JP5903218B2 - インクジェット記録用媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用媒体に関し、特に銀塩写真並みの光沢感を有し、特に加工時及び保存時の耐変色性に優れ、写真画質に近く印字品位の高いインクジェット記録用媒体に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録媒体上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク及び記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。インクジェット記録媒体に求められる要素としては、
(a)インクの吸収及び乾燥が速いこと、
(b)印字濃度が高いこと、
(c)ドットの広がり及び/又はひげ状の滲みが無いこと、
などがあげられる。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なくある程度の印字品質が期待できる。一方、より高い印字品質を求める場合には、媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙及び/又はフィルムを支持体として、顔料と結着剤を主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット専用媒体は、更に表面状態を基準としてマット調媒体と光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。光沢媒体に要求される特性としては、前記した特性以外に、
(d)ドットの真円性が高く、画像再現性が良好なこと、
(e)耐水性及び耐光性が良好であること、
(f)画像領域及び白紙部分の光沢感が高いこと、
などがあげられる。
光沢媒体の製法としては、(a)のインク吸収性及び乾燥性を維持しながら(b)〜(f)の各特性を維持するために、各種の方法が提案されているが、一般的方法はキャスト法によってインク受容層を形成して表面に光沢を付与する方法又は印画紙用基材上に多層塗工方式などによるインク受容層及び光沢発現層を形成する方法である。
一般には、前者の方法は、(a)のインク吸収性が後者の方法に比べ制御しやすいが、(d)のドット真円性及び画像再現性、(f)の画像領域及び白紙部分の光沢感、及び品位では後者の方法に比べ劣っている。印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているためにインク受容層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク受容層表面も平滑で、光沢のある表面が形成しやすい。
しかし、後者の印画紙用基材を使用する方法では、インク吸収性をあげるために塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャスト法による光沢媒体に比べて全体のコストが高くなる。また、廃棄する場合には、ポリエチレンフィルムとの複合素材であることからリサイクルができないといった問題もある。
後者のキャスト法によるインクジェット記録用光沢紙については、この点有利であるが、前記した品質面での問題があり、これらの課題を解決するために各種の提案がなされている。
例えば、記録層表面の平均粗さ、光沢度及び記録紙の透気度を規定することで、表面の平滑性が高く、画質の高級感に優れるインクジェット記録用紙が得られるとの提案がある(例えば、特許文献1を参照。)。また、記録層表面の亀裂の大きさ及び個数を規定することによって優れた光沢感及びインク受容性を有するインクジェット記録用紙が得られるとの提案もある(例えば、特許文献2を参照。)。しかしこの場合には、亀裂数が少なすぎると光沢感が増す一方インク吸収性が低下するという問題点もある。さらに、パールネックレス状のコロイダルシリカを含むインクジェット記録シートの提案もある(例えば、特許文献3を参照。)。この場合には、パールネックレス状のコロイダルシリカを使用することで印字品質、特にインク吸収性向上に効果があるとされている。さらに、近年インク吸収速度が速く、銀塩写真並みの光沢感を有するインクジェット記録用光沢紙として、アルミナ水和物を水溶性バインダーと混合して塗工した用紙が提案されている(例えば、特許文献4を参照。)。
前記文献のごとき銀塩写真に非常に近い光沢感を有するインクジェット記録用媒体は銀塩写真の代替として提案されている。通常、銀塩写真をアルバム、クリアファイルなどに保存するのと同様に、これらインクジェット記録用媒体も画像印字後にアルバム、クリアファイルなどに保存することが当然のこととして想定される。このような保存を踏まえて、インク受容層表面の表面pHを規定することによって変色を抑制する技術(例えば、特許文献5を参照。)又は有機チタニウム化合物を使用することで変色を抑制する技術(例えば、特許文献6を参照。)が開示されている。
特開平06‐72017号公報 特開平11‐348416号公報 特開2000‐108506号公報 特開平06‐055829号公報 特開2001‐246833号公報 特開2000‐43403号公報
特許文献5又は特許文献6において、変色を抑制する技術が検討されている理由は次のとおりである。すなわち、一般的には、市販のクリアファイル、アルバムなどに使用されているフィルムには酸化防止剤や可塑剤が練り込まれており、酸化防止剤がインク受容層に吸着されることによってインク受容層の表面が変色することがある。また、前記インクジェット記録用媒体を葉書用紙として加工する場合は、インク受容層とは反対面にオフセット印刷することが多く、これらオフセットインクにも酸化防止剤が混合されていることが多いため、オフセット印画部がインク受容層に接触したときに酸化防止剤がインク受容層に吸着されてインク受容層の表面が変色してしまうことがある。また、同様の理由で、輪ゴム、セロハンテープなどの酸化防止剤を含む物質との接触によって変色が発生する場合があり、問題となる場合が多い。
前記のような変色現象は、いわゆるマット調インクジェット記録用媒体と比較して銀塩写真代替を狙った光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体の方が顕著である傾向が強い。この理由は、光沢発現層に使用される顔料が、いわゆるマット調インクジェット記録用媒体に使用される顔料よりも小粒子径で高比表面積となっているために分子の吸着能がより強化されているからである。よって、加工及び保存時の変色問題については、光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体の方が、その他のインクジェット記録用媒体よりも深刻であるといえる。
しかし、特許文献5に開示された変色を抑制させる技術は、マット調インクジェット記録用媒体に一定の効果があっても、この方法だけでは光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体の変色問題は解決しない。また、特許文献6に開示された変色を抑制させる技術についても、やはり前述したように光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体特有の理由によって光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体の場合には、不満足な点がある。
以上のように、銀塩写真代替を狙った光沢感が高いインクジェット記録用媒体については、その光沢発現層に使用される顔料の粒子径が非常に小さいために比表面積が大きくなり、更に分子を吸着しやすい傾向となっているために、マット調インクジェット媒体などの光沢が低いインクジェット記録用媒体と比較した場合、酸化防止剤などによる変色がより著しい傾向にあるのが現状である。したがって、銀塩写真並みの光沢感と加工及び保存時の変色防止との両立が非常に困難であり、技術的課題として残っている。
よって、本発明者等による変色抑制技術に関する研究結果から、前記各提案内容では光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体の変色問題解決への要求に対して完全には満足できないとの結論に至った。このような現状を鑑みると、光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体において、優れた画質と均一な光沢感を有し、かつ、非常に優れた耐変色性能を併せもつ記録媒体は全くないのが現状である。
そこで本発明の目的は、光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体において、前記従来技術の問題点を解決して、良好なインク吸収性をもちながら、銀塩写真並みの高光沢感を有し、更に非常に優れた耐変色性能を有する媒体を提供することである。
本発明者らは、インクジェット記録用媒体において、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層は、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液を塗工した後、光沢発現層用塗工層が湿潤状態にあるうちに、加熱した鏡面仕上げの金属面に前記塗工層を圧着して形成されたキャストコート紙であって、前記光沢発現層が水溶性マグネシウム塩を含有し、かつ、光沢発現層及び/又はインク受容層にポリアミジンを含有したことを特徴とする。ここで言うポリアミジンとは、アクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩、N−ビニルアクリルアミド、ビニルアミジン塩酸塩、およびN−ビニルホルムアミドよりなるアミジン基含有共重合体である。例には、アクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合物[ハイマックスSC−700L(30%濃度;粘度2,000〜7,000mPa.s)製造元:ハイモ株式会社]がある。
また本発明に係るインクジェット記録用媒体では、前記光沢発現層がキャストコート法によって設けられていることが好ましい。特に光沢感に優れる。また、基材が必然的に紙となるので比較的安価でリサイクル可能なインクジェット記録用媒体となる。
また本発明に係るインクジェット記録用媒体では、前記キャストコート法が凝固法であることが好ましい。凝固法であることによって、特に生産性に優れ、光沢感及び画像鮮明性に優れる。
また本発明に係るインクジェット記録用媒体では、葉書状に加工されていることが好ましい。変色が高いレベルで抑制された媒体は、特に葉書用途として使用されるのが好適である。
本発明のインクジェット記録用媒体は、表面光沢感及びインク吸収性を高いレベルで両立させながら、良好な光沢発現層の耐変色性能を有している。特に、高い光沢感のあるインクジェット記録用媒体は、銀塩写真代替を目指すものであるから、加工及び保存時の耐変色性能についての要求は、益々レベルが上がっていくものと容易に推察される。よって、本発明の有意性は、大きい。
次に本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの記載に限定して解釈されず、発明の効果を奏する限り、実施形態を変形してもよい。
光沢のあるインクジェット記録用媒体の光沢発現層用塗工液に含有される顔料としては、例えば、球状コロイダルシリカ、球状コロイダルシリカが複数個結合した凝集体コロイダルシリカ、気相法シリカ若しくはアルミナ又はこれらの組み合わせが使用される。これらの顔料は、光沢を高くすることを目的として使用されるため、選定される顔料は概ね平均二次粒子径が1μm未満の小粒子である場合が極めて多い。一方で、光沢のないインクジェット記録用媒体、いわゆるマット調インクジェット記録用媒体のインク受容層に使用される顔料は、光沢を高くする必要が無いことから平均二次粒子径として1μm〜30μm程度の比較的大粒子が使用される。よって、必然的に光沢を有するインクジェット記録用媒体の塗工層は、マット調媒体のインク受容層と比較すると高比表面積を有し、分子の吸着能が大きくなり、酸化防止剤や可塑剤などの変色起因分子を吸着しやすい傾向にある。また、光沢を有することは、必然的に平滑性が高いということであり、物質と接触するときの接触面積が高い傾向にあることからも変色起因分子を吸着しやすい塗工層と推測される。
アルバム、クリアファイルなどに含まれる酸化防止剤の例としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)などのフェノール系酸化防止剤が挙げられるが、これら分子がインク受容層に吸着されることによってキノン構造に変化するために、前記塗工層が着色し、変色が発生することになる。これら酸化防止剤や可塑剤は、紙保存用のクリアファイルなどのフィルムの他、輪ゴム、セロハンテープなどに含有されている場合が多い。また、オフセット印刷用のインキにも含有されている場合が多い。
よって、光沢発現層を有するインクジェット記録用媒体に関して、光沢発現層の耐変色性能を向上させることが極めて困難であるために必然的に変色抑制技術の確立が課題として残っていた。
本発明の構成は、前記目的を達成するために、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層は、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液を塗工した後、塗工層が湿潤状態にあるうちに、加熱した鏡面仕上げの金属面に前記塗工層を圧着して形成されたキャストコート紙であって、前記光沢発現層が水溶性マグネシウム塩を含有し、かつ、光沢発現層及び/又はインク受容層にポリアミジンを含有したことである。
光沢発現層に水溶性マグネシウム塩を含有しないか、若しくは光沢発現層及び/又はインク受容層がポリアミジンを含有しないと変色が悪化する。いずれが欠けても実用上の変色レベルに達しない。
本実施形態に係るキャストコート紙に使用する原紙は、原料パルプを公知の湿式抄紙機で単層又は多層で抄紙した紙又は板紙を使用することができる。原紙の原料パルプとしては、透気性を有する公知のパルプを選択することができる。例えば、広葉樹材又は針葉樹材を蒸解して得られる未さらしパルプ、広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)、針葉樹さらしクラフトパルプ(NBKP)などの化学パルプ、グランドパルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナー砕木パルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミグランドパルプ(CGP)などの機械パルプ、脱墨古紙パルプなどの古紙パルプが挙げられる。これらの原料パルプから適宜選択したパルプを単独又は2種以上を混合して使用することができる。
基材の填料としては、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレーなどの公知の顔料を使用することが可能である。基材は酸性紙の方が耐変色性に有利であるため炭酸カルシウムは使用しないほうが好ましい。但し、基材に古紙パルプを使用した場合、残留する炭酸カルシウムが存在するがこのレベルであれば問題ない。
光沢発現層は顔料として光沢発現層に含有させる顔料としては、合成非晶質シリカ、球状コロイダルシリカ、球状コロイダルシリカが複数個結合した凝集体コロイダルシリカ、球状コロイダルシリカが複数個鎖状に結合したパールネックレス状コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイト、などを使用でき、単独又は併用して用いることができる。前記顔料の粒子径については、光沢感とインク吸収性のバランスから、平均粒子径が1μm以下のものを含有することが好ましい。より好ましくは、平均粒子径が5nm〜800nmのものを、更に好ましくは10nm〜500nmのものを含有することである。平均粒子径が1μmを超えると、光沢感が低下する場合がある。
光沢発現層及び/又はインク受容層にポリアミジンを含有する。ポリアミジンの含有量は、顔料100質量部に対して1質量部〜25質量部が好ましく、3質量部〜20質量部がより好ましい。光沢発現層とインク受容層の両方に使用する場合はその総量が顔料100質量部に対して1質量部〜25質量部が好ましい。1質量部未満では耐変色性が劣り25質量部を越えるとインク吸収性が低下する。
ポリアミジンの分子量は分子量分布として10,000〜400,000にピークがあることが好ましく、20,000〜300,000であることがより好ましい。10,000未満では塗工液粘度が低く過ぎ塗工量がコントロールできず、400,000を超えると塗工液粘度が高くなりすぎ汚れが発生し実質塗工することが出来ない。
光沢発現層は、結着剤としてポリビニルアルコールを含有し、かつ、ホウ素化合物を含有することが好ましい。ポリビニルアルコールとホウ素化合物を含有することで発色性と表面強度とを両立させやすい。光沢発現層のポリビニルアルコールの含有量は、光沢発現層中の顔料100質量部に対して1質量部〜30質量部が好ましい。1質量部未満では、表面強度に劣る可能性があり、30質量部を超える場合は、インク吸収性に劣る場合がある。さらに好ましくは、3質量部〜20質量部である。また、本発明のポリビニルアルコールには、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコールが含まれる。また、ホウ素化合物の含有量は、ポリビニルアルコールに対して5質量%以上が好ましい。5質量%未満の場合は、表面強度が低下する可能性がある。さらに好ましくは、10質量%以上である。また、ホウ素化合物の上限の含有量は、ポリビニルアルコールに対して300質量%が好ましい。ホウ素化合物の種類は、特に限定されないが、ホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸又はその両方が好ましい。
さらに、前記結着剤であるポリビニルアルコールと併用して用いることができる結着剤としては、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル若しくはメタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリルの共重合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリルの共重合体樹脂などの樹脂類を例示することができるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではない。
光沢発現層は、カチオン性高分子を含有することが好ましい。カチオン性高分子を含有することで印画部の耐水性を向上させることが可能である。このようなカチオン性高分子としては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類などが用いられる。カチオン性高分子の含有量は、顔料100質量部に対して1質量部〜50質量部が好ましい。1質量部未満の場合は、印画部の耐水性が低下する可能性があり、50質量部を超える場合は、インク吸収性が低下する可能性がある。
光沢発現層は、キャストコート法によって設けられることが好ましい。キャストコート法の場合においては、光沢感が更に向上するので好ましい。また、製法原理上、基材が透気性のある紙である必要があるのでリサイクル可能という観点からも好ましい。
ここでキャストコート法には、ウエット法、凝固法、リウエット法が知られており、凝固法であることがより好ましい。キャストコート法が凝固法であることによって、光沢感とインク吸収性及び画像鮮明性とを高いレベルで両立することがより可能となる。凝固法は、光沢発現層を塗布し湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理してキャストドラムに圧接する方法である。凝固液に水溶性マグネシウム塩を含ませ光沢発現層に浸透させる方法が好ましいが、水溶性マグネシウム塩を光沢発現層を形成する塗料に直接入れても良い。凝固液に含ませた方がより光沢表面にマグネシウム塩が局在するため耐変色への効果が大きくなるためと考えられる。
凝固処理においては、塗工層の結着剤成分と効果的に凝固する凝固剤を選定することが重要であり、本発明においては水溶性マグネシウム塩を使用する他にホウ素化合物を使用することが好ましい。より好ましくは、ホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸又はその両方である。また、凝固液濃度が高い場合は、凝固力が強くなり、表面強度がより良化するので好ましい。さらに、凝固液にインクを定着させるための前記のカチオン性高分子を添加することも可能である。また、塗布から凝固剤を付与するまでの時間、凝固剤を付与してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着するときの圧力、ライン速度を調整することによって、光沢度の高い光沢発現層が形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗料に応じて最適条件を求めることで適正化する。
凝固液中の水溶性マグネシウム塩濃度は0.1質量%〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜8質量%である。上記実施により光沢発現層中の水溶性マグネシウム塩の含有量は0.01g/m〜1g/m、好ましくは0.05g/m〜0.8g/mである。0.1質量%未満では耐変色性への効果か小さく、10質量%を超えると同時に使用される凝固剤やインク定着剤の効果を阻害し、また連続使用していく中で生産工程を汚すなどの操業上の弊害を発生する。
水溶性マグネシウム塩として塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、クエン酸マグネシウムなどが使用できる。特に硫酸マグネシウムはキャストドラムの腐食の心配が無く、またインクジェットプリンターの印字品質にも影響を与えないためより好ましい。また水溶性多価金属塩の中でも水溶性カルシウム塩は逆に耐変色性を悪化させ、同じ2価金属塩であっても耐変色性への効果は全く異なる。
水溶性カルシウム塩は光沢発現層及びインク受容層に実質的に使用することは好ましくない。
光沢発現層には、離型剤、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を適宜選定して添加することができる。
また、光沢発現層形成後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよい。また、カール調整のため、裏面に水、カール調整剤などを塗布したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本発明のインクジェット記録用媒体は、葉書用途で使用されることが好ましい。保存及び加工時の変色を極力抑制した媒体に関しては、葉書用途で使用されるのが好適であるという理由による。
光沢発現層を形成する光沢発現層用塗工液の塗布法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコータ−、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、同時多層塗工機など公知の塗工機が用いられ、特に制限はない。塗工量は、固形分換算で3〜20g/m、好ましくは5〜15g/mの範囲である。塗工量が20g/mを超えると、生産性が劣り、塗工量が3g/m未満の場合には、十分な光沢面が形成しづらい。
さらに、光沢発現層のJIS H 8686‐2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」に準じ、光学くし幅2mm入反射角度60°による条件の写像性が50%以上であることが光沢感の観点から好ましい。さらに好ましくは、写像性が55%以上を有することである。写像性が60%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
本発明のインクジェット記録用媒体では、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層を設け、その上に光沢発現層を設ける。ここでインク受容層は、白色顔料と結着剤成分とを主成分とする。インク受容層は、1層とし、又は、厚さを得るために2層以上としてもよい。インク受容層を2層以上設けても厚さへの影響を除き、1層との性能の差異はない。また、両面印刷対応とするために両面にインク受容層及び光沢発現層を設けてもよい。
インク受容層に用いる顔料としては、公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルムニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナなどの白色無機顔料又はアクリル‐スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料である。
インク受容層で使用する結着剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸若しくはその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル若しくはメタアクリル酸エステルの重合体若しくは共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類の樹脂類が例示され、単独又は併用して用いられる。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク受容層の強度及び塗料液性を考慮して決定される。通常、インク受容層に含有される顔料質量に対し1〜200質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜100質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
本発明において、インク受容層中にも前記顔料及び結着剤類以外に前記に例示したカチオン性高分子を添加することが好ましい。カチオン性高分子の作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応し水に不溶な塩を形成することから、インクをインク受容層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。インク受容層中の含有量は、特に限定されないが、インク受容層中の顔料100質量部に対し1〜50質量部の範囲で使用される。好ましくは、5〜40質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。
インク受容層に含有させるその他の添加剤としては、必要に応じて消泡剤、潤滑剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを使用できる。
本発明のインク受容層を形成する塗工液の塗布法としては、エアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機など公知の塗工機を用いる。塗工量は、特に限定されないが、塗工量が少なすぎる場合は、インク吸収性が劣ることから固形分換算で5g/m以上とすることが好ましい。また、塗工量が多すぎる場合は、光沢発現層塗工時にバインダーマイグレーションが発生し、光沢発現層の表面強度が低下する恐れがあるので25g/m以下が好ましい。より好ましくは、6〜20g/mである。
塗工後に一定の平滑性を出すために、インク受容層をスーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することも可能である。
光沢発現層塗工液の過度の浸透を抑えるために、サイズプレスで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を塗布した基材を使用することが好ましい。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り固形質量部及び固形質量%を示す。
実施例1:
基材である酸性紙として、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)530mlに叩解したL−BKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)100質量部に対して、内添填料としてタルク(商品名:Tライト83、太平タルク社製)5質量部を添加し、更に硫酸バンド1.0質量部、酸性ロジンサイズ剤(商品名:AL−1200、星光PMC社製)0.25質量部、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック40T、日本食品加工社製)1.0質量部を添加して、更に酸化澱粉で表面処理を行い、坪量200g/mの上質紙を抄造した。次に合成シリカ(ミズカシルP−78A、水沢化学工業社製)100質量部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部、エチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−10:昭和高分子社製)40質量部、ポリアミジン(ハイマックスSC700L:アクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合物:30%濃度品:粘度3,680mPa.s、pH2.04:ハイモ社製)10質量部、カチオン性高分子(パピオゲンP−105:センカ社製)10質量部を用い、固形分22%の塗工液を調製し、この塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量12g/mとなるように前記上質紙に塗布・乾燥してインク受容層を塗設した。次いで、光沢発現層用塗工液に含ませる顔料として球状コロイダルシリカ(SYLOJET4000C、カチオン性、平均一次粒子径30〜40nm:グレースデビソン社製)100質量部、結着剤としてスチレン‐アクリル樹脂(パスコールJK718:明成化学工業社製)10質量部、ポリビニルアルコール(PVA−105:クラレ社製)10質量部、カチオン性高分子(スミレーズレジン1001:住友化学工業社製)10質量部、離型剤としてポリエチレンエマルジョン(SNコート287:サンノプコ社製)1質量部を用いて固形分20%の光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように前記インク受容層の表面に塗布した。次いで凝固液としてホウ酸ナトリウム0.5質量%と硫酸マグネシウム7水和物(TC−P:馬居化成工業社製)3質量%の水溶液を塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用媒体を作製した。尚、光沢発現層中の硫酸マグネシウム7水和物の含有量は0.3g/mであった。
実施例2:
インク受容層のポリアミジン10質量部から1質量部に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
実施例3:
インク受容層のポリアミジン10質量部から25質量部に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
実施例4:
インク受容層のポリアミジン10質量部から3質量部に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
実施例5:
インク受容層のポリアミジン10質量部から20質量部に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
実施例6:
光沢発現層にポリアミジンを10質量部加えた以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
実施例7:
インク受容層のポリアミジンを無添加とし、光沢発現層にポリアミジンを10質量部加えた以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
実施例8:
凝固液に使用する硫酸マグネシウム7水和物3質量%を0.1質量%に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。尚、光沢発現層中の硫酸マグネシウム7水和物の含有量は0.01g/mであった。
実施例9:
凝固液に使用する硫酸マグネシウム7水和物3質量%を10質量%に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。尚、光沢発現層中の硫酸マグネシウム7水和物の含有量は1g/mであった。
実施例10:
凝固液に使用する硫酸マグネシウム7水和物3質量%を0.5質量%に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。尚、光沢発現層中の硫酸マグネシウム7水和物の含有量は0.05g/mであった。
実施例11:
凝固液に使用する硫酸マグネシウム7水和物3質量%を8質量%に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。尚、光沢発現層中の硫酸マグネシウム7水和物の含有量は0.8g/mであった。
実施例12:
凝固液に使用する硫酸マグネシウム7水和物3質量%を塩化マグネシウム6水和物(マグランド:赤穂化成社製)3質量%に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。尚、光沢発現層中の塩化マグネシウム6水和物の含有量は0.3g/mであった。
実施例13:
凝固液を再湿潤液としてキャスト法を凝固法から再湿潤法に変更した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
比較例1:
インク受容層のポリアミジン10質量部を無添加とした以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
比較例2:
凝固液に使用する硫酸マグネシウム7水和物3質量%を無添加とした以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
比較例3:
光沢発現層を塗設後、キャスト処理をせず105℃の熱風により乾燥した以外は実施例1に準じインクジェット記録用媒体を作製した。
(1)光沢発現層表面の写像性:
得られたインクジェット記録用紙の光沢発現層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686‐2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定した。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。評価としては、写像性が50%以上は、反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れている(実用上問題なし)。50%未満では、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣る(実用上問題あり)。
(2)画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS‐SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−G820」を用い、得られたインクジェット記録用媒体に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストはあるが、若干色が沈み気味、使用下限。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(3)インク吸収性:
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−G820」を用い、CMYKの各インクの単色及びRGB(Red‐Green‐Blue)の三原色について、ベタ(100%濃度)及び文字を、得られたインクジェット記録用媒体に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字の滲みの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりして滲みが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界の滲みが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界の滲みがあり、文字が若干不鮮明であるが使用下限。
×:境界の滲みがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(4)光沢発現層表面の耐変色性:
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)をイソプロピルアルコール(IPA)に溶解させて1質量%濃度のBHT溶液を作製した。このBHT溶液を各サンプルの光沢発現層表面に20μl滴下して23℃50%RH環境下において放置した。24時間後、光沢発現層表面の変色の度合いを観察し、目視によって評価した。
◎:変色が極めて少なく、全く問題なし。
○:わずかに変色が見られるが、実用上問題なし。
△:変色が見られるが、使用下限。
×:変色が著しく、実用上不可。
Figure 0005903218
表1から明らかなように、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層は、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液を塗工した後、塗工層が湿潤状態にあるうちに、加熱した鏡面仕上げの金属面に前記塗工層を圧着して形成されたキャストコート紙であって、前記光沢発現層が水溶性マグネシウム塩を含有し、かつ光沢発現層若しくはインク受容層の少なくとも一方にポリアミジンを含有することで印字性能と光沢感に優れ、かつ、光沢発現層の耐変色性に優れていることが分かった。
比較例1は、ポリアミジンを使用しなかったため、耐変色性が劣った。比較例2は、水溶性マグネシウム塩を使用しなかったため耐変色性が劣った。比較例3は、キャスト処理を行わなかったため所望する写像性は得られず写真ライクな画像が得られなかった。

Claims (4)

  1. 基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層は、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液を塗工した後、塗工層が湿潤状態にあるうちに、加熱した鏡面仕上げの金属面に前記塗工層を圧着して形成されたキャストコート紙の製造方法であって、
    水溶性マグネシウム塩を含有し、かつ、結着剤として、顔料100質量部に対して1〜30質量部のポリビニルアルコールを含有する光沢発現層用塗工液を塗工して光沢発現層を形成するかまたは光沢発現層形成後に水溶性マグネシウム塩を含有する処理液を光沢発現層表面に塗布する工程を有し、かつ、光沢発現層以外のインク受容層を設ける塗工液、光沢発現層用塗工液及び/又は該光沢発現層用塗工液の塗工後に光沢発現層表面に塗布する水溶性マグネシウム塩を含有する処理液にポリアミジンを含有させることを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
  2. 基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層は、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液を塗工した後、塗工層が湿潤状態にあるうちに、加熱した鏡面仕上げの金属面に前記塗工層を圧着して形成されたキャストコート紙の製造方法であって、
    水溶性マグネシウム塩を含有する光沢発現層用塗工液を塗工して光沢発現層を形成するかまたは光沢発現層形成後に水溶性マグネシウム塩を含有する処理液を光沢発現層表面に塗布する工程を有し、かつ、光沢発現層以外のインク受容層を設ける塗工液、光沢発現層用塗工液及び/又は該光沢発現層用塗工液の塗工後に光沢発現層表面に塗布する水溶性マグネシウム塩を含有する処理液にポリアミジンを含有させること及び前記基材が酸性紙であることを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
  3. 前記光沢発現層を凝固法によって形成し、かつ、前記塗工層が湿潤状態にあるうちに塗工する凝固液に前記水溶性マグネシウム塩を含有させ、該凝固液を前記処理液とし、かつ、光沢発現層以外のインク受容層を設ける塗工液、光沢発現層用塗工液及び/又は前記凝固液にポリアミジンを含有させることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
  4. 前記凝固液がホウ素化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
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