JP2008168493A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光沢、画質、コックリング防止性、インク吸収性のいずれもが優れている上に、ひび割れ、折り割れが防止され、表面強度の優れたインクジェット記録媒体を製造でき、しかも工程数が省略されて生産性に優れるインクジェット記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、成膜性を有する高分子材料(ポリビニルアルコール樹脂を除く)を主成分とする下塗り層と、平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料を主成分とし、ポリビニルアルコール樹脂を含有する水性インク受容性を有する上塗り層を順次設けてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、支持体上に、成膜性の高分子材料と、ポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有する下塗り層形成用塗料を塗工する工程、及び、該下塗り層が湿潤状態であるうちに、上塗り層形成用塗料を塗工する工程を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式に適用する記録媒体を製造する方法に関する。
水性インクを微細なノズルから記録媒体に向かって噴出し、該記録媒体の記録面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
インクジェット記録方式に適する記録媒体としては、インク受容層を有するインクジェット記録媒体が広く使用されている。これらのインクジェット記録媒体においては、プリンタの急速な普及と、高精細・高速化により、さらにデジタルカメラの写真画像出力用の媒体として、インク吸収性、銀塩方式の写真に匹敵する画質および光沢といった高度な特性が要求されている。
これに対応するために、例えば、特開平2−276670号公報、特開平3−215082号公報、特開平3−281383号公報、特開平6−199035号公報等に記載の如く、擬ベーマイトよりなるインク受容層が数十から数百nm程度の一定の範囲に微小細孔を有するように調節された記録媒体が提案されている。しかしながら、これらの記録媒体は上記諸特性をある程度満足するものの、擬ベーマイト粒子は製造コストが高く、またインク受容層塗液の調製が困難であるといった課題がある。
また、特許文献1には、気相法によって製造された1次粒子径10nm〜30nmの超微小粒子シリカよりなる2次凝集体を用いたインク受容層を設けたインクジェット記録媒体が提案されており、特許文献2にも平均1次粒子径が10nm以下のシリカ微粒子を用いたインク受容層が提案されている如く、数十nm以下の微小な顔料粒子によって構成されるインク受容層を記録面に設けることにより、優れたインク吸収性と優れた画質を具えたインクジェット記録媒体を得ることが出来る。しかしながら、写真画像出力用に適した光沢を有するインク受容層を形成するための、空隙を持った微細顔料の塗工層は乾燥させる過程でひび割れを生じ易く、インク受容層の外観、印字画質が損なわれるという欠点を有していた。
ひび割れを解決するために、例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5等に記載の如く、インク受容層塗液の材料・物性の設定によって塗工乾燥の過程における塗液層の流動性を制御する方法が提案され、さらに、特許文献6には、硼酸または硼素化合物が塗工された基材上にインク受容層を塗工することにより、ひび割れが無く高い空隙率を有するインク受容層が設けられたインクジェット記録媒体が提案されている。こうして製造されたインクジェット記録媒体は優れたインク吸収性と画質、光沢を有するものであるが、プリンタ通紙の際に用紙が折り曲げられるような力を受けると塗工層が割れやすく(以下、折り割れとも言う。)、このために用紙の外観が低下し、また、割れに沿ってインクの吸収が異常になり画質が損なわれるという問題があった。
特許文献7には、上記問題点が解消されたインクジェット記録媒体の製造方法が提案されている。すなわち、まず支持体上に微粒子および水溶性樹脂を含む下塗り層塗液を塗工して下塗り層を形成し、その下塗り層上に、ホウ砂を1.4質量%以下の濃度で含む架橋剤含有塗液を塗工し、塗工した架橋剤含有塗液が乾燥しないうちに、その上に、微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層塗液を塗工してインク受容層を形成するインクジェット記録媒体の製造方法である。
この方法によれば、また、架橋剤含有塗液中のホウ砂によって下塗り層およびインク吸収層の水溶性樹脂を架橋して皮膜強度を高くでき、結果的に下塗り層およびインク受容層を厚くでき、インク保持量を多くできるため画質を高くできるのみならず、下塗り層によって支持体表面の凹凸を小さくすることができるため、その上に形成されたインク受容層表面の平滑性を高めてインクジェット記録媒体の光沢を高くすることができる。しかも、微粒子を含む下塗り層によりさらにインク吸収性を高めることができるインクジェット記録媒体の製造方法を提供する。
しかしながら、特許文献7に記載の製造方法で製造されたインクジェット記録媒体は、光沢、画質、インク吸収性に優れるものの、下塗り層を形成する工程、架橋剤含有塗液を塗工する工程、インク受容層を形成する工程の少なくとも3工程を有しているため、工程数が多く生産性が劣っていた。
特公平3−56552号公報 特開平7−276789号公報 特許3186878号公報 特開平9−109545号公報 特開2004−188767号公報 特開2001−246832号公報 特開2004−74576号公報
本発明者等は、このような現状を鑑み、鋭意研究を行った結果、下塗り層が架橋剤により架橋されて硬くなることでインクジェット記録媒体が折り割れしやすくなること、下塗り層形成用塗料中のバインダを選定することで下塗り層形成用塗料中にインク受容層を架橋せしめる架橋剤を含有可能であること、これにより、工程数を省略化することで生産性が優れること、さらに下塗り層の層中水分を制御することでインクジェット記録媒体の表面強度が向上することを見出し、支持体上に、微粒子、バインダおよび該バインダを架橋させない架橋剤を含有する下塗り層形成用塗料を塗工し、乾燥して下塗り層を形成する第1の工程と、前記下塗り層の水分が10%以上のうちに、微粒子と前記架橋剤により架橋が可能な水溶性樹脂とを含有するインク受容層形成用塗料を塗工してインク受容層を形成する第2の工程を施す(所謂WET ON WET)ことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法(特願2005−193534)を先に提案した。
しかしながら、水を主体とするインク溶媒が支持体層まで到達すると、支持体がパルプを主成分とする紙である場合には、インク溶媒によって紙支持体が膨潤することによりコックリングと呼ばれる波打ちを生じ、印字物の外観が低下するという問題も生じることが判明した。高い光沢性を有するインクジェット記録媒体を得る方法として、最表の層に少なくとも光沢発現性を有する塗工層塗料を付着させ、その塗液が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得る、所謂キャスト塗工を用いた製造方法と組み合わせる場合には紙基材の使用が有用であり、コックリングの問題は解決すべき重要な課題である。一方、非紙基材のうち、非透湿性の支持体を使用する場合、成膜性高分子材料を主成分とする下塗り層を設けなくとも、印字の際にインクの溶媒が原紙層を膨潤させることによるコックリングは発生しない。しかしながら、非透湿性樹脂層上に直接インク受容層を設ける場合には、ひび割れと折り割れの発生を効果的に防止するためにはインク受容層中の接着剤の架橋を均一且つ適度に調節する必要がある。
本発明は、光沢、画質、インク吸収性、表面強度のいずれもが優れている上に、ひび割れ、折り割れが防止され、かつコックリングの発生が抑えられたインクジェット記録媒体の製造方法であり、なおかつ工程数が省略化されて生産性に優れるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等が、光沢、画質、インク吸収性、表面強度のいずれもが優れている上に、ひび割れ、折り割れが防止され、インクジェット記録媒体の製造方法であり、なおかつ工程数が省略化されて生産性に優れるインクジェット記録媒体の製造方法について、さらに印字物の外観を損ねるコックリングの問題を解決すべく鋭意検討の結果、以下の[1]〜[7]のインクジェット記録媒体の製造方法を発明した。
[1]支持体上に、成膜性を有する高分子材料(ポリビニルアルコール樹脂を除く)を主成分とする下塗り層と、平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料を主成分とし、ポリビニルアルコール樹脂を含有する水性インク受容性を有する上塗り層を順次設けてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、支持体上に、成膜性の高分子材料と、ポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有する下塗り層形成用塗料を塗工する工程、及び、該下塗り層が湿潤状態であるうちに、上塗り層形成用塗料を塗工する工程を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
[2]支持体上に、成膜性を有する高分子材料(ポリビニルアルコール樹脂を除く)を主成分とする下塗り層と、平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料を主成分とし、ポリビニルアルコール樹脂を含有する水性インク受容性を有する上塗り層を順次設けてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、支持体上に、成膜性の高分子材料と、ポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有する下塗り層形成用塗料を塗工する工程、及び、該下塗り層の水分が10%以上の状態において、上塗り層形成用塗料を塗工する工程を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
[3]前記架橋性を有する材料が、ホウ酸及び/またはホウ酸塩である[1]又は[2]記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
[4]下塗り層形成用塗料の粘度が50mPa・s以上である[1]〜[3]の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
[5]下塗り層の成膜性を有する高分子材料が、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス、メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、アラビアガム類、でんぷん糊、酸化でんぷん、ゼラチンおよび卵アルブミンにから選ばれる少なくとも1種以上の天然または合成の水溶性または水分散性高分子である[1]〜[4]の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
[6]前記無機微粒子顔料が、1次粒子径が5乃至20nmであり、且つ平均粒子径が700nm以下である2次凝集体シリカ微粒子である[1]〜[5]の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
[7]下塗り層を塗工する工程と上塗り層を塗工する工程が、塗工された支持体を巻き取られることなく行われる[1]〜[6]の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法によれば、光沢、画質、インク吸収性、表面強度のいずれもが優れている上に、ひび割れ、折り割れが防止され、かつコックリングの発生が抑えられたインクジェット記録媒体の製造方法であり、なおかつ工程数が省略化されて生産性にも優れている。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法では、まず、支持体上に下塗り層形成用塗料を塗工する。次いで、下塗り層の層中水分が10%以下に乾燥する前にインク受容層である上塗り層を塗工する。ここで、インク受容層である上塗り層はポリビニルアルコール樹脂を接着剤とし、平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料とを主成分とする。
一方、下塗り層形成用塗料はインク受容層中の接着剤であるポリビニルアルコールに対して架橋性を有する材料と、成膜性の水溶性または水分散性の高分子化合物とを含有する。
「支持体」
支持体としては、紙基材、非紙基材のいずれでも使用できる。紙基材を用いた場合には、第1の工程がより容易となり、均一に塗工することができるので好ましい。
[紙基材]
紙基材としては、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、あるいは中性紙等が使用できる。上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、難燃紙、蒸着紙、バライタ紙、印画紙原紙なども使用できる。紙基材を構成するパルプとしては、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプから選ばれる木材パルプのほか、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプ、合成パルプなどが挙げられる。また、木材パルプとして、塩素、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸等各種漂白法を組み合わせて漂白したパルプを使用すると、高白色度を得るために好ましい。中でも、ECF漂白やTCF漂白等された塩素フリーパルプは、記録媒体を長期間保存しても黄変を起こし難いので好ましい。これらのパルプは、単独でも、二種以上を併用しても良い。
これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調製するために、叩解機により叩解度を調製できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、記録媒体に記録した場合にインク中の水分によって起こる記録媒体のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
抄紙装置としては特に限定するものではなく、公知の長網抄紙機、円筒抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤーフォーマー、傾斜ワイヤーフォーナーなど、ドライヤーとしては、ヤンキードライヤー、他筒式ドライヤーなどが各種公知の抄紙機が使用できる。カレンダー処理などの公知の処理も適宜実施される。
紙基材には、抄紙の際に、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗工・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調製できる。ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。紙基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度、好ましくは100〜350g/mである。坪量が小さすぎると、インクジェット記録を行った際に、カールやコックリングを生じ易くなり、また、不透明度が得られ難い傾向がある。また、大きすぎると、光沢性が劣る傾向にある。
なお、紙基材の透気性は、好ましくは、王研式透気度が10〜1000秒/100cc程度、より好ましくは10〜500秒/100cc程度、特に好ましくは10〜200秒/100ccである。因みに、透気度が高くなると、光沢性が劣る傾向にある。これは、最表層に光沢層を設ける際、光沢層を鏡面ドラムに圧接して乾燥する場合、塗液の水分は紙基材を通して裏面から蒸発されるが、透気度が高くなると乾燥が不十分になり易く、必要以上に加熱されることになり、結果的に表面が劣るためと考えられる。更に透気度が高くなるとキャスト仕上げの操業性が劣る。
一方、10秒/100ccに満たないような低透気度の紙基材の場合もまた、光沢性が低下する傾向にある。これは、インク受容層を形成する際に、塗液中の接着剤の多くが紙基材に浸透してしまい、インク受容層中の接着剤量が減ってしまい、この結果、光沢性が劣る傾向になると考えられる。
[非紙基材]
非紙基材としては、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、ポリオレフィン樹脂被覆紙、金属フォイル、合成紙、不織布などのシート類が例示されるが、好ましい写真調のインクジェット記録媒体にするためには、合成紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましく用いられる。とりわけ、酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂被覆紙、所謂RC紙からなる支持体は、仕上がった用紙外観が写真印画紙に類似するため特に好ましく用いられる。また、ゼラチンが塗工された支持体も好ましい。
ポリエチレン樹脂被覆紙を使用する場合には、好ましいポリエチレン樹脂層の厚みは3〜50μmであり、5〜30μmの範囲であることがより好ましい。ポリエチレン樹脂層の厚みが3μm未満の場合、樹脂被覆時にポリエチレン樹脂層に穴あき等の欠陥が発生し易くなる。また、厚みの調節も困難になる場合が多く、平滑性も得難くなる傾向がある。一方、50μmを超えると材料コストが増加するにもかかわらず得られる効果は小さいため好ましくない。非紙基材のうち、上記のような非紙基材を使用する場合、成膜性高分子材料を主成分とする下塗り層を設けなくとも、印字の際にインクの溶媒が原紙層を膨潤させることによるコックリングは発生しない。しかしながら、本発明の成膜性高分子材料を主成分とする下塗り層を設けることによって、ポリエチレン樹脂層上に直接インク受容層を設けた場合に比べて、ひび割れと折り割れの発生はより効果的に防止することができる。
「下塗り層」
[高分子材料]
下塗り層の主成分である成膜性の高分子材料としては、ポリニビルアルコール樹脂を除く成膜性高分子材料が使用でき、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニルラテックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体ラテックス、水溶性ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸塩(共)重合体、メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ、アラビアガム類、でんぷん糊、酸化でんぷん、グアガム、カラギーナン、マンナン、アルギン酸ナトリウム、キトサン、プルーラン、エステル化でんぷん、エーテル化でんぷん、ゼラチン、卵アルブミン、カゼインに例示される天然または合成の水溶性または水分散性高分子が挙げられる。またこれらより選ばれる1種以上を併用することも出来る。
上記例示のうち、ポリビニルアルコール樹脂に対する架橋剤によって架橋され難く、塗料の安定性及び最終的なインクジェット記録媒体の折り割れを防止する観点から、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックスなどの水分散性高分子はとりわけ好ましく用いられる。さらに該水分散性高分子のガラス転移温度は−50〜50℃であることが好ましく、−30〜30℃であることがより好ましい。
[架橋剤]
下塗り層形成用塗液に含まれる架橋剤としては、上塗り層であるインク受容層形成用塗料に接着剤として含有されるポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料が選ばれる。この様な架橋剤としては、必ずしも以下に限定するものではないが、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、チタネート化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等が挙げられる。これら架橋剤の中でも、上塗り層であるインク受容層の接着剤としてポリビニルアルコールと組み合わせた場合、増粘またはゲル化の進行が速いことから、ホウ素化合物が好ましく、ホウ酸および/またはホウ酸塩がより好ましく用いられる。
ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸等が挙げられる。またホウ酸塩としては、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが好ましい。
四ホウ酸二ナトリウム(組成:Na)は、ホウ砂(ナトリウムの含水ホウ酸塩鉱物、組成:Na・10HO)として使用される。また、これらの架橋剤は、上塗り層であるインク受容層に対するひび割れ防止、折り割れ防止の効果、その他の性能に応じて二種以上を併用することもできる。
下塗り層形成用塗液中の架橋剤濃度は、架橋剤の塗工量が固形分換算で0.1g/m以上になるように調製することが好ましい。架橋剤の塗工量が固形分換算で0.1g/m以上であれば、架橋剤により上塗り層のポリビニルアルコール樹脂を充分に架橋させることができる。
[その他の材料]
インクジェット記録媒体の白色度を高めるため、下塗り層形成用塗液中に蛍光染料を添加することができる。また、色相を調製する目的で有色顔料を添加してもよい。また、下塗り層の機能を損なわない範囲で、各種分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、離型剤、帯電防止剤、防腐剤、顔料等の各種助剤を含有することもできる。
[塗工方法]
支持体への下塗り層形成用塗液の塗工方法としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター等が挙げられる。
下塗り層形成用塗液の塗工量は、特に限定をするものではないが、架橋剤の塗工量が固形分換算で0.1g/m以上、且つ3.0g/m以下に調節されることが好ましい。架橋剤の塗工量が0.1g/m以上であれば、インク受容層のひび割れ発生を抑えることができ、皮膜強度および耐水性を確保できる。また、架橋剤の塗工量が3.0g/m以下であれば、インク受容層中のポリビニルアルコール樹脂を過度に架橋させることなく、インクジェット記録媒体の折り割れを防止できる。
さらに、下塗り層の成膜性高分子材料は、固形分換算で1.0〜30g/mの範囲の塗工量であることが好ましく、より好ましくは2.0〜20g/mに調節される。3.0〜10g/mの範囲が最も好ましい。1.0g/m以下では、コックリング抑制や塗膜強度が不足し、30g/m以上では効果が飽和する。
下塗り層は使用する塗工方法に適した流動性に調節されることによって均一に塗工することができ、上塗り層であるインク受容層の架橋を均一に行うことができ、インクの吸収が均一な上塗り層を形成することができる。下塗り層形成用塗液の粘度は好ましくは50mPa・s以上、3000mPa・s以下に調節される。
[下塗り層の乾燥方法、水分調節方法]
インク受容層である上塗り層が塗工される時点での下塗り層の水分は、10%以上に調節することが好ましい。下塗り層の層中水分が10%以上であれば、インク受容層はひび割れを生じることなく設けることができ、なおかつ充分な表面強度を有するインクジェット記録媒体とすることができる。さらに好ましくは、下塗り層の水分が30%以上の状態でインク受容層が塗工される様に調節され、50%以上であればより一層好ましい。
層中水分の測定は、特に限定するものではなく、公知の測定方法を採用するとよい。例えば、赤外線水分計KJT−100((株)ケット科学研究所製)を使用し測定することができる。この水分計の場合、測定面の反対側にペーパーロール等が接していると、その影響で測定値に誤差が生じることがあるので、測定面の反対側に他の部材が接していない箇所で測定を実施するとよい。赤外線水分計では、近赤外線域にある水の吸収波長(具体的には1.2μm、1.45μm、1.94μm)の光を塗被層に照射すると、層の水分量に応じて光が吸収されるので、これを利用し、その減衰量から水分量を測定するものである。厳密には、吸収波長のみの計測では、層の表面状態や色等の影響を受け、安定した測定が難しいため、水の影響を受けにくい近赤外線(参照波長)を別に設定し、吸収波長と参照波長の光を交互に照射し、反射してくる両波長光のエネルギーの比から、水分量を算出するとよい。
下塗り層を乾燥する方法は特に限定されるものではなく、熱風、冷風による乾燥、赤外線照射、マイクロ波照射など公知の方法等を適宜用い、上塗りを行う時点での下塗り層中の水分を調節することができる。下塗り層を塗工した支持体を巻き取られることなく、上塗り層を形成する方法が最も好ましい。
「上塗り層(インク受容層)」
上記の如く、支持体上に塗工され、水分を調節された下塗り層上に、平均粒子径700nm以下の無機微粒子とポリビニルアルコール樹脂とを含有するインク受容層塗液を上塗り層塗液として塗工してインク受容層を形成する。
[無機微粒子]
インク受容層形成用塗液に含まれる無機微粒子としては、平均粒子径700nm以下の無機微粒子顔料を用いることができるが、得られるインクジェット記録媒体の光沢、インク吸収性のバランスが取り易いことから、好ましくは、乾式法・湿式法による非晶質シリカ、アルミノシリケート、アルミナ、アルミナ水和物より選ばれた1種以上が用いられる。得られる記録媒体が優れた光沢性を有するために、インク受容層形成用塗料に含まれる無機微粒子は平均2次粒子径が700nm以下のものが選択される。
[ポリビニルアルコール樹脂]
インク受容層形成用塗料には主成分として、上記無機微粒子とともにポリビニルアルコール樹脂が含有される。該ポリビニルアルコール樹脂は、前記下塗り層に含有される架橋剤により架橋される水溶性樹脂であり、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコール樹脂、不完全鹸化ポリビニルアルコール樹脂、低鹸化ポリビニルアルコール樹脂に加え、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂、シリル変性ポリビニルアルコール樹脂、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシ変性ポリビニルアルコール樹脂などの変性ポリビニルアルコール樹脂類から一種以上を適宜選択使用できる。
インク受容層に用いられるポリビニルアルコール樹脂の重合度としては3000〜5000であることが好ましい。重合度が3000未満では、得られるインク受容層の耐水性が不充分になる傾向にあり、5000を超えるものは、溶液あるいは塗料に対してせん断力が加えられると樹脂分子の結晶化が引き起こされ易くなり、取り扱い性低下の懸念があり、また実用上も入手が困難である。
インク受容層中に使用されるポリビニルアルコール樹脂の配合比は、無機微粒子100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部の範囲で適宜調節される。インク受容層中のポリビニルアルコール樹脂と下塗り層中の架橋剤との比率としては、質量比として好ましくは、20:1〜1:20であり、10:1〜1:10がより好ましい。質量比をこの範囲に調節することにより、ひび割れ及び折れ割れを防止するとともに、インク吸収性及び画質・光沢により優れ、経時による印字のニジミも改善されたインクジェット記録用シートが得られる。
[その他の成分]
インク受容層形成用塗料には、本発明の目的が達成される範囲内において、水分散性高分子材料が含まれていてもよい。該水分散性高分子材料としては例えば、前記、下塗り層に使用される水分散性高分子材料として例示されたものから適宜選択することができる。
また、インク受容層形成用塗料は、カチオン性化合物を含有することができる。該カチオン性化合物としては、例えば、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第2級又は第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体や、これらのアクリルアミドとの共重合体、ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウム・二酸化イオウ重縮合体、ジアリルアミン塩・二酸化イオウ重縮合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アリルアミン共重合体、アリルアミン共重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級アンモニウム塩共重合体、5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド重合体等を挙げることができる。カチオン性化合物の含有量としては、微粒子100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、3〜20質量部であることがより好ましい。
また、インク受容層形成用塗料には、必要により界面活性剤を含有することができる。該界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれかもしくは二種以上を組み合わせて使用することができる。上記界面活性剤のうち、ノニオン性界面活性剤は塗液に含有される場合の安定性から好ましく用いられる。特に、アセチレングリコール系、アルキルエーテル系界面活性剤はインクジェットプリンターのインクとの親和性が高いため、好ましく用いられる。さらに必要に応じて、インク受容層形成用塗料には、各種分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、離型剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、有色顔料等の各種助剤を含有することもできる。
上記の如く、インク受容層形成用塗料は、下塗り層中の水分が調節された状態で、該下塗り層上に塗工され、インク受容層である上塗り層が塗工される時点での下塗り層中の水分は10%以上であることが望ましい。インク受容層形成用塗料の塗工性の観点から、インク受容層形成用塗料の粘度は、該上塗り層が塗工される時点の下塗り層の粘度よりも低いことが望ましい。インク受容層形成用塗料の好ましい粘度としては1000mPa・sを超えないことが好ましい。
[塗工方法、乾燥方法]
インク受容層形成用塗料を下塗り層上に塗工および乾燥する方法としては、前記、下塗り層形成用塗料の塗工方法および乾燥方法と同様のものを適用することができる。さらに、塗工されたインク受容層形成用塗料が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得る、所謂キャスト塗工を用いて光沢性に優れた記録媒体とすることもできる。インク受容層形成用塗料の塗工量は、支持体が紙基材の場合には、乾燥後の塗工量としてインク受容層の塗工量は3〜25g/mの範囲であることが好ましく、非紙基材の場合には10〜40g/mであることが好ましい。塗工量が該下限値以上であれば、充分なインク吸収性および画質を確保することができ、該上限値以下であれば、インク受容層のひび割れの防止が可能である。即ち、塗工量が上記の範囲内であれば、銀塩写真に匹敵する画質と光沢とを有するインクジェット記録用シートを得ることができる。
[光沢層]
本発明の製造方法は、さらに光沢を高めるためにインク受容層上に光沢層を形成する方法と組み合わせて実施することもできる。高印字濃度、高光沢を得るために好ましい光沢層の構成としては、微粒子を含有する光沢層が用いられる。該微粒子としてはコロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナが優れた光沢が得られるため好ましく用いられるが、必ずしもこれらに限定するものではない。これらの微粒子は単粒子の分散体であっても凝集粒子の分散体であってもよいが、より高印字濃度、高光沢を得るために単粒子あるいは凝集粒子として粒子径の小さいものが好ましく用いられる。具体的には、平均1次粒子径は3〜100nm、凝集粒子の場合平均(2次)粒子径が700nm以下の粒子から選択することが好ましい。
光沢層は、光沢発現を主目的とするため、必ずしもインク定着機能を具備する必要はないが、カチオン性の材料を使用することによりインク定着性を高めることもできる。該カチオン性微粒子としては、カチオン変性されたコロイダルシリカや気相法シリカ、またはアルミナ等が好ましい。アルミナとしては気相法(フュームド)アルミナが好ましく用いられる。
光沢層は、インク吸収性を阻害しない限り、上記水溶性樹脂を適宜含有してもよく、必要に応じて、前述のカチオン性化合物を含有することもできる。
光沢層の形成方法としては、例えば、インク受容層上に微粒子と溶媒とを含有する光沢層形成用塗液を塗工し、その塗工した塗液が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して得る、所謂キャスト法を適用することができる。この場合、該鏡面ドラムからの剥離を調節するために光沢層塗液中に離型剤その他の助剤を適宜添加することができる。実施されるキャスト法において離型剤の好ましい添加量は微粒子100質量部に対して0.5〜10質量部である。なお、支持体が非透気性乃至低透気性の支持体の場合、光沢層形成用塗液を塗工後すぐ、或いは塗工しながら鏡面ドラムに押し当て(例えば、国際公開第03/039881号パンフレットに示されるようにニップする)、後工程の乾燥装置で乾燥する方法を用いることができる。
光沢層塗液の塗工量は、乾燥後の好ましい塗工量としては0.1〜10g/m、より好ましくは0.2〜5g/m範囲に調節される。塗工量が少なすぎると、塗膜が薄くなり光による干渉縞が生じやすく、一方、塗工量が多すぎると、インク吸収速度が低下し、透明性が低下するおそれがある。さらに好ましい塗工量としては0.5〜2g/mの範囲である。
[その他の塗工層]
本発明の製造方法は、カールや搬送性などを改良する目的で裏面層を設けた記録媒体への適用も可能である。また、写真印画紙調の風合いを得るために裏面にポリエチレン樹脂層を設けることもできる。更に、支持体の裏面には、インクジェット記録、感熱記録、熱転写記録、磁気記録などの記録適性を付与する公知の記録層、あるいは粘着剤、接着剤などの接着剤層を形成することもできる。また、別のシートと貼り合せて機能を付与することも可能である。
以上、説明した本発明のインクジェット記録媒体の製造方法では、支持体上に成膜性高分子材料を主成分とする下塗り層形成用塗料を塗工して成膜した高分子材料層を形成するため、インク溶媒が紙基材に浸透してこれを膨潤させるのを防止することによりコックリングを抑制するとともに、ポリビニルアルコール樹脂に対する架橋剤により、上塗り層であるインク受容層中のポリビニルアルコール樹脂接着剤を架橋させて塗工層のひび割れを防止する。また、高分子材料の選択により、容易に適度な流動性に調節することができるため、インク受容層を設ける下層に均一に架橋剤が適用することが可能になる。
上塗り層の硬化の進み方は下塗り層の成膜性高分子材料層によって調節される、すなわち、架橋剤の含まれた下塗り層上にインク受容層形成用塗液を塗工する条件として、塗工された下塗り層中の水分を調節することにより、架橋剤が上塗り層中のポリビニルアルコール樹脂を硬化させる作用を調節するのみならず、下塗り層形成用塗液中の成膜性高分子材料は該架橋剤によって架橋、硬化されることが無いため、より効果的にインクジェット記録媒体の折り割れを防止、表面強度を向上することが出来るものである。
すなわち、上記インクジェット記録媒体の製造方法によれば、光沢、画質、インク吸収性のいずれもが優れている上に、折り割れが防止され、かつ表面強度の優れたインクジェット記録媒体を製造できる。
しかも、この製造方法では支持体上に塗工する下塗り層形成用塗液に架橋剤が含まれ、かつ、下塗り層が湿潤状態である上にインク受容層形成用塗液を塗工するため、簡略化された工程によりインクジェット記録媒体を製造する方法を提供する。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。
(支持体A)
CSFが450mlまで叩解した、Ze−E−P−Dの4段シーケンスで製造した塩素フリーの広葉樹クラフトパルプを用い、0.5%の濃度のパルプスラリーを調製した。乾燥パルプ100部に対して、焼成カオリン7部、合成サイズ剤0.04部、硫酸バンド0.45部、カチオン化でんぷん(商品名:エースK,王子コーンスターチ(株)製)1.00部、歩留向上剤0.5部添加、混合し、長網抄紙機にて抄紙を行い、得られた湿紙をドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダー処理を施し、坪量127g/m、灰分5%の紙支持体Aを得た。上記サイズプレス工程にはカルボキシル変性ポリビニルアルコールとデンプン(商品名:エースA,王子コーンスターチ(株)製)を4:1で混合溶解させたもの6.5%、外添サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SPK−287,荒川化学工業(株)製)0.5%を含むサイズプレス液を使用した。マシンカレンダの線圧は100kg/cmであった。
(支持体B)
CSFが450mlまで叩解した、Ze−E−P−Dの4段シーケンスで製造した塩素フリーの広葉樹クラフトパルプを用い、0.5%の濃度のパルプスラリーを調製した。乾燥パルプ100部に対して、タルク22部、合成サイズ剤0.04部、硫酸バンド0.45部、カチオン化でんぷん(商品名:エースK,王子コーンスターチ(株)製)1.00部、歩留向上剤0.8部添加、混合し、長網抄紙機にて抄紙を行い、得られた湿紙をドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダ処理を施し、坪量143g/m、灰分15%の紙支持体Bを得た。
上記サイズプレス工程にはカルボキシル変性ポリビニルアルコールとデンプン(商品名:エースA,王子コーンスターチ(株)製)を4:1で混合溶解させたもの6.5%、外添サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SPK−287,荒川化学工業(株)製)0.5%を含むサイズプレス液を使用した。マシンカレンダの線圧は100kg/cmであった。
(支持体C)
カオリンクレー(商品名:UW−90,エンゲルハード社製)100部を、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(商品名:アロンT−40,東亞合成(株)製)0.2部を溶解した水溶液に加え、ディスパーザ型分散機を用いて50%のスラリーを調製した。これに不揮発分50%のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000,JSR(株)製)を15部、溶解した酸化でんぷん(商品名:エースA,王子コーンスターチ(株)製)3部を添加し、水を加えて45%の塗料を調製した。この塗料を、ブレードコーターを用いて上記、支持体Aの両面に、片面あたりの塗工量が15g/mとなるように塗工し、スーパーカレンダ処理を行って、密度1.02g/cm、坪量157g/mの塗工紙支持体Cを得た。透気度(王研式、J.TAPPI No.5)は3000秒であった。
(支持体D)
上記支持体Aの両面にコロナ放電処理を施した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記ポリオレフィン樹脂組成物1を、支持体Aのフェルト面側に、塗工量38g/mとなるようにT型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)により塗工した。また、下記ポリオレフィン樹脂組成物2を、支持体Aのワイヤー側に、塗工量20g/mとなるように上記溶融押出し機で塗工した。その後、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆した支持体Dを得た。
[ポリオレフィン樹脂組成物1]
直鎖型低密度ポリエチレン(密度0.926g/cm,メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン(密度0.919g/cm,メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220,石原産業社製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010,チバスペシャルティケミカルズ社製)0.03部、群青(商品名:青口群青NO.2000,第一化成社製)0.09部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB,チバスペシャルティケミカルズ社製)0.3部を混合して、ポリオレフィン樹脂組成物1を得た。
[ポリオレフィン樹脂組成物2]
高密度ポリエチレン(密度0.954g/cm,メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン(密度0.919g/cm,メルトインデックス2g/10分)35部を溶融混合して、ポリオレフィン樹脂組成物2を得た。
(シリカゾルAの調製)
平均1次粒子径12nm、平均2次粒子径約300nmの微細シリカコロイド液(商品名:サイロジェット703A,グレース・デヴィソン社製)100部にポリアリルアミンクロリド(商品名:PAA−HCl−3L,日東紡(株)製)10部を添加し、シリカの凝集によって増粘したシリカコロイド液を、ナノマイザ型粉砕分散機(商品名:ナノマイザ,ナノマイザ社製)を用いて粉砕・分散を行い、固形分濃度12%、平均2次粒子径300nmのカチオン性シリカゾルAを得た。
(シリカゾルBの調製)
BET比表面積200m/gの気相法シリカ(商品名:アエロジル200,デグサ社製)100部をサンドミル中で水分散粉砕した後ナノマイザ型粉砕分散機を用いて更に粉砕分散し、分級して平均2次粒子径約100nmの微細シリカコロイド液を調製した。この微細シリカコロイド液にポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(商品名:ユニセンスCP−101,センカ(株)製)10部を添加し、シリカの凝集によって増粘したシリカコロイド液を、ナノマイザ型粉砕分散機を用いて粉砕・分散を行い、固形分濃度10%、平均2次粒子径300nmのカチオン性シリカゾルBを得た。
(シリカゾルCの調製)
BET比表面積300m/gの気相法シリカ(商品名:Cabosil H−5,キャボット社製)100部をサンドミル中で水分散粉砕した後ナノマイザ型粉砕分散機を用いて更に粉砕分散し、分級して平均2次粒子径約80nmの微細シリカコロイド液を調製した。この微細シリカコロイド液にポリアリルアミンクロリド(商品名:PAA−HCl−3L,日東紡(株)製)10部を添加し、シリカの凝集によって増粘したシリカコロイド液を、ナノマイザ型粉砕分散機を用いて粉砕・分散を行い、固形分濃度10%、平均2次粒子径300nmのカチオン性シリカゾルCを得た。
(シリカゾルDの調製)
BET比表面積300m/gの気相法シリカ(商品名:アエロジル300,デグサ社製)100部をサンドミル中で水分散粉砕した後ナノマイザ型粉砕分散機を用いて更に粉砕分散し、分級して平均2次粒子径約80nmの微細シリカコロイド液を調製した。この微細シリカコロイド液にポリアリルアミンクロリド(商品名:PAA−HCl−3L,日東紡(株)製)10部を添加し、シリカの凝集によって増粘したシリカコロイド液を、ナノマイザ型粉砕分散機を用いて粉砕・分散を行い、固形分濃度10%、平均2次粒子径300nmのカチオン性シリカゾルDを得た。
(シリカゾルEの調製)
平均1次粒子径10nm、BET比表面積300m/gの気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30)100部をサンドミル中で水分散粉砕した後、ナノマイザ型粉砕分散機を用いて更に粉砕分散し、分級して平均2次粒子径約80nmの微細シリカコロイド液を調製した。この微細シリカコロイド液にジアリルアミンクロリド・アクリロアミド共重合体(商品名:PAS−J81,日東紡(株)製)10部を添加し、シリカの凝集によって増粘したシリカコロイド液を、ナノマイザ型粉砕分散機を用いて粉砕・分散を行い、固形分濃度10%、平均2次粒子径300nmのカチオン性シリカゾルEを得た。
(シリカゾルFの調製)
平均1次粒子径12nm、平均2次粒子径約1000nmの微細シリカコロイド液(商品名:サイロジェット710A,グレース・デヴィソン社製)100部にポリアリルアミンクロリド(商品名:PAA−HCl−3L,日東紡(株)製)10部を添加し、シリカの凝集によって増粘したシリカコロイド液を、ナノマイザ型粉砕分散機(商品名:ナノマイザ,ナノマイザ社製)を用いて粉砕・分散を行い、固形分濃度15%、平均2次粒子径1000nmのカチオン性シリカゾルFを得た。
「水分の測定」
記録層の水分の測定は、赤外線水分計KJT−100((株)ケット科学研究所製)を用いて行った。
実施例1
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体A上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が2.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000,JSR(株)製)100部、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物15部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度40%、塗料粘度140mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体A上に塗工した下塗り層上に、下記インク受容層塗液を、ダイコーターを用いて乾燥後の塗工量が18g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体A上に塗工された下塗り層の層中水分が約54%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルAに、水溶液とした平均重合度3500、鹸化度99%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−135H,クラレ(株)製)20部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
実施例2
実施例1の下塗り層塗液の調製において、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物の代わりにホウ砂を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
実施例3
実施例1の下塗り層塗液の調製において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)100部の代りに不揮発分40%のアクリル酸エステル共重合体ラテックス(商品名:JK−7000,明成化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
実施例4
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体B上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が5.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
アクリル酸エステル共重合体ラテックス(商品名:JK−7000)80部、エーテル化でんぷん(商品名:バイオスターチH、日澱化学(株)製))20部の水溶液、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物20部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度20%料粘度60mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体B上に塗工した下塗り層上に、下記インク受容層塗液を、ダイコーターを用いて乾燥後の塗工量が18g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体B上に塗工された下塗り層の層中水分が約40%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルBに、水溶液とした平均重合度2400、鹸化度98%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−124、クラレ(株)製)25部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
実施例5
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体B上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が4.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
アクリル酸エステル共重合体ラテックス(商品名:JK−7000)60部、鶏卵卵白40部の水溶液、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物20部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度20%、塗料粘度60mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体B上に塗工した下塗り層上に、下記インク受容層塗液を、乾燥後の塗工量が15g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、塗工表面が湿潤状態のまま表面温度が100℃の鏡面ドラムに圧接して光沢面質のインク受容層を形成しインクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体B上に塗工された下塗り層の層中水分が約25%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
カチオン性シリカゾル(商品名:Aerodisp WK341,デグサ社製)に、水溶液とした平均重合度2400、鹸化度95%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−624,クラレ(株)製)22部、離型剤としてカチオン性パラフィンワックス(商品名:ダイジット MP,互応化学(株)製)3部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
実施例6
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体B上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が4.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)60部、溶解した酸化でんぷん(商品名:エースA,王子コーンスターチ(株)製)40部の水溶液、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物20部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度20%、塗料粘度60mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体B上に塗工した下塗り層上に、下記インク受容層塗液を、ダイコーターを用いて乾燥後の塗工量が18g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を形成した。インク受容層の塗工は、支持体B上に塗工された下塗り層の層中水分が約54%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルCに、水溶液とした平均重合度2600、鹸化度98%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:ゴーセノールAH−26、日本合成化学(株)製)20部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
(光沢付与層の形成)
前記支持体B上に下塗り層及びインク受容層が形成された上に、下記光沢付与層塗液Gをメイヤーバーを用いて塗工し、塗工表面が湿潤状態にあるうちに、塗工面を表面温度100℃としたクロム鍍金仕上げの鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接して光沢層を形成、乾燥してインクジェット記録媒体を得た。光沢層の厚みは0.5μmであった。
(光沢付与層塗液Gの調製)
粒子径45nmの球状コロイダルシリカゾル(商品名:スノーテックスST−20L,日産化学工業(株)製)100部、オレイン酸アンモニウム系離型剤(商品名:DEF−116,日新化学社製)3部を混合し水を加えて固形分濃度3%の光沢付与層塗液Gを調製した。
実施例7
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体C上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が5.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
ウレタン樹脂ラテックス(商品名:HW−340,日新化成(株)製)90部、ヒドロキシプロピルセルローズ(商品名:メトローズ65SH−400,信越化学(株)製))10部の水溶液、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物20部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度20%、塗料粘度500mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体C上に塗工した下塗り層上に、下記インク受容層塗液を、ダイコーターを用いて乾燥後の塗工量が15g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体C上に塗工された下塗り層の層中水分が約55%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルDに、水溶液とした平均重合度3500、鹸化度99%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−135H,クラレ(株)製)25部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
実施例8
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体D上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が3.5g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)100部の水溶液、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物40部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度12%、塗料粘度800mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体D上に塗工した下塗り層上に、実施例7と同様にしてインク受容層を形成してインクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体D上に塗工された下塗り層の層中水分が約40%の状態で行った。
実施例9
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体A上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が5.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)100部、水溶性チタンラクテート(商品名:オルガチックスTC−310,松本製薬工業(株)製)20部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度10%、塗料粘度5mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体A上に塗工した下塗り層上に、下記インク受容層塗液を、ダイコーターを用いて乾燥後の塗工量が15g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体A上に塗工された下塗り層の層中水分が約50%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルEに、水溶液とした平均重合度6000、鹸化度99%のポリビニルアルコール樹脂23部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
実施例10
実施例9の下塗り層塗液の調製において、水溶性チタンラクテートの代わりに炭酸ジルコニルアンモニウム(商品名:AC−7,松本製薬工業(株)製)を用いた以外は、実施例9と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
実施例11
下記下塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。
「下塗り層塗液の調製)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)100部に、平均1次粒子径12nm、平均2次粒子径約300nmの微細シリカコロイド液(商品名:サイロジェット703A,グレース・デヴィソン社製)10部、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物20部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度40%、塗料粘度100mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
比較例1
下記下塗り層塗液を用い、乾燥後の塗工量が0.8g/mになるように塗工した以外は実施例4と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。
「下塗り層塗液の調製」
固形分濃度8.3%のホウ酸とホウ砂の1:1混合溶液。
比較例2
下記下塗り層塗液を用いた以外は実施例4と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。
「下塗り層塗液の調製」
平均1次粒子径12nm、平均2次粒子径約300nmの微細シリカコロイド液(商品名:サイロジェット703A グレース・デヴィソン社製)70部にスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)20部、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物15部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度20%、塗料粘度20mPa・sの下塗り層塗液を調製した。
比較例3
下記下塗り層塗液を用いた以外は実施例4と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。
「下塗り層塗液の調製」
カオリンクレー(商品名:UW−90,エンゲルハード社製)80部を、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(商品名:アロンT−40,東亞合成(株)製)0.1部を溶解した水溶液に加え、ディスパーザ型分散機を用いて50%のスラリーを調製した。これにスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)20部、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物15部を攪拌混合し、水を加えて固形分濃度40%、塗料粘度100mPa・sの下塗り層形成用塗液を調製した。
比較例4
下記下塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。
「下塗り層塗液の調製」
ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135H)の10%水溶液。
比較例5
実施例1において、インク受容層の塗工を支持体A上に塗工された下塗り層の層中水分が約4%の状態で行った以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
比較例6
(下塗り層塗液塗工工程)
支持体A上に、メイヤーバーを用い、下記下塗り層塗液を乾燥後の塗工量が5.0g/mとなるように塗工した。
「下塗り層塗液の調製」
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000)60部、溶解した酸化でんぷん(商品名:エースA)40部の水溶液を攪拌混合しに水を加えて固形分濃度20%、塗料粘度60mPa・sの下塗り層形成用塗液を調製した。
(インク受容層の形成)
前記支持体A上に塗工した下塗り層上に、このインク受容層塗液を、ダイコーターを用いて乾燥後の塗工量が18g/mとなるように塗工、乾燥し、塗工したインク受容層が減率乾燥を示す前に、下記架橋剤塗液をスプレーコーターを用いて乾燥後の塗工量が1.0g/mになるように塗工、乾燥し、インク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。なお、インク受容層の塗工は、支持体A上に塗工された下塗り層の層中水分が約50%の状態で行った。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルAに、水溶液とした平均重合度2400、鹸化度90%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−224,クラレ(株)製)20部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
「架橋剤塗液の調製」
固形分濃度8.3%のホウ酸とホウ砂の1:1混合溶液を得た。
比較例7
下記インク受容層(上塗り層)塗液を用いた以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。
「インク受容層(上塗り層)塗液の調製」
シリカゾルFに、水溶液とした平均重合度3500、鹸化度99%のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−135H,クラレ(株)製)20部を混合し、インク受容層塗液を調製した。
(評価方法)
上述した実施例および比較例におけるインクジェット記録媒体の表面光沢性、表面強度、コックリング、インク受容層のひび割れ、折り割れ、インク吸収性および印字濃度を以下のように評価した。その結果を表1に示す。
(表面光沢感)
作成したインクジェット記録媒体のインク受容層表面を目視により評価した。
◎:銀塩写真に匹敵する光沢感。
○:銀塩写真には及ばないが、コート紙以上の光沢感。
△:コート紙並みの光沢感。
×:光沢感が低い。
(表面強度)
インクジェット記録媒体の最表層(インク受容層又は光沢層)上にテープ(商品名:メンディングテープ、住友スリーエム社製)を貼りつけ、軽く指を押さえてから剥離する。
○:最表層が殆ど取れない。
△:最表層が多少取れるが、実用上問題ないレベル。
×:最表層がかなり取れて、実用上問題あるレベル。
(コックリング)
インクジェットプリンターPM−5000、エプソン社製)により、コンポジットブラックのベタ印字を行い、ベタ印字部のコックリングによる凹凸の程度を目視により評価した。
○:コックリングはまったく見られない。
△:ややコックリングが見られるが、実用上問題ない。
×:コックリングのため印字ヘッドが当って汚れが発生する。実用上問題あり。
(インク受容層のひび割れ)
インク受容層のひび割れの程度を目視により評価した。
○:ひび割れがまったく見られない。
△:若干ひび割れが発生するが、実用上問題ない。
×:ひび割れが発生し、実用上問題あり。
(折り割れ)
15℃、25%の恒温恒湿室に、記録体を24時間放置後、記録体を直径2cmの筒に巻き、そのときの塗膜ひび割れを観察し、下記の基準で評価した。
○:塗膜にひび割れがない。
△:塗膜にひび割れが少なく、実用上問題ないレベル。
×:塗膜にひび割れが多く、実用上問題あり。
(印字濃度)
インクジェットプリンターPM−G820(セイコーエプソン社製)により、黒ベタ印字を行い、黒ベタ印字部をグレタグマクベス反射濃度計(グレタグマクベス社製、RD−19I)を用いて測定した。表中に示した数字は5回測定の平均値である。なお、インクカートリッジとしては、セイコーエプソン社製ICBk32、ICC32、ICM32、ICY32、ICLC32およびICLM32を使用した。
(インク吸収性)
インクジェットプリンターPIXUS iP4100キヤノン社製)により、グリーンベタ印字を行い、ベタ印字部のインク吸収の程度を目視により評価した。インクカートリッジとしては、キヤノン社製BCI−7Bk、BCI−7C、BCI−7M、BCI−7YおよびBCI−3eBkを用いた。
○:ベタ印字部にムラが見られず、良好な状態。
△:ベタ印字部にムラが若干見られるが問題の無いレベル。
×:ベタ印字部にムラが多く見られる。
Figure 2008168493
支持体上に、成膜性の高分子材料を主成分とする下塗り層と、ポリビニルアルコール樹脂を接着剤とし、且つ平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料とを主成分として水性インク受容性を有する上塗り層を順次設けてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、下塗り層が、塗料中にポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有せしめて、支持体上に塗工される工程及び、該下塗り層上に上塗り層が逐次塗工される工程を特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法によって得られたインクジェット記録媒体は、ひび割れ、折り割れが防止され、かつ表面強度が優れていた。また支持体上に架橋剤水溶液を塗工した後に、インク受容層形成用塗液を塗工して得た比較例1及び、支持体上に顔料微粒子と接着剤よりなる下塗り層形成用塗料に架橋剤水溶液を含有せしめて塗工した比較例2、3に比較して光沢性、印字濃度(画質)、及びコックリングの改善効果を呈した。

Claims (7)

  1. 支持体上に、成膜性を有する高分子材料(ポリビニルアルコール樹脂を除く)を主成分とする下塗り層と、平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料を主成分とし、ポリビニルアルコール樹脂を含有する水性インク受容性を有する上塗り層を順次設けてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、支持体上に、成膜性の高分子材料と、ポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有する下塗り層形成用塗料を塗工する工程、及び、該下塗り層が湿潤状態であるうちに、上塗り層形成用塗料を塗工する工程を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 支持体上に、成膜性を有する高分子材料(ポリビニルアルコール樹脂を除く)を主成分とする下塗り層と、平均粒子径が700nm以下である無機微粒子顔料を主成分とし、ポリビニルアルコール樹脂を含有する水性インク受容性を有する上塗り層を順次設けてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、支持体上に、成膜性の高分子材料と、ポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有する下塗り層形成用塗料を塗工する工程、及び、該下塗り層の水分が10%以上の状態において、上塗り層形成用塗料を塗工する工程を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記架橋性を有する材料が、ホウ酸及び/またはホウ酸塩である請求項1又は2記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 下塗り層形成用塗料の粘度が50mPa・s以上である請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  5. 下塗り層の成膜性を有する高分子材料が、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス、メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、アラビアガム類、でんぷん糊、酸化でんぷん、ゼラチンおよび卵アルブミンにから選ばれる少なくとも1種以上の天然または合成の水溶性または水分散性高分子である請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  6. 前記無機微粒子顔料が、1次粒子径が5乃至20nmであり、平均粒子径が700nm以下である2次凝集体シリカ微粒子である請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  7. 下塗り層を塗工する工程と上塗り層を塗工する工程が、塗工された支持体を巻き取られることなく行われる請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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