JP2010052190A - インクジェット記録体用支持体及びそれを用いた記録体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一方の面にインク受容層を有するインクジェット記録体を提供するためのインクジェット記録体用支持体において、該支持体が、原紙と、原紙のインク受容層を設ける面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層と、原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された裏面塗布層とを有し、且つ、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度は、インク受容層を設ける側の面が0.1g/m2以上10g/m2未満、インク受容層を形成しない面が、10g/m2以上であることを特徴としたインクジェット記録体用支持体。
【選択図】なし
Description
一般的に紙ベース支持体の場合、RCベース支持体に比べ、コックリングが生じやすい問題がある。これは基紙がインク溶媒成分を吸収し、色材成分と分離する作用によるものと考えられる。
(1)一方の面にインク受容層を有するインクジェット記録体を提供するためのインクジェット記録体用支持体において、該支持体が、原紙と、原紙のインク受容層を設ける面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層と、原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された裏面塗布層とを有し、且つ、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度は、インク受容層を設ける側の面が0.1g/m2以上10g/m2未満、インク受容層を形成しない面が、10g/m2以上であることを特徴としたインクジェット記録体用支持体。
(2)インク受容層を形成する面とインク受容層を形成しない面のコッブ吸水度の差が10g/m2以上である(1)記載のインクジェット記録体用支持体。
(3)表面塗布層の顔料成分が炭酸カルシウム又はカオリンである(1)又は(2)記載のインクジェット記録体用支持体。
(4)裏面塗布層が、顔料を20%以上含有した(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録体用支持体。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の支持体上に気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナから選ばれる少なくとも一つを含有するインク受容層を設けてなるインクジェット記録体。
原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができる。一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。300〜500ml程度に調整することが好ましい。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、通常50〜500μmである。紙腰、剛度から100〜300μmが好ましく、150〜250μmがより好ましい。
前記原紙の坪量は、特に制限はなく50〜300g/m2が好ましく、剛度とのバランスや重量感から100〜250g/m2がより好ましい。
通常、A4版サイズのインクジェット記録体に写真画像をインクジェット記録する場合、記録体の先端がインクを受容してから、記録体の終端がインクを受容するまでおおよそ10〜120秒程度かかる。この間に、インク或いはインクを構成する溶媒が原紙に浸透すると、出力中に原紙が伸縮し、コックリングが発生する。記録の際にコックリングが発生すると、記録体表面が波うちを生じ、場合によってはプリンターのヘッドと記録体が擦れてしまうなどのトラブルも発生する。
本発明でいうコッブ吸水度は、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度(Cobb30)である。30秒という接触時間は、JISの規定の中で最も短い時間であり、短時間の吸水度を測定することにより、プリンター内部でのコックリングの発生メカニズムに近い状態で支持体を評価することになる。
コッブ吸水度が0.1g/m2以上10g/m2未満を満足すると、RC支持体に近いバリア性を有し、且つRC支持体の有する画像滲みを抑止することができるが、このような物性を満足するためには、原紙の選択、表面塗布層で使用する顔料の種類、粒子径、バインダーの種類、顔料とバインダーの配合比率、塗工量、塗工方法、平滑化処理などにより調製するとよい。
表面塗布層を形成する顔料としては、印刷用塗工紙などで使用できる公知の顔料が例示できる。例えば、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメントなどが例示できる。これらは、複数種を併用することもできる。顔料の粒子径は、特に限定しないが10μm以下が好ましい。さらに好ましくは5μm以下である。1.5μm以下が最も好ましい。粒子径は小さい方がバリア性の発現しやすく、またインク受容層塗布後の平滑性や光沢感がよくなる傾向を示す。一般市販品であれば平均粒子径は0.1μmよりは大きいことが普通であるので、経済合理性からも0.1μm以上とすることが好ましい。これらの顔料を単独で用いるかまたは併用することが可能である。中でも、特に、炭酸カルシウム、カオリン、サチンホワイトは、コックリングを抑制する適性に優れ、白色度の高い塗布層が得られやすいので好ましい。中でも炭酸カルシウム、カオリンが好ましい。なお、インクジェット記録体のインク受容層用として好ましい材料である、無定形シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、ゼオライトなど吸水性に富んだ顔料や微細な顔料を50%以下併用してもよい。コックリングを改善するためには好ましくは1〜20%を併用する。
表面塗布層を形成するバインダーとしては、印刷用塗工紙などで使用される公知のラテックスバインダー(所謂水分散性樹脂)を用いる。例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等のような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。水分散性ラテックスがコックリング抑制効果に優れるため、結着剤の主成分として使用される。特にスチレンブタジエン系ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体エマルションは、結着力や保存性の点で良好である。また、結着剤のガラス転移温度は特に限定はないが、ガラス転移温度の低い結着剤は平滑性が得られやすく、バリア性も発現しやすいため好ましい。ガラス転移温度が−40〜+40℃程度のものが好ましく、−30〜+30℃がさらに好ましい。最も好ましい範囲は−20〜+20℃である。
また、結着力アップや塗工適性改良などから、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)を顔料100部に対して20部以下を併用することが可能である。
複数層も請ける場合、耐コックリング性を高めるためのバリア性を有する層(以下バリア層ともいう)と、その他の機能を有する補助層というように機能を分離して形成してもよい。該バリア層としては、前記例示の表面塗布層を用いると良い。一方、補助層は、顔料とバインダーを主成分とする塗布層であり、バリア層と原紙の間に設けても、バリア層の上に設けてもよい。バリア層と原紙の間に設ける場合、原紙の地合いやボコツキの影響が抑えることができ好ましい。また、バリア層の上に設ける場合、すなわちバリア層とインク受容層との間に設ける層では支持体の平滑性を上げられるだけでなく、インク吸収性や印字後の高湿画像滲み抑制を補助することができる。バリア層の上下それぞれに補助層を形成することもでき、また好ましい形態である。
補助層は塗布乾燥後にカレンダーなどで表面平滑化処理することによって、さらに平滑性を上げることができる。
補助層を設けた場合、全塗工量は10〜35g/m2の範囲が好ましく、15〜30g/m2がより好ましい。10g/m2未満では、原紙のボコツキを完全に覆うことが出来ないため、インク受容層塗布後の写像性が低下する傾向がある。一方、35g/m2を越えるとでは効果が飽和する。各補助層の塗工量は2〜30g/m2程度が好ましく、3〜20g/m2がより好ましい。2g/m2未満では、平滑性を得るには不十分であり、30g/m2を超えると効果が飽和し、生産性、経済性が低下する。
本発明の支持体は、上記原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層を形成する。更に、得られた支持体のインク受容層を設ける側の面のコッブ吸水度が10g/m2以上である必要がある。コッブ吸水度が10g/m2未満であると、表裏両面を塗工する際にブリスターが生じやすくなる。ここでいうコッブ吸水度は、インク受容層を形成する面と同様の、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度(Cobb30)である。
特に、インク受容層を形成する面(表面)と形成しない面(裏面)のコッブ吸水度の値の差は10g/m2以上であることが好ましい。10g/m2未満、すなわち、表裏の吸水度の差が小さいとブリスターが起こりやすくなる。また、コックリングが生じた際に形状の戻りに時間がかかりやすくなる傾向がある。
本発明の支持体上に、インク受容層を形成することによって所望のインクジェット記録体を得ることが可能である。インク受容層は特に限定しないが、例えば超微細のシリカ、アルミナ水和物、酸化アルミ等の顔料、バインダー、架橋剤、媒染剤等を含有するインク受容層を設けることによって、RC支持体にインク受容層を設けてなる写真調記録体に近いコックリング性、表面光沢感、平滑性、風合いを有し、かつRC支持体を用いた記録体特有の画像滲みがなく、リサイクルも可能なインクジェット記録体が得られる。
インク受容層の顔料としては、一般インクジェット用顔料であれば選択使用可能である。光沢・平滑性やインク吸収性を得るためには、平均粒子径1μm以下の凝集体顔料が好ましく選択される。好ましい凝集体顔料は気相法シリカ、メソポーラスシリカ、湿式法シリカ、アルミナ酸化物、アルミナ水和物、アルミナシリケート、炭酸カルシウム、カオリン(含焼成カオリン)を挙げられるが、中でも高画質を得るためには、気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナが最も好ましい。
インク受容層のバインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性樹脂や各種ラテックス系接着剤が挙げられる。単独で又は2種以上混合して使用する。接着強度とインク吸収性から、ポリビニルアルコールが好ましく選択される。
前記のインク受容層は、前記バインダーと架橋し得る架橋剤を含むことが好ましく、特に前記無機顔料と前記水溶性樹脂とを併用し、更に該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時滲みの向上を図るために、インク受容層に媒染剤が含有されるのが好ましい。媒染剤は、有機媒染剤と無機媒染剤が挙げられる。有機媒染剤及び無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
高光沢を得るためには、微細な単分散コロイド顔料や2次凝集体コロイド顔料から選択され、単独で又は2種以上混合した顔料を主成分とする光沢発現層をインク受容層上に設けることが可能である。単分散コロイド顔料の平均粒子径は0.01〜0.2μm、吸収性と透明性のバランスから、0.02〜0.1μmが好ましい範囲である。2次凝集体コロイド顔料は平均粒径1μm以下のアルミナ酸化物、アルミナ水和物が好ましい。高光沢を得るためには、平均粒径が0.02〜0.5μmの範囲がより好ましい。光沢発現層の形成方法は、特に限定するものではないが、例えばWO03−039881号公報に記載された、「光沢発現層をインク受容層上に設けた後、湿潤状態で鏡面を有するニップロールに通過させる方法」や特開2004−306610号公報に記載された「光沢発現層とインク受容層は同時多層塗布により形成する方法」等が有効である。
前記インク受容層、光沢発現層には、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することが可能である。
インク受容層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スライドコーター等の各種塗工装置を用いることができる。多層のインク受容層やインク受容層と光沢発現層など多層構成の場合は多層式スライドコーター、多層式カーテンコーター、多層式ダイコーターを用いると効果的である。
LBKP90部(フリーネス440ml/csf)、NBKP10部(フリーネス510ml/csf)からなるパルプスラリー中に、パルプ固形分に対して填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分で10%となるように添加し、さらに内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902、荒川化学工業社製)0.05%および硫酸アルミニウム0.5%をそれぞれ添加して紙料を調成した。このように調成された紙料を用いて、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って成紙(基紙)を得た。次いで、このようにして得られた基紙の両面に2本ロールサイズプレス装置を介して、6%濃度の酸化澱粉糊液(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面固形分換算で1.4g/m2となるように塗布、乾燥して米坪が150g/m2の原紙Aを得た。
LBKP100部(フリーネス400ml/csf)、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、前記AKDサイズ剤0.05質量部、硫酸バンド1.5質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って150g/m2の原紙Bを得た。
上記原紙Bの両面にコロナ放電処理を施した後、原紙のフェルト面側に塗工量が22g/m2となるようにバンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、また、原紙のワイヤー面側に塗工量が30g/m2となるようにポリオレフィン樹脂組成物2を、それぞれT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、原紙のフェルト面側を鏡面のクーリングロールで、また、原紙のワイヤー面側を粗面のクーリングロールで、それぞれ冷却固化した。平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P 8138)が93%のRC支持体を製造した。
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm3、メルトインデックス20g/10分)35質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(石原産業社製、商品名:A−220)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名:Irganox1010)0.03質量部、群青(第一化成社製、商品名:青口群青No.2000)0.09質量部、蛍光増白剤(チバガイギー社製、商品名:UVITEX OB)0.3質量部。
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm3、メルトインデックス20g/10分)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、メルトインデックス4g/10分)35質量部。
2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名KBE−603)の水溶液(876g、1%)に市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA200)120g、乳酸4gを攪拌しながら添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、水分散液を調製した。
シリカ微粒子A100部に、ホウ酸4部を添加して溶解した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)15部を混合し、13%水分散液を調製した。
45nmのカチオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL)100部に、前記ポリビニルアルコール2部、カチオン離型剤(近代科学社製、商品名:ペルトールN856)1部を混合し、3%水分散液を調製した。
−塗布液Aの調製−
市販分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50)0.2部含有水溶液に、顔料として、白色度95%、平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ソフトン3200)100部を添加して分散し、炭酸カルシウムのスラリーを調製した。平均粒子径が110nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PT1051、日本ゼオン社製、Tg=10℃)を100部、増粘剤としてエーテル化度が0.70〜0.80のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンWSA)を0.2部、酸化澱粉糊液(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)を1部、(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度が60%の塗被液Aを調製した。
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを20部に変更した以外は、塗布液Aの調製と同様の方法で塗布液Bを調製した。最終的な固形分濃度は65%であった。
原紙Aの片面に塗布液Aを、反対面に塗布液Bを、それぞれ乾燥重量が10g/m2、20g/m2となるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って支持体を得た。塗布液Aを塗布した面を表面、塗布液Bを塗布した面を裏面とする。表面温度40℃の条件でオンスーパーカレンダー(8ニップ、線圧200kg/cm、500m/min)に通紙して紙支持体を得た。
上記支持体の表面上に、35℃に加熱したインク受容層塗液を20g/m2になるように塗布し、20℃に冷やしてから、50℃の乾燥器で乾燥を行い、インクジェット記録体を得た。
塗布液Aと塗布液Bの塗工量をそれぞれ15g/m2、25g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液Aと塗布液Bの顔料を、コロイダルシリカ(日産化学社製,商品名:スノーテックスST−OL)に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液Aと塗布液Bの顔料を、白色度90%、粒子径2μm以下の粒子が97%を含有するカオリン(イメリスミネラルズ・ジャパン社製、商品名:Contour Xtreme)に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液Bのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを50部に変更した以外は、実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液Aのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを50部に変更した以外は、実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
−支持体形成−
原紙Aの片面に塗布液Aを、反対面に塗布液Bを、それぞれ乾燥重量が5g/m2、20g/m2となるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥し、さらに、オンライン方式で、塗布液Aを塗布した面に塗布液Bを乾燥重量が5g/m2となるようにブレードコーターで塗工、乾燥を行って水分が5.0%の支持体を得た。塗布液A及びBの2層塗りの面を表面、塗布液Bの1層塗りの面を裏面とする。それ以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
−支持体形成−
原紙Aの両面ともに塗布液Bをそれぞれ15g/m2,25g/m2となるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行った。ついで、片面にオンライン方式で、塗布液Aを乾燥重量が5g/m2となるようにブレードコーターで塗工、乾燥を行って水分が5.0%の支持体を得た。塗布液B及びAの2層塗りの面を表面、塗布液Bの1層塗りの面を裏面とした。それ以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例8の支持体の表面、裏面に、さらに塗布液Bをそれぞれ乾燥重量が5g/m2、15g/m2となるようにブレードコーターで塗工、乾燥を行って水分が5.0%の3層塗りの面を表面、2層塗りの面を裏面とする支持体を得た。それ以外は実施例8と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
実施例9で得られたインクジェット記録体上に光沢発現層塗料を1g/m2になるように塗布、湿潤のうちに塗布面が鏡面に当たるように鏡面ドラム(表面温度:85℃)とニップロールの間に通過(線圧:150Kg/cm、速度:100m/min)させた後、乾燥してインクジェット記録体を得た。
原紙Aを原紙Bに変更した以外は実施例10と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
原紙Aを市販塗工紙(商品名:SA金藤+、209g/m2、王子製紙製)に変更した以外は実施例7と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
支持体をRC支持体Aとした以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液BをポリビニルアルコールPVA−145(クラレ社製)3%液に、塗工量を10g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
表面、裏面とも、塗布液Aを10g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液Aを片面に塗工して表面とし、他面は塗布液を塗工せず裏面とした以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液AをポリビニルアルコールPVA−145(クラレ社製)3%液に変更した以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
表面、裏面とも、塗布液Bを用いた以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
表面は、塗布液Aを塗工せず、裏面は塗布液Bの片面塗工とした以外は実施例1と同様にして支持体及びインクジェット記録体を作製した。
塗布液Aと塗布液Bを入れ替え、表面に塗布液B、裏面に塗布液Aを、それぞれ10g/m2の塗工量とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
支持体として原紙Aを使用した。実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
記録体として市販インクジェット写真用紙エントリー(EPSON社製、RC支持体を用いたインクジェット記録体)を使用した。
−コッブ吸水度−
実施例1〜12および比較例1〜9で得られた支持体のコッブ吸水度を表1に示す。測定はJIS P8140のコッブ法による接触時間30秒(Cobb30)にて行った。
実施例1〜12および比較例2〜8で得られた支持体のブリスター(塗膜の火膨れによる面質の損傷)について、支持体の面質を下記の基準で目視にて判定した。
○:火膨れによる塗膜の損傷はみられない。
△:若干ブリスター由来と思われる面質低下が見られるが、実用上は使用可能。
×:支持体として使用できるレベルではない。
得られたインクジェット記録体の写像性(平滑性)を以下に示す方法で評価した。
写像性は表面平滑性の指標である。本発明の写像性は写像性解析装置DIAS(Quality Engineering Associates,Inc.社製)を用いて測定した。
DIAS測定技術の基本概念は表面に鋭利なエッジを投影し、CCDなどの面または線ソリッドステート・センサーを用いてその反射像を捉えることである。このデジタル画像からエッジ拡散係数を求め、エッジ拡散係数から微分関数によってライン拡散関数(LSF)が求められ、写像性の指標となる。LSFの中高点の幅およびその逆数は優れた写像性指標となる。中高点bの幅はぼやけ度として表され、その逆数はシャープ度としてmm−1で表される。シャープ度が高いほど表面写像性(平滑性)が高い。
得られたインクジェット記録体の光沢感を以下に示す方法で評価した。
◎:銀塩写真に近い光沢感。
○:印刷用紙以上の光沢感。
△:印刷用紙に近い光沢感。
×:光沢感がほとんどない。
得られたインクジェット記録体の印字伸び率(コックリング)を以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(CANON社製、機種:PIXUS iP4200、用紙設定:スーパーフォトペーパー、印刷品位:標準)で行った。
A4のインクジェット記録体に横18cm×縦5cmのグリーンベタ印字を行い、印字2分後の横の長さ(Lcm)を測定し、伸び率を算出した{伸び率=(L−18)×100/L}。伸び率が大きいほどコックリングが悪い傾向であった。0.10%を超えるとコックリングがかなり目立ち、0.05%より小さいとコックリングは良好で、見た目ではRC支持体を使用したインクジェット記録体との違いが分からないレベルであった。
得られたインクジェット記録体の画像滲みを以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(CANON社製、機種:PIXUS iP4200、用紙設定:スーパーフォトペーパー、印刷品位:標準)で行った。
インクジェット記録体を30℃、80%の高温高湿条件で24時間調湿後、そのまま条件下でISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字した。印字直後に同じ記録体の裏面と印字された面を重ね、300gの重しを乗せ、そのままの高温高湿条件にて3日間放置後、画像を観察した。
◎:画像の滲みはなく良好。
○:ごくわずかに滲み認められるがほとんど気にならないレベル。
△:若干滲みは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:画像の滲みが悪い。
得られたインクジェット記録体のカールを以下に示す方法で評価した。
インクジェット記録体をA4サイズに断裁し、23℃50%環境下で一昼夜平置きした。その後、4隅の高さを測定し、下記の基準で評価した。
○:平均値が±5mm未満
△:平均値が±5mm以上、10mm未満
×:平均値が±10mm以上
得られたインクジェット記録体の風合いを以下に示す方法で評価した。
インクジェット記録体を大人男女10人(男性5人、女性5人)が実際に手で取って触った感触を、銀塩写真と比較して、下記のように点数化した。写真に近いレベル:3点、多少違和感はあるが、気にしないレベル:2点、違和感がある:1点、写真の裏面としては明らかに違和感がある:0点として、10人の合計点を出した。
◎: 合計点が26〜30点。
○: 合計点が20〜25点。
△: 合計点が10〜19点。
×: 合計点が0〜9点。
得られたインクジェット記録体のリサイクル性を以下に示す方法で評価した。
一般塗工紙と同様に、本発明の支持体をアルカリ水溶液中で叩解し、再離解可能かどうかを調べた。再生紙にする可能性を下記の基準で評価した。
○:塗工紙と同レベルで再生紙にすることが可能。
△:再離解が難しく、普通のパルプに少量添加なら再生紙にすることが可能。
×:再離解不可。
Claims (5)
- 一方の面にインク受容層を有するインクジェット記録体を提供するためのインクジェット記録体用支持体において、該支持体が、原紙と、原紙のインク受容層を設ける面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された表面塗布層と、原紙のインク受容層を形成しない面に、顔料とバインダーを主成分とし、塗工により形成された裏面塗布層とを有し、且つ、JIS P8140のコッブ法による接触時間30秒の吸水度は、インク受容層を設ける側の面が0.1g/m2以上10g/m2未満、インク受容層を形成しない面が、10g/m2以上であることを特徴としたインクジェット記録体用支持体。
- インク受容層を形成する面とインク受容層を形成しない面のコッブ吸水度の差が10g/m2以上である請求項1記載のインクジェット記録体用支持体。
- 表面塗布層の顔料成分が炭酸カルシウム又はカオリンである請求項1又は2記載のインクジェット記録体用支持体。
- 裏面塗布層が、顔料を20%以上含有した請求項1〜3のいずれか一項記載のインクジェット記録体用支持体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の支持体上に気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナから選ばれる少なくとも一つを含有するインク受容層を設けてなるインクジェット記録体。
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