JP2010052190A - インクジェット記録体用支持体及びそれを用いた記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】RC支持体を用いたインクジェット記録体と同等レベルのコックリング、平滑性・光沢感、風合いを有し、画像の滲みを改善したインクジェット記録体を提供する。
【解決手段】 一方の面にインク受容層を有するインクジェット記録体を提供するためのインクジェット記録体用支持体において、該支持体が、原紙と、原紙のインク受容層を設ける面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層と、原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された裏面塗布層とを有し、且つ、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度は、インク受容層を設ける側の面が0.1g/m以上10g/m未満、インク受容層を形成しない面が、10g/m以上であることを特徴としたインクジェット記録体用支持体。
【選択図】なし

Description

本発明は原紙の両面にポリオレフィン系樹脂層をラミネートした支持体(所謂レジンコート紙、以下、RC支持体とも言う)の風合いを有する紙ベース(原紙にポリオレフィン系樹脂層をラミネートしていない)のインクジェット記録体用支持体、及びそれを用いた耐画像滲み性と耐コックリング性に優れた記録体を提供する。
従来、銀塩写真用の支持体としては、RC支持体が使用されている。インクジェット記録体においても、写真用インクジェット記録体用の支持体は、風合い、平滑性や光沢感からRC支持体を用いることが一般的である。RC支持体上にインク受容層を設けてなる記録体は、印字後の耐コックリング性や光沢感が良好である。しかし、原紙の両面にポリオレフィン系樹脂のラミネート層を有するため、インク中の高沸点溶媒は蒸発することなく、インク受容層内に留まることになる。記録後、高沸点溶媒がインク受容層内に存在するため、高湿条件で保管された場合、画像が滲みやすく、大きな品質問題となっている。
特許文献1、特許文献2、特許文献3などは、紙ベース支持体を用いて、キャスト法で写真用インクジェット記録体へのアプローチを行った。キャスト法で得られた記録体は、平滑性や光沢感に優れるが、低透気性支持体を使用する必要性から、記録後にインク中の溶媒が短時間に原紙へ浸透し、見た目のコックリングが悪く、また手触り感や風合いも写真と称するまでには至っていない。
キャスト法でありながら、コックリング抑制や印字滲み改良の目的で細孔容積の小さい顔料とラテックス接着剤を含有する下塗り層を設ける試み(特許文献4)があるが、キャスト法で光沢性を付与するため、支持体の透気性が不可欠である。生産性から透気度を上げられる限界があり、RC支持体を用いた記録体並みのコックリングレベルには至らず、風合いも不十分であった。
特許文献5、特許文献6では、原紙の少なくとも画像形成層を設ける側の面のコッブ吸水度が、それぞれ、10g/m以下、20g/m以下の支持体を提案している。いずれもコックリング抑制においては効果的であるが、裏面塗工の際にブリスターが生じやすい問題があった。
特許文献7ではインク受容層を設ける側のコッブ吸水度が10〜30g/mの支持体が、特許文献8では、透湿度が100g/m・day以下の支持体を提案しているが、いずれも依然として伸び率が大きく、RC支持体並のコックリングレベルには至らなかった。
特開2004−167959号公報 特開2005−199550号公報 特開2005−225070号公報 特開2007−290339号公報 特開2004−347722号公報 特開2007−160758号公報 特開2004−291520号公報 特開2006−264223号公報
本発明は、紙ベース支持体でありながらRC支持体を用いた場合と同等の品質のインクジェット記録体を得ることを目指すものである。
一般的に紙ベース支持体の場合、RCベース支持体に比べ、コックリングが生じやすい問題がある。これは基紙がインク溶媒成分を吸収し、色材成分と分離する作用によるものと考えられる。
紙ベース特有のコックリングを解決するために、前述の特許文献に挙げられるようにインク受容層を設ける側のコッブ吸水度の規定が提案されている。しかし、表裏両面に塗布層を塗工すると非常にブリスターが生じやすいという問題があった。ブリスターは、塗工の乾燥工程で水分が抜ける際に生じ、特に、表裏ともバリア性が高いときに顕著であり、火膨れがひどい場合は支持体として全く使えないレベルであった。勿論、乾燥温度を極端に下げて塗工すれば、ブリスターは抑制できるが、生産性を考えると現実的でなかった。裏面の塗工はカール、ブロッキング、搬送性、手触り、風合いなどから必須であるため、ブリスターの問題を回避する手段が必要であった。
本発明者等は以上のような知見の上に更に試行を重ねた結果、従来における前記の諸問題を解決し、紙ベースのインクジェット記録体用支持体及びそれを用いた記録体を提供する。本発明の支持体を用いたインクジェット記録体は、RC支持体を用いたインクジェット記録体と同等レベルの耐コックリング性、平滑性・光沢感、風合いを有し、かつRC支持体を用いた記録体特有の画像滲みを改良するものである。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
(1)一方の面にインク受容層を有するインクジェット記録体を提供するためのインクジェット記録体用支持体において、該支持体が、原紙と、原紙のインク受容層を設ける面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層と、原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された裏面塗布層とを有し、且つ、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度は、インク受容層を設ける側の面が0.1g/m以上10g/m未満、インク受容層を形成しない面が、10g/m以上であることを特徴としたインクジェット記録体用支持体。
(2)インク受容層を形成する面とインク受容層を形成しない面のコッブ吸水度の差が10g/m以上である(1)記載のインクジェット記録体用支持体。
(3)表面塗布層の顔料成分が炭酸カルシウム又はカオリンである(1)又は(2)記載のインクジェット記録体用支持体。
(4)裏面塗布層が、顔料を20%以上含有した(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録体用支持体。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の支持体上に気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナから選ばれる少なくとも一つを含有するインク受容層を設けてなるインクジェット記録体。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、少なくとも原紙の両面に塗布層を有し、コッブ吸水度が、インク受容層を設ける側の面は0.1g/m以上10g/m未満、裏面は10g/m以上とすることによって、ブリスターにより面質を損なうことなく、画像滲みとコックリングが抑制可能な支持体を得ることができ、本発明に至った。
本発明によると、インクジェット記録体に使用できる紙ベースの支持体が得られる。この支持体を用いたインクジェット記録体は、RC支持体を用いたインクジェット記録体と同等レベルのものが得られた。すなわち、本発明の支持体にインク受容層を設けてなるインクジェット記録体は、RC支持体にインク受容層を設けてなる記録体に近いコックリング性、表面光沢感、平滑性、風合いを有する。また、RC支持体を用いたインクジェット記録体特有の画像滲みがなく、リサイクルも可能なものである。
<原紙>
原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができる。一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。300〜500ml程度に調整することが好ましい。
填料は、不透明性等を付与する目的で配合し、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い支持体となり、インクジェット記録体の光沢感が高まるので好ましい。原紙中の填料の含有率(灰分)は1〜30%程度が好ましいが、多すぎると紙力が弱くなったりする傾向にあるので、好ましい填料の含有率は5〜20%である。なお、焼成カオリンやシリカも適宜含有するとよい。
その他、原紙には、助剤としてサイズ剤、乾燥および湿潤紙力増強剤、定着剤のほか、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、コッブ吸水度等を調整できる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
前記原紙の密度は、0.6〜1.2g/cmの範囲であり、RC支持体の風合いを出すためには0.7〜1.0g/cmが好ましく、0.80〜0.95g/cmがより好ましい。
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、通常50〜500μmである。紙腰、剛度から100〜300μmが好ましく、150〜250μmがより好ましい。
前記原紙の坪量は、特に制限はなく50〜300g/mが好ましく、剛度とのバランスや重量感から100〜250g/mがより好ましい。
<インク受容層を形成する面>
通常、A4版サイズのインクジェット記録体に写真画像をインクジェット記録する場合、記録体の先端がインクを受容してから、記録体の終端がインクを受容するまでおおよそ10〜120秒程度かかる。この間に、インク或いはインクを構成する溶媒が原紙に浸透すると、出力中に原紙が伸縮し、コックリングが発生する。記録の際にコックリングが発生すると、記録体表面が波うちを生じ、場合によってはプリンターのヘッドと記録体が擦れてしまうなどのトラブルも発生する。
本発明の支持体はRC支持体に近いコックリング性、表面光沢感、平滑性、風合いを得るため、上記原紙のインク受容層を形成する面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層を形成する。更に、得られた支持体のインク受容層を設ける側の面のコッブ吸水度が0.1g/m以上10g/m未満である必要がある。好ましいコッブ吸水度は0.5g以上5g/m未満である。
インク受容層を設ける側の面が完全非吸水性あるいはコッブ吸水度が0.1g/m未満の場合、RC支持体を用いた場合のように画像滲みが生じやすく、10g/m以上であると、一般的な紙支持体のようにコックリングが生じやすくなる。
本発明でいうコッブ吸水度は、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度(Cobb30)である。30秒という接触時間は、JISの規定の中で最も短い時間であり、短時間の吸水度を測定することにより、プリンター内部でのコックリングの発生メカニズムに近い状態で支持体を評価することになる。
コッブ吸水度が0.1g/m以上10g/m未満を満足すると、RC支持体に近いバリア性を有し、且つRC支持体の有する画像滲みを抑止することができるが、このような物性を満足するためには、原紙の選択、表面塗布層で使用する顔料の種類、粒子径、バインダーの種類、顔料とバインダーの配合比率、塗工量、塗工方法、平滑化処理などにより調製するとよい。
−顔料−
表面塗布層を形成する顔料としては、印刷用塗工紙などで使用できる公知の顔料が例示できる。例えば、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメントなどが例示できる。これらは、複数種を併用することもできる。顔料の粒子径は、特に限定しないが10μm以下が好ましい。さらに好ましくは5μm以下である。1.5μm以下が最も好ましい。粒子径は小さい方がバリア性の発現しやすく、またインク受容層塗布後の平滑性や光沢感がよくなる傾向を示す。一般市販品であれば平均粒子径は0.1μmよりは大きいことが普通であるので、経済合理性からも0.1μm以上とすることが好ましい。これらの顔料を単独で用いるかまたは併用することが可能である。中でも、特に、炭酸カルシウム、カオリン、サチンホワイトは、コックリングを抑制する適性に優れ、白色度の高い塗布層が得られやすいので好ましい。中でも炭酸カルシウム、カオリンが好ましい。なお、インクジェット記録体のインク受容層用として好ましい材料である、無定形シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、ゼオライトなど吸水性に富んだ顔料や微細な顔料を50%以下併用してもよい。コックリングを改善するためには好ましくは1〜20%を併用する。
−バインダー−
表面塗布層を形成するバインダーとしては、印刷用塗工紙などで使用される公知のラテックスバインダー(所謂水分散性樹脂)を用いる。例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等のような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。水分散性ラテックスがコックリング抑制効果に優れるため、結着剤の主成分として使用される。特にスチレンブタジエン系ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体エマルションは、結着力や保存性の点で良好である。また、結着剤のガラス転移温度は特に限定はないが、ガラス転移温度の低い結着剤は平滑性が得られやすく、バリア性も発現しやすいため好ましい。ガラス転移温度が−40〜+40℃程度のものが好ましく、−30〜+30℃がさらに好ましい。最も好ましい範囲は−20〜+20℃である。
また、結着力アップや塗工適性改良などから、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)を顔料100部に対して20部以下を併用することが可能である。
インク受容層を設ける側の面のコッブ吸水度(Cobb30)が0.1g/m以上10g/m未満を満足するためには、顔料/ラテックスバインダーの比率(以下P/B比と称す)が100/40〜100/500の範囲に制御することが好ましい。より好ましくは100/60〜100/250、さらに好ましくは100/70〜100/150である。P/B比が100/40を超えると、顔料成分が多くなりすぎて、溶剤の浸透速度が速くなり、コックリングが悪化する虞がある。一方、P/B比が100/500未満では、ラテックスバインダー成分が多くなりすぎて、原紙のボコツキの影響を強く受け、インク受容層塗布後の平滑性や光沢感が低下する。また、バリア性がフィルムレベルに相当し、記録後の溶媒成分が原紙へ浸透せず記録層に残るため、画像の高湿画像滲みが悪化する問題がある。
表面塗布層は複数設けてもよく、複数層設けることが好ましい。複数層も受ける場合であっても、インク受容層を設ける側の面のコッブ吸水度が上記範囲を満足する必要がある。
複数層も請ける場合、耐コックリング性を高めるためのバリア性を有する層(以下バリア層ともいう)と、その他の機能を有する補助層というように機能を分離して形成してもよい。該バリア層としては、前記例示の表面塗布層を用いると良い。一方、補助層は、顔料とバインダーを主成分とする塗布層であり、バリア層と原紙の間に設けても、バリア層の上に設けてもよい。バリア層と原紙の間に設ける場合、原紙の地合いやボコツキの影響が抑えることができ好ましい。また、バリア層の上に設ける場合、すなわちバリア層とインク受容層との間に設ける層では支持体の平滑性を上げられるだけでなく、インク吸収性や印字後の高湿画像滲み抑制を補助することができる。バリア層の上下それぞれに補助層を形成することもでき、また好ましい形態である。
補助層のP/B比は、バリア層のP/B比より大きくすることが効果的であり、好ましくは100/5〜100/100、さらに好ましくは100/10〜100/40である。顔料成分が多すぎると塗膜強度が弱くなり、紙粉が出やすく、また塗膜剥がれも発生する虞がある。一方、バインダー成分が多いとバリア層の表面凹凸がそのまま支持体の表面に出やすく、インク受容層塗布後の写像性が低下する。
補助層は塗布乾燥後にカレンダーなどで表面平滑化処理することによって、さらに平滑性を上げることができる。
補助層の顔料は前述した顔料を適宜選択使用される。中でも、特に、炭酸カルシウム、カオリンは平滑性が得られやすく、好適である。より高平滑性を得るためには、炭酸カルシウムの平均粒径は0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。カオリンについては90%以上の粒子が2μm以下の粒径であることが好ましく、95%以上の粒子が2μm以下であれば更に好ましい。一般的にカオリンは白色度が低く、バリア層の上に設ける補助層に含有するカオリンの白色度は88%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。また、見た目を、RC支持体を使用したインクジェット記録体に近づけるために酸化チタンを含有することが好ましい。含有量は全顔料の1〜20%程度、好ましくは2〜10%である。最終的に得られる支持体の平滑性を損なわないためには、酸化チタンの平均粒径は0.01〜2μmの範囲が好ましく、0.02〜1μmの範囲がより好ましい。
補助層のバインダーは、前述のラテックスバインダーから適宜選択使用される。特にスチレンブタジエン系ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体エマルションは、結着力や保存性の点で良好である。平滑性と結着力のバランスからラテックスバインダーの平均粒子径は10〜300nmの範囲が好ましく、30〜200nmの範囲がより好ましい。
その他、いずれの表面塗布層(複数層の場合、バリア層や補助層)においても他の成分として、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、着色剤、紫外線吸収剤等の各種助剤が適宜添加される。特に見かけの白色度を上げるために、着色剤(蛍光増白剤、有色顔料、染料等)を配合することができる。
表面塗布層の乾燥固形分塗工量には、制限はないが、一般に1〜20g/m程度である。2〜15g/mが好ましく、より好ましくは3〜10g/mである。塗工量が過少であると、表面塗布層が紙表面を覆いきれず、インクジェット記録の際に、インク或いはインクを構成する溶媒が覆いきれていない繊維に沿って、原紙に到達し、コックリングを発生するおそれがあり、塗工量が多すぎるとコッブ吸水度が0.1g/m未満となり、画像滲みの原因となるばかりか、生産性、経済性が低下する。
補助層を設けた場合、全塗工量は10〜35g/mの範囲が好ましく、15〜30g/mがより好ましい。10g/m未満では、原紙のボコツキを完全に覆うことが出来ないため、インク受容層塗布後の写像性が低下する傾向がある。一方、35g/mを越えるとでは効果が飽和する。各補助層の塗工量は2〜30g/m程度が好ましく、3〜20g/mがより好ましい。2g/m未満では、平滑性を得るには不十分であり、30g/mを超えると効果が飽和し、生産性、経済性が低下する。
表面塗布層を形成する方法としては、上記成分を含む塗工液を公知の塗工方法により塗布するとよい。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知の塗工装置により塗工するとよい。平滑性と生産性を高めるためには、ブレードコーターが最適である。塗工乾燥後、スーパーカレンダーやカレンダーにより塗布層表面を平滑化処理してもよく、或いは粗面化ロールを用いて塗布層表面を粗面化処理してもよく、エンボスロールを用いて表面を型付け処理してもよい。
<インク受容層を形成しない面>
本発明の支持体は、上記原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層を形成する。更に、得られた支持体のインク受容層を設ける側の面のコッブ吸水度が10g/m以上である必要がある。コッブ吸水度が10g/m未満であると、表裏両面を塗工する際にブリスターが生じやすくなる。ここでいうコッブ吸水度は、インク受容層を形成する面と同様の、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度(Cobb30)である。
コッブ吸水度の上限は特に限定しないが、吸湿によってカールが生じやすくなるので30g/m以下が好ましく、さらに好ましくは25g/m以下である。30g/mを超えると、高湿環境下に曝された場合、表面側に対して裏面側の吸湿による伸びが大きくなり、その結果、トップカールとなりやすく、外観を損ねる。
コッブ吸水度は10g/m以上を満足することによって、高速塗工においてもブリスターを回避し、面質の良好な支持体が得られるが、コックリングの回復においても裏面のバリア性は表面より低いことが好ましい傾向がある。その理由は定かでないが、おそらく、記録面側から通過した水分が原紙中に閉じ込められずに抜ける効果があるためかと思われる。
特に、インク受容層を形成する面(表面)と形成しない面(裏面)のコッブ吸水度の値の差は10g/m以上であることが好ましい。10g/m未満、すなわち、表裏の吸水度の差が小さいとブリスターが起こりやすくなる。また、コックリングが生じた際に形状の戻りに時間がかかりやすくなる傾向がある。
コッブ吸水度を調製する方法として、裏面塗布層で使用する顔料の種類、粒子径、バインダーの種類、顔料とバインダーの配合比率、塗工量、塗工方法、平滑化処理などにより調製するとよい。
裏面塗布層の顔料、バインダーは、印刷用塗工紙などで使用できる公知の顔料やバインダーが例示でき、前記表面塗布層で例示したものが好ましく使用できる。インク受容層を形成しない面のコッブ吸水度を10g/m以上とするには、裏面塗布層の総固形分に対し顔料を20%以上含有させることが好ましい。また、製品カール、搬送性、手触り、風合い調整などからインク受容層側の塗布層と類似の顔料/ラテックスバインダーを主成分とする裏面塗布層が特に好ましい。カール、ブロッキング、搬送性、手触り、風合いを考慮すると、P/B比は100/5〜100/100が好ましく、より好ましくは100/10〜100/60である。塗工量は2〜50g/m程度、5〜40g/mがより好ましく、10〜35g/mが最も好ましい範囲である。
その他、裏面塗布層においても他の成分として、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、着色剤、紫外線吸収剤等の各種助剤が適宜添加される。特に見かけの白色度を上げるために、着色剤(蛍光増白剤、有色顔料、染料等)を配合することができる。
裏面塗布層を形成する方法としては、上記成分を含む塗工液を公知の塗工方法により塗布するとよい。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知の塗工装置により塗工するとよい。平滑性と生産性を高めるためには、ブレードコーターが最適である。
なお、裏面塗布層は、複数層形成してもよい。また、裏面は、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、帯電防止剤やブロッキング防止剤などで更に、処理してもよい。該処理は、インク受容層を形成する前でも後でも可能である。
<インク受容層>
本発明の支持体上に、インク受容層を形成することによって所望のインクジェット記録体を得ることが可能である。インク受容層は特に限定しないが、例えば超微細のシリカ、アルミナ水和物、酸化アルミ等の顔料、バインダー、架橋剤、媒染剤等を含有するインク受容層を設けることによって、RC支持体にインク受容層を設けてなる写真調記録体に近いコックリング性、表面光沢感、平滑性、風合いを有し、かつRC支持体を用いた記録体特有の画像滲みがなく、リサイクルも可能なインクジェット記録体が得られる。
−顔料−
インク受容層の顔料としては、一般インクジェット用顔料であれば選択使用可能である。光沢・平滑性やインク吸収性を得るためには、平均粒子径1μm以下の凝集体顔料が好ましく選択される。好ましい凝集体顔料は気相法シリカ、メソポーラスシリカ、湿式法シリカ、アルミナ酸化物、アルミナ水和物、アルミナシリケート、炭酸カルシウム、カオリン(含焼成カオリン)を挙げられるが、中でも高画質を得るためには、気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナが最も好ましい。
−バインダー−
インク受容層のバインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性樹脂や各種ラテックス系接着剤が挙げられる。単独で又は2種以上混合して使用する。接着強度とインク吸収性から、ポリビニルアルコールが好ましく選択される。
前記バインダーの含有量としては、インク受容層の顔料100部に対して、5〜40部が好ましく、インク吸収性と塗膜強度のバランスから10〜25部がより好ましい。
−架橋剤−
前記のインク受容層は、前記バインダーと架橋し得る架橋剤を含むことが好ましく、特に前記無機顔料と前記水溶性樹脂とを併用し、更に該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
前記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂や他のホウ酸塩が好ましく選択される。
−媒染剤−
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時滲みの向上を図るために、インク受容層に媒染剤が含有されるのが好ましい。媒染剤は、有機媒染剤と無機媒染剤が挙げられる。有機媒染剤及び無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
有機媒染剤は、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が挙げられる。これら媒染剤は、色材受容層のインク吸収性良化の観点から、平均分子量が500〜500000の化合物が好ましい。無機媒染剤としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。中でも、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
媒染剤含有量は、インク受容層の全固形分質量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
−光沢発現層−
高光沢を得るためには、微細な単分散コロイド顔料や2次凝集体コロイド顔料から選択され、単独で又は2種以上混合した顔料を主成分とする光沢発現層をインク受容層上に設けることが可能である。単分散コロイド顔料の平均粒子径は0.01〜0.2μm、吸収性と透明性のバランスから、0.02〜0.1μmが好ましい範囲である。2次凝集体コロイド顔料は平均粒径1μm以下のアルミナ酸化物、アルミナ水和物が好ましい。高光沢を得るためには、平均粒径が0.02〜0.5μmの範囲がより好ましい。光沢発現層の形成方法は、特に限定するものではないが、例えばWO03−039881号公報に記載された、「光沢発現層をインク受容層上に設けた後、湿潤状態で鏡面を有するニップロールに通過させる方法」や特開2004−306610号公報に記載された「光沢発現層とインク受容層は同時多層塗布により形成する方法」等が有効である。
−その他の成分−
前記インク受容層、光沢発現層には、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することが可能である。
−塗布装置−
インク受容層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スライドコーター等の各種塗工装置を用いることができる。多層のインク受容層やインク受容層と光沢発現層など多層構成の場合は多層式スライドコーター、多層式カーテンコーター、多層式ダイコーターを用いると効果的である。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例―中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
−原紙A−
LBKP90部(フリーネス440ml/csf)、NBKP10部(フリーネス510ml/csf)からなるパルプスラリー中に、パルプ固形分に対して填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分で10%となるように添加し、さらに内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902、荒川化学工業社製)0.05%および硫酸アルミニウム0.5%をそれぞれ添加して紙料を調成した。このように調成された紙料を用いて、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って成紙(基紙)を得た。次いで、このようにして得られた基紙の両面に2本ロールサイズプレス装置を介して、6%濃度の酸化澱粉糊液(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面固形分換算で1.4g/mとなるように塗布、乾燥して米坪が150g/mの原紙Aを得た。
−原紙B−
LBKP100部(フリーネス400ml/csf)、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、前記AKDサイズ剤0.05質量部、硫酸バンド1.5質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って150g/mの原紙Bを得た。
−RC支持体A−
上記原紙Bの両面にコロナ放電処理を施した後、原紙のフェルト面側に塗工量が22g/mとなるようにバンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、また、原紙のワイヤー面側に塗工量が30g/mとなるようにポリオレフィン樹脂組成物2を、それぞれT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、原紙のフェルト面側を鏡面のクーリングロールで、また、原紙のワイヤー面側を粗面のクーリングロールで、それぞれ冷却固化した。平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P 8138)が93%のRC支持体を製造した。
「ポリオレフィン樹脂組成物1」
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(石原産業社製、商品名:A−220)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名:Irganox1010)0.03質量部、群青(第一化成社製、商品名:青口群青No.2000)0.09質量部、蛍光増白剤(チバガイギー社製、商品名:UVITEX OB)0.3質量部。
「ポリオレフィン樹脂組成物2」
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、メルトインデックス4g/10分)35質量部。
−シリカ微粒子A−
2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名KBE−603)の水溶液(876g、1%)に市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA200)120g、乳酸4gを攪拌しながら添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、水分散液を調製した。
−インク受容層塗液の調製−
シリカ微粒子A100部に、ホウ酸4部を添加して溶解した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)15部を混合し、13%水分散液を調製した。
−光沢発現層塗液の調製−
45nmのカチオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL)100部に、前記ポリビニルアルコール2部、カチオン離型剤(近代科学社製、商品名:ペルトールN856)1部を混合し、3%水分散液を調製した。
実施例1
−塗布液Aの調製−
市販分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50)0.2部含有水溶液に、顔料として、白色度95%、平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ソフトン3200)100部を添加して分散し、炭酸カルシウムのスラリーを調製した。平均粒子径が110nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PT1051、日本ゼオン社製、Tg=10℃)を100部、増粘剤としてエーテル化度が0.70〜0.80のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンWSA)を0.2部、酸化澱粉糊液(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)を1部、(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度が60%の塗被液Aを調製した。
−塗布液Bの調製−
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを20部に変更した以外は、塗布液Aの調製と同様の方法で塗布液Bを調製した。最終的な固形分濃度は65%であった。
−支持体形成−
原紙Aの片面に塗布液Aを、反対面に塗布液Bを、それぞれ乾燥重量が10g/m、20g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って支持体を得た。塗布液Aを塗布した面を表面、塗布液Bを塗布した面を裏面とする。表面温度40℃の条件でオンスーパーカレンダー(8ニップ、線圧200kg/cm、500m/min)に通紙して紙支持体を得た。
−インクジェット記録体の形成−
上記支持体の表面上に、35℃に加熱したインク受容層塗液を20g/mになるように塗布し、20℃に冷やしてから、50℃の乾燥器で乾燥を行い、インクジェット記録体を得た。
実施例2
塗布液Aと塗布液Bの塗工量をそれぞれ15g/m、25g/mに変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例3
塗布液Aと塗布液Bの顔料を、コロイダルシリカ(日産化学社製,商品名:スノーテックスST−OL)に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例4
塗布液Aと塗布液Bの顔料を、白色度90%、粒子径2μm以下の粒子が97%を含有するカオリン(イメリスミネラルズ・ジャパン社製、商品名:Contour Xtreme)に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例5
塗布液Bのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを50部に変更した以外は、実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例6
塗布液Aのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを50部に変更した以外は、実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例7
−支持体形成−
原紙Aの片面に塗布液Aを、反対面に塗布液Bを、それぞれ乾燥重量が5g/m、20g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥し、さらに、オンライン方式で、塗布液Aを塗布した面に塗布液Bを乾燥重量が5g/mとなるようにブレードコーターで塗工、乾燥を行って水分が5.0%の支持体を得た。塗布液A及びBの2層塗りの面を表面、塗布液Bの1層塗りの面を裏面とする。それ以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例8
−支持体形成−
原紙Aの両面ともに塗布液Bをそれぞれ15g/m,25g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行った。ついで、片面にオンライン方式で、塗布液Aを乾燥重量が5g/mとなるようにブレードコーターで塗工、乾燥を行って水分が5.0%の支持体を得た。塗布液B及びAの2層塗りの面を表面、塗布液Bの1層塗りの面を裏面とした。それ以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例9
実施例8の支持体の表面、裏面に、さらに塗布液Bをそれぞれ乾燥重量が5g/m、15g/mとなるようにブレードコーターで塗工、乾燥を行って水分が5.0%の3層塗りの面を表面、2層塗りの面を裏面とする支持体を得た。それ以外は実施例8と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例10
実施例9で得られたインクジェット記録体上に光沢発現層塗料を1g/mになるように塗布、湿潤のうちに塗布面が鏡面に当たるように鏡面ドラム(表面温度:85℃)とニップロールの間に通過(線圧:150Kg/cm、速度:100m/min)させた後、乾燥してインクジェット記録体を得た。
実施例11
原紙Aを原紙Bに変更した以外は実施例10と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例12
原紙Aを市販塗工紙(商品名:SA金藤+、209g/m、王子製紙製)に変更した以外は実施例7と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例1
支持体をRC支持体Aとした以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例2
塗布液BをポリビニルアルコールPVA−145(クラレ社製)3%液に、塗工量を10g/mに変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例3
表面、裏面とも、塗布液Aを10g/mに変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例4
塗布液Aを片面に塗工して表面とし、他面は塗布液を塗工せず裏面とした以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例5
塗布液AをポリビニルアルコールPVA−145(クラレ社製)3%液に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例6
表面、裏面とも、塗布液Bを用いた以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例7
表面は、塗布液Aを塗工せず、裏面は塗布液Bの片面塗工とした以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例8
塗布液Aと塗布液Bを入れ替え、表面に塗布液B、裏面に塗布液Aを、それぞれ10g/mの塗工量とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例9
支持体として原紙Aを使用した。実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例10
記録体として市販インクジェット写真用紙エントリー(EPSON社製、RC支持体を用いたインクジェット記録体)を使用した。
<評価方法>
−コッブ吸水度−
実施例1〜12および比較例1〜9で得られた支持体のコッブ吸水度を表1に示す。測定はJIS P8140のコッブ法による接触時間30秒(Cobb30)にて行った。
−ブリスター−
実施例1〜12および比較例2〜8で得られた支持体のブリスター(塗膜の火膨れによる面質の損傷)について、支持体の面質を下記の基準で目視にて判定した。
○:火膨れによる塗膜の損傷はみられない。
△:若干ブリスター由来と思われる面質低下が見られるが、実用上は使用可能。
×:支持体として使用できるレベルではない。
−写像性−
得られたインクジェット記録体の写像性(平滑性)を以下に示す方法で評価した。
写像性は表面平滑性の指標である。本発明の写像性は写像性解析装置DIAS(Quality Engineering Associates,Inc.社製)を用いて測定した。
DIAS測定技術の基本概念は表面に鋭利なエッジを投影し、CCDなどの面または線ソリッドステート・センサーを用いてその反射像を捉えることである。このデジタル画像からエッジ拡散係数を求め、エッジ拡散係数から微分関数によってライン拡散関数(LSF)が求められ、写像性の指標となる。LSFの中高点の幅およびその逆数は優れた写像性指標となる。中高点bの幅はぼやけ度として表され、その逆数はシャープ度としてmm−1で表される。シャープ度が高いほど表面写像性(平滑性)が高い。
−光沢感−
得られたインクジェット記録体の光沢感を以下に示す方法で評価した。
◎:銀塩写真に近い光沢感。
○:印刷用紙以上の光沢感。
△:印刷用紙に近い光沢感。
×:光沢感がほとんどない。
−印字伸び率(コックリング)−
得られたインクジェット記録体の印字伸び率(コックリング)を以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(CANON社製、機種:PIXUS iP4200、用紙設定:スーパーフォトペーパー、印刷品位:標準)で行った。
A4のインクジェット記録体に横18cm×縦5cmのグリーンベタ印字を行い、印字2分後の横の長さ(Lcm)を測定し、伸び率を算出した{伸び率=(L−18)×100/L}。伸び率が大きいほどコックリングが悪い傾向であった。0.10%を超えるとコックリングがかなり目立ち、0.05%より小さいとコックリングは良好で、見た目ではRC支持体を使用したインクジェット記録体との違いが分からないレベルであった。
−画像滲み−
得られたインクジェット記録体の画像滲みを以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(CANON社製、機種:PIXUS iP4200、用紙設定:スーパーフォトペーパー、印刷品位:標準)で行った。
インクジェット記録体を30℃、80%の高温高湿条件で24時間調湿後、そのまま条件下でISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字した。印字直後に同じ記録体の裏面と印字された面を重ね、300gの重しを乗せ、そのままの高温高湿条件にて3日間放置後、画像を観察した。
◎:画像の滲みはなく良好。
○:ごくわずかに滲み認められるがほとんど気にならないレベル。
△:若干滲みは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:画像の滲みが悪い。
−カール−
得られたインクジェット記録体のカールを以下に示す方法で評価した。
インクジェット記録体をA4サイズに断裁し、23℃50%環境下で一昼夜平置きした。その後、4隅の高さを測定し、下記の基準で評価した。
○:平均値が±5mm未満
△:平均値が±5mm以上、10mm未満
×:平均値が±10mm以上
−風合い−
得られたインクジェット記録体の風合いを以下に示す方法で評価した。
インクジェット記録体を大人男女10人(男性5人、女性5人)が実際に手で取って触った感触を、銀塩写真と比較して、下記のように点数化した。写真に近いレベル:3点、多少違和感はあるが、気にしないレベル:2点、違和感がある:1点、写真の裏面としては明らかに違和感がある:0点として、10人の合計点を出した。
◎: 合計点が26〜30点。
○: 合計点が20〜25点。
△: 合計点が10〜19点。
×: 合計点が0〜9点。
−リサイクル性−
得られたインクジェット記録体のリサイクル性を以下に示す方法で評価した。
一般塗工紙と同様に、本発明の支持体をアルカリ水溶液中で叩解し、再離解可能かどうかを調べた。再生紙にする可能性を下記の基準で評価した。
○:塗工紙と同レベルで再生紙にすることが可能。
△:再離解が難しく、普通のパルプに少量添加なら再生紙にすることが可能。
×:再離解不可。
Figure 2010052190
表1から明らかなように、本発明は、紙ベースの支持体でありながら、RC支持体を用いたインクジェット記録体と同等レベルのコックリング、平滑・光沢感、風合いを有し、かつ画像滲みが良好である。

Claims (5)

  1. 一方の面にインク受容層を有するインクジェット記録体を提供するためのインクジェット記録体用支持体において、該支持体が、原紙と、原紙のインク受容層を設ける面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層と、原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された裏面塗布層とを有し、且つ、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度は、インク受容層を設ける側の面が0.1g/m以上10g/m未満、インク受容層を形成しない面が、10g/m以上であることを特徴としたインクジェット記録体用支持体。
  2. インク受容層を形成する面とインク受容層を形成しない面のコッブ吸水度の差が10g/m以上である請求項1記載のインクジェット記録体用支持体。
  3. 表面塗布層の顔料成分が炭酸カルシウム又はカオリンである請求項1又は2記載のインクジェット記録体用支持体。
  4. 裏面塗布層が、顔料を20%以上含有した請求項1〜3のいずれか一項記載のインクジェット記録体用支持体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の支持体上に気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナから選ばれる少なくとも一つを含有するインク受容層を設けてなるインクジェット記録体。
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