JP6717708B2 - 昇華型インクジェット捺染転写紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、昇華型インクジェット捺染転写紙及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本開示は、印刷画像を布帛に転写する昇華型捺染転写法において、インクジェット記録方式によって昇華型捺染インクを用いて印刷する際に使用する昇華型インクジェット捺染転写紙、及びその製造方法に関する。
転写捺染法には、ワックス、樹脂等の熱軟化性固着剤と顔料とからなるインクを用いた溶融型転写捺染法、ポリ塩化ビニル等の粉末、可塑剤及び顔料からなるプラスチゾルインキを用いたラバープリント型転写捺染法、熱昇華性染料を用いた昇華型捺染転写法等がある。
従来、転写捺染シートの形成には、各種印刷版とそれに応じた印刷機とが必要であったが、近年では、小ロットに対応したインクジェット記録方式用の転写捺染シートが提案されており、小ロット対応の昇華型捺染転写法の需要が拡大してきている。
昇華型捺染転写法としては、主に、巻き出した転写捺染シートを熱ドラムで加熱し、被転写物に密着させてプレスすることにより転写を行う熱ドラム式転写プレス方式や、カットした転写捺染シートを平板で加熱し、被転写物に密着させて転写を行う平台式転写プレス方式等が存在する。昇華型捺染転写法には、捺染物の風合いを損なわず、他の転写法では困難なシャープな図柄のプリントが可能であるという利点がある。近年、小ロット対応の昇華型捺染転写法の需要が拡大してきていることもあり、捺染転写紙を断裁してシート化した後、平台式転写プレス方式で被転写物に転写捺染することもできる用紙の需要が望まれていた。
特許文献1〜3には、前記インクジェット記録方式用の昇華型インクジェット捺染転写紙として、基材上に、平板結晶構造を有する無機微粒子やシリカ等の顔料やカルボキシメチルセルロースナトリウムやポリビニルアルコール等の結着剤等を含有するインク受容層を設けた昇華型インクジェット捺染転写紙が開示されている。
また特許文献4には、昇華型捺染インクのインク受容層での保持性を向上させるために、例えば多孔性無機微粒子等の無機粒子がインク受容層に含まれた昇華型インクジェット捺染転写紙が開示されている。
特許第5778366号公報 特開2003−276309号公報 特開2002−292995号公報 特開2003−313786号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載される従来の昇華型インクジェット捺染転写紙では、インクジェット印刷の際における昇華型捺染インクの吸収・乾燥性を重視する結果、インクが塗工層を通過して原紙層にまで達し、被転写物への転写捺染の際に、昇華型捺染インクが、転写紙のインク受容層とは異なる裏面側に裏抜けし、転写用プレス機等に付着して汚染してしまうという問題がある。また、従来の昇華型インクジェット捺染転写紙は、熱ドラム式転写プレス方式での転写捺染での使用が想定されており、シート形状で使用される平台式転写プレス方式では、用紙にシワが入り易く転写捺染できないという問題もある。
それ故に、本発明は、転写捺染時におけるインクの裏抜けを抑制でき、シート形状で使用した場合にもシワが入りにくい昇華型インクジェット捺染転写紙及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る昇華型インクジェット捺染転写紙は、基材上に昇華型捺染インク受容層が形成されてなり、昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有し、微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子であって、0.4〜2.3μmの範囲にメジアン径d50を有し、アスペクト比が5以上である無機微粒子であり、微細粒子Bは、合成非晶質シリカ粒子であり、微細粒子Aと微細粒子Bとの含有割合(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85〜90/10であり、水溶性樹脂は、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。カルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量は、微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10〜80質量部であり昇華型捺染インク受容層の塗工量(乾燥)は、3〜13g/mであり、JIS P 8117:2009に準拠した透気度測定法による透気度が100〜10000秒であることを特徴とする、昇華型インクジェット捺染転写紙。
また、本発明に係る昇華型インクジェット捺染転写紙の製造方法は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有したインク受容層塗料を調製する工程と、基材上にインク受容層塗料を塗工し、該基材上に昇華型捺染インク受容層を形成させる工程とを備える。微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子であって、0.4〜2.3μmの範囲にメジアン径d50を有し、アスペクト比が5〜30である無機微粒子であり、細粒子Bは、シリカ粒子であり、微細粒子Aと微細粒子Bとの割合(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85〜90/10である。水溶性樹脂は、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、インク受容層塗料中、カルボキシメチルセルロースナトリウムが微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10〜80質量部の割合で含有される。
本発明によれば、転写捺染時におけるインクの裏抜けを抑制でき、シート形状で使用した場合にもシワが入りにくい昇華型インクジェット捺染転写紙及びその製造方法を提供できる。
以下、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本開示を充分に理解するために以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
本開示における昇華型インクジェット捺染転写紙は、基材上に昇華型捺染インク受容層が形成されたものであり、該昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有したインク受容層塗料からなる。
昇華型インクジェット捺染転写紙に用いられる基材は、昇華型捺染インク受容層を設けることができる基材で、熱転写時の加熱で過度の熱収縮を起こさない限り、その材料に特に限定はない。例えば、木材パルプを主成分とする紙や、無機微粒子を含有する熱可塑性樹脂からなる多孔性樹脂フィルムのほか、不織布、布帛、樹脂被覆紙、合成紙等が挙げられる。
なお、本開示において「主成分とする」とは、成分全量の50質量%以上を構成することをいう。
昇華型インクジェット捺染転写紙の効果が顕著に現れる基材は、昇華型インクジェット捺染転写紙の裏面への加熱により、昇華型捺染インクが昇華し易い多孔質の材料である。具体的には、木材パルプを主成分とする紙、不織布、布帛等である。
基材として、木材パルプを主成分とする紙を使用することが好ましく、クラフト紙を使用することが特に好ましい。クラフト紙は、寸法安定性に優れており、フィルムと異なり、リサイクルが可能であり、昇華型捺染インクの吸収・乾燥性に優れるという特徴を有する。
好適に用いられる基材としてクラフト紙を例に挙げ、以下に説明する。昇華型インクジェット捺染転写紙に好適に用いられるクラフト紙は、JIS P 3401にも規定されるように、従来包装紙としての品質を満足するものや、クラフト紙の範疇にある、ヤンキードライヤーにて乾燥処理された片艶紙(ヤンキー紙)である。これらは寸法安定性に優れているので、優れた画像再現性を達成することができる。
昇華型インクジェット捺染転写紙に用いられる基材は、その坪量が50〜140g/mであることが好ましく、55〜110g/mであることがより好ましい。坪量が50g/m未満であると、現在のインクジェットプリンタの場合、その性能から、通常のインク量ではクラフト紙へのインクの染み込みによるコックリング(波打ち)が発生するとともに、転写加熱時に逆にクラフト紙の縮みが発生し、被転写物である布帛との密着性が低くなり、転写画像の質が低下する傾向がある。また、引張強度及び引裂強度の低下により、紙切れが起き易くなる。坪量が140g/mを超えると、昇華型捺染インクの加熱転写時に被転写物への熱伝達が悪くなり、転写効率が低下する傾向がある。
また基材におけるインク受容層塗料の塗工面は、JIS P 8119に準拠したベック平滑度が30〜400秒であることが好ましく、50〜300秒であることがより好ましい。ベック平滑度が30秒未満であると、おそらく基材表面の凹凸に起因すると考えられるが、昇華型捺染インク受容層が基材に浸透した部分と浸透していない部分との差異が出易くなって塗工欠陥が発生し易くなる傾向がある。また、印刷時の昇華型捺染インクの吸収・乾燥性は高くなるももの、画像再現性が低下したり、被転写物への昇華型捺染インクの転写時の画像再現性及び転写効率が低下したりする傾向がある。これらの傾向は平滑度を増すことにより改善されるが、特に片艶紙は、ヤンキードライヤーにて乾燥処理された裏面(抄紙機のワイヤー側の面=ヤンキー面)の平滑度が高いので、ヤンキー面に塗工することで塗工欠陥の発生リスクが少なく、昇華型捺染インクでの優れた画像再現性及び裏抜け防止性を有するとともに、被転写物への転写捺染の際に、画像の再現性、転写画像の解像性、転写画像の濃度レベル、これらの均一性等の被転写物への転写効率に優れる。それとともに、基材の表面側の平坦化処理がなされていないので、加熱ドライヤーに密着させて昇華型捺染インクを加熱転写する際に、昇華型捺染インクの熱昇華性を向上させる効果を有する。しかしながら、ベック平滑度が400秒を超えると、昇華型捺染インク受容層と基材との密着性が低下し、インク受容層の薄い部分が塗工欠陥を誘発し易くなる傾向がある。また、昇華型捺染インク受容層の形成にムラが生じ、画像再現性が低下する傾向がある。
昇華型インクジェット捺染転写紙に用いることができるクラフト紙は、いわゆる製紙分野で使用される原料より構成される。使用するパルプには特に限定がないが、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)や針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)や広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ;サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)等の機械パルプ;デインキングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)等の化学パルプや機械パルプを含む古紙パルプ等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。これらのうち、広葉樹クラフトパルプを、さらには広葉樹晒クラフトパルプ及び針葉樹晒クラフトパルプを適宜組合せて用いることが、紙質強度、基材表面の平坦性、昇華型捺染インクの昇華型インクジェット捺染転写紙における印字画像の品質確認の点で好ましい。
本開示における基材には、酸化澱粉、アセチル化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の各種澱粉や、紙力増強剤、アルキルケテンダイマー等の内添サイズ剤、歩留向上剤等の添加薬品や、さらに調整可能な範囲で、酸化チタン、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の填料を配合することができる。また基材の表層には、酸化澱粉、アセチル化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の各種澱粉や、紙力増強剤、アルキルケテンダイマー等の外添サイズ剤等を塗工することもできる。
本実施形態における基材としては、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した、初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(ESTサイズ度という)が0.1〜3.0秒であるものが好ましく、ESTサイズ度が0.5〜2.0秒であるものがより好ましい。表面・サイズ度テスターで測定した初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(ESTサイズ度)は、塗工直後における基材へのインク受容層塗料の浸透性を表すパラメータである。ESTサイズ度が0.1秒未満の場合、インク受容層塗料が基材へと過度に浸透し、インク受容層に微細な欠陥が生じ、画像再現性を若干低下させる可能性がある。一方、ESTサイズ度が3.0秒を越える場合、インク受容層塗料が基材へと浸透しにくく、インク受容層と基材との密着性の悪化を招く結果、画像再現性を若干低下させる可能性がある。このような理由から、ESTサイズ度が0.1〜3.0秒の範囲内である基材を用いることが、画像再現性を高める上で好ましい。
本開示における基材は、JIS P 8140に準拠した10秒コッブ吸水度が5〜20g/mであることが好ましく、10〜16g/mであることがより好ましい。10秒コッブ吸水度が5g/m未満であると、昇華型捺染インク受容層と基材との密着性が悪くなるため、画像再現性を若干低下させる可能性がある。10秒コッブ吸水度が20g/mを超えると、インク受容層塗料が基材に浸透し易くなり、部分的に深く浸透した箇所でインク受容層が薄くなり過ぎて、インク受容層の微細な欠陥を生じ、画像再現性を若干低下させる可能性がある。このような理由から、10秒コッブ吸水度が5〜20g/mの範囲内である基材を用いることが、画像再現性を高める上で好ましい。10秒コッブ吸水度は、上述した初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間よりも長い時間で見たインク受容層塗料の浸透性を表すパラメータである。上述した初期吸水特性の超音波透過強度の条件を満たし、かつ、10秒コッブ吸水度が上記の範囲となる基材を用いれば、安定したインク受容層塗料の塗膜をより確実に形成することができる。
本実施形態に係る昇華型インクジェット捺染転写紙において、基材上に形成された昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有したインク受容層塗料からなる。
(水溶性樹脂)
水溶性樹脂は、通常の塗料では主としてバインダーとして用いられるが、本開示においては、昇華型捺染インクを捕捉、吸収する特性を併せ持っていることから、もカルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMCという)であるが、CMC以外の化合物も用いることができる。CMC以外の化合物としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、各種ケン化度のポリビニルアルコール(以下、PVAという)やそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種PVA誘導体、カゼイン、ゼラチン、変性ゼラチン、大豆蛋白等の水溶性天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の水溶性合成高分子化合物が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を選択してCMCと併用することができる。
昇華型捺染インク受容層による優れた画像再現性及び裏抜け防止性を付与するために水溶性樹脂として少なくともCMCが用いられるが、CMCの重合度又は分子量がこれらの性能に影響を与えることも考えられるので、所定の重合度、分子量のCMCを使用し、インク受容層塗料の塗工時に、温度をコントロールすることが好ましい。
好適に用いられるCMCとしては、重合度が30〜180、重量平均分子量が6600〜40000のCMCが挙げられる。重合度が30〜180、重量平均分子量が6600〜40000のCMCは、粘性と作業性の点から、塗工欠陥の少ない昇華型捺染インク受容層を形成させ易く、またインク受容層塗料の塗工を容易にすることができる。重合度が30未満で、重量平均分子量が6600未満であると、CMCの粘性が低いため、インク受容層の塗工膜が千切れるような現象に繋がり、連続被膜に欠陥が生じ易いと考えられる。重合度が180よりも大きく、重量平均分子量が40000よりも大きいと、塗工工程での作業性が低下する恐れがある。例えば、CMCの粘性が高すぎて塗工が困難であったり、粘性を低下させるために固形分を少なくすると、乾燥負荷がかかったり、また粘性を低下させるために長時間高温で保持すると、皮膜形成に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、例えばエーテル化度は0.5〜1.0程度のCMCを用いることができる。
CMCの具体例としては、例えば、セロゲン5A、セロゲン7A(いずれも商品名、第一工業製薬(株)製、「セロゲン」は登録商標)、FINNFIX2、FINNFIX5(いずれも商品名、CP Kelco製、「FINNFIX」は登録商標)等が挙げられる。
昇華型インクジェット捺染転写紙には、CMCに加えてPVAを用いることもできる。PVAの中でも、特にケン化度が約87〜99mol%、さらには約98〜99mol%で、重合度が約1700以下、さらには約1000以下、特には500以下のPVAは、CMCとの相溶性が良好であり、昇華型捺染インクを昇華型捺染インク受容層に適宜残留させる効果がある。加えて、このようなPVAは、後述する微細粒子A(平板結晶構造を有する無機微粒子)の分散性を向上させる効果もある。
PVAの具体例としては、例えば、クラレポバールPVA110、クラレポバールPVA105(いずれも商品名、(株)クラレ製)等が挙げられる。
水溶性樹脂としてCMCとともにPVAを用いる場合、インク受容層塗料中のPVAの量は、固形分で、微細粒子A100質量部に対して15質量部以下、さらには8質量部以下であることが好ましい。PVAの量をこの範囲に調整することによって、より優れた昇華型捺染インクの吸収・乾燥性を達成することができる。PVAの量が15質量部を超えると、PVAによる被膜形成がCMCによる被膜形成を妨げる兆候が表れ、塗工欠陥を誘発する恐れがある。
さらに、CMCとPVAとを併用してインク受容層塗料を調製する場合、微細粒子Aに対して、CMCよりも先にPVAを添加することが、塗工欠陥がより少なくなる効果が得られるという点で好ましい。これは、理由は定かではないが、遊離しているPVAの量が多いほど、CMCによる被膜形成の阻害が生じ易く、CMCよりも先にPVAを微細粒子Aに接触させることで、微細粒子Aに捕捉されるPVAの量がより多くなり、CMCによる被膜形成の阻害が少なくなっていると考えられる。
(微細粒子A)
インク受容層塗料に含有される微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子である。
平板結晶構造を有する無機微細粒子は、昇華型捺染インク受容層中でインクバリヤー層を形成し、基材へのインクの浸透を抑制し、インク受容層中にインクを保持する役割を有する。平板結晶構造を有する無機微粒子としては、例えば、親水性を有する微粒クレー、二級クレーやデラミクレーが好適に用いられ、0.4〜2.3μmの範囲、好ましくは0.4〜1.4μmの範囲にメジアン径d50を有し、アスペクト比が5〜30、好ましくは8〜20の無機微粒子を用いることにより、CMCの連続被膜の形成を妨げずに無機微粒子によるインクバリヤー層を形成することができる。メジアン径が0.4μm未満、アスペクト比が5未満の無機微粒子では、充分なインクバリヤー層を形成することができず、転写時にインクの裏抜けが生じやすくなる。メジアン径が2.3μmを超える無機微粒子では、インク受容層塗料中での微粒子の沈降が容易に発生し、塗料の流送性等のハンドリングが低下し、品質の安定を妨げる。アペクト比が30を超える無機微粒子では、バリヤー性が高くなり過ぎてインク乾燥性を低下させる。
なお、微細粒子Aの粒子径は、少量のサンプルをメタノール溶液に添加し、超音波分散器で3分間分散させた溶液について、コールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製、TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定した体積平均粒子径の値である。
(微細粒子B)
インク受容層塗料に含有される微細粒子Bは、シリカ粒子である。
シリカ粒子は、インクの吸収性を向上させる役割を有する。シリカ粒子としては、細孔容積の多い多孔性合成非晶質シリカ粒子であることが好ましい。このような合成非晶質シリカ粒子とは、ケイ酸のゲル化により、SiOの三次元構造を形成させた、多孔性、不定形微粒子であり、細孔径10〜2000オングストローム程度を有する。特にこのような合成非晶質シリカ粒子を用いることにより、被転写物の昇華型捺染インクの吸収性を向上させるとともに、昇華型捺染インクの被転写物への転写率も向上し、被転写物上の画像を一層鮮明にすることができる。
合成非晶質シリカ粒子は、市販のものを好適に用いることができ、例えば、ミズカシルP−526、ミズカシルP−801、ミズカシルNP−8、ミズカシルP−802、ミズカシルP−802Y、ミズカシルC−212、ミズカシルP−73、ミズカシルP−78A、ミズカシルP−78F、ミズカシルP−87、ミズカシルP−705、ミズカシルP−707、ミズカシルP−707D、ミズカシルP−709、ミズカシルC−402、ミズカシルC−484(以上、水澤化学工業(株)製)、トクシールU、トクシールUR、トクシールGU、トクシールAL−1、トクシールGU−N、トクシールN、トクシールNR、トクシールPR、ソーレックス、ファインシールE−50、ファインシールT−32、ファインシールX−30、ファインシールX−37、ファインシールX−37B、ファインシールX−45、ファインシールX−60、ファインシールX−70、ファインシールRX−70、ファインシールA、ファインシールB(以上、OSCジャパン(株)製)、シペルナート、カープレックスFPS−101、カープレックスCS−7、カープレックス80、カープレックス80D、カープレックス67、カープレックス#80、カープレックスBS304F(以上、DSL.ジャパン(株)製)、サイリシア350、サイリシア445、(以上、富士シリシア化学(株)製)、ニップジェルAY−200、ニップジェルAY−6A3、ニップジェルAZ−200、ニップジェルAZ−6A0、ニップジェルBY−200、ニップジェルCX−200、ニップジェルCY−200、ニップシールE−150J、ニップシールE−220A、ニップシールE−200A(以上、東ソー・シリカ(株)製)等が挙げられる。
シリカ粒子の平均粒子径は、2〜20μm、さらには4〜16μmであることが好ましい。平均粒子径が2〜20μmの微細なシリカ粒子を微細粒子Bとして用いることにより、より高品質な色再現性、画像再現性を得ることができる。
さらに、平均粒子径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を組み合わせて用いることが好ましく、特に、平均粒子径が2〜5μmのシリカ粒子と、平均粒子径が5μmを超えるシリカ粒子とを組み合わせ、微細粒子Bとして用いることが好ましい。このように平均粒子径が異なるシリカ粒子を併用することにより、昇華型捺染インクの乾燥性をさらに向上させることができる。
平均粒子径が異なる少なくとも2種類のシリカ粒子を組み合わせて用いる場合、平均粒子径が2〜5μmのシリカ粒子と、平均粒子径が5μmを超えるシリカ粒子との割合(平均粒子径が2〜5μmのシリカ粒子/平均粒子径が5μmを超えるシリカ粒子)は、特に限定がないが、固形分の質量比で、10/90〜50/50であることが好ましい。このような割合とすることにより、より優れた昇華型捺染インクの乾燥性、昇華型インクジェット捺染転写紙における画像の再現性、被転写物における画像の再現性と、より高い昇華型捺染インクの転写効率とを得ることができる。
なお、微細粒子Bの粒子径は、少量のサンプルをメタノール溶液に添加し、超音波分散器で3分間分散させた溶液について、コールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製、TA−II型)にて、50μmまたは200μmのアパチャーを用いて測定した値である。
昇華型インクジェット捺染転写紙の効果が奏される限り、平板結晶構造を有する無機微粒子及びシリカ粒子に加えて、他の微細粒子を配合することが可能である。他の微細粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物(擬ベーマイト等)、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
インク受容層塗料中、CMCは微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10〜80質量部の割合で含有され、30〜60質量部の割合で含有されることが好ましい。CMCの量が10質量部未満の場合、CMCが少ないのでインキ受容層に微細粒子を均一に定着することが出来ず、画像再現性が悪化する。一方、CMCの量が80質量部を超えると、微細粒子A及びBに対するCMCの割合が高くなり過ぎるため、熱転写工程時の熱でCMCが収縮しやすく、この結果、昇華型インクジェット捺染転写紙に生じるカールが大きくなる。
昇華型インクジェット捺染転写紙に印刷したインクを布帛等に捺染転写する場合、布帛の種類や昇華インクの種類等に応じて、温度及び加熱時間が調整される。例えば、のぼりに用いられるポンジと呼ばれる素材に昇華転写を行う場合は、生地の裏側までインキを浸透させる必要があるため、200〜215℃の高温で転写が行われる。また、法被等に用いられる厚手の生地(スウェード等)に昇華転写を行う場合、印刷部のエッジの再現性(輪郭のシャープさ)が得られるように、190℃程度のインクの昇華温度に近い温度で転写が行われる。
そこで、昇華型インクジェット捺染転写紙をA4サイズに裁断したサンプルを190〜215℃で1分間保存した後に生じるサンプルの4隅のカール高さの平均値が50mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。A4サイズのサンプルの4隅のカール高さの平均値が50mm以下の場合、平台式転写プレス方式において平板で加圧する際においても、シワを発生させることなく、昇華型インクジェット捺染転写紙と生地とを密着させることができる。この結果、転写工程において昇華型インクジェット捺染転写紙と生地とがずれて印刷部の画像がぼやけてしまう、ゴーストと呼ばれる現象を抑制できる。
また、インク受容層塗料中に含有される微細粒子A及び微細粒子Bの比(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85〜90/10であり、35/65〜60/40であることがより好ましい。微細粒子A/微細粒子Bが15/85を下回ると、微細粒子Bの増加により昇華型捺染インクの受容量は多くなるが、微細粒子Aの減少によりインクバリヤー層の形成が不充分となるため、転写時の昇華効率が低下する。一方、微細粒子A/微細粒子Bが90/10を上回ると、微細粒子Aの増加によりインクバリヤー層が過剰となると共に、微細粒子Bの減少により昇華型捺染インクの受容量が少なくなるため、インク乾燥性が低下する。
上記の材料を用いて形成した昇華型インクジェット捺染転写紙において、JIS P 8117:2009に準拠した透気度測定法による透気度(ガーレー透気度)が100〜10000秒である。ガーレー透気度の値がこの範囲内であることによって、昇華したインキをインキ受容層から被転写体への良好な転写性と、昇華したインキの紙の裏面側への抜け抑制とを両立することができる。ガーレー透気度が100秒未満の場合、昇華したインキが紙の裏面側に抜け、転写用の熱ロールまたは熱板を汚損してしまうため好ましくない。一方、ガーレー透気度が10000秒を越える場合、インク受容層内の水分が熱転写時に抜けず、ブリスター等を引き起こす可能性があるため好ましくない。
(製造方法)
本実施形態に係る昇華型インクジェット捺染転写紙は、CMCと平板結晶構造を有する無機微粒子(微細粒子A)とシリカ粒子(微細粒子B)と溶媒である水とを混合したインク受容層塗料を調製し、調製したインク受容層塗料を基材上に塗工して乾燥させることによって製造することができる。
なお、インク受容層塗料は、CMC及び上述した平板結晶構造を有する無機微粒子を含有するインク受容層塗料Aと、CMC及び上述したシリカ粒子を含有するインク受容層塗料Bとをそれぞれ別に調製し、これらのインク受容層塗料A及びBを所定の比率で混合した混合塗料として調整しても良い。この場合、インク受容層塗料Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子100質量部に対して10〜30質量部の割合でCMCを含有することが好ましい。また、インク受容層塗料Bは、シリカ粒子100質量部に対して100〜300質量部の割合でCMCを含有することが好ましい。これらのインク受容層塗料A及びBの混合比(インク受容層塗料A/インク受容層塗料B)は、固形分の質量比で、50/50〜90/10とし、無機微粒子及びシリカ粒子の合計100質量部に対してCMCが10〜80質量部の割合で含有されるように混合塗料を調整する。
インク受容層塗料の調製方法には特に限定がないが、例えば、65〜80℃程度の高温のCMC中に、20〜30℃程度の低温の微細粒子分散スラリーを添加すると、微細粒子の凝集が発生し、微細粒子が塗工面に均一に敷き詰められた状態を作り出しにくくなり、インクバリヤー層の形成を妨げるため好ましくない。微細粒子の分散状態を保ったまま塗料化することができるという点から、微細粒子分散スラリーに対してCMCやPVA等の水溶性樹脂を添加し、20〜45℃程度にて混合分散させる方法を好適に採用することができる。
インク受容層塗料の固形分濃度には特に限定がないが、主要成分であるCMCの特性から、連続被膜を形成するためには、固形分濃度は高く、粘性も高い高分子量の方が好ましい。しかし、固形分濃度が高過ぎると混合塗料の粘度が上がってしまい、塗工作業性とは相反することとなるので、実用上、固形分濃度は10〜20%程度であることが好ましい。混合塗料の固形分濃度が10%未満では、基材に混合塗料が浸透し易くなり、連続被膜を得るためには混合塗料の塗工量を多くする必要があるが、乾燥に伴う水分量が多くなり過ぎて、乾燥シワが発生する傾向がある。その結果、紙の見栄えが低下するだけでなく、インク転写時の熱伝達が紙クセにより不均一になる恐れがある。インク受容層塗料Bの固形分濃度が20%を超えると、混合塗料の粘度が高くなり、通常の塗工方式では混合塗料の塗工量をコントロールすることが困難になる。
また、インク受容層塗料A及びBをそれぞれ別に調製し、これらを混合した混合塗料によりインク受容層塗料を調製した場合、次のような利点がある。
一般に、インク受容層塗料中のシリカ含有量を増加させて得た捺染転写紙では、インクジェット印刷時に、インク乾燥性が向上するものの、被転写物への転写捺染時に、捺染転写紙へのインク残量も多くなる傾向がある。例えば、通常の塗料調製方法であるクレーのスラリーとシリカのスラリーとを混合した後、CMC等の水溶性樹脂を加える方法により調製した塗料では、シリカ含有量の増加に伴ってインク乾燥性は向上するが、クレーによるインクの遮断効果によって昇華転写後の紙面のインク残留濃度を下げる効果は大きく失われていく。すなわち、通常の塗料調製方法を採用した場合には、インク乾燥性とインク残量との関係は、インク受容層塗料A中の平板結晶構造を有する無機微粒子とインク受容層塗料B中のシリカ粒子との割合に応じて、インク乾燥性はほぼ直線的に変化するといえるが、インク残量を下げる効果はより早く失効していると思われる。
これに対して、本実施形態に係る製造方法のように、インク受容層塗料Aとインク受容層塗料Bとを混合して混合塗料とすると、インク乾燥性は、インク受容層塗料B中のシリカ粒子の割合に応じて直線的に変化するが、昇華型インクジェット捺染転写紙IIへのインク残量は少なくなる方向、すなわち、転写濃度が高くなる方向にシフトする。つまり、インク受容層塗料Bに含まれるシリカ粒子がインク乾燥性を向上させる一方で、インク受容層塗料Aに含まれる平板結晶構造を有する無機微粒子がインク残量を減らす効果が強く残存していると考えられる。このような効果が発現する理由は明確ではないが、塗料を別々に調製することで、インク受容層塗料Aの平板結晶構造を有する無機微粒子、インク受容層塗料Bのシリカ粒子が、それぞれの機能を発揮しやすい状態で各塗料中に存在しており、一方、通常の塗料調製方法では、シリカ粒子はその機能を発揮し易いものの、平板結晶構造を有する無機微粒子の機能が発揮されにくい状態になっているものと考えられる。したがって、本実施形態に係る製造方法では、インク乾燥性とインク残量との関係は、インク受容層塗料A中の平板結晶構造を有する無機微粒子とインク受容層塗料B中のシリカ粒子との割合に応じてほぼ直線的に変化するが、通常の塗料調製方法では、インク残量を抑える効果の失効が大きくなり、直線的な変化ではなくなっていると考えられる。
混合塗料において、インク受容層塗料Aとインク受容層塗料Bとの割合(インク受容層塗料A/インク受容層塗料B)は、固形分の質量比で、20/80〜80/20、さらには25/75〜75/25であることが好ましい。両者の割合が20/80未満であると、インク受容層塗料Aの特性が充分に発揮されず、紙面のインク残留濃度が高くなってしまう場合がある。両者の割合が80/20を超えると、インク受容層塗料Bの特性が発揮され難くなり、インク乾燥性の向上効果が不充分となる場合がある。
混合塗料の調製方法には特に限定がないが、例えば、各々前記方法により別途調製したインク受容層塗料Aとインク受容層塗料Bとを、両者の割合が例えば前記範囲となるように調整し、20〜45℃程度で均一に撹拌混合する方法を採用することができる。
なお、混合塗料の固形分濃度にも特に限定がないが、通常の塗工方式による混合塗料の塗工量を容易にコントロールするという点から、例えば、10〜22%程度であることが好ましい。
そして、基材に混合塗料を塗工し、該基材上に昇華型捺染インク受容層を形成させることにより、本実施形態に係る昇華型インクジェット捺染転写紙を製造することができる。
混合塗料の塗工方法は特に限定されないが、上記の混合塗料を、例えば、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター等の公知の塗工機を用いて塗工することができる。これらの中でも、エアーナイフコーターを用いることが、充填剤として作用する微細粒子の存在によるストリーク発生の抑制や、紙表面への輪郭塗工による均一な昇華型捺染インク受容層の形成の点で好ましい。
混合塗料の塗工量(乾燥)は、3〜13g/mの範囲であり、3〜10g/mの範囲であることが好ましい。該混合塗料には、微細粒子Aである平板結晶構造を有する無機微粒子とともに、微細粒子Bであるシリカ粒子が含まれており、シリカ粒子は、親水性を有する微粒クレー、二級クレーやデラミクレーに代表される平板結晶構造を有する無機微粒子よりも嵩高なので、より少ない塗工量で、昇華型インクジェット捺染転写紙の品質を向上させることができる。混合塗料の塗工量が3g/m未満では、昇華型捺染インクの基材への染み込みによるコックリング(波打ち)が生じたり、混合塗料で完全に基材を被覆することが難しかったりするため、微細な未塗工部分、すなわちピンホールといった塗工欠陥が発生し、画像の再現性が低下する。混合塗料の塗工量が13g/mを超えると、昇華型捺染インクの印字、転写品質は塗工量の増加によってよくなるものの、熱転写時の熱伝達の際に、昇華型捺染インク受容層と基材とで、紙の縮みによる寸法変化度合が異なるために、カールや転写面の凹凸を生じる。これにより、布と紙との密着が不均一になり、転写濃度ムラを発生させる原因になる。また、部分的な塗工量の差異が大きくなるため、画像の再現性が低下する。
また、昇華型捺染インク受容層に含有される、水溶性樹脂であるCMCについては、該CMCの15%溶液の、30℃における粘度が0.15〜6Pa・s、さらには0.2〜5Pa・sであることが好ましい。これにより、CMCの粘度が低いために、昇華型捺染インク受容層の塗工膜が千切れるといった現象を引き起こすことなく、連続被膜に欠陥が生じることがない。また逆に、CMCの粘度が高すぎて塗工が困難になり、粘度を低下させるために固形分を少なくすると、乾燥負荷がかかるほか、粘度を低下させるために長時間高温で保持すると、皮膜形成に悪影響を及ぼす恐れがある、といった点を回避することもできる。
さらに、本実施形態に係る昇華型インクジェット捺染転写紙において、昇華型捺染インク受容層と基材との間に、CMCを含有するアンダー層が形成されていても良い。アンダー層が、昇華型捺染インク受容層の主要成分であるCMCを含有していることにより、混合塗料の塗工直後における湿潤塗料の馴染みがよくなるため、より少ない塗工量でピンホールのない連続被膜が得られ易くなるという効果が奏される。
アンダー層中のCMCの含有量には特に限定がないが、60〜100質量%程度であることが好ましい。
なお、アンダー層を形成するためのアンダー層塗料には、CMCのほかに、例えば、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、各種ケン化度のPVAやそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種PVA誘導体、カゼイン、ゼラチン、変性ゼラチン、大豆蛋白等の水溶性天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の水溶性合成高分子化合物といった成分が含有されていてもよく、アンダー層を設けることによる効果が阻害されない限り、特に限定はない。
また、アンダー層塗料としてインク受容層塗料と同じ塗料を用いてもよい。この場合、インク受容層塗料を1回塗工するよりも少ない塗工量で、塗工欠陥を充分に阻止することができる。
アンダー層を形成する場合、アンダー層塗料の塗工量(乾燥後)は、3g/m以下とする。アンダー層塗料の塗工量(乾燥後)が3g/mを越えると、ガーレー透気度が高くなり過ぎ、捺染転写時にブリスターが発生し、ブリスター発生箇所では転写した画像の再現性が低下する。
このように、昇華型インクジェット捺染転写紙は、特定の吸水度を有する基材上に、水溶性樹脂であるCMCと充填剤である平板結晶構造を有する無機微粒子とを特定の割合で含有し、ピンホール発現を非常に少なくすることができる塗料と、水溶性樹脂であるCMCと充填剤であるシリカ粒子とを含有する塗料との混合塗料から、昇華型捺染インク受容層が形成されている。よって、昇華型インクジェット捺染転写紙は、インクジェット印刷の際に、昇華型捺染インクの乾燥性に優れるとともに、被転写物への転写捺染の際に、それ自身への昇華型捺染インクの残量が少なく、画像の再現性、転写画像の解像性、転写画像の濃度レベル、これらの均一性等の被転写物への転写効率にも優れている。
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
以下、本開示に係る昇華型インクジェット捺染転写紙及びその製造方法を具体的に実施した実施例を説明する。ただし、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、配合における部数は、固形分の部数である。
以下の実施例及び比較例で用いた成分は、以下のとおりである。
(1)クラフトパルプ
・LBKP
広葉樹晒クラフトパルプ
JIS P 8121−2に準拠したフリーネス(CSF):530ml
・NBKP
針葉樹晒クラフトパルプ
JIS P 8121−2に準拠したフリーネス(CSF):580ml
(2)水溶性樹脂
・CMC−A
FINNFIX2(CP Kelco製)
・CMC−B
セロゲン5A(第一工業製薬(株)製)
・PVA
クラレポバールPVA105((株)クラレ製、ケン化度:98〜99mol%、
重合度:500)
(3)微細粒子A(平板結晶構造を有する無機微粒子)
・粒子A1
二級クレー(メジアン径d50:0.7μm、アスペクト比:8)
・粒子A2
デラミクレー(メジアン径d50:1.4μm、アスペクト比:20)
・粒子A3
二級クレー(メジアン径d50:0.4μm、アスペクト比:8)
・粒子A4
二級クレー(メジアン径d50:2.5μm、アスペクト比:8)
・粒子A5
二級クレー(メジアン径d50:0.7μm、アスペクト比:4)
(4)微細粒子B(平板結晶構造を有する無機微粒子)
・粒子B1
沈降性シリカ粒子
カープレックス80D(DSL.ジャパン(株)製、平均粒子径:15.0μm)
・粒子B2
沈降性シリカ粒子
カープレックス#80(DSL.ジャパン(株)製、平均粒子径:13.0μm)
・粒子B3
ゲルタイプシリカ粒子
カープレックスBS304F(DSL.ジャパン(株)製、平均粒子径:8.1μm)
<基材の製造例>
(基材1)
LBKP 80質量%とNBKP 20質量%とを配合したものに、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が8.0%となるように添加し、助剤として、クラフトパルプ全量100質量部に対して、カチオン化デンプンを0.8質量部、アルキルケテンダイマー(内添サイズ剤)を0.3質量部、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量部添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(ESTサイズ度)が2.0秒であるクラフト紙を得た(以下、基材1という)。
(基材2)
LBKP 80質量%とNBKP 20質量%とを配合したものに、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が0.5%となるように添加し、助剤として、クラフトパルプ全量100質量部に対して、カチオン化デンプンを0.8質量部、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤(内添サイズ剤)を1.1質量部、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量部添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、ESTサイズ度が0.5秒であるクラフト紙を得た(以下、基材2という)。
(基材3)
LBKP 100質量%に、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が0.5%となるように添加し、助剤として、クラフトパルプ全量100質量部に対して、カチオン化デンプンを0.8質量部、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤(内添サイズ剤)を1.1質量部、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量部添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、ESTサイズ度が0.5秒となるクラフト紙を得た(以下、基材3という)。
(基材4)
内添サイズ剤の量を1.5質量部としたことを除いて基材1と同じ材料及び方法により、ESTサイズ度が3.0秒であるクラフト紙を得た(以下、基材4という)。
(基材5)
内添サイズ剤の量を0.1質量部としたことを除いて基材2と同じ材料及び方法により、ESTサイズ度が0.05秒であるクラフト紙を得た(以下、基材5という)。
以下の表1に、基材1〜基材5のLBKP及びNBKPの混合割合と、ESTサイズ度とを示す。
Figure 0006717708
<インク受容層塗料の調整例>
(塗料1〜21)
水溶性樹脂と微細粒子A及びBとを表2の割合で水(溶媒)に混合し、塗料1〜21を調製した。より詳細には、適量の水に微細粒子Aを分散させた後、微細粒子Bを添加して分散させ、混合分散スラリーを調整した。得られた混合分散スラリーに水溶性樹脂を添加し、水を適宜加えて最終的な固形分濃度を表2の濃度に調製した(表2の混合方法1)。なお、塗料12及び13については、適量の水に微細粒子A及び水溶性樹脂を分散させたインク受容層塗料Aと、適量の水に微細粒子B及び水溶性樹脂を分散させたインク受容層塗料Bとをそれぞれ調製し、インク受容層塗料A及びBとを混合し、水を適宜加えて、最終的な固形分濃度を表2の濃度に調製した(表2の混合方法2)。
<アンダー層塗料の調製例>
固形分濃度が15%のCMC−Aの水溶液をアンダー層塗料とした。
Figure 0006717708
<昇華型インクジェット捺染転写紙の製造例>
(実施例1〜22及び比較例1〜6)
基材の片面にナイフコーターを用いて、インク受容層塗料を塗工し、約130℃で乾燥して昇華型捺染インク受容層を形成させ、昇華型インクジェット捺染転写紙を製造した。なお、実施例4については、基材の片面にナイフコーターを用いてアンダー塗工し、乾燥させた後に、インク受容層塗料を塗工した。各実施例及び各比較例で用いた基材とインク受容層塗料との組み合わせ、インク受容層塗料の塗工量(乾燥後)を表3に示す。
Figure 0006717708
<評価>
得られた昇華型インクジェット捺染転写紙について、以下の方法により評価した。
なお、インクジェット記録評価は、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製、EP704A型)及び昇華型捺染インク((株)パワーシステム製、EPSON用昇華インクSU−110シリーズ)を用い、「標準」の設定モードにて各評価用の画像を印字した。また、被転写物には、ポリエステル布素材を使用した。画像の転写は、昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで印字した画像と、ポリエステル布素材とを密着させ、190℃で90秒間保持して熱転写することにより行った。
(1)ガーレー透気度
ガーレー透気度は、JIS P 8117:2009に準拠して、ガーレー標準型デンソメーター(熊谷理機工業(株)製)を用いて測定した。
(2)インク吸収・乾燥性
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで黒ベタ印字をした直後、印字面をテッシュペーパーで擦り、拭取った際に、紙面上のインクの伸びの有無を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
(評価基準)
5:乾燥が非常に早く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが全くない。
4:乾燥が早く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが殆どない。
3:乾燥が若干遅く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが僅かに認められるが、実用上問題はない。
2:乾燥が遅く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが認められる。
1:乾燥が非常に遅く、装置汚れや印字部の汚れが認められ、拭取り後の紙面上でインクの伸びが長く、使用不可である。
(3)画像再現性
デジタル画像の各昇華型インクジェット捺染転写紙紙面への画像再現性を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
(評価基準)
5:原版との差異が認められず、画像再現性に優れている。
4:原版との差異が殆ど認められず、画像再現性が良好である。
3:原版との差異が僅かに認められ、画像再現性にやや劣るが、実用上問題はない。
2:原版との差異が多く認められ、画像再現性に劣り、使用不可である。
1:原版との差異が著しく、画像再現性が殆どなく、使用不可である。
(4)裏抜け防止性
裏抜け防止性は、各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタでCMYKの4色をベタ印刷した後、熱板でプレスすることにより印刷した画像を被転写物に転写した。なお、昇華型インクジェット捺染転写紙と熱板との間には、普通紙を介在させた。転写後に、介在させた普通紙へのインキの付着の有無を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
3:介在させた普通紙へのインキの付着がない。
2:介在させた普通紙へのインキの付着が若干見られるが、実用上問題ない付着量である。
1:介在させた普通紙へのインキの付着が顕著に見られ、実用上問題となる付着量である。
(5)カール適性
各昇華型インクジェット捺染転写紙をA4サイズに裁断したサンプルを作成し、このサンプルを190〜215℃の乾燥機で1分間保存した。保存後のサンプルを凸面が下面となるように定盤上に載置し、サンプルが静止した状態で定盤からの4隅の浮き上がり高さをそれぞれ測定し、測定値の平均値を評価値とした。
(評価基準)
3:評価値が20mm以下である。
2:評価値が50mm以下である。
1:評価値が50mmを越えている。
以下の表4に、各実施例及び各比較例に係る昇華型インクジェット捺染転写紙の評価結果を示す。
Figure 0006717708
実施例1〜18に係る昇華型インクジェット捺染転写紙では、インク受容層中に含まれる平板結晶構造を有する無機微粒子のメジアン径及びアスペクト比と、平板結晶構造を有する無機微粒子とシリカ粒子との混合比と、無機微粒子及びシリカ粒子に対するCMCの添加量と、インク受容層塗料の塗工量(乾燥後)と、ガーレー透気度とが上述した数値範囲内にあることによって、インクの吸収性・乾燥性と転写画像の再現性に優れ、転写時におけるインクの裏抜けが抑制され、更に、カットしたシート形状で使用した場合でも加熱によるカールが抑制されることが確認された。
また、実施例19〜22に係る昇華型インクジェット捺染転写紙は、塗料の種類及び塗工量を実施例1と同じとし、基材1から基材2〜5にそれぞれ変えたものであるが、基材の種類にかかわらず、実施例1と同様に、インクの吸収性・乾燥性と転写画像の再現性に優れ、転写時におけるインクの裏抜けが抑制され、更に、カットしたシート形状で使用した場合でも加熱によるカールが抑制されることが確認された。ただし、実施例19、21及び22においては、実施例1と比べて画像再現性が若干低下した。これは、実施例19及び22で用いた基材2及び5のESTサイズ度が、上述した好ましい範囲の下限値またはこれより小さい値であるため、インク受容層に僅かに欠陥が生じ、これにより、画像再現性が若干低下したものと考えられる。また、実施例21で用いた基材4では、ESTサイズ度が上述した好ましい範囲の上限値であるため、インク受容層と基材の密着性が僅かに低下し、これにより、画像再現性が若干低下したものと考えられる。
比較例1では、インク受容層塗料の塗工量が少なすぎることにより、インク受容層に塗工欠陥が生じ、これによって画像再現性が大きく低下した。また、比較例1では、ガーレー透気度の値が小さすぎるため、インクの裏抜けが顕著に発生した。比較例2では、インク受容層塗料の塗工量が多すぎることにより、カールの発生量が大きくなった。
比較例3では、アンダー層塗料の塗工量が多すぎることによって、ガーレー透気度の値が大きくなり、この結果、転写時にブリスターが発生して画像再現性が低下した。
比較例4では、微細粒子A及びBの合計に対するCMCの配合割合が多すぎるため、カールの発生量が大きくなった。また、比較例5では、微細粒子A及びBの合計に対するCMCの配合割合が少なすぎるため、インキ受容層中の微細粒子の定着が不均一となり、画像再現性が低下した。
比較例6では、微細粒子Aのメジアン径が大きすぎ、インク受容層塗料中で沈降したため、インク受容層塗料の塗膜が安定形成されず、画像再現性が低下した。比較例7では、微細粒子Aのアスペクト比が小さすぎるため、十分なインクバリヤー層を形成できず、インクの裏抜けが顕著に発生した。
比較例8では、微細粒子Bを配合しなかったために、インクの吸収性・乾燥性が低下した。比較例9では、微細粒子Aを配合しなかったために、画像再現性が低下した。
以上のように、本発明によれば、インクジェット記録方式による転写捺染に好適であり、転写捺染時におけるインクの裏抜けを抑制でき、シート形状で使用した場合にもシワが入りにくい昇華型インクジェット捺染転写紙及びその製造方法を提供できる。
本開示における昇華型インクジェット捺染転写紙は、特に、インクジェットプリンタにて昇華型捺染インクを用いた印刷が施される、インクジェット記録方式等に適している。

Claims (5)

  1. 基材上に昇華型捺染インク受容層が形成されてなり、
    前記昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有し、
    前記微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子であって、0.4〜2.3μmの範囲にメジアン径d50を有し、アスペクト比が5以上である無機微粒子であり、
    前記微細粒子Bは、合成非晶質シリカ粒子であり、
    前記微細粒子Aと前記微細粒子Bとの含有割合(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85〜90/10であり、
    前記水溶性樹脂は、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、
    記カルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量は、前記微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10〜80質量部であり
    前記昇華型捺染インク受容層の塗工量(乾燥)は、3〜13g/mであり、
    JIS P 8117:2009に準拠した透気度測定法による透気度が100〜10000秒であることを特徴とする、昇華型インクジェット捺染転写紙。
  2. 前記昇華型インクジェット捺染転写紙をA4サイズに裁断したサンプルを190〜215℃の乾燥機で1分間保存した後の、前記サンプルの4隅のカール高さの平均値が50mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
  3. 昇華型捺染インク受容層と基材との間にアンダー層が形成されており、
    前記アンダー層には、カルボキシメチルセルロースナトリウムが含有されている、請求項1または2に記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
  4. 前記基材が、表面・サイズ度テスター(EST12)で測定した、初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間が0.1〜3.0秒である基材である、請求項1〜3のいずれかに記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
  5. 昇華型インクジェット捺染転写紙の製造方法であって、
    水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有したインク受容層塗料を調製する工程と、
    基材上に前記インク受容層塗料を塗工し、該基材上に昇華型捺染インク受容層を形成させる工程とを備え、
    前記微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子であって、0.4〜2.3μmの範囲にメジアン径d50を有し、アスペクト比が5〜30である無機微粒子であり、
    前記微細粒子Bは、シリカ粒子であり、
    前記微細粒子Aと前記微細粒子Bとの割合(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85〜90/10であり、
    前記水溶性樹脂は、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、
    前記インク受容層塗料中、前記カルボキシメチルセルロースナトリウムが前記微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10〜80質量部の割合で含有される、昇華型インクジェット捺染転写紙の製造方法。
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