JP5751963B2 - インクジェット記録用光沢紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、染料インクと顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性に優れ、銀塩写真並の高光沢感を有し、更に極めて優れた光沢表面の耐傷性を有するインクジェット記録用光沢紙に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙及び/又はフィルムを支持体として、顔料と結着剤を主成分とする顔料塗工層を支持体表面に設けたものが多く使用されている。
インクジェット記録専用媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体に分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求される場合には、後者の光沢媒体が使用される。
光沢媒体の製法としては、一般的な方法として、キャスト法によってインク受容層を形成し表面に光沢を付与する方法と、印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法がある。
一般にRC紙(レジンコート紙)と呼ばれる後者の方法における印画紙用基材は、基紙の上にポリエチレンのフィルム層(レジンコート)が形成されている。さらに、インク受容層をその表面に形成する。このようなRC紙を印画紙用基材とする光沢媒体は、フィルム面が平滑であり、インク受容層表面も平滑であることから、光沢のある表面が形成しやすい。
しかし、このようなRC紙を印画紙用機材とする光沢媒体は、インク吸収性を向上させるためにインク受容層を厚く設ける必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャスト法による光沢媒体に比べ全体のコストが割高となる。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができないといった環境面における問題もある。
一方で、キャスト法によるインクジェット記録用光沢紙について各種の提案がなされている。例えば、記録層表面の亀裂の大きさ及び個数を規定することによって優れた光沢感及びインク受容性を有するインクジェット記録用紙が得られるとの提案もある(例えば、特許文献1を参照。)。
さらに、パールネックレス状のコロイダルシリカを含むインクジェット記録シートの提案もある(例えば、特許文献2を参照。)。
また、近年、インク吸収速度が速く、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット記録用光沢紙として、顔料としてアルミナ水和物を水溶性バインダーと混合して塗工した用紙が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
光沢表面の耐傷性についても様々の提案がなされている。例えば、光沢発現層の結着剤に使用されるポリビニルアルコールの平均重合度やケン化度を規定して改善する提案がある(例えば、特許文献4参照。)。
また、光沢発現層表面の平滑性及び粗さを規定して光沢表面の耐傷性を改善する提案もある(例えば、特許文献5を参照。)。
しかし、特許文献1に記載のインクジェット記録用光沢紙においては、亀裂数が少なすぎると、光沢感が増す一方でインク吸収性が低下するという問題点もある。
また、特許文献2に記載のインクジェット記録用光沢紙においては、パールネックレス状のコロイダルシリカを使用することで染料インクの吸収性向上には一定の効果があるが、表面耐傷性、光沢感が必ずしも満足できるには至っていない。また、顔料インクを使用した場合には、画像鮮明性が必ずしも満足できるレベルに至らない。
また、特許文献3に記載のインクジェット記録用光沢紙においては、染料インク及び顔料インクの発色性には優れるものの、表面耐傷性が必ずしも満足できるレベルにはない。
このように特許文献1〜3に記載のインクジェット記録用光沢紙は、光沢感が非常に優れているという特徴をもつが、光沢感に優れているが故に光沢表面に傷が入りやすいという欠点をもつ。例えば、葉書用途に使用する場合に裏面に宛名印刷をするが、印刷時の給紙部ガイドによる擦れ及び排紙部の吸引車との擦れによって傷が付きやすいという欠点をもっている。また、インクジェットプリンターでの印刷時に、光沢表面と給紙ローラーとの接触によって傷が入りやすいという欠点も問題となる。葉書用途の場合、裏面の高速宛名印刷時の場合の方がインクジェットプリンターでの印刷時よりも傷が入りやすく、防止するのが困難である。
近年では前記のごとく、例えば非光沢面への宛名印刷のような印刷工程及び後加工工程における作業性の問題から、光沢表面の耐傷性への要求が次第に高くなってきている。
そこで、光沢表面の耐傷性について改善を目的とした特許文献4〜5に記載の技術がさらに提案されている。しかしながら、特許文献4に記載の技術を応用した場合であっても、例えば光沢発現層に含有させる顔料として気相法シリカの様な多孔質性顔料を使用した場合に、塗工層が塑性変形しやすくなり、耐傷性が不満足となる場合がある。
また、特許文献5に記載の技術を応用した場合であっても、光沢発現層が塑性変形しやすい場合は耐傷性が不満足となる場合がある。
このように、光沢表面の耐傷性に関するこれらの提案内容では益々高まる耐傷性への要求に対して完全には対応できないとの結論に至った。このような現状を鑑みると、キャスト法によって製造するインクジェット記録用光沢紙において、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造された媒体を超える画質と均一な光沢感を有し、かつ、非常に優れた光沢表面耐傷性を合わせもつ記録媒体は全くないのが現状である。
また、近年になって印字画像の保存性を向上させることを目的として、顔料インクを搭載するインクジェットプリンターも増えてきている。顔料インクは染料インクと比較して吸収速度が遅いために、塗工層の顔料として多孔質微細顔料を使用して塗工層の細孔容積を増やす必要があるが、その場合、表面の耐傷性が弱くなってしまう傾向がある。よって、染料インクだけでなく、顔料インクによる吸収性も維持して、光沢表面の耐傷性を高いレベルで両立させることは極めて困難であった。
また、いわゆるマット調インクジェット記録用媒体と比較して、銀塩写真の代替を狙った光沢表面を有するインクジェット記録用光沢紙の摩擦抵抗は顕著に高い。この理由は、次のように推察される。すなわち、光沢発現層に使用される顔料は、いわゆるマット調インクジェット記録用紙のインク受理層に使用される顔料よりも小粒子径であることが多く、よって、必然的に表面が高平滑かつ高光沢になるために、物質と接触した時の真実接触面積が増大するため、その結果として摩擦抵抗が増加するものである。よって、光沢表面の耐傷性問題については、光沢発現層を有するインクジェット記録用紙の方が、その他のインクジェット記録用紙よりも深刻であるといえる。
特開平11−348416号公報 特開2000−108506号公報 特開平06−055829号公報 特開2005−280012号公報 特開2006−168046号公報
そこで、本発明の目的は、インクジェット記録用光沢紙において、良好な染料インクと顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感を有し、更に光沢表面の耐傷性にも極めて優れ、かつ、リサイクル可能な記録媒体を提供することである。さらに、本発明は、葉書用途として使用することに適した光沢表面の耐傷性に優れるインクジェット記録用光沢紙を提供することも目的とする。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に、BET比表面積が100〜400m/gの多孔質微細顔料と結着剤を含む1層以上の光沢発現層を設け、かつ、該光沢発現層の上に平均粒子径が20〜200nmである単分散球状コロイダルシリカとポリビニルアルコールを主体とする光沢発現層の保護層を設け、かつ該保護層の厚さが0.02〜2.0μmであることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記多孔質微細顔料が、気相法シリカ、沈降法シリカ、ベーマイト(擬ベーマイトも含む)、θ−アルミナ、γ−アルミナ、アルミナ修飾シリカより選ばれる1種以上であることが好ましい。染料インクと顔料インクのインク吸収性をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記ポリビニルアルコールがシラノール変性ポリビニルアルコールを含有することが好ましい。光沢表面の光沢感をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、前記光沢発現層が湿潤状態にあるうちに前記保護層の塗設が行われ、前記保護層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するキャストコート法により前記保護層の乾燥を行うことが好ましい。光沢表面の光沢感をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、前記光沢発現層の塗工層水分が30〜90質量%の状態で前記保護層の塗設が行われ、前記保護層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するキャストコート法により前記保護層の乾燥を行うことが好ましい。光沢表面の光沢感をより優れたものにすることが可能となる。
本発明のインクジェット記録用光沢紙は、非常に良好な表面光沢感、染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性を有すると共に、光沢表面の耐傷性についても優れている。特に、印刷等の後加工の作業性の問題から、光沢表面の耐傷性についての要求は、益々レベルが上がっていくものと容易に推察されることから、本発明の有意性は大きいと考えられる。また、本発明では、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストも低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり、資源の有効利用という観点からも好ましい。また、本発明に係る光沢表面の耐傷性に優れるインクジェット記録用光沢紙であれば、葉書用途として使用することにも適している。また、本発明のインクジェット記録用光沢紙の製造方法であれば、光沢表面の光沢感がより優れたインクジェット記録用光沢紙を得ることができ、さらに、塗工工程が最小限で済むために経済性に優れる。
これより本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
インクジェット記録用光沢紙の光沢発現層を形成するための塗工液に含有させる顔料としては、球状コロイダルシリカ、複数個の球状コロイダルシリカが連結した非球状コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ(ベーマイト、擬ベーマイト結晶も含む)、アルミナ修飾シリカなどを挙げることができる。非多孔質微細顔料である単分散球状コロイダルシリカは、材質として摩擦係数が上がらず、かつ硬度が高く、耐傷性の強い表面を形成できる反面、粒子そのものに空隙を有しないために光沢発現層を形成したときに、インク吸収性及び画像鮮明性が比較的悪い。特に、顔料インクの吸収性に劣る。
したがって、本発明の実施形態においては、光沢発現層においてはBET比表面積が100〜400m/gの多孔質微細顔料を使用する。多孔質微細顔料であれば、その幾何学的形状から成膜時の空隙が形成され、染料インク及び顔料インクのインク吸収性に優れているからである。さらに、本実施形態においては前記目的を達成するために、紙基材の少なくとも片面に、BET比表面積が100〜400m/gの多孔質微細顔料と結着剤を主成分として含む1層以上の光沢発現層を設ける。
本実施形態で使用する多孔質微細顔料とは、一次粒子が凝集して二次以上の粒子を形成している顔料のことであり、粒子自体が空隙を有する顔料のことである。平均一次粒子径が5〜30nm、平均二次粒子径(三次以上を形成している場合は最終的な凝集形状の平均粒子径とする)は20〜1000nmであることが好ましい。このような顔料としては、気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、複数個の球状コロイダルシリカが連結した非球状コロイダルシリカ、ベーマイト(擬ベーマイトも含む)、γ‐アルミナ、θ‐アルミナ、σ‐アルミナ、アルミナ修飾シリカ等を挙げることができる。顔料インクのインク吸収性と光沢感の観点から、気相法シリカ、沈降法シリカ、γ‐アルミナ、θ‐アルミナ、ベーマイト(擬ベーマイトも含む)、アルミナ修飾シリカを使用することが好ましい。これらの顔料であれば、その幾何学的形状から成膜時の空隙が形成され、染料インク及び顔料インクのインク吸収性に優れるからである。光沢発現層中、多孔質微細顔料は20質量%〜90質量%含むとよく、30質量%〜85質量%含むことが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、多孔質微細顔料と非多孔質微細顔料とを併用してもかまわない。
また、本実施形態で使用する多孔質微細顔料のBET比表面積は、100〜400m/gである。より好ましくは、150〜380m/gであり、特に好ましくは、180〜350m/gである。BET比表面積が100m/g未満であると、顔料インクの画像鮮明性に劣ることがある。BET比表面積が400m/gを超えると、塗工液の粘度が高すぎて安定性が劣ることがある。ここで、BET比表面積は、BET法によって求めた単位質量あたりの表面積である。BET法とは、気相吸着法による粉体の比表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料のもつ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。また、本発明の効果を損なわない範囲においては、BET比表面積が100m/g未満の多孔質微細顔料と併用してもかまわない。
また、本実施形態における光沢発現層の厚さは3.0〜40.0μmであることが好ましい。3.0μm未満では顔料インクのインク吸収性に劣り、40.0μmを超える場合は塗工層が脆くなり光沢表面の耐傷性に劣る。好ましくは5.0〜35.0μmである。更に好ましくは6.0〜30.0μmである。また、光沢発現層の厚さはフィールドエミッション型の電子顕微鏡で直接観察することが可能である。
上記多孔質微細顔料を含む1層以上の光沢発現層は、吸収性に優れる反面、製膜時の多孔質性が故に塑性変形及び割れが生じやすい。すなわち、光沢発現層の表面は傷がつきやすく、さらに、摩擦係数が上がりやすく、それによっても傷が生じやすくなるという不都合が生じる。
このような光沢発現層の表面の性質を鑑み、本発明の実施形態においては、耐傷性が優れたインクジェット記録用光沢紙を得るために、光沢発現層の上に非多孔質微細顔を含む保護層を設ける。保護層の顔料として使用できるのは非多孔質微細顔である単分散球状コロイダルシリカである。しかしながら、前述したように非多孔質微細顔料には顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性に難があるために、顔料インクのインク吸収性及び画像鮮明性と、光沢表面の耐傷性とのバランスを考慮する必要がある。
ここで、光沢表面に発生する傷のメカニズムについて検討する。例えば、葉書用途の場合、非光沢面に宛名枠を印刷するためにオフセット印刷機などに通すわけであるが、給紙部ガイド等の明らかに光沢表面よりも硬い材質に接触し、光沢表面が磨耗することによって傷が発生する。一般に、磨耗の機構は、極めて複雑であるが、凝着磨耗とアブレシブ磨耗の2種類に大別される。凝着磨耗は、摩擦面の真実接触面積を構成する凝着部のせん断や破壊に起因する磨耗のことである。アブレシブ磨耗は、摩擦面の一方が硬い場合や摩擦面間に硬い異物が介在する場合に生じる切削作用による磨耗である。いずれの磨耗の磨耗量も、硬さに反比例する場合が多い。実際に印刷工程において光沢表面に発生した傷を、電子顕微鏡にて観察してみた結果、傷の形状の大多数は、塗工膜が割れたように破壊されており、その傷の溝の両端には盛り上がり(ウェッジ)が形成されていることから、アブレシブ磨耗であると推測される。よって、光沢表面の耐傷性を強くする方法としては2通りの方法が考えられる。まず1つ目の方法としては、表面の割れによる破壊が極めて発生しにくい塗工膜を形成させると同時に塗工膜の硬度を硬く、かつ、塑性変形し難いようにせしめる方法である。2つ目の方法としては、瞬間的な摩耗を軽減させるために真実接触部に潤滑性を持たせる方法、すなわち摩擦抵抗を軽減させる方法が考えられる。本発明は前者と後者の方法を最大限に両立させうる方法に関するものである。
前述したように、染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性を優れたものにするためには光沢発現層には、比較的耐傷性が低い顔料を使用せざるを得ず、それらの顔料を使用した場合には摩擦抵抗が比較的大きくなるという現象もあって、光沢表面の破壊が極力発生しにくい状態を維持しつつ摩擦抵抗を軽減させる必要がある。
このような本実施形態においては前記目的を達成するために、紙基材の少なくとも片面に、BET比表面積が100〜400m/gの多孔質微細顔料と結着剤を主体として含む1層以上の光沢発現層の上に、さらに、該光沢発現層の上に非多孔質微細顔料である単分散球状コロイダルシリカとポリビニルアルコールを主成分として含む光沢発現層の保護層を設け、かつ該保護層の厚さが0.02〜2.0μmである必要がある。
本実施形態で使用する非多孔質微細顔料としては、単分散球状コロイダルシリカである。当該シリカは、粒子自体にほとんど空隙が存在しない。粒子が球状で一次粒子であるため、光沢表面の摩擦係数が下がる。また、本実施形態で使用する単分散球状コロイダルシリカの平均一次粒子径は20〜200nmである。20nm未満では耐傷性に劣り、200nmを超える場合は、光沢感が劣る。さらに好ましくは、25〜100nmである。さらに本発明の効果を損なわない限りにおいて、平均粒子径が異なる非多孔質微細顔料を混合して使用することも可能である。保護層中、非多孔質微細顔料は10質量%〜99質量%含むとよく、20質量%〜95質量%含むことが好ましい。
尚、ここで平均粒子径とは、数平均粒子径を意味する。本実施形態で使用する多孔質微細顔料及び非多孔質微細顔料の平均粒子径は、主として動的光散乱法(例えば、大塚電子社製、DLS−6500)で求めることが可能であり、また、高倍率観察が可能なフィールドエミッション型の電子顕微鏡で直接観察して求めることも可能である。
本実施形態における保護層の厚さは0.02〜2.0μmである。0.02μm未満では光沢表面の耐傷性に劣り、2.0μmを超える場合は顔料インクのインク吸収性に劣る。好ましくは0.04〜1.5μmであり、更に好ましくは0.06〜1.0μmである。保護層の厚さは、使用する顔料の種類等を調整することで適宜調整できる。また、保護層の厚さはフィールドエミッション型の電子顕微鏡で直接観察することが可能である。
本実施形態では保護層の結着剤としてポリビニルアルコールが必須成分となる。結着剤としてポリビニルアルコールを含有させると耐傷性に優れた光沢紙が得られるからである。要求品質に応じて様々の重合度、ケン化度のポリビニルアルコールを使用することが可能である。また、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも使用可能である。また、光沢表面の光沢感の観点から、更に好ましくはシラノール変性ポリビニルアルコールを含有することである。シラノール変性ポリビニルアルコールは無変性ポリビニルアルコールと比較してゲル化が強いために、キャスト処理後の光沢感が向上する。保護層中のシラノール変性ポリビニルアルコールは顔料100質量部に対し1〜100質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜80質量部程度の範囲で添加され、更に好ましくは10〜70質量部である。1質量部未満であると、光沢表面の耐傷性及び光沢感が低下する場合がある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
さらに本実施形態において、前記光沢発現層表面同士の、JIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」の水平方法・縦と縦の組合せに準じた静摩擦係数が0.90以下であることで、より光沢表面の耐傷性を優れたものにすることが可能となる。更に好ましくは静摩擦係数が0.80以下である。更に好ましくは静摩擦係数が0.75以下である。光沢表面に減摩作用を施すことによって瞬間的な摩耗を軽減させることが可能となるため好ましい。
さらに光沢発現層に含有させる結着剤としては、ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含む)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリル樹脂の複合体樹脂、などが例示され、単独又は併用して用いられる。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、塗工層の強度、表面光沢感、塗料液性などを考慮して決定される。通常、光沢発現層においては顔料100質量部に対し1〜100質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜60質量部程度の範囲で添加され、更に好ましくは10〜50質量部である。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
光沢発現層の塗工液には、染料インクの発色性の観点から結着剤にポリビニルアルコールを含有することが好ましい。また、光沢表面の耐傷性の観点から、更に好ましくはシラノール変性ポリビニルアルコール若しくは重合度が2000〜5000のポリビニルアルコール又はその両方である。
また更に、光沢発現層及び保護層には、インクジェット記録用インクを定着させるためのカチオン性ポリマー、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を適宜選定して添加することができる。
本実施形態の光沢発現層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、スライドビードコーター、スライドカーテンコーターなどの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、固形分換算で3〜30g/m、好ましくは5〜25g/mの範囲が好ましい。塗工量が30g/mを超えると生産性が劣り、塗工量が3g/m未満の場合には十分な光沢表面を形成しづらい。
また、本実施形態の保護層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、スライドビードコーター、スライドカーテンコーターなどの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、固形分換算で0.01〜3.0g/m、好ましくは0.05〜2.0g/mの範囲が好ましい。塗工量が3.0g/mを超えると顔料インクの吸収性が劣り、塗工量が0.01g/m未満の場合には十分な耐傷性が出ない。
また、本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法では、前記光沢発現層が湿潤状態にあるうちに前記保護層の塗設が行われ、前記保護層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するキャストコート法により前記保護層の乾燥を行うことが好ましい。光沢表面の光沢感がより優れたものにすることが可能となる。すなわち、結着剤としてポリビニルアルコールを使用する本発明においては、凝固剤として使用するホウ素化合物とポリビニルアルコールが反応してスライム状となり製造に支障をきたす可能性がある。したがって、本発明では、保護層の形成後に、凝固液を塗布することが好ましい。
また、本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法では、前記光沢発現層の塗工層水分が30〜90質量%の状態で前記保護層の塗設が行われ、前記保護層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するキャストコート法により前記保護層の乾燥を行うことが好ましい。光沢表面の光沢感をより優れたものにすることが可能となる。
さらに、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」による光学くし幅2mm入反射角度60°による条件の光沢発現層の写像性が50%以上であることが光沢感の観点から好ましい。さらに好ましくは、写像性が55%以上である。写像性が60%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、公知のキャストコート法によって製造することが好ましい。キャストコート法には、ウェット法、凝固法、リウェット法が知られており、本実施形態においては凝固法であることが好ましい。凝固法は、塗工層が湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理した後にキャストドラムに圧接する方法である。凝固処理においては、凝固剤は、塗工層の結着剤成分と効果的に凝固するものを選定することが重要であり、本実施形態においては例えばホウ素化合物を使用できる。また、凝固液濃度が高い場合は、凝固力が強くなり、耐傷性がより良化するので好ましい。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤に対して5質量%以上が好ましい。5質量%未満の場合は、表面強度が低下する恐れがあり、更に好ましくは10質量%以上である。
また、一般的には、新たな工程を増やすことなく、凝固液中に保護層の主成分である非多孔質微細顔料と結着剤を含有することも可能である。しかしながら、結着剤としてポリビニルアルコールを使用する本発明においては、凝固液中に保護層の主成分である非多孔質微細顔料と結着剤を含有させないほうが良い。凝固剤として使用するホウ素化合物とポリビニルアルコールが反応してスライム状になるからである。したがって、本発明では、保護層の形成後に、凝固液を塗布することが好ましい。さらに、画像鮮明性を向上させるために、凝固液にインクを定着させるためのカチオン性ポリマーを添加することも可能である。また、光沢発現層を塗工してから凝固液を塗布するまでの時間、凝固液を塗布してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着するときの圧力、及びライン速度を調整することによって、光沢度の高い表面を形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗料に応じて最適条件を求めることで適正化する必要がある。
また、キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよいし、カール調整のため、裏面に水、カール調整剤などを塗工したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本実施形態のインクジェット記録用光沢紙は、光沢発現層の下に1層以上のインク受容層を設けることが経済性及びインク吸収性の観点から好ましい。インク受容層は、白色顔料と結着剤成分とを主成分とする。
インク受容層に用いる顔料としては、公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナなどの白色無機顔料、又はアクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が挙げられる。インク受理層中、顔料は40質量%〜80質量%含むとよく、45質量%〜75質量%含むことが好ましい。
インク受容層に含有させる結着剤は、ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含む)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類などが例示され、単独又は併用して用いられる。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク受容層の強度、塗料液性を考慮して決定される。通常、顔料100質量部に対し1〜200質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜100質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
インク受容層には、前記顔料及び前記結着剤以外にカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーの作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応し水に不溶な塩を形成することから、インクをインク受容層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。このようなカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、ポリアミジン系化合物、その他第4級アンモニウム塩類などが用いられる。添加量は、特に限定されないが、顔料100質量部に対し1〜50質量部の範囲で使用される。好ましくは、5〜40質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。
その他の添加剤としては、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを使用できる。
インク受容層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーターなどの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、特に限定されないが、塗工量が少なすぎる場合はインク吸収性が劣ることから、固形分換算で5g/m以上とすることが好ましい。また、塗工量が多すぎる場合は光沢発現層塗工時にバインダーマイグレーションが発生し、光沢表面の耐傷性が低下する恐れがあるので20g/m以下が好ましい。より好ましくは、6〜15g/mである。インク受容層を形成する塗工液を2回以上塗布して、インク受容層を2層以上で構成してもよい。
また、インク受容層塗工後に、一定の平滑性を出すためにスーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することも可能である。
インク受容層及び光沢発現層及び保護層は、基材の片面のみならず、両面に設けてもよい。両面印刷用とすることができる。
本実施形態で使用する紙基材としては、上質紙、中質紙、白板紙等の紙基材を用いることができる。また、酸性紙及び中性紙も使用することが可能である。また、保存時の耐変色性に優れている傾向があることから、使用する紙基材が酸性紙であることが好ましい。ここで記述される酸性紙とは、タルクやカオリンクレー等の酸性填料及び硫酸バンド等の酸性薬品が添加されて抄紙される紙のことをいう。また、本実施形態においては、燃料としてリサイクルされる場合を考慮し原料パルプとしては、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。また、使用する填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、ベントナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の公知の顔料を使用することが可能である。
また、紙料中には上記パルプ、填料以外にも公知の紙力剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料等の各種抄紙用薬品が適宜用いられる。各紙料の調成方法、配合、各抄紙薬品の添加方法については、本実施形態の効果を損なうものでなければ特に限定されない。また、上記紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機及びツインワイヤー抄紙機等の公知の抄紙機を適用して抄造することが可能である。
また、光沢発現層塗工液の過度の浸透を押さえるために、紙基材には、サイズプレス等で澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の公知の水溶性高分子を塗布することが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は特に明示しない限り固形質量部および固形質量%を示す。
(実施例1)
(インク受容層の形成)
サイズプレスにて酸化澱粉を表面処理した坪量180g/mの上質紙を紙基材とした。次に、顔料として合成シリカ(ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)100質量部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部及びエチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−13:昭和高分子社製)45質量部、更にカチオン性ポリマー(ユニセンスCP−102:センカ社製)20質量部を用い、固形分濃度18質量%のインク受容層用塗工液を得た。続いて、このインク受容層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量12g/mとなるように前記紙基材の片面に塗布・乾燥してインク受容層を塗設した。
(光沢発現層の形成)
次いで、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)100質量部、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5質量部とポリビニルアルコール(PVA−224、鹸化度87mol%、重合度2400:クラレ社製)5質量部とカチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)10質量部とし、更にインク定着向上のためにカチオン性高分子(ハイマックスSC−600L:ハイモ社製)5質量部と、を配合してセリエミキサーで攪拌して固形分濃度18%の光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液をインク受容層形成面にエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工した。
(保護層の形成)
次いで、光沢発現層の塗工層水分が60質量%の状態において、保護層塗工液の顔料として単分散球状コロイダルシリカ(スノーテックスYL、平均粒子径80nm:日産化学工業社製)100質量部、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)30質量部を配合した固形分5%の保護層塗工液を光沢発現層上に絶乾塗工量1g/mとなるように塗工した。
(凝固液の塗布)
次いで、保護層が湿潤状態にあるうちに、凝固剤としてホウ酸を1.0%、ホウ酸ナトリウム1.0%を含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.0%)としてウェット塗布量30g/mとなるように更に塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、保護層の顔料として単分散球状コロイダルシリカ(スノーテックス50、平均粒子径20nm:日産化学工業社製)を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、保護層の顔料として単分散球状コロイダルシリカ(MP2040、平均粒子径200nm:日産化学工業社製)を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料としてγ‐アルミナ(TM−300D、BET比表面積200m/g:大明化学工業社製)100質量部を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として沈降法シリカ(ファインシールX−37B、BET比表面積287m/g:トクヤマ社製)100質量部を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料としてベーマイト(ベーマイトC01、BET比表面積128m/g:大明化学工業社製)100質量部を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
参考例7)
実施例1において、保護層の結着剤として無変性ポリビニルアルコール(PVA−124、鹸化度98mol%、重合度2400:クラレ社製)を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例1)
実施例1において、保護層を設けなかったこと以外は実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例2)
実施例4において、保護層を設けなかったこと以外は実施例4に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例3)
実施例5において、保護層を設けなかったこと以外は実施例5に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例4)
実施例6において、保護層を設けなかったこと以外は実施例6に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例5)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として非多孔質微細顔料である単分散球状コロイダルシリカ(スノーテックスOL、平均粒子径40〜50nm:日産化学工業社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例6)
実施例1において、保護層の顔料として単分散球状コロイダルシリカ(スノーテックスXS、平均粒子径6nm:日産化学工業社製)を使用した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例7)
実施例3において、保護層の絶乾塗工量が2g/mとなるように塗工した以外は、実施例3に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
得られたインクジェット記録用光沢紙について、次の試験を実施し、結果を表1及び表2に示した。
(1)光沢発現層の保護層の厚さの測定:
得られたインクジェット記録用光沢紙の保護層の断面出しを行ったあと、フィールドエミッション型の電子顕微鏡で保護層の厚さの測定を行った。(保護層の厚さを5点測定し、平均値を用いた。)
(2)光沢表面の写像性:
得られたインクジェット記録用紙の光沢表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定した。評価としては、写像性が50%以上は、反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れている。写像性60%以上では更に光沢感に優れる。50%未満では、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣る。
(3)染料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−A970」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上使用できない。
(4)染料インクのインク吸収性:
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−A970」を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字並びにRGB(Red-Green-Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上使用できない。
(5)顔料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PX−G930」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上使用できない。
(6)顔料インクのインク吸収性:
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PX−G930」を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字並びにRGB(Red-Green-Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上使用できない。
(7)光沢層表面の耐傷性:
オフセット印刷機(LITHRON40、KOMORI製)に得られたインクジェット記録用紙を50枚セットして、擦り傷の出やすい高速印刷速度(8850枚/時)で裏面側の印刷を行った際に発生した、光沢層表面の擦り傷の度合いを目視評価した。
◎:擦り傷が全く無く良好であり、実用できる。
○:擦り傷が僅かに認められるが目立たず、実用できる。
△:擦り傷が明らかに認められ、実用上問題がある。
×:擦り傷が著しく認められ、実用上使用できない。
Figure 0005751963
Figure 0005751963
表1から明らかなように、実施例1〜6、および参考例7は、比較例1〜7に比べて染料インク及び顔料インクのインク吸収性及び画像鮮明性と光沢感に優れ、かつ、光沢表面の耐傷性に優れていた。
比較例1、2、3、4は光沢発現層の上に保護層がないため、光沢表面の耐傷性に劣った。比較例5は、光沢発現層の顔料が非多孔質微細顔料である単分散球状コロイダルシリカのみであったために顔料インク適性に劣った。比較例6は、保護層の厚さが0.02μm未満であったために光沢表面の耐傷性に劣った。比較例7は保護層の厚さが2.0μmを超えたために顔料インク適性に劣った。

Claims (3)

  1. 紙基材の少なくとも片面に、BET比表面積が100〜400m/gの多孔質微細顔料と結着剤を含む1層以上の光沢発現層を設け、かつ、該光沢発現層の上に平均粒子径が20〜200nmである単分散球状コロイダルシリカとシラノール変性ポリビニルアルコールを主体とする光沢発現層の保護層を設け、かつ該保護層が均一な塗膜を形成しており、該保護層の厚さが0.02〜2.0μmであることを特徴とするインクジェット記録用光沢紙を製造するための製造方法であって、
    前記光沢発現層が湿潤状態にあるうちに、前記光沢発現層の上に前記保護層の塗設が行われ、前記保護層が湿潤状態にあるうちに、前記保護層の上にホウ素化合物を含む凝固液を塗布して凝固処理した後、前記保護層が湿潤状態にあるうちに加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するキャストコート法により前記保護層の乾燥を行うことを特徴とする前記製造方法。
  2. 前記多孔質微細顔料が、気相法シリカ、沈降法シリカ、ベーマイト、擬ベーマイト、θ−アルミナ、γ−アルミナ、アルミナ修飾シリカより選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載の製造方法
  3. 前記光沢発現層の塗工層水分が30〜90質量%の状態で前記保護層の塗設が行われ、前記保護層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するキャストコート法により前記保護層の乾燥を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法
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