JP5451307B2 - 色付きインクジェット記録用光沢紙及びその製造方法 - Google Patents

色付きインクジェット記録用光沢紙及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銀塩写真並の光沢感を有し、印字品位が高く、かつ色ムラの少ない色付きインクジェット記録用紙に関するものである。また、その色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。インクジェット記録媒体に求められる要素としては、
(a)インクの吸収、乾燥が速いこと
(b)印字濃度が高いこと
(c)ドットの広がり及びひげ状のにじみが無いこと
などがあげられる。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、にじみも少なく、ある程度の印字品質が期待できる。一方、より高い印字品質を求める場合には、媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙又はフィルムを支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット専用媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。これら光沢媒体に要求される特性としては、前記した特性以外に、
(d)ドットの真円性が高く、画像再現性が良好なこと
(e)耐水性、耐光性が良好であること
(f)画像領域、白紙部分の光沢感が高いこと
などがあげられる。
光沢媒体の製法としては、(a)のインク吸収性、乾燥性を維持しながら(b)〜(f)の各特性を維持するために、各種の方法が提案されているが、一般的方法は、キャスト法によってインク受容層を形成し表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法とである。
一般には、前者は、(a)のインク吸収性が後者に比べ制御しやすいが、(d)のドット真円性、画像再現性、(f)の画像領域、白紙部分の光沢感、についての品位では後者に比べ劣っている。印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているためにインク受容層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク受容層の表面も平滑で、光沢のある表面が形成しやすい。
しかし、印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法での全体のコストは、インク吸収性をあげるために塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャスト法による光沢媒体に比べ高いものとなる。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができないといった問題もある。
キャストコート法によるインクジェット記録用光沢紙については、この点有利であるが、前記した品質面での問題があり、これらの課題を解決するために各種の提案がなされている。
すなわち、記録層表面の亀裂の大きさ及び個数を規定することによって優れた光沢感及びインク受容性を有するインクジェット記録用紙が得られるとの提案がある(例えば、特許文献1を参照。)。
また、インク吸収速度が速く、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット記録用光沢紙として、アルミナ水和物を水溶性バインダーと混合して塗工した用紙が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
また、金属箔と着色剤を使用したカラー金属光沢インクジェット記録シートも提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
一方で、インクジェット記録用紙は白色を基調としたものが多く、いわゆるマット調インクジェット用紙の中には色付きタイプのものが上市されているが、光沢発現層を有するタイプにおいては色付きタイプがなかった。
特開平11−348416号公報 特開平06−055829号公報 特開2000−263922号公報
このように、特許文献1〜3に開示されたインクジェット記録用光沢紙は光沢感が非常に優れているという特徴をもつが、キャストコート法による色ムラの少ない色付きインクジェット記録用光沢紙に関する技術を示唆するものではない。また、いわゆるマット調インクジェット用紙の色付きタイプが上市されているにもかかわらず、光沢発現層を有するタイプにおいては色付きタイプがない理由は、次のように推測できる。すなわち、マット調インクジェット記録用媒体と比較して、銀塩写真代替を狙った光沢発現層を有するインクジェット記録用光沢紙の光沢発現層に使用される顔料は、いわゆるマット調インクジェット記録用紙に使用される顔料よりも小粒子径であることが多く、よって、必然的に表面が高平滑かつ高光沢になるために、光沢発現層に着色剤を含有させて色付けをした場合には目視で色ムラが目立ちやすいからだと推測される。よって、光沢発現層を有するインクジェット記録用紙に色を付ける場合は、その他のインクジェット記録用紙に色を付ける場合と比較して技術的に困難である。
本発明の第1の目的は、キャスト法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、前記従来技術の問題点である、良好なインク吸収性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感を有し、色ムラが極めて少なく、かつ、リサイクル可能な色付きインクジェット記録用光沢紙を提供することである。また、本発明の第2の目的は、色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法において、色ムラを極めて少なくすることが可能な製法を提供することである。
本発明者らは、前記目的に対して、キャストコート法による色付きインクジェット記録用光沢紙において、着色剤が主に紙基材とインク受容層の両方に含有され、かつ、光沢発現層中の着色剤の含有量がインク受容層中の着色剤の含有量よりも少なくさせることによって色付きインクジェット記録用光沢紙のインクジェット記録面の色ムラを抑制できることを見出して本発明に到達した。具体的には、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層上に顔料及び結着剤を含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙において、該インクジェット記録用光沢紙は、白色とは異なる色の着色剤によって白色とは異なる色が両面に付いている両面とも白色基調ではない色付きインクジェット記録用光沢紙であり、少なくとも前記紙基材と前記インク受容層の両方が前記着色剤を含有し、かつ、前記光沢発現層中の着色剤の含有量が前記インク受容層中の着色剤の含有量よりも少なく、かつ、前記紙基材は、前記インク受容層が設けられた反対面に前記着色剤を含む液を塗布することによって色付けされていることを特徴とする。
また、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層の着色剤の含有量が、該光沢発現層中の顔料100質量部に対して0.5質量部以下であることが好ましい。インクジェット記録面の色ムラを更に抑制することが可能となる。
また、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙では、前記着色剤が顔料系着色剤を含有することが好ましい。黄変色、退色を更に抑制することが可能となる。
また、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層を形成するキャストコート方式が凝固法であり、前記光沢発現層が結着剤としてポリビニルアルコールを含有し、かつ、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はそれら両方を含有することが好ましい。キャストコート法が凝固法であることによって、光沢感とインク吸収性及び画像鮮明性とをより高いレベルで両立することが可能となる。また、前記光沢発現層に結着剤としてポリビニルアルコールを含有し、かつ、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はそれら両方を含有することで光沢感とインク吸収性及び画像鮮明性とを更により高いレベルで両立することが可能となる。
また、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層が、前記顔料として、平均二次粒子径が500nm以下であるシリカ若しくはアルミナのいずれか一方又はそれら両方を含有することが好ましい。光沢感とインク吸収性及び画像鮮明性とをより高いレベルで両立することが可能となる。
また、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙は、葉書用途の製品又は葉書状加工品であることが好ましい。葉書用途の製品としては、例えば裁断前の巻き取り製品である。インクジェット記録面に色ムラがない色付きインクジェット記録用光沢紙は、特に葉書用途として使用されるのが好適である。また、光沢発現層を設けた面の反対面が凸版印刷される葉書としての用途が更に好適である。
また、本発明に係る色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、白色とは異なる色の着色剤によって白色とは異なる色が両面に付いている両面とも白色基調ではない色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法において、前記着色剤を添加したサイズプレス液によって紙基紙をサイズプレス処理するか、紙基材抄造後に前記着色剤を含有する水溶液を塗布するか、又は、これらを組み合わせることによって、紙基材に色付けする工程と、色付けした紙基紙の面の反対面に、前記着色剤を含有したインク受容層用塗工液を塗工して、1層以上のインク受容層を設ける工程と、顔料及び結着剤を含有し、かつ、前記着色剤を含有しないか又は前記着色剤の含有量が前記インク受容層用塗工液の着色剤の含有量よりも少ない光沢発現層用塗工液を前記インク受容層の上に塗工し、キャストコート法によって光沢発現層を設ける工程と、を有することを特徴とする。本製造方法によって、色付きインクジェット記録用光沢紙のインクジェット記録面の色ムラをより抑制することが可能となる。
本発明の色付きインクジェット記録用光沢紙は、キャスト法で製造された色付きインクジェット記録用光沢紙でありながら、非常に良好な表面光沢感と優れたインク吸収性及び優れた画像鮮明性とを高いレベルでバランスさせながら、かつ、インクジェット記録面の色ムラがないものである。特に、光沢発現層を有するインクジェット記録面の色ムラは、人間の目に目立ちやすいことから本発明の有意性は大きいと考えられる。また、本発明では、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストも低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり、資源の有効利用という観点からも好ましい。また、本発明の色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、光沢発現層を有するインクジェット記録面の色ムラを抑制させることが可能である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る色付きインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の片面に1層以上のインク受容層が設けられ、インク受容層上に顔料及び結着剤を含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙において、インクジェット記録用光沢紙は、白色とは異なる色の着色剤によって白色とは異なる色が両面に付いている両面とも白色基調ではない色付きインクジェット記録用光沢紙であり、少なくとも紙基材とインク受容層の両方が着色剤を含有し、かつ、光沢発現層中の着色剤の含有量がインク受容層中の着色剤の含有量よりも少なく、かつ、前記紙基材は、前記インク受容層が設けられた反対面に前記着色剤を含む液を塗布することによって色付けされている。
着色剤は、例えば、天然染料、合成染料、蛍光染料に代表される染料系着色剤、天然無機顔料、合成無機顔料などに代表される無機顔料、アゾ系顔料、多環式系顔料などに代表される有機顔料、又は、レーキ顔料に代表される顔料系着色剤を使用することができ、これらを単独又は少なくとも2種以上混合して使用することもできる。これら着色剤は、黄変色及び退色を抑制する観点から顔料系着色剤を含有することが好ましい。着色剤は、白色とは異なる色の着色剤であり、白色顔料は含まれない。
本実施形態においては、少なくとも紙基材とインク受容層の両方が着色剤を含有し、かつ、光沢発現層中の着色剤の含有量がインク受容層中の着色剤の含有量よりも少ない。着色剤を紙基材とインク受容層の両方に含有させる理由は、両面に任意の色を付与することが可能だからである。また、光沢発現層には着色剤を含有させてもよいが、その含有量はインク受容層中の着色剤の含有量よりも少なくする。光沢発現層を有するインクジェット記録面の色ムラを抑制させることができるからである。光沢発現層を有するインクジェット記録面の色ムラを更に抑制させるために、光沢発現層の着色剤の含有量が光沢発現層に含有される顔料100質量部に対して0.5質量部以下が好ましい。更に好ましくは、0.2質量部以下である。より好ましくは、0.1質量部以下である。
光沢発現層に含有させる顔料としては、合成非晶質シリカ、球状コロイダルシリカ、球状コロイダルシリカが複数個結合した凝集体コロイダルシリカ、球状コロイダルシリカが複数個鎖状に結合したパールネックレス状コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイト、などを使用でき、単独又は併用して用いることができる。インク吸収性と光沢感を両方満足させるという観点からは、球状コロイダルシリカが複数個結合した凝集体コロイダルシリカ、球状コロイダルシリカが複数個鎖状に結合したパールネックレス状コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイトを顔料として含有することが好ましい。
また光沢発現層は、平均二次粒子径が500nm以下のシリカ若しくは平均二次粒子径が500nm以下のアルミナ又はその両方を含有することが好ましい。平均二次粒子径が500nm以下のシリカ若しくは平均二次粒子径が500nm以下のアルミナ又はその両方を含有することによって光沢感とインク吸収性をより高いレベルで両立させることが可能となる。光沢感を更に向上するために、平均二次粒子径が450nm以下のシリカ若しくは平均二次粒子径が450nm以下のアルミナ又はその両方を含有することがより好ましい。シリカとアルミナの両方を用いる場合は、例えば質量比でシリカ:アルミナ=95:5〜5:95、好ましくはシリカ:アルミナ=90:10〜10:90とする。本実施形態では、平均二次粒子径は、動的光散乱法(例えば、大塚電子社製、DLS‐6500)によって測定した値を用いる。また、球状コロイダルシリカ(凝集体コロイダルシリカを除く。)は、二次粒子を形成せずに一次粒子で存在しているため、本実施形態ではシリカとして球状コロイダルシリカを用いる場合には、平均二次粒子径が500nm以下のシリカの概念に、平均一次粒子径が500nm以下の球状コロイダルシリカが含まれるとして扱う。ただし、球状コロイダルシリカは、平均一次粒子径が100nm以下のものが好ましい。前記顔料の粒子径については、光沢感とインク吸収性のバランスから、平均二次粒子径が500nm以下のものを含有することが好ましい。より好ましくは、平均二次粒子径が10nm〜400nmのものを、平均二次粒子径が500nmを超えると、光沢感が低下する場合がある。
さらに、光沢発現層に含有させる結着剤としては、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含むポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂との複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリル樹脂との複合体樹脂などが例示され、単独又は併用して用いられる。この中で結着剤は、インク吸収性と優れた光沢感を両立するという観点からポリビニルアルコールであることが好ましい。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、光沢発現層の強度、表面光沢感、塗工液性などを考慮して決定される。通常、光沢発現層に含まれる顔料100質量部に対し1〜100質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜60質量部程度の範囲で添加され、更に好ましくは10〜50質量部である。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
また更に、光沢発現層には、インクジェット記録用インクを定着させるためのカチオン性ポリマー、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を適宜選定して添加することができる。
光沢発現層を形成する塗工液の塗方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、固形分換算で3〜20g/m、好ましくは5〜15g/mの範囲が好ましい。塗工量が20g/mを超えると生産性が劣り、塗工量が3g/m未満の場合には十分な光沢面が形成しづらい。
さらに、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」による光学くし幅2mm入反射角度60°による条件の光沢発現層の写像性が50%以上であることが、光沢感の観点から好ましい。さらに好ましくは、写像性が55%以上である。写像性が60%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
光沢発現層は、公知のキャストコート法によって形成する。キャストコート法には、ウェット法、凝固法、リウェット法が知られており、本実施形態においては凝固法であることが好ましい。凝固法は、光沢発現層を塗工して湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理してキャストドラムに圧接する方法である。凝固処理においては、凝固剤は、塗工層の結着剤成分と効果的に凝固するものを選定することが重要であり、本実施形態においてはホウ素化合物が好ましい。より好ましくは、ホウ酸ナトリウム及び/又はホウ酸である。また、凝固液濃度が高い場合は、凝固力が強くなり、耐傷性がより良化するので好ましい。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤に対して5質量%以上が好ましい。5質量%未満の場合は、表面強度が低下する恐れがあり、更に好ましくは10質量%以上である。なお、凝固しうる結着剤としては、前記の光沢発現層に含有させる結着剤であり、その中でポリビニルアルコールが好ましい。また、凝固液に潤滑剤を添加することも可能である。凝固法は前述のとおり耐傷性をより高めることができ、また、凝固液に潤滑剤を含有させることによって、新たな工程を増やすことなく、経済的に有利に光沢発現層に潤滑剤を含有させることができる。さらに、凝固液にインクを定着させるためのカチオン性ポリマーを添加することも可能である。また、光沢発現層を塗工してから凝固液を塗布するまでの時間、凝固液を塗布してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着するときの圧力、及びライン速度を調整することによって、光沢度の高い光沢発現層が形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗工液に応じて最適条件を求めることで適正化する必要がある。
また、キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよいし、カール調整のため、インク受容層及び光沢発現層を設けた面の裏面に水、カール調整剤などを塗布したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本実施形態の色付きインクジェット記録用光沢紙は、光沢発現層の下に1層以上のインク受容層を設けることが必要である。インク受容層は、白色顔料と結着剤成分とを主成分とし、着色剤を含有する。光沢発現層の着色剤の含有量は、前記のとおり、インク受容層の着色剤の含有量よりも少なくする。このことは、色ムラを抑制するために必須である。
インク受容層に用いる顔料としては、公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナなどの白色無機顔料、又は、アクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が挙げられる。
インク受容層に含有させる結着剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類などが例示され、単独又は併用して用いられる。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク受容層の強度、塗工液性を考慮して決定される。通常、インク受容層に含まれる顔料100質量部に対し1〜200質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜100質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
インク受容層には、前記顔料及び前記結着剤以外にカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーの作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応して水に不溶な塩を形成することから、インクをインク受容層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。このようなカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類などが用いられる。添加量は、特に限定されないが、インク受容層に含まれる顔料100質量部に対し1〜50質量部の範囲で使用される。好ましくは、5〜40質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。
その他の添加剤としては、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを使用できる。
インク受容層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、特に限定されないが、塗工量が少なすぎる場合はインク吸収性が劣ることから、固形分換算で5g/m以上とすることが好ましい。また、塗工量が多すぎる場合は、光沢発現層塗工時にバインダーマイグレーションが発生し、光沢発現層表面の耐傷性が低下する恐れがあるので、20g/m以下が好ましい。より好ましくは、6〜15g/mである。インク受容層を形成する塗工液を2回以上塗工して、インク受容層を2層以上で構成してもよい。
また、塗工後に一定の平滑性を出すために、インク受容層の塗工後に一定の平滑性を出すスーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置を用いることによってカレンダー処理することも可能である。
インク受容層及び光沢発現層は、基材の片面のみならず、両面に設けてもよい。両面印刷用とすることができる。
本実施形態で使用する紙基材としては、通常の上質紙、中質紙、白板紙などの紙基材を用いる。燃料としてリサイクルされる場合を考慮し原料パルプとしては、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。
キャストコート時における塗工液の過度の浸透を抑えるために、サイズプレスで澱粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を塗布した紙基材を使用することが好ましい。
また、本実施形態で使用する紙基材に着色剤を含有させて色付けする方法としては、サイズプレス液に着色剤を添加する方法、紙基材抄造後に着色剤を含有する水溶液(以下、クリア液と略称する。)で色付けして紙基材を作製する方法等が挙げられるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に前記方法に限定されない。また、クリア液を使用する場合には、カチオン性サイズ剤、界面活性剤の他に、本発明に影響を及ぼさない程度にバインダー、インク定着剤、防腐剤、ワックス、耐水化剤などを適宜選定して添加することができる。これらを添加する場所、方法については、特に限定されない。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
(実施例1)
(紙基材の作製)
LBKP100部(カナディアンスタンダードフリーネス:CSF=580ml)のパルプスラリーに、パルプに対し、カチオン澱粉1.0部、タルク5.0部、酸性ロジンサイズ剤0.2部、液体硫酸バンド1部を添加し調製した紙料を長網式抄紙機で抄紙し、抄紙した紙匹上に酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ社製)6%をサイズプレスによって乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるようにオンマシンで塗布し、更に前記紙匹上のインク受容層を塗工する面とは反対面に、ポリビニルアルコール0.1%(PVA−117、クラレ社製)、インク定着剤1.0%(パピオゲンP105、センカ社製)、顔料系着色剤0.5%(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を混合して得られたクリア液を乾燥塗布量0.05g/mとなるようにオンマシンで、エアーナイフコーターで塗布し、その後にエアドライヤーで熱風乾燥して坪量180g/mの紙基材を作製した。
(インク受容層の形成)
顔料として合成シリカ(ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)100質量部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部及びエチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−10:昭和高分子社製)40質量部、更にカチオン性ポリマー(パピオゲンP−105:センカ社製)30質量部、顔料系着色剤1.5質量部(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を用いて固形分濃度20質量%のインク受容層用塗工液を得た。続いて、このインク受容層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を設けた(このときのインク受容層中の着色剤の含有量は、83mg/mである。)。
(光沢発現層の形成)
次いで、光沢発現層塗工液の顔料として球状コロイダルシリカ(スノーテックス50、アニオン性、粒子径20〜30nm:日産化学工業社製)50質量部、球状コロイダルシリカが複数個パールネックレス状に連結した非球状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−M、アニオン性、1次粒子径18〜25nm、2次粒子径80〜150nm:日産化学工業社製)50質量部、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R1130:クラレ社製)6質量部及びアクリル樹脂(ビニブラン2684、ガラス転移温度20℃:日信化学社製)6質量部を用いて固形分20%の光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるようにインク受容層の上に塗工した。次いで、凝固剤としてホウ酸を1%及びホウ酸ナトリウムを1%、インク定着向上のためにカチオン性ポリマー(スミレーズレジン1001:住友化学工業社製)を1%含む水溶液を凝固液として絶乾塗布量1.5g/mとなるように更に塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、0mg/mである。)。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で紙基材を作製した。次いで、インク受容層の着色剤として顔料系着色剤1.0質量部(商品名:TB1100 Red FGN、大日精化社製)とした以外は実施例1と同様の方法でインク受容層を設けた(このときのインク受容層中の着色剤の含有量は、55mg/mである。)。次いで、光沢発現層用塗工液に光沢発現層の着色剤として顔料系着色剤0.5質量部(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を更に追加した以外は、実施例1と同様の方法で光沢発現層を設けて両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、44mg/mである。)。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で紙基材を作製した。次いで、インク受容層の着色剤として顔料系着色剤1.3質量部(商品名:TB1100 Red FGN、大日精化社製)とした以外は実施例1と同様の方法でインク受容層を設けた(このときのインク受容層中の着色剤の含有量は、72mg/mである。)。次いで、光沢発現層用塗工液に光沢発現層の着色剤として顔料系着色剤0.2質量部(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を更に追加した以外は実施例1と同様の方法で光沢発現層を設けて両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、18mg/mである。)。
(実施例4)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料としてアルミナ(PG−003、平均二次粒子径150nm、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)60質量部、気相法シリカ(レオロシールQS−102、平均二次粒子径160nm:トクヤマ社製)40質量部とした以外は実施例1に記載したとおりの条件で両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例5)
(紙基材の作製)
LBKP100部(カナディアンスタンダードフリーネス:CSF=580ml)のパルプスラリーに、パルプに対し、カチオン澱粉1.0部、タルク5.0部、酸性ロジンサイズ剤0.2部、液体硫酸バンド1部を添加し調製した紙料を長網式抄紙機で抄紙し、抄紙した紙匹上に酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ社製)6%をサイズプレスによって乾燥塗布量が片面当たり1.5g/m2となるようにオンマシンで塗布し、更に前記紙匹上のインク受容層を塗工する面とは反対面に、ポリビニルアルコール0.1%(PVA−117、クラレ社製)、インク定着剤1.0%(パピオゲンP105、センカ社製)、顔料系着色剤0.5%(TB510 Green B、大日精化社製)を混合して得られたクリア液を乾燥塗布量0.05g/mとなるようにオンマシンで、エアーナイフコーターで塗布し、その後にエアドライヤーで熱風乾燥して坪量180g/mの紙基材を作製した。
(インク受容層の形成)
顔料として合成シリカ(ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)100質量部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部及びエチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−10:昭和高分子社製)40質量部、更にカチオン性ポリマー(パピオゲンP−105:センカ社製)30質量部、顔料系着色剤1.5質量部(TB510 Green B、大日精化社製)を用いて固形分濃度20質量%のインク受容層用塗工液を得た。続いて、このインク受容層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工、乾燥してインク受容層を設けた(このときのインク受容層中の着色剤の含有量は、83mg/mである。)。
(光沢発現層の形成)
次いで、実施例1と同様の方法で光沢発現層を設けて両面が淡い緑色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、0mg/mである。)。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で紙基材を作製した。次いで、インク受容層中に着色剤を無添加とした以外は実施例1と同様の方法でインク受容層を設けた(このときのインク受容層中の着色剤の含有量は、0mg/mである。)。次いで、光沢発現層用塗工液に光沢発現層の着色剤として顔料系着色剤1.5質量部(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を更に追加した以外は実施例1と同様の方法で光沢発現層を設けて両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、132mg/mである。)。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で紙基材を作製した。次いで、インク受容層の着色剤として顔料系着色剤0.5質量部(商品名:TB1100 Red FGN、大日精化社製)とした以外は実施例1と同様の方法でインク受容層を設けた(このときのインク受容層中の着色剤の含有量は、28mg/mである。)。次いで、光沢発現層用塗工液に光沢発現層の着色剤として顔料系着色剤1.0質量部(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を更に追加した以外は実施例1と同様の方法で光沢発現層を設けて両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、88mg/mである。)。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で紙基材を作製した。次いで、インク受容層を設けずに、光沢発現層用塗工液に光沢発現層の着色剤として顔料系着色剤1.5質量部(TB1100 Red FGN、大日精化社製)を更に追加した以外は実施例1と同様の方法で光沢発現層を設けて両面が桃色の色付きインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中の着色剤の含有量は、132mg/mである。)。
得られたインクジェット記録用光沢紙について、次の試験を実施し、結果を表1に示した。
(1)光沢発現層表面の写像性:
得られたインクジェット記録用光沢紙の光沢発現層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定した。評価としては、写像性が50%以上は、反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れている。50%未満では、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣る。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
(2)画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−G820」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(3)インク吸収性:
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−G820」を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字並びにRGB(Red-Green-Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(4)色ムラ評価:
JIS P 8150:2004で規定する該表面の明度指数L、知覚色度指数a及びbから算出する方法を用いて、色付きインクジェット記録用光沢紙のインクジェット記録面の幅方向に5mm毎に10点測定し、その平均値を基準として各々10点のΔE(数1から求める。)をインクジェット記録面の10点について評価した。
Figure 0005451307
なお、各測定点10点の平均値をLx,ax,bxと表記する。また、各測定点での値をL,a,bと表記する。また、測定機器は、CR300(ミノルタ社製)を用い、C光源で測定した。前記色ムラ評価は、次に示す要領によって記述することにした。前記色ムラ評価は、次に示す要領によって記述することにした。
◎:ΔEが10測定点とも0.2未満(実用レベル)
○:ΔEが1測定点で0.2以上(実用レベル下限)
△:ΔEが2測定点以上で0.2以上(実用上問題あり)
×:ΔEが5測定点以上で0.2以上(実用上不可)
Figure 0005451307
表1から明らかなように、少なくとも紙基材とインク受容層の両方が着色剤を含有し、かつ、光沢発現層中の着色剤の含有量がインク受容層中の着色剤の含有量よりも少ない実施例1〜5はいずれも、インクジェット印字性能と光沢感を高いレベルで維持しながら色ムラが非常に少ないことが分かった。一方で比較例1〜2は、光沢発現層中の着色剤の含有量がインク受容層中の着色剤の含有量より多かったために色ムラが顕著になった。また、比較例3は光沢発現層中の着色剤の含有量が多く、インク受容層がなかったために色ムラが顕著になり、インクジェット印字性能に劣った。

Claims (7)

  1. 紙基材の片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層上に顔料及び結着剤を含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙において、
    該インクジェット記録用光沢紙は、白色とは異なる色の着色剤によって白色とは異なる色が両面に付いている両面とも白色基調ではない色付きインクジェット記録用光沢紙であり、
    少なくとも前記紙基材と前記インク受容層の両方が前記着色剤を含有し、かつ、前記光沢発現層中の着色剤の含有量が前記インク受容層中の着色剤の含有量よりも少なく、かつ、前記紙基材は、前記インク受容層が設けられた反対面に前記着色剤を含む液を塗布することによって色付けされていることを特徴とする色付きインクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記光沢発現層の着色剤の含有量が、該光沢発現層中の顔料100質量部に対して0.5質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の色付きインクジェット記録用光沢紙。
  3. 前記着色剤が顔料系着色剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の色付きインクジェット記録用光沢紙。
  4. 前記光沢発現層を形成するキャストコート方式が凝固法であり、前記光沢発現層が結着剤としてポリビニルアルコールを含有し、かつ、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はそれら両方を含有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の色付きインクジェット記録用光沢紙。
  5. 前記光沢発現層が、前記顔料として、平均二次粒子径が500nm以下であるシリカ若しくはアルミナのいずれか一方又はそれら両方を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の色付きインクジェット記録用光沢紙。
  6. 葉書用途の製品又は葉書状加工品であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の色付きインクジェット記録用光沢紙。
  7. 白色とは異なる色の着色剤によって白色とは異なる色が両面に付いている両面とも白色基調ではない色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法において、
    前記着色剤を添加したサイズプレス液によって紙基紙をサイズプレス処理するか、紙基材抄造後に前記着色剤を含有する水溶液を塗布するか、又は、これらを組み合わせることによって、紙基材に色付けする工程と、
    色付けした紙基紙の面の反対面に、前記着色剤を含有したインク受容層用塗工液を塗工して、1層以上のインク受容層を設ける工程と、
    顔料及び結着剤を含有し、かつ、前記着色剤を含有しないか又は前記着色剤の含有量が前記インク受容層用塗工液の着色剤の含有量よりも少ない光沢発現層用塗工液を前記インク受容層の上に塗工し、キャストコート法によって光沢発現層を設ける工程と、を有することを特徴とする色付きインクジェット記録用光沢紙の製造方法。
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