JP2006044013A - インクジェット記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】地合い及びボコツキが改善され、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、光沢及び画像濃度が極めて良好な染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録体を提供する。
【解決手段】透気性基材上に、顔料及びバインダーを含有する第1塗工層、第1塗工層上に顔料およびバインダーを有する第2塗工層を少なくとも有するインクジェット記録体において、第1塗工層は顔料として二酸化チタンを含有し、第2塗工層は、細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ顔料としてシリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット記録体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録体の地合い及びボコツキが改善され、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、光沢及び画像濃度が極めて良好な染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録体に関するものである。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に向かって噴出し、その記録表面上に画像を形成するインクジェット記録方式は、記録操作の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と、高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録体には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められ、さらに、デジタルカメラによる撮影画像の記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する、高い均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、記録画像の色濃度及び光沢感の更なる向上が望まれている。
一方で、銀塩写真と同等の画像保存性を実現するために、インク自体の改良も提案されており、従来のインクジェット記録用インクの主流を占める親水性の高い着色剤を使用する水性染料インク(以下、染料インクともいう)とともに、耐水性及び耐光性に優れた、疎水性着色顔料を着色剤として含むインク(以下、顔料インクともいう)もしばしば用いられるようになっている。
インクジェット記録用インクとして顔料インクが用いられたとき、それに含まれる着色顔料の大部分は、インクジェット記録体の記録表面に保持されることから、染料インク用の高光沢インクジェット記録体に顔料インクを適用すると、顔料インクの定着性及び顔料インク画像の擦過性が不十分になることが多い。このため、染料インク、顔料インクのいずれに対しても、高品質の画像を印画可能な記録メディアの出頭が強く要望されている。
高インク吸収速度を得る為に、1層以上の層構成を設け、最上層の空孔分布曲線の1つのピークが0.2〜10μmに、かつ、インク受理層全体の空孔分布曲線のピークが少なくとも0.2〜10μmおよび0.05μm以下の2ヶ所に設計したインクジェット記録用紙の提案がある(特許文献1参照)。この提案では、インク吸収速度の向上効果は著しいが、このようなインクジェット記録体を得るには、塗工層(インク受理層)は、1μm以上(ミクロンオーダー)の平均粒子径を有する顔料を主成分に設計することが不可欠であり、ミクロンオーダーの顔料を使用することにより、光沢は勿論のこと、画像濃度も低く、また、ドットの真円性が得られないため、画像の均一性が極めて低いものであった。
平均粒子径0.1μm以下の微細顔料を用い、塗膜のひび割れの制御したインクジェット記録体が記載されているが(特許文献2参照)、光沢、画像濃度に優れるインクジェット記録体が得られるものの、プリンタの高速化が著しく進歩したため、インク吸収速度の面で大きな難点が残った。
同様に、透明性、高光沢を重要視するインクジェット記録体を得るために、インク受容層の全層をサブミクロンオーダーの顔料にすることにより、細孔分布をほぼ50nm(0.05μm)以下に制御したインクジェット記録体の提案があるが(特許文献3、特許文献4参照)、高インク吸収速度の達成には至らなかった。また、サブミクロンオーダーの顔料を多量に使用するためコストが高くなるという欠点もあった。
2層以上の構成のインク定着層で、インク定着層中の顔料には、平均粒子径1μm以下の微細顔料を使用し、かつインク定着層の表層をキャスト加工することにより、画像濃度、光沢、インク吸収性などを同時に解決するインクジェット記録体の提案があるが(特許文献5参照)、この方法では塗膜のひび割れを制御することができず、得られたインクジェット記録体は、ドットの真円性が劣り、画像の均一性が極めて低く、インク吸収性も不分であった。
インク受容層に二酸化チタンを使用した例としては、二酸化チタンで表面を被覆されたアルミナ水和物を含有する、画像が鮮明なインクジェット記録体が(特許文献6参照)、印字画像の保存安定性を向上させるために、印字画像と接触しない表面層に二酸化チタンを含むインクジェット記録体が(特許文献7参照)提案されている。
また、透明な基材に二酸化チタンを含有するインク受容層もしくは白色層を設けることで、反射光、透過光のいずれにおいても鮮明な印字画像が得られるインクジェット記録材料が提案され、OHPフィルムや電飾看板などに好ましく用いられる主旨の開示がある(特許文献8、特許文献9、特許文献10参照)。
溶媒の浸透性(吸収性)を制御するために下塗り層を設けた例としては、非塗工紙の表面に、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタンなどを含有する下塗り層を設けて、該塗工層のコッブ吸水度が30〜100g/m、且つ王研式平滑度が30秒以上であるキャストコート用基材が提案されている(特許文献11参照)。この下塗り層は、シリカや炭酸カルシウムなど空隙率の高い顔料を含有するために塗工層の浸透性は高く、インク吸収性は向上するが、基材のボコツキが大きく優れた記録画像が得られないという欠点があった。
一方、記録画像とインク吸収性を同時に満足させる方法として、濡れ性の異なるバインダー及び顔料を用いて、支持体上に2層以上のインク吸収層を設け、インク吸収内層のインク吸収速度が最表層のインク吸収速度より遅いインクジェット記録体が提案されている(特許文献12参照)。しかし、該インク吸収内層を設けても記録体のボコツキ改善はまだ不十分であった。
また、紙基材の表面にエマルションラテックスのみからなる透水性中間層を設けた後、該透水性中間層の表面にインク受容層を形成する製造方法が提案されているが(特許文献13参照)、該エマルションラテックスのみの塗工では紙基材へのインクの吸収が全くなくなり、基材のボコツキは改善されるがインク吸収性が不足してしまうという欠点があった。
特開昭58−110287号公報 特開平7−117334号公報 特開平7−276789号公報 特開平8−174992号公報 特開2001−10220号公報 特開平7−232474号公報 特開2001−105719号公報 特開平3−286895号公報 特開2004−167706号公報 特開平10−226156号公報 特開平11−81190号公報 特開昭63−39373号公報 特開2002−103787号公報
本発明は、インクジェット記録体の地合い及びボコツキを改善し、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、光沢及び画像濃度が極めて良好な染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録体を提供する。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、透気性基材上に少なくとも2層の塗工層を有するインクジェット記録体で、基材に近い第1塗工層に二酸化チタンを含有し、第1塗工層上の第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ第2塗工層中にシリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、地合い及びボコツキの改善と、インク吸収性、光沢及び画像濃度の向上をともに達成することを見出し、本発明に至ったのである。
本発明は、透気性基材上に、顔料及びバインダーを含有する第1塗工層、第1塗工層上に顔料およびバインダーを有する第2塗工層を少なくとも有するインクジェット記録体において、第1塗工層は顔料として二酸化チタンを含有し、第2塗工層は、細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ顔料としてシリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット記録体である。
本発明のインクジェット記録体において、前記二酸化チタンの平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記二酸化チタンのBET法による細孔容積が0.5ml/g以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記二酸化チタンの平均粒子径が1μm以下であり、且つ二酸化チタンのBET法による細孔容積が0.5ml/g以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記第1塗工層のバインダーはエマルションラテックスを主成分とすることが好ましい。
エマルションラテックスの中でも、アクリル系樹脂エマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルションを用いることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記第1塗工層を前記基材上に設けた時のコッブ法による60秒の吸水度(JIS P 8140)が7〜70g/mであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記第1塗工層は平均粒子径が1μm以下の二酸化チタンを主成分とし、前記第2塗工層は、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7μm以下の気相法シリカを主成分とすることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記第2塗工層中の気相法シリカは、カチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を1.0μm以下に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記第2塗工層上に第3塗工層を有し、前記第3塗工層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、平均2次粒子径0.5μm以下の湿式ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とすることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、前記第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得られることが好ましい。
本発明は、インクジェット記録体の地合い及びボコツキを改善し、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、光沢及び画像濃度が極めて良好な染料、顔料インクともに優れたインク適性の効果を有するものである。
(透気性基材)
本発明のインクジェット記録シートに用いられる透気性基材としては、透気性を有するシート状物であれば特に限定するものではなく、例えば、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の紙基材が例示できる。
紙基材は、一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調製するために、叩解機により叩解度を調製できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙の波打ち(コックリング)や記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録用紙の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少ないと紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は7〜20%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として光沢感が優れたインクジェット記録用紙が得られ易くなる。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調製できる。
透気性基材の種類、形状、寸法などについては特に制限はないが、ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いと染料が均一に塗布できなかったり、印字後のカールが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。基材の厚さは、写真調の風合いを得るために150〜280μmが好ましい。坪量においても、特に限定はされないが、120〜300g/m程度である。
なお、塗工層を鏡面ドラムによって処理される場合、基材の透気度(JIS P8117)は30〜500secであることが、高い表面光沢が得られるために好ましく、更には35〜300secがより好ましい。因みに、透気度が30secより小さいと得られたインクジェット記録体のボコツキが大きく、また500secより大きいと鏡面ドラムからの離型が悪くなり高い表面光沢が得られないために好ましくない。
基材の平滑度は特に限定はないが、高光沢、高平滑な面を得るためにベック平滑度は70秒(王研式、J.TAPPI No.5)以上であることが好ましい。また、基体シートの不透明度にも特に限定はないが、銀塩写真ライクな外観(特に視感白色度)を得るためには、その不透明度(JIS P8138)が85%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
基材の裏面には、表側へのカールを矯正するためにコート層を設ける、あるいはポリオレフィン樹脂のラミネート層を設けるなど、裏面層を設けることが好ましい。裏面層は、表面の塗工層の塗工前でも塗工後でも設けることができる。また、塗工層を鏡面ドラムで処理する場合、裏面層は透気度が高いものであれば、塗工前に裏面層を設けることが可能である。また、基材の裏面には、更に、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、帯電防止剤やブロッキング防止剤などで処理してもよい。
(各塗工層について)
本発明のインクジェット記録体の層構成は、上記透気性基材上に、顔料及びバインダーを含有する第1塗工層、第1塗工層上に顔料およびバインダーを有する第2塗工層を少なくとも有する。更に、第2塗工層の上に第3塗工層を設けることが好ましい。
そして、本発明は、第1塗工層に二酸化チタンを含有し、第1塗工層上の第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ第2塗工層中にシリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有する構成を採用することにより、地合い及びボコツキの改善と、インク吸収性、光沢及び画像濃度の向上する効果を得るものである。
第1塗工層の顔料として二酸化チタンを配合することにより、透気性基材ゆえの地合いの悪さを改良し、及びボコツキを改善する効果を発揮するとともに、得られたインクジェット記録体に高い表面光沢を付与することができる。第2塗工層はインク中の着色料及び溶剤を吸収定着するためであり、第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ第2塗工層が、シリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、高いインク吸収容量の他に、高光沢を得ることができる。第3塗工層は、より高い表面光沢を得るために形成される。また、第3塗工層を設ける目的は光沢以外にも、インク中の染料または顔料をできるだけ記録体の表面に定着させて、高発色(高い色濃度)且つ、均一画像(画像ドット形状の高い真円度)を得るためである。
(第1塗工層について)
第1塗工層には、顔料として二酸化チタンを含有する。二酸化チタンは、構造の違いでルチル型とアナターゼ型に分類され、一般にルチル型の方が高い白色度が得られ好ましいが、本発明の第1塗工層にはどちらの型も有効に用いることができる。本発明に使用される二酸化チタンは、一次粒子が凝集した二次粒子として水に分散されているものが好ましく、その二次粒子の平均粒子径は1μm以下が好ましく、0.1〜0.8μmがより好ましい。なお、平均粒子径が1μmを超えると、画像の鮮明性が低下するおそれがある。
また、二酸化チタンのBET法による細孔容積は0.5ml/g以下であることが好ましい。細孔容積が0.5ml/gを超えると、第1塗工層の吸水性が高くなりすぎ、基材がボコツキやすくなる傾向にある。二酸化チタンの含有量は平均粒子径の大きさにもよるが、第1塗工層に含まれる全顔料の5〜80重量%程度が好ましい。二酸化チタンとともに第1塗工層に含有される顔料としてはシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリンが挙げられ、なかでもシリカ、カオリンが好ましい。これらの顔料の平均粒子径は特に限定されるものではないが、4μm以下であることが好ましい。
第1塗工層に用いられるバインダーは、格別の制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性樹脂が使用できるが、基材のボコツキ防止のためには、溶媒の浸透性を制御しやすい水不溶性のエマルション型接着剤を用いることが好ましい。
エマルジョン型接着剤は、アニオン性でもカチオン性でもノニオン性でもよく、例えばアクリル系樹脂エマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂エマルション、スチレン−ブタジエン共重合体系エマルション、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体系エマルション、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体や共重合体系エマルション、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体エマルションなどが挙げられ、特にアクリル系樹脂エマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルションが好ましく選択される。なお、ボコツキを抑制する効果を阻害しない範囲で、上記水溶性樹脂を併用することもできる。
顔料とバインダーの配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対し接着剤5〜30質量部、好ましくは7〜20質量部の範囲で調節される。その他、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。下塗り層中には、蛍光染料、着色剤、白色顔料等を添加することもできる。
第1塗工層を形成する方法としては、上記成分を含む塗液を公知の塗工方法により塗布するとよい。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知の塗工装置により塗工するとよい。
第1塗工層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に5〜18g/m程度であることが好ましく、より好ましくは8〜15g/mある。塗工量が過少であると、基材のボコツキや地合いの悪さを抑制できないおそれがあり、塗工量が多すぎると透気度が高くなりすぎて、第3塗工層を塗工後、湿潤状態でキャストドラムに圧着させて乾燥することができなくなるため好ましくない。
なお、第1塗工層を基材上に設けた際のコッブ法による60秒の吸水度(JIS P8140)は、7〜70g/mであることが好ましい。吸水度が7g/mより小さいとインク吸収性が不足し、70g/mより大きいと基材のボコツキが抑制し難くなる。
(第2塗工層について)
第2塗工層は、細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下である必要がある。
写真調のインクジェット記録画質を実現する為には、インク中の染料や顔料が定着する塗工層(第2塗工層)の透明性が欠かせない。塗工層が透明であるほど、塗工層中に定着した染料が外からよく見える為、画像の奥行き、つまり深みがあり、より銀塩写真に近いものが得られる。
透明性がある塗工層は、一般的にはインクを吸収し難いと言われているが、第2塗工層の成膜性とインク吸収性を両立させるため、本発明者らは鋭意検討した結果、顔料とバインダーを有する塗工層で、且つ塗工層上に光の波長より大きい細孔をなくすことが不可欠であることを見出し、第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に光の波長より小さい0.06μm以下とすることで達成した。このような第2塗工層は、塗膜にひび割れがなく、顔料とバインダーなどを連続膜となっている。
上記の細孔直径分布を有する第2塗工層を成膜させるためには、第2塗工層が、塗工の直後に、また塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗料を増粘または架橋させて成膜して製造されるのが好ましい。具体的には、下記(A)〜(C)に挙げる方法が例示でき、適宜採用できるが、これらの方法に限るものではない。
例えば、
(A)電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工の直後に、また塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗液層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、
(B)第2塗工層が、バインダーを含有する塗液であり、塗工の直後に、また塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、バインダーとの架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、
(C)例えば、バインダーとして感温性高分子化合物(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工の直後に塗液層温度を低下させることによって塗液層を増粘させる方法、
等が例示できる。
上記(A)の方法で第2塗工層を形成する場合、バインダーとしては、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーを用い、顔料100質量部に対して、親水性バインダー1〜100質量部の割合で含有する塗液を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布された塗液をハイドロゲル化させた後、乾燥して形成して第2塗工層を形成するとよい。
ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの共重合体などが例示でき、これらを単独使用、或いは併用するとよい。
電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は50〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は1〜200kGy程度の範囲で調節するのが好ましい。1kGy未満では塗工層をゲル化させるのに不十分であり、200kGyを越えるような照射は基材や塗工層の劣化や変色をもたらす恐れがあるため好ましくない。
電子線照射を施す方法として、(1)塗工、電子線照射、乾燥を繰り返しても良いし、(2)塗工し電子線照射後に次の層を塗工して乾燥しても良く、(3)多層を同時に塗工し、電子線照射を行う、等の方法がある。
上記(B)の方法で第2塗工層を形成する場合、インクジェット記録体用として使用される公知のバインダーが使用できる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性樹脂が挙げられる。特に、顔料との接着性の高い、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。特に成膜性と、インク吸収性とのバランスを良好にするためには、2000以上の重合度を有するポリビニルアルコールを用いることが好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールはより好ましい。インク吸収性などを改善するためには2種以上のバインダー用材料(例えば、2種以上の水溶性樹脂の混合物、1種以上の水溶性樹脂と1種以上のラテックスとの混合物)を用いてもよい。
この場合、第2塗工層における顔料と水溶性樹脂との乾燥固形分質量比率は、顔料100質量部に対し2〜50質量部の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには5〜30質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがさらに好ましい。
バインダーとの架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる、中でも、ホウ素化合物は、増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、基材の片面に0.01〜1.5g/m含有されるのが好ましい。1.5g/mより多いと親水性バインダーとの架橋密度が高くなり、塗膜が硬くなって折り割れしやすくなる。また、0.01g/mより少ないと親水性バインダーとの架橋が弱く、塗料のゲル化も弱くなって塗膜がひび割れやすくなる。
第2塗工層は、例えば、架橋剤を予め第1塗工層に塗布・含浸させておき、第2塗工層用塗液を塗布する、または、第2塗工層用塗液に架橋剤を配合せしめておき塗布する、または、第2塗工層用塗液を塗布後、架橋剤を塗布する、などの方法により製造するとよいが、架橋剤を予め塗布しておくことが、増粘またはゲル化が均一な記録層が得られるため、好ましい。
上記(C)の方法で第2塗工層を形成する場合、バインダーとして、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物を用いるとよい。
この感温性高分子化合物を用いた場合、感温点以上の温度で塗工を行い、感温点以下に冷却することにより、塗工した層が増粘またはゲル化され、その後乾燥して記録層を形成するとよい。感温点は5〜35℃の範囲が好ましい。15〜30℃の範囲が更に好ましい。このような感温性高分子化合物としては、特開2003−40916号公報に開示されている、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物が例示できる。
第2塗工層に使用する顔料は、シリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を使用するが、細孔直径分布曲線におけるピークを実質的に0.06μm以下に制御する必要があるため、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均二次粒子径は0.7μm以下の微細顔料が好ましく用いられる。
具体例としては、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、及びアルミナ水和物が挙げられることができる。これらのなかで、塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点から、気相法シリカが最も好ましく使用される。
気相法シリカはフュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することが出来る。
メソポーラスシリカとは1.5〜100nmに平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m /gが好ましく、細孔容積としては0.5〜4cc/gが好ましい。
また、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体は特開2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
アルミナは、一般的に結晶性を有する酸化アルミニウムとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有するアルミナが挙げられる。光沢感やインク吸収性から、気相法アルミナ、γ、δ、θ結晶を有するアルミナが好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ(フュームドアルミナ)は特に好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成される。
また、アルミナ水和物は特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918)などが挙げられる。
上記顔料のうち、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの一次粒子が凝集してなる平均二次粒子径は0.7μm以下の微細顔料を用いることが好ましく、特に該粒子径を満足する気相法シリカを用いることが好ましい。このような粒子径に調節する方法としては、たとえば機械的手段で強い力を施す方法、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により製造することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と粉砕とを繰り返して施すことができる。
第2塗工層には、記録画像の耐水性や保存性を高めるために、カチオン性高分子を含有することが好ましい。カチオン性高分子としては、ポリアルキレンアミン化合物(例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−キルムアルデヒド重縮合物)、エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO共重合体、ジアリルアミン−SO共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体アリルアミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体などが例示でき、単独或いは併用できる。これらのカチオン性高分子は、分子量が5000より低いとインク吸収性を阻害するおそれがあるので、分子量5000以上のものを用いることが好ましい。
一般的に、シリカはシラノール基が表面に存在しているため電気的にマイナスを示し、カチオン性高分子と混合することにより凝集する。このため、シリカをカチオン性高分子で処理した複合粒子の形態で用いると、分散性が優れるほか、印字濃度、画像耐水性などにおいても優れ、銀塩写真に匹敵する優れた品質が得られる。
例えば、水中で気相法シリカとカチオン性高分子を混合し、凝集させることによって得られたカチオン性高分子−シリカの凝集体粒子を、平均粒子径が100nm〜1000nm、好ましくは100nm〜700nm、より好ましくは100〜500nmとなるように粉砕、分散したカチオン性高分子−シリカ複合粒子であることが好ましい。カチオン性高分子は、上記例示のカチオン性高分子の中から適宜選択され、単独使用或いは併用される。インク中の染料及び顔料の定着性、及びシリカ分散体の分散性を向上させるためには、5員環アミジン類、及びジメチルジアリルアンモニウムクロライドを用いることがより好ましい。カチオン性化合物の添加量は、顔料100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。
前記シリカと前記カチオン性高分子の混合物、もしくは凝集体を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。平均粒子径が1000nmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均粒子径を1000nm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
本発明において圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中、高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×106〜343.2×106Pa(200〜3500kgf/cm2)、より好ましくは49.0×106〜245.3×106Pa(500〜2500kgf/cm2)、さらに好ましくは、98.1×106〜196.2×106Pa(1000〜2000kgf/cm2)である。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。さらに高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散、或いは粉砕方式を用いることがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐してさらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
また、例えば、シリカ微粒子の水分散液を所望によりこれに粉砕処理を施してその平均二次粒子径を所望値まで低下させ、この分散液にアンモニウム塩を有するシランカップリング剤やポリ塩基性塩化アルミニウムなどのアルミニウム化合物を添加して、シリカ−カチオン化合物凝集体を形成させ、これに粉砕処理を施して、その平均二次粒子径を500nm以下に調製したものも使用できる。
第2塗工層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に1〜40g/m程度であることが好ましく、より好ましくは5〜30g/mである。塗工量が過少であると、高精細且つ高速のプリンターではインク吸収性が不足するおそれがあり、塗工量が多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難になることがある。
ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種塗工装置が挙げられる。第1塗工層が湿潤状態である間に第2塗工層を塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
(第3塗工層について)
本発明は、上記第2塗工層上に、更に表面光沢を高めるために第3塗工層(最表層)を形成することができる。また、インク中の染料または顔料をできるだけ記録体の表面に定着させて、高発色(高い色濃度)且つ、均一画像(画像ドット形状の高い真円度)を得る目的で第3塗工層を形成してもよい。
最表層である第3塗工層には、平均二次粒子径が1μm以下のアルミナやアルミナ水和物、平均二次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカや平均二次粒子径が0.5μm以下の湿式ゲル法シリカ、平均一次粒子径が0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料から選ばれる少なくとも1種の顔料が主成分として用いられる。
湿式ゲル法シリカは、例えば、高純度珪砂を原料としたケイ酸ソーダと硫酸を混合し、酸性サイドで珪酸ゾルを生成する。ケイ酸ゾルは次第に重合して一次粒子を形成し、さらに三次元的に凝集体を形成しゲル化する。このシリカを水洗して乾燥した後、ミクロンサイズに微粉化してゲル法の非晶質シリカを得る。
単分散コロイド顔料とは、二次凝集していない一次粒子のみからなる微粒子であり、安価なコロイダルシリカが好ましく用いられる。なかでも、酸性のコロイダルシリカが染料の発色性も良いため好ましい。更には、カチオン化された酸性のコロイダルシリカが顔料インクの定着性も良いため好適に使用される。
尚、湿式ゲル法シリカ及び気相法シリカの顔料粒子は、たとえば機械的手段で強い力を施す方法、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により粒子径を調節することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と粉砕とを繰り返して施すことができる。
第3塗工層には、上記微細顔料の他にバインダーを含有してもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂でもよく、水不溶性のエマルジョン樹脂でもよい。水溶性樹脂の場合は分子量などに制限はなく、顔料とバインダーの乾燥固形分質量比率は100/10〜100/0が好ましい。添加率が10%より多いとインク吸収速度が遅くなる。エマルジョン樹脂の場合、記録画像の色濃度を高くするために、樹脂含有粒子の平均粒子径は100nm以下であることが好ましく、より好ましい範囲は10〜80nmであり、顔料とバインダーの乾燥固形分質量比率は100/30〜100/5が好ましい。
第3塗工層の塗料はpHが8以下で、かつ粘度が100mPa・s以下であることが好ましい。粘度が100mPa・sより高くなると光沢が低下するので、低粘度の塗料になるようにバインダーの種類及び添加量を適宜調製すればよい。
第3塗工層に用いられるバインダーには格別の制限はないが、インクの定着性及び耐水性を高めるためには、カチオン性置換基を有する水不溶性のエマルジョン樹脂が好ましい。特に、エステル基にカチオン性置換基を有するアクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、あるいはメタクリル酸エステルの少なくとも1成分を共重合成分とするアクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、カチオン性置換基を有するイソシアネートとポリオールの共重合体のアイオノマー樹脂粒子を分散させたウレタン系エマルジョン樹脂が好ましく用いられる。
第3塗工層は、さらに、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜含有していてもよい。
第3塗工層の乾燥固形分塗布量は、0.3〜5g/mの範囲内にあることが好ましく、0.5〜3g/mがより好ましい。塗工量が過少であると、塗膜が過度に薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が過多であるとインク吸収速度が著しく低下するおそれがある。インク吸収速度とインク吸収容量のバランスをよくするためには、第2塗工層の塗布量は第3塗工層の塗工量の3〜50倍であることが好ましく、7〜30倍であることがさらに好ましく10〜25倍であることが一層好ましい。
第3塗工層を形成するための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種塗工装置が挙げられる。
第3塗工層の表面に更に高い光沢を付与するためには、これにカレンダー仕上げを行なうか、鏡面仕上げを施すことが好ましい。
第3塗工層を鏡面仕上げするには、第3塗工層が湿潤状態にある間に、これを加熱された鏡面ドラムに圧着し乾燥して、鏡面を塗工層に写し取る、キャスト方式が採用できる。キャスト方式としては、従来から印刷用塗工紙の分野で知られているウェットキャスト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などが適用できる。
また、第2塗工層が鏡面ドラムに圧接される直前に、プレスロール上の第2塗工層面と鏡面ドラムの間に第3塗工層用塗工液を付与し、直ちに圧着させて乾燥させる方式による鏡面仕上げ(以下、ニップキャスト法仕上げともいう)を施すこともでき、この方法により得られた記録体は銀塩写真に匹敵する光沢および画質が得られるので好ましい方法である。
このとき、ひび割れを防止し及び乾燥効率を高くするためには、加熱された鏡面の表面温度は80〜120℃の範囲内にコントロールすることが好ましい。圧着された鏡面から第3塗工層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを第3塗工層中に含有させてもよく、或は、鏡面に塗布してもよい。これらの中でも、特に、カチオン系離型剤を用いることが好ましい。最外表面塗工層中の離型剤の添加量は、特に限定はないが、一般に、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
ニップキャスト法によって、より高平滑、高光沢の第3塗工層面を得るためには、第3塗工層に配合するラテックス中の合成樹脂のガラス転移温度は低い方が好ましく、好ましい範囲は−30℃〜50℃である。勿論、品質を阻害しない程度で、バインダー中に上記水不溶性エマルジョン樹脂以外に、他のバインダー物質(例えば水溶性樹脂バインダー)を併用してもよい。
第3塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークは、第2塗工層と同様に実質的に0.06μm以下のみにあることが好ましい。
塗工層の細孔直径分布曲線において、細孔直径のピークが0.06μmを超える領域にあると、第3塗工層表面及びそれに記録された画像の光沢が不十分になり、第3塗工層にひび割れが多く発生し、記録画像のドットの真円性が低下し、記録画像の均一性が不良になる。つまり、第3塗工層及びこれと隣接する第2塗工層の細孔直径分布曲線におけるピークを0.06μm以下の領域に存在させ、つまり、塗膜にひび割れが実質上ない状態にすることにより、記録画像の均一性を高めることが可能になった。
本発明において、基材と第1塗工層の間に、基材と第1塗工層間の密着性の改良などの目的でコート層を設けてもよい。上記の塗工層の場合は、細孔直径分布曲線におけるピークに限定はなく、水溶性樹脂も含めて多種多様のコート層を設けることができる。
(インクについて)
本発明のインクジェット記録体にインクジェット記録するためのインクは、像を形成するための色素とこの色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分として含み、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調製剤、比抵抗調製剤、pH調製剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調製される。
インクに使用される染料又は顔料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種着色顔料等が用いられ、それぞれ従来の染料又は顔料から選択することができる。インク中の前記染料及び顔料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して設定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中における染・顔料の含有量、即ち、0.1〜20質量%程度に設定することができる。
前記インク用溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
(平均粒子径の測定方法)
なお、本発明でいう顔料の二次粒子の平均粒子径は、当該顔料が粉体状にあるか、又はスラリー状にあるか関係なく、この顔料から濃度3質量%の水分散液200gを調製し、これをホモミキサーに供して1000rpm、30分間の攪拌分散処理を施した後、直ちにこの分散液を電子顕微鏡(SEMとTEM)観察に供して1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、写真中の5cm×5cm四方の面積中に存在する粒子のマーチン径を測定し平均したものである。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
(細孔直径分布の測定方法)
本発明で規定する細孔直径分布曲線におけるピークについて説明する。測定方法としては、支持体の影響を避けるために、塗工層をカッター等で剥がし取り測定に用いた。細孔分布は、マイクロメトリックス・ポアサイザー9320(島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた。水銀圧入法による細孔直径の測定は、細孔の断面を円形と仮定して導かれた下記の式を使って計算した。
R=−2γCOSθ/P
ただし、式中でそれぞれR:細孔半径(2R=細孔直径)、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。
水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力の低圧部(0〜30psia、測定細孔半径:180〜3μm)と高圧部(0〜30000psia、測定細孔半径:3〜0.003μm)にて測定した。
細孔直径分布は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に細孔内に進入した水銀の体積すなわち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した細孔直径(2R)と細孔容積との関係を描き、この関係曲線の微分係数dV/d(2R)を求めて縦軸とし、細孔直径2Rを横軸にすることで求められる。塗工層の細孔直径分布曲線は通常1〜数個のピークが認められる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。まず、実施例及び比較例において使用する材料について説明する。
(1)紙基材の作製
濃度0.5質量%のパルプスラリー(NBKP;ろ水度250mlCSFと、LBKP;ろ水度280mlCSFを、質量比2:8の割合で混合したもの)中に、パルプ絶乾質量に対しカチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.4質量%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7質量%を添加し、十分に撹拌して分散させた。上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量101g/m、緊度1.0g/cmの紙基材を製造した。
上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5質量%に調製したもので、このサイズプレス液を、紙の両面に合計25ml/mを塗布して、平滑度(J.TAPPI No.5−2)が380秒の紙基材を作製した。
(2)カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aの調製(気相法シリカ使用)
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約8nm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、平均二次粒子径が800nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
このシリカ微粒子分散液100質量部に対し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均二次粒子径が150nmの10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aの調製した。
(3)カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Bの調製(活性珪酸を縮合して得られたシリカ使用)
(a)活性ケイ酸水溶液の調製
SiO濃度:30質量%、SiO/NaOモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液(トクヤマ社製、商品名:三号珪酸ソーダ)に蒸留水を混合し、SiO濃度:4.0質量%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名:ダイヤイオンSK−1BH)が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO濃度は4.0質量%、pHは2.9であった。また、NaO換算濃度は0.1質量%以下であった。
(b)シード液の調製
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。
(c)シリカ微粒子分散液の調製
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニア0.015モルを添加して安定化し、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液合計550gを、1.5g/分の速度で添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、シリカ微粒子分散液を得た。この分散液をエバポレーターにて濃縮し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
(d)カチオン性シリカ微粒子の調製
得られたシリカ微粒子分散液100質量部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10質量部を添加し、平均二次粒子径が200nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Bを調製した。
(4)カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Cの調製(湿式法ゲル法シリカ使用)
市販ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェットP403、平均二次粒子径3μm)100質量部をサンドグラインダーにより粉砕分散した後、1級アンモニウム塩を有するシランカップリング剤(γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン)を20質量部添加し、マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)を用いて平均二次粒子径が300nmになるまで粉砕分散を繰り返し、10質量%の水分散液を調製した。
〔実施例1〕
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Aを、塗工量が15g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。第1塗工層のコッブ吸水度は30g/mであった。
<塗工液A>
二酸化チタン微粒子(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、ルチル型)70質量部(固形分)と湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均粒子径:1.5μm)30質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)35質量部を水中で混合して水分散液(濃度:30質量%)を調製した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に、下記組成の塗工液Bを塗工量が25g/mになるように塗工し、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面は塗料がゼリー状の固体となっており、ハイドロゲル化していた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を乾燥させて第2塗工層を形成し、インクジェット記録体を作製した。第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.025μmであった。
<塗工液B>
カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
〔実施例2〕
実施例1において、第2塗工層を形成する塗工液を、下記組成の塗工液Cに変更した以外は実施例1と同様にして第2塗工層を形成し、インクジェット記録体を作製した。得られた第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.020μmであった。
<塗工液C>
平均粒子径が0.25μmの気相法アルミナ微粒子(CABOT社製、商品名:PG003)100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度7500、ケン化度98%のポリビニルアルコール9質量部を混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
〔実施例3〕
実施例1の第1塗工層の塗工液Aにおいて、二酸化チタン微粒子として、二酸化チタン微粒子(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、ルチル型)を、マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)を用いて平均粒子径が0.3μmになるまで粉砕分散したものを用いた。それ以外は実施例1と同様にして、第1塗工層、第2塗工層を形成し、インクジェット記録体を得た。なお、第1塗工層のコッブ吸水度は20g/mであった。また、第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.025μmであった。
〔実施例4〕
実施例3において、第2塗工層を形成する塗工液を、下記組成の塗工液Cに変更した以外は実施例1と同様にして第2塗工層を形成し、インクジェット記録体を作製した。得られた第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.023μmであった。
<塗工液D>
平均粒子径約0.4μmの擬ベーマイト微粒子(触媒化成社製、商品名:AS−3)100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度7500、ケン化度98%のポリビニルアルコール12質量部を混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
〔実施例5〕
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Aを、塗工量が15g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。第1塗工層のコッブ吸水度は60g/mであった。
<塗工液E>
二酸化チタン微粒子(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、ルチル型)50質量部(固形分)と湿式法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均粒子径:1.5μm)50質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)35質量部を水中で混合して水分散液(濃度:30質量%)を調製した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に、下記組成の塗工液Bを塗工量が25g/mになるように塗工し、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面は塗料がゼリー状の固体となっており、ハイドロゲル化していた。引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を乾燥させて第2塗工層を形成し、インクジェット記録体を作製した。第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.025μmであった。
<塗工液F>
カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液A 100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
「第3塗工層の形成」
次いで、第2塗工層の上に下記塗工液Gを、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、第2塗工層を鏡面ドラム側となるようにし、第2塗工層面と鏡面ドラムの間に第3塗工液を供給し、プレスロールで圧着しながら塗工後、そのまま鏡面ドラム(表面温度が95℃)で乾燥させて、第3塗工層を形成し、高光沢のインクジェット記録体を得た。
<塗工液G>
カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液C100質量部(固形分)に、バインダーとしてエマルジョン型アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:60nm、Tg=100℃)15質量部、離型剤(オレイン酸アンモニウム)5質量部を水中で混合して水分散液(濃度:10質量%)を調製した。
〔実施例6〕
実施例5において、第3塗工層に用いた塗工液Gのカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Cの代りに、平均粒子径が0.25μmの気相法アルミナ微粒子(CABOT社製、商品名:PG003)を用いた以外は、実施例5と同様にしてインクジェット記録体を得た。
〔実施例7〕
実施例5において、第3塗工層に用いた塗工液Gのカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Cの代りに、アルミナでカチオン変性したコロイダルシリカ微粒子(日産化学社製、商品名:ST−AKL、一次粒子:50nm)を用いた以外は、実施例5と同様にしてインクジェット記録体を得た。
〔実施例8〕
「第1塗工層の形成」
紙基材の1面上に、下記組成の塗工液Hを、塗工量が15g/mになるようにバーで塗工して乾燥し、第1塗工層を得た。第1塗工層のコッブ吸水度は8g/mであった。
<塗工液H>
二酸化チタン微粒子(堺化学社製、商品名:R−21、平均粒子径0.5μm、ルチル型)50質量部(固形分)とカオリン(エンゲルハード社製、商品名:URTLA WHITE90、平均粒子径0.7μm)50質量部(固形分)に、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)35質量部を水中で混合して水分散液(濃度:30質量%)を調製した。
「第2塗工層の形成」
次いで、この第1塗工層上に2.0%硼砂水溶液を乾燥質量塗工量が0.15g/mとなるように、下記組成の塗工液Iを乾燥質量塗工量が25g/mになるようにWet on Wetの条件で塗工、塗工液層をゲル化させた後120℃の送風乾燥機で乾燥して第2塗工層を形成した。第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.025μmであった。
<塗工液G>
カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液B(平均粒子径0.2μm)100部に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
「第3塗工層の形成」
次いで、第2塗工層の上に実施例5と同様にして第3塗工層を形成し、高光沢のインクジェット記録紙を得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aの二酸化チタン微粒子を使用せず、湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均粒子径:1.5μm)を30質量部から100質量部に変更したものを用いて第1塗工層を形成した。第1塗工層のコッブ吸水度は120g/mであった。第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.015μmと1μmであった。
〔比較例2〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第2塗工層の作製において、塗工液Bのカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液Aに代えて、湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシール F−80、平均粒子径:1.5μm)に変更した。第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.012μmと1μmであった。
〔比較例3〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、第1塗工層の作製において、塗工液Aの二酸化チタン微粒子に変えて、平均粒子径が1.2μmの二酸化チタンを使用した。第1塗工層のコッブ吸水度は80g/mであった。また、第2塗工層の細孔分布のピ−クは0.010μmと1μmであった。
〔比較例4〕
実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。但し、基材を透気性の紙基材に変えて、紙基材Aの両面をポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙を用いた。
評価方法
得られたインクジェット記録体のインク吸収性、光沢、画質、および基材のボコツキを下記に示す方法で評価した。またインクジェット記録を、染料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−950C、印字モード:PM写真用紙 きれいモード)、及び顔料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−4000PX、印字モード:MC光沢紙 はやいモード)を使用して行った。評価結果を表1に示す。
(1)インク吸収性(印字斑)
供試された記録体にグリーン色インクをベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の4段階に評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題がない。
△:印字斑が見られ、実用性が低い。
×:印字斑が多い。
(2)記録画像の画質
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Macbeth RD−920、マクベス社製)にて測定し、また、記録画像の鮮明さを目視で判断し、総合的に4段階に評価した。
◎:各色の色濃度が高く、記録画像が鮮やかである。
○:各色の色濃度は高いが、記録画像がやや鮮やかさに欠けるが、実用上問題はないレベル。
△:色濃度が低く、記録画像が沈んだ感じになる。
×:色濃度が低く、不鮮明な画像で実用上問題がある。
(3)光沢
供試された記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像を、記録体表面に対して傾斜している角度から目視し、下記の4段階に評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢がある。
○:銀塩写真よりやや劣るが、充分な光沢がある。
△:従来の光沢インクジェット記録体と同等又は低い光沢がある。
×:光沢はほとんどなく、マットに近いレベル。
(4)基材のボコツキ
供試された記録体を目視及び質感で判定し、下記の4段階に評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの平滑感がある。
○:紙由来の小さなうねりが見られるが、使用上は気にならないレベル。
△:紙由来のうねりが見られ、実用上問題となるレベル。
×:表面にボコツキがはっきり見られ、実用上不可能レベル。
Figure 2006044013
本発明で得られたインクジェット記録体は紙の地合いやボコツキが目立たず平滑感に優れ、光沢及びインク吸収性が良好で、インク受容層(第2塗工層および第3塗工層)にひび割れがないため、記録画像の品質は極めて良好である。

Claims (6)

  1. 透気性基材上に、顔料及びバインダーを含有する第1塗工層、第1塗工層上に顔料およびバインダーを有する第2塗工層を少なくとも有するインクジェット記録体において、第1塗工層は顔料として二酸化チタンを含有し、第2塗工層は、細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下にあり、且つ顔料としてシリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット記録体。
  2. 二酸化チタンの平均粒子径が1μm以下であり、二酸化チタンのBET法による細孔容積が0.5ml/g以下である請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. 第1塗工層のバインダーが、エマルションラテックスを主成分とする請求項1又は2記載のインクジェット記録体。
  4. 第1塗工層を透気性基材上に設けた構成でのコッブ法による60秒の吸水度(JIS P 8140)が7〜70g/mである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  5. 第2塗工層は、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.7μm以下の気相法シリカを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  6. 第2塗工層上に第3塗工層を有し、第3塗工層が、平均1次粒子径0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ、平均2次粒子径1μm以下のアルミナ水和物、平均2次粒子径0.7μm以下の気相法シリカ、平均2次粒子径0.5μm以下の湿式ゲル法シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を主成分とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
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