JP2012016928A - 光沢紙及びその製造方法 - Google Patents

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有里子 丹野
Akihisa Meguro
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Yoshihito Okada
喜仁 岡田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、優れたインク吸収性及びインク発色性と高い光沢度とを兼ね備えた光沢紙を、リウェット法を適用して効率よく製造する方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係る光沢紙の製造方法は、透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料及びバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗工し、塗工面を乾燥して1層以上のインク受理層を形成する工程と、インク受理層の最表層の表面に再湿潤液を塗布し、インク受理層が再湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するリウェット法によるキャストコート法で光沢層を形成する工程と、を有する光沢紙の製造方法であって、インク受理層用塗工液に含有する顔料は、BET比表面積が100〜400m/gであり、再湿潤液は、弱酸を含有し、かつ、pHが2.0〜6.9であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れたインク吸収性及びインク発色性と高い光沢度とを兼ね備えた光沢紙を効率よく得る製造方法に関する。
高い表面光沢を有する光沢紙を製造する方法として、キャストコート法が知られている。近年、優れた表面光沢及び表面平滑性を有するキャストコート紙の製造技術は、印刷用紙だけでなく、例えば、インクジェット記録方式で使用される記録用紙の製造にも応用されている。インクジェット記録方式は、インクの液滴をノズルから記録紙上に吐出し、付着させることによって、ドットを形成して記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク及び記録媒体の技術的進歩によって、フルカラー画像の形成が容易となったこと、騒音が小さくなったこと、高速記録が可能になったこと、少量部数の作成において有効であること、そして装置が小型で安価であることから多方面で利用されている。
一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なく、ある程度の印字品質が期待できる。しかし、より高い印字品質を求める場合には、インクジェットプリンターのインクに対してインク吸収量が大きくて、インク吸収性が良好であること、更に発色が鮮やかであることが必要となる。前記の要求を満たすために、インクジェット印字適性のある塗工層(以降、「インク受理層」ということもある。)を各種基材上に設けた専用のインクジェット記録媒体が使用される。これらインクジェット記録媒体としては、紙若しくはフィルムのいずれか一方又はその両方を支持体として、顔料及びバインダーを含有する顔料塗工液を基材上に塗工して塗工層を設けたものが多く使用される(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1では、インク受理層に通常用いられる顔料として、無定形シリカ、アルミナ、コロイダルシリカを例示している。
インクジェット記録媒体は、その表面状態から、光沢度の低いマット調媒体と光沢度の高い光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。
光沢媒体を得る方法として、キャストコート法がある。キャストコート法は、基材上に塗工層を設けた後、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面ロール(以降、「キャストドラム」ということもある。)に圧着して乾燥、離型し鏡面を写し取ることによって光沢層を形成し、表面に高い光沢を付与する方法である。
キャストコート法は、塗工層における可塑状態の違いからゲル化法(凝固法)、ウェット法(直接法)、リウェット法(再湿潤法)に分類される。
ゲル化法は、基材上に塗設した塗工層が湿潤状態にある間に、塗工層にゲル化液を塗布することによってゲル化状態とした後、加熱された鏡面ロールに圧着、乾燥して光沢層を設ける方法である。また、ウェット法は、基材上に塗工した顔料塗工液が湿潤状態にある間に、乾燥工程及びゲル化処理工程を経ることなく、加熱された鏡面ロールに圧着、乾燥することで光沢層を設ける方法である。そして、リウェット法は、基材上に塗工した顔料塗工液を一度乾燥した後、再湿潤液を塗工層上に塗布して再湿潤させた状態で、加熱された鏡面ロールに圧着、乾燥して光沢層を設ける方法である。
これらのキャストコート法は、塗工層が湿潤又は可塑状態にある間に鏡面ロールに圧着して、乾燥させるため、塗工層に含まれる水分が基材を通して蒸発する。しかし、一部の水分は、鏡面ロール方向へ蒸発するため、光沢層に生じるピンホールの原因となる。前述のウェット法においては、塗工層の水分含量が多いため、鏡面ロールの表面温度を制御して操業する必要があり、生産効率を低下させる一因となる。一方、ゲル化法を用いた場合、塗工層が比較的強固であり、沸点以上の温度に加熱された鏡面ロールに圧着しても塗工層が破壊されないため、鏡面ロール温度を上げることが可能である。しかしながら、塗工層中に含まれる水分が非常に多いため、乾燥負荷が大きく、結果として操業速度を下げなければならず、生産効率は低下する。さらに、ゲル化法においては、鏡面ロールへの圧着直前にゲル化処理を行うため、十分なゲル化作用が得られない、又はゲル化剤によって表面強さ及び光沢度が低下する可能性がある。
これらに対して、リウェット法には、前記のような問題がなく、緻密で、かつ、優れた光沢を有する光沢層が得られる。さらに、塗工層の表面だけを再湿潤して可塑状態とするため、蒸発する水分量が少なく、乾燥負荷が小さくて済むために、操業速度を上げることができ、生産効率を上げることができる。したがって、インクジェット記録用光沢紙の製造にリウェット法を用いることができれば、高い生産性を期待できる。
しかしながら、リウェット法は、ウェット法及びゲル化法よりも塗工層の可塑性が低いという欠点を有する。そのため、再湿潤液の選定、鏡面ロールの表面温度、操業速度などの操業条件の選定が重要となり、選定を誤ると光沢層のピンホール、密着ムラなどの光沢面における不良が発生しやすくなり、生産性が低下する。
前述のとおり、キャストコート法の光沢層表面で生じる不良の発生の一因として、急速な水分の蒸発によって塗工層が破壊され、ピンホールが起きることが知られている。これを解消する方法として、高い透気性を有した基材を用いる、顔料及びバインダー配合を改良するなどの解消法が実施されているが、限界があった。そこで、前記リウェット法における問題点を解決する方法として、分散剤及び離型剤を主成分とした再湿潤液に、少量のカルボン酸を含有させて、pHを2〜4に調整する技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2007−152834号公報 特開平2−293491号公報
リウェット法では、前記の塗工層の可塑性が低いという欠点のため、高いインク吸収性を要求されるインクジェット記録用光沢紙の製造に適用することは従来困難であった。特許文献1をはじめとするインク受理層にシリカ、アルミナなどのインク吸収能を有する顔料を使用した記録紙では、リウェット法を適用すると光沢が低下して面質不良となりやすいという問題がある。
特許文献2に記載の技術は、塗工層の可塑性が低いという問題点を解消することはできる。しかし、特許文献2の光沢紙は、再湿潤させる塗工層中にBET比表面積の高い顔料を含有していないため、インク吸収性及び発色性が備わっていない。このことから、現状では、生産効率の高いリウェット法を適用した、インク吸収性及び発色性が良好な光沢紙を製造することは難しいと考えられる。
そこで、本発明の目的は、優れたインク吸収性及びインク発色性と高い光沢度とを兼ね備えた光沢紙を、リウェット法を適用して効率よく製造する方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、高いインク吸収性及び発色性を有する塗工層の場合でも、リウェット法によって光沢層を塗設する方法を見出した。
本発明に係る光沢紙の製造方法は、透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料及びバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗工し、該塗工面を乾燥して1層以上のインク受理層を形成する工程と、該インク受理層の最表層の表面に再湿潤液を塗布し、前記インク受理層が再湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するリウェット法によるキャストコート法で光沢層を形成する工程と、を有する光沢紙の製造方法であって、前記インク受理層用塗工液に含有する顔料は、BET比表面積が100〜400m/gであり、前記再湿潤液は、弱酸を含有し、かつ、pHが2.0〜6.9であることを特徴とする。
本発明に係る光沢紙の製造方法では、前記弱酸は、カルボン酸類、ホウ酸類の中から選ばれる1種以上であることが好ましい。インク吸収性及びインク発色性と光沢度とを、更に高めることができる。
本発明に係る光沢紙の製造方法では、前記顔料は、合成シリカ、アルミナの中から選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明に係る光沢紙の製造方法では、前記再湿潤液の塗布は、前記インク受理層用塗工液の塗工面を乾燥した後に、巻取り工程を経ずに、前記塗工面の乾燥に続いて連続的に行うことが好ましい。光沢度のより高い光沢紙を製造することができる。
本発明に係る光沢紙の製造方法では、前記インク受理層を形成する工程の前に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層を形成する工程を、更に有することが好ましい。インク吸収性及びインク発色性をより高め、インクジェット適性に優れた光沢紙を製造することができる。
本発明に係る光沢紙では、透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料とバインダーとを含有する1層以上のインク受理層を塗設し、該インク受理層の最表層上に光沢発現層がリウェット法によるキャストコート法で塗設した光沢紙において、前記インク受理層の顔料は、BET比表面積が100〜400m/gであり、前記光沢発現層が、前記弱酸を含有し、かつ、前記光沢発現層の表面pHが、2.0〜7.0であることを特徴とする。
本発明に係る光沢紙では、前記基材と前記インク受理層との間に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層を更に塗設することが好ましい。インク吸収性及びインク発色性をより高め、インクジェット適性に優れた光沢紙とすることができる。
本発明は、優れたインク吸収性及びインク発色性と高い光沢度とを兼ね備えた光沢紙を、リウェット法を適用して効率よく製造する方法を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る光沢紙の製造方法は、透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料及びバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗工し、該塗工面を乾燥して1層以上のインク受理層を形成する工程と、該インク受理層の最表層の表面に再湿潤液を塗布し、前記インク受理層が再湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するリウェット法によるキャストコート法で光沢層を形成する工程と、を有する光沢紙の製造方法であって、前記インク受理層用塗工液に含有する顔料は、BET比表面積が100〜400m/gであり、前記再湿潤液は、弱酸を含有し、かつ、pHが2.0〜6.9である。
本実施形態では、透気性を有する基材として、紙基材を用いることがより好ましい。紙を基材とすることによって、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストが低く、廃棄する場合にはリサイクル容易であり、資源の有効利用をすることができる。透気性を有する紙基材は、例えば、上質紙、中質紙、白板紙である。また、酸性紙又は中性紙を使用してもよい。ここで、酸性紙とは、タルク、カオリンクレーなどの填料と硫酸バンドなどの酸性薬品とを添加して抄造した紙をいう。硫酸バンドを例にすれば、それが紙の中で水分と反応して硫酸を生じ、紙を酸性にすることによる。一方、ここで記述する中性紙とは、中性から弱アルカリ領域で抄造した紙をいう。一般的に中性紙は、填料として炭酸カルシウムを用いることが多い。また、光沢層表面の変色及び退色を防ぐ観点から、紙基材は、酸性紙であることがより好ましい。また、燃料としてリサイクルされる場合を考慮し、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。
用いたパルプは、叩解機によって適切な叩解度を有する紙料とする。叩解度は、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜600mlCSFとすることが好ましい。より好ましくは、400〜570mlCSFである。紙料には、填料を含有させることが好ましい。使用する填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、ベントナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの公知の填料を使用することが可能である。
また、紙料中には、前記パルプ、填料以外に、公知の紙力剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料などの各種抄紙用薬品を適宜用いることができる。各紙料の調製方法、配合及び各抄紙薬品の添加方法については、本実施形態の効果を損なうものでなければ特に限定されない。また、前記紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの公知の抄紙機を適用して単層又は多層で抄造することが可能である。紙基材の坪量は、特に制限されないが、30〜600g/mとすることが好ましい。より好ましくは、50〜500g/mである。
また、インク受理層用塗工液の過度の浸透を抑えるために、紙基材の両面又は片面には、サイズプレス、ロールコーターなどの公知の塗工機で澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子をサイズ液として塗布することが好ましい。
インク受理層は、インク吸収性及び発色性を付与することを目的として塗設する。インク受理層は、顔料及びバインダーを含有する。
インク受理層の顔料は、BET比表面積が100〜400m/gである。BET比表面積は、より好ましくは120〜380m/gである。特に好ましくは、150〜350m/gである。顔料の種類は、例えば、合成シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイトなどの白色無機顔料である。また、アクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料を用いてもよい。この中で、合成シリカ又はアルミナがより好ましい。合成シリカは、例えば、気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、コロイダルシリカである。アルミナは、例えば、気相法アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイトである。この中で、インク吸収性の観点から、気相法シリカ又は気相法アルミナがより好ましい。BET比表面積が100m/g未満では、顔料インクのインク吸収性及び発色性に劣る。BET比表面積が400m/gを超えると、塗工液の粘度が高すぎて安定性が劣る。顔料は、単独又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。ここで、BET比表面積は、BET法によって求めた比表面積である。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料のもつ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ、比表面積の決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を乗じて、総表面積が得られる。この総表面積を試料の質量で除して、BET比表面積を求めることができる。
インク受理層に含有させるバインダーは、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類である。これらは、単独又は併用して用いられる。この中で、ポリビニルアルコール(変性ポリビニルアルコールも含む。)とカチオン性ポリウレタン樹脂とを併用することが、発色性及び光沢感の観点から好ましい。また、ポリビニルアルコールの中では、シラノール変性ポリビニルアルコールを含有することが光沢感の観点から好ましい。バインダーの使用量は、インク吸収性、インク受理層の表面強さ及び塗工液の特性を考慮して決定する。顔料100質量部に対して、1〜200質量部の範囲で配合することが好ましい。好ましくは、5〜100質量部の範囲で配合する。更に好ましくは、10〜50質量部である。1質量部未満では、塗工層の表面強さが低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
インク受理層には、前記顔料及び前記バインダー以外に、インク定着剤としてカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーの作用としては、染料インク中のアニオン性の成分と反応することによって、水に不溶な塩を形成し、染料インクをインク受理層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類である。カチオン性ポリマーの配合量は、特に限定されないが、インク受理層中の全顔料100質量部に対して、1〜50質量部の範囲で使用することが好ましい。より好ましくは、5〜40質量部の範囲で配合する。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。また、インク受理層用塗工液にカチオン性ポリマーを添加する場合には、該塗工液のpHを酸性にすることが塗工液の凝集を防ぐために必要である。
インク受理層用塗工液には、その他の助剤として、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加できる。
インク受理層は、前記の顔料、バインダーなどインク受理層に含有させる各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整したインク受理層用塗工液を塗工後、乾燥して設けることができる。インク受理層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、特に限定されないが、5〜30g/mとすることが好ましい。より好ましくは、6〜25g/mである。5g/m未満では、インク吸収性が劣る場合がある。30g/mを超えると、コストが上がるために不経済である。また、インク受理層を形成する塗工液を2回以上塗工して、インク受理層を2層以上で構成することもできる。
塗工後の乾燥方式としては、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本実施形態においては特に限定されない。
また、必要に応じて、インク受理層の乾燥後に、一定の平滑性を出すことを目的として、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することが可能である。
インク受理層は、紙基材の片面だけに設けて、片面印刷用光沢紙とすることができる。また、紙基材の両面に設けて、両面印刷用光沢紙としてもよい。
本実施形態に係る光沢紙では、インク受理層の下層、すなわち、紙基材とインク受理層との間に1層以上の下塗り層を塗設することが好ましい。下塗り層は、インク受理層を形成する前に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層用塗工液を紙基材のインク受理層を設ける面に塗工・乾燥して形成することができる。
下塗り層は、インク受理層を透過したインクジェットインクを吸収して定着させる役割をもつ。下塗り層を設けることによって、光沢紙は、更に高いインク吸収性を有し、印字濃度、印字滲み及び画像鮮明性に優れた印字ができるため、インクジェット記録用紙として更に適したものとすることができる。
下塗り層の顔料は、インク受理層の顔料として例示した顔料を用いることができる。その中で、高いインク吸収性を有する点から、合成シリカがより好ましい。合成シリカの中でも、ゲル法シリカがより好ましい。下塗り層の顔料のBET比表面積は、200〜900m/gとすることが好ましい。より好ましくは、220〜700m/gである。200m/g未満では、インク吸収性に劣る場合がある。900m/gを超えると、塗工液の粘度が高くなり、均一な塗工層が得られない又は塗工ができない場合がある。
下塗り層のバインダーは、インク受理層のバインダーとして例示したバインダーを用いることができる。その中で、ポリビニルアルコールとエチレン−酢酸ビニル共重合体とを併用することが好ましい。バインダーの使用量は、顔料100質量部に対して、1〜200質量部の範囲で配合することが好ましい。より好ましくは、5〜100質量部の範囲で配合する。更に好ましくは、10〜80質量部である。1質量部未満では、塗工層の表面強さが低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
さらに、下塗り層用塗工液には、インク定着剤としてカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーは、インク受理層に添加するカチオン性ポリマーとして例示したものを用いることができる。カチオン性ポリマーの配合量は、特に限定されないが、インク受理層中の全顔料100質量部に対して、1〜50質量部の範囲で使用することが好ましい。より好ましくは、5〜40質量部の範囲で配合する。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。
下塗り層用塗工液には、その他の助剤として、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加できる。
下塗り層用塗工液の塗工方法は、本実施形態では限定されず、公知の塗工機を使用できる。公知の塗工機は、例えば、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機である。塗工量は、特に限定されないが、5〜30g/mとすることが好ましい。より好ましくは、6〜25g/mである。5g/m未満では、インク吸収性が劣る場合がある。30g/mを超えると、コストが上がるために不経済である。また、下塗り層用塗工液を2回以上塗工して、下塗り層を2層以上で構成してもよい。
塗工後の乾燥方式としては、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本実施形態においては特に限定されない。
また、必要に応じて、下塗り層の乾燥後に、一定の平滑性を出すことを目的として、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することが可能である。
本実施形態に係る光沢紙の製造方法では、キャストコート法によって光沢層を形成する。キャストコート法には、ウェット法、ゲル化法、リウェット法が知られており、本実施形態においてはリウェット法で製造する。リウェット法は、紙基材上にインク受理層用塗工液を塗工し、塗工面を一度乾燥した後、再湿潤液をインク受理層上に塗布し再湿潤させた状態で、加熱した鏡面ロールに圧着、乾燥して光沢層を設ける方法である。
本実施形態では、再湿潤液が弱酸を含有して弱酸性を呈している。ここで、弱酸は、酸解離定数の負の常用対数値(以降、「pKa」という)が2以上の無機酸又は有機酸をいう。ジカルボン酸など多価の酸のように複数の解離段を有する場合、各解離段のpKa値のうち、最も大きな値が2以上である無機酸又は有機酸をいう。なお、pKaは、25℃、1atm(気圧)のときの値である。弱酸は、カルボン酸類、ホウ酸類の中から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。カルボン酸類は、カルボキシル基を1つ以上有する有機酸である。カルボン酸類は、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、コハク酸である。ホウ酸類は、例えば、ホウ酸、メタホウ酸、過ホウ酸、次ホウ酸、ボロン酸、ボリン酸である。カルボン酸類及びホウ酸類の種類は、特に限定されないが、より優れたインク吸収性及び発色性を有する光沢紙とすることができる点で、弱酸としてホウ酸を使用することが好ましい。再湿潤液に添加する弱酸の濃度は、塗設する光沢層の品質、作業効率及びコスト面から、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜8.0質量%である。0.01質量%未満では、表面光沢が低くなることがある。10質量%を超えると、鏡面ロールに貼り付く場合がある。また、不経済である。再湿潤液は、弱酸を主成分とする水溶液とすることが好ましい。本発明の効果を損なわない限りにおいては、弱酸以外の物質を再湿潤液に添加してもかまわない。
再湿潤液に弱酸を含有させると、弱酸から解離した水素イオンによって、水素結合を利用してインク受理層のバインダーを凝固すると考えられる。バインダーを凝固させる物質として、ホウ砂が知られている。しかし、ホウ砂の水溶液はアルカリ性を呈するため、インク受理層のバインダーの凝固は、水酸基結合を利用したものとなる。水素結合は、水酸基結合よりも強固であるため、弱酸を含有させた再湿潤液を用いた場合には、ホウ砂を含有させた再湿潤液を用いた場合よりも、強固な光沢層を形成することができる。したがって、鏡面ドラムに圧着させても、光沢層にピンホール、光沢ムラなどの不良を起こすことなく、光沢度の高い光沢紙を得ることができると推測する。
本実施形態に係る光沢紙の製造方法では、再湿潤液の塗布は、インク受理層用塗工液の塗工面を乾燥した後に、巻取り工程を経ずに、インク受理層用塗工液の塗工面の乾燥に続いて連続的に行うことが好ましい。インク受理層塗工後の乾燥後に連続して再湿潤液を塗布することで、より高い光沢感を得ることができる。すなわち、インク受理層を紙基材表面に塗工した後の乾燥後に一回も巻き取らずに、連続的にインク受理層表面に再湿潤液を塗布してキャストドラムに圧着させる工程を行うことが好ましい。インク受理層乾燥後から再湿潤液塗布までの時間間隔が大きくなると、インク受理層とキャストドラム表面との密着性が悪くなり、光沢感が低下する。インク受理層乾燥後から再湿潤液塗布までの時間間隔が大きくなる場合とは、例えば、インク受理層用塗工液を塗工紙乾燥した後、紙匹を紙管などのコアに巻き取る巻取り工程を経て、キャストコート法で光沢層を形成する工程を行う場合である。
再湿潤液のpHは、2.0〜6.9である。より好ましくは、2.3〜6.5である。特に好ましくは、2.5〜6.0である。再湿潤液のpHが2.0未満では、鏡面ロールに貼り付く可能性がある。また、弱酸の添加量が過剰となり、不経済である。再湿潤液のpHが6.9を超えると、光沢感が劣る。
本実施形態に係る光沢紙では、光沢発現層の表面pHが、2.0〜7.0である。より好ましくは、2.3〜6.5である。特に好ましくは、3.5〜6.0である。表面pHが2.0未満では、鏡面ロールに貼り付いて、光沢紙表面の光沢度が不均一になる。また、添加する弱酸量が過剰であり、不経済である。また、表面pHが7.0を超える場合は、光沢感が劣る。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
(実施例1)
(紙基材の形成)
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度520mlCSF)100部に対して、乾燥質量でグラフト化澱粉(DG4204、グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体:星光PMC社製)1.00部と、酸性ロジンサイズ剤0.20部と、液体硫酸バンド1.00部と、灰分5%になるように添加量を調整したタルク(タルクNTL:日本タルク社製)と、を配合して紙料を得た。この紙料を長網抄紙機にて抄造し、紙匹を得た。その後、サイズ液として酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)を、前記紙匹の両面に、乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて、線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、坪量180g/mの上質紙を製造し、紙基材とした。
(下塗り層用塗料の調製)
顔料として合成シリカ(ニップジェルBY−001、BET比表面積450m/g、東ソー・シリカ社製)100部と、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10.0部及びエチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−13:昭和高分子社製)45.0部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(パラコンPJ、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物:大原パラヂウム社製)20.0部と、を配合し、工業用水で固形分濃度22%に調整して下塗り層用塗工液を得た。
(下塗り層の形成)
続いて、調製した下塗り層用塗工液をエアナイフコーターで絶乾塗工量12g/mとなるように、前記基材の片面に塗布、乾燥して下塗り層を形成した。
(インク受理層用塗工液の調製)
顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)100部と、バインダーとしてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)6.00部及びカチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(ジェットフィックス110、ジメチルアミンエピクロルヒドリン:里田化工社製)10.0部と、を配合してセリエミキサーで高速攪拌し、固形分濃度18%のインク受理層用塗工液を得た。
(インク受理層の形成)
調製したインク受理層用塗工液を、前記下塗り層面に、エアナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工し、乾燥した。
(光沢層の形成)
続けて、インク受理層乾燥直後に、弱酸としてホウ酸を1.0%含む水溶液を再湿潤液として塗布した後、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度135℃に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥し、光沢紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてクエン酸を用い、濃度を0.10%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてリンゴ酸を用い、濃度を1.0%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてギ酸を用い、濃度を0.10%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてマロン酸を用い、濃度を1.0%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、インク受理層用塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)100部の代わりに、気相法アルミナ(W630、BET比表面積100m/g:デグッサ社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(実施例7)
実施例1において、下塗り層を形成せず、紙基材上にインク受理層用塗工液を該基材の片面上に塗工した以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(比較例1)
実施例1において、インク受理層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)100部の代わりに、球状コロイダルシリカ(SYLOJET 4000C、BET比表面積80m/g:グレース社製)100部とし、更に、再湿潤液としてホウ酸1.0%水溶液の代わりに、ホウ砂5%水溶液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(比較例2)
実施例1において、再湿潤液としてホウ砂0.1%水溶液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(比較例3)
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸を無添加とし、温水(80℃)とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
(比較例4)
実施例1において、インク受理層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)100部の代わりに、球状コロイダルシリカ(SYLOJET 4000C、BET比表面積80m/g:グレース社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
得られた光沢紙について、次の試験を実施し、結果を表1に示した。
Figure 2012016928
(1)染料インクの吸収性(インク吸収性:染料):
得られた光沢紙の光沢面に、セイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「T−960」を用い、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)、RGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる(実用下限)。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある(実用不適)。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可である(実用不適)。
(2)顔料インクの吸収性(インク吸収性:顔料):
得られた光沢紙の光沢面に、セイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−G5300」を用い、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)、RGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる(実用下限)。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある(実用不適)。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可である(実用不適)。
(3)光沢層表面の写像性(写像性):
得られた光沢紙の光沢層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に従って、光学くし幅2mmにて入反射角度60°として、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)を用いて測定した。評価としては、次のとおりである。
写像性が50%以上:反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れ、実用できる(実用レベル)。
写像性が50%未満:反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、光沢紙として実用上問題がある(実用不適)。
(4)再湿潤液のpH(再湿潤液pH):
pH計(形式F−52、堀場製作所社製)を用いて再湿潤液のpHを測定した。測定時の再湿潤液の液温を25℃とした。
(5)光沢層表面の表面pH(表面pH):
紙質検査用pH計(形式MPC、共立理化学研究所社製)を用いて、光沢層表面の表面pHを測定した。測定方法は、Japan Tappi No.49−2(2000年度版;塗布法)に準拠した。
表1から明らかなように、実施例1〜7は、比較例1〜4に比べて染料インク及び顔料インクのインク吸収性に優れ、かつ、光沢層表面の写像性に優れていた。
比較例1は、インク受理層塗工液の顔料としてBET比表面積が80m/gの顔料を用い、更に再湿潤液中に弱酸を含有させずに、ホウ砂を用いたため、インク吸収性及び写像性に劣った。比較例2は、再湿潤液中に弱酸を含有させずに、ホウ砂を用いたため、写像性に劣った。比較例3は、再湿潤液中に弱酸を含有させず、温水を用いたため、写像性に劣った。比較例4は、インク受理層塗工液の顔料としてBET比表面積80m/の顔料を用いたため、インク吸収性及び写像性に劣った。

Claims (7)

  1. 透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料及びバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗工し、該塗工面を乾燥して1層以上のインク受理層を形成する工程と、該インク受理層の最表層の表面に再湿潤液を塗布し、前記インク受理層が再湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するリウェット法によるキャストコート法で光沢層を形成する工程と、を有する光沢紙の製造方法であって、
    前記インク受理層用塗工液に含有する顔料は、BET比表面積が100〜400m/gであり、
    前記再湿潤液は、弱酸を含有し、かつ、pHが2.0〜6.9であることを特徴とする光沢紙の製造方法。
  2. 前記弱酸は、カルボン酸類、ホウ酸類の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の光沢紙の製造方法。
  3. 前記顔料は、合成シリカ、アルミナの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光沢紙の製造方法。
  4. 前記再湿潤液の塗布は、前記インク受理層用塗工液の塗工面を乾燥した後に、巻取り工程を経ずに、前記塗工面の乾燥に続いて連続的に行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光沢紙の製造方法。
  5. 前記インク受理層を形成する工程の前に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層を形成する工程を、更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光沢紙の製造方法。
  6. 透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料とバインダーとを含有する1層以上のインク受理層を塗設し、該インク受理層の最表層上に光沢発現層がリウェット法によるキャストコート法で塗設した光沢紙において、
    前記インク受理層の顔料は、BET比表面積が100〜400m/gであり、
    前記光沢発現層が、前記弱酸を含有し、かつ、前記光沢発現層の表面pHが、2.0〜7.0であることを特徴とする光沢紙。
  7. 前記基材と前記インク受理層との間に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層を更に塗設したことを特徴とする請求項6に記載の光沢紙。
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