JP5463176B2 - インクジェット記録用光沢紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、キャストコート法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、特に染料インク及び顔料インクに関して良好なインク吸収性と画像鮮明性をもちながら、銀塩写真並みの高光沢感を有するインクジェット記録用光沢紙及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なく、ある程度の印字品質が期待できる。しかし、より高い印字品質を求める場合には、インクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録媒体としては、紙若しくはフィルムのいずれか一方又はその両方を支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット専用媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。光沢媒体の製法としては、一般的方法は、キャストコート法によってインク受容層を形成し表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法とがある。
後者の印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているため、インク受容層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク受容層表面も平滑で、光沢のある表面が形成しやすい。しかし、全体のコストは、インク吸収性をあげるために塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャストコート法による光沢媒体に比べ、高いものとなる。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができないといった問題点もあり、エコロジーの観点からは紙ベースでリサイクル可能な、キャストコート法で製造された光沢媒体の方に優位性がある。
一方で、従来の主流であった染料着色剤を使用した染料インクだけでなく、耐水性、耐光性など保存性に優れた着色顔料を分散した顔料インクも使用されるようになっている。これら顔料インクで使用される着色顔料の平均粒子径は、おおよそ50〜100nmであって、染料着色剤分子の5〜10倍の大きさであるため、必然的に吸収速度も異なる。したがって、光沢媒体に両者のインク適性をもたせるためには、従来の染料インク専用の記録媒体とは異なるインク受容層の設計が必要である。
顔料インクは、染料インクと比較して吸収速度が遅いことから、塗工層に大きなひび割れが存在すると、顔料インクが下部に流れ込んで印字部が白ボケしてしまう。結果的に顔料インクの印字部の濃度が低下してしまう。故に顔料インク適性を有する塗工層を形成させるためには、第一に強固で、かつ、ひび割れを少なくする必要がある。
また、光沢媒体の表面には高いインク吸収性と同時に高い光沢性が必要であることから、光沢発現層に使用される顔料にはナノオーダーの高比表面積を有する極微細粒子が使用されることが多くなってきている。これら極微細粒子の例として気相法シリカが挙げられる。
強固でひび割れの少ない塗工層を有するインクジェット記録用光沢紙の提案として、例えば、塗工液に含有させるポリビニルアルコールの種類と架橋剤の種類とを限定して解決する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、同様にひび割れの少ない塗工層を有するインクジェット記録用光沢紙の提案として、塗工液に含有させるポリビニルアルコールの種類と界面活性剤の種類とを限定して解決する技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2007−223119号公報 特開2009−61649号公報
しかし、特許文献1に記載の技術の場合においては、染料インクの吸収及び発色に優れてはいるが、顔料インク適性を両立しているとはいえない。
また、特許文献2に記載の技術の場合においても、染料インクの吸収及び発色に優れてはいるが、顔料インク適性を両立しているとはいい難い。
このように特許文献1又は2に記載のインクジェット記録用光沢紙は、光沢感が非常に優れているという特長をもつが、顔料インクの画像鮮明性について不満足な点がある。
よって、本発明者らの研究結果から、前記各提案内容では、染料インク及び顔料インク適性の両立は困難であるとの結論に至った。このような現状を鑑みると、キャストコート法によって製造するインクジェット記録用光沢紙において、染料インク及び顔料インク適性をもち、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造されたインクジェット記録媒体を超える画質と均一な光沢感とを有するインクジェット記録媒体は全くないのが現状である。
また、気相法シリカを光沢発現層の顔料として使用した場合、塗工液の調製において、結着剤であるポリビニルアルコールと混合するときに粘度が上がりやすく、また泡が発生しやすいという問題がある。さらに、実機コーターマシンでの塗工において、塗工液の循環中にも粘度上昇及び泡の発生が顕著である。このような泡を多く含む塗工液を塗工した場合、乾燥後の塗工層にひび割れが入りやすくなり、前述したように顔料インクが白ボケして濃度が低下し、また印字部の濃度にムラが発生しやすくなるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、キャストコート法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、染料インク及び顔料インク適性をもちながら、銀塩写真並みの高光沢感を有し、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造したインクジェット記録媒体に匹敵する画質と均一な光沢感を有し、かつ、リサイクル可能な記録媒体を提供することである。
また、本発明の目的は、塗工液の粘度が経時で上がりすぎることがなく、かつ、泡が少ない塗工液を調整することができるインクジェット記録用光沢紙の製造方法を提供することである。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙であって、前記光沢発現層が、前記顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとを含有し、かつ、アセチレングリコール化合物を含有し、かつ、前記アセチレングリコール化合物の含有量が、前記顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部であることを特徴とする。光沢発現層が、顔料として更に球状コロイダルシリカを含有することで、プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付きを防止することができる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記気相法シリカのBET比表面積が200〜400m/gであることが好ましい。顔料インク適性により優れる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記シラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が、前記顔料100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。染料インク及び顔料インク適性をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層を形成するキャストコート法が凝固法であり、かつ、凝固液が、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方を含有し、かつ、前記凝固剤の含有量が、前記シラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとの合計含有量に対して5質量%以上であることが好ましい。光沢発現層表面の光沢感がより優れ、更により優れた顔料適性をもたせることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層が、前記顔料として更に球状コロイダルシリカを含有することが好ましい。プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付きを防止することができる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、カチオン性ポリウレタン樹脂の含有量は、光沢発現層中の全顔料100質量部に対して1〜20質量部であり、かつ、シラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとの含有量の合計は、光沢発現層の全結着剤のうち、乾燥質量で10質量%以上であることが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙の製造方法であって、前記光沢発現層を形成するための塗工液として、前記顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールを含有し、かつ、アセチレングリコール化合物を前記顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部含有し、かつ、低級アルコールを前記顔料100質量部に対して10〜200質量部含有する塗工液を使用することを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用光沢紙は、キャストコート法で製造されたインクジェット記録用光沢紙でありながら、非常に良好な表面光沢感と、染料インク及び顔料インクのインク適性(インク吸収性、画像鮮明性)とを高いレベルで両立している。また、本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、塗工液の粘度が経時で上がりすぎることがなく、かつ、泡が少ない塗工液を調整することが可能である。さらに、本発明では、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストも低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり、資源の有効利用という観点からも好ましい。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙であって、前記光沢発現層が、前記顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとを含有し、かつ、アセチレングリコール化合物を含有し、かつ、前記アセチレングリコール化合物の含有量が、前記顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部である。
本実施形態で光沢発現層の顔料として使用される気相法シリカは、乾式法シリカ又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、原料の四塩化ケイ素供給などの条件を変更することによって得られる。本実施形態では、気相法シリカの平均一次粒子径は、5〜30nmが好ましい。より好ましくは、6〜25nmであり、特に好ましくは、7〜20nmである。5nm未満では、インク吸収性に劣る場合がある。逆に、30nmを超えると、平滑性が劣り、摩擦抵抗が大きくなるため、耐傷性に劣る場合がある。
また、本実施形態では、光沢発現層の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のいわゆる部分鹸化ポリビニルアルコールとを必須成分として含有する。
シラノール変性ポリビニルアルコールは、シラノール基を有するために無機物に対する接着性が極めて高い。そのために凝固力が強く、添加量が比較的少量であっても塗工膜が強固になり、かつ、インク吸収性に優れる傾向がある。したがって、染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性とを高いレベルで両立することが可能である。本実施形態で使用するシラノール変性ポリビニルアルコールの変性度及び重合度は、適宜選択することができる。
鹸化度78〜95mol%の、いわゆる部分鹸化ポリビニルアルコールは、塗工層のひび割れを低減させ、顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることが可能である。鹸化度は、より好ましくは、80〜92mol%であり、特に好ましくは、82〜90mol%である。鹸化度が78mol%未満では、塗工層の成膜性が強すぎて染料インクの吸収性が悪化する。また、鹸化度が95mol%を超える場合は、塗工層のひび割れが大きすぎて顔料インクの画像鮮明性が悪化する。本実施形態においては、この部分鹸化ポリビニルアルコールの添加量は、光沢発現層中の全顔料100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。より好ましくは、2〜15質量部である。1質量部未満では、光沢発現層の耐傷性が劣る場合がある。逆に、添加量が20質量部を超えると、インク吸収性に劣り、塗工液の安定性が劣る傾向にあって塗工性に問題が発生する場合がある。
さらに、本実施形態においては、光沢発現層にアセチレングリコール化合物を必須成分として含有させる。本実施形態で、アセチレングリコール化合物とは、化1で示されるアセチレングリコール又はアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。なお、化1中、m及びnは、それぞれ独立した正数であり、アセチレングリコール中のエチレンオキサイド単位の付加モル数である。m及びnが0の形態は、アセチレングリコールである。本実施形態では、化1のm及びnはそれぞれ0〜15であることが好ましく、より好ましくは、0〜10である。m+nは、0〜30であることが好ましい。より好ましくは、m+nが0〜20である。特に好ましくは、m及びnが0、すなわち、アセチレングリコールであることが消泡効果及び塗料の安定性の観点から特に好ましい。また、化1中、R及びRはアルキル基を示す。アセチレングリコールの分子構造は、三重結合に対して左右対称であることが好ましい。また、化1で示される化合物であれば、1種を単独で又は2種以上を配合して使用することが可能である。化1に示すように、アセチレングリコール化合物は、分子構造中に炭素間三重結合とそれに隣接した二つのヒドロキシル基とからなる親水基を、疎水基であるアルキル基がはさむ構造をもつ非イオン性界面活性剤である。本実施形態で使用するアセチレングリコール化合物は、ノニオン性であるが、その分子構造が故に電子密度が高く、親水基の極性が強いという特徴がある。
Figure 0005463176
アセチレングリコール化合物を含有させることで泡の少ない光沢発現層用塗工液を調製することが可能であり、ひび割れが少ない塗工層とすることができる。結果として、顔料インク適性を優れたものにすることが可能である。光沢発現層用塗工液にアセチレングリコール化合物を含有させることによる消泡効果及び抑泡効果の詳細なメカニズムは不明だが、おそらくは、前述した構造上の特徴によって動的表面張力が低いという性質をもつため、発生した泡にすばやく到達して表面張力を低下させ、泡を安定化させないためと考えられる。アセチレングリコール化合物の含有量は、光沢発現層中の全顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部である。より好ましくは、0.05〜1.50質量部であり、特に好ましくは、0.10〜1.00質量部である。アセチレングリコール化合物の含有量が0.01質量部未満では、塗工液の消泡効果及び抑泡効果に劣るため光沢発現層にひび割れが多く発生して顔料インク印字部のムラが発生する。また、2.00質量部を超える場合は、光沢発現層塗工時にハジキが発生して面質不良となる。なお、ここでハジキとは、塗工液がはじかれて塗工されていない部分をいう。
本実施形態では、アセチルグリコール化合物のHLB(Hydrophile‐Lipophile Balance、親水親油バランス)値は、2〜15であることが好ましく、より好ましくは、3〜13である。2未満では、疎水性が高くなり、水への溶解度が低下するため、十分な水溶性が得られない場合がある。また、15を超えると、塗工液の消泡効果及び抑泡効果が不足する場合がある。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、アセチレングリコール化合物は、化2で示される2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール又はそのエチレンオキサイド付加物を使用することができる。化2中の、m及びnはそれぞれ互いに独立した正数であり、m及びnはそれぞれ0〜10であることが好ましく、より好ましくは、0〜5である。m+nは、0〜20であることが好ましい。より好ましくは、m+nが0〜10である。特に好ましくは、m及びnが0、すなわち、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールであることが消泡効果及び塗料の安定性の観点から特に好ましい。また、化2で示される化合物であれば、1種を単独で又は2種以上を配合して使用することが可能である。
Figure 0005463176
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記目的を達成するために光沢発現層の顔料として含有する気相法シリカのBET比表面積は、200〜400m/gであることが好ましい。より好ましくは、220〜380m/gであり、特に好ましくは、250〜350m/gである。BET比表面積が200m/g未満では、顔料インクの画像鮮明性に劣る場合がある。BET比表面積が400m/gを超えると、塗工液の粘度が高すぎて安定性が劣る場合がある。ここで、BET比表面積は、BET法によって求めた比表面積である。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料のもつ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ比表面積の決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を乗じて、総表面積が得られる。この総表面積を試料の質量で除して、BET比表面積を求めることができる。
また、本実施形態においては、シラノール変性ポリビニルアルコールの添加量が光沢発現層中の全顔料100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。1質量部未満では、光沢発現層の表面強度が劣る場合がある。逆に、添加量が10質量部を超えると、インク吸収性に劣り、塗工液の安定性が劣る傾向にあって塗工性に問題が発生する場合がある。シラノール変性ポリビニルアルコールの添加部数は、インク吸収性と光沢発現層表面の表面強度のバランスから考慮すると、より好ましくは2〜8質量部である。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙の製造方法であって、前記光沢発現層を形成するための塗工液(以降、光沢発現層用塗工液という。)として、前記顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとを含有し、かつ、アセチレングリコール化合物を前記顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部含有し、かつ、低級アルコールを前記顔料100質量部に対して10〜200質量部含有する塗工液を使用する。
光沢発現層用塗工液は、少なくとも顔料として気相法シリカと、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールと、アセチレングリコール化合物を光沢発現層中の全顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部と、低級アルコールを光沢発現層中の全顔料100質量部に対して10〜200質量部とを配合し、水などの溶媒で適当な固形分濃度に調整して得ることができる。この光沢発現層用塗工液には、後述するその他の顔料、結着剤又は助剤を更に添加することが可能である。固形分濃度は、本発明の効果を奏する限り限定されず、例えば、10〜30質量%である。光沢発現層用塗工液は、セリエミキサーなどの攪拌装置を用いて高速攪拌して混合させて調整することが好ましい。アセチレングリコール化合物が塗工液中に均一に混合されるため、消泡効果及び抑泡効果がより高まる。さらに、光沢発現層用塗工液の調製において、予めアセチレングリコール化合物と低級アルコールとを混合してアセチレングリコール化合物混合液として添加することがより好ましい。アセチレングリコール化合物をより均一に塗工液中に混合させることができる。光沢発現層用塗工液は、前記顔料と、前記結着剤と、前記アセチレングリコール化合物混合液と、を配合し、水などの溶媒で適当な固形分濃度に調製して得ることが好ましい。
気相法シリカとポリビニルアルコールとの混合時及び実機コーターマシンでの塗工液の循環中において、塗工液の粘度上昇及び泡の発生があり、均一な塗工層を形成することが困難であったところ、アセチレングリコール化合物を配合することで、前述のとおり、塗工液の消泡及び抑泡が可能となり、更に低級アルコールを配合することによって、塗工液の粘度が経時で上がりすぎることを防止して粘度を安定化させることができるため、ひび割れの少ない均一な光沢発現層を得ることができる。
本実施形態で使用可能な低級アルコールは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、エチレングリコール、グリセリンが挙げられ、これらの中から選択した1種を単独で又は2種以上を配合して使用することができる。光沢発現層用塗工液の粘度安定性の観点から、エチルアルコール若しくはIPAのいずれか一方又はその両方を含有することが好ましい。また、低級アルコールの含有量は、光沢発現層中の全顔料100質量部に対して10〜200質量部である。より好ましくは、20〜150質量部であり、特に好ましくは、30〜120質量部である。10質量部未満では、粘度安定化効果に乏しく、200質量部を超える場合は、塗工液の濃度が低くなりすぎて生産性に劣る。
本実施形態において、本発明の効果を損なわない範囲において、前述の気相法シリカ以外の顔料を光沢発現層に含有させることができる。気相法シリカ以外の顔料としては、例えば、球状コロイダルシリカ、非球状コロイダルシリカ、合成非晶質シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイトである。この中で、プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付き防止を目的として、球状コロイダルシリカを併用することが好ましい。
球状コロイダルシリカと気相法シリカとの質量比は、20/80〜70/30であることが好ましい。より好ましくは、30/70〜60/40であり、特に好ましくは、35/65〜55/45である。球状コロイダルシリカと気相法シリカとの質量比が70/30を超えると、顔料インクの画像鮮明性に劣る場合がある。一方、20/80未満では、光沢発現層の強度が低下し、かつ、プリンター搬送時の傷付き防止効果に劣る場合がある。このように他の顔料を併用する場合には、光沢発現層の全顔料のうち、気相法シリカの含有量は乾燥質量で30質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、45質量%以上である。30質量%未満では、染料インク及び顔料インク適性に劣る場合がある。
球状コロイダルシリカは、単分散微粒子であり、粒子径がほぼ単一に揃っており、かつ、凝集もしていないことが好ましい。ここで、単分散とは、粒度分布がシャープで、粒子が凝集せずに個々に分散した一次粒子として存在する状態を意味する。そして、球状とは、球状に近い形状を包含し、好ましくは真球を意味する。球状コロイダルシリカの平均粒子径は、50〜300nmであることが好ましい。より好ましくは、60〜200nmであり、特に好ましくは、70〜180nmである。球状コロイダルシリカの粒子径が50nm未満では、塗工膜表面が脆くなり、かつ、摩擦係数が大きくなるために耐傷性に劣る。逆に、粒子径が300nmを超える場合は、塗工膜の成膜性が良好すぎるために顔料インクのインク吸収性に劣る。また、本実施形態では、球状コロイダルシリカは、前記粒子径の範囲内であれば、粒子径が異なるものを複数種配合して使用することが可能である。また、本実施形態に用いる球状コロイダルシリカは、前記粒子径の範囲内であれば、いかなる製法のものでも使用してかまわない。球状コロイダルシリカの粒子径は、主として動的光散乱法(例えば、大塚電子社製、DLS−6500)で求めることが可能であり、又は、高倍率観察が可能なフィールドエミッション型の電子顕微鏡で直接観察して求めることも可能である。
本実施形態において、光沢発現層に含有させる結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとを必須成分として含有させることを説明したが、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の結着剤を併用することができる。その他の結着剤としては、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリル樹脂の複合体樹脂が例示される。これらは、単独又は併用して用いることができる。この中で、ポリウレタン系樹脂を併用することが、染料インク及び顔料インク適性と光沢面の光沢感とにより優れた光沢発現層とできる点で特に好ましい。ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネートとポリエーテル、ポリエステルなどのポリオール成分との反応によって得られるポリマーであり、分子中にウレタン基を有する。本実施形態では、ウレタン基の他にビュレット基、ウレア基、アロファネート基などの官能基を有する変性ポリウレタン樹脂を包含する。ポリウレタン系樹脂は、アミノ基などを導入したカチオン性であることがより好ましい。カチオン性であることによって、カチオン性の無機顔料、カチオン性樹脂などの光沢発現層に含有されるカチオン性の助剤との混和性に優れ、耐水性にも優れる。カチオン性ポリウレタン樹脂の含有量は、光沢発現層中の全顔料100質量部に対して1〜20質量部が好ましい。より好ましくは、5〜18質量部である。1質量部未満では、光沢感に劣る場合があり、20質量部を超えると、インク吸収性に劣る場合がある。また、カチオン性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度については特に限定されない。
このように他の結着剤を併用する場合には、シラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとの含有量の合計は、光沢発現層の全結着剤のうち、乾燥質量で10質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、20質量%以上であり、特に好ましくは、30質量%以上である。10質量%未満では、染料インク及び顔料インク適性に劣る場合がある。
光沢発現層中に含有する全結着剤の添加量の合計は、記録媒体の印字適性、光沢発現層の強度、表面光沢感、塗工液の液性などを考慮して決定される。通常、顔料100質量部に対して、1〜100質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜60質量部の範囲で添加され、更に好ましくは10〜50質量部である。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
また更に、光沢発現層には、インクジェット記録用インクを定着させるためのインク定着剤としてカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。また、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種助剤を適宜選定して添加することができる。
光沢発現層用塗工液の塗工方法としては、エアナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、固形分換算で3〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは5〜15g/mの範囲である。塗工量が20g/mを超えると、生産性が劣る場合があり、塗工量が3g/m未満では、十分な光沢面が得られない場合がある。
さらに、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」による光学くし幅2mm入反射角度60°による条件の光沢発現層の写像性が50%以上であることが光沢感の観点から好ましい。さらに好ましくは、写像性が55%以上である。写像性が60%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
光沢発現層は、公知のキャストコート法によって形成する。キャストコート法には、ウェット法、凝固法、リウェット法が知られており、本実施形態においては凝固法であることが好ましい。凝固法は、光沢発現層を塗工し、得られた塗工面が湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理し、加熱した鏡面仕上げの金属面(以下、キャストドラムともいう。)に圧着して乾燥して形成する方法である。ここで、凝固液とは、凝固剤の水溶液をいう。凝固処理においては、凝固剤は塗工層の結着剤成分と効果的に凝固するものを選定することが重要であり、本実施形態においてはホウ素化合物が好ましい。より好ましくは、ホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方である。また、凝固液の濃度は、0.1質量%以上であることが好ましい。0.1質量%未満の場合には、凝固力が不足することがある。より好ましくは、0.5質量%以上である。1.0質量%以上とすることで、凝固力がより強くなり、耐傷性をより良化することができるため、特に好ましい。なお、凝固液の濃度の上限値は、作業性及びコストの点から10質量%とすることが好ましい。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤に対して、5質量%以上が好ましい。より好ましくは、10質量%以上である。5質量%未満の場合は、表面強度が低下する心配がある。本実施形態において、凝固しうる結着剤は、シラノール変性ポリビニルアルコール及び鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールである。凝固剤の含有量の上限値は、1000質量%である。1000質量%を超えると、結着剤に対して凝固剤が過剰となり、不経済である。
また、凝固液に潤滑剤(lubricant)を添加することが好ましい。凝固液に潤滑剤を含有させることで、光沢発現層表面に潤滑性をもたせることが可能であり、プリンター搬送時の傷付きを防止することが可能である。また、新たな工程を増やすことなく、経済的に有利に光沢発現層に潤滑剤を含有させることができる。
本実施形態でいう潤滑剤とは、接触部の減摩作用を施す物質のことをいう。潤滑剤の例として、液状潤滑剤、液状潤滑剤の固化物、固体潤滑剤が挙げられる。また、本実施形態においては、凝固液に含まれる潤滑剤として高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを添加することが好ましい。
高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ミリスチン酸塩がある。さらに、これらのナトリウム塩、カリウム塩、所謂石鹸を含む。また、ラウリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウムである。この中で、本実施形態では、光沢発現層に、高級脂肪酸塩としてラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、オレイン酸塩のうち、いずれか1種以上を含有させることが好ましい。前記高級脂肪酸塩を含有させることによって、光沢発現層表面の潤滑性により優れ、摩擦係数が低減してプリンター搬送傷を低減することが可能となる。
ポリエチレンエマルジョンは、例えば、高密度ポリエチレンのエマルジョン、低密度ポリエチレンのエマルジョンである。本実施形態では、ポリエチレンエマルジョンの種類及び製法に限定されるものではないが、融点は70〜120℃であることが好ましく、より好ましくは、80〜110℃である。70℃未満では、耐傷性に劣る場合があり、120℃を超えると、顔料インクの画像鮮明性に場合がある。ポリエチレンエマルジョンの平均一次粒子径は、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、で20〜300nmある。
高級脂肪酸塩は、光沢発現層の全顔料に対して、乾燥質量で0.005〜20.000質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.010〜10.000質量%である。0.005質量%未満では、減摩作用が小さい場合があり、20.000質量%を超えると、写像性に劣る場合がある。また、ポリエチレンエマルジョンは、光沢発現層の全顔料に対して、乾燥質量で0.005〜20.000質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.010〜10.000質量%である。0.005質量%未満では、減摩作用が小さい場合があり、20.000質量%を超えると、インク吸収性に劣る場合がある。また、透気性に劣り、キャストコート処理に適さない場合がある。そして、高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとの質量比は、99/1〜1/99とすることが好ましい。より好ましくは、95/5〜5/95である。高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンについては、それぞれ複数種を使用してもかまわない。
さらに、凝固液にインクを定着させるためのカチオン性ポリマーを添加することも可能である。また、光沢発現層の塗工から凝固液を塗布するまでの時間、凝固液を塗布してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着するときの圧力又はライン速度を調整することによって、光沢発現層の光沢度をより高めることができる。これらの諸条件については、使用する設備、塗布液(凝固液)に応じて最適条件を求めることで適性化する必要がある。
また、キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよいし、カール調整のため、光沢発現層の裏面に水、カール調整剤などを塗工したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本実施形態のインクジェット記録用光沢紙は、光沢発現層の下に1層以上のインク受容層を設けることが経済性及びインク吸収性の観点から必要である。インク受容層は、白色顔料と結着剤成分とを主成分とすることが好ましい。
インク受容層に用いる顔料としては、本実施形態では特に限定されず、公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナなどの白色無機顔料、アクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が挙げられる。この中で、インク吸収性の点から、合成シリカを用いることが特に好ましい。また、これらの顔料は、単独又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。
インク受容層に含有させる結着剤は、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類が例示され、単独又は併用して用いられる。この中で、ポリビニルアルコールとエチレン−酢酸ビニル共重合体とを併用することが好ましい。結着剤の使用量は、インクジェット記録媒体の印字適性、インク受容層の強度、塗工液の特性を考慮して決定される。通常、顔料100質量部に対して、1〜200質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜100質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
インク受容層には、前記顔料及び前記結着剤以外にカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーの作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応することによって水に不溶な塩を形成することから、染料インクをインク受容層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。このようなカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類などが用いられる。添加量は、特に限定されないが、インク受容層中の全顔料100質量部に対して、1〜50質量部の範囲で使用される。好ましくは、5〜40質量部の範囲で添加される。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。
その他の助剤としては、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加・使用できる。
インク受容層は、前記の顔料、結着剤などインク受容層に含有される各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整したインク受容層用塗工液を塗工後、乾燥して設けることができる。インク受容層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、特に限定されないが、5〜20g/mとすることが好ましい。より好ましくは、6〜15g/mである。5g/m未満では、インク吸収性が劣る場合があり、20g/mを超えると、光沢発現層塗工時にバインダーマイグレーションが発生し、光沢発現層表面の耐傷性が低下する場合がある。また、インク受容層を形成する塗工液を2回以上塗工して、インク受容層を2層以上で構成してもよい。
塗工後の乾燥方式としては、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本実施形態においては特に限定されない。
また、必要に応じてインク受容層の乾燥後に一定の平滑性を出すために、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することが可能である。
インク受容層及び光沢発現層は、紙基材の片面だけでなく、両面に設けてもよい。両面印刷用インクジェット記録用光沢紙とすることができる。
本実施形態で使用する透気性を有する紙基材としては、上質紙、中質紙、白板紙などを用いることができる。また、酸性紙又は中性紙を使用してもよい。ただし、保存時の耐変色性に優れている傾向があることから、酸性紙を使用することがより好ましい。ここで、酸性紙とは、タルク、カオリンクレーなどの填料と硫酸バンドなどの酸性薬品とを添加して抄紙した紙をいう。硫酸バンドを例にすれば、それが紙の中で水分と反応して硫酸を生じ、紙を酸性にすることによる。また、燃料としてリサイクルされる場合を考慮し、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。
パルプは、適切な叩解度を有する紙料とする。適切な叩解度は、例えば、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜600mlCSFである。紙料には、填料を含有させることが好ましい。使用する填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、ベントナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの公知の填料を使用することが可能である。
また、紙料中には、前記パルプ、填料以外にも公知の紙力剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料などの各種抄紙用薬品を適宜用いることができる。各紙料の調製方法、配合、各抄紙薬品の添加方法については、本実施形態の効果を損なうものでなければ特に限定されない。また、前記紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの公知の抄紙機を適用して単層又は多層で抄造することが可能である。
また、光沢発現層用塗工液の過度の浸透を抑えるために、紙基材には、サイズプレスなどで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を塗布することが好ましい。
紙基材の厚さは、本実施形態では特に限定されないが、100〜360μmであることが好ましい。より好ましくは、120〜340μmである。また、坪量は、100〜300g/mであることが好ましく、より好ましくは、120〜280g/mである。
このようにして製造した紙基材に直接インク受容層を設けてもよいが、本実施形態では、紙基材の表面を平滑化する目的で、予めマシンカレンダー、ソフトカレンダー、ラスターなどの処理を施すのが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
(実施例1)
(紙基材の形成)
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度520mlCSF)100部に対して、乾燥質量でグラフト化澱粉(DG4204、グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体:星光PMC社製)1.00部と、酸性ロジンサイズ剤0.20部と、液体硫酸バンド1.00部と、灰分5%になるように添加量を調整したタルク(タルクNTL:日本タルク社製)と、を配合して紙料を得た。この紙料を長網抄紙機にて抄造し、紙匹を得た。その後、サイズ液として酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)を前記紙匹の両面に乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、坪量180g/mの上質紙を製造し、インクジェット用紙基材とした。
(インク受容層の形成)
次に、顔料として合成シリカ(ニップジェルBY−001、東ソー・シリカ社製)100部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10.0部と、エチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−13:昭和高分子社製)45.0部と、カチオン性ポリマー(パラコンPJ:大原パラヂウム社製)20.0部とを配合し、工業用水で固形分濃度22%に調整してインク受容層用塗工液を得た。続いて、このインク受容層用塗工液をエアナイフコーターで絶乾塗工量12g/mとなるように前記紙基材の片面に塗布・乾燥してインク受容層を形成した。
(光沢発現層の形成)
次いで、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部と、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)6.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(ジェットフィックス110:里田化工社製)10.0部と、アセチレングリコール化合物として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(サーフィノール104PA、m=0、n=0:日信化学工業社製)0.05部と、低級アルコールとしてイソプロピルアルコール100部とを配合してセリエミキサーで高速攪拌し、固形分濃度18%の光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液を前記基紙のインク受容層形成面にエアナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工した。次いで、凝固剤としてホウ酸を1.0%及びホウ酸ナトリウムを1.0%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるオレイン酸カリウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20:大京化学社製、融点105℃)0.1%とを含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.2%)としてディップコーターで絶乾塗布量1.0g/mとなるように塗布して凝固処理を行った後、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−102、BET比表面積200m/g:トクヤマ社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T40、BET比表面積400m/g:ワッカー社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−420、鹸化度78mol%:クラレ社製)6.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−617、鹸化度95mol%:クラレ社製)6.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)1.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)10.0部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例7)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)10.0部と、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)1.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例8)
実施例1において、アセチレングリコール化合物として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(サーフィノール104PA、m=0、n=0:日信化学工業社製)を0.01部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例9)
実施例1において、アセチレングリコール化合物として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(サーフィノール104PA、m=0、n=0:日信化学工業社製)を2.00部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例10)
実施例1において、アセチレングリコール化合物として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物(サーフィノール420、m=0、n=1:日信化学工業社製)0.05部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例11)
実施例1において、低級アルコールとしてイソプロピルアルコールを200部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例12)
実施例1において、低級アルコールとしてイソプロピルアルコールを10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例13)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)40.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスOL、平均粒子径50nm:日産化学工業社製)60.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例14)
実施例1において、凝固液に潤滑剤としての高級脂肪酸塩及びポリエチレンエマルジョンを無添加とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
参考例15)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例16)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)10.0部と、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)11.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例1)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−117、鹸化度98mol%:クラレ社製)6.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例2)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてポリビニルアルコール(PVA−117、鹸化度98mol%:クラレ社製)11.0部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例3)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)11.0部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例4)
実施例1において、アセチレングリコール化合物を無添加とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例5)
実施例1において、アセチレングリコール化合物として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(サーフィノール104PA、m=0、n=0:日信化学工業社製)を3.00部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例6)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料として球状コロイダルシリカ(スノーテックスOL、平均粒子径50nm:日産化学工業社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例7)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料として球状コロイダルシリカが複数個パールネックレス状に連結した非球状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−MO、1次粒子径18〜25nm、2次粒子径80〜150nm:日産化学工業社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例8)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(型番PVA−505、鹸化度73mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
得られたインクジェット記録用光沢紙について、次の試験を実施し、結果を表1(実施例)と表2(比較例)に示した。
Figure 0005463176
Figure 0005463176
(1)光沢発現層表面の写像性(写像性):
得られたインクジェット記録用紙の光沢発現層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定した。評価としては、次のとおりである。
写像性が50%以上:反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れ、実用できる。
写像性が50%未満:反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、光沢紙として実用上問題がある。
(2)染料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(3)染料インクの吸収性:
セイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、CMYKの各インク並びにRGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(4)顔料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−5500」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(5)顔料インクの吸収性:
セイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−5500」を用い、CMYKの各インク並びにRGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(6)光沢発現層表面のひび割れ:
光沢発現層表面を電子顕微鏡で100倍に拡大して観察し、ひび割れの度合いを目視で評価した。○以上であれば、顔料インク適性(画像鮮明性)に支障がないレベルと考えられる。
◎:ひび割れが全く無く、実用できる。
○:ひび割れが僅かに認められるが実用できる(実用下限レベル)。
△:ひび割れが明らかに認められ、実用上問題がある。
×:ひび割れが著しく多く、実用上不可。
(7)光沢発現層表面のハジキ:
光沢発現層表面のハジキ(光沢発現層用塗工液がはじかれて塗工されていない部分)の発生度合いを目視評価した。
○:ハジキが全く無く、面質が良好で実用できる。
△:ハジキ明らかに認められ、面質が劣り、実用上問題がある。
×:ハジキが著しく認められ、面質が著しく悪く、実用上不可。
表1から明らかなように、実施例1〜16は、比較例1〜8に比べて染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性とに優れ、かつ、光沢発現層表面の光沢感に優れていた。
比較例1は、鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールを光沢発現層に含まないために顔料インクの画像鮮明性に劣った。比較例2は、鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとシラノール変性ポリビニルアルコールとを光沢発現層に含まないために顔料インクの画像鮮明性に劣った。比較例3は、シラノール変性ポリビニルアルコールを光沢発現層に含まないために顔料インクの画像鮮明性に劣った。比較例4は、アセチレングリコール化合物を光沢発現層に含まないため、光沢発現層用塗工液の泡が多くなった結果、ひび割れが多くなり顔料インクの画像鮮明性に劣った。比較例5は、アセチレングリコール化合物の添加量を過多としたためにハジキの発生によって面質が劣った。比較例6及び7は、気相法シリカを光沢発現層に含まないために顔料インクの画像鮮明性とインク吸収性とに劣った。比較例8は、ポリビニルアルコールの鹸化度を78mol%未満としたために染料インクの吸収性に劣った。

Claims (7)

  1. 紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙であって、
    前記光沢発現層が、前記顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、
    かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとを含有し、
    かつ、アセチレングリコール化合物を含有し、かつ、前記アセチレングリコール化合物の含有量が、前記顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部であることを特徴とするインクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記気相法シリカのBET比表面積が200〜400m/gであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  3. 前記シラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が、前記顔料100質量部に対して1〜10質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  4. 前記光沢発現層を形成するキャストコート法が凝固法であり、かつ、凝固液が、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方を含有し、かつ、前記凝固剤の含有量が、前記シラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとの合計含有量に対して5質量%以上であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  5. 前記光沢発現層が、前記結着剤として更にカチオン性ポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のインクジェット記録用光沢紙。
  6. カチオン性ポリウレタン樹脂の含有量は、光沢発現層中の全顔料100質量部に対して1〜20質量部であり、かつ、シラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとの含有量の合計は、光沢発現層の全結着剤のうち、乾燥質量で10質量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のインクジェット記録用光沢紙。
  7. 紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙の製造方法であって、
    前記光沢発現層を形成するための塗工液として、前記顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、
    かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールを含有し、かつ、アセチレングリコール化合物を前記顔料100質量部に対して0.01〜2.00質量部含有し、かつ、低級アルコールを前記顔料100質量部に対して10〜200質量部含有する塗工液を使用することを特徴とするインクジェット記録用光沢紙の製造方法。
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