JP7075800B2 - 昇華型インクジェット捺染転写紙 - Google Patents
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Description
して、基紙上に、平板結晶構造を有する無機微粒子やシリカ等の顔料やカルボキシメチル
セルロースナトリウムやポリビニルアルコール等の結着剤等を含有するインク受容層を設
けた昇華型インクジェット捺染転写紙が記載されている。特許文献4には、視覚的に白色度が高く、色再現性を良好とするために、支持体上に高分子化合物からなるインク受理層を設け、更に表面樹脂被覆層を設けたインクジェット記録シートが記載されている。
基紙を構成する原料パルプとしては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ、これらのパルプを組み合わせたもの等を使用することができる。
基紙には、必要により添加剤を内添することができる。
基紙には、必要により水溶性高分子を主成分とする下塗り層を設けてもよい。
基紙としては、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した、基紙の初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(以下、ESTサイズ度ともいう)は、0.010~3.00秒であるものを使用することが好ましい。基紙としては、ESTサイズ度が0.50~2.00秒であるものがより好ましい。表面・サイズ度テスターで測定したESTサイズ度は、インク受容層塗料の塗工直後における基紙へのインク受容層塗料の浸透性を表すパラメータである。ESTサイズ度が0.010秒未満の場合、インク受容層塗料が基紙へと過度に浸透し、インク受容層に微細な欠陥が生じ、画像再現性を若干低下させる可能性がある。一方、ESTサイズ度が3.00秒を越える場合、インク受容層塗料が基紙へと浸透しにくく、インク受容層と基紙との密着性の悪化を招く結果、画像再現性を若干低下させる可能性があるESTサイズ度は、例えば、基紙のサイズ剤等の添加剤の種類、添加量や下塗り層の塗工量や添加剤の種類、添加量を組み合わせて調整することができる。
昇華型インクジェット捺染転写紙において、昇華型捺染インク受容層と基紙との間に、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCともいう)等を含有するアンダー層が形成されていても良い。アンダー層が形成されていることにより、混合塗料の塗工直後における湿潤塗料の馴染みがよくなるため、より少ない塗工量でピンホールのない連続被膜が得られ易くなるという効果が奏される。
下とする。アンダー層塗料の塗工量(乾燥後)が3.0g/m2を越えると、透気度が高
くなり過ぎ、捺染転写時にブリスターが発生し、ブリスター発生箇所では転写した画像の再現性が低下する。
昇華型捺染インク受容層(以下、インク受容層ともいう)は、少なくとも、第一塗工層及び第二塗工層から形成される。
第一塗工層は、少なくとも1種類以上のバインダーと無機粒子と含有した塗料からなる。
本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙は、高速印刷に適用するため、より速乾性が求められている。そこで、無機粒子は少なくとも軽質炭酸カルシウム及び/又は重質炭酸カルシウムを含むことが好ましい。また、無機粒子として、軽質炭酸カルシウムのみを使用すると、乾燥性をより向上させることができるのでより好ましい。軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウム以外では、無機粒子としてクレーを使用することもできる。
バインダーは少なくともエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAともいう)を含むことが好ましい。
水溶性高分子は、通常の塗料では主としてバインダーとして用いられるが、本発明においては、昇華型捺染インクを捕捉、吸収する特性を併せ持っている。そこで、顔料同士の接着力が高い、各種ケン化度のポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)をEVAと併用することが好ましい。バインダーとしてPVAを更に含む場合、PVAは、無機粒子の合計100質量部に対して、1.0~10.0質量部の割合でインク受容層塗料に含有させることが好ましい。PVAの含有量が無機粒子の合計100質量部に対して、10.0質量部を越えると、昇華型インクジェット捺染転写紙への印刷時に滲みによる印字ムラが生じやすく、インクの乾燥性も低下するため好ましくない。
軽質炭酸カルシウム及び/又は重質炭酸カルシウムは、シリカ粒子やカオリンに比べ、インク放出性が優れる反面、インク定着性が劣る可能性があるため、インク定着剤を含有させていることが好ましい。インク定着剤としては、高粘度の塗料中でも安定性が高い観点から、ポリアミンエピクロロヒドリン系化合物であることが好ましい。
第一塗工層には、例えば、サイズ剤、着色染料、着色顔料、消泡剤、蛍光増白剤、粘度調整剤、潤滑剤等の添加剤を含有させることができる。
第一塗工層は、40.0%以上(固形分濃度)の高濃度で塗工するため、ロッドコータ又はブレードコータの塗工液を直接掻き落とす塗工機で形成される。そうすることで、高濃度・高粘度の塗工液を均一な膜厚で形成することが可能である。
第二塗工層は、ポリオレフィン系エマルションとヒドロキシル化セルロース類を含む塗料からなり、ポリオレフィン系エマルションとヒドロキシル化セルロースの配合比が、固形分の質量比で、15:85~85:15である。
第二塗工層がポリオレフィン系エマルションを含むことで、昇華捺染転写時の熱により塗工層が粘着性及び可塑性を示すため、被転写体に対して密着性が向上する。したがって、用紙のカールやシワが発生した場合でも、被転写物へ捺染転写のズレを防止できる。
第二塗工層がヒドロキシル化セルロースを含むことで、第二塗工層にインク吸着性を付与することができる。ヒドロキシル化セルロースは、ノニオン性を示すことが好ましい。第二塗工層が、例えば、CMCのようにアニオン性を示す薬剤を含んだ場合、ポリオレフィン系エマルションとの相溶性が悪化し、塗液が白濁化又は凝集物が発生して、塗液が塗工できない。ヒドロキシル化セルロースの平均分子量としては、ポリオレフィン系エマルションとの相溶性及びインク吸着性の観点から、80000~100000程度のものを使用することが好ましい。
第二塗工層には、例えば、無機顔料、有機顔料、サイズ剤、着色染料、着色顔料、消泡剤、蛍光増白剤、粘度調整剤、潤滑剤等の添加剤を含有させることができる。
第二塗工層は、ロール塗工方式で塗料を基紙に塗布し、エアーナイフコータで塗工層を形成することが好ましい。この塗工方式をとることで、基紙に少ない塗工量でも安定した粘着力を付与でき、せん断応力が少ない状態で塗工層を形成可能なことから、塗料の凝集を防止することができる。
(バックコート層)
透気度は、5000~60000秒であることが好ましく、10000~20000秒がより好ましい。透気度は、JIS P 8117(2009)に準拠して測定した測定値である。透気度の値がこの範囲内であることによって、昇華したインキをインク受容層から被転写体へと良好に転写することができると共に、昇華したインキが基紙の裏面側へと抜けることを抑制することができる。透気度が5000秒未満の場合、昇華したインキが紙の裏面側に抜け、転写用の熱ロールまたは熱板を汚損してしまうため好ましくない。一方、透気度が60000秒を越える場合、インク受容層内の水分が基紙に浸透せず乾燥性が悪化し、インク受容層内の水分が熱転写時に抜けず、ブリスター等を引き起こす可能性があるため好ましくない。
LBKP 80質量%とNBKP 20質量%とを配合したものに、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が8.0%となるように添加し、添加剤として、クラフトパルプ全量100質量%に対して、カチオン化デンプンを0.8質量%、アルキルケテンダイマー(内添サイズ剤)を0.3質量%、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量%添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(ESTサイズ度)が2.00秒である基紙を得た。
第一塗工層塗料の成分として、以下の材料を使用した。
・粒子A1:軽質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.08μmの凝集体、アスペクト比:8、BET比表面積:15m2/g
・粒子A2:軽質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.15μm、アスペクト比:9
・粒子A3:軽質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.30μm、アスペクト比:8
・粒子B:重質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.50μm、アスペクト比:1
・粒子C:クレー
1次粒子メジアン径d0.40μm、アスペクト比:15
(バインダー)
・EVA:リカボンドBE814(ジャパンコーティングレジン(株)製)
・PVA:クラレポバール105((株)クラレ製)
・CMC:FINFIX(三晶(株)製)
(インク定着剤)
ポリアミンエピクロロヒドリン系インク定着剤:ジェットフィックスN700(里田化工(株)製)
無機粒子、バインダー及びインク定着材を表1に示す割合で水(溶媒)に混合し、インク受理層塗料1~10を調製した。
第二塗工層塗料の成分として、以下の材料を使用した。
・ポリオレフィン系エマルション:ザイクセンN(住友精化(株)製)
・CMC:FINFIX(三晶(株)製)
・HEC:SANHEC(三晶(株)製)
クレー100質量部に対して、SBラテックス15.0質量部、タピオカ澱粉7.0質量部を水(溶媒)に混合し、バックコート層塗料を調製した。より詳細には、適量の水に無機粒子を分散させた後、水溶性樹脂を添加し、水を適宜加えて最終的な固形分濃度が50.0%となるように調節し、表3に示す塗工量で塗工した。
基材の一方面にロッドコータを用いて第一塗工層塗料を塗工して乾燥させ、エアーナイフコータを用いて第二塗工層塗料を塗工して乾燥させた。他方面にロッドコータを用いてバックコート層塗料を塗工して乾燥させ昇華型捺染インク受容層を形成し、昇華型インクジェット捺染転写紙を得た。各実施例及び各比較例で用いた基紙とインク受容層塗料との組み合わせ、インク受容層塗料及びバックコート層塗料の塗工量(乾燥後)を表3に示す。
得られた昇華型インクジェット捺染転写紙を以下の方法により評価した。
透気度は、JIS P 8117:2009に準拠して、ガーレー標準型デンソメーター(ガーレー高圧型透気度試験機、熊谷理機工業(株)製)を用いて測定した。
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで赤100%+黄100%のベタ印字を行い、190℃で90秒間保持して伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット生地)への熱転写を行った。その後、布素材への転写濃度を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:布素材への転写濃度が高い。
4:布素材への転写濃度が「評価5」と比較すると低下しているが、十分に高い。
3:布素材への転写濃度は「評価4」と比較すると低下しているが、実用上問題ない程度の濃度である。
2:布素材への転写濃度が低く、実用上問題がある程度の濃度である。
1:布素材への転写濃度は明らかに低い。
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで赤100%+黄100%のベタ印字を行い、190℃で90秒間保持して伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット生地)への熱転写を行った。その後、転写後の各昇華型インクジェット捺染転写紙の印字面を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:紙面にインクが僅かに残っている程度である。
4:紙面にインクが残っているが、濃度は低い。
3:紙面にやや濃くインクが残っているが、実用上問題ない程度の濃度である。
2:紙面に濃くインクが残っており、実用上問題がある程度の濃度である。
1:紙面にかなり濃くインクが残っている。
デジタル画像を印刷した各昇華型インクジェット捺染転写紙の印字面を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:印字ムラが認められない。
4:印字ムラが殆ど認められない。
3:印字ムラが僅かに認められるが、実用上問題ない程度である。
2:印字ムラが明らかに認められ、実用上問題がある程度である。
1:印字ムラが目立って認められる。
デジタル画像を印刷した各昇華型インクジェット捺染転写紙を、190℃で90秒間保
持してポリエステル布素材への熱転写を行った。その後、伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット生地)に転写された画像を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:転写ムラが認められない。
4:転写ムラが殆ど認められない。
3:転写ムラが僅かに認められるが、実用上問題ない程度である。
2:転写ムラが明らかに認められ、実用上問題がある程度である。
1:転写ムラが目立って認められる。
デジタル画像を印刷した各昇華型インクジェット捺染転写紙を、190℃で90秒間保
持して伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット)への熱転写を行った。その後、伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット)に転写された画像を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:被転写物との密着性に優れ、伸縮性のある生地への追従性も非常に良好で画像ずれが全くない。
4:被転写物との密着性に優れ、伸縮性のある生地への追従性も良好で画像ずれがない。
3:被転写物との密着性はあり、伸縮性のある生地への追従性があり画像ずれも僅かで問題ない。
2:被転写物との密着性に若干難があり、伸縮性のある生地への追従性が悪く、画像ずれがある。
1:被転写物との密着性に難があり、使用できない。
デジタル画像を印刷した各昇華型インクジェット捺染転写紙を、190℃で90秒間保
持して伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット)への熱転写を行った。その後、伸縮性ポリエステル布素材(2wayニット)からの各昇華型インクジェット捺染転写紙の剥離性を評価した。
[評価基準]
5:被転写物からの剥離性に非常に優れ、熱転写機での操業性が非常に良好である。
4:被転写物からの剥離性に優れ、熱転写機での操業性も良好である。
3:被転写物からの剥離性があり、熱転写機で操業可能である。
2:被転写物からの剥離性が悪く、熱転写機での操業性に問題が有る。
1:被転写物からの剥離性が非常に悪く、熱転写機の操業性に非常に問題が有り、操業できない。
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで黒100%のベタ印字をした直後、印字面をテッシュペーパーで擦り、拭取った際に、紙面上のインクの伸びの有無を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
(評価基準)
5:乾燥が非常に早く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが全くない。
4:乾燥が早く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが殆どない。
3:乾燥が若干遅く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが僅かに認められるが、実用上問題はない。
2:乾燥が遅く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが認められる。
1:乾燥が非常に遅く、装置汚れや印字部の汚れが認められ、拭取り後の紙面上でインクの伸びが長く、使用不可である。
がなく、転写ムラが悪化した。
Claims (3)
- 基紙の一方面に少なくとも第一塗工層と第二塗工層が順に形成されており、
前記第一塗工層は、少なくとも1種類以上のバインダーと無機粒子と含有した受容層塗料からなり、
前記第二塗工層には、ポリオレフィン系エマルションとヒドロキシル化セルロースが含有されており、
ポリオレフィン系エマルションとヒドロキシル化セルロースの配合比が、質量比で、15:85~85:15であることを特徴とする、昇華型インクジェット捺染転写紙。 - 前記第一塗工層の無機粒子が、軽質炭酸カルシウム及び/又は重質炭酸カルシウムであり、
前記軽質炭酸カルシウム及び/又は重質炭酸カルシウムは、0.050~0.60μmの範囲に1次粒子のメジアン径d50を有し、アスペクト比が10未満である、請求項1に記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。 - 前記第一塗工層のバインダーは、少なくともエチレン酢酸ビニル共重合体を含む、請求項1又は請求項2に記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
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