JP5801219B2 - 空隙型インクジェット記録用光沢紙 - Google Patents

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Description

本発明は、染料インク及び顔料インクに対して良好なインク吸収性及び画像鮮明性をもちながら、高光沢感を有する空隙型インクジェット記録用光沢紙に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みが少なくある程度の印字品質が期待できるが、より高い印字品質を求める場合には、媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク吸収層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙及び/又はフィルムを支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層を有する媒体(いわゆる空隙型媒体)又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けた媒体(いわゆる膨潤型媒体)が多く使用される。
インクジェット記録専用媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。光沢媒体の一般的な製法としては、キャストコート法によってインク吸収層を形成し表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク吸収層を形成する方法とがある。
後者の印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているためにインク吸収層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク吸収層表面も平滑で、光沢のある表面が形成しやすい。しかし、全体のコストは、インク吸収性をあげるためにインク吸収層の塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャストコート法による光沢媒体に比べ高い価格のものとなる。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができないといった問題点もあり、エコロジーの観点からは紙ベースでリサイクル可能な、キャストコート法で製造された光沢媒体の方に優位性がある。
一方、インクジェットプリンターのインクは、従来の主流であった染料着色剤を使用した染料インクだけでなく、耐水性、耐光性などの保存性に優れた着色顔料を分散した顔料インクも使用されるようになっている。これら顔料インクの平均粒子径はおおよそ50〜100nmであって、染料分子の5〜10倍の大きさであるために必然的に吸収速度が異なる。また、染料インクと顔料インクとの電荷も異なることから、光沢媒体に両者のインク適性をもたせるためには、従来の染料インク専用媒体とは異なるインク吸収層の設計が必要である。
染料インクよりも顔料インクの吸収速度が遅いことから、塗工層は適正サイズの細孔が必要であり、膨潤型の塗工層では適正サイズの細孔を形成させることが困難なために顔料インクの吸収性が悪くなってしまう。また、顔料インクは顔料粒子の表面電荷がマイナス側であるが、染料インクの染料分子の表面電荷はプラス側であることが多いため、塗工層の設計時には、塗工層に適正サイズの細孔をもたせ、かつ、塗工層表面の電荷の分布を適正範囲に制御する必要があると推測される。
従来技術として、主として顔料インクで記録を行うインクジェット記録用紙について、インクジェット記録面の表面ゼータ電位を規定して発色性を向上させたインクジェット記録用紙の提案がある(例えば、特許文献1又は2を参照)。
特開2003−211833号公報 特開2004−291238号公報
しかし、特許文献1に記載の技術の場合においては、媒体が空隙型ではなくいわゆる普通紙であり、また、記録面が鏡面性を有しないため、写真画像を印字して銀塩写真の風合いを醸し出すインクジェット用紙にはならない。よって、空隙型のインクジェット記録用光沢紙の具体的な作成技術とはいい難い。また、インクの対象が顔料インク主体であるため、染料インクで記録する場合までの品質のバランスが考慮されているとはいい難い。
また、特許文献2に記載の技術の場合においては、光沢面を形成するために媒体がRC紙(レジンコート紙)の支持体を主体としているため、前記したようにリサイクル性及び経済性の観点から劣っている。また、インクの対象が顔料インク主体であるため、染料インクで記録する場合までの品質のバランスが考慮されているとはいい難い。
よって、本発明者らの研究結果から、前記提案内容では、染料インク及び顔料インクで写真画像を印字した場合に銀塩写真の風合いを醸し出すこととリサイクル性とを両立することは困難であるとの結論に至った。このような現状を鑑みると、リサイクル可能であり、かつ、染料インク及び顔料インクいずれのインクを用いても銀塩写真代替可能なインクジェット記録用光沢紙は全くないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、印画紙基材(レジンコート基材)又はフィルム基材を用いて製造した媒体では不可能なリサイクル性を有するインクジェット記録用光沢紙に関し、染料インク及び顔料インクによる記録適性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感(高い鏡面性)を有する記録媒体を提供することである。
本発明に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙は、透気性を有する紙基材の少なくとも片面に、顔料及び結着剤を主体とするインク吸収層が1層以上設けられた空隙型インクジェット記録用光沢紙において、前記インク吸収層の最表層の写像性が65%以上であり、前記インク吸収層の最表層表面をpH6.0〜6.3のいずれかの範囲に調整した10mM塩化ナトリウム溶液中における表面ゼータ電位が−5〜15mVであり、前記インク吸収層の最表層が、2価以上の金属塩、カチオン性高分子及びノニオン性界面活性剤を更に含有し、前記2価以上の金属塩及び前記カチオン性高分子の合計含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.1〜20質量%であり、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.01〜5質量%であり、前記インク吸収層の最表層が、前記顔料として気相法シリカを含有し、かつ、前記最表層の表面にコロイダルシリカが分布していることを特徴とする。インク吸収層が、2価以上の金属塩、カチオン性高分子及びノニオン性界面活性剤を含有することで、インク吸収層の最表層の表面ゼータ電位を適正範囲により容易に制御することができる。
本発明に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙では、前記紙基材が酸性紙であることが好ましい。
本発明に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙では、前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求めた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25〜50nmに存在することが好ましい。このような構成によれば顔料インクによる記録適性により優れる。
本発明に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙では、前記インク吸収層の最表層がキャストコート法によって形成されたことが好ましい。紙基材を用いても高い光沢感を得ることが可能であり、リサイクル可能な空隙型インクジェット記録用光沢紙とすることができる。
本発明は、印画紙基材(レジンコート基材)又はフィルム基材を用いて製造した媒体では不可能なリサイクル性を有するインクジェット記録用光沢紙に関し、染料インク及び顔料インクによる記録適性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感(高い鏡面性)を有する記録媒体を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙は、透気性を有する紙基材の少なくとも片面に、顔料及び結着剤を主体とするインク吸収層が1層以上設けられた空隙型インクジェット記録用光沢紙において、インク吸収層の最表層の写像性が65%以上であり、インク吸収層の最表層表面のpH6.0〜7.0における表面ゼータ電位が−5〜15mVである。本実施形態に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙は、非常に良好な表面光沢感、染料インク及び顔料インクのインク吸収性を高いレベルで両立している。また、本実施形態に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙は、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙に比べ、製造コストが低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり、資源の有効利用という観点からも好ましい。
インク吸収層の最表層表面のpH6.0〜7.0における表面ゼータ電位が−5〜15mVである。より好ましくは、−4〜14mVであり、特に好ましくは、−2mV〜10mVである。表面ゼータ電位が−5mV未満の場合は顔料インクの発色性に劣る。15mVを超える場合は染料インクの発色性に劣る。ここで、インク吸収層の最表層は、インク吸収層が1層である場合には当該層であり、インク吸収層が2層以上である場合には紙基材から最も離れた層である。以降、インク吸収層の最表層を、単に「最表層」ということもある。また、紙基材に最も近いインク吸収層を「下塗層」という。インク吸収層が3層以上である場合、最表層と下塗層との間の層を「中間層」という。
本実施形態においては、インク吸収層の最表層の表面ゼータ電位の測定法は、例えば、平版試料用セルを用いた電気泳動光散乱法である。平版試料用セルを用いることによって、シート状や板状の試料の表面電位を測定することが可能である。また、本実施形態においては、電気泳動測定によって得られた電気浸透プロファイル及び森・岡本の式から固体表面の電気泳動速度を求め、表面移動度を測定した。そして、表面移動度及びSmoluchowskiの式から表面ゼータ電位を求めた。市販の測定装置の例としてELSZシリーズ(大塚電子社製)がある。
また、表面ゼータ電位の測定は、10mM塩化ナトリウム溶液中での表面ゼータ電位を測定した。pHの調整には0.1N塩酸と0.1N水酸化ナトリウム水溶液を使用し、溶媒の物性値は25℃における純水の値(屈折率1.3328、粘度0.8878、誘電率78.3)を用いた。
本実施形態に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙では、インク吸収層が、2価以上の金属塩若しくはカチオン性高分子のいずれか一方又は両方を含有することが好ましい。インク吸収層が2価以上の金属塩若しくはカチオン性高分子のいずれか一方又は両方を含有することによって、インク吸収層の最表層の表面ゼータ電位を適正範囲に調整することが容易となる。2価以上の金属塩若しくはカチオン性高分子のいずれか一方又は両方は、インク吸収層が2層以上である場合には、少なくともインク吸収層の最表層に含有されていることが好ましい。
2価以上の金属塩は、2価以上の多価金属塩であり、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、ジルコニウム塩、チタン塩、亜鉛塩である。これらは1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。なお、本実施形態では、金属塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸などの無機酸の金属塩と蟻酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸などの有機酸の金属塩とを包含する。金属塩をインク吸収層へ含有させる方法は、例えば、インク吸収層形成用塗料(塗工液)へ添加して含有させる方法、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で形成する場合には、凝固液又は再湿潤液に添加する方法である。また、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で行う場合には、インク吸収層形成用塗料への添加と、凝固液又は再湿潤液への添加と両方の方法で行ってもかまわない。本実施形態においては、金属塩の含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.03〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜20質量%である。更に好ましくは0.1〜15質量%である。0.03質量%未満では、表面ゼータ電位が低くなりすぎて、顔料インクによる記録適性が劣る場合がある。20質量%を超えると、表面ゼータ電位が高くなりすぎて、染料インクによる記録適性が劣る場合がある。ここで、インク吸収層の乾燥質量は、インク吸収層が1層である場合は、当該層の乾燥質量であり、インク吸収層が2層以上である場合は、各層の乾燥質量を合計した合計質量の割合である。金属塩の含有量は、金属塩を2種以上併用したときは、全金属塩の合計質量の割合である。また、インク吸収層が2層以上であって、金属塩を複数の層に配合したときは、全インク吸収層の合計質量に対する全金属塩の合計質量の割合である。
カチオン性高分子は、例えば、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、ポリアミジン化合物、その他第4級アンモニウム塩類、カチオン変性ポリウレタン樹脂である。これらは1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。カチオン性高分子のインク吸収層へ含有させる方法は、例えば、インク吸収層形成用塗料へ添加して含有させる方法、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で形成する場合には、凝固液又は再湿潤液に添加する方法である。また、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で行う場合には、インク吸収層形成用塗料への添加と、凝固液又は再湿潤液への添加と両方の方法で行ってもかまわない。本実施形態においては、カチオン性高分子の含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.05〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜15質量%である。0.05質量%未満では、表面ゼータ電位が低くなりすぎて、顔料インクによる記録適性が劣る場合がある。20質量%を超えると、表面ゼータ電位が高くなりすぎて、染料インクによる記録適性が劣る場合がある。ここで、インク吸収層の乾燥質量は、インク吸収層が1層である場合は、当該層の乾燥質量であり、インク吸収層が2層以上である場合は、各層の乾燥質量を合計した合計質量の割合である。カチオン性高分子の含有量は、カチオン性高分子を2種以上併用したときは、全カチオン性高分子の合計質量の割合である。また、インク吸収層が2層以上であって、カチオン性高分子を複数の層に配合したときは、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計質量の割合である。
2価以上の金属塩及びカチオン性高分子の両方を含有する場合には、2価以上の金属塩及びカチオン性高分子の合計含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.1〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜15質量%である。0.1質量%未満では、表面ゼータ電位が低くなりすぎて、顔料インクによる記録適性が劣る場合がある。20質量%を超えると、表面ゼータ電位が高くなりすぎて、染料インクによる記録適性が劣る場合がある。
本実施形態においては、インク吸収層がノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。インク吸収層の表面ゼータ電位を適正範囲に調整することが更に容易となる。ノニオン性界面活性剤は、例えば、アセチレングリコール、パーフルオロアルキル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、シリコン系界面活性剤である。これらは1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。ノニオン性界面活性剤は、インク吸収層が2層以上である場合には、少なくともインク吸収層の最表層に含有されていることが好ましい。ノニオン性界面活性剤のインク吸収層へ含有させる方法は、例えば、インク吸収層形成用塗料へ添加して含有させる方法、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で形成する場合には、凝固液又は再湿潤液に添加する方法である。また、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で行う場合には、インク吸収層形成用塗料への添加と、凝固液又は再湿潤液への添加と両方の方法で行ってもかまわない。本実施形態においては、ノニオン性界面活性剤の含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.01〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜3質量%である。ここで、インク吸収層の乾燥質量は、インク吸収層が1層である場合は、当該層の乾燥質量であり、インク吸収層が2層以上である場合は、各層の乾燥質量を合計した合計質量の割合である。ノニオン性界面活性剤の含有量は、ノニオン性界面活性剤を2種以上併用したときは、全ノニオン性界面活性剤の合計質量の割合である。また、インク吸収層が2層以上であって、ノニオン性界面活性剤を複数の層に配合したときは、全インク吸収層の合計質量に対するノニオン性界面活性剤の合計質量の割合である。
本実施形態においては、インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求めた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25〜50nmに存在することが好ましい。極大値(ピーク)は、より好ましくは27〜48nmに存在することであり、特に好ましくは30〜45nmに存在することである。細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が25nm未満の領域だけに存在する場合は、顔料インクの吸収性に劣る場合がある。また、細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が25〜50nmに存在せずに50nmを超えた領域に存在する場合は、印字した顔料インクが白ボケして画像鮮明性に劣る場合がある。
本実施形態においては、インク吸収層の細孔直径分布の測定法は、窒素吸着法である。窒素吸着法は、大きさ又は性質が既知である窒素分子を固体の表面に吸着させて、吸着したガス分子の量を測定し、細孔直径分布及び全細孔容積を求める方法である。窒素吸着法は、水銀圧入法と異なり、極微小な細孔直径(例えば、0.1〜100nm)だけを測定することが可能なため、紙基材の大きな細孔を除いたインク吸収層の細孔直径だけを簡便に測定できる。また、本実施形態においては、窒素脱着時の等温曲線からBJH法によって細孔直径分布及び全細孔容積を求めた。市販の測定装置の例としてトライスターII3020シリーズ(島津製作所社製)がある。
また、本実施形態においては、細孔直径分布曲線の極大値(細孔直径のピーク)は、本発明の効果を奏する限り、種々の条件を変更することで調整することが可能である。インク吸収層に含有させる顔料の種類、粒子径及びBET比表面積を制御因子として、細孔直径分布曲線の極大値を25〜50nmの範囲に調整することができる。例えば、顔料のBET比表面積が大きいほど、細孔直径分布曲線の極大値は大きくなる。また、コロイダルシリカなどの顔料の粒子径が大きいほど、細孔直径分布曲線の極大値は大きくなる。顔料の種類について後に例示する。
細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)は、25〜50nmだけに存在することが特に好ましいが、25〜50nmの範囲に存在する細孔直径分布曲線の極大値に加えて、25nm未満又は50nmを超える細孔直径分布曲線の極大値を有していてもよい。ここで25〜50nmの範囲から外れるピークを有する場合においては、25〜50nmの範囲のピークと25nm未満のピークとを有する組合せであることがより好ましい。25nm未満のピークだけを有する場合、顔料インクの吸収が劣る傾向にあるが、更に25〜50nmの範囲のピークを有することで、顔料インクの吸収が改善されるからである。そして、2本以上のピークを有する場合、25〜50nmの範囲に存在する細孔直径分布曲線の極大値が、最高強度のピークの30%以上の強度を有するピークであることが好ましい。25〜50nmの範囲に存在する細孔直径分布曲線の極大値の強度は、最高強度のピーク強度に対して50%以上であることがより好ましく、100%である(すなわち、最高強度が、25〜50nmの範囲に存在する)ことが特に好ましい。また、2本以上のピークを有する場合には、すべてのピークが25〜50nmの範囲に存在することが好ましい。
本実施形態においては、インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた全細孔容積が0.5〜2.0cm/gであることが好ましい。全細孔容積が2.0cm/gを超えると、印字した染料インクが沈み込みすぎて画像鮮明性が低下する場合がある。また、全細孔容積が0.5cm/g未満では、顔料インクの吸収性が低下する場合がある。全細孔容積は、より好ましくは0.6〜1.5cm/gであり、特に好ましくは0.7〜1.3cm/gである。
本実施形態においては、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」による光学くし幅2mm入反射角度60°による条件のインク吸収層の最表層の写像性が65%以上であることが光沢感の観点から必要である。さらに好ましくは、写像性が70%以上である。写像性が75%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。また、写像性が65%未満では染料インク及び顔料インクの印字部の光沢感が損なわれてしまい、画像鮮明性に劣る。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
本実施形態に係る空隙型インクジェット記録用光沢紙では、インク吸収層の最表層がキャストコート法によって乾燥して形成されたことが好ましい。キャストコート法は、ウェット法、凝固法、再湿潤法が知られている。本実施形態においては、凝固法又は再湿潤法であることが好ましく、凝固法であることがより好ましい。凝固法は、塗工層が湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理し、キャストドラムに圧接して乾燥する方法である。凝固処理においては、凝固剤は、インク吸収層の結着剤成分と効果的に凝固するものを選定することが重要であり、本実施形態においてはホウ素化合物が好ましい。より好ましくは、ホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方である。また、凝固液の濃度が高い場合は、凝固力が強くなり、耐傷性がより良化するので好ましい。凝固液の固形分濃度は、1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、1.5質量%以上である。凝固液の濃度の上限値は、作業性及びコストの点から10質量%とすることが好ましい。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤に対して5質量%以上が好ましい。5質量%未満の場合は、表面強度が低下する場合がある。凝固剤の含有量は、更に好ましくは10質量%以上である。凝固しうる結着剤は、インク吸収層の最表層中の結着剤である。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましい。100質量部を超えると、結着剤に対して凝固剤が過剰となり、不経済である。ここまで凝固法について説明してきたが、本実施形態においては、インク吸収層の乾燥を再湿潤法によって行ってもよい。再湿潤法は、インク吸収層の最表層を塗工して乾燥させた後に再湿潤液にて塗工層を湿潤状態にしてキャストドラムに圧接する方法である。
本実施形態においては、インク吸収層の最表層は、顔料として気相法シリカを含有することが好ましい。気相法シリカは、乾式法シリカ又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には、四塩化ケイ素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素との供給比率、原料の四塩化ケイ素供給などの条件を変更することによって得られる。気相法シリカの動的光散乱法による平均一次粒子径は、5〜30nmであることが好ましく、6〜20nmであることがより好ましい。
気相法シリカのBET比表面積は、100〜400m/gであることが好ましい。BET比表面積をこの範囲とすることで、細孔直径分布曲線の極大値を25〜50nmの範囲に調整することができる。より好ましくは、150〜380m/gであり、特に好ましくは、180〜350m/gである。BET比表面積が100m/g未満では、顔料インクの画像鮮明性に劣る場合がある。BET比表面積が400m/gを超えると、塗工液の粘度が高すぎて安定性が劣る場合がある。ここで、BET比表面積は、BET法によって求めた単位質量あたりの表面積である。BET法とは、気相吸着法による粉体の比表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料のもつ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本実施形態においては、インク吸収層の最表層に含有させる顔料としては、気相法シリカ以外に、例えば、球状コロイダルシリカ、非球状コロイダルシリカ、合成非晶質シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ‐アルミナ、θ‐アルミナ、σ‐アルミナ、擬ベーマイトである。これらは単独で使用するか、又は本発明の効果を損なわない範囲において2種以上を併用して用いることもできる。インク吸収層の最表層の顔料として気相法シリカを使用する場合は、プリンター搬送時の光沢表面の傷付き防止のために球状コロイダルシリカと併用することが好ましい。さらに好ましくは、動的光散乱法による平均一次粒子径が50nm〜300nmの球状コロイダルシリカと併用することがよい。特に好ましくは、平均一次粒子径が50nm〜300nmのカチオン性球状コロイダルシリカと併用することがよい。
インク吸収層の最表層に含有させる結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含む。)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン‐アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート‐ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン‐酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン‐アクリル樹脂の複合体樹脂である。これらは、1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。インク吸収性と優れた光沢感とを両立するという観点からポリビニルアルコールを含有することが好ましい。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク吸収層の強度、表面光沢感、塗工液性などを考慮して決定する。最表層中の結着剤の含有量は、最表層中の顔料100質量部に対し1〜100質量部の範囲であることが好ましい。より好ましくは、最表層中の顔料100質量部に対して5〜60質量部であり、更に好ましくは最表層中の顔料100質量部に対して10〜50質量部である。1質量部未満では、塗工層強度が低下する場合がある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
ポリビニルアルコールは、鹸化度78〜95mol%の、いわゆる部分鹸化ポリビニルアルコールが好ましい。より好ましい鹸化度は、79〜94mol%であり、さらに好ましい鹸化度は、80〜92mol%である。鹸化度78〜95mol%を含有することで塗工層のひび割れを低減させ、顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることが可能である。鹸化度が78mol%未満では、塗工層のひび割れが少なすぎて染料インクの吸収性が悪化する場合がある。また、鹸化度が95mol%を超えると、塗工層のひび割れが大きすぎて顔料インクの画像鮮明性が悪化する場合がある。本実施形態においては、最表層中の部分鹸化ポリビニルアルコールの含有量が最表層中の顔料100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。1質量部未満では、塗工層強度が劣る場合がある。20質量部を超えると、インク吸収性に劣り、塗工液の安定性が劣る傾向にあり、塗工性に問題が発生する場合がある。最表層中の部分鹸化ポリビニルアルコールの含有量は、より好ましくは、最表層中の顔料100質量部に対して2〜15質量部である。さらに好ましくは、最表層中の顔料100質量部に対して3〜14質量部である。
ポリビニルアルコールは、シラノール変性ポリビニルアルコールを使用することが好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールを含有することで、塗工層のひび割れを低減させ、顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることが可能である。本実施形態においては、最表層中のシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が最表層中の顔料100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。1質量部未満では、塗工層強度が劣る場合がある。20質量部を超えると、インク吸収性に劣り、塗工液の安定性が劣る傾向にあって塗工性に問題が発生する場合がある。より好ましくは、最表層中の顔料100質量部に対して1.5〜15質量部である。さらに好ましくは、最表層中の顔料100質量部に対して2〜13質量部である。また、シラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%の部分鹸化ポリビニルアルコールと併用することも可能である。
インク吸収層の最表層は、顔料及び結着剤以外に、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの助剤を適宜選定して配合することができる。
顔料及び結着剤の合計含有量は、インク吸収層の最表層の乾燥質量に対して70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは80質量%以上である。
本実施形態のインク吸収層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。
最表層の塗工量(絶乾質量)は、片面あたり5〜30g/mであることが好ましい。より好ましくは6〜25g/mであり、更に好ましくは7〜20g/mである。5g/m未満ではインク吸収性に劣る場合がある。また、均一な塗工面を得ることができず写像性に劣る場合がある。30g/mを超えると塗工面の機械的強度が不足する場合がある。
本実施形態においては、インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で行う場合、凝固液又は再湿潤液のいずれかの中に、写像性付与を目的としてコロイダルシリカを含有させてもかまわない。凝固液又は再湿潤液のいずれかの中にコロイダルシリカを含有させることによって、光沢表面がさらさらとした手触り感となり、銀塩写真のような風合いを出すことが可能となる。また、本発明においては、凝固液又は再湿潤液のいずれかの中に写像性付与のために樹脂を含有させてもかまわない。樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン‐アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、コロイダルシリカ及びアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカ及びスチレン‐アクリル樹脂の複合体樹脂などの合成エマルジョン樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチンなどの水溶性高分子樹脂である。
インク吸収層の最表層の乾燥をキャストコート法で行う場合、キャストドラム温度、圧着するときの圧力、及びライン速度を調整することによって、写像性の高い光沢表面が形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗工液に応じて最適条件を求めることで適正化できる。
キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよいし、カール調整のため、裏面に水、カール調整剤などを塗工したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本実施形態の空隙型インクジェット記録用光沢紙は、インク吸収層が2層以上であることが経済性及びインク吸収性の観点から好ましい。この場合、下塗層は、主顔料として白色顔料と結着剤成分とを主成分とすることが好ましい。
下塗層に用いる白色顔料は、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、気相法シリカ、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナである。この中で、合成シリカがより好ましい。合成シリカの動的光散乱法による平均粒子径は、1.0〜15.0μmであることが好ましい。合成シリカの平均粒子径が1.0μm未満では染料インクのインク吸収性が低下する場合がある。15.0μmを超えると、顔料インクの画像鮮明性が低下する場合がある。合成シリカの平均粒子径は、より好ましくは4.0〜12.0μmであり、更に好ましくは、5.0〜10.0μmである。また、本実施形態では、合成シリカの細孔容積は、1.0〜2.5cm/gであることが好ましい。合成シリカの細孔容積が1.0cm/g未満では染料インクのインク吸収性が低下する場合がる。2.5cm/gを超えると、顔料インクの画像鮮明性が低下する場合がある。合成シリカの細孔容積は、より好ましくは1.3〜2.3cm/gであり、更に好ましくは1.5〜2.1cm/gである。合成シリカの細孔容積は、窒素吸着法から求められる。また、下塗層には白色顔料以外に、アクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料を含有してもよい。
下塗層に用いる結着剤は、例えば、ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコールを含む。)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン‐酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類である。これらは、1種を単独で使用するか又は2種以上を併用してもよい。結着剤の含有量は、記録媒体の印字適性、インク吸収層の強度、塗工液性を考慮して決定される。下塗層の結着剤の含有量は、下塗層の顔料100質量部に対して1〜200質量部の範囲であることが好ましい。より好ましくは、5〜100質量部であり、更に好ましくは10〜90質量部である。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
下塗層には、顔料及び結着剤以外に必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの助剤を添加してもよい。
顔料及び結着剤の合計含有量は、下塗層の乾燥質量に対して70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは80質量%以上である。
下塗層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。下塗層の塗工量(絶乾質量)は、特に限定されないが、塗工量が少なすぎると、インク吸収性が劣る場合があることから固形分換算で片面あたり5g/m以上とすることが好ましい。また、塗工量が多すぎると、下塗層の上に中間層又は最表層のインク吸収層を塗工する時にバインダーマイグレーションが発生し、写像性が低下するおそれがあるので片面あたり30g/m以下が好ましい。下塗層の塗工量は、より好ましくは6〜25g/mであり、更に好ましくは7〜20g/mである。下塗層と最表層との間に中間層を設けてもよい。中間層は、下塗層と同じ組成とするか、又は異なる組成としてもよい。また、中間層は、中間層形成用の塗工液を2回以上塗工して、中間層を2層以上で形成してもよい。なお、インク吸収層を2層以上で設けるときは、各層の塗工量を同じとするか、又は異なる量としてもよい。
下塗層及び/又は中間層を塗工後に一定の平滑性を出すために、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって平滑化処理することも可能である。
インク吸収層の全層の合計塗工量(絶乾質量)は片面あたり10〜40g/mであることが好ましい。より好ましくは、15〜30g/mである。合計塗工量が40g/mを超えると生産性が劣る。合計塗工量が10g/m未満では顔料インクの吸収性に劣る場合がある。
インク吸収層は、基材の片面に設けるか、又は両面に設けてもよい。両面に設けることで、両面印刷用とすることができる。両面に設ける場合は、各面の組成を同じとするか、又は異なるものとしてもよい。
本実施形態で使用する透気性を有する紙基材としては、例えば、上質紙、中質紙、白板紙である。また、酸性紙、中性紙なども使用することが可能である。本実施形態においては、pH6.0〜7.0における表面ゼータ電位の調整しやすさの観点から酸性紙であることが好ましい。また、本実施形態においては、環境負荷の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。また、紙基材中に含有させる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、ベントナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの公知の填料を使用することが可能である。
紙料中には、パルプ、填料以外に、公知の紙力剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料などの各種抄紙用薬品を適宜用いてもよい。各紙料の調成方法、配合方法、各抄紙薬品の添加方法は、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されない。また、紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの公知の抄紙機を適用して抄造することが可能であり、単層抄きでも多層抄きでもかまわない。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、紙基材に古紙を配合することも可能である。
紙基材には、塗工液の過度の浸透を抑制するために、サイズプレスなどで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を塗布することが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
参考例1)
(紙基材の形成)
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度530mlCSF)100部に対して、乾燥質量でグラフト化澱粉(DG4204、グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体:星光PMC社製)1.0部と、酸性ロジンサイズ剤0.15部と、液体硫酸バンド0.5部と、灰分8%になるように添加量を調整したタルク(タルクNTL:日本タルク社製)とを配合して紙料を得た。この紙料を長網抄紙機にて抄造し、紙匹を得た。その後、サイズ液として酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)を前記紙匹の両面に乾燥塗布量が片面当たり1.0g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、坪量170g/mの上質紙(酸性紙)を製造し、紙基材とした。
(下塗層の形成)
次に、顔料として合成シリカ(ニップジェルAZ−410、平均粒子径4.0μm、細孔容積1.8cm/g、東ソー・シリカ社製)100部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA124:クラレ社製)15部及びエチレン‐酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−10:昭和高分子社製)45部と、カチオン性高分子としてカチオン性ポリアミジン系化合物(ハイマックスSC−700M:ハイモ社製)20部とを配合し、固形分濃度25質量%の下塗層形成用塗工液を得た。続いて、この下塗層形成用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量15g/mとなるように紙基材の片面に塗工・乾燥して下塗層を塗設した。
(最表層の形成)
次いで、顔料として非球状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−MO、平均一次粒子径18〜25nm:日産化学工業社製)100部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)5部と、カチオン性高分子としてカチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)10部及びカチオン性ポリジアリルアミン系化合物(ハイマックスSC−600L:ハイモ社製)5部と、金属塩(塩化マグネシウム)10部とを配合し、セリエミキサーで攪拌して固形分濃度18%の最表層形成用塗工液1を得た。この最表層形成用塗工液1を紙基材の下塗層形成面にエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工した。この塗工した面上に凝固剤としてホウ酸を1.0%及びホウ酸ナトリウムを1.0%含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.0%)として、絶乾塗布量1.0g/mとなるように更に塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.2における光沢表面の表面ゼータ電位は13.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、11.3%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、3.1%であった。
参考例2)
参考例1において、最表層形成用塗工液1の金属塩(塩化マグネシウム)の添加量を0.1質量部とした以外は、参考例1に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.1における光沢表面の表面ゼータ電位は−5.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、11.3%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0.03%であった。
参考例3)
参考例1と同様に下塗りインク吸収層を塗設した。次いで、顔料として気相法シリカ(CABOSPERSE PG−022、平均粒子径0.15μm、BET比表面積200m/g:CABOT社製)100部と、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R1130:クラレ社製)3部及びポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)9部と、カチオン性高分子としてカチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)10部及びカチオン性ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物(ユニセンスCP−103:センカ社製)10部と、金属塩(硝酸ジルコニウム、日本軽金属社製)5部と、ノニオン性界面活性剤(サーフィノール104E、日信化学工業社製)0.5部とを配合し、セリエミキサーで攪拌して固形分濃度15%の最表層形成用塗工液2を得た。この最表層形成用塗工液2を下塗層形成面にエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工した。次いで、凝固剤としてホウ酸を1.0%及びホウ酸ナトリウムを1.0%とを含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.0%)として絶乾塗布量1.0g/mとなるように更に塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.2における光沢表面の表面ゼータ電位は9.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、12.4%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、1.5%であった。
参考例4)
参考例3において、最表層形成用塗工液2の金属塩(硝酸ジルコニウム、日本軽金属社製)の添加量を0.5部とした以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.3における光沢表面の表面ゼータ電位は−2.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、12.4%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0.2%であった。
参考例5)
参考例3において、最表層形成用塗工液2のカチオン性高分子(ユニセンスCP−103:センカ社製)の添加量を1部とした以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.2における光沢表面の表面ゼータ電位は1.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、10.1%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、1.6%であった。
参考例6)
参考例3において、最表層形成用塗工液2のカチオン性高分子(ユニセンスCP−103:センカ社製)の添加量を1部とし、かつ、金属塩(硝酸ジルコニウム、日本軽金属社製)の添加量を0.1部とした以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.0における光沢表面の表面ゼータ電位は−5.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、10.2%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0.03%であった。
(実施例7)
参考例3において、凝固剤としてホウ酸を1.0%及びホウ酸ナトリウムを1.0%と球状コロイダルシリカ(スノーテックスYL、日産化学工業社製)0.5%とを含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.5%)とした以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.2における光沢表面の表面ゼータ電位は8.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、12.4%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、1.5%であった。
参考例8)
参考例3において、最表層形成用塗工液2のカチオン性高分子(ユニセンスCP−103:センカ社製)の添加量を1部とし、かつ、金属塩(硝酸ジルコニウム、日本軽金属社製)の添加量を1部とした以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.0における光沢表面の表面ゼータ電位は−4.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、10.2%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0.3%であった。
(比較例1)
参考例1において、最表層形成用塗工液1にカチオン性高分子(ハイマックスSC−600L:ハイモ社製)と金属塩(塩化マグネシウム)とを添加しなかった以外は、参考例1に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.2における光沢表面の表面ゼータ電位は−9.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対するカチオン性高分子の合計含有量は、9.7%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0%であった。
(比較例2)
参考例1において、最表層形成用塗工液1の金属塩(塩化マグネシウム)の添加量を30部にした以外は、参考例1に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.1における光沢表面の表面ゼータ電位は20mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対する全カチオン性高分子の合計含有量は、10.4%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、8.0%であった。
(比較例3)
参考例3において、最表層形成用塗工液2にカチオン性高分子(ユニセンスCP−103:センカ社製)と金属塩(硝酸ジルコニウム、日本軽金属社製)とを添加しなかった以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.3における光沢表面の表面ゼータ電位は−8.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対するカチオン性高分子の合計含有量は、9.7%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0%であった。
(比較例4)
参考例3において、最表層形成用塗工液2にカチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)と金属塩(硝酸ジルコニウム、日本軽金属社製)とを添加しなかった以外は、参考例3に記載したとおりの条件で空隙型インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのpH6.0における光沢表面の表面ゼータ電位は−6.0mVであった)。また、全インク吸収層の合計質量に対するカチオン性高分子の合計含有量は、9.7%であり、全インク吸収層の合計質量に対する金属塩の含有量は、0%であった。
得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙について、次の試験を実施し、結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示した。
Figure 0005801219
Figure 0005801219
(1)光沢表面ゼータ電位の測定(表面ゼータ電位):
得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙のインク吸収層の最表層の表面ゼータ電位を光散乱光度計(ELSZ−2:大塚電子社製)を使用して測定した。測定は、平版試料用セルを用いた電気泳動光散乱法で行った。すなわち、電気泳動測定によって得られた電気浸透プロファイルと森・岡本の式から固体表面の電気泳動速度を求め、表面移動度を測定した。そして、表面移動度とSmoluchowskiの式とから表面ゼータ電位を求めた。
また、表面ゼータ電位の測定は、10mM塩化ナトリウム溶液中での表面ゼータ電位を測定した。pHの調整には0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナトリウム水溶液を使用し、溶媒の物性値は25℃における純水の値(屈折率1.3328、粘度0.8878、誘電率78.3)を用いた。
(2)インク吸収層の細孔直径分布と全細孔容積の測定(細孔直径分布曲線の極大値の細孔直径、インク吸収層の全細孔容積):
得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙を約3mm×3mmの大きさの小片にして複数切った後、これら約1gを105℃、10Pa以下で12時間真空脱気した後、窒素吸着法による細孔分布測定装置(トライスターII3020:島津製作所社製)を用いて細孔直径分布と全細孔容積を測定した。また、本測定方法においては、紙基材の細孔は大きすぎて実質的に測定されず無視できるため、測定で得られた細孔容積値をインク吸収層の全細孔容積の値とした。また、同じ理由で、測定で得られた細孔直径分布をインク吸収層の細孔直径分布とした。
インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線をもとに、極大値(ピーク)の細孔直径を次のとおり判断した。細孔直径0〜100nmの範囲において、バックグラウンドラインを線引きする。当該バックグラウンドラインを基準として、極大値(ピーク)の高さ(「高さ」は、強度に相当する。)と当該細孔直径分布曲線の極大値とを測定する。ピークが一つである場合には、その細孔直径分布曲線の極大値を読み取った。ピークが二つ以上である場合には、最高強度のピーク高さの5%以上の高さを有する極大値(ピーク)を選定し、選定された極大値(ピーク)の細孔直径を全て読み取った。なお、細孔分布曲線におけるピークが2つであって、例えば、一方の細孔直径分布曲線の極大値が15nm、もう一方の細孔直径分布曲線の極大値が23nmである場合、表1及び表2においては、「15,23」とそれぞれの細孔直径分布曲線の極大値を併記した。
(3)光沢発現層表面の写像性(写像性(入射角度60°)):
得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙のインク吸収層の最表層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2:1999に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)を用いて測定した。評価としては、写像性が70%以上では、反射した像が非常に鮮明に写り、白紙光沢感に特に優れ、染料インクおよび顔料インクの印字部の画像鮮明性にも優れ、実用できる。写像性が65%以上70%未満では、反射した像が鮮明に写り、白紙光沢感に優れ、染料インクおよび顔料インクの印字部の画像鮮明性にも優れ、実用できる。65%未満では、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、染料インクおよび顔料インクの印字部の画像鮮明性にも劣り、光沢紙として実用上問題がある。
(4)染料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)を染料インク専用インクジェットプリンター(EP−801A:セイコーエプソン社製)を用いて、得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、印字部の光沢感も高く、銀塩写真の代替品として実用できる(実用レベル)。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、印字部の光沢感も高く、銀塩写真の代替品として実用できる(実用レベル)。
△:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしているが、印字部の光沢感が低く、銀塩写真の代替品として実用上問題がある(実用不可レベル)。
×:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、印字部の光沢感も低く、銀塩写真の代替品として実用上不可である(実用不可レベル)。
(5)染料インクの吸収性:
染料インク専用インクジェットプリンター(EP−801A:セイコーエプソン社製)を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字、並びにRGB(Red‐Green‐Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる(実用レベル)。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる(実用レベル)。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある(実用不可レベル)。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可である(実用不可レベル)。
(6)顔料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)を顔料インク専用インクジェットプリンター(PX−5800:セイコーエプソン社製)を用い、得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、印字部の光沢感も高く、銀塩写真の代替品として実用できる(実用レベル)。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、印字部の光沢感も高く、銀塩写真の代替品として実用できる(実用レベル)。
△:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしているが、印字部の光沢感が低く、銀塩写真の代替品として実用上問題がある(実用不可レベル)。
×:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、印字部の光沢感も低く、銀塩写真の代替品として実用不可である(実用不可レベル)。
(7)顔料インクの吸収性:
顔料インク専用インクジェットプリンター(PX−5800:セイコーエプソン社製)を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字、並びにRGB(Red‐Green‐Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られた空隙型インクジェット記録用光沢紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって以下のように評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる(実用レベル)。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる(実用レベル)。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある(実用不可レベル)。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可である(実用不可レベル)。
表1から明らかなように、実施例〜8は、比較例1〜3に比べて染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性とに優れ、かつ、表面の光沢感に優れていた。実施例では、インク吸収層の最表層の表面ゼータ電位を−5mV〜15mVに調整したため、染料インク及び顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることができた。
比較例1及び比較例3は、インク吸収層の最表層の表面ゼータ電位を−5mVよりマイナス側にしたために顔料インクの画像鮮明性が劣った。比較例2は、インク吸収層の最表層の表面ゼータ電位を15mVよりプラス側にしたために染料インクの画像鮮明性が劣った。比較例4は、写像性が65%未満であったために染料インク及び顔料インクの画像鮮明性に劣った。

Claims (4)

  1. 透気性を有する紙基材の少なくとも片面に、顔料及び結着剤を主体とするインク吸収層が1層以上設けられた空隙型インクジェット記録用光沢紙において、
    前記インク吸収層の最表層の写像性が65%以上であり、
    前記インク吸収層の最表層表面をpH6.0〜6.3のいずれかの範囲に調整した10mM塩化ナトリウム溶液中における表面ゼータ電位が−5〜15mVであり、
    前記インク吸収層の最表層が、2価以上の金属塩、カチオン性高分子及びノニオン性界面活性剤を更に含有し、
    前記2価以上の金属塩及び前記カチオン性高分子の合計含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.1〜20質量%であり、
    前記ノニオン性界面活性剤の含有量は、インク吸収層の乾燥質量に対して0.01〜5質量%であり、
    前記インク吸収層の最表層が、前記顔料として気相法シリカを含有し、かつ、前記最表層の表面にコロイダルシリカが分布していることを特徴とする空隙型インクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記紙基材が酸性紙であることを特徴とする請求項に記載の空隙型インクジェット記録用光沢紙。
  3. 前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求めた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25〜50nmに存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の空隙型インクジェット記録用光沢紙。
  4. 前記インク吸収層の最表層がキャストコート法によって形成されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の空隙型インクジェット記録用光沢紙。
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