JP5439232B2 - インクジェット記録用光沢紙 - Google Patents

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本発明は、キャストコート法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、特に染料インク及び顔料インクに関して良好なインク吸収性と画像鮮明性をもちながら、銀塩写真並みの高光沢感を有し、更にプリンター搬送傷が発生しにくいインクジェット記録用光沢紙に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なく、ある程度の印字品質が期待できる。しかし、より高い印字品質を求める場合には、インクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録媒体としては、紙若しくはフィルムのいずれか一方又はその両方を支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット記録媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。光沢媒体の製法としては、一般的方法は、キャストコート法によってインク受容層を形成し表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法とがある。
後者の印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているため、インク受容層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク受容層表面も平滑で、光沢のある表面が形成しやすい。しかし、全体のコストは、インク吸収性をあげるために塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャストコート法による光沢媒体に比べ、高いものとなる。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができないといった問題点もあり、エコロジーの観点からは紙ベースでリサイクル可能なキャストコート法で製造された光沢媒体の方に優位性がある。
一方で、従来の主流であった染料着色剤を使用した染料インクだけでなく、耐水性、耐光性など保存性に優れた着色顔料を分散した顔料インクも使用されるようになっている。これら顔料インクで使用される着色顔料の平均粒子径は、おおよそ50〜100nmであって、染料着色剤分子の5〜10倍の大きさであるため、必然的に吸収速度も異なる。したがって、光沢媒体に両者のインク適性をもたせるためには、従来の染料インク専用の記録媒体とは異なるインク受容層の設計が必要である。
顔料インクは、染料インクと比較して吸収速度が遅いことから、塗工層に大きなひび割れが存在すると、顔料インクが下部に流れ込んで印字部が白ボケしてしまう。結果的に顔料インクの印字部の濃度が低下してしまう。故に顔料インク適性を有する塗工層を形成させるためには、第一に強固で、かつ、ひび割れを少なくする必要がある。
また、光沢媒体の表面には高いインク吸収性と同時に高い光沢性が必要であることから、光沢発現層に使用される顔料にはナノオーダーの高比表面積を有する極微細粒子が使用されることが多くなってきている。これら極微細粒子の例として気相法シリカが挙げられる。しかし、気相法シリカを光沢発現層の顔料として使用した場合、粒子同士の結合力の弱さに起因する塗工層強度の低下に伴い、光沢面のプリンター搬送傷が目立ちやすいといった問題点が出てきている。さらに、高比表面積性由来の高摩擦性が原因となり、プリンターの搬送ローラとの接触時に表面にかかる負荷が大きいため、前記プリンター搬送傷の発生を助長している。
強固でひび割れの少ない塗工層を有するインクジェット記録用光沢紙の提案として、例えば、塗工層に含有させるポリビニルアルコールの種類と架橋剤の種類とを限定して解決する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、染料インク及び顔料インク適性を有するインクジェット記録用光沢紙の提案として、例えば、光沢発現層の顔料として気相法シリカと二次粒子を有するコロイダルシリカとを使用して光沢度を高いレベルで調整するインクジェット記録用光沢紙が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
また、染料インク及び顔料インク適性を有するインクジェット記録用光沢紙の提案として、光沢発現層にノニオン系剥離剤、アニオン系剥離剤及び界面活性剤を含有させたインクジェット記録用紙が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2007−223119号公報 特開2005−212327号公報 特開2009−56675号公報
しかし、特許文献1に記載の技術の場合においては、染料インクの吸収及び発色に優れてはいるが、顔料インク適性と光沢面の耐傷性とを両立しているとはいえない。
また、特許文献2又は3に記載の技術の場合においては、高い光沢感を有しており、かつ、染料インク及び顔料インク適性に優れている一方で、前述した原因によってプリンター搬送時に光沢面に傷が発生するという問題がある。
このように特許文献1、2又は3に記載のインクジェット記録用光沢紙は、光沢感が非常に優れているという特長をもつが、光沢感に優れているが故に光沢発現層表面に傷が入りやすい(目立ちやすい)という欠点をもつ。
本発明者らによる光沢発現層表面の耐傷性に関する研究結果から、前記各提案内容では、染料インク及び顔料インク適性と光沢発現層表面の耐傷性とを両立することは困難であるとの結論に至った。このような現状を鑑みると、キャストコート法によって製造するインクジェット記録用光沢紙において、染料インク及び顔料インク適性をもち、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造されたインクジェット記録媒体を超える画質と均一な光沢感を有し、かつ、非常に優れた光沢発現層表面の耐傷性を併せもつインクジェット記録媒体は全くないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、キャストコート法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、染料インク及び顔料インク適性をもちながら、銀塩写真並みの高光沢感を有し、更に光沢発現層表面の耐傷性にも極めて優れ、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造したインクジェット記録媒体に匹敵する画質と均一な光沢感とを有し、かつ、リサイクル可能なインクジェット記録媒体を提供することである。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙であって、前記光沢発現層が、前記顔料としてBET比表面積が200〜400m/gである気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとを含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有し、かつ、潤滑剤として高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有することを特徴とする。光沢発現層が、顔料として更に球状コロイダルシリカを含有することで、プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付きをより低減させることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記ジルコニウム化合物の含有量が、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対してZrO換算で0.10〜10.0質量部であることが好ましい。染料インク及び顔料インク適性をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層が、結着剤として更にカチオン性ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。染料インク及び顔料インク適性をより優れたものにすることが可能となる。さらに、光沢発現層表面の光沢感をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層を形成するキャストコート法が凝固法であり、かつ、凝固液が、高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有していることが好ましい。光沢発現層表面の潤滑性により優れ、プリンター搬送傷を低減させることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記高級脂肪酸塩は、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、オレイン酸塩のうち、いずれか1種以上であることが好ましい。光沢発現層表面の潤滑性により優れ、プリンター搬送傷を低減させることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記凝固液は、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方を含有することが好ましい。光沢発現層表面の光沢感をより優れたものにすることが可能となる。
本発明のインクジェット記録用光沢紙は、キャストコート法で製造されたインクジェット記録用光沢紙でありながら、非常に良好な表面光沢感、染料インク及び顔料インクのインク適性(吸収性、画像鮮明性)と光沢発現層表面の耐傷性とを高いレベルで両立している。また、本発明では、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストも低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり、資源の有効利用という観点からも好ましい。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙であって、前記光沢発現層が、前記顔料としてBET比表面積が200〜400m/gである気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとを含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有し、かつ、潤滑剤として高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有する。
キャストコート法によるインクジェット記録用光沢紙の光沢発現層に通常用いられる顔料としては、球状コロイダルシリカ、複数個の球状コロイダルシリカが連結した非球状コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナなどが挙げられる。
球状コロイダルシリカは、材質として硬度が高く、耐傷性の強い表面を形成できる。反面、粒子そのものに空隙を有しないために光沢発現層を形成したときに、インク吸収性及び画像鮮明性が比較的悪い傾向にある。
複数個の球状コロイダルシリカが連結した非球状コロイダルシリカは、複数個の球状コロイダルシリカがランダムに連結した非球状コロイダルシリカ、複数個の球状コロイダルシリカがパールネックレス状に連結した非球状コロイダルシリカなどが知られている。
本発明者らの光沢発現層の耐傷性に関する研究の結果、球状コロイダルシリカに比べ、非球状コロイダルシリカは、その幾何学的形状から成膜時の空隙が形成しやすく、インク吸収性に優れる一方で、成膜時の多孔質性が故に塑性変形及び割れが起こりやすく、耐傷性に極めて優れる表面性を有するという目的を達成するには不満足な点があることが判明した。また、球状コロイダルシリカよりも光沢発現層表面の摩擦係数が上がりやすいということも耐傷性にとっての短所となっていることが判明した。
また、気相法シリカについては、その極めて高い比表面積性を有することに由来するインク吸収の良さからインクジェット記録用光沢紙で一般的に使用される顔料であり、特に顔料インク適性に優れているが、これも非球状コロイダルシリカと同様の理由で高い耐傷性をもたせることが極めて困難である。また、光沢発現層表面の摩擦係数が上がりやすいということも耐傷性にとっての短所となっている。総じて、非球状コロイダルシリカと比較すると、更に成膜時の空隙が形成されやすいため、光沢発現層表面の塑性変形及び割れがより起こりやすく、より耐傷性に劣る傾向にある。また、非球状コロイダルシリカと比較すると、更に光沢発現層表面の摩擦係数が上がりやすいということからもより耐傷性に劣る傾向にある。
また、アルミナについても、インク吸収性及び光沢感に優れ、特に顔料インク適性に優れていることから極めてよく使用される顔料であるが、気相法シリカと同様、材質由来の理由で高い耐傷性をもたせることが極めて困難であるという結果である。また、光沢発現層表面の摩擦係数が上がりやすいということも耐傷性にとっての短所となっている。総じて、非球状コロイダルシリカと比較すると、更に成膜時の空隙が形成されやすいため、光沢発現層表面の塑性変形及び割れがより起こりやすく、より耐傷性に劣る傾向にある。また、非球状コロイダルシリカと比較すると、更に光沢発現層表面の摩擦係数が上がりやすいということから、より耐傷性に劣る傾向にある。また、シリカ系顔料と比較すると、高価であることも短所といえる。
前記研究結果によって、顔料についての性質を鑑みると、耐傷性が真に優れたインクジェット記録用光沢紙を得ようとする場合は、光沢発現層の顔料として使用できるのは球状コロイダルシリカに限定されるが、前述したようにインク吸収性及び画像鮮明性に難があり、特に顔料インク適性が全くないために染料インク及び顔料インク適性と表面耐傷性とを高いレベルでのバランスを取ろうとするには技術的課題が多く残っていた。
前述したように、染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性とを優れたものにするためには、比較的耐傷性が低い顔料を使用せざるを得ず、それらの顔料を使用した場合には摩擦抵抗が比較的大きくなるという現象があり、光沢発現層の破壊が極力発生しにくい状態を維持しつつ摩擦抵抗を軽減させることが技術的課題として残っている。
また、いわゆるマット調インクジェット記録媒体と比較して、銀塩写真代替を狙った光沢発現層を有するインクジェット記録用光沢紙の方の摩擦抵抗が顕著に悪い。この理由は、次のように推察される。すなわち、光沢発現層に使用される顔料は、いわゆるマット調インクジェット記録用紙に使用される顔料よりも小粒子径であることが多いため、必然的に表面が高平滑、かつ、高光沢になり、真実接触面積が増大する。その結果として摩擦抵抗が増加するものである。よって、この表面の耐傷性問題については、光沢発現層を有するインクジェット記録用紙の方が、その他のインクジェット記録用紙よりも深刻であるといえる。
本実施形態においては、前記目的を達成するために光沢発現層の顔料としてBET比表面積が200〜400m/gである気相法シリカを含有させる必要がある。
本実施形態で使用される気相法シリカは、乾式法シリカ又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、原料の四塩化ケイ素供給などの条件を変更することによって得られる。本実施形態では、気相法シリカの平均一次粒子径は、5〜30nmが好ましい。より好ましくは、6〜25nmであり、特に好ましくは、7〜20nmである。5nm未満では、インク吸収性に劣る場合がある。逆に、30nmを超えると、平滑性が劣り、摩擦抵抗が大きくなるため、耐傷性に劣る場合がある。
本実施形態で使用する気相法シリカのBET比表面積は、200〜400m/gである。より好ましくは、220〜380m/gであり、特に好ましくは、250〜350m/gである。比表面積が200m/g未満では、顔料インクの画像鮮明性に劣る。比表面積が400m/gを超えると、塗工液の安定性が劣る傾向にあり、塗工性に劣る。ここで、BET比表面積は、BET法によって求めた比表面積である。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料のもつ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ比表面積の決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を乗じて、総表面積が得られる。この総表面積を試料の質量で除して、BET比表面積を求めることができる。
本実施形態では、光沢発現層は、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度78〜95mol%のいわゆる部分鹸化ポリビニルアルコールとを含有する。
光沢発現層の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを必須成分とする。光沢発現層の塑性変形を極小に抑えるためには、光沢発現層中の結着剤成分、すなわち樹脂成分をできるだけ増やし、弾力性を増す必要がある。本発明者らの鋭意検討の結果、塗工層の塑性変形を極小に抑えるにはポリビニルアルコールが最も効果がある樹脂であることが判明したが、通常の無変性ポリビニルアルコールだけでは成膜性が強すぎてインク吸収性が低下する場合がある。シラノール変性ポリビニルアルコールは、シラノール基を有するために無機物に対する接着性が極めて高い。そのために凝固力が強く、添加量が比較的少量であっても塗工膜が強固になり、かつ、インク吸収性に優れる傾向がある。前記した耐傷性が弱い顔料を光沢発現層に用いた場合でも、耐傷性とインク吸収性とを高いレベルで両立することが可能である。本実施形態で使用するシラノール変性ポリビニルアルコールの変性度及び重合度は、適宜選択することができる。本実施形態においては、シラノール変性ポリビニルアルコールの添加量が、光沢発現層中の顔料100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。1質量部未満では、光沢発現層の耐傷性が劣る場合があり、添加量が10質量部を超えると、インク吸収性に劣る場合がある。また、塗工液の安定性が劣る傾向にあるため、塗工性に問題が発生する場合がある。シラノール変性ポリビニルアルコールの添加部数は、インク吸収性と光沢発現層表面の耐傷性のバランスから考慮すると、より好ましくは2〜8質量部である。
また、光沢発現層に含有される結着剤として、更に鹸化度78〜95mol%の、いわゆる部分鹸化ポリビニルアルコールを必須成分とする。鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールを必須成分とすることで、塗工層のひび割れを低減させ、顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることが可能である。鹸化度は、より好ましくは、80〜92mol%であり、特に好ましくは、82〜90mol%である。鹸化度が78mol%未満では、塗工層の成膜性が強すぎて染料インクの吸収性が悪化する。また、鹸化度が95mol%を超える場合は、塗工層のひび割れが大きすぎて顔料インクの画像鮮明性が悪化する。本実施形態においては、この部分鹸化ポリビニルアルコールの添加量は、光沢発現層中の顔料100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。より好ましくは、2〜15質量部である。1質量部未満では、光沢発現層の耐傷性が劣る場合がある。逆に、添加量が20質量部を超えると、インク吸収性に劣る場合がある。また、塗工液の安定性が劣る傾向にあって塗工性に問題が発生する場合がある。
さらに、本実施形態においては、ジルコニウム化合物を必須成分とする。ジルコニウム化合物は、ポリビニルアルコールの架橋剤としての役割をもつ。ジルコニウム化合物は、光沢発現層中に結着剤として含有されているポリビニルアルコール分子を架橋して網目構造を形成するため塗工層の表面強度が強くなる。結果として耐傷性が向上する。さらに、ひび割れが少なくなるため顔料インクの画像鮮明性が向上する。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記ジルコニウム化合物は、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムのいずれか1種又は2種以上を配合して使用することが好ましい。光沢発現層の表面強度が向上し、光沢層表面の耐傷性がより優れる。また、これらを主成分とする薬剤も、本実施形態で好ましく用いられる。前記以外のジルコニウム化合物としては、例えば、塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、リン酸ジルコニウム、リン酸ナトリウムジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酸塩化ジルコニウムが挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用又は2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、ジルコニウム化合物の含有量は、光沢発現層に含有される顔料100質量部に対してZrO換算で0.10〜10.0質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.50〜5.00質量部であり、特に好ましくは、1.00〜3.00質量部である。ジルコニウム化合物の含有量が0.10質量部未満では、光沢発現層の表面強度が不足し、耐傷性の改善効果に乏しい場合がある。逆に、10.0質量部を超えると、インク吸収性に弊害をもたらす場合がある。
また、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層が、結着剤として更にカチオン性ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。染料インク及び顔料インク適性と光沢面の光沢感とにより優れたインクジェット記録用光沢紙とすることができる。本実施形態で用いるポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとポリエーテル、ポリエステルなどのポリオール成分との反応によって得られるポリマーであり、分子中にウレタン基を有する。本実施形態では、ウレタン基の他にビュレット基、ウレア基、アロファネート基などの官能基を有する変性ポリウレタン樹脂を包含する。中でもポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂は、光沢感をより高めることができる点で更に好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、自己乳化型ポリウレタン樹脂と乳化剤を使用し機械的に分散して得られるポリウレタン樹脂とがある。本実施形態では、自己乳化型ポリウレタン樹脂を用いることがより好ましい。自己乳化型の方が、粒子径の小さく均一なものが得られるため、より高い光沢感を得ることができる。また、自己乳化型ポリウレタン樹脂に導入される親水基としてアミノ基などを導入したカチオン性ポリウレタン樹脂が好適に用いられる。カチオン性であることによって、カチオン性の無機顔料、カチオン性樹脂などの光沢発現層に含有されるカチオン性の助剤との混和性に優れ、耐水性にも優れる。カチオン性ポリウレタン樹脂の含有量は、光沢発現層中の顔料100質量部に対して1〜20質量部が好ましい。より好ましくは、5〜18質量部である。1質量部未満では、光沢感に劣る場合がある。逆に、20質量部を超えると、インク吸収性に劣る場合がある。また、カチオン性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度については特に限定されない。
また、本実施形態においては、前記目的を達成するために光沢発現層に潤滑剤(lubricant)を含有させることが好ましい。ここで、潤滑剤とは、接触部の減摩作用を施す物質のことをいう。潤滑剤の例として、液状潤滑剤、液状潤滑剤の固化物、固体潤滑剤などが挙げられる。光沢発現層に潤滑剤を含有させる方法としては、(1)光沢発現層の塗工液中に含有させて塗工する方法、(2)光沢発現層を塗工した後に潤滑剤を含む処理液を塗工する方法がある。本実施形態においては、光沢発現層に潤滑剤を含有させるタイミング及び方法を限定せず、(1)の方法若しくは(2)の方法のいずれか一方又は両方の方法で実施してもかまわない。ただし、(2)の方法の方が、光沢発現層表面に更なる減摩作用が施されるのでより好ましい。また、本実施形態においては、光沢発現層には潤滑剤として高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有することが好ましい。高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを併用することによって、更なる減摩作用が得られ、耐傷性を高めることができる。
高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ミリスチン酸塩がある。さらに、これらのナトリウム塩、カリウム塩、所謂石鹸を含む。また、ラウリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウムである。この中で、本実施形態では、光沢発現層に、高級脂肪酸塩としてラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、オレイン酸塩のうち、いずれか1種以上を含有させることが好ましい。前記高級脂肪酸塩を含有させることによって、より光沢発現層表面の潤滑性に優れ、摩擦係数が低減してプリンター搬送傷を低減することが可能となる。
ポリエチレンエマルジョンは、例えば、高密度ポリエチレンのエマルジョン、低密度ポリエチレンのエマルジョンである。本実施形態では、ポリエチレンエマルジョンの種類及び製法に限定されるものではないが、融点は70〜120℃であることが好ましく、より好ましくは、80〜110℃である。70℃未満では、耐傷性に劣る場合があり、120℃を超えると、顔料インクの画像鮮明性に場合がある。ポリエチレンエマルジョンの平均一次粒子径は、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、で20〜300nmある。
高級脂肪酸塩は、光沢発現層の全顔料に対して、乾燥質量で0.005〜20.000質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.010〜10.000質量%である。0.005質量%未満では、減摩作用が小さい場合があり、20.000質量%を超えると、写像性に劣る場合がある。また、ポリエチレンエマルジョンは、光沢発現層の全顔料に対して、乾燥質量で0.005〜20.000質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.010〜10.000質量%である。0.005質量%未満では、減摩作用が小さい場合があり、20.000質量%を超えると、インク吸収性に劣る場合がある。また、透気性に劣り、キャストコート処理に適さない場合がある。そして、高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとの質量比は、99/1〜1/99とすることが好ましい。より好ましくは、95/5〜5/95である。高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンについては、それぞれ複数種を使用してもかまわない。
さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、次に列挙するその他の潤滑剤を併用してもかまわない。その他の潤滑剤の種類としては、例えば、界面活性剤、ワックス、有機ケイ素化合物が挙げられる。次に、それぞれの潤滑剤について詳細に説明する。
界面活性剤としては、親水性部分のイオン性がカチオン性、アニオン性、両性、ノニオン性のうち、いずれも使用することが可能である。また、次にそれぞれ例示するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に例示した界面活性剤に限定されない。カチオン性のものについては、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩系を例示することができる。アニオン性のものについては、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩を例示することができる。なお、本実施形態において、必須の薬剤である前記の高級脂肪酸塩もアニオン性である。両性のものについては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインを例示することができる。ノニオン性のものについては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルを例示することができる。また、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤も適宜使用することも可能である。また、各種界面活性剤によって表面張力が異なるが、必ずしも表面張力と減摩効果に相関関係が認められないため、適宜所望の減摩効果に応じて界面活性剤及びその併用比率を選定することが好ましい。
ワックスとしては、植物性ワックス、動物性ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、炭化水素系合成ワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油などの合成ワックス、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン重合体などの脂肪族炭化水素又はその誘導体の中から適宜選択することができるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
有機ケイ素化合物としては、ポリアルキルシロキサン又はその誘導体、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、カルボキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルなどの低分子又は高分子シリコーンオイル、シリコーンゴムなどの中から適宜選択することができるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層を形成するキャストコート法が凝固法であり、かつ、凝固液が、高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有していることが好ましい。より光沢発現層表面の潤滑性に優れ、プリンター搬送傷を低減させることが可能となる。
本実施形態において、光沢発現層に含有させる顔料として気相法シリカを必須成分とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の顔料を併用することができる。その他の顔料とは、例えば、球状コロイダルシリカ、非球状コロイダルシリカ、合成非晶質シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイトである。このようにその他の顔料を併用する場合には、光沢発現層の全顔料のうち、気相法シリカの含有量は乾燥質量で30質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、45質量%以上である。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層の顔料として気相法シリカと球状コロイダルシリカとを併用することがより好ましい。プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付きをより低減させることが可能となる。球状コロイダルシリカと気相法シリカとの質量比は、20/80〜70/30であることが好ましい。より好ましくは、30/70〜60/40であり、特に好ましくは、35/65〜55/45である。球状コロイダルシリカと気相法シリカとの質量比が70/30を超えると、顔料インクの画像鮮明性に劣る場合があり、20/80未満では、光沢発現層の強度が低下し、かつ、摩擦係数が高くなるために、光沢発現層表面の耐傷性に劣る場合がある。
球状コロイダルシリカは、単分散微粒子であり、粒子径がほぼ単一に揃っており、かつ、凝集もしていないことが好ましい。ここで、単分散とは、粒度分布がシャープで、粒子が凝集せずに個々に分散した一次粒子として存在する状態を意味する。そして、球状とは、球状に近い形状を包含し、好ましくは真球を意味する。球状コロイダルシリカの平均粒子径は、50〜300nmであることが好ましい。より好ましくは、60〜200nmであり、特に好ましくは、70〜180nmである。球状コロイダルシリカの粒子径が50nm未満では、塗工膜表面が脆くなり、かつ、摩擦係数が大きくなるために耐傷性に劣る。逆に、粒子径が300nmを超える場合は、塗工膜の成膜性が良好すぎるために顔料インクのインク吸収性に劣る。また、本実施形態では、球状コロイダルシリカは、前記粒子径の範囲内であれば、粒子径が異なるものを複数種配合して使用することが可能である。また、本実施形態に用いる球状コロイダルシリカは、前記粒子径の範囲内であれば、いかなる製法のものでも使用してかまわない。球状コロイダルシリカの粒子径は、主として動的光散乱法(例えば、大塚電子社製、DLS−6500)で求めることが可能であり、又は、高倍率観察が可能なフィールドエミッション型の電子顕微鏡で直接観察して求めることも可能である。
本実施形態において、光沢発現層に含有させる結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとを必須成分とし、更にカチオン性ポリウレタンを含有させることが好ましいことを説明したが、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の結着剤を併用することができる。併用することができる結着剤は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリル樹脂の複合体樹脂が例示される。これらは、単独又は併用して用いることができる。光沢発現層中に含有される全結着剤の添加量の合計は、インクジェット記録媒体の印字適性、光沢発現層の強度、表面光沢感、塗工液の液性などを考慮して決定される。通常、顔料100質量部に対して、1〜100質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜60質量部程度の範囲で添加され、更に好ましくは10〜50質量部である。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
また更に、光沢発現層には、インクジェット記録用インクを定着させるためのインク定着剤としてカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。また、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種助剤を適宜選定して添加することができる。
光沢発現層は、前記顔料、結着剤など光沢発現層に含有される各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整した光沢発現層用塗工液を塗工後、キャストコート法によって設ける。光沢発現層用塗工液の塗工方法としては、エアナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、固形分換算で3〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは5〜15g/mの範囲である。塗工量が20g/mを超えると、生産性が劣る場合があり、塗工量が3g/m未満では、十分な光沢面が得られない場合がある。
さらに、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」による光学くし幅2mm入反射角度60°による条件の光沢発現層の写像性が50%以上であることが光沢感の観点から好ましい。さらに好ましくは、写像性が55%以上である。写像性が60%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
光沢発現層は、公知のキャストコート法によって形成する。キャストコート法には、ウェット法、凝固法、リウェット法が知られており、本実施形態においては凝固法であることが好ましい。凝固法は、光沢発現層を塗工し、得られた塗工面が湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理し、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧着して乾燥して形成する方法である。ここで、凝固液とは、凝固剤の水溶液をいう。凝固剤は、塗工層の結着剤成分と効果的に凝固するものを選定することが重要であり、本実施形態においてはホウ素化合物が好ましい。より好ましくは、ホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方である。より均一な光沢面を得ることができる。また、凝固液の濃度は、0.1質量%以上であることが好ましい。0.1質量%未満の場合には、凝固力が不足することがある。より好ましくは、0.5質量%以上である。1.0質量%以上とすることで、凝固力がより強くなり、耐傷性をより良化することができるため、特に好ましい。なお、凝固液の濃度の上限値は、作業性及びコストの点から10質量%とすることが好ましい。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤に対して5質量%以上が好ましい。より好ましくは、10質量%以上である。5質量%未満の場合は、表面強度が低下する心配がある。本実施形態において、凝固しうる結着剤は、シラノール変性ポリビニルアルコール及び鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールである。凝固しうる結着剤に対する凝固剤の含有量の上限値は、1000質量%である。1000質量%を超えると、結着剤に対して凝固剤が過剰となり、不経済である。
また、凝固液に高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有させることが好ましい。より光沢発現層表面の潤滑性に優れ、プリンター搬送傷を低減させることが可能となる。凝固法は、前述のとおり耐傷性をより高めることができ、また、凝固液に潤滑剤を含有させることで、新たな工程を増やすことなく、経済的に有利に光沢発現層に潤滑剤を含有させることができる。さらに、凝固液にインクを定着させるためのカチオン性ポリマーを添加することも可能である。また、光沢発現層の塗工から凝固液を塗布するまでの時間、凝固液を塗布してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着するときの圧力又はライン速度を調整することによって、光沢発現層の光沢度をより高めることができる。これらの諸条件については、使用する設備、塗布液(凝固液)に応じて最適条件を求めることで適性化する必要がある。
また、キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよいし、カール調整のため、光沢発現層の裏面に水、カール調整剤などを塗工したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本実施形態のインクジェット記録用光沢紙は、光沢発現層の下に1層以上のインク受容層を設けることが経済性及びインク吸収性の観点から必要である。インク受容層は、白色顔料と結着剤成分とを主成分とすることが好ましい。
インク受容層に用いる顔料としては、本実施形態では特に限定されず、公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナなどの白色無機顔料、アクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が挙げられる。この中で、インク吸収性の点から、合成シリカを用いることが特に好ましい。また、これらの顔料は、単独又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。
インク受容層に含有させる結着剤は、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体などのアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス類が例示され、単独又は併用して用いられる。特に、ポリビニルアルコールとエチレン−酢酸ビニル共重合体とを併用することが好ましい。結着剤の使用量は、インクジェット記録媒体の印字適性、インク受容層の強度、塗工液の特性を考慮して決定される。通常、顔料100質量部に対して、1〜200質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜100質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、塗工層強度が低下する場合がある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下する場合がある。
インク受容層には、前記顔料及び前記結着剤以外にカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーの作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応することによって水に不溶な塩を形成することから、染料インクをインク受容層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。このようなカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類などが用いられる。添加量は、特に限定されないが、顔料100質量部に対して、1〜50質量部の範囲で使用される。好ましくは、5〜40質量部程度の範囲で添加される。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下する場合がある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣る場合がある。
その他の助剤としては、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加・使用できる。
インク受容層は、前記の顔料、結着剤などインク受容層に含有される各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整したインク受容層用塗工液を塗工後、乾燥して設けることができる。インク受容層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。塗工量は、特に限定されないが、5〜20g/mとすることが好ましい。より好ましくは、6〜15g/mである。5g/m未満では、インク吸収性が劣る場合があり、20g/mを超えると、光沢発現層塗工時にバインダーマイグレーションが発生し、光沢発現層表面の耐傷性が低下する場合がある。また、インク受容層を形成する塗工液を2回以上塗工して、インク受容層を2層以上で構成してもよい。
塗工後の乾燥方式としては、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本実施形態においては特に限定されない。
必要に応じてインク受容層の乾燥後に一定の平滑性を出すために、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することが可能である。
インク受容層及び光沢発現層は、紙基材の片面だけでなく、両面に設けてもよい。両面印刷用インクジェット記録用光沢紙とすることができる。
本実施形態で使用する透気性を有する紙基材としては、上質紙、中質紙、白板紙などを用いることができる。また、酸性紙又は中性紙を使用してもよい。ただし、保存時の耐変色性に優れている傾向があることから、酸性紙を使用することがより好ましい。ここで、酸性紙とは、タルク、カオリンクレーなどの填料と硫酸バンドなどの酸性薬品とを添加して抄紙した紙をいう。硫酸バンドを例にすれば、それが紙の中で水分と反応して硫酸を生じ、紙を酸性にすることによる。また、燃料としてリサイクルされる場合を考慮し、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。
パルプは、適切な叩解度を有する紙料とする。適切な叩解度は、例えば、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜600mlCSFである。紙料には、填料を含有させることが好ましい。使用する填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、ベントナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの公知の填料を使用することが可能である。
また、紙料中には、前記パルプ、填料以外にも公知の紙力剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料などの各種抄紙用薬品を適宜用いることができる。各紙料の調成方法、配合、各抄紙薬品の添加方法については、本実施形態の効果を損なうものでなければ特に限定されない。また、前記紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの公知の抄紙機を適用して単層又は多層で抄造することも可能である。
また、光沢発現層用塗工液の過度の浸透を抑えるために、紙基材には、サイズプレスなどで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を塗布することが好ましい。
紙基材の厚さは、本実施形態では特に限定されないが、100〜360μmであることが好ましい。より好ましくは、120〜340μmである。また、坪量は、100〜300g/mであることが好ましく、より好ましくは、120〜280g/mである。
このようにして製造された紙基材に直接インク受容層を設けてもよいが、本実施形態では、紙基材の表面を平滑化する目的で、予めマシンカレンダー、ソフトカレンダー、ラスターなどの処理を施すのが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
(実施例1)
(紙基材の形成)
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度520mlCSF)100部に対して、乾燥質量でグラフト化澱粉(DG4204、グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体:星光PMC社製)1.00部と、酸性ロジンサイズ剤0.20部と、液体硫酸バンド1.00部と、灰分5%になるように添加量を調整したタルク(タルクNTL:日本タルク社製)と、を配合して紙料を得た。この紙料を長網抄紙機にて抄造し、紙匹を得た。その後、サイズ液として酸化澱粉(型番MS#3800:日本食品化工社製)を前記紙匹の両面に乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、坪量180g/mの上質紙をインクジェット用紙基材とした。
(インク受容層の形成)
顔料として合成シリカ(ニップジェルBY−001:東ソー・シリカ社製)100部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10.0部と、エチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−10:昭和高分子社製)45.0部と、カチオン性ポリマー(ジェットフィックス110:里田化工社製)20.0部とを配合し、工業用水で固形分濃度22%に調整してインク受容層用塗工液を得た。このインク受容層用塗工液をエアナイフコーターで絶乾塗工量12g/mとなるように前記紙基材の片面に塗工・乾燥してインク受容層を形成した。
(光沢発現層の形成)
次いで、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−30、BET比表面積300m/g:トクヤマ社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部と、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部と、インク定着剤としてカチオン性ポリマー(スミレーズレジン1001:住友化学工業社製)10.0部と、結着剤の架橋剤としてヒドロキシ塩化ジルコニウム(ジルコゾールZC−2:第一稀元素化学工業社製)5.00部(ZrO換算)とを配合し、工業用水で固形分濃度20%に調整して光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液をエアナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように前記基紙のインク受容層形成面に塗工し、次いで、凝固剤としてホウ酸を1%及びホウ酸ナトリウムを1%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるオレイン酸カリウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20、融点105℃:大京化学社製)0.1%と、を含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.2%)としてディップコーターで絶乾塗布量1.0g/mとなるように塗布して凝固処理を行った後、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−102、BET比表面積200m/g:トクヤマ社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−40、BET比表面積380m/g:トクヤマ社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−420、鹸化度78mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−617、鹸化度95mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性アクリル樹脂(ビニブラン2580:日信化学工業社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例7)
実施例1において、結着剤の架橋剤としてヒドロキシ塩化ジルコニウム(ジルコゾールZC−2:第一稀元素化学工業社製)0.10部(ZrO換算)とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例8)
実施例1において、結着剤の架橋剤としてヒドロキシ塩化ジルコニウム(ジルコゾールZC−2:第一稀元素化学工業社製)10.0部(ZrO換算)とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例9)
実施例1において、結着剤の架橋剤として硝酸ジルコニウム(ジルコゾールZN:第一稀元素化学工業社製)5.00部(ZrO換算)とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例10)
実施例1において、結着剤の架橋剤として酢酸ジルコニウム(日本軽金属社製)5.00部(ZrO換算)とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例11)
実施例1において、凝固剤としてホウ酸を1%及びホウ酸ナトリウムを1%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるオレイン酸アンモニウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20、融点105℃:大京化学社製)0.1%と、を含む水溶液を凝固液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例12)
実施例1において、凝固剤としてホウ酸1%及びホウ酸ナトリウム1%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20、融点105℃:大京化学社製)0.1%と、を含む水溶液を凝固液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例13)
実施例1において、凝固剤としてホウ酸1%及びホウ酸ナトリウム1%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるパルミチン酸カリウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20、融点105℃:大京化学社製)0.1%と、を含む水溶液を凝固液とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例14)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−30、BET比表面積300m/g:トクヤマ社製)40.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)60.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
参考例15)
実施例1において、凝固液に潤滑剤としての高級脂肪酸塩及びポリエチレンエマルジョンを無添加とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
参考例16)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−30、BET比表面積300m/g:トクヤマ社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例1)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(PVA−117、鹸化度98mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例2)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−10、BET比表面積140m/g:トクヤマ社製)70.0部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)30.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例3)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてポリビニルアルコール(PVA−117、鹸化度98mol%:クラレ社製)10.0部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例4)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)10.0部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例5)
実施例3において、光沢発現層塗工液の結着剤の架橋剤としてのジルコニウム化合物を無添加とした以外は、実施例3に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例6)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例7)
実施例1において、光沢発現層用塗工液に含有させる顔料として、球状コロイダルシリカが複数個パールネックレス状に連結した非球状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−MO、1次粒子径18〜25nm、2次粒子径80〜150nm:日産化学工業社製)100部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例8)
実施例1において、光沢発現層塗工液の結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5.00部と、ポリビニルアルコール(型番PVA−505、鹸化度73mol%:クラレ社製)5.00部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10.0部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
得られたインクジェット記録用光沢紙について、次の方法によって評価を行った。結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示した。
Figure 0005439232
Figure 0005439232
(1)光沢発現層表面の写像性(写像性):
得られたインクジェット記録用紙の光沢発現層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定した。評価としては、次のとおりである。
写像性が50%以上:反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れ、実用できる。
写像性が50%未満:反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、光沢紙として実用上問題がある。
(2)染料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(3)染料インクの吸収性:
セイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、CMYKの各インク並びにRGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(4)顔料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−5800」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(5)顔料インクの吸収性:
セイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−5800」を用い、CMYKの各インク並びにRGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(6)光沢発現層表面の耐傷性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、得られたインクジェット記録用紙に印字したときの、光沢発現層表面の擦り傷の度合いを目視評価した。
◎:擦り傷が全く無く良好であり、実用できる。
○:擦り傷が僅かに認められるが目立たず、実用できる。
△:擦り傷が明らかに認められ、実用上問題がある。
×:擦り傷が著しく認められ、実用上不可。
表1から明らかなように、実施例1〜16は、比較例1〜8に比べて染料インク及び顔料インクのインク吸収性及び画像鮮明性に優れ、かつ、光沢発現層表面の光沢感に優れていた。さらに、光沢発現層の耐傷性に優れていた。
比較例1は、鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールが光沢発現層に含まれなかったために顔料インクの画像鮮明性に劣った。比較例2は、光沢発現層の顔料である気相法シリカのBET比表面積が200m/g未満であったために顔料インクの画像鮮明性に劣った。比較例3は、鹸化度78〜95mol%のポリビニルアルコールとシラノール変性ポリビニルアルコールとが光沢発現層に含まれなかったために顔料インクの画像鮮明性及び光沢発現層の耐傷性に劣った。比較例4は、シラノール変性ポリビニルアルコールが光沢発現層に含まれていないために光沢発現層の耐傷性に劣った。比較例5は、ジルコニウム化合物が光沢発現層に含まれていないために顔料インクの画像鮮明性が僅かに落ち、光沢発現層の耐傷性に劣った。比較例6及び7は、気相法シリカが光沢発現層に含まれていないために顔料インクの画像鮮明性及びインク吸収性に劣った。比較例8は、ポリビニルアルコールの鹸化度が78mol%未満であったために染料インクの吸収性に劣った。

Claims (6)

  1. 紙基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に、顔料と結着剤とを含有する光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙であって、
    前記光沢発現層が、前記顔料としてBET比表面積が200〜400m/gである気相法シリカと球状コロイダルシリカとだけを含有し、
    球状コロイダルシリカの含有量が、気相法シリカ及び球状コロイダルシリカの合計質量100質量部に対して、20〜70質量部であり、
    かつ、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールと鹸化度が78〜95mol%であるポリビニルアルコールとを含有し、
    かつ、ジルコニウム化合物を含有し、
    かつ、潤滑剤として高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有することを特徴とするインクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記ジルコニウム化合物の含有量が、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対してZrO換算で0.10〜10.0質量部であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  3. 前記光沢発現層が、結着剤として更にカチオン性ポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  4. 前記光沢発現層を形成するキャストコート法が凝固法であり、かつ、凝固液が、高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとを含有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のインクジェット記録用光沢紙。
  5. 前記高級脂肪酸塩は、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、オレイン酸塩のうち、いずれか1種以上であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  6. 前記凝固液は、凝固剤としてホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸のいずれか一方又はその両方を含有することを特徴とする請求項4又は5に記載のインクジェット記録用光沢紙。
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