JP2007260995A - インクジェット記録用紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高光沢、高インク吸収性を併せ持つインクジェット記録用紙を高い生産性を持って製造する。
【解決手段】 木材パルプを主成分とする基紙のいずれか一方の面に、下塗り層と、上塗り層をこの順に設けてなるインクジェット記録用紙の製造方法であって、顔料を含有する下塗り層用塗工液をブレードコーターで塗工した後、下塗り層が未乾燥のうちに顔料を含有する上塗り層用塗工液をカーテンコーターで塗工する。上塗り層用塗工液に含有する顔料が気相法アルミナであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光沢性およびインク吸収性に優れるインクジェット記録用紙の製造方法に関するものである。
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なことや印字騒音が少ないことなどから近年急速に普及してきた。この方式はノズルから記録媒体に向けてインクの微小液滴を高速で飛翔、付着させて画像や文字などの記録を行うものであり、インク中には多量の溶媒を含む。従って、記録媒体としては速やかにインクを吸収する必要がある。近年、コンピューターやデジタルカメラの普及により、銀塩写真に近い画像品質(高い発色性、解像度、色再現性、及び高光沢性)が要求され、これに対応するため、インク受理層を記録媒体表面に塗工する、いわゆる塗工紙タイプのインクジェット記録媒体が開発されている。
インク吸収性の良いインクジェット記録媒体を作成する手段として、インク受理層に用いる顔料の比表面積を大きくすることが知られている。そこで、インク受理層には合成シリカのような一次粒子の小さいものを凝集させた、すなわち、比表面積が大きく粒子径が数μm以上の大きな合成非晶質シリカなどの顔料が広く用いられているが、これらの顔料を用いたインクジェット記録用紙は光沢感が殆どない、いわゆるマットタイプとなる。
さらに近年では単層塗布品では得られ難い高インク吸収性を得るため、2層以上のインク受理層を設けたインクジェット記録媒体も提案されている。しかしオフラインによる2層以上のインク受理層の塗布は操業性の点で不利なばかりでなく、最も上層に塗布されるインク受理層の塗工液中の溶媒成分(バインダーなど)が下層に浸透し、空隙を埋めてしまうため、インク吸収性の向上効果が小さく、さらにインク受理層の面方向と厚さ方向のバインダー分布の不均一化が起こり、画質低下が生じる。また塗工量を増やしてインク吸収性を高めると、インク受理層の接着性低下や粉落ちが生じやすくなる等の問題が生じる。
これに対して、特許文献1に記載の複数層の塗工液から成る塗液膜を形成してスライドカーテンコーターを用いて塗工する方法や、特許文献2に記載の2種類以上の塗工液を別々のスリットから順次塗工する方式であるカップルカーテンコーターを用いて塗工し、一度に乾燥する方法が開示されている。一方、高光沢性のインクジェット記録媒体を製造する方法としては、例えば特許文献3に記載の鏡面ドラムに押し当てて光沢性を付与する方法(キャスト法)や、特許文献4に記載のアルミナ、コロイダルシリカなど光沢発現性の高い材料をブレードコーターなどで塗工する方法が提案されている。
特開2001−113226号公報 特開2005−270954号公報 特開昭62−95285号公報 特開2001−232934号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されたカーテン塗工は、輪郭塗工であるため、フィルム等の平滑性の高い支持体に塗布する場合には良いが、支持体が紙の場合には表面形状が不均一であるため、平滑性のある塗工表面を得ることができず、高い光沢度は得ることができない。また、特許文献3開示されたキャスト法は乾燥負荷が高いため、製造速度が遅く、即ち製造効率が悪いという問題がある。また、特許文献4に記載されたブレードコーターによる塗工では、輪郭塗工ではないためインク受理層が均一に形成できず印字ムラを引き起こすという問題や、また圧力をかけて塗工液を押し込むため、インク受理層が密となり、インク吸収性に劣るという問題があった。
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は高光沢、高インク吸収性を併せ持つインクジェット記録用紙を高い生産性を持って製造することにある。
本発明者らは上記課題を鋭意検討した結果、木材パルプを主成分とする基紙に、下塗り層をブレードコーターで塗工した後に、下塗り層が未乾燥のうちに上塗り層をカーテンコーターで塗工することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。この方法により製造されたインクジェット記録用紙は、75度光沢度として40%以上の高光沢性を有する。さらに、前記下塗り層に使用する顔料の粒径が4μm以下、アスペクト比が5〜70であると、下塗り層がより平滑となり好ましい。また、前記上塗り層に使用する顔料が気相法アルミナであると、光沢性及びインク吸収性の観点からより好ましい。
本発明を用いて製造されたインクジェット記録用紙は、高い光沢性と高いインク吸収性を持ち、生産性に優れるものである。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明は、下塗り層を塗工後、乾燥工程を挟まずにオンラインで上塗り層を塗工する、いわゆるウェットオンウェットの塗工を行うものであり、下塗り層をブレードコーター、上塗り層をカーテンコーターで塗工することを特徴とする。下塗り層の塗工後に乾燥工程を経て上塗り層を塗工した場合には、上塗り層中の溶媒成分(バインダーや耐水化剤等の助剤)及び微粒な顔料が下塗り層内へと浸透する。そのため下塗り層の空隙を埋めてしまい、あるいはバインダー分布の不均一化が生じるため、インク吸収性及び印字濃度や耐水性等のインクジェット適性が低下する。これに対し、下塗り層が未乾燥状態であれば、上塗り層塗工液の成分が下塗り層へ浸透するのを最小限に抑えることができる。
さらに、ウェットオンウェットの塗工では、上塗り層塗工液の顔料成分も下塗り層へ浸透しにくいため、乾燥工程を挟んだものと比較して、上塗り層の平滑性が高くなる傾向があり、光沢度も高くなると考えられる。
下塗り層を設けるに際しては、ブレードコーターを使用することが好ましい。ブレードコーターとは、塗工液のアプリケート方式により、パドルタイプ、フラッデッドニップタイプ、ファウンテンタイプ、ショートドゥエルタイプ等に分類でき、またブレード刃により、ベントブレード、ベベルブレード、バーブレード等に分類でき、いずれも適宜使用することができる。ブレードコーターで塗工することにより顔料が塗工面に対して平行に配向し、塗工面が平滑となるため、最終的に得られるインクジェット記録用紙の平滑性及び光沢性が向上する。
上塗り層を設けるに際しては、特にカーテンコーターを使用し、下塗り層が未乾燥のうちに塗工することが好ましい。ブレードコーターやエアナイフコーター等、塗工量を計量する際に基紙に接触する塗工方式を用いると、下塗り層を乾燥した後でなければ上塗り層を塗工できないため、好ましくない。本発明のように、塗工量を計量する際に基紙に接触しない塗工方式であるカーテンコーターを用いると、下塗り層が湿潤状態でも塗工が可能となる。
本発明において用いられるカーテンコーター塗工とは、塗工液を流下して自由落下させ基紙に非接触で塗工する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ特に制限されない。また、上塗り層の層数は乾燥工程を挟まなければ特に限定されない。塗工液濃度、塗工速度、カーテン膜幅、落下角度等の諸条件は適宜調整して行う。
本発明における下塗り層塗工液及び上塗り層塗工液は、顔料、バインダー、その他添加剤からなる。
下塗り層塗工液に用いられる顔料は、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、タルク、雲母族、水酸化アルミニウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等)、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、プラスチックピグメント等が挙げられるが、中でも平均粒子径が4μm以下、アスペクト比が5〜70のものが好ましく、例えばカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、タルク、雲母族、水酸化アルミニウム等の平板状顔料、軽質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の柱状及び紡錘状顔料が挙げられる。平均粒子径は純水中に試料スラリーを滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機(使用機器:マルバーン社製マスターサイザーS型)にて測定した値を使用する。アスペクト比は顔料粒子の短径に対する長径の比であるが、本発明においては、アスペクト比は電子顕微鏡観察で目視により測定した値を使用する。
顔料の平均粒子径が4μmを超えると塗工層表面に顔料が露出するため、表面平滑性、記録画質、光沢性、印刷部光沢等が低下する傾向がある。また、顔料のアスペクト比は大きいほど表面平滑性に優れるものとなり、アスペクト比が5未満の顔料は、塗工面に対して平行に配向する割合が低下するため平滑性に劣る。一方で70を越えるものはコストアップとなり工業的に入手し難くなる上に、下塗り層の空隙が少なくなるため、インク吸収性に劣る。また、このような平均粒子径とアスペクト比を有する顔料を用いて層形成した時に、平均粒子径やアスペクト比が異なる顔料を2種以上併用する事も可能である。
上塗り層塗工液に用いられる顔料は合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びプラスチックピグメント等が挙げられるが、気相法アルミナがより好ましい。気相法アルミナの製造方法は広く知られており、例えば水素または酸素の火炎中で塩化アルミニウムの蒸気を加水分解する工程を含む方法によって製造することができる。こうして製造されたアルミナ粒子は、凝集度が比較的低く、あるいは真球状に近い形状をした極めて単分散に近いものであるため、透明度を必要とするインクジェット記録媒体には適している。
本発明の上塗り層に用いる気相法アルミナは、一次粒子の形であっても二次的な凝集粒子の形であっても良い。本発明において好ましいアルミナの形態は二次的な凝集粒子の形である。その一次粒子径は3nm〜50nmであり、二次的な凝集粒子の直径が120nm〜200nmである事が好ましい。このような凝集体を含有する上塗り層は充分なインク吸収容量を持ち、適度な光沢性を有している。この一次粒子径が3nm未満であると、一次粒子間の空隙が著しく小さくなり、インク中の溶剤やインクを吸収する能力が低下し、所望する鮮明な画像が得られない。一方で一次粒子径が50nmより大きくなると凝集した二次粒子径が大きくなり、所望する光沢性が得られず、また上塗り層の透明性が低下するため、画質低下を引き起こす。
下塗り層塗工液及び上塗り層塗工液に用いられるバインダーとしては、例えばポリビニルアルコール及びその変性物、酸化澱粉やエーテル化澱粉等の澱粉類、SBラテックス、NBラテックス、アクリルラテックス、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタン、酢酸ビニル、不飽和ポリエステル樹脂等の公知のバインダーの中から1種又は2種以上を適宜選択することができる。配合部数は、前記した顔料100質量部に対し3〜60質量部であることが好ましく、特に5〜30質量部であることが好ましい。バインダーの配合部数が少ないと表面強度が不充分となり、多すぎるとインク吸収性が不充分となる。
本発明では下塗り層及び/または上塗り層に染料定着剤としてカチオン性水溶性樹脂を含有することもできる。本発明で使用されるカチオン性水溶性樹脂としては、二級アミン、三級アミン、及び四級アンモニウム塩としてポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルアミンアクリルアミド共重合体塩、ポリスチレンの四級アンモニウム塩等が挙げられる。中でも染料インクおよび顔料インクともに印字品質に優れ、特に印字濃度、耐水性が高いジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体が好ましい。またこれらカチオン性樹脂の2種類以上を配合使用することも可能である。
また、塗工液の表面張力は下塗り層が上塗り層よりも同等もしくは高いことが好ましい。下塗り層塗工液のほうが表面張力が低い場合、上塗り層の塗膜が下塗り層の塗膜上ではじく現象が発生し、表面性の低下を招くため好ましくない。塗工液の表面張力を調整するために、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などのノニオン系界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤を塗工液に任意の量を混合することができる。
さらに必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、サイズ剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、pH調整剤等の助剤を適宜添加することができる。
本発明において、下塗り層及び上塗り層の塗工量はそれぞれ5〜20g/m、2〜20g/mであることが好ましい。下塗り層の塗工量が5g/m2以下の場合には基紙を完全に被覆することができず、また上塗り層の塗工量が2g/m2以下の場合は下塗り層を完全に被覆することができず、光沢度に劣るものとなる。また、塗工量が多いと塗工後の乾燥工程における乾燥負荷が高まり、塗工速度の低下に伴い生産性が低下する。そればかりか高負荷での乾燥では、塗工液中のバインダーが蒸発する溶媒と共に塗工層表面に移動して、その表面の空隙量を低下させるためにインク吸収性が悪化し、記録時に地汚れなどの問題を引き起こす。さらに塗工層強度が低下することで、粉落ちの問題も生じる。
また本発明においては、バックコート層を設けても構わない。さらに、上塗り層を形成した後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理することが可能である。
基紙に用いる木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独で使用し又は任意の割合で混合して使用することができる。
基紙の抄紙方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。又、抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、基紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、紙中に填料を含有させることが好ましい。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。さらに基紙に、必要に応じて硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等の助剤を含有してもよい。なお基紙の坪量は特に制限されない。
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は全て「質量部」及び「質量%」を表す。
<実施例1>
[基紙の作製]
広葉樹漂白クラフトパルプ(濾水度350ml)からなるパルプスラリー100%に対し、炭酸カルシウム10%、カチオン化デンプン0.5%、アルキルケテンダイマー0.05%、硫酸バンド1%を添加し、長網抄紙機で紙匹を形成し、3段のウェットプレスを行い、乾燥した後にマシンカレンダー処理して、坪量90g/mの基紙を得た。
[下塗り層用塗工液1の作製]
顔料として高アスペクト比カオリン(イメリス社製、商品名:Contour1500、体積分布平均粒子径2.0μm、アスペクト比59)100部に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.2部添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度60%の顔料スラリーを調整した。このスラリーに酸化澱粉(日本食品加工社製、商品名:MS−3600)3部、ラテックス(日本A&L社製、商品名:PA−0226)5部、希釈水を加え固形分濃度55%の塗工液を調製した。
[上塗り層用塗工液1の作製]
顔料として気相法アルミナ(CABOT社製、商品名:CAB−O−SPERSE PG−003)100部、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−217)15部、染料定着剤としてカチオン性樹脂(日本化成社製、商品名:KA−1000、ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロルヒドリン共重合体)10部、希釈水を加え攪拌混合し、固形分濃度27%の塗工液を調製した。
[インクジェット記録用紙の作製]
前記基紙上に下塗り用塗工液1を、バーブレードコーターを用いて塗工量が7g/m2となるように塗工し、乾燥工程を挟まずに上塗り層用塗工液1を、カーテンコーターを用いて塗工量が15g/m2となるよう塗工した。これを水分率が4.8%になるまで乾燥した後、ソフトカレンダーにて表面処理を行い、インクジェット記録用紙を作製した。
<実施例2>
[下塗り層用塗工液2の作製]
顔料として合成非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:FINESIL X27、体積分布平均二次粒子径5.4μm)100部に、親水性接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA―117)20部、エチレン酢酸ビニル共重合体(昭和高分子社製、商品名:AM−3150)4部、希釈水を加え攪拌混合し、固形分濃度22%の塗工液を調製した。
[インクジェット記録用紙の作製]
下塗り層に下塗り層用塗工液2を用いた以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例3>
上塗り層用塗工液1の顔料としてコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名:スノーテックスOUP)を用いた以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<実施例4>
上塗り層用塗工液1の顔料として気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジル50)を用いた以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例1>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て上塗り層を塗工した以外は、実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例2>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て上塗り層を塗工した以外は、実施例2と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例3>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て上塗り層を塗工した以外は、実施例3と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例4>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て上塗り層を塗工した以外は、実施例4と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例5>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て、バーブレードコーターを用いて上塗り層を塗工した以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例6>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て、バーブレードコーターを用いて上塗り層を塗工した以外は実施例2と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例7>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て、バーブレードコーターを用いて上塗り層を塗工した以外は実施例3と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例8>
下塗り層を塗工後、乾燥工程を経て、バーブレードコーターを用いて上塗り層を塗工した以外は実施例4と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例9>
下塗り層を、カーテンコーターを用いて塗工した以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例10>
下塗り層を、カーテンコーターを用いて塗工した以外は実施例2と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例11>
下塗り層を、カーテンコーターを用いて塗工した以外は実施例3と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例12>
下塗り層を、カーテンコーターを用いて塗工した以外は実施例4と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例13>
下塗り層を設けずに、上塗り層塗工液1をバーブレードコーターを用いて塗工量が15g/mとなるように塗工した以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
<比較例14>
下塗り層を設けずに、上塗り層塗工液1をカーテンコーターを用いて塗工量が15g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を作製した。
[評価方法]
光沢度およびインク吸収性は、以下に示す方法で評価した。評価が○’以上であると好ましく使用できる。
<光沢度>
JIS−P−8142に準じて、塗工紙の75°鏡面光沢度を測定した。
○ :75°鏡面光沢度が60%以上である。
○’:75°鏡面光沢度が50%以上60%未満である。
△ :75°鏡面光沢度が40%以上50%未満である。
× :75°鏡面光沢度が40%未満である。
<インク吸収性>
マイクロソフト社製の表計算ソフト「エクセル」を用いてレッドとグリーンの各ベタ画像を隣り合わせにした画像を作成し、これをインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、商品名:PM−G730)を用いて印字した。色の境界部の滲みを目視で評価した。
○ :境界部で滲みが全く認められない
○’:境界部で滲みがほとんど認められない
△ :境界部で滲みが多少認められる
× :境界部で滲みが著しく認められる
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録用紙について前記方法で評価した結果を表1に示した。
Figure 2007260995
表1から明らかなように、実施例1〜4の本発明のインクジェット用紙では光沢度及びインク吸収性において高い評価が得られた。
一方、比較例1〜4のように層間で乾燥工程を挟んだものや、比較例5〜8のように上塗り層をブレードコーターで塗工したものは、インク吸収性が悪化していた。さらに比較例2、6のように下塗り層にシリカを用い、且つ層間で乾燥工程を挟んだものは、下塗り層の平滑性が低くなるため、光沢度が劣るものであった。また比較例9〜12のように下塗り層をカーテンコーターにて塗工したものは、輪郭塗工であるために下塗り層の平滑性が低くなることから、インク吸収性には優れるものの、光沢度が劣るものであった。さらに、比較例13,14のように下塗り層を設けないものでは、基紙の平滑度が低く、さらに塗工液が基紙へと浸透するため、光沢度が劣るものであった。

Claims (4)

  1. 木材パルプを主成分とする基紙のいずれか一方の面に、下塗り層と、上塗り層をこの順に設けてなるインクジェット記録用紙の製造方法であって、顔料を含有する下塗り層用塗工液をブレードコーターで塗工した後、下塗り層が未乾燥のうちに顔料を含有する上塗り層用塗工液をカーテンコーターで塗工するインクジェット記録用紙の製造方法。
  2. 前記下塗り層用塗工液に含有する顔料の平均粒子径が4μm以下、アスペクト比が5〜70である、請求項1に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  3. 前記上塗り層用塗工液に含有する顔料が気相法アルミナである請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された方法で製造されてなり、上塗り層表面の75度光沢度が40%以上であるインクジェット記録用紙。



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