JP4375396B2 - 塗工シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は塗工シートの製造方法に関し、特にインクジェット記録用として使用する塗工シートの製造方法に関する。本発明の塗工シートの製造方法によれば、インクジェット記録層のインク吸収速度と塗膜ひび割れ制御の両立した塗工層を形成することができ、特に光沢インクジェット記録用シートとして要求される高光沢、高インク吸収性、高印字濃度、高画質(ドットの真円性)が実現される。
本出願は2004年2月25日に出願された日本国特許出願2004年048905号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録用シートに向かって噴出し、インクジェット記録用シート表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と、高精細・高速化により、インク吸収速度の向上が求められ、さらにはデジタルカメラの登場により、銀塩方式の写真に匹敵する画像の均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、画像記録濃度や光沢性の更なる向上が要望されている。
一方で、銀塩写真に並ぶ画像保存性を実現するために、インク自体の改良も提案されており、従来の主流であった親水性の高い着色剤を使用した水性染料インク(以下、染料インクと呼称)とともに、耐水性や耐光性が優れる、疎水性の着色顔料を分散したインク(以下、顔料インクと呼称)も多用化されるようになっている。
顔料インク中の着色顔料は塗工表面に留まり易く、これまでに供されている染料インク対応の高光沢のインクジェット記録用シートでは、顔料インクの定着性や擦過性が劣っているため、染料、顔料インクともに高画質で印画可能な記録メディアが強く要望されている。
銀塩写真の画質を実現する為に、特開平7−276789号公報(特許文献1参照)、特開平9−183267号公報(特許文献2参照)、特開平9−286165号公報(特許文献3参照)や特許第3325141号公報(特許文献4参照)などに開示されたように、記録層の基本構成として超微細顔料とポリビニールアルコール(以下PVAと称す)を用い、インク吸収速度とひび割れの調整が行われていた。ひび割れ制御を行う為に、乾燥の抑制による生産性の著しい低下の問題や高重合度のPVAを使用することによる塗料安定性の著しい低下の問題があった。特開2000−218927号公報(特許文献5参照)はゼラチンを利用し、低温の増粘効果で塗膜のひび割れ制御を試みたが、ゼラチンはPVAほどのバインダー力がなく、また、塗膜が不透明になりやすい為、ひび割れの完全防止や写真調画質が得られにくい問題があった。
塗膜のひび割れ制御をよりしやすくする為に、特許3321700号公報(特許文献6参照)、特開2003−231342号公報(特許文献7参照)などに開示されたように、塗料中、或いは塗工すると同時にホウ素含有化合物を用いて塗料を増粘やゲル化させる方法が用いられている。塗膜のひび割れ制御としては非常に有効な手段であるが、ホウ素化合物とPVAの架橋により、塗膜が折り割れやすく、特に低湿の状況では塗膜が脆弱になり大きな問題である。また、ホウ素系化合物は排水規制物質であり、環境負荷のことを考えると、代替法が強く求められている。
ホウ素系化合物を使用せず、かつ簡単にひび割れ制御を行う研究が特開2002−160439号公報(特許文献8参照)に開示されている。但し、電子線照射によって塗料をハイドロゲル化している為、電子線照射設備が高価のことや電子照射による基材のダメージが大きいことから決して簡便な製造方法とは言い難い。
最近、特開2003−40916号公報(特許文献9参照)に示すように、バインダーとして一定の温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す高分子化合物を用い、ひび割れの制御を行い、銀塩写真並の画質を提供する製造方法が提案されている。但し、塗料は塗工後に冷やして乾燥を行う為、ドライヤーの前に冷却ゾーンが必要となり、設備の負担が非常に大きい。また、冷却ゾーンで冷やしても、効率が悪く、すぐに塗料の増粘が起こりにくいだけでなく、表面が固まりやすく、ひび割れ制御には不利である。
特許文献1:特開平7−276789号公報
特許文献2:特開平9−183267号公報
特許文献3:特開平9−286165号公報
特許文献4:特許3325141号公報
特許文献5:特開2000−218927号公報
特許文献6:特許3321700号公報
特許文献7:特開2003−231342号公報
特許文献8:特開2002−160439号公報
特許文献9:特開2003−40916号公報
本発明は、上記の問題を解決し、インクジェット記録用シートの記録層のインク吸収速度と塗膜ひび割れ制御の両立をより手軽にできる塗工シートの製造方法を提供するものである。特に光沢インクジェット記録用シートとして要求される高光沢、高インク吸収性、高印字濃度、高画質(ドットの真円性)に優れるインクジェット記録用シートを製造するための塗工シートの製造方法を提供する。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の製造方法を採用することにより、達成できることを見出し、本発明に至ったのである。
<1>支持体上に、或いは支持体上に形成された下塗り層上に、温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する塗工シートの製造方法において、該感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域内の温度の処理液を、該支持体上に、或いは支持体上に形成された下塗り層上に塗布する工程と、該処理液を塗布すると同時に、或いは塗布後乾燥することなく、該感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する工程とを含むことを特徴とする塗工シートの製造方法。
<2>感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域で、感温性高分子化合物を含有する塗液が増粘・ゲル化する<1>に記載の塗工シートの製造方法。
<3>処理液の溶媒が水である<1>又は<2>に記載の塗工シートの製造方法。
<4>処理液が、カチオン性高分子、水溶性多価金属塩から選ばれる少なくとも一種を含む<1>〜<3>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<5>感温性高分子化合物を含有する塗液が、顔料を含有する<1>〜<4>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<6>感温性高分子化合物を含有する塗液が、カチオン性化合物を含有する<1>〜<5>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<7>感温性高分子化合物が、感温点以上では疎水性を示し、感温点以下では親水性を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<8>塗液の温度が、感温性高分子化合物の感温点よりも10℃以上低い<7>に記載の塗工シートの製造方法。
<9>感温性高分子化合物を含有する塗液が、無機微粒子を含有する<1>〜<8>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<10>支持体上に、無機微粒子とバインダーを主成分とする多孔層を形成した後、処理液を塗布し、感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する<1>〜<9>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<11>感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工後、鏡面ドラムに圧着し、乾燥する工程を含む<1>〜<10>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<12>感温性高分子化合物を含有する塗液を乾燥した塗工層上に、更にコロイド微粒子を主成分とする塗工液を塗工する工程を含む<1>〜<11>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<13>塗工シートが記録用シートである<1>〜<12>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<14>塗工シートがインクジェット記録用シートである<1>〜<13>のいずれかに記載の塗工シートの製造方法。
<15>支持体上に、無機微粒子とバインダーを主成分とする多孔層を形成した後、温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す感温性高分子化合物と無機微粒子を含有する塗液を塗工する塗工シートの製造方法において、該感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域内の温度の処理液を、該多孔層上に塗布する工程と、該処理液を塗布すると同時に、或いは塗布後乾燥することなく、該感温性高分子化合物と無機微粒子を含有する塗液を塗工する工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録用の塗工シートの製造方法。
<16>前記多孔層の細孔分布曲線におけるピークは0.1〜10μmと0.5μm以下にそれぞれピークを有し、かつ細孔容積は0.5ml/g以上を有することを特徴とする<15>記載の塗工シートの製造方法。
更に、本発明は、次の態様も含む。
(1)支持体上に、感温点以上の温度では塗液が増粘せず、感温点未満の温度になると塗液が増粘またはゲル化する感温性高分子化合物と、無機微粒子を有するインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、該感温性高分子化合物が増粘またはゲル化する温度領域の処理液を、塗布すると同時に、或いは塗布後乾燥することなく、感温性高分子化合物と無機微粒子を含有する塗液を塗工することを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法。
(2)感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域で、感温性高分子化合物を含有する塗液が増粘・ゲル化する(1)に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(3)処理液の溶媒は水である(1)又は(2)に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(4)処理液が、カチオン性高分子、水溶性多価金属塩から選ばれる少なくとも一種を含む(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(5)感温性高分子化合物を含有する塗液が、カチオン性化合物を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(6)感温性高分子化合物が、感温点以上では疎水性を示し、感温点以下では親水性を有する(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(7)感温点が15〜30℃の範囲内である(6)記載の塗工シートの製造方法。
(8)感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する前、或いは塗工すると同時に、塗工される塗液の温度が、感温性高分子化合物の感温点よりも10℃以上低い(6)又は(7)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(9)インク受容層に含有する無機微粒子の平均粒子径が、0.01〜1μmである(1)〜(8)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(10)平均粒子径が0.01〜1μmの微細顔料は、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物、コロイダルシリカ、アルミナ酸化物、およびアルミナ水和物から選ばれる少なくとも一種である(9)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(11)平均粒子径が0.01〜1μmの微細顔料はカチオン性化合物で処理したシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子である(9)又は(10)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(12)平均粒子径が0.01〜1μmの微細アルミナ酸化物は気相法アルミナ微粒子であることを特徴とする(10)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(13)支持体とインク受容層の間に、無機微粒子とバインダーを主成分とする多孔層を有し、処理液を塗布し、感温性高分子化合物および無機微粒子を含有する塗液を塗工する(1)〜(12)のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(14)多孔層の細孔分布曲線におけるピークが、0.1〜10μmと0.5μm以下にそれぞれピークを有し、かつ細孔容積は0.5ml/g以上を有する(13)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(15)感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工後、鏡面ドラムに圧着し、乾燥する(1)〜(14)のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(16)感温性高分子化合物を含有する塗液を塗布と同時に或いは塗布層が減率乾燥を示す前に鏡面ドラムに圧着し、乾燥することを特徴とする(15)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(17)感温性高分子化合物を含有する塗液を乾燥して調製したインク受容層上に、更にコロイド微粒子を主成分とする塗工液を塗工する(1)〜(15)のいずれかに記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
(18)感温性高分子化合物を含有する塗液を乾燥して調製したインク受容層上に、更にコロイド微粒子を主成分とする塗工液を塗布と同時に鏡面ドラムに圧着し、乾燥することを特徴とする(17)記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
本発明の塗工シートの製造方法によれば、インクジェット記録層のインク吸収速度と塗膜ひび割れ制御の両立した塗工層を形成することができ、特に光沢インクジェット記録用シートとして要求される高光沢、高インク吸収性、高印字濃度、高画質(ドットの真円性)が実現される。
本発明は、上記のとおり、支持体上に、或いは支持体上に形成された下塗り層上に、温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する塗工シートの製造方法において、該感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域の処理液を、塗布すると同時に、或いは塗布後乾燥することなく、感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工することを特徴とする塗工シートの製造方法である。
温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す感温性高分子化合物とは、後で説明するが、感温点を境に、親水性と、疎水性の異なった性質を示す化合物である。なお、本発明による方法を塗工シート全般の製造に用いることが可能であるが、便宜上、インクジェット記録用シートを代表例として本発明を説明する。従って、本発明はインクジェット記録用シートの製造方法に限定されるものではない。
(処理液について)
本発明の一実施態様においては、支持体或いは下塗り層上に、感温性高分子化合物と顔料を含有するインク受容層用塗液を感温性高分子化合物の感温点以上の温度で塗工するが、その塗工と同時に或いは塗工する前に、支持体或いは下塗り層上に、感温性高分子化合物の感温点以下の温度に調整した処理液を塗布することにより、インク受容層用塗液が塗工された際にその中にふくまれる感温性高分子化合物が一旦増粘或いはゲル化(以下増粘・ゲル化ともいう。)し、その後、乾燥工程に入ると塗膜のひび割れ防止効果が非常に大きいことが分かった。この理由は定かではないが、例えばインク受容層の塗液を塗工後に冷却した場合には、確かに塗液は増粘・ゲル化するが、塗液の表面よりも塗液の内部や支持体或いは下塗層との界面の部分は増粘・ゲル化の度合いが弱いため、ひび割れ防止効果が小さいと推測される。本発明の製造方法によれば、処理液を塗布することにより、支持体或いは下塗り層の部分の温度が先に低下し、その部分の増粘・ゲル化強度が極端に強くなる。また、光沢を上げる目的で、前記感温性高分子化合物を含有するインク受容層が本発明の製造方法で増粘・ゲル化後、湿潤状態のうちに加熱された鏡面度ドラムに圧着乾燥し、鏡面ドラムから剥離して作成すると、より高光沢が得られやすい結果も得られた。
特に処理液を塗布する際の温度は、感温性高分子化合物の感温点よりも10℃以上低くなると、ひび割れ防止効果が顕著に表れる。塗料の溶媒は特に限定されないが、水であることが使用上簡便で好ましい。処理液はカチオン性高分子、水溶性多価金属塩を含むことで、支持体や下塗り層に塗布時に下に浸透し、耐水性の向上や耐熱湿滲みの向上効果が著しい。
本発明においては、感温点以下の処理液が未乾燥のうちに感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工するWet on Wet方法を用いることが好ましい。
なお、ゲル化剤を含むことなく、温度変化によりゲル化する物質としては、上記の他に、特開平8−244334号公報などに開示されている、感温点以下の温度領域では疎水性を示し、感温点より高い温度領域では親水性を示す感温性高分子化合物なども例示できる。この化合物の場合はインク受容層を構成する塗液を感温点以下の温度で塗工すると同時に或いは塗工する前に支持体或いは下塗り層上に感温点以上の温度の処理液を塗布すれば、本発明の効果が得られる。
(支持体について)
本発明の支持体としては、公知のシート状支持体であれば特に限定するものではない。例えば、非透気性基材として、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、ポリオレフィンラミネート紙(例えばポリエチレンラミネート紙)、金属フォイル、金属箔、合成紙、不織布などのシート基材類が適宜使用される。一方、透気性基材として、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙基材類が適宜使用される。
インクジェット記録用としての支持体としても、上記非透気性基材、透気性基材が適宜使用できるが、中でも、写真調の記録シートにする為には、アート紙、コート紙、厚手高緊度原紙、バライタ紙などの紙基材や、ポリエチレンラミネート紙(特に酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂被覆紙、所謂RC紙)、合成紙などが好ましい。
紙基材としては、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン、プラスチックピグメント等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり好ましい。インクジェット記録用シートの紙基材として、炭酸カルシウムを填料として配合すると、記録シートの光沢感が高まるので好ましい。また、焼成カオリン、シリカ、ゼオライトを填料として配合すると、インクジェットインク中の溶媒を吸収するため、好適に使用される。
紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少ないと紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は7〜20%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として光沢感が優れたインクジェット記録用シートが得られ易くなる。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。ステキヒトサイズ度(JIS−P−8122に準じて測定、100g/m2の紙として)は1〜250秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜230秒、更に好ましくは30〜210秒である。基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m2程度であり、好ましくは150〜250g/m2、より好ましくは175〜230g/m2の範囲である。例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類が適宜使用される。
なお、塗工シートを高光沢仕上げするために、最表層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、好ましくは圧着、乾燥させる場合、透気性基材を使用するとよい。透気性基材としては、透気性を有する基材であれば特に限定されるものではなく、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、あるいは中性紙等の紙基材が適宜使用される。また透気性を有する樹脂シート類や不織布類などでも用いることができる。
透気性基材の透気度(JIS−P−8117)としては、20〜500sec程度が好ましく、より好ましくは35〜300secである。因みに、透気度が20secより低いと、得られたインクジェット記録用シートの表面のボコツキが大きく、見た目の光沢感が劣る傾向にある。一方、500secより大きいと鏡面ドラムへの圧着時にドラムへの貼り付きが悪くなり、また最表層を十分に乾燥することができないため、高い表面光沢を得ることが困難になる傾向にある。
非透気性支持体としては、樹脂フィルム、不織布等、あるいは樹脂フィルムをコート紙や上質紙等と接着剤を介して貼合せたもの、または紙に樹脂をラミネートしたもの等の樹脂被覆紙が使用される。中でも、樹脂フィルムあるいは樹脂をラミネートした紙を使用することが、耐水性に優れる。
樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ナイロン等が例示できる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリシクロヘキセンテレフタレート等が、またオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるもの、またはこれらを主成分とするものを例示できる。また、これらの熱可塑性樹脂を1種または2種以上適宜選択して使用でき、他の熱可塑性樹脂としてポリスチレン、アクリル酸エステル共重合体等を混合して使用することもできる。
これら熱可塑性樹脂を縦方向および/または横方向に延伸して成形したフィルムも使用できる。この他、この熱可塑性樹脂中に無機質微細粉末を混合してフィルムを形成し、これを例えば1軸延伸処理または2軸延伸処理して紙状の層としてもよい。本発明においては、このようなフィルムを複数層積層して得られた多層フィルムを支持体として使用し、例えば、基材層と両面または片面に紙状の層を設けた2〜3層フィルム、または更にその少なくとも片面の紙状の層上に表面層を形成した3〜5層フィルム等を使用してもよい。このように熱可塑性樹脂を紙状の層としたものは一般に合成紙として知られている。
また、樹脂をラミネートした紙としては、熱可塑性樹脂を押出しラミネートした紙が例示でき、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂が例示できる。熱可塑性樹脂中には、二酸化チタンなどの顔料をはじめ、染料や紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。
支持体には、その上に形成される塗工層の形成方法、或いは、使用される用途などに応じて、上記例示の支持体の中から適宜選択使用できる。勿論、蛍光染料、蛍光顔料などにより色目を調節したり、帯電防止層、アンカー層、バリヤー層を付与してもよく、コロナ処理などを施しても構わない。
(下塗り層について)
支持体上に、必要に応じて形成される下塗り層は、顔料と接着剤を有する層であればよい。本発明は、感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する前に或いは同時に処理液を塗布するという理由により、上記非透気性支持体を用いる場合には、処理液を保持するため、支持体上に下塗り層を有することが好ましい。なお、透気性支持体の場合も下塗り層を有することができる。
下塗り層の顔料と接着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対し接着剤1〜200質量部、好ましくは2〜100質量部の範囲で調節される。その他、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、下塗り層中には、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。下塗り層は、紙基材上に乾燥質量で2〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2程度、更に好ましくは10〜20g/m2となるように形成される。
更に、インクジェット記録用シートの場合、下塗り層には、インクジェットインク成分中の溶媒を速やかに吸収するという機能を付与することができる。このような下塗り層は、顔料と接着剤を主成分として含有する。下塗り層には、0.5μm未満の超微細顔料と接着剤を使用し、ひび割れのない層であっても問題ないが、好ましくは0.5μm〜10μmの顔料と接着剤を使用する。このような0.5μm〜10μmの顔料と接着剤を有する層はインク吸収速度が速く、インク成分中の溶媒と染料をいち早く分離する為には細孔分布曲線におけるピークは0.1〜10μmと0.5μm以下にそれぞれピークを有し、かつ細孔容積は0.5ml/g以上を有することが好ましい。
下塗り層に使用する顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料を1種もしくはそれ以上、併用することができる。これらの中でも、インク吸収性の高い無定形シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として含有させるのが好ましい。
これらの顔料の平均粒子径(凝集顔料の場合は凝集粒子径)は0.5〜10μm程度が好ましく、より好ましくは1〜5μmである。0.5μm未満であるとインク吸収速度向上の効果に乏しくなり、10μmを超えて大きいと光沢層を設けた後での平滑性や光沢が不十分となるおそれがある。異なる平均粒子径を併用することも可能である。
なお、インク吸収性を調整したり、下塗り層上に塗工する塗工液の浸透を制御する目的で、副成分として平均粒子径の小さい顔料を配合することができる。この様な顔料としてはコロイダルシリカ、アルミナゾルが挙げられる。
下塗り層に使用する接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、等一般に塗工紙用として用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。
下塗り層の顔料と接着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対し接着剤1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で調節される。その他、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、下塗り層中には、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
下塗り層中にはカチオン性化合物が実質的に存在しないのが良い。実質的に存在しないとは、カチオン性界面活性剤等を助剤的に微量添加することは除外される。下塗り層上に形成される塗工層にカチオン性化合物を配合し、下塗り層に実質的にカチオン性化合物を含有させない態様では光沢が極めて優れ、かつ、印字濃度が高くなるので好ましい。
上記材料をもって構成される下塗り層用塗工液は、一般に固形分濃度を5〜50質量%程度に調整し、紙基材上に乾燥質量で2〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2程度、更に好ましくは10〜20g/m2程度になるように塗工する。塗工量が少ないと、インク吸収性改良効果が充分に得られなかったり、得られるインクジェット用塗工シートの光沢が十分に出ないおそれがあり、多いと、印字濃度が低下したり、上に形成する塗工層の強度が低下し粉落ちや傷が付き易くなる場合がある。
下塗り層用塗工液は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スライドコーター等の各種公知公用の塗工装置により塗工、乾燥される。さらに、必要に応じて下塗り層の乾燥後にスーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
(塗工層について)
本発明は、支持体上、或いは上記下塗り層上に、上記処理液の塗布と同時に、或いは塗布した後に、感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工した塗工層を形成する。インクジェット記録用シートの場合、顔料と感温性高分子化合物を有する塗工層が、インク受容層或いはインク受容層を構成する一層(以下、併せてインク受容層ともいう。)となる。
感温性高分子化合物は、温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す化合物である。中でも、感温性高分子化合物は感温点以下の温度になると急激に増粘かゲル化するものが好ましい。具体的には、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物等が挙げられる。このような感温性高分子化合物を用いた場合、感温点以上の温度で塗工を行うことが一般的である。感温性高分子化合物の感温点は5〜35℃の範囲であることが好ましく、15〜30℃の範囲であることが更に好ましい。
このような感温性高分子化合物としては、特開2003−40916号公報に開示されている。ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物を例示することができる。
この感温性高分子化合物は、具体的には、
(1)単独重合することによって該温度応答性(親水性−疎水性の変化)を呈する高分子化合物が得られるモノマー(主モノマー(M))の1種あるいは2種以上をポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下で重合して得られる高分子化合物、あるいは、
(2)該主モノマー(M)と反応して高分子化合物を作ることができ、かつ、単独重合によっては該温度応答性を呈する高分子化合物が得られないモノマー(副モノマー(N))と主モノマー(M)とをポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下で重合して得られる高分子化合物である。
副モノマー(N)を共重合成分に使用することによって、感温点や成膜性の異なる高分子化合物を得ることが可能となる。
主モノマー(M)、副モノマー(N)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体は各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
感温性高分子化合物として、ポリビニルアルコー及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に主モノマー(M)を、あるいは主モノマー(M)及び副モノマー(N)を重合して得られる高分子化合物を使用することによって、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体を共存しない条件下で同様にして得られる高分子化合物を使用した場合と比較して、成膜性、成膜強度に優れた塗工層を有する塗工シートが得られる。
本発明に用いるポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体は、特に限定されない。
ポリビニルアルコールとしては、一般に完全ケン化型ポリビニルアルコールと呼ばれるケン化度96%〜100%のポリビニルアルコール、一般に部分ケン化型ポリビニルアルコールと呼ばれるケン化度76%〜95%のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコール誘導体としてはシラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変成ポリビニルアルコール、メルカプト基含有ポリビニルアルコール、ケト基含有ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体は、1種で用いてもよいし、複数の種類を混合して用いてもよい。
該ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の重合度は、特に限定されないが、重合度300〜4000のものが好ましく用いられる。
また、インク吸収性の観点から、ケト基含有ポリビニルアルコールを使用し、後述の、少なくとも2個の、ヒドラジン基及び/又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を併用して、該ケト基を架橋することが好ましい。
主モノマー(M)と副モノマー(N)、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の使用割合は、得られる感温性高分子化合物が温度応答性を呈する範囲の中で決められ、感温性高分子化合物中のポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール誘導体の含有率は該条件の範囲の中においては特に制限されないが最終的に得られる記録媒体の塗工膜の耐水性の観点から、0.1〜50質量%が好ましく用いられ、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
主モノマー(M)としては、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(あるいはメタクリル)又はアクリルを簡便に表記したものである)、ビニルメチルエーテルなどが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。成膜性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
副モノマー(N)としては、親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられる。具体的には、親油性ビニル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジンなどが挙げられ、イオン性ビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。また、本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工層の成膜性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーなどのアニオン基含有モノマーを用いることが好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。つまり、副モノマー(N)の割合が多すぎれば得られる共重合高分子化合物が該温度応答性を示さなくなる。即ち、主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、得られる感温性高分子化合物中における副モノマー(N)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。また、副モノマー(N)の添加効果がより良く発現されるためには0.01質量%以上が好ましい。
インクジェット記録用シートの場合、塗工層(インク受容層)に、後述するカチオン性化合物を配合することが多いが、この場合、上記感温性高分子化合物は、塗液調製が容易である点から、カチオン性あるいは非イオン性であることがより好ましい。
カチオン性の感温性高分子化合物は、例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができ、該観点から少なくとも一種類以上の、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを副モノマー(N)として使用することは好ましい。該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。特に、太陽光あるいは蛍光灯の光に、得られる記録媒体にインクジェットプリンターを用いて印刷を行った印刷物を曝しておいた場合に生じる退色の度合いの観点及び得られる高分子エマルジョンのコロイド安定性の観点から、該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有することがより好ましい。
3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有する感温性高分子化合物は、例えば主モノマー(M)と、副モノマー(N)として3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有するモノマーとを共重合させて得られる。主モノマー(M)、副モノマー(N)(3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有するモノマーを含む)は各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、モノマー中に3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基を含む構造を有するもので有れば特に制限されないが、ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−ジメチル−1−ビニルイミダゾリニウムクロライド、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド)アンモニウムクロライド、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、1−ビニル−2−エチル−イミダゾール、1−ビニル−2−フェニル−イミダゾール、1−ビニル−2、4,5−トリメチル−イミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−アミノスチレン及びその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−ビニルベンジルアミン及びその4級アンモニウム塩、N−(ビニルベンジル)ピロリドン、N−(ビニルベンジル)ピペリジン、N−ビニルイミダゾール及びその4級アンモニウム塩、2−メチル−1−ビニルイミダゾール及びその4級アンモニウム塩、N−ビニルピロリドン及びその4級アンモニウム塩、N,N'−ジビニルエチレン尿素及びその4級アンモニウム塩、α−,又はβ−ビニルピリジン及びその4級アンモニウム塩、α−,又はβ−ビニルピペリジン及びその4級アンモニウム塩、2−,又は4−ビニルキノリン及びその4級アンモニウム塩等が例示される。特に、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド4級化合物が好ましく用いられる。
主モノマー(M)と3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。本発明に用いる、感温性高分子化合物中の3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマー単位の含有率は、上記条件の範囲の中においては特に制限されないが、塗液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から50質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜30質量%である。
さらに、太陽光あるいは蛍光灯の光に印刷物を曝しておいた場合に生じる退色の度合いの観点から、3級アミノ基含有モノマーよりも4級アンモニウム塩基含有モノマーを使用する方がより好ましい。さらに、3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマー及び、前記アニオン基含有モノマーを共に含有することは、前述の該塗液調製の容易さ、及び本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工層の成膜性、の両方の観点から好ましく、特に該アニオン基含有モノマーがアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
次に、インクジェット記録用シートの場合、塗工層(インク受容層)に含有する無機顔料について詳細に説明する。
使用できる顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等の中から1種もしくはそれ以上を併用することができる。
シリカとしては、窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/gで、細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであるシリカ微粒子がコロイド状に分散した液をシード液とし、該シード液に対しアルカリの存在下、活性ケイ酸水溶液及び/又はアルコキシシランからなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて、窒素吸着法による比表面積が100m2/g〜400m2/g、平均二次粒子径が20nm〜300nm、かつ細孔容積が0.5ml/g〜2.0ml/gのシリカ微粒子がコロイド状に分散したシリカ微粒子分散液を用いても良い。
中でも平均1次粒径が3〜40nmで、且つ平均2次粒径が1000nm以下の超微細顔料が好ましく使用される。平均1次粒径が5〜30nmで且つ平均2次粒径が700nm以下のものが更に好ましい。特に、乾式法シリカ、酸化アルミナ、アルミナ水和物が好ましく、カチオン樹脂によりカチオン化処理された乾式シリカが特に好ましい。
塗工層(インク受容層)における感温性高分子化合物の配合量は、顔料100質量部に対し1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは15〜30質量部の範囲である。ここで感温性高分子化合物の配合量が1質量部未満であると、塗工液のゲル化が不十分となりやすく、光沢性の低下やインクドット真円性の悪化が起こりやすい傾向にある。またその配合量が100質量部より多くなると、インクの吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなることがある。
なお、塗工層(インク受容層)には、公知のカチオン性化合物を配合することもできる。例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO2重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性化合物等を例示することができる。
前記顔料と前記カチオン性化合物の配合比は、質量比で顔料100質量部に対してカチオン性化合物が1〜30質量部であることが好ましく、さらに好ましくは、3〜20質量部である。カチオン性化合物が1質量部より少ないと、印字濃度向上の効果が得られにくく、30質量部より多いと、余分なカチオン性化合物が空隙を塞いでしまい、インク吸収性が阻害され、画像のにじみやムラが発生するおそれもある。
カチオン性化合物を顔料に配合するに際し、前記顔料に混合すれば良いが、特に顔料が微細シリカの場合は、微細シリカは一般にアニオン性であるので、混合の際に微細シリカ粒子の凝集が起こる場合がある。
この場合、一般的に市販されている非晶質シリカ(数ミクロンの2次粒子径を有する)を機械的手段により強い力を与えて微細粒子に粉砕する際に、粉砕処理前の非晶質シリカにカチオン性物質を一緒に混合分散してから機械的手段により分散・粉砕するか、あるいは微細化したシリカ2次粒子分散体にカチオン性物質を混合し、一旦増粘・凝集させた後、再度機械分散・粉砕する方法等をとることにより、前記特定の粒子径に調整することができる。このようにして処理した顔料はカチオン性物質が一部結合した構造をとり、安定して分散したスラリーとなっているためか、更に別途カチオン性化合物を追加配合しても凝集し難いという特徴を有する。本発明では、このようなカチオン性物質で処理した微細顔料をカチオン性微細顔料という。
前記顔料と前記カチオン性物質の混合物、もしくは凝集物を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
平均2次粒子径が1000nmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均2次粒子径を1000nm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
本発明において圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中、高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×106〜343.2×106Pa(200〜3500kgf/cm2)、より好ましくは49.0×106〜245.3×106Pa(500〜2500kgf/cm2)、さらに好ましくは、98.1×106〜196.2×106Pa(1000〜2000kgf/cm2)である。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。さらに高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散、或いは粉砕方式を用いることがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐してさらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
このようにして処理されたカチオン性微細顔料は、一般に固形分濃度が5〜20質量%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒子)として得られる。
本発明でいう平均粒子径とは、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒子径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し、平均したもの。「微粒子ハンドブック」(朝倉書店)のP52、1991年等に記載されている)。
このようなカチオン性微細顔料を含有するインク受容層を設けること、インクがより均一に吸収される結果、にじみが少なく均一な発色が得られ、発色ムラの無い優れた画像が得られる。カチオン性微細顔料中の顔料としては、シリカ、アルミノシリケートが好ましく、より好ましくはシリカであり、さらに好ましくは、乾式シリカである。
カチオン性微細顔料に使用するカチオン性物質としては、特に限定するものではなく、例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO2重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性物質等が挙げられる。
中でも、好ましいカチオン性物質としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体の塩酸塩、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体および5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが、発色性に優れ、にじみが少なく、均一な発色が得られ、発色ムラの無い優れた画像が得られるので好ましい。
なお、カチオン性微細顔料を使用する場合、インク受容層中の全顔料中におけるカチオン性微細顔料の比率が50質量%以上であると、インク受容層の透明性が優れ、インク吸収速度も速くて好ましい。全顔料中のカチオン性微細顔料の比率が50質量%未満になるとインク受容層の透明性が低下し、印字濃度等の画像品位が低下する場合もある。
本発明の塗工層(インク受容層)は、顔料と感温性高分子化合物を配合するが、更に、感温性高分子化合物の効果を損なわない範囲において、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種接着剤が単独あるいは併用して使用される。水性ポリウレタン樹脂は、ウレタンエマルジョン、ウレタンラテックス、ポリウレタンラテックス等とも通称されている。ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物との反応から得られるものである。比較的多数のウレタン結合および尿素結合を含む高分子化合物である。
塗工層(インク受容層)には、更に、保存性改良剤、消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添加される。
塗工層(インク受容層)塗工液を、支持体上に、或いは支持体に設けた下塗り層上に塗工する場合は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スライドコーター等の各種公知の塗工装置が使用できる。特に、塗工層を塗工する前或いは同時に塗工される感温性高分子化合物の感温点の温度以下の処理液が未乾燥のうちに感温性高分子化合物を含有する塗料を塗工する方法であるWet on Wetで塗工することが好ましい。
塗工層(インク受容層)を形成した後、更に冷却手段で冷却することにより、増粘・ゲル化を進めることもできる。
塗工層は、スーパーカレンダーなど公知の手段で更に光沢を高めることができる。特に、塗工層の光沢を高める目的で、前記感温性高分子化合物を含有する塗工層(インク受容層)が増粘・ゲル化後、湿潤状態のうちに加熱された鏡面度ドラムに圧着乾燥し、鏡面ドラムから剥離して仕上げる、所謂キャスト仕上げを行ってもよく、またキャスト仕上げすることは、好ましい態様の一つである。
本発明は、少なくとも上記の塗工層(インク受容層)1層を含有する。上記記述の顔料と感温性高分子化合物を含有する塗工層(インク受容層)は2層以上あってもよい。2層以上構成する場合はインク吸収性、光沢性の観点から上記の範囲で異なる顔料と感温性高分子化合物を選択する方が好ましい。
(光沢発現層について)
本発明においては、さらに高光沢を付与する為に、塗工層(インク受容層)上に最表層として他の光沢発現層を設けることもでき、また光沢発現層を形成することが好ましい。
光沢発現層の顔料は、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均粒子径1μm以下のシリカ、酸化アルミニウム、擬ベーマイト微細顔料から選ばれることが好ましい。0.01〜0.06μmの単分散コロイダルシリカが、光沢感が良好である。前記の単分散コロイダルシリカの中には、カチオン変性コロイダルシリカもある。さらに、顔料インキ適性の耐擦過性の点で、酸化アルミニウム、擬ベーマイト、シリカ(特に乾式シリカ)が好ましい。光沢発現層は、インク吸収性を阻害しない限り、前記記載の下塗り層に用いられるバインダーを適宜含有してもよい。
光沢発現層は、光沢発現層塗液が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得る方法、所謂キャスト法により形成することが望ましい。透気性支持体の場合は、鏡面ドラムで乾燥することにより、表面にドラムの鏡面を写しとることができる。なお、非透気性支持体の場合は、支持体を透して水分を通さないので、鏡面ドラムでの乾燥はできないが、塗布後、鏡面ドラムに圧接したのち、後工程で乾燥をするとよい。光沢発現層が鏡面ドラムから剥離しやすくするために、市販の離型剤が適宜添加される。添加量は顔料100質量部に対して、0.5〜10質量部が適度な範囲である。配合量が少ないと、離型性改善の効果が得られにくく、多いと逆に光沢が低下したり、インクのハジキや記録濃度の低下が生じる場合がある。
離型剤としては、ステアリルリン酸カリウム等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物が挙げられる。これらの中でも高級脂肪酸アミドを含有すると、鏡面ドラムなどからの離型性を著しく向上させる効果を有し、且つ印字画像のにじみを抑制する効果をも有するため好ましい。
光沢発現層の塗工量は、0.1〜10g/m2の範囲が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましく、0.5〜2g/m2がさらに好ましい。塗工量が少ないと、塗膜が薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が多いと、インク吸収速度が著しく低下するおそれがある。
(裏面層について)
本発明は、カールや搬送性などを改良する目的で、支持体の裏面に裏面層を設けることも可能である。また、写真の風合いを出すために裏面層としてポリエチレン層を設けても良い。
(インクについて)
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクとしては、像を形成するための色素と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整される。
インクに使用される染料、顔料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種顔料等が挙げられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。前記染料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20質量%程度の使用で特に問題はない。
本発明で用いられるインクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
実施例:
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
<シリカ微粒子A>
10部のジアリルジメチルアンモニウムクロライド構造を有するカチオン性化合物(日東紡社製、商品名:PAS−J−81、分子量:20万)10%水溶液に、100部の気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を投入し、ホモミキサーにより分散した後、高圧ホモジナイザーで粉砕し、平均粒子径が0.1μmになるまで粉砕を行い、10%の水分散液を調製した。
<シリカ微粒子B>
平均粒子径2.0μmの湿式法シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD、平均1次粒子径:約0.013μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、高圧ホモジナイザーで粉砕し、平均粒子径が0.4μmになるまで粉砕を行い、12%の水分散液を調製した。
<アルミナ微粒子A>
平均粒子径約3.0μmの高純度アルミナ(住友化学工業社製、商品名:AKP−G015、γ結晶酸化アルミナ、平均1次粒子径:約0.1μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、高圧ホモジナイザーで粉砕し、平均粒子径が0.25μmになるまで粉砕を行い、10%の水溶液を調製した。
<塗工液A>
シリカ微粒子A100部に、感温点より低くなると親水性を示す感温性高分子化合物(旭化成社製、ALB−221、感温点:24℃)20部を混合し。9%の水溶液を調整した。
<インクジェット記録用シートの作製>
紙支持体(209g/m2、緊度:0.9g/cm3)上に、2℃の水を塗工し、直後に40℃の塗工液Aが塗工量15g/m2になるように塗工乾燥し、インクジェット記録用シートを得た。
<塗工液B>
シリカ微粒子B100部に、ポリビニールアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−140H、重合度:4000、ケン化度:99%以上)20部を混合し、10%の水溶液を調整した。
<インクジェット記録用シートの作製>
紙支持体(209g/m2、緊度:0.9g/cm3)上に、温度2℃の塗工液Bが塗工量10g/m2になるように、また、40℃の塗工液Aが塗工量7g/m2になるように Wet on Wetの状態で塗工乾燥し、インクジェット記録用シートを得た。
両面ポリエチレンラミネート紙(通称RC紙)上に、塗工量10g/m2に塗工液Bを塗工乾燥し、下塗り層を形成した。続いて、上記塗工層上に温度2℃のポリ塩化アルミニウム3%を含有する水溶液を塗布し、直後に40℃の塗工液Aが塗工量7g/m2になるように塗工乾燥し、インクジェット記録用シートを得た。
<塗工液C>
平均粒子径1.8μmの湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80)100部に、バインダーとしてポリビニールアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)35部、カチオン性化合物としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド(日東紡社製、商品名:PAS−H−10L)2部の混合した水分散液(濃度:15%)を調整した。
<インクジェット記録用シートの作製>
紙支持体(209g/m2、緊度:0.9g/cm3)上に、塗工量が10g/m2になるように塗工液Cを塗工乾燥し、下塗り層を形成した。続いて、5℃のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(日東紡社製、商品名:PAS−H−5L)0.5%水溶液を塗布し、直後に35℃の塗工液Aが塗工量5g/m2になるように塗工乾燥し、インクジェット記録用シートを得た。
下塗り層の細孔直径分布曲線におけるピークは0.008μmと0.9μmにあり、細孔容積は約1.05ml/gであった。
2℃の冷水を15℃の水に変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを製造した。
実施例1の塗工液Aを塗布後、湿潤のうち、85℃の鏡面ドラムに圧着乾燥しインクジェット記録用シートを製造した。
<塗工液D>
平均粒子径45nmのカチオン変性コロイダルシリカ100部にカチオン性離型剤5部を添加し、8%の水溶液を調整した。
<インクジェット記録用シートの作製>
実施例1のインクジェット記録用シート上に、塗工液Dが塗工量1g/m2になるように塗布し、直ちに90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、インクジェット記録用シートを製造した。
実施例4のインクジェット記録用シート上に、塗工液Dが塗工量1g/m2になるように塗布し、直ちに90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、インクジェット記録用シートを製造した。
<塗工液E>
アルミナ微粒子A100部に、30nmのカチオン変性アクリルエマルション5部、カチオン性離型剤5部を添加し、6%の水溶液を調整した。
<インクジェット記録用シートの作製>
実施例4のインクジェット記録用シート上に、塗工液Eが塗工量0.5g/m2になるように塗布し、直ちに90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、インクジェット記録用シートを製造した。
比較例1
実施例1の冷水を30℃の水に変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作成した。
比較例2
実施例1と同様の支持体に、40℃の塗工液Aが15g/m2になるように塗布し、10℃まで冷却してから塗膜を乾燥した。
比較例3
実施例4と同様の支持体に、塗工量が10g/m2になるように塗工液Cを塗工乾燥した。続いて、30℃のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(日東紡社製、商品名:PAS−H−5L)0.5%水溶液を塗布し、直後に35℃の塗工液Aが塗工量5g/m2になるように塗工乾燥した。
<評価方法>
このようにして得られたインクジェット記録用シートについて、以下の評価を行った。評価用のプリンタとして、下記のプリンタA〜Dを用いた。
「評価用プリンタ」
・プリンタA:市販の染料インクタイプのインクジェットプリンタ(EPSON社製、商品名:PM−950C)
・プリンタB:市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(EPSON社製、商品名:PM−4000PX)
・プリンタC:市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(EPSON社製、商品名:PX−G900)
・プリンタC:市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(EPSON社製、商品名:PX−V600)
(ひび割れ)
プリンタA(染料インクタイプ)を用い、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、記録用シート表面のひび割れを光学顕微鏡で観察した。ひび割れがなければドットは真円状になり、画像の均一性が極めて良好であるが、ひび割れが多くなるとドット形状が崩れ、画像も不均一になる。
○:ひび割れが殆ど観察されず、画像が均一である。
△:少しのひび割れが観察されるが、画像が比較的均一である。
×:全面にひび割れ。画像が不均一である。
(印字濃度)
プリンタA(染料インクタイプ)を用い、黒のベタ印字し、マクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定した。
(光沢感)
プリンタA(染料インクタイプ)を用い、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印字部に対して横の角度から目視し、以下の基準で評価した。
○:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
△:一般市販のアート、コート紙と同レベル。
×:光沢が低い。
(顔料インクの記録適性)
プリンタB〜D(顔料インクタイプ)を用い、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を記録し、この記録画像の均一性を、以下の基準で評価した。
○:画像が均一で全く斑が見られない。
△:画像の斑が見えるが、実用可能レベル。
×:画像の斑が多く、実用不可レベル。
(顔料画像の耐擦過性)
プリンタB〜D(顔料インクタイプ)を用い、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を記録した。この画像を記録後24時間放置し、綿棒で画像部を擦り、その耐擦過性を下記の基準で評価した。
○:画像部は全く変化が見られない。
△:画像部の一部の顔料がこすり取られた。但し、実用上は問題ないレベル。
×:画像部の顔料がかなりこすり取られ、実用上問題あるレベル。

表1
Figure 0004375396
注:比較例2は冷却工程を要する為、工程が複雑だけでなく設備も高額である。
表1から明らかなように、本発明の製造方法は簡便で、ひび割れ制御に非常に有効である。得られたインクジェット記録用シートは画像の均一性(ドットが真円)が良好で、光沢、高い印字濃度を付与することが可能である。また、顔料適性も優れている。
本発明の塗工シートの製造方法によれば、インクジェット記録層のインク吸収速度と塗膜ひび割れ制御の両立した塗工層を形成することができ、特に光沢インクジェット記録用シートとして要求される高光沢、高インク吸収性、高印字濃度、高画質(ドットの真円性)が実現される。
本発明の塗工シートの製造方法をインクジェット記録用シートの製造に採用すると、写真画質を狙った染料系や顔料系インクジェットプリンターに適したインクジェット記録用シートを安定して提供することができる。
本発明の塗工シートの製造方法は、インクジェット記録用シートの製造に限定するものではなく、感熱記録用シート、感圧記録用シート、熱転写記録用シート、電子写真記録用シートなどの各種記録用シートをはじめ、アート紙、コート紙、キャストコーテッド紙のような印刷用塗工シートなどにも適用できる。

Claims (16)

  1. 支持体上に、或いは支持体上に形成された下塗り層上に、温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する塗工シートの製造方法において、
    該感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域内の温度の処理液を、該支持体上に、或いは支持体上に形成された下塗り層上に塗布する工程と、
    該処理液を塗布すると同時に、或いは塗布後乾燥することなく、該感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する工程とを含むことを特徴とする塗工シートの製造方法。
  2. 感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域で、感温性高分子化合物を含有する塗液が増粘・ゲル化する請求項1に記載の塗工シートの製造方法。
  3. 処理液の溶媒が水である請求項1又は2に記載の塗工シートの製造方法。
  4. 処理液が、カチオン性高分子、水溶性多価金属塩から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  5. 感温性高分子化合物を含有する塗液が、顔料を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  6. 感温性高分子化合物を含有する塗液が、カチオン性化合物を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  7. 感温性高分子化合物が、感温点以上では疎水性を示し、感温点以下では親水性を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  8. 塗液の温度が、感温性高分子化合物の感温点よりも10℃以上低い請求項7に記載の塗工シートの製造方法。
  9. 感温性高分子化合物を含有する塗液が、無機微粒子を含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  10. 支持体上に、無機微粒子とバインダーを主成分とする多孔層を形成した後、処理液を塗布し、感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工する請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  11. 感温性高分子化合物を含有する塗液を塗工後、鏡面ドラムに圧着し、乾燥する工程を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  12. 感温性高分子化合物を含有する塗液を乾燥した塗工層上に、更にコロイド微粒子を主成分とする塗工液を塗工する工程を含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  13. 塗工シートが記録用シートである請求項1〜12のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  14. 塗工シートがインクジェット記録用シートである請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗工シートの製造方法。
  15. 支持体上に、無機微粒子とバインダーを主成分とする多孔層を形成した後、温度変化により親水性と疎水性を可逆的に示す感温性高分子化合物と無機微粒子を含有する塗液を塗工する塗工シートの製造方法において、
    該感温性高分子化合物が親水性を示す温度領域内の温度の処理液を、該多孔層上に塗布する工程と、
    該処理液を塗布すると同時に、或いは塗布後乾燥することなく、該感温性高分子化合物と無機微粒子を含有する塗液を塗工する工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録用の塗工シートの製造方法。
  16. 前記多孔層の細孔分布曲線におけるピークは0.1〜10μmと0.5μm以下にそれぞれピークを有し、かつ細孔容積は0.5ml/g以上を有することを特徴とする請求項15記載の塗工シートの製造方法。
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