JP2012016928A - 光沢紙及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る光沢紙の製造方法は、透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料及びバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗工し、塗工面を乾燥して1層以上のインク受理層を形成する工程と、インク受理層の最表層の表面に再湿潤液を塗布し、インク受理層が再湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するリウェット法によるキャストコート法で光沢層を形成する工程と、を有する光沢紙の製造方法であって、インク受理層用塗工液に含有する顔料は、BET比表面積が100〜400m2/gであり、再湿潤液は、弱酸を含有し、かつ、pHが2.0〜6.9であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(紙基材の形成)
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度520mlCSF)100部に対して、乾燥質量でグラフト化澱粉(DG4204、グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体:星光PMC社製)1.00部と、酸性ロジンサイズ剤0.20部と、液体硫酸バンド1.00部と、灰分5%になるように添加量を調整したタルク(タルクNTL:日本タルク社製)と、を配合して紙料を得た。この紙料を長網抄紙機にて抄造し、紙匹を得た。その後、サイズ液として酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)を、前記紙匹の両面に、乾燥塗布量が片面当たり1.5g/m2となるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて、線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、坪量180g/m2の上質紙を製造し、紙基材とした。
顔料として合成シリカ(ニップジェルBY−001、BET比表面積450m2/g、東ソー・シリカ社製)100部と、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10.0部及びエチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−13:昭和高分子社製)45.0部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(パラコンPJ、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物:大原パラヂウム社製)20.0部と、を配合し、工業用水で固形分濃度22%に調整して下塗り層用塗工液を得た。
続いて、調製した下塗り層用塗工液をエアナイフコーターで絶乾塗工量12g/m2となるように、前記基材の片面に塗布、乾燥して下塗り層を形成した。
顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m2/g:ワッカー社製)100部と、バインダーとしてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)6.00部及びカチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス620:第一工業製薬社製)10.0部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(ジェットフィックス110、ジメチルアミンエピクロルヒドリン:里田化工社製)10.0部と、を配合してセリエミキサーで高速攪拌し、固形分濃度18%のインク受理層用塗工液を得た。
調製したインク受理層用塗工液を、前記下塗り層面に、エアナイフコーターで絶乾塗工量10g/m2となるように塗工し、乾燥した。
続けて、インク受理層乾燥直後に、弱酸としてホウ酸を1.0%含む水溶液を再湿潤液として塗布した後、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度135℃に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥し、光沢紙を作製した。
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてクエン酸を用い、濃度を0.10%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてリンゴ酸を用い、濃度を1.0%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてギ酸を用い、濃度を0.10%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸としてマロン酸を用い、濃度を1.0%とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、インク受理層用塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m2/g:ワッカー社製)100部の代わりに、気相法アルミナ(W630、BET比表面積100m2/g:デグッサ社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、下塗り層を形成せず、紙基材上にインク受理層用塗工液を該基材の片面上に塗工した以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、インク受理層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m2/g:ワッカー社製)100部の代わりに、球状コロイダルシリカ(SYLOJET 4000C、BET比表面積80m2/g:グレース社製)100部とし、更に、再湿潤液としてホウ酸1.0%水溶液の代わりに、ホウ砂5%水溶液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、再湿潤液としてホウ砂0.1%水溶液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、再湿潤液に含有させる弱酸を無添加とし、温水(80℃)とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
実施例1において、インク受理層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m2/g:ワッカー社製)100部の代わりに、球状コロイダルシリカ(SYLOJET 4000C、BET比表面積80m2/g:グレース社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件で光沢紙を作製した。
得られた光沢紙の光沢面に、セイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「T−960」を用い、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)、RGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる(実用下限)。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある(実用不適)。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可である(実用不適)。
得られた光沢紙の光沢面に、セイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−G5300」を用い、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)、RGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる(実用下限)。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある(実用不適)。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可である(実用不適)。
得られた光沢紙の光沢層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に従って、光学くし幅2mmにて入反射角度60°として、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)を用いて測定した。評価としては、次のとおりである。
写像性が50%以上:反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れ、実用できる(実用レベル)。
写像性が50%未満:反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、光沢紙として実用上問題がある(実用不適)。
pH計(形式F−52、堀場製作所社製)を用いて再湿潤液のpHを測定した。測定時の再湿潤液の液温を25℃とした。
紙質検査用pH計(形式MPC、共立理化学研究所社製)を用いて、光沢層表面の表面pHを測定した。測定方法は、Japan Tappi No.49−2(2000年度版;塗布法)に準拠した。
Claims (7)
- 透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料及びバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗工し、該塗工面を乾燥して1層以上のインク受理層を形成する工程と、該インク受理層の最表層の表面に再湿潤液を塗布し、前記インク受理層が再湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧着して乾燥するリウェット法によるキャストコート法で光沢層を形成する工程と、を有する光沢紙の製造方法であって、
前記インク受理層用塗工液に含有する顔料は、BET比表面積が100〜400m2/gであり、
前記再湿潤液は、弱酸を含有し、かつ、pHが2.0〜6.9であることを特徴とする光沢紙の製造方法。 - 前記弱酸は、カルボン酸類、ホウ酸類の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の光沢紙の製造方法。
- 前記顔料は、合成シリカ、アルミナの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光沢紙の製造方法。
- 前記再湿潤液の塗布は、前記インク受理層用塗工液の塗工面を乾燥した後に、巻取り工程を経ずに、前記塗工面の乾燥に続いて連続的に行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光沢紙の製造方法。
- 前記インク受理層を形成する工程の前に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層を形成する工程を、更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光沢紙の製造方法。
- 透気性を有する基材の少なくとも片面上に顔料とバインダーとを含有する1層以上のインク受理層を塗設し、該インク受理層の最表層上に光沢発現層がリウェット法によるキャストコート法で塗設した光沢紙において、
前記インク受理層の顔料は、BET比表面積が100〜400m2/gであり、
前記光沢発現層が、前記弱酸を含有し、かつ、前記光沢発現層の表面pHが、2.0〜7.0であることを特徴とする光沢紙。 - 前記基材と前記インク受理層との間に、顔料及びバインダーを含有する下塗り層を更に塗設したことを特徴とする請求項6に記載の光沢紙。
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