JP4257732B2 - インクジェット記録用光沢紙 - Google Patents

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Description

本発明はインクジェット記録用光沢紙に関し、特に印字面の光沢が高く、写真画質に近い印字品位の高い記録用紙に関するものである。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによりドットを形成し記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩により、印字品質の高い記録が可能になってきている。
インクジェット記録媒体に求められる要素としては、
(a)インクの吸収、乾燥が速いこと
(b)印字濃度が高いこと
(c)ドットの広がりやひげ状のにじみが無いこと
等があげられる。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なくある程度の印字品質が期待できる。
一方、より高い印字品質を求める場合には媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては紙やフィルムを支持体として、顔料とバインダーを主成分とする顔料塗工層または顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット専用媒体はさらに表面状態からマット調媒体と光沢媒体に分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には後者の光沢媒体が使用される。これら光沢媒体に要求される特性としては前記した特性以外に
(d)ドットの真円性が高く、画像再現性が良好なこと
(e)耐水性、耐光性が良好であること
(f)画像領域、白紙部分の光沢感が高いこと
等があげられる。
光沢媒体の製法としては(a)のインク吸収性、乾燥性を維持しながら(b)〜(f)の特性を維持するために、各種の方法が提案されているが、一般的方法はキャスト法によりインク受容層を形成し表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法である。一般には前者は(a)のインク吸収性が後者に比べ制御しやすいが、(d)のドット真円性、画像再現性、(f)の画像領域、白紙部分の光沢感、品位では後者に比べ劣っている。印画紙用基材は一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているためにインク受容層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク受容層表面も平滑で、光沢ある表面が形成しやすい。しかし、インク吸収性をあげるために塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから全体のコストは前者のキャスト法による光沢媒体に比べ高いものとなる。また、廃棄する場合には複合素材であることからリサイクルがきかないといった問題もある。
キャスト法によるインクジェット記録用光沢紙についてはこの点有利であるが、前記した品質面での問題があり、これらの課題を解決するために各種の提案がなされている。40℃以上のガラス転移点を有する樹脂を含有する塗被液を用いて樹脂のガラス転移点以下でキャスト仕上げすることが提案されている(特許文献1参照)が、必ずしもインク吸収性が満足されず、樹脂のガラス転移点以下でキャスト仕上げしなければならないという制約がある。
また、パールネックレス状のコロイダルシリカを含むインクジェット記録シートの提案がある(特許文献2参照)。パールネックレス状のコロイダルシリカを使用することで印字品質、特にインク吸収性向上には一定の効果があるが、表面強度、光沢感が必ずしも満足できるには至っていない。
インク吸収性を高めようとすればポーラスな塗工層が有効であるが、光沢を出すことが難しくなる。また、ポーラスな塗工層は表面強度が弱くなりやすい。また、表面強度を高くするために樹脂成分を多くすれば光沢は向上するがインク吸収性が劣ることになる。
インク吸収性と光沢、表面強度を満足できるインクジェット記録用光沢紙が望まれているが、いずれにせよ、キャスト法によって製造されたインクジェット記録用光沢紙において、印画紙基材あるいはフィルム基材を用いて製造された媒体を超える画質と均一な光沢感を有する記録媒体は無いのが現状である。
特開平7−89220(第1−4頁) 特開平12−108506号(第1−4頁)
本発明はキャスト法によるインクジェット記録用光沢紙において、上記従来技術の問題点である、良好なインク吸収性を持ちながら、高光沢であり、更に光沢層表面の表面強度にも優れ、印画紙基材あるいはフィルム基材を用いて製造された媒体に匹敵する画質と均一な光沢感を有しかつリサイクル可能な記録媒体を提供することが目的である。
本発明者等は、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、その上に顔料及び接着剤を含有する光沢層用塗工液が塗布され、得られる塗工層を湿潤状態で、加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート紙であって、光沢層が顔料として非球状コロイダルシリカを含有し、かつ、該非球状コロイダルシリカが5〜100nmの粒子径の複数個の1次粒子がランダムに結合した凝集タイプの複合コロイダルシリカである50〜800nmの粒子径の2次粒子であり、かつ、該光沢層が接着剤としてのポリビニルアルコールとカチオン性アクリル樹脂、およびインク定着剤としてのカチオン性インク定着剤を含有することと、該接着剤の量が顔料100重量部に対して20〜50重量部であり、該接着剤中のポリビニルアルコールの量が10〜20重量部であることと、そして該光沢層が凝固法によって設けられており、凝固剤としてホウ素化合物が用いられていることとを特徴とするインクジェット記録用光沢紙によって、インク吸収性を保ちながらも高い光沢感、表面強度を満足でき、上記の課題が解決できることを見いだした。
本発明の有利な実施態様においては、該非球状コロイダルシリカは、複数個の粒子がランダムに結合した凝集タイプの複合コロイダルシリカであるか、又は、該凝集タイプの複合コロイダルシリカの他に複数個の粒子が連結したパールネックレス状コロイダルシリカを含む混合物である。
本発明の別の有利な実施態様においては、カチオン性アクリル樹脂がカチオン性アクリルシリコーン樹脂である。
後記の実施例からも明らかなように、本発明のインクジェット記録用光沢紙はキャスト法によって製造されたインクジェット記録用光沢紙でありながら、非常に良好な表面光沢感の均一性とインク吸収性を高いレベルでバランスさせながら、表面強度が強く、良好な発色性を有する物である。本発明では紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストも低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり資源の有効利用という観点からも好ましい。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の光沢層の顔料としては、非球状コロイダルシリカを必須成分とするものである。非球状コロイダルシリカとしては、球状または球状に近い形状の1次粒子が複数個ランダムに結合した不定形の凝集タイプの複合コロイダルシリカと球状または球状に近い形状の1次粒子が複数個連結したパールネックレス状のコロイダルシリカが例示できるが、これらは球状コロイダルシリカに比べインク吸収性が良好となるため好ましい。
非球状コロイダルシリカの場合、粒子径としては特に限定されるものではないが、動的光散乱法により測定した粒子径として、1次粒子としては5〜100nm、2次粒子として50〜800nm程度が適当である。1次粒子が細かすぎると2次粒子としての安定性が悪くなることがあり、大きすぎると2次粒子としての粒子径が大きくなりすぎてしまうため、1次粒子としては5〜100nm程度が好ましい。2次粒子としては小さすぎるとインク吸収性が悪化し、大きすぎると画像濃度の低下などの問題が生じるため50〜800nm程度が適当である。本発明において複数個の1次粒子がランダムに結合した凝集タイプの複合コロイダルシリカまたは複数個の1次粒子が連結したパールネックレス状コロイダルシリカとは、上に規定した大きさの2次粒子径に相応する数の粒子が結合したものを意味する。
いずれも球状コロイダルシリカに比べてインク吸収性が良好であるが、これは球状粒子に比べてポーラスな塗工層を形成しやすいためと推測される。どちらかといえばパールネックレス状コロイダルシリカはインク吸収性が優れる反面光沢が劣り、凝集タイプの複合コロイダルシリカは光沢が良好であるがパールネックレス状コロイダルシリカに比べてインク吸収性が劣る傾向にある。本発明においては、これらを単独で使用しても良いが、適宜併用して用いることも出来る。
本発明に用いる非球状のコロイダルシリカは種々の方法によって得られ、本発明においては、いかなる方法によって得られたものであっても、コロイダルシリカの形状が非球状であれば本発明に用いることができる。
また、本発明の光沢層には、本発明の効果を損なわない範囲であれば非球状のコロイダルシリカのほかに公知の顔料1種以上を適宜選定して使用することもできる。
このような顔料としては、合成シリカ、アルミナ、アルミナドープシリカ、球状コロイダルシリカなどが例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、光沢層は接着剤としてのカチオン性アクリル樹脂が必須成分である。アクリル樹脂は透明性が高いため、塗工層の透明性を損ないにくく、良好な画像鮮明性を得ることが出来る。また、耐光性に優れるため記録シートとしての保存性を悪化させにくいという効果が得られる。
また、本発明においては、顔料としてシリカ系顔料を使用することから、カチオン性アクリルシリコーン樹脂が特に好ましい。非球状コロイダルシリカはインク吸収性に優れる反面、光沢、表面強度が出にくいという問題があるが、カチオン性アクリルシリコーン樹脂はシリカとの接着性に優れるため、インク吸収性、画像濃度を保ちながら、優れた表面強度を得ることが出来る。
アクリルシリコーン樹脂としては、例えばアクリル酸系重合体とオルガノポリシロキサンを反応させることにより調整したブロック共重合体又はグラフト共重合体がある。このオルガノシロキサンとしては、−OH官能基を有する線状重合体があり、下記式の化合物を挙げることが出来る:・
HO−Si(CH3)2−O−(Si(CH3)2−O)n−Si(CH3)2−OH
(式中のnは10〜5000である)
前記アクリル酸系重合体は、α、β−不飽和酸もしくはそのエステルなどのモノマーを重合反応させて得られた重合体又は共重合体である。該α、β−不飽和酸もしくはそのエステルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらのメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、ステアリルエステル、2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチルヘキシルエステル、3−ヒドロキシプロピルエステルなどを例示することが出来る。また、該α、β−不飽和酸もしくはそのエステルとともに重合するコモノマーは、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどである。
その他に、本発明の光沢層の特性を阻害しない範囲で追加的接着剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸またはその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類の樹脂類が例示され、単独または併用して用いられる。
接着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、光沢層の強度、塗料液性を考慮して決定される。通常顔料100重量部に対し10〜50重量部の範囲で添加することが好ましい。10重量部未満では塗工層の強度が劣り、50重量部を超えるとインク吸収性に悪影響を及ぼす。なお、追加的接着剤は、カチオン性アクリル樹脂に対して同量又はそれ以上が好ましい。追加的接着剤がカチオン性アクリル樹脂よりも多い場合には本発明の効果が得られ難い。
光沢層にはインクジェット記録用インクを定着させるためのカチオン性インク定着剤を含有せしめる。カチオン性インク定着剤の作用は、インク中に使用されている染料中のアニオン成分と反応し水に不溶な塩を形成し、インクを定着させ、耐水性を向上させる。
このようなカチオン性インク定着剤としてはポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性PVA、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類及びポリアミン等が用いられる。
更に、光沢層には、添加剤として、離型剤、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜選定して添加することができる。
本発明の光沢層を形成する塗料の塗工法としてはエアーナイフ、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター等が公知の塗工機が用いられる。塗工量は固形分換算で2〜40g/m、好ましくは3〜20g/mの範囲が好ましい。塗工量が40g/mを超えると生産性が劣り、塗工量が2g/mより少ない場合には十分な光沢面が形成しづらい。
光沢層は、公知のキャストコート法により形成する。キャストコート法には、ウエット法、凝固法、リウエット法が知られており、本発明においてはいずれの方法を用いても良い。なかでも、良好な光沢度を得るには凝固法が好ましい。
凝固法は、光沢層を塗工し湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理してキャストドラムに圧接する方法である。凝固処理においては、塗工層の接着剤成分と効果的に凝固する物を選定することが重要である。
特に限定されるものではないが、光沢層にポリビニルアルコール含有する場合、ポリビニルアルコールを効果的に凝固する凝固剤を使用することが望ましい。このような凝固剤としては、ホウ素化合物が好適であり、オルトホウ酸、メタホウ酸、ホウ酸塩などが使用できる。なお、凝固剤にインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤を添加することも可能である。
また、塗工から凝固剤を付与するまでの時間、凝固剤を付与してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着する際の圧力、ライン速度を調整することでより光沢度の高い光沢層が形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗料に応じて最適条件を求めることで適正化する必要がある。
また、キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー処理を行っても良いし、カール調整のため、裏面に水やカール調整剤を塗布したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本発明のインクジェット記録用光沢紙は、光沢層の下に1層以上のインク受容層を設ける。インク受容層は白色顔料と接着剤成分とから構成されるものである。インク受容層に用いる顔料としては公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルムニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ等の白色無機顔料やアクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が上げられる。
本発明で用いられるインク受容層の接着剤はポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸またはその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類の樹脂類が例示され、単独または併用して用いられる。
インク受容層の接着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク受容層の強度、塗料液性を考慮して決定される。通常顔料重量に対し1〜200重量%、好ましくは5〜100重量%程度の範囲で添加される。
本発明のインク受容層において、上記、顔料、バインダー類以外にカチオン性インク定着剤を添加することが好ましい。カチオン性インク定着剤としてはポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性PVA、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類及びポリアミン等が用いられる。
その添加量は特に限定されないが、顔料100重量部に対し1〜50重量部程度の範囲で使用される。
インク受容層のためのその他の添加剤としては、必要に応じて消泡剤、潤滑剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を使用できる。
本発明のインク受容層を形成する塗料の塗工法としてはエアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター等が公知の塗工機が用いられる。塗工量は特に限定されないが、塗工量が少なすぎる場合はインク吸収性が劣ることから、固形分換算で3g/m以上とすることが好ましい。また、インク受容層を塗工後に一定の平滑性を出すためにスーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダー等の公知のカレンダー装置を用いることも可能である。
本発明で使用する基材としては、通常の上質紙、中質紙、白板紙等の紙基材が用いられる。燃料としてリサイクルされる場合を考慮し原料パルプとしては塩素
含有量の少ないECFパルプまたはTCFパルプの使用が望ましい。キャストコート時における塗料の過度の浸透を押さえるために、サイズプレスでポリアクリルアミドや澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を塗工した原紙を使用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は特に明示しない限り固形重量部および固形重量%を示す。
ポリアクリルアミドで表面処理した坪量160g/mの上質紙に、合成シリカ(ミズカシルP−78A、水沢化学工業社製)100重量部、接着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10重量部、エチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−6:昭和高分子社製)40重量部、カチオン性インク定着剤(スミレーズレジン1001:住友化学工業社製)30重量部を用い、固形分16%の塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工乾燥してインク受容層を塗工した。次いで、光沢層塗料として、顔料として非球状コロイダルシリカである凝集タイプの複合コロイダルシリカ(スノーテックス−HS−M−20、1次粒子径25nm、凝集体粒子径280nm:日産化学工業社製)100重量部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10重量部、カチオン性アクリルシリコーン樹脂(アクアブリッドAsi822:ダイセル化学工業社製)10重量部、インク定着剤(ユニセンスCP102:センカ社製)10重量部、離型剤としてポリエチレンエマルジョン(SNコート287:サンノプコ社製)1重量部を用いて固形分18%の塗工液を得た。この塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工し、次いで硼砂3%水溶液を塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度100℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作成した。
参考例1
実施例1において光沢層塗工時に、凝固剤を使用せずにキャストドラムに圧着した以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成し、参考例1とした。
参考例2
実施例1において光沢層塗工後、光沢層を乾燥し、その後再湿潤液として硼砂1%水溶液にて再湿潤処理を行いキャストドラムに圧着した以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成し、参考例2とした。
実施例1において、光沢層の接着剤をポリビニルアルコール10重量部、カチオン性スチレン−アクリル樹脂(パスコールJK718:明成化学工業社製)10重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
実施例1において光沢層の凝集タイプの複合コロイダルシリカ(スノーテックス−HS−L、1次粒子径47nm、2次粒子径285nm:日産化学工業社製)100重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
実施例1において光沢層の凝集タイプの複合コロイダルシリカ(スノーテックス−HS−ZL、1次粒子径78nm、2次粒子径320nm:日産化学工業社製)100重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
実施例1において凝集タイプの複合コロイダルシリカ(スノーテックス−HS−M−20、1次粒子径25nm、2次粒子径280nm:日産化学工業社製)50重量部、パールネックレス状の非球状コロイダルシリカ(スノーテックス−PS−MO、1次粒子径25nm、2次粒子径280nm:日産化学工業社製)50重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
実施例1において凝集タイプの複合コロイダルシリカ(スノーテックス−HS−M−20、1次粒子径25nm、2次粒子径280nm:日産化学工業社製)20重量部、パールネックレス状の非球状コロイダルシリカ(スノーテックス−PS−SO、1次粒子径10〜15nm、2次粒子径80〜120nm:日産化学工業社製)80重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
実施例1において凝集タイプの複合コロイダルシリカ(スノーテックス−HS−M−20、1次粒子径25nm、2次粒子径280nm:日産化学工業社製)80重量部、パールネックレス状の非球状コロイダルシリカ(スノーテックス−PS−SO、1次粒子径10〜15nm、2次粒子径80〜120nm:日産化学工業社製)20重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
参考例3
実施例1において光沢層のポリビニルアルコール5重量部、カチオン性アクリルシリコーン樹脂5部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成し、参考例3とした。
実施例において光沢層のポリビニルアルコール10重量部、カチオン性アクリルシリコーン樹脂40部とした以外は実施例に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
実施例において光沢層のポリビニルアルコール20重量部、カチオン性アクリルシリコーン樹脂30部とした以外は実施例に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
比較例1
実施例1においてインク受容層を塗工しなかったこと以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
比較例2
実施例1において光沢層の球状コロイダルシリカ(スノーテックスO、粒子径10〜20nm:日産化学工業社製)100重量部とした以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
比較例3
実施例1において光沢層のカチオン性アクリルシリコーン樹脂を使用しなかったこと以外は実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
比較例4
実施例において光沢層のポリビニルアルコール20重量部、カチオン性アクリルシリコーン樹脂40部とした以外は実施例に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作成した。
上記インクジェット記録用光沢紙について以下の試験を実施し、結果を表1に示した。
<画像鮮明性>
ISO標準画像(ISO/JIS-SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター「PM−770C」を用い印字した。印字した画像を目視により評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしている。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしている。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでいる。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでいる。
<インク吸収性>
セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター「PM−770C」を用いCMYK及びRGBのベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視により評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明である。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明である。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
<20°光沢度>
JIS Z 8741に準じて、光沢層表面を入反射角度20°として、光沢度計(グロスメーターGM26D:村上色彩技術研究所社製)にて測定した。
<光沢感の均一性>
光沢層表面に対し、横方向より表面状態を肉眼で観察し光沢感を判定した。
○:白紙の光沢感が高く均一性が良好である。
△:白紙の光沢感がやや低い。
×:白紙の光沢感が低く、均一性が悪い。
<表面強度>
学振式堅牢度試験機(テスター産業(株)製)を用いて、荷重300gの条件で光沢層表面を20回こすり、表面強度(傷つき、粉落ち)の程度を目視により判定した。
◎:傷や粉落ちが全く無く良好である。
○:傷や粉落ちが目立たず、良好である。
△:傷や粉落ちが目立ち、実用上問題がある。
×:傷や粉落ちがひどく目立ち、実用上不可。
表1に示すように、実施例における画像鮮明性は全て良好であった。インク吸収性については非球状コロイダルシリカである凝集タイプの複合コロイダルシリカを使用したものが良好である。中でもパールネックレス状の非球状コロイダルシリカを含有すると更に良好な結果が得られた。比較例1に示すように下塗りを施さなかった場合、比較例2に示すように凝集タイプの複合コロイダルシリカを使用しなかった場合、比較例4に示すように接着剤成分が過剰である場合にインク吸収性は不十分となる。パールネックレス状の非球状コロイダルシリカはインク吸収性に優れる反面、表面強度が弱くなるケースがあるが、カチオン性アクリル樹脂の含有により実施例5〜7に示すとおり、実用レベルの表面強度を達成した。20°光沢度については、キャストの製法としてウエット法(参考例1)、リウエット法(参考例2)に比べてゲル化法(実施例1)の方が光沢度そのものは高いが光沢感の均一性はいずれも良好である。下塗りを施さなかったり(比較例1)、接着剤成分が少ない(比較例3)と光沢度も低く光沢感の均一性も不十分である。
Figure 0004257732

Claims (3)

  1. 基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、その上に顔料及び接着剤を含有する光沢層用塗工液が塗布され、得られる塗工層を湿潤状態で、加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート紙であって、光沢層が顔料として非球状コロイダルシリカを含有し、かつ、該非球状コロイダルシリカが5〜100nmの粒子径の複数個の1次粒子がランダムに結合した凝集タイプの複合コロイダルシリカである50〜800nmの粒子径の2次粒子であり、かつ、該光沢層が接着剤としてのポリビニルアルコールとカチオン性アクリル樹脂、およびインク定着剤としてのカチオン性インク定着剤を含有することと、該接着剤の量が顔料100重量部に対して20〜50重量部であり、該接着剤中のポリビニルアルコールの量が10〜20重量部であることと、そして該光沢層が凝固法によって設けられており、凝固剤としてホウ素化合物が用いられていることとを特徴とするインクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記光沢層が、凝集タイプの複合形状を有する2次粒子の前記非球状コロイダルシリカの他に、複数個の1次粒子がパールネックレス状に連結した2次粒子の非球状コロイダルシリカを顔料として含有し、該1次粒子径が5〜100nmであり、かつ、該2次粒子径が50〜800nmであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用光沢紙。
  3. 該カチオン性アクリル樹脂が、カチオン性アクリルシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用光沢紙。
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