒径:約0.007μm)に、バインダーをシリル変性ポリビニルアルコール35部に変更した以外は比較例1と同様に塗工液Eを調整した。
[塗工液F]
シリカ微粒子A100部に、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98.5%)17部を混合し、8%水溶液を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
市販塗工紙(王子製紙社製、商品名:マシュマロ、186.1g/m 2 )に、塗工液Eを塗工量が10g/m 2 になるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、3%の硼砂水溶液の塗工量が0.15g/m 2 であり、塗工液Fの塗工量が5g/m 2 になるようにWet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件で塗工、乾燥し、第2塗工層を得、インクジェット記録体を作製した。
塗工液E中のシリカを平均粒子径1.5μmの湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均1次粒子径:約0.009μm)に変更した以外は、比較例6と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
塗工液Eのシリカを平均粒子径1.5μmの湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均1次粒子径:約0.009μm)に、バインダーをシリル変性ポリビニルアルコール10部、アクリルエマルション(粒径:80nm)34部に変更した以外は比較例7と同様にインクジェット記録体を作製した。
比較例8の第2塗工層が湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させた以外は、比較例8と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
[塗工液H]
単分散体コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、平均粒子径:0.045μm)100部に、バインダーとしてカチオン変性アクリルエマルションラテックス5部、オレイン酸アンモニウム5部を混合した5%水溶液を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
比較例8のインクジェット記録体上に、第3塗工層として塗工量が1g/m2となるように塗工液Hを塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、表面温度100℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させ、インクジェット記録体を作製した。
市販塗工紙(王子製紙社製、商品名:マシュマロ、186.1g/m2)に塗工液Eを塗工量が10g/m2になるように塗工乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、塗工液Fの塗工量が5g/m2になるように塗工、直ちに電子線照射装置(ESI社製エレクトロンカーテン)により加速電圧175Kv、照射線量5Mradの電子線を照射した。照射後、塗膜がゼリー状になっていることを確認し、塗膜を乾燥後、第2塗工層を得た。
市販塗工紙(王子製紙社製、商品名:マシュマロ、186.1g/m2)に塗工液Eを塗工量が10g/m2になるように塗工乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、バインダーのみを感温性ポリマー(旭化成社製、ALB221、感温点:24℃)に変更した塗工液Fの塗工量が4g/m2になるように塗工、塗膜がゲル化になっていることを確認し、塗膜を乾燥後、第2塗工層を得た。
比較例1のシリカ微粒子Aをシリカ微粒子Dに変更した以外は、比較例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例1と同様の基材に、15g/m2になるように塗工液Eを塗工乾燥し、インクジェット記録体を得た。
比較例1と同様の基材に、3%の硼砂水溶液の塗工量が0.2g/m2になるように、塗工液Fの塗工量が15g/m2になるようにWet on Wetの条件で塗工、乾燥し、インクジェット記録体を作製した。
塗工液F中に硼砂を添加しなかった以外は、比較例3と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
[塗工液I]
平均粒子径4.5μmの湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール X−45、平均1次粒子径:約0.01μm)100部に、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−117)30部、カチオン性化合物(住友化学社製、商品名:SR−1001)15部を混合した水分散液(濃度:15%)を調整した。
[塗工液J]
平均粒子径0.085μmの単分散コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−ZL)100部に、バインダーとしてシリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−2105、重合度:500)13部を混合した15%水溶液を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
比較例1と同様の基材に、塗工液Iを塗工量が10g/m2になるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、塗工液Jを塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥し、第2塗工層を得、インクジェット記録体を作製した。
[塗工液K]
シリカ微粒子D100部に、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98.5%)30部を混合した10%水溶液を調整した。
塗工液Kを塗工量が5g/m2になるようにPETフィルム(東レ社製、75μ、商品名:ルミラーT)に塗工、乾燥し、第2塗工層を得た。続いて、第2塗工層上に、第1塗工層の塗工量が10g/m2になるように、塗工液Aを塗工、乾燥した。さらに、予め比較例1と同様の基材に、アクリル酸エステル接着剤(日本カーバイド工業社製、商品名:A−02)を10g/m2塗工し、接着剤面とPETフィルム上の第1塗工層面が接するように貼りあわせた後、PETフィルムを剥がして、インクジェット記録体を作製した。
第1塗工層に塗工液Fを、第2塗工層に塗工液Eを用いた以外は、比較例6と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
比較例1と同様の基材に、塗工液Kを塗工量が10g/m2になるように塗工乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、比較例6と同様にして塗工液Fを第2塗工層として塗工し、インクジェット記録体を作製した。
実施例1、比較例1〜19で得られたインクジェット記録体の細孔分布のピーク、インク吸収性、画像均一性、印字濃度および光沢感は、以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−950C、印字モード:PM写真用紙きれいモード)で行った。
記録体にグリーンベタ印字し、ベタ印字の斑があるかどうかを目視で観察し、以下の4段階で評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生じる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題ないレベル。
△:印字斑が見られ、実用上問題あるレベル。
×:印字斑が多い。
ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、画像の均一性(背景部)を目視で観察し、評価した。ドットが真円状であれば、ドットとドットが多く重なっている部分は極めて均一になるが、ドットが真円性からずれるほど、均一性に欠ける。
○:画像が均一で斑が見えない(ドットは真円で、エッジ部にギザギザは全く見られない)。
×:画像が不均一で、斑が見られる(ドットは真円性がなく、エッジ部がギザギザである)。
黒のベタ印字し、マクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定した。
ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印字部に対して横の角度から目視し、以下の4段階で評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
○:銀塩写真よりやや劣るレベルの光沢感がある。
△:一般市販の光沢インクジェット記録体と同レベル。
×:マットタイプインクジェット記録体と同レベル。
記録体の記録層上にセロハンテープを貼りつけ、軽く指を押さえてから剥離する。
◎:記録層が殆ど取れない。
△:記録層が取れるが、実用上問題ないレベル。
×:記録層がかなり取れて、実用上問題あるレベル。
本発明のインクジェット記録体の顔料インクに対する適性及び顔料インク画像の耐擦過性を評価するために、該記録体に、各顔料インクプリンター(PM−4000PX、EPSON社製)、(PX−G900、EPSON社製)及び(PX−V600、EPSON社製)を用いて、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を記録し、この記録画像について、下記のように評価した。
(イ)顔料インク適性
顔料適性は画像の均一性をもって評価した。
○:画像が均一で全く斑が見られない。
△:画像の斑が見えるが、実用可能レベル。
×:画像の斑が多く、実用不可レベル。
(ロ)顔料画像の耐擦過性
上記の画像を記録後24時間放置し、綿棒で画像部を擦り、その耐擦過性を下記のように評価した。
○:画像部は全く変化が見られない。
△:画像部の一部の顔料がこすり取られた。但し、実用上は問題ないレベル。
×:画像部の顔料がかなりこすり取られ、実用上問題あるレベル。
Claims (8)
- 基材と、前記基材上に少なくとも3層の塗工層を有するインクジェット記録体において、前記塗工層のうち前記基材に近い第1塗工層のバインダーがエマルションラテックスであり、第1塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが、0.1〜10μmに少なくとも1つあり、前記第1塗工層上の第2塗工層のバインダーは重合度2000以上のポリビニルアルコールを主成分とし、該ポリビニルアルコールは層中の架橋性を有する化合物により架橋され、第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ第2塗工層中に気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有し、第2塗工層上に、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料を主成分とする第3塗工層を有し、前記第3塗工層が、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られることを特徴とするインクジェット記録体。
- 前記第1塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークは、0.04μm以下と0.2〜5μmにそれぞれ少なくとも1つあり、かつ前記第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークは、実質的に0.04μm以下にある請求項1記載のインクジェット記録体。
- 前記第1塗工層のPB比(顔料/バインダーの比率、以下PB比と記す)は2〜5、第2塗工層のPB比は4〜12であり、かつ第2塗工層のPB比は第1塗工層のPB比より大きい請求項1または2に記載のインクジェット記録体。
- 前記第2塗工層のPB比は第1塗工層のPB比の1.2〜4.5を有する請求項3記載のインクジェット記録体。
- 前記第1塗工層は、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7〜3μmの顔料を主成分とし、前記第2塗工層は、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7μm以下の顔料を主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録体。
- 前記アルミナは、気相法アルミナである請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録体。
- 前記第1塗工層及び第2塗工層の顔料は、シリカを主成分とし、かつ、前記第1塗工層中のシリカは湿式法シリカであり、前記第2塗工層中のシリカは気相法シリカである請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録体。
- 前記第2塗工層中のシリカ顔料は、カチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を1.0μm以下に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子である請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録体。
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