JP3985739B2 - インクジェット記録体およびインクジェット記録体の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録体およびインクジェット記録体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録体に関し、特に、高い光沢度、高い平滑性等の優れた外観に優れ、インク吸収性の良好なインクジェット記録体に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性インクを微細なノズルから噴出して記録体に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること、また、他の印刷装置より安価であること等の理由から、端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及や高精細・高速化、さらにはデジタルカメラの登場により、インクジェット記録方式において用いられる記録体にも高度な特性が要望されるようになっている。
すなわち、速いインク吸収性、高い記録濃度、優れた耐水性や保存性等の記録特性、特に、銀塩写真に匹敵する画質、表面光沢および保存性を兼ね備えたインクジェット記録体の実現が強く求められている。
【0003】
一般に、インクジェット記録体に光沢を付与する方法としては、スーパーカレンダー等の装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することによって塗工層表面を平滑化する方法(カレンダー仕上げ)が知られている。
しかし、カレンダー仕上げにより得られる記録体は、光沢度が不十分であるうえに、塗工層の空隙が減少してしまうため、インク吸収性が低下し、結果として印字のにじみを生じやすくなるという問題を有している。
【0004】
このようなカレンダー仕上げの他に、光沢度を向上させるために、光沢を有する平滑なプラスティックフィルムまたは樹脂被覆紙(例えばポリエチレンラミネート紙)の表面に、澱粉、ゼラチン、水溶性セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、変性ポリウレタン等のインク吸収性樹脂によるインク受容層を設ける方法も数多く提案されている。
しかし、このような方法で得られる記録体は、ある程度の光沢度は得られるものの、インク吸収性は十分でなく、インクの乾燥も遅いために、ハンドリングが悪く、インクの吸収ムラが発生しやすく、耐水性やカールも劣るという問題がある。
【0005】
例えば、特許文献1〜5においては、平均粒子径の小さなコロイダルシリカなどの超微粒子顔料を主成分とした塗工層を設ける方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法により得られる記録体は、ある程度の光沢は有しているものの、超微粒子顔料を使用しているために、塗工層に十分な空隙が形成されず、依然として、満足できるインク吸収性は得られなかった。
また、特許文献4では、支持体に近い方から、一次粒子の平均粒径が50nm以下の気相法による合成シリカを含有する層及びコロイダルシリカを含有する層を少なくとも有するインクジェット記録用シートが提案されている。しかしながら、光沢性、耐擦傷性は向上するが、コロイダルシリカのような一次粒子体は空隙率が低くなるため、インク吸収性が低下しやすい。インク吸収性を持たせるために塗布量を低下させると、干渉縞を生じて光沢面の品質が低下したり、十分な光沢性が得られない。
また、特許文献5では、支持体上に、該支持体に近い側から、一次粒子の平均粒子径が30nm以下の気相法による合成シリカを含有する層とカチオン性コロイド粒子を含有する層とを少なくとも有するインクジェット記録用シートが提案されている。カチオン性コロイド粒子を用いることにより、印画後の画像の経時による滲み及び耐水性が改善されるものの、特許文献4と同様に、インク吸収性が低下する問題がある。
つまり、特許文献1〜5等には、インク吸収速度をなるべく低下させずに光沢性を向上するための方法については何ら記載されていない。
【0006】
その他に光沢を付与する方法として、鏡面を有する加熱した光沢ロールに湿潤塗工層を圧着させ、乾燥することにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、いわゆるキャスト塗工法が知られている(例えば、特許文献6及び7参照)。
【0007】
キャスト塗工法としては、
(1)顔料および接着剤を主成分とする顔料組成物を原紙上に塗工後、塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱光沢ロールに圧接、乾燥させて光沢仕上げするウェットキャスト法、
(2)湿潤状態の塗工層を酸や塩、熱によりゲル状態とし、これを加熱光沢ロールに圧接、乾燥させて光沢仕上げするゲル化キャスト法、
(3)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥した後、これを再湿潤液で湿潤可塑化し、これを加熱光沢ロールに圧接、乾燥させて光沢仕上げするリウェットキャスト法等のキャスト法が、一般に知られている。
【0008】
これらのキャスト法は、当業者間では、それぞれ別個の技術として認知されているものではあるが、いずれも湿潤可塑化状態にある塗工層表面を、光沢ロールに圧接、乾燥し、加熱光沢ロールから離型して鏡面を写し取る点においては、共通するものである。
【0009】
このようなキャスト法により得られるキャスト塗工紙は、カレンダー仕上げされた通常の記録体に比較して、高い表面光沢と優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られることから高級印刷物等の用途に専ら利用されている。
しかしながら、これらのキャスト塗工紙は、インクジェット記録体に利用する場合には、種々の難点を抱えている。
例えば、上述のようなキャスト塗工紙は、例えば特許文献6に開示されているように、その塗工層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物質が、キャストコーターの光沢ロール表面を写し取ることにより高い光沢を得ているものであり、この成膜性物質の存在によって塗工層の多孔性が失われ、インクジェット記録時のインクの吸収性が極端に低下してしまう。
そこで、キャスト塗工紙のインク吸収性を改善するために、塗工層を多孔質にすることが重要である。
しかしその一方で、銀塩写真並の高画質を得るためには、インクジェットプリンターの微細なノズルから噴出されたインクをひび割れなく再現できるように、塗工層は均一な膜が形成されていることが必要であるが、塗工層を多孔質にすると、塗工層を均一な膜に形成することが困難となる。
つまり、従来のウェットキャスト塗工では、ひび割れのない均一な膜と多孔質とを両立させることは、きわめて困難なことであった。
【0010】
また、キャスト塗工紙においては、湿潤した塗料を光沢ロールに接触させて乾燥するため、塗料中の水分が蒸気となって裏面に抜けることが必要である。そのため、樹脂被覆紙やフィルムのような、著しく透気性の低い支持体を使用すると、蒸気が塗工層内部に滞留する。蒸気の体積は、蒸発前の水の体積と比較し、非常に大きいため、逃げ場のなくなった蒸気は支持体を持ち上げる。そのときに、塗工層の最も弱い部分が破壊される。
例えば、加熱した鏡面仕上げの光沢ロールに対する塗料の接着が弱い場合は、塗工層と光沢ロールの界面で剥離し、光沢ロールの鏡面を十分に写し取ることができず、いわゆる密着不良という現象を引き起こす。一方、光沢ロールと塗料との接着力より未乾燥の塗工層の方が弱い場合は、塗工層内部で破断するため、塗工層の一部が光沢ロールの表面に残り、光沢ロール汚れを引き起こす。どちらの場合も美しいキャスト面を形成することが不可能であり、品質上、操業上のトラブルとなる。
したがって、樹脂被覆紙やフィルムのような、低透気性又は非透気性の支持体を使用してキャスト塗工紙を得ることには非常に大きな困難が伴うものである。
【0011】
さらに、インクジェット記録の際、印字した時に、インク中に含まれる水分等の溶媒の影響で記録体が伸びて波打つ、いわゆるコックリングという欠陥が観察されることが知られている。コックリングは、印字物の外観を損なうのみならず、コックリングした記録体と記録ヘッドが接触して記録体を汚したり、甚だしい場合は記録体が破れ、または記録ヘッドの故障を引き起こす場合がある。
コックリングを抑えるには、インク中の溶媒により伸びたりしない支持体を使用するか、インク受容層と支持体の間に、インク中の溶媒を通さない層を設けることが効果的である。たとえば、支持体として、樹脂被覆紙やフィルム等の低透気性又は非透気性の支持体を用いると、コックリングは効果的に抑えられる。
しかしながら、上述したように、低透気性又は非透気性の支持体を使用してキャスト塗工紙を得ることには非常に大きな困難が伴う。
【0012】
本発明者は、上記の問題を解決する方法として、特許文献8で提案したように、低透気性又は非透気性の支持体上に、顔料と接着剤を有するインク受容層を形成し、次いで、微細顔料と離型剤を有する光沢層を形成するインクジェット記録体において、微細顔料を有する光沢層用塗布液層を設ける工程、該塗布液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程、および該塗布液層を乾燥する工程を含む光沢化手段で光沢層を形成する方法で光沢を付与することが可能となった。しかしながら、操業中にプレス工程において光沢ロールにインクジェット記録体が貼り付き、光沢ロールが汚れる光沢ロール汚れや、さらに貼り付いたまま離型しなくなることが多いため、塗布効率が悪化する問題があった。
【0013】
従来のキャスト塗工紙は離型の問題を解決するため、ステアリン酸やレシチンなどの離型剤を添加している(特許文献9,10参照)が、湿潤した塗料を光沢ロールに接触させながら乾燥し塗料中の水分を水蒸気として裏面から抜くため、塗料中の樹脂、光沢ロールの温度、塗工速度および離型時間などから離型剤の種類や添加量を適宣選んでいた。しかしながら特許文献8で記載した方式では、プレスする工程を通過直後には離型させないと水蒸気が抜けないため、離型性が高く且つインク吸収を阻害しない離型剤の選択が重要となってくる。
【0014】
【特許文献1】
特開平2−274587号公報(第1,5及び6頁)
【特許文献2】
特開平8−67064号公報(第2,7及び8頁)
【特許文献3】
特開平8−118790号公報(第2,5及び6頁)
【特許文献4】
特開2000−37944号公報(第2,5及び6頁)
【特許文献5】
特開2001−353957号公報(第2,13及び14頁)
【特許文献6】
米国特許第5275846号明細書(カラム9,18〜20)
【特許文献7】
特開平7−89220号公報(第2,7〜10頁)
【特許文献8】
国際公開番号WO03/039881
【特許文献9】
特開平5−59688号公報
【特許文献10】
特開平7−164733号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低透気性又は非透気性の支持体を使用して、銀塩写真並の高い表面光沢度とドット再現性を有し、特に、高い光沢度、高い平滑性等の外観やインク吸収性に優れ操業時の離型性が良好なインクジェット記録体および製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、低透気性又は非透気性の支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設け、該インク受容層上に、光沢層を形成するための、微細顔料と特定の離型剤を含有する塗布液を供給し、供給された前記塗布液が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、前記支持体を、該塗布液が供給された面が光沢ロールに接するように、前記光沢ロールとプレスロールとの間をプレスしながら通過させて塗布液層を形成した後、直ちに前記光沢ロールから該塗布液層を剥離することにより得られるインクジェット記録体が、
(1)銀塩写真並の高い表面光沢度とひび割れのない塗工層を持ち、ドット再現性やインク吸収性、インク吸収速度に優れ、記録濃度が高く、インク溶媒によるコックリングを起こしにくいと共に、
(2)光沢ロール汚れがし難く離型性が良好であること
を見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち、本発明は、上記(1)及び(2)の知見に基づいてなされたものであり、以下の実施様態を含む。
〔1〕低透気性又は非透気性の支持体上に、顔料と接着剤を有するインク受容層を有し、該インク受容層上に、微細顔料を有する光沢層を有するインクジェット記録体において、該光沢層は、光沢ロールに圧接後、湿潤状態のうちに光沢ロールより剥離し、乾燥して形成された層であり、前記光沢層の微細顔料がシリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、且つ光沢層に下記一般式1で表わされる離型剤の少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット記録体。
−N (一般式1)
〔式中、 炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、 、R 、R それぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
〔2〕前記インク受容層は、細孔直径分布曲線における極大値が100nm以下のみであり、且つ平均2次粒子径1.3μm以下の顔料を主成分として含有する〔1〕記載のインクジェット記録体。
【0018】
〔3〕前記光沢層または前記インク受容層が、カチオン性化合物を含有する〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット記録体。
〔4〕前記光沢層の微細顔料が、平均一次粒子径3〜100nmのコロイダルシリカ、平均一次粒子径3〜100nmのアルミナ、および平均一次粒子径3〜100nm、かつ平均二次粒子径が1μm以下の無定形シリカから選ばれる少なくとも一種である〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
〔5〕前記光沢層の厚みが、0.02〜4μmであり、且つ前記インク受容層全体の厚みの1/10以下である〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
【0019】
〔6〕低透気性又は非透気性の支持体上に、顔料と接着剤を有するインク受容層を少なくとも一層を形成する工程、次いで、該インク受容層上に、微細顔料と下記一般式1の離型剤を含有する光沢層用塗布液層を設ける工程、該光沢層用塗布液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程、および該塗布液層を乾燥する工程を含む光沢化手段により光沢層を形成することを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
−N (一般式1)
〔式中、 炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、 、R 、R それぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
〔7〕前記光沢層または前記インク受容層が、カチオン性化合物を含有する〔6〕に記載のインクジェット記録体の製造方法。
〔8〕前記光沢層の微細顔料がシリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種である〔6〕又は〔7〕記載のインクジェット記録体の製造方法
〔9〕前記光沢層の微細顔料が、平均一次粒子径3〜100nmのコロイダルシリカ、平均一次粒子径3〜100nmのアルミナ、および平均一次粒子径3〜100nm、かつ平均二次粒子径が1μm以下の無定形シリカから選ばれた少なくとも微細顔料がシリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種である〔6〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録体の製造方法
〔10〕前記光沢層の厚みが、0.02〜4μmであり、且つ前記インク受容層前体の厚みの1/10以下である〔6〕〜〔9〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録体の製造方法
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録体は、好ましくは、下記「1」〜「5」の実施形態の製造方法により製造される。
「1」低透気性又は非透気性の支持体上に、少なくとも一層のインク受容層と、前記インク受容層上に設けられた光沢層とを有するインクジェット記録体の製造方法であって、
前記支持体上に少なくとも一層のインク受容層を形成するインク受容層形成工程と、
前記インク受容層上に、光沢層を形成するための、微細顔料と特定の離型剤を含有する塗布液を供給する塗布液供給工程と、
前記支持体を、前記塗布液が供給された面が光沢ロールに接するように、前記光沢ロールとプレスロールとの間をプレスしながら通過させて塗布液層を形成した後、該塗布液層が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、前記光沢ロールから剥離するプレス工程と
を備えることを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
【0021】
「2」前記プレス工程後に、さらに、前記塗布液層を乾燥する乾燥工程を有する「1」記載のインクジェット記録体の製造方法。
「3」前記光沢層が、平均一次粒子径5〜100nmの顔料を含有する「1」記載のインクジェット記録体の製造方法。
「4」前記光沢層と接する前記インク受容層の細孔直径分布曲線における極大値が100nm以下のみである「1」記載のインクジェット記録体の製造方法。
「5」前記支持体がフイルム又は樹脂被覆紙である「1」記載のインクジェット記録体の製造方法。
【0022】
図1に、本発明のインクジェット記録体の好ましい実施形態における製造工程の一例を示す。
本実施形態においては、まず、低透気性又は非透気性の支持体2上にインク受容層3を設ける(インク受容層形成工程)。そして、支持体2を、インク受容層3が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間に配置する。次いで、インク受容層3上に、光沢層を形成するための、後述する特定の離型剤を含有する塗布液4を供給して、光沢ロール5とプレスロール6との接線の上部に塗布液溜まりを形成する(塗布液供給工程)。そして、塗布液4が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、支持体2を、塗布液4が供給された面が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間をプレスしながら通過させて塗布液層7を形成した後、直ちに光沢ロール5から塗布液層7を剥離する(プレス工程)。その後、ドライヤー9を用いて乾燥(調湿)して、支持体2、インク受容層3、光沢層8からなるインクジェット記録体1を得る。
【0023】
(支持体について)
本発明において、低透気性又は非透気性の支持体とは、透気度が好ましくは500秒以上、より好ましくは1000秒以上であるような支持体を意味する。透気性は、一般に、紙や不織布などの多孔性を評価する項目として知られている透気度によって表される。透気度は、空気100mlが面積645mmの試験片を通過するのに要する時間で表され、JIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)に規定されている。
前述のとおり、従来、キャスト塗工においては、キャスト塗工層の乾燥時、塗料の水分は蒸気となり、支持体を通って裏面に抜けるため、キャスト塗工に用いられる支持体の透気度は高い方が好ましかった。しかし、本発明においては、透気度に拘る必要はない。逆に、コックリングを抑えるためには、支持体は、水分や水蒸気を通さないことが好ましい。したがって、本発明で用いられる支持体は、平滑な表面を持つ低透気性又は非透気性のものであれば、特に材質は問わない。
【0024】
好ましい支持体としては、例えば、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した、ユポ(ユポ・コーポレーション社製)に代表される合成紙や、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル(たとえばPET)等のフィルムや、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの樹脂で、紙などの基材表面を被覆した樹脂被覆紙が挙げられる。特に、酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂で紙表面を被覆した樹脂被覆紙は、仕上がった外観が写真印画紙と同等であるため、特に好ましく用いられる。
【0025】
支持体が樹脂被覆紙の場合、樹脂層の厚みに特に制限はないが、例えばポリエチレン樹脂を被覆した樹脂被覆紙の場合、ポリエチレン樹脂層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。ポリエチレン樹脂層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆時にポリエチレン樹脂層に穴等の欠陥が生じやすくなり、厚みのコントロールに困難がある場合が多くなり、平滑性も得にくくなる。逆に50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。
また、後述するインク受容層との接着性を高めるため、樹脂層表面に、コロナ放電処理を施したり、アンカーコート層を設けることが好ましい。
【0026】
また、樹脂被覆紙の基材として紙を用いる場合、紙基材としては、木材パルプを主材料として製造されたものが好ましく用いられる。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度が好ましい範囲である。またいわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、木材パルプに顔料を添加することができる。顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があり、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
【0027】
(インク受容層について)
本発明において、インク受容層は、低透気性又は非透気性の支持体上に少なくとも一層形成されている。インク受容層の少なくとも一層は、顔料と接着剤を含み、さらに、必要に応じて、カチオン性化合物を含むことができる。
本発明では、形成するインク受容層は一層であっても多層であってもよい。インク受容層が多層の場合、用いる顔料や接着剤は各インク受容層毎に変えることができる。このとき、例えばインク受容層が二層構造の場合、光沢層と接するインク受容層(第1層)では、光沢度を高くするために非常に微細な顔料を用い、支持体と接するインク受容層(第2層)にそれよりも大きな粒子径の顔料を用いると、第1層のインク吸収性が低くても、第2層のインク吸収性を高くなるので、光沢度とインク吸収性を共に維持又は向上させることができる。
【0028】
インク受容層のうち、光沢層と接するインク受容層に使用される顔料としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン等の透明または白色顔料が例示され、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
特に好ましい顔料は特開2002−354408号公報に記載の湿式シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ又は無定形シリカである。中でも、特開2002−354408号公報に記載の湿式シリカや無定形シリカは、二次粒子であり、その内部に空隙を有しているので、一次粒子であるコロイダルシリカを使用する場合より、低い顔料/樹脂比率でも、インク吸収性での問題を起こしにくい傾向にあるので、特に好ましく用いられる。
【0029】
無定形シリカとしては、窒素吸着法による比表面積が300m/g〜1000m/gで、細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであるシリカ微粒子がコロイド状に分散した液をシード液とし、該シード液に対し、アルカリの存在下、活性ケイ酸水溶液及び/又はアルコキシシランからなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて、窒素吸着法による比表面積が100m/g〜400m/g、平均二次粒子径が20nm〜300nm、かつ細孔容積が0.5ml〜2.0ml/gのシリカ微粒子がコロイド状に分散したシリカ微粒子分散液を用いても良い。
【0030】
光沢層と接するインク受容層に無定形シリカを使用する場合、好ましくは平均一次粒子径3〜70nm、より好ましくは5〜40nmのものを用いる。また、無定形シリカは、好ましくは平均二次粒子径1.3μm以下、より好ましくは10〜700nmのものを用いる。平均二次粒子径が1.3μm以下であれば、細孔直径分布曲線における極大値が100nm以下とすることができるので、ひび割れのない塗工層が得られやすく、ドット再現性、インク吸収性が良好で、かつ、インク受容層の透明性が向上するので、記録濃度も高い。
【0031】
ここで、平均二次粒子径とは、5%シリカ分散液をホモミキサーにて5000rpm30分撹拌分散した直後に分散液を塗工してサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
平均二次粒子径1.3μm以下の顔料の製造方法は、特に限定しないが、例えば、一般市販の合成無定形シリカなどの塊状原料や、液相での化学反応によって得られた沈殿物を機械的手段で粉砕する方法や、金属アルコキシドの加水分解によるゾル−ゲル法、気相での高温加水分解等の方法によって得ることができる。機械的手段としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。
【0032】
また、微細顔料の比表面積は、特に限定されないが、150m/g以上であることが好ましい。ここで、微細顔料の比表面積とは、微細顔料を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の窒素吸脱着等温線をCoulter社製のSA3100型を用いて、200℃で2時間真空脱気した後測定し、比表面積をt法により算出したものである。比表面積は、微細顔料の質量あたりの表面積であり、その値が大きいほど一次粒子が小さく、二次粒子の形状が複雑になりやすく、細孔内の容量が大きくなり、インク吸収性が向上すると考えられる。
【0033】
インク受容層は、細孔直径分布曲線における極大値が100nm以下のみであることが好ましい。細孔直径分布曲線における極大値とは、以下に述べる方法によって求める細孔直径分布曲線の極大値を示す。
すなわち、細孔直径分布曲線は、記録層中の粒子間に形成される空隙量の分布を水銀圧入法により測定し、この水銀圧入法により求めた空隙量の分布曲線から計算により求めることができる。
ここで、水銀圧入法とは、水銀ポロシメトリーとも呼ばれ、耐火物41巻、6号297〜303頁/1989年に述べられているように、多孔質体の細孔構造(細孔直径や細孔容積)を測定するのに広く用いられている方法である。その測定の原理には、水銀は表面張力が大きいので、圧力をかけないと多孔質体の細孔内に侵入できないことを利用している。すなわち、水銀に加わる圧力とその時に水銀が侵入できる細孔直径との関係は下記式(1)に示される。
P = −4σcosθ/D (1)
ここで、P :水銀が細孔内に侵入するために要求される圧力(psi)
σ :水銀の表面張力 (480dyn/cm)
θ :水銀の接触角 (140°)
D :細孔直径 (μm)
である。
上記(1)式にσ、θの値を代入することにより、細孔直径Dを求めるための式(2)を得る。
D =213/P (2)
【0034】
細孔直径分布曲線は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力Pを除々に変化させ、そのときに細孔内に侵入した水銀の体積すなわち細孔容量Vを測定し、上記(2)式に従って換算した細孔直径Dと細孔容量Vとの関係を描き、この関係曲線の微分係数(dV/dD)を求めて縦軸とし、細孔直径Dを横軸にすることで求められる。細孔直径分布曲線は、通常、1〜2個の極大値を有している。
【0035】
本発明では、支持体の影響を避けるために、インク受容層をフィルムに設けた後、カッター等でインク受容層を剥がし取って測定する。フィルム上で測定する場合、フィルム自体の細孔直径分布が無視できるフィルムを使用する。
【0036】
細孔直径が小さいほど、記録層の光沢度は高い。本発明においては、銀塩写真様の高い光沢度のインクジェット記録体を得るために、細孔直径分布曲線の極大値が存在するのは100nm以下のみであることが好ましく、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。100nmより大きい極大値が存在すると、光沢度やドット再現性が低下し、さらに、記録層がひび割れしやすくなってしまう。
【0037】
また、インク受容層が多層、例えば二層の場合、光沢層と接していないインク受容層は、光沢層と接するインク受容層に使用される顔料と同様の顔料を含有していてもよい。
特に好ましい顔料は無定形シリカであり、光沢層と接していないインク受容層に無定形シリカを使用する場合、平均一次粒子径3〜70nm且つ平均二次粒子径20μm以下のものが好ましく、平均一次粒子径5〜40nm且つ平均二次粒子径1.3μm以下のものがより好ましい。
【0038】
また、光沢層と接していないインク受容層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径は、光沢層と接するインク受容層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径より大きいことが好ましい。これは、光沢層と接していないインク受容層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径が、光沢層と接するインク受容層に使用される無定形シリカの平均二次粒子径より小さい場合は、インク吸収性が低下する場合があるためである。
【0039】
インク受容層に使用される接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)、ポリビニルアセタール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの水溶性樹脂や、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどの水分散性樹脂から適宜選択して使用することができる。なかでも、バインダー効果に優れていることから、PVAが好ましい。
【0040】
接着剤として例えばPVAを用いる場合、重合度は3000〜8000のものが好ましく、3500〜5000のものがより好ましく用いられる。重合度が上記範囲内のPVAを用いることにより、インク受容層のひび割れを少なくすることができ、しかもインクの溶剤による膨潤も少ないため、インク吸収速度の低下が少ない。また、PVAのケン化度の好ましい範囲は90〜100%であり、より好ましくは95〜100%である。ケン化度が90%を下まわると、インクの溶剤によるPVAの膨潤により、インク吸収速度の低下のおそれがある。
接着剤の含有量としては、顔料に対し、好ましくは、3〜100質量%、より好ましくは5〜30質量%程度が好ましい。接着剤が3質量%より少ないとインク受容層にひび割れが生じやすく、100質量%より多いと、顔料により形成される細孔を接着剤が塞ぎ、インク吸収容量の低下を招いてしまう可能性がある。
【0041】
インク受容層には、必要に応じて、後述する光沢層と同様、インク中の染料を固着し、耐水性を付与し、記録濃度を向上させるために、カチオン性化合物を添加することができる。カチオン性化合物については後述するが、光沢層に添加できるものがそのまま例示できる。また、光沢層とインク受容層では、異なる種類のカチオン性化合物を適宜選択でき、更に、複数のカチオン性化合物を併用することも可能である。
【0042】
インク受容層には、光沢層と同様、記録体表面を光沢ロールからスムーズに安定して剥離するように、必要に応じて離型剤を添加することができる。離型剤については後述するが、光沢層に添加できるものがそのまま例示できる。また、光沢層とインク受容層では、異なる種類の離型剤を適宜選択でき、更に、複数の離型剤を併用することも可能である。
【0043】
また、インク受容層には、上記のほかにも、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
【0044】
(インク受容層の形成方法について)
インク受容層は、溶媒中に、上述のような顔料等の成分を分散させた塗工液を支持体に塗工し、乾燥させることによって形成される。塗工液の溶媒としては、特に限定はないが、塗工適性などの理由で、水が好ましい。
インク受容層の塗工量の合計は、5〜70g/mが好ましく、10〜50g/mがより好ましく、15〜40g/mが更に好ましい。また、塗工層の厚みの合計は、7〜105μmが好ましく、15〜75μmがより好ましく、22〜60μmがさらに好ましい。塗工量が5g/m未満の場合、光沢層が十分に形成できない可能性があるのみならず、インク吸収性が低下し、記録適性が劣る場合があり、塗工量が70g/mを超えると、塗工層の強度が低下し、記録用紙の断裁加工時や、プリンタでの記録体の搬送時に、トラブルを起こしやすくなるおそれがある。
塗工工程は1回でもよく、また、複数回行ってもよい。塗工工程を複数回行うと、インク受容層を多層とすることもできる。また、塗工液を複数回に分けて塗工することで、ひび割れの発生を抑制しながら多くの塗工液を塗工することができ、インク受容層のインク吸収容量を大きくすることができる。
【0045】
インク受容層の塗工装置としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リンプコーター、スタイドビードコーター等、各種公知の塗工装置が利用できる。特に、エアナイフコーターは、幅広い塗料物性、塗工量に対応可能なため、好適に用いられる。また、ダイコーターやカーテンコーターは、塗工量の均一性に優れるため、特に高精細な記録を目的とする光沢タイプのインクジェット記録体には、好ましい塗工方法である。
塗膜の乾燥方法としては、特に限定はないが、従来から公知公用の熱風乾燥、ガスヒータ乾燥、高周波乾燥、電気ヒータ乾燥、赤外線ヒータ乾燥、レーザ乾燥、電子線乾燥等の各種加熱乾燥方式が適宜採用される。
【0046】
(光沢層について)
本発明において、光沢層は、微細顔料を主成分とし、下記一般式1で示す離型剤を含有する。また、後述する水性樹脂や保存性改良剤などの任意のその他の成分を含有していてもよい。光沢層を形成するための塗布液は、これらの成分を適当な分散媒に分散させることにより調製される。
−N (一般式1)
〔式中、 炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、 、R 、R それぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
【0047】
上記一般式1の離型剤は、特に離型性が良好で且つインク吸収性を阻害しない、優れた離型剤である。
【0048】
また、一般式1の具体例として、ステアリルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリエチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリブチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルブロマイド、ステアリルトリメチルフルオライド、ステアリルトリメチルアイオダイド、ステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルアンモニウムクロライド、オレイルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリエチルアンモニウムクロライド、オレイルトリブチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルブロマイド、オレイルトリメチルフルオライド、オレイルトリメチルアイオダイド、オレイルモノメチルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリエチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリブチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルブロマイド、ラウリルトリメチルフルオライド、ラウリルトリメチルアイオダイド、ラウリルモノメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルアンモニウムクロライド、パルミチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、スパルミチルトリエチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリブチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルブロマイド、パルミチルトリメチルフルオライド、パルミチルトリメチルアイオダイド、パルミチルモノメチルアンモニウムクロライド、パルミチルジメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリエチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリブチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルブロマイド、ミリスチルトリメチルフルオライド、ミリスチルトリメチルアイオダイド、ミリスチルモノメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0049】
光沢層に含有される顔料としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン等の透明または白色顔料が例示される。これらの内で特に好ましい顔料は、コロイダルシリカ、アルミナまたは無定形シリカである。
【0050】
コロイダルシリカまたはアルミナを使用すると、光沢性が向上するため、特に好ましく用いられる。コロイダルシリカまたはアルミナは、平均一次粒子径5〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましい。さらに好ましくは20〜70nmである。平均粒子径が5nm未満の場合は、インク吸収性が低下する場合があり、平均粒子径が100nmを超えると、透明性が低下するため、印字濃度が低下する傾向がある。
無定形シリカを使用する場合、好ましくは平均一次粒子径5〜100nm、より好ましくは5〜40nmのものを用いる。また、無定形シリカは、好ましくは平均二次粒子径1μm以下、より好ましくは10〜700nmのものを用いる。
【0051】
光沢層に、顔料として、コロイダルシリカやアルミナ等の一次粒子を用いる場合、空隙率が低くなるため、インク吸収速度が低下しやすい。そのため、好ましい光沢層の厚みは0.02〜4μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
また、インク吸収容量とインク吸収速度との兼ね合いから、光沢層の厚みは、インク受容層全体の厚みの1/10以下であることが好ましい。より好ましくは1/20以下、さらに好ましくは1/30以下である。
【0052】
水性樹脂は、インク吸収性を低下させるおそれがあるが、樹脂系光沢が必要な場合等に適宜用いることができる。
水性樹脂としては、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびその共重合物、ポリメチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、酸化澱粉、カチオン化澱粉等の変性澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の水性樹脂およびそれらの共重合物、変性物等が挙げられ、単独または組み合わせて使用でき、特に、スチレン・アクリル系共重合体が好ましい。
水性樹脂の平均粒子径は、20〜150nmの範囲が好ましく、20nm未満の場合は、インク吸収性が低下する場合があり、150nmを超える場合は、透明性が低下し、印字濃度が低下する場合がある。
水性樹脂のガラス転移温度は、50〜150℃の範囲が好ましい。ガラス転移温度が、50℃より低い場合は、乾燥時に光沢層の成膜が進みすぎ、光沢層の多孔性が低下し、インク吸収性が低下する場合がある。150℃より高い場合は、成膜が不足し、光沢や強度が不足する場合がある。
水性樹脂の配合量は、顔料100質量部に対し、水性樹脂が、好ましくは0〜50質量部、より好ましくは0〜30質量部の範囲内であることが好ましい。
【0053】
光沢層には、必要に応じて、インク受容層と同様、インク中の染料を固着し、耐水性を付与し、記録濃度を向上させるために、カチオン性化合物を添加することができる。
カチオン性化合物としては、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、第2、3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ポリビニルアミン類、ポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物、ジアリルアミン塩−二酸化イオウ共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミン(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等のカチオン性化合物、アクリロニトリルとN−ビニルアクリルアミジン塩酸重合体、及び、その加水分解物、ポリアミジン系樹脂、ポリオキシ塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化ジルコニウム等が挙げられ、単独または数種類を組み合わせて使用しても良い。
【0054】
光沢層には、必要に応じて、保存性改良剤としてイオウ含有化合物を添加しても良い。イオウ含有化合物の中でも特に1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ブタン、2,2’−ジチオエタノールおよび3,3’−チオジプロピオン酸が好ましく、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタンがより好ましい。これらのイオウ含有化合物は、単独で配合されても、2種以上を混合して配合されてもよい。
【0055】
また、光沢層には、上記のほかにも、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
【0056】
(光沢層の形成方法について)
<塗工工程>
光沢層は、インク受容層3上に、上述のような成分を分散させて塗布液4を塗工する。調製するために用いられる分散媒としては、特に限定はないが、塗工適性などの理由で、水が好ましい。
塗布液中の総固形分濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
【0057】
光沢層の塗布量は、乾燥質量として、0.01〜3g/mが好ましく、0.03〜2g/mがより好ましく、0.05〜1g/mが更に好ましい。塗布量が0.01g/m未満の場合は、十分な光沢層を形成することが困難なために、光沢度が低くなりやすい。また、塗布量が3g/mを超えると、光沢度は得やすいが、インク吸収性や記録濃度が低下しやすい。
【0058】
<プレス工程>
次いで、供給された塗布液4が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、支持体2を、塗布液4が供給された面が光沢ロール5に接するように、光沢ロール5とプレスロール6との間をプレスしながら通過させて塗布液層7を形成した後、直ちに光沢ロール5から塗布液層7を剥離するプレス工程を行う。
湿潤又は半乾燥状態にある塗布液4を、加熱した光沢ロール5とプレスロール6との間を、塗布液4が供給された面が光沢ロール5に接するようにプレスロール6でプレスすることにより、インク受容層3上に塗布液層7が形成される。この際、プレス圧と温度により塗布液層7はインク受容層3に密着され、ひび割れのない均一な膜が形成される。
プレス工程後、塗布液層7を、ドライヤー9などの乾燥ゾーンで別途乾燥させる乾燥工程を行うことも可能である。
【0059】
光沢ロールの表面温度は、乾燥条件等の操業性、インク受容層への密着性、光沢層表面の光沢性から、40〜130℃の範囲が好ましく、70〜120℃の範囲がより好ましい。光沢ロールの表面温度が、40℃未満の場合は、インクジェット記録体の表面強度が低下するおそれや、インク受容層の接着剤が軟化し難く、インク受容層への密着性が悪化したりする。130℃を超える場合は、インク受容層の接着剤の成膜が進みすぎるためインク吸収性が低下したり、塗布液4が沸騰し、光沢面が悪化するおそれがある。
また、光沢ロールは、耐熱性がよく、優れた鏡面性が得られることから、金属ロールであることが好ましい。また、表面に微細な凹凸をつけて光沢性を低下させるいわゆる半光沢紙にする場合、金属ロールに微細な凹凸をつけてもよい。光沢ロールの平均線中心粗さRaは、目標とする光沢によって変わるが、例えば、10μm以下である。
【0060】
プレスロールの材質は、上述のような光沢ロールとの間での加圧をより均一にするために耐熱樹脂製が好ましい。
プレスロールによる加圧は、光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、好ましくは50〜3500N/cm、より好ましくは200〜3000N/cmになるように行うことが好ましい。光沢ロールとプレスロールの間の線圧が、50N/cm未満の場合は、線圧が均一になり難く光沢性が低下したり、塗布液層7のインク受容層3に対する密着性が低下し、表面がひび割れたりするおそれがあり、3500N/cmを超える場合は、インクジェット記録体を過度に加圧するためにインク受容層および光沢層の空隙を破壊するためにインク吸収性が低下するおそれがある。
【0061】
<乾燥(調湿)工程>
本発明において、光沢ロール5から剥離した直後のインクジェット記録体1(支持体2、インク受容層3及び塗布液層7)中の水分は、湿潤状態又は半乾燥状態である。塗工層の水分率は、インク受容層や光沢層の塗布量により大きく影響されるが、例えば7〜100%である。
光沢ロール5から剥離した後、ワインダーで巻き取るまでの間に平衡水分に達するような場合には、調湿・乾燥装置は不要であるが、塗布速度が速く、紙等の支持体2に含まれる水分が高い場合は、光沢ロール5から剥離してワインダーで巻き取るまでの間に、調湿装置を有する調湿工程または乾燥装置を有する乾燥工程が必要である。調湿または乾燥装置の能力や仕様は、インクジェット記録体が光沢ロール5から剥離された時点で持っている水分と平衡水分との差および塗布速度により、適宜設定される。
【0062】
なお、上述のようにして形成される光沢層8の表面は、銀塩写真様の風合いを得るためには、75°表面光沢度(JIS P 8142)が好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上であり、かつ、幅2.0mmの光学くしを使用した時の写像性(JIS H 8686−2)が好ましくは55%以上、より好ましくは57%以上、さらに好ましくは60%以上、最も好ましくは65%以上であることが好ましい。
【0063】
なお、図1では、光沢ロール5とプレスロール6とを左右に並べて配置し、光沢ロール5とプレスロール6との接線の上部に塗布液溜まりを形成して、縦方向に支持体を通過させたが、例えば、光沢ロール5とプレスロール6を上下に並べて配置し、インク受容層3上に塗布液4を供給して、横方向に支持体を通過させてもよい。
【0064】
上述のように、従来のキャスト塗工紙の製造方法が、湿潤可塑化状態にある塗布層表面を、加熱した光沢ロールに圧接、乾燥して光沢層を形成した後、光沢ロールから離型して鏡面を写し取るのに対し、本実施形態では、インク受容層上に、光沢層を形成するための、微細顔料と特定の離型剤とを含有する塗布液を供給し、該塗布液が湿潤状態または半乾燥状態にあるうちに、支持体を、該塗布液が供給された面が光沢ロールに接するように、光沢ロールとプレスロールとの間をプレスしながら通過させて塗布液層を形成した後、直ちに前記光沢ロールから該塗布液層を剥離することにより光沢層を設ける。
このようにして得られる本実施形態のインクジェット記録体は、銀塩写真並の高い表面光沢度とドット再現性を有し、特に、高い光沢度、高い平滑性等の外観やインク吸収性に優れ操業時の離型性が良好なインクジェット記録適性を有する。
【0065】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%で示した。
【0066】
(シリカゾルA)
市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径10nm、比表面積300m/g、トクヤマ社製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。該分散液にカチオン性化合物として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(商品名:ユニセンスCP−103、センカ社製)10部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる8%分散液を調製しシリカゾルAを得た。
【0067】
(支持体A)
CSF(JIS P−8121)が250mlまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、CSFが250mlまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して分散させた。
上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m、密度1.0g/cmの原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の質量比で混合し、これを水に加えて過熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面に、合計で25ml/m塗布して、支持体A(透気度:300秒)を得た。
【0068】
(支持体B)
上記支持体Aの原紙の両面に、コロナ放電処理した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、支持体Aのフェルト面側に、塗工量25g/mとなるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物2を、支持体Aのワイヤー側に、塗工量20g/mとなるように、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗布し、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆した支持体を得た。
【0069】
(ポリオレフィン樹脂組成物1)
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、チバガイギー社製)0.03部、群青(商品名:青口群青NO.2000、第一化成社製)0.09部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバガイギー社製)0.3部を混合し、ポリオレフィン樹脂組成物1とした。
【0070】
(ポリオレフィン樹脂組成物2)
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)35部を溶融混合し、ポリオレフィン樹脂組成物2とした。
【0071】
実施例1
(インク受容層の形成)
シリカゾルA100部に5%ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135H、重合度:3500、ケン化度:99%以上)24部を混合し、メイヤーバーで塗工量が25g/mとなるように支持体B上に塗布乾燥して内側インク受容層を設けた。厚みは37μmであった。
(光沢層の形成)
次に、カチオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK、日産化学社製)100部とステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部を混合し、10%に希釈し、内側インク受容層上に塗工し、湿潤状態にあるうちに、表面温度100℃としたクロム鍍金仕上げした鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接し光沢層を形成したのち、ドライヤーで乾燥してインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0072】
実施例
実施例の光沢層の形成において、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部の代りにオレイルトリメチルアンモニウムクロライド3部を用いた以外は、実施例と同様にインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0073】
実施例
実施例の光沢層の形成において、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部の代りにステアリルアンモニウムクロライド3部を用いた以外は、実施例と同様にインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0074】
実施例
実施例の光沢層の形成において、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部の代りにラウリルトリメチルアンモニウムクロライド3部を用いた以外は、実施例と同様にインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0075】
実施例
(内側インク受容層の形成)
サイロジェット703A(比表面積:280m/g、平均二次粒子径300nm、グレースデビソン社製)に5%ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135H、重合度:3500、ケン化度:99%以上)24部を混合し、メイヤーバーで塗工量が20g/mとなるように支持体B上に塗布乾燥して内側インク受容層を設けた。
(外側インク受容層の形成)
前記内側インク受容層上に、シリカゾルA100部に5%ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135H、重合度:3500、ケン化度:99%以上)24部を混合し、メイヤーバーで塗工量が5g/mとなるように塗布乾燥して外側インク受容層を設けた。
(光沢層の形成)
次に、カチオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK、日産化学社製)100部とステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部を混合し、10%に希釈し、外側インク受容層上に塗工し、湿潤状態にあるうちに、表面温度100℃としたクロム鍍金仕上げした鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接し光沢層を形成したのち、ドライヤーで乾燥してインクジェット記録体を得た。インク受容層の厚みは合計39μmであり、光沢層の厚みは1μmであった。
【0076】
実施例6
実施例5の内側インク受容層の形成において、支持体Bの代りに、市販のポリプロピレン合成紙(商品名:ユポGWG−140、ユポコーポレーション社製)を用いた以外は、実施例5と同様にインクジェット記録体を得た。インク受容層の厚みは合計39μmであり、光沢層の厚みは1μmであった。
【0077】
比較例
実施例の光沢層の形成において、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部の代りにカプリルトリメチルアンモニウムクロライド3部を用いた以外は、実施例と同様にインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0078】
比較例
実施例の光沢層の形成において、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部の代りにカチオン性ポリエチレンワックス(商品名:メイカテックスPEC−270、明成化学社製)3部を用いた以外は、実施例と同様にインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0079】
比較例
実施例の光沢層の形成において、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド3部を添加しない以外は、実施例と同様にインクジェット記録体を得た。光沢層の厚みは1μmであった。
【0080】
(評価方法)
実施例および比較例で得たインクジェット記録体の75度表面光沢度、コックリング、インク吸収性、印字濃度、細孔直径分布曲線の極大値、並びに離型性を評価し、その結果を表1に示した。各評価については、下記の方法で測定した。
【0081】
(75度表面光沢度)
JIS P8142に記載の方法で、インクジェット記録体の75度光沢度を測定した。
【0082】
(コックリング)
コックリングは、インクジェットプリンタBJF870(キヤノン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、キヤノン社性BCI−6C、BCI−6M、BCI−6Y、BCI−Bk、BCI−6PCおよびBCI−6PMフォトを使用した。評価は、シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字部に発生したコックリングを目視にて評価した。
○:コックリングが全く認められず、良好な状態。
△:コックリングがあり、使用状況によっては問題となるレベル。
×:コックリングが著しく、実用にならないレベル。
【0083】
(インク吸収性)
インクジェットプリンタBJ S700(キヤノン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、キヤノン社製BCI−3eBk、BCI−3eC、BCI−3eMおよびBCI−3eYを用いて緑ベタ印字を行い、ベタ印字部を目視にて評価した。
◎:ベタ部にムラが見られず、良好な状態。
○:ベタ部にムラが若干見られるが、殆ど問題にはならないレベル。
△:ベタ部にムラが多少見られ、使用状況によっては問題となるレベル。
【0084】
(印字濃度)
印字濃度は、インクジェットプリンタBJ F870(キヤノン社製)を用いて行った。インクカートリッジは、キヤノン社性BCI−6C、BCI−6M、BCI−6Y、BCI−Bk、BCI−6PCおよびBCI−6PMフォトを使用した。評価は、黒ベタ印字部をマクベス反射濃度計(マクベス社製、RD−914)を用いて測定した。表中に示した数字は5回測定の平均値である。
【0085】
(細孔直径分布曲線の極大値)
マイクロメトリックスポアザイザー9320(島津製作所社製)を用い、水銀圧入法により、全細孔分布曲線の極大値(nm)を求めた。
【0086】
(離型性)
光沢層の形成時の離型性を官能評価で行った。
○:問題なく連続操業が可能である。
△:操業途中で光沢ロール汚れが発生する頻度が比較的多い。
×:操業途中で光沢ロール汚れが発生する頻度がかなり多く、問題あり。
【0087】
【表1】
Figure 0003985739
【0088】
このように、特定の離型剤を光沢層に配合した各実施例は、光沢性に優れ、インク吸収性、離型性をも満足するインクジェット記録体であった。
【0089】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録体は、銀塩写真並の高い表面光沢度と高いドット再現性を持ち、インク吸収性に優れ、記録濃度が高く、インク溶媒によるコックリングを起こしにくい優れたインクジェット記録適性を有し、さらに離型性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録体の好ましい実施形態における製造工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:インクジェット記録体
2:支持体
3:インク受容層
4:塗布液
5:光沢ロール
6:プレスロール
7:塗布液層
8:光沢層
9:ドライヤー

Claims (7)

  1. 低透気性又は非透気性の支持体上に、顔料と接着剤を有するインク受容層を有し、該インク受容層上に、微細顔料を有する光沢層を有するインクジェット記録体において、該光沢層は、光沢ロールに圧接後、湿潤状態のうちに光沢ロールより剥離し、乾燥して形成された層であり、前記光沢層の微細顔料がシリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、且つ光沢層に下記一般式1で表わされる離型剤の少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット記録体。
    −N (一般式1)
    〔式中、 炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、 、R 、R それぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
  2. 前記インク受容層は、細孔直径分布曲線における極大値が100nm以下のみであり、且つ平均2次粒子径1.3μm以下の顔料を主成分として含有する請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. 前記光沢層または前記インク受容層が、カチオン性化合物を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録体。
  4. 前記光沢層の微細顔料が、平均一次粒子径3〜100nmのコロイダルシリカ、平均一次粒子径3〜100nmのアルミナ、および平均一次粒子径3〜100nm、かつ平均二次粒子径が1μm以下の無定形シリカから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  5. 前記光沢層の厚みが、0.02〜4μmであり、且つ前記インク受容層全体の厚みの1/10以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  6. 低透気性又は非透気性の支持体上に、顔料と接着剤を有するインク受容層を少なくとも一層を形成する工程、次いで、該インク受容層上に、微細顔料と下記一般式1離型剤を含有する光沢層用塗布液層を設ける工程、該光沢層用塗布液層を光沢ロールに接するようにプレスロールでプレスする工程、および該塗布液層を乾燥する工程を含む光沢化手段により光沢層を形成することを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
    −N (一般式1)
    〔式中、 炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基、 、R 、R それぞれH、炭素数1〜4のアルキル基、XはF、Cl、Br、またはIを示す。〕
  7. 前記光沢層または前記インク受容層が、カチオン性化合物を含有する請求項6に記載のインクジェット記録体の製造方法。
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