JP4561757B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
インク吸収性を実現する為に、1層以上の層構成を設け、最上層の空孔分布曲線の1つのピークを0.2〜10μmに、かつ、インク受容層全体の空孔分布曲線のピークを少なくとも0.2〜10μm及び0.05μm以下の2ヶ所に設計する提案がある(例えば、特許文献5参照)。この場合、インク吸収速度の向上効果は著しいが、このようなインクジェット記録用紙を得るには、塗工層(インク受容層)は、ミクロンオーダーの顔料を主成分に設計することが不可欠であり、ミクロンオーダーの顔料を使用することにより、光沢は勿論のこと、画像濃度も低く、また、ドットの真円性が得られないため、画像の均一性が低くなるという難点がある。
<紙基材>
紙基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の透気性紙基材が適宜使用される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。
パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが
望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
本発明では、紙基材上にインク溶媒吸収遅延層とインク溶媒吸収層及びインク定着層を順次設ける。インク溶媒吸収遅延層は、インク中の溶媒である水が、紙基材に浸透するのを抑え、コックリングを防止することが主目的であり、平板状無機顔料Aとその他の無機顔料B及び合成樹脂バインダーを含有する。
インク溶媒吸収遅延層に使用する平板状無機顔料Aは、その平均粒子径が数μm以上の概略平板な結晶性の物質であり、レーザー回析法で測定した平均粒子径が0.1μm〜25μmの範囲の粒子である。その中でも0.5μm〜20μmの粒子が好適である。粒子径が0.1μm未満のものは、塗工層中での該平板状顔料の配向が紙基材面に対して平行になりにくいためコックリング抑制に効果がなく、25μmを超えると、平板状顔料の一部が塗工層から突出し、平滑性が低下するためにコックリング抑制効果が低下する場合がある。
本発明で使用する無機顔料Bは、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料を用いることができ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、擬ベーマイト、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの顔料は真球状でも不定形でもよく、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
吸油量が10ml/100gより少ないと、インク溶媒吸収層のバインダーが吸収遅延層にほとんど浸透せず、吸収層と遅延層内の接着力が弱い状態となり、その結果、折り曲げ時等に塗工面のヒビ割れが生じる。また、150ml/100gを超えると、インク溶媒吸収層塗工時に無機顔料Bが該吸収層に含まれているバインダーを選択的に吸収し、吸収層のP/B比が増加する。そのため、溶媒吸収層内の接着力が弱まり、塗膜強度が劣化する。
本発明のインク溶媒吸収遅延層に用いる合成樹脂バインダーとしては、スチレン−ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル酸エステル系重合体などが挙げられるが、耐水性の面が良好で伸びがよく、折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレン−ブタジエン系共重合体が好適である。ここで、重合性単量体は、スチレン及び1,3-ブタジエンを主体とするが、その他のスチレン及び1,3−ブタジエンと共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和酸のグリシジルエステル;アリルグリシジルエーテル等の不飽和アルコールのグリシジルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;等が挙げられ、これらの重合性単量体を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
インク溶媒吸収遅延層の顔料と合成樹脂バインダーの配合割合は、合成樹脂バインダー100質量部に対して、顔料1〜150質量部の範囲であれば問題がなく、コックリングと塗膜強度のバランスから10〜100質量部の範囲が好ましく、20〜60質量部の範囲がさらに好ましい。
合成樹脂バインダー100質量部に対する顔料の量が1質量部より少ないと折り割れ時の塗膜強度が低下し、150質量部を超えるとコックリング抑制効果が著しく低下し実用性がなくなる。
インク溶媒吸収遅延層の塗工量は、特に限定するものではないが、0.5〜5g/m2程度であり、0.8〜4g/m2が好ましい。更に好ましくは、1〜3g/m2である。塗工量が0.5g/m2より少ないと、コックリング抑制効果が低下し、5g/m2より多いと、折り曲げ時の塗膜強度が著しく低下する。
本発明では、インク溶媒吸収遅延層上にインク溶媒吸収層を設ける。インク溶媒吸収層は、インク中の溶媒を分離吸収すること、記録用紙の平滑性を持たせることが主目的であり、特に限定されないが、顔料としては、平均粒子径1μm以下のシリカと無機顔料を含有することが好ましい。インク溶媒吸収層中のシリカは、記録用紙のインク吸収性の観点から、特に平均粒子径を0.01〜0.7μmの超微細シリカを用いることが好ましい。
1μm以下のシリカとしては、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、メソポーラスシリカが用いられる。平均粒子径1μm以下のシリカは、例えば、機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。粒子径を小さくするためには分級と繰り返し粉砕が必要である。
インク溶媒吸収層の無機顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が用いられるが、その中でも、インク吸収性、平滑性、塗膜強度の観点から、カオリンが特に好ましい。
インク溶媒吸収層に含有するバインダーとして、従来公知のものが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体や高分子ラテックス(エマルション型、溶剤型、無溶剤型)、合成樹脂エマルションなどの水分散性接着剤、感温性ポリマー等が挙げられる。特に、塗膜強度、インク定着層に含有する架橋剤で塗膜が脆くなる影響を考慮すると、高分子ラテックスが好ましい。中でも、塗料の分散安定性からエマルション型ラテックスを主成分とすることが好ましい。さらに好ましくは、塗膜強度と塗料安定性からアクリル系エマルション型ラテックス、ウレタン系エマルション型ラテックス、スチレン−ブタジエン系エマルション型ラテックスである。
インク溶媒吸収層に含有するバインダーの配合割合は、シリカと無機顔料全体100質量部に対して、バインダー5〜40質量部であり、より好ましくは、15〜30質量部である。バインダーが5質量部より少ないと、折り曲げ時の塗膜強度が著しく低下し、40質量部より多いと、インク吸収性が低下する。
インク溶媒吸収層の塗工量は、特に限定するものではないが、5〜20g/m2程度であり、7〜18g/m2が好ましい。更に好ましくは、10〜15g/m2である。塗工量が5g/m2より少ないと、インク溶媒を吸収する容量が不足するため、インク吸収性が低下する。また、20g/m2より多いと、折り曲げ時の塗膜強度が著しく低下する。
インク溶媒吸収遅延層及びインク溶媒吸収層を得るための塗工方法は、インク溶媒吸収遅延層とインク溶媒吸収層を同時重層塗布する方法、又はインク溶媒吸収遅延層を塗布した後、未乾燥の状態でインク溶媒吸収層をタンデム塗布(Wet on Wet)する方法が好ましい。
本発明では、インク溶媒吸収層上にインク定着層を設ける。インク溶媒吸収層で溶媒をすばやく分離することにより、インク定着層は、インク中の染料や顔料を斑なく定着させることが可能となる。インク定着層は、インク中の染料や顔料をすばやく定着させ、高発色(高印字濃度)、均一画像を得るのが目的である。特に限定されないが、インク定着層に平均粒子径0.7μm以下の超微粒子シリカと水溶性樹脂を含有することにより、更に高発色、均一画像を得る事が可能である。インク溶媒吸収層及びインク定着層が機能分離し、得られたインクジェット記録用紙は、インク吸収速度が速く、画像の均一性が極めて優れたものである。
インク定着層に用いる顔料としては、特に限定されないが、塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点で、0.7μm以下のシリカが好ましい。
インク定着層のバインダーとしては、上記のバインダーであれば特に限定するものではないが、ポリビニルアルコールが好ましく選択される。特に成膜性、インク吸収性とのバランスから、重合度2000以上のポリビニルアルコールが好ましく、重合度3500以上のポリビニルアルコールがより好ましい。成膜性を向上する目的でポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物、その中でもホウ素含有化合物を含有した方が好ましい。ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物の含有量は、ポリビニルアルコール100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。少ないと架橋の効果が得られにくく、多いと塗膜が硬くなりすぎて、塗工層が折り割れし易いという問題が生じるおそれがある。
インク定着層のバインダー量はインク吸収性を阻害しなければ特に規定するものではないが、シリカ100質量部に対して8〜25質量部の範囲が好ましく、10〜22質量部の範囲がさらに好ましく、13〜20質量部の範囲が最も好ましい。バインダー量が25質量部より多いとインク吸収速度が十分ではなく、8質量部を超えると塗膜にひび割れが生じるおそれがある。
インク定着層の塗工量は、特に限定するものではないが、3〜30g/m2程度、好ましくは5〜20g/m2に調節する。
ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物は、例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明ばん、硼酸及び硼砂などのホウ素含有化合物が挙げられる。本発明では、特に、硬膜効果が優れるホウ素含有化合物が好ましく、その中でも特に硼砂がより好ましい。
顔料とバインダー以外に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、インク溶媒吸収層に溶媒吸収に伴って微量の染料も定着するため、染料定着用にカチオン性化合物を添加して使用してもよい。
インク定着層を得るための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。2層以上塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法であるWet on Wetで塗工することが好ましい。
また、インク溶媒吸収遅延層とインク溶媒吸収層及びインク定着層の3層を同時重層塗布又はタンデム塗布することも可能である。
塗工層の少なくとも1層をカレンダーで圧力印加して平滑処理することにより、インクジェット記録用紙表面のボコツキを改良し、見た目の光沢感、平滑感を向上することが可能である。カレンダー圧としては、20〜250kg/cmであることが好ましい。カレンダー圧20kg/cmより低いと平滑処理効果が得られず、250kg/cmより高いと塗工層が潰れすぎてインク吸収性を阻害する。より好ましくは、30〜180kg/cmである。
[シリカ微粒子A]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
バインダーとしてスチレン−ブタジエン系重合体(日本ゼオン社製、商品名:LX407S12、Tg25℃、エマルジョン型接着剤)100部、ナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−5、平均粒子径5μm、吸油量70ml/100g、アスペクト比1000)20部、軽質炭酸カルシウム(無機顔料B、白石工業株式会社、商品名:Brilliant−15、平均粒子径0.3μm、吸油量43.5ml/100g、比表面積11.5m2/g)20部の混合水分散液(塗工液A、濃度:15%)を調製した。
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェット 733A、平均粒子径0.3μm、1次粒子径約10nm)40部、カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m2/g)60部、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンT−50)1部の混合水分散液(塗工液B、濃度:30%)を調製した。
シリカ微粒子A100部に、マット化剤として湿式法沈降法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−30、粒子径:3.0μm)5部、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)10部の混合水分散液(塗工液C、濃度10%)を調製した。
標準ろ水度(JIS P 8121)が250mlになるまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、標準ろ水度が280mlになるまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5質量%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%,アルキルケテンダイマー0.4%,アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して抄紙用パルプスラリーを調製した。上記組成のパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、得られた湿紙をドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量150g/m2、密度1.0g/cm3の原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを、2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したものであり、このサイズプレス液を未サイズプレス原紙の両面に、合計25ml/m2の塗布量になるように塗布してサイズプレス原紙を作製した。
基材原紙A上に、塗工液Aを塗工量が2g/m2になるように塗工し、インク溶媒吸収遅延層を形成し、インク溶媒吸収遅延層上に、塗工液Bを塗工量が15g/m2になるようにタンデム塗布、乾燥し、インク溶媒吸収層を得た。インク溶媒吸収層上に、8%の硼砂水溶液の塗工量が1.5g/m2であり、塗工液Cの塗工量が15g/m2になるようにWet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件で塗工、乾燥し、インク定着層を得、インクジェット記録用紙を作製した。
実施例1の塗工液Aの調製において、ナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−5、平均粒子径5μm、吸油量70ml/100g、アスペクト比1000)20部を平板状クレー(エンゲルハード社製、商品名:NUクレー、平均粒子径2〜20μm、アスペクト比5〜50、吸油度35ml/g)50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1の塗工液Aの調製において、軽質炭酸カルシウム(無機顔料B、白石工業株式会社、商品名:Brilliant−15、平均粒子径0.3μm、吸油量43.5ml/100g、比表面積11.5m2/g)20部を重質炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル社製、商品名:P−10、平均粒子径2.0μm、吸油量26ml/100g、比表面積5.8m2/g)50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1の塗工液Aの調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)(日本ゼオン社製、商品名:LX407S12、Tg25℃、エマルジョン型接着剤)をアクリル系重合体(日本ゼオン社製、商品名:Nipol 1571H、Tg−8℃、エマルジョン型接着剤)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1の塗工液Aの塗工において、塗工量2g/m2を4.5g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
[シリカ微粒子B]
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロイド 74X6500、平均粒子径5.4μm、比表面積260m2/g)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.4μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
実施例1の塗工液Bの調製において、カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、比表面積14m2/g)を炭酸カルシウム(米庄石灰工業社製、商品名:PP−2、平均粒子径0.2μm、比表面積8m2/g)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
[塗工液D]
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェット 733A、平均粒子径0.3μm、1次粒子径約10nm)40部、カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m2/g)60部、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンT−50)1部、青色着色剤(大日精化社製、商品名:DC−Blue XB)0.020部、紫色着色剤(大日精化社製、商品名:DC−Violet XR−N)0.053部、黄色着色剤(大日精化社製、商品名:TB−500Yellow)0.070部の混合水分散液(塗工液D、濃度:30%)を調整した。
実施例1のインクジェット記録用紙の作製において、塗工液Aのインク溶媒吸収遅延層を設けない以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1の塗工液Aの調製において、ナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−5、平均粒子径5μm、吸油量70ml/100g、アスペクト比1000)、軽質炭酸カルシウム(白石工業株式会社、商品名:Brilliant−15、平均粒子径0.3μm、吸油量43.5ml/100g、比表面積11.5m2/g)を添加しない以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1〜7及び比較例1、2について、得られたインクジェット記録用紙の平滑感、インク吸収性、記録画像の画質、印刷記録用紙のコックリングを下記方法により評価した。
インク吸収性、記録画像の画質、印刷記録用紙のコックリングは市販の染料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PM−G820)及び顔料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PX−G920)を用いた。その結果を表1に示す。
供試された記録用紙を目視及び質感で判定し、下記の4段階に評価した。
◎:印刷部のうねりが全くなく、銀塩写真並。
○:若干印刷部にうねりが見られるが、印刷紙並。
△:うねりは印刷紙より劣るが、実用上特に問題ないレベル。
×:うねりが目立ち、実用に適さない。
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定した。
供試された記録用紙にグリーン色及びブルー色のベタ印画を施し、そのインク吸収性を目視観察し、下記の方法で評価した。
○:インク吸収速度が速く、インクの溢れとビーディングなし。
△:多少のビーディングは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:インクの溢れとビーディングがあり、実用に適さない。
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その印字部を折り曲げて、印字部塗膜の剥がれ具合を目視観察し、下記の方法で評価した。
○:塗膜の剥がれは全く見られない。
△:塗膜の剥がれは見られるが、実用上問題ないレベル。
×:塗膜の剥がれが酷く、実用に適さない。
供試された記録用紙を目視及び質感で判定し、下記の3段階に評価した。
○:印刷紙並の平滑感
△:印刷紙より劣るが、実用上特に問題ないレベル。
×:印刷紙より劣り、実用上問題となるレベル。
実施例8について、下記評価を行った。また、インクジェット記録体の評価には市販のワイドフォーマット用顔料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PX−9000)を用い、比較対象として印刷用塗工紙A2グロスコート紙(王子製紙社製、OKトップコート+ 127.9g/m2)及びそのオフセット印刷物を使用した。その結果を表2に示す。
供試インクジェット記録体表面の白色度をJIS P8148の方法、知覚色度指数a*、知覚色度指数b*をJIS P8722の方法により測定した。
さらに、表2から明らかなように、本発明のインクジェット記録用紙は、印刷塗工紙と同様の白色度、色調を有し、印刷校正用紙としても優れていることが分かった。
Claims (7)
- 紙基材上に、バインダーと顔料を主成分とするインク溶媒吸収遅延層と、インク溶媒吸収層及びインク定着層を順次設けた3層以上の層からなるインクジェット記録用紙において、前記インク溶媒吸収遅延層のバインダーが合成樹脂バインダーで、顔料が平板状無機顔料Aと他の無機顔料Bとを含有する顔料であり、且つ、合成樹脂バインダーと顔料の配合割合が、合成樹脂バインダー100質量部に対して、顔料1〜150質量部であり、インク溶媒吸収遅延層の塗工量が0.5g/m 2 〜5g/m 2 であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記平板状無機顔料Aの吸油量が10ml/100g〜150ml/100gである請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記平板状無機顔料Aのアスペクト比が10〜1500であり、かつ粒子径が0.1〜25μmである請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記他の無機顔料Bの吸油量が10ml/100g〜150ml/100gである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 平板状無機顔料A及び他の無機顔料Bの含有比率が1/9〜9/1であり、請求項1〜
4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。 - 合成樹脂バインダーのガラス転移温度が−50〜50℃の範囲内にあり、スチレン−ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル酸エステル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- インク溶媒吸収層が平均粒子径1μm以下のシリカと他の無機顔料を含有し、バインダーとしてエマルション型ラテックスを用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007038832A JP4561757B2 (ja) | 2007-02-20 | 2007-02-20 | インクジェット記録用紙 |
Applications Claiming Priority (1)
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