JP2008265152A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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諭 松浦
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Abstract

【課題】
印字中又は印字後の紙基材伸縮による波打ちを抑制し、インク吸収性が良く、画像記録部の平滑性に優れ、且つ画像濃度が高く、画像の均一性が極めて良好な染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 紙支持体上に、インク溶媒吸収遅延層とインク溶媒吸収層およびインク定着層を順次設けた3層以上の層からなるインクジェット記録用紙において、前記インク溶媒吸収遅延層に平板状無機顔料および合成樹脂を含有し、インク定着層表面に2μlの蒸留水を滴下したとき、滴下直後より50秒後の吸収量が0.01〜0.5μl、滴下直後より0.02秒後の接触角が85〜90°、滴下直後より1秒後の接触角が10〜40°であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙基材を使用したインクジェット記録用紙に関するものである。更に詳しくは、印字中又は印字後の紙基材伸縮による波打ち(以下、コックリングと呼称。)を抑制し、にじみがなく、且つ、画像濃度が高く、画像鮮明性が染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録用紙に関するものである。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録用紙に向かって噴出し、インクジェット記録用紙表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、及び、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
プリンタの急速な普及と高精細・高速化により、インク吸収速度の向上とともに、銀塩方式の写真、製版方式の多色印刷に匹敵する画像の鮮明性の実現が強く求められている。
また、記録画像の品質のために、画像記録濃度や鮮明性の更なる向上が望まれている。
一方で、画像保存性を実現するために、インク自体の改良も提案されており、従来の主流であった親水性の高い着色剤を使用した水性染料インク(以下、染料インクと呼称)とともに、耐水性や耐光性が優れる、疎水性の着色顔料を分散したインク(以下、顔料インクと呼称)も多用化されるようになっている。
また、銀塩写真と同等の画像を実現するために、インク吐出量も増しており、紙基材を使用したインクジェット記録用紙では、インクの溶媒である水が紙基材まで浸透し、コックリングが発生し、印字中に記録ヘッドと擦れて画像が乱れるといった問題が生じたり、画像記録後もコックリングが残って印字物の見栄えを損なうといった問題も生じている。このような問題を解決するために、ポリエチレンのような合成樹脂を両面にラミネートした樹脂被覆紙が常用されてきたが、樹脂被覆紙を古紙として回収しようとすると皮膜した樹脂が残り、古紙回収時にトラブルを起こす可能がある。
上記問題を解決するため、インクジェット記録用紙の紙基材表面に、熱可塑性樹脂の分散液を塗工して透水性中間層を形成し、次いで、該透水性中間層の表面に、顔料と結着剤を含む塗工液を塗工してインク定着層を形成する方法(例えば、参考文献1参照)、また、紙基材上に、下塗り層とインク定着層を設け、該下塗り層の顔料として、平均粒子径が4〜50μmでアスペクト比が5〜70の平板状顔料を用いる方法(例えば、参考文献2参照)、パルプの繊維間結合を少なくし紙の空隙を増すような低密度化薬品を含む基材を用いる方法(例えば、参考文献3参照)が提案されているが、これらのインクジェット記録用紙であっても、インク量の多い画像においては、印字中又は印字後のコックリングを十分に防ぐものではなかった。
特開2002−103787号公報 特開2006−015584号公報 特開2002−103791号公報
本発明は上記の問題を解決し、紙基材を使用したインクジェット記録用紙であっても、コックリングを抑え、にじみがなく、画像濃度が高く、画像鮮明性が良好な染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録用紙を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記の技術的事項を基礎として構成される本発明に至ったのである。
(1)紙基材上に、平板状無機顔料と合成樹脂を主成分とするインク溶媒吸収遅延層と、インク溶媒吸収層及びインク定着層を順次設けた3層以上の層からなるインクジェット記録用紙であって、前記インク定着層表面に2μlの蒸留水を滴下したとき、
(1)滴下直後より50秒後の吸収量が0.01〜0.5μl
(2)滴下直後より0.02秒後の接触角が85〜90°
(3)滴下直後より1秒後の接触角が10〜40°
であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
(2)前記平板状無機顔料が、フッ素金雲母、カリウム四珪素雲母、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトから選ばれる少なくとも1種である(1)項に記載のインクジェット記録用紙。
(3)前記インク溶媒吸収遅延層の合成樹脂バインダーが、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、アクリルスチレンラテックス、メタクリレートブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスからなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)項又は(2)項に記載のインクジェット記録用紙。
(4)前記インク溶媒吸収層に顔料とバインダーを含有し、前記顔料が平均粒子径1μm以下、細孔容量1.0ml/g以下のシリカと、無機顔料である(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(5)前記インク定着層に顔料とバインダーを含有し、前記顔料が平均粒子径0.7μm以下、細孔容量1.0ml/g以下の超微粒子シリカであり、前記バインダーが鹸化度90%以上のポリビニルアルコールである(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(6)前記インク定着層のバインダーの配合量が顔料100質量部に対して、5〜40質量部である(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明で得られるインクジェット記録用紙は、コックリングを抑え、にじみがなく、画像濃度が高く、画像鮮明性が良好な染料インク適性、顔料インク適性ともに優れるインクジェット記録用紙である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<インク定着層表面の吸収特性及び接触角>
本発明のインクジェット記録用紙は、インク定着層表面に2μlの蒸留水を滴下したときの、滴下直後より50秒後の吸収量が0.01〜0.5μlであり、より好ましくは、0.01〜0.4μlである。コックリング発生原因としては、紙基材にインク中の溶媒の主成分である水の浸透が考えられ、滴下直後より50秒後の蒸留水吸収量が0.5μlより多いと、インク溶媒が紙基材へ速く浸透し、コックリング発生によるヘッド擦れ等の問題が生じやすくなる。また、0.01μlより少ないと、インク溶媒を全く吸収せず、インクが横方向に過剰に広がりにじみが悪化する傾向である。従って、本発明では、インク中の主成分である蒸留水での吸収量を規定することで、コックリングを抑制することが可能であることを見出したのである。
また、吸収を遅らせることは、にじみに悪影響を及ぼす可能性があるため、更に本発明では、インク溶媒の主成分である蒸留水での滴下直後より0.02秒後の接触角を高くし、インク滴の横方向への過剰な広がりを抑えることでにじみを防止できることを見出したのである。即ち、インク定着層表面に2μlの蒸留水を滴下したとき、滴下直後より0.02秒後の接触角が85〜90°であり、より好ましくは、87〜90°である。滴下直後より0.02秒後の接触角が85°より低いと、滴下直後より0.02秒後以降の接触角が低くなりすぎて、にじみが悪化する恐れがある。90°より高くなる場合は、表面の状態が極めて強い疎水性であるため、インク滴のドットが細りすぎて印字濃度が低くなる恐れがある。更に、滴下されたインク滴を程よく広げることで高い印字濃度を得ることを見出したのである。即ち、インク定着層表面に2μlの蒸留水を滴下したとき、滴下直後より1秒後の接触角は10〜40°であり、より好ましくは、15〜40°である。10°より低いと、インク滴が横方向へ過剰に広がり、にじみが悪化する。40°より高いと印字濃度が低下する傾向である。
このような吸収性及び接触角をコントロールする手段として、インク定着層に平均粒子径0.7μm以下の超微粒子シリカと水溶性高分子を含有し、インク溶媒吸収層には、平均粒子径1μm以下のシリカとその他の無機顔料を含有する。前記インク定着層とインク溶媒吸収層のみでは、本発明の蒸留水吸収量及び接触角をコントロールすることが不十分であるため、更に、平板状顔料と合成樹脂を含有するインク溶媒吸収遅延層を紙基材表面に設けることで可能となる。メカニズムとしては定かではないが、本発明の平板状顔料と合成樹脂を含有するインク溶媒吸収遅延層を紙基材表面に設けることで、インク溶媒吸収遅延層表面に設けたインク溶媒吸収層中のバインダー成分の浸透が抑えられ、インク溶媒吸収層中のバインダー成分の沈み込みが無くなり、バインダー成分が層表面にまで存在することとなる。
更に、このようなインク溶媒吸収層表面にインク定着層を設けても同様で、インク定着層中のバインダー成分が層表面に存在する。また、インク溶媒吸収層とインク定着層で使用の超微粒子シリカは、粒子の細孔容量が少ないため、吸収速度は遅くなる傾向にあり、層表面のバインダー成分の存在と粒子の細孔容量が少ない超微粒子シリカとの組合せにより、インク溶媒の吸収を適度に遅くさせることが可能となる。したがって、滴下直後のインク滴の接触角も高くなると考えられる。滴下直後の接触角を高める手段としては、インク定着層中のバインダーは、鹸化度90%以上のポリビニルアルコールが好ましい。また、インク定着層表面の吸収が比較的遅いため、滴下されたインク滴を適度に横方向へ広げることも可能となると考えられる。
インク定着層表面にバインダーを比較的多く存在させる方法、吸収を適度に遅くさせる方法として、前記インク溶媒吸収遅延層を設けることと微粒子シリカの使用により達成させる方法の他に、インク定着層中のバインダー成分を多く含有させる方法が考えられるが、このような方法では、本発明のインク溶媒吸収遅延層を設ける場合より過剰なバインダー量が必要となり、極端に吸収性が低下し、本発明のような蒸留水の吸収特性を達成することができず、にじみも悪化し、着弾されたインクのドット形状も悪いものとなり、高い印字濃度を得ることが出来ない。また、画像鮮明性も低下する。
本発明での、蒸留水の吸収量及び接触角の測定は、23℃、50%RHの環境下に調整したインクジェット記録用紙に2μlの蒸留水(23℃)をマイクロシリンジでインク定着層表面に滴下し、滴下した輪郭を液滴より並行に設置したビデオカメラで撮影し。撮影した画像を解析することで液滴の体積を求め、体積の経時変化より吸収量及び吸収時間を求めた値である。また、本発明でいう蒸留水に対する接触角(TAPPI T458)は、水平なステージの上に置かれたインクジェット記録用シートの上にマイクロシリンジ等を用い、液滴がインクジェット記録用シートと接触するかしないかの高さから一定量の液滴を滴下し、滴下後の液滴の輪郭をビデオカメラにより捕らえ、その画像を解析することにより求める。接触角は、液の吸収の影響を受けて時間経過とともに変化するため、測定時間については、滴下直後が好ましいが、本発明では着弾による液滴の揺れが落ち着つく0.02秒後と1秒後で測定する。
<紙基材>
紙基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の透気性紙基材が適宜使用される。
透気性紙基材は、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。
パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録体の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20質量%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少なすぎると紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は3〜20質量%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として画像鮮明性が優れたインクジェット記録用紙が得られ易くなる。
透気性紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒が好ましい。サイズ度が高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は5〜120秒である。基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度である。特に印刷用途には50〜250g/mの範囲が好ましい。60〜200g/mの範囲が最も好ましい。
(インク溶媒吸収遅延層)
本発明では、紙基材上にインク溶媒吸収遅延層とインク溶媒吸収層及びインク定着層を順次設ける。インク溶媒吸収遅延層は、インク中の溶媒である水が、紙基材に浸透するのを遅延させ、コックリングを防止することが主目的であり、平板状無機顔料と合成樹脂を含有することが好ましい。
(インク溶媒吸収遅延層の無機顔料)
平板状無機顔料としては、その平均粒子径が数μm以上の概略平板な結晶性の物質であり、レーザー回析法で測定した平均粒子径が2μm〜30μmの範囲が好ましい。その中でも4μm〜25μmが最も好ましい。粒子径が2μm未満のものは、塗工層中での前記平板状顔料の配向が紙基材に対して平行になりにくいためコックリングに効果がなく、30μmを超えると、平板状顔料の一部が塗工層から突出し、平滑性が低下するためにコックリング向上効果が減少すると推察される。
平板状物質の粒子径の測定方法にはマイクロトラックレーザー回折法やマイクロシーブ網篩法により平均粒子径を求める方法や電子顕微鏡の観察によって求める方法などがある。測定方法によって粒子径の数値に差があるが、マイクロシーブ網篩法と電子顕微鏡が実際の粒径に近く、マイクロトラックレーザー回折法では実際よりやや大きい値となる。本発明の平均粒子径は測定のしやすさ及び再現性の高さなどからマイクロトラックレーザー回折法により測定した。
アスペクト比は本発明において平板状無機顔料の平均粒子径を厚さで除したものであり、平板状顔料の厚さは電子顕微鏡観察により測定した。本発明の効果を発揮するためには平板状顔料のアスペクト比が10〜1500であることが好ましい。特に好ましいものはアスペクト比が90〜1100の平板状顔料である。アスペクト比が10未満のものは、塗工面に対して平行に配向できなくなるためコックリングが劣り、アスペクト比が1500より大きいと断裁したときの粉落ちや、折り曲げ時の塗膜強度が悪くなる傾向がある。
平板状無機顔料としては、フィロケイ酸塩鉱物、天然燐片状黒鉛などが挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に属するものは板状又は薄片状であって明瞭な劈開を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物がある。これらの中でも産出されるときの粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好ましい。更に好ましくは、天然雲母族、人造雲母族であり、折り曲げ時の塗膜強度の点から、人造雲母族が特に好ましい。天然雲母族としては、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)であり、人造雲母族としては、フッ素金雲母、カリウム四珪素雲母、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。
(インク溶媒吸収遅延層の合成樹脂)
本発明のインク溶媒吸収遅延層に用いる合成樹脂としては、スチレン−ブタジエンラテックス(SBR)、アクリル−スチレンラテックス、メタクリレート−ブタジエンラテックス、アクリルニトリル−ブタジエンラテックスなどが挙げられるが、耐水性の面が良好で伸びがよく、折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレン−ブタジエンラテックスが好適である。ここで重合性単量体はスチレン及び1,3-ブタジエンを主体とするが、その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和酸のグリシジルエステル;アリルグリシジルエーテル等の不飽和アルコールのグリシジルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;等が挙げられ、これらの重合性単量体を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
(インク溶媒吸収遅延層の顔料と合成樹脂バインダーの配合割合)
インク溶媒吸収遅延層の顔料と合成樹脂の配合割合は、合成樹脂100質量部に対して顔料1〜30質量部の範囲であれば問題がなく、コックリングと塗膜強度のバランスから2〜20質量部の範囲が好ましく、5〜10質量部の範囲がさらに好ましい。顔料の量が1質量部より少ないとコックリング抑制効果が低下し、30質量部を超えると塗膜強度が著しく低下し、実用性がなくなる。
(インク溶媒吸収遅延層の塗工量)
インク溶媒吸収遅延層の塗工量は、特に限定するものではないが、0.1〜10g/m程度であり、0.5〜7g/mが好ましい。更に好ましくは、1〜5g/mである。塗工量が0.1g/mより少ないと、コックリング抑制効果が低下し、10g/mより多いと、折り曲げ時の塗膜強度が著しく低下する。
(インク溶媒吸収層)
本発明では、インク溶媒吸収遅延層上にインク溶媒吸収層を設ける。インク溶媒吸収層は、インク溶媒を吸収することが主目的であり、特に限定されないが、顔料としては、平均粒子径1μm以下、細孔容量1.0ml/g以下のシリカと無機顔料を含有することが好ましい。インク溶媒吸収層中のシリカは、記録用紙の画像均一性とインク吸収性の観点から、特に平均粒子径を0.01〜0.7μm、細孔容積0.2〜1.0ml/gの超微細シリカを用いる事が好ましい。平均粒子径0.01μmより小さいと、塗膜強度が低下する恐れがあり、1.0μmより大きいと、平滑性が低下し画像均一性が低下する恐れがある。また、細孔容積が0.2ml/gより少ないと吸収性が大幅に低下し、にじみが悪化する恐れがあり、1.0ml/gより多いと、インク溶媒の吸収が速くなり、コックリングが悪化するおそれがある。
また、本発明のシリカ平均粒子径は測定のしやすさ及び再現性の高さなどからマイクロトラックレーザー回折法により測定し、シリカ粒子の細孔容積は、細孔分布測定装置:NOVA1200(カンタクローム社製)で測定した値である。
(インク溶媒吸収層のシリカ)
1μm以下のシリカとしては、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、メソポーラスシリカが用いられる。平均粒子径1μm以下のシリカは、たとえば機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。粒子径を小さくする為には分級と繰り返し粉砕が必要である。
(インク溶媒吸収層の無機顔料)
インク溶媒吸収層の無機顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が用いられるが、その中でも、インク吸収性、塗膜強度の観点から、カオリンが特に好ましい。
インク溶媒吸収層の顔料として、シリカと無機顔料を併用する場合は、配合割合としては、シリカ100質量部に対して、無機顔料30〜250質量部の範囲である。より好ましくは、40〜240質量部である。無機顔料が30質量部より少ないと、折り曲げ時の塗膜強度や、にじみが低下し、250質量部より多いと、インク記録用紙表面の平滑性が低下するため、画像鮮明性が低下する。
(インク溶媒吸収層のバインダー)
インク溶媒吸収層に含有するバインダーとして、従来公知のものが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体や高分子ラテックス(エマルション型、溶剤型、無溶剤型)、合成樹脂エマルションなどの水分散性接着剤、感温性ポリマー等が挙げられる。特に、塗膜強度、インク定着層に含有する架橋剤で塗膜が脆くなる影響を考慮すると、高分子ラテックスが好ましい。中でも、塗料の分散安定性からエマルション型のラテックスを主成分とすることが好ましい。さらに好ましくは、塗膜強度と塗料安定性からアクリル系エマルション型ラテックス、ウレタン系エマルション型ラテックス、SBRラテックスである。
(インク溶媒吸収層のバインダー配合割合)
インク溶媒吸収層に含有するバインダーの配合割合は、シリカと無機顔料全体100質量部に対して、バインダー5〜40質量部であり、より好ましくは、15〜30質量部である。バインダーが5質量部より少ないと、折り曲げ時の塗膜強度が著しく低下し、40質量部より多いと、にじみや印字濃度が低下する。
(インク溶媒吸収層の塗工量)
インク溶媒吸収層の塗工量は、特に限定するものではないが、5〜20g/m程度であり、7〜18g/mが好ましい。更に好ましくは、10〜15g/mである。塗工量が5g/mより少ないと、インク溶媒を吸収する容量が不足するため、インク吸収性が低下する。また、20g/mより多いと、折り曲げ時の塗膜強度が著しく低下する。
(インク定着層)
本発明では、インク溶媒吸収遅延層上にインク定着層を設ける。インク定着層は、インク中の染料や顔料を斑なく定着させ、インク中の溶媒を吸収し、高発色(高印字濃度)、画像鮮明性を良くするのが目的である。特に限定されないが、インク定着層に平均粒子径0.7μm以下、細孔容積1.0ml/g以下の超微粒子シリカを含有することにより、高い発色性と画像鮮明性を良くする事が可能である。
シリカの平均粒子径は0.7μm以下で、特に限定するものではないが、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなることが好ましい。インク中の染料や顔料が、インク定着層に固定しやすく、且つ、インク吸収速度、画像濃度、光沢を得るためには、平均1次粒子径0.005〜0.020μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.5μm以下の顔料がより好ましい。さらに好ましくは平均1次粒子径0.007〜0.013μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.2μm以下の顔料である。平均粒子径0.7μm以下の顔料は、たとえば機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。粒子径を小さくする為には分級と繰り返し粉砕が必要である。
細孔容積は、0.2〜1.0ml/gがコックリング、にじみ、発色性の観点から特に好ましい。細孔容積が0.2ml/gより少ないと吸収が極端に悪くなりにじみが悪化する恐れがあり、1.0ml/gより多いと、吸収が速くなりコックリング、発色性が低下する恐れがある。また、前記超微粒子シリカ以外にも、品質を損なわない範囲で、他の顔料を併用してもよい。
超微粒子シリカ以外に併用して含有する顔料としては、1μm以上のシリカ、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が用いられるが、その中でも、にじみ、画像鮮明性の観点から、1μm以上のシリカが特に好ましい。
(インク定着層のバインダー)
インク定着層のバインダーは、特に限定するものではないが、高い接触角を得るためには、鹸化度90%以上のポリビニルアルコール、より好ましくは鹸化度93%以上のポリビニルアルコールが選択され、特に成膜性、インク吸収性とのバランスから、重合度2000以上のポリビニルアルコールが好ましく、重合度3500以上のポリビニルアルコールはより好ましい。成膜性を向上する目的でポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物、その中でもホウ素含有化合物を含有した方が好ましい。ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物の含有量は、ポリビニルアルコール100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。少ないと架橋の効果が得られにくく、多いと塗膜が硬くなりすぎて、塗工層が折り割れし易いという問題が生じるおそれがある。
(インク定着層の顔料とバインダーの配合割合)
インク定着層のバインダー量はインク吸収性を阻害しなければ特に規定するものではないが、シリカ100質量部に対して8〜40質量部の範囲が好ましく、10〜30質量部の範囲がさらに好ましく、13〜25質量部の範囲が最も好ましい。バインダー量が40質量部より多いとインク滴が過剰に広がりすぎてにじみが悪化し、8質量部より少ないと塗膜にひび割れが生じたり、本発明の吸収特性及び接触角を満足しない恐れがある。
(ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物)
ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物は、例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明ばん、硼酸及び硼砂などのホウ素含有化合物が挙げられる。本発明では、特に、硬膜効果が優れるホウ素含有化合物が好ましく、その中でも特に硼砂がより好ましい。
(インク定着層の塗工量)
インク定着層の塗工量は、特に限定するものではないが、3〜30g/m程度、好ましくは5〜25g/mに調節する。
(その他)
顔料とバインダー以外に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、インク溶媒吸収層に溶媒吸収に伴って微量の染料も定着するため、染料定着用にカチオン性化合物を添加して使用してもよい。
カチオン性化合物としては、例えば1)ポリエチレンアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類、又はその誘導体、2)第2級アミン基や第3級アミン基、第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、5)ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、6)エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO共重合物、8)ジアリルアミン−SO共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、10)アリルアミン塩の重合物、11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、12)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、13)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩等の一般市販されるものが挙げられる。なお、カチオン性化合物の添加量としては、顔料100質量部に対し、1〜30質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。
インク定着層にインク中の染料や顔料を定着させる必要から、インク溶媒吸収層に使用可能なカチオン性化合物を使用しても良い。また、顔料としてシリカ系顔料を使用する場合は、シリカとカチオン性化合物を混合し凝集させることによって得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を1.0μm以下に粉砕したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子であることが望ましい。この場合、カチオン性化合物は、前記記載のカチオン性化合物から適宜選択される。特にインク中の染料や顔料の定着性、分散性から1)5員環アミジン類、2)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が好ましい。
顔料とバインダー以外に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
光沢を有するインクジェット記録用紙を得るためには、インク定着層、或いはインク定着層上に設けた塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得る方法、所謂キャスト法が有効である。インク定着層上に別途、光沢層を設ける場合、光沢層には平均二次粒子径が1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均二次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、湿式ゲル法シリカ、平均一次粒子径が0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料から選ばれる少なくとも1種の顔料が主成分として用いられる。
鏡面ドラムから塗工層を剥離しやすくする為に、一般市販の離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどが適宜添加される。特に、カチオン系離型剤が好ましい。離型剤の添加量は、特に限定されるものではないが、一般的に、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部添加される。
光沢を抑制した(半光沢タイプ)インクジェット記録用紙、特に印刷校正用インクジェット記録用紙を得る為に、少なくとも塗工層中の1層、好ましくはインク定着層中にマット化剤を含有させる事が有効である。マット化剤としては特に限定されることはないが、無機顔料が好ましい。粒子径は、特に限定されることはないが、光沢抑制効果の観点から、平均粒子径が0.7μm以上である事が好ましい。また同様に光沢抑制効果の観点から、マット化剤の添加量は塗工層の全固形分質量に対して0.1〜15質量部添加される事が好ましい。
(塗工装置及び塗工方法)
インク定着層を得るための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。勿論、2層以上塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法であるWet on Wetで塗工することが好ましい。
(カレンダー処理)
塗工層の少なくとも1層をカレンダーで圧力印加して平滑処理することにより、インクジェット記録用紙表面のボコツキを改良し、見た目の光沢感、平滑感を向上する事が可能である。カレンダー圧としては、20〜250kg/cmである事が好ましい。カレンダー圧20kg/cmより低いと平滑処理効果が得られず、250kg/cmより高いと塗工層が潰れすぎてインク吸収性を阻害する。より好ましくは、30〜180kg/cmである。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
<実施例1>
[シリカ微粒子A]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径0.08μm、細孔容量0.8ml/gになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
[塗工液A]
バインダーとしてSBR系重合体(日本ゼオン社製、商品名:LX407S12、エマルジョン型接着剤)100部、ナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−5、平均粒子径5μm、アスペクト比1000)6部の混合水分散液(塗工液A、濃度:20%)を調製した。
[塗工液B]
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェット 733A、平均粒子径0.3μm、細孔容量0.6ml/g)40部、カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m/g)60部、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンT−50)1部の混合水分散液(塗工液B、濃度:30%)を調製した。
[塗工液C]
シリカ微粒子A100部に、マット化剤として湿式法沈降法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−30、粒子径:3.0μm)5部、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−124、重合度:2400、鹸化度:98.5%)10部の混合水分散液(塗工液C、濃度10%)を調製した。
[基材原紙A]
標準ろ水度(JIS P 8121)が250mlになるまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、標準ろ水度が280mlになるまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5質量%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%,アルキルケテンダイマー0.4%,アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して抄紙用パルプスラリーを調製した。上記組成のパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、得られた湿紙をドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量150g/m、密度1.0g/cmの原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを、2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したものであり、このサイズプレス液を未サイズプレス原紙の両面に、合計25ml/mの塗布量になるように塗布してサイズプレス原紙を作製した。
[インクジェット記録用紙の作製]
基材原紙A上に、塗工液Aを塗工量が2g/mになるように塗工、乾燥し、インク溶媒吸収遅延層を得た。インク溶媒吸収遅延層上に、塗工液Bを塗工量が15g/mになるように塗工、乾燥し、インク溶媒吸収層を得た。インク溶媒吸収層上に、8%の硼砂水溶液の塗工量が1.5g/mであり、塗工液Cの塗工量が15g/mになるようにWet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件で塗工、乾燥し、インク定着層を得、インクジェット記録用紙を作製した。
<実施例2>
実施例1の塗工液Aの調製において、ナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−5、平均粒子径5μm)をナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−10、粒子径10μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例3>
実施例1の塗工液Aの調製において、ナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(トピー工業社製、商品名:NTO−5、平均粒子径5μm)をフッ素金雲母(人造雲母)(トピー社製、商品名:PDM−10B、粒子径12μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例4>
実施例1の塗工液Aの調製において、ブタジエンラテックス(SBR)(日本ゼオン社製、商品名:LX407S12、エマルジョン型接着剤)をアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例5>
実施例1の塗工液Bのゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェット 733A、平均粒子径0.3μm、細孔容量0.6ml/g)40部、をゲル法シリカ(東ソー・シリカ社製、商品名:ニップシールHD、平均粒子径2μm、細孔容量1.2ml/g)に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例6>
[シリカ微粒子B]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径1.0μm、細孔容量1.0ml/gになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
[インクジェット記録用紙の作製]
実施例1のシリカ微粒子Aをシリカ微粒子Bに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例7>
実施例1の塗工液Cのバインダーとして使用のポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−124、重合度:2400、鹸化度:98.5%)10部を50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例1>
実施例1のインクジェット記録用紙の作製において、塗工液Aのインク溶媒吸収遅延層を設けない以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例2>
市販のインクジェット記録用紙(A)
<比較例3>
市販のインクジェット記録用紙(B)
[評価方法1]
実施例1〜7及び比較例1〜3について、得られたインクジェット記録用紙表面の蒸留水による吸収特性及び接触角、インクジェット記録用紙のコックリング、記録画像のにじみ、印字濃度、画像鮮明性を下記方法により評価した。
インクジェット記録用紙のコックリング、記録画像のにじみ、印字濃度、画像鮮明性、は市販の染料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PM−G820)及び顔料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PX−G920)を用いた。その結果を表1に示す。
(インクジェット記録用紙表面の蒸留水吸収特性)
蒸留水の吸収量及び接触角の測定は、23℃、50%RHの環境下に調整したインクジェット記録用紙に2μlの蒸留水(23℃)をマイクロシリンジでインク定着層表面に滴下し、滴下した輪郭を液滴より並行に設置したビデオカメラで撮影し、撮影した画像を解析することで滴下直後より50秒後の蒸留水液滴の体積を求め、体積の経時変化より吸収量を求めた。求めた吸収量を表1に示す。
(インクジェット記録用紙表面の接触角)
蒸留水に対する接触角(TAPPI T458)は、液の吸収の影響を受けて時間経過とともに変化するため、測定時間については、着弾による液滴の揺れが落ち着つく0.02秒後と1秒後で測定した。測定して得た値を表1に示す。
(インクジェット記録用紙のコックリング)
印字された記録用紙を目視及び質感で評価した。
◎:印刷部のうねりが全くなく、銀塩写真並。
○:若干印刷部にうねりが見られるが、印刷紙並で実用上問題とならないレベル。
△:うねりは印刷紙より劣り、実用上やや問題となるレベル。
×:うねりが目立つ。
(記録画像のにじみ)
印字境界部分からにじみを目視で評価した。
◎:印字のにじみは全く認められず、優れたレベル。
○:印字のにじみはややあるが、実用上問題とならないレベル。
△:印字のにじみがややあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字のにじみが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
(記録画像の印字濃度)
各色インク、及び重色部をべた印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定し、その記録濃度を測定。
(記録画像の鮮明性)
財団法人日本規格協会発行の画像(「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/JIS−SCID」、識別記号:S6、画像名称:カラーチャート)を印字し、印字された記録画像を目視評価した。
◎:記録画質の色再現領域が十分広く、鮮やかである。
○:記録画質の色再現領域が若干劣るが、実用上特に問題ないレベル。
△:記録画質の色再現領域が劣り、実用上やや問題になるレベル。
×:記録画質の色再現領域が劣り、実用上重大な問題になる。
表1から明らかなように、本発明のインクジェット記録用紙は、コックリングを抑え、にじみがなく、且つ、画像濃度が高く、画像鮮明性が染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録用紙である。
本発明は、紙基材を使用したインクジェット記録用紙であっても、コックリングを抑え、にじみがなく、且つ画像濃度が高く、画像鮮明性が染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録用紙を提供することができ、実用上極めて有用である。

Claims (6)

  1. 紙基材上に、平板状無機顔料と合成樹脂バインダーを主成分とするインク溶媒吸収遅延層と、インク溶媒吸収層及びインク定着層を順次設けた3層以上の層からなるインクジェット記録用紙であって、前記インク定着層表面に2μlの蒸留水を滴下したとき、
    (A)滴下直後より50秒後の吸収量が0.01〜0.5μl
    (B)滴下直後より0.02秒後の接触角が85〜90°
    (C)滴下直後より1秒後の接触角が10〜40°
    であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記平板状無機顔料が、フッ素金雲母、カリウム四珪素雲母、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムテニオライト及びリチウムテニオライトから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記インク溶媒吸収遅延層の合成樹脂バインダーが、スチレン−ブタジエンラテックス(SBR)、アクリル−スチレンラテックス、メタクリレート−ブタジエンラテックス及びアクリルニトリル−ブタジエンラテックスからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記インク溶媒吸収層に顔料とバインダーを含有し、前記顔料が平均粒子径1μm以下、細孔容量1.0ml/g以下のシリカと、無機顔料である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記インク定着層に顔料とバインダーを含有し、前記顔料が平均粒子径0.7μm以下、細孔容量1.0ml/g以下の超微粒子シリカであり、前記バインダーが鹸化度90%以上のポリビニルアルコールである請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記インク定着層のバインダーの配合量が顔料100質量部に対して、5〜40質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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