JP2011230400A - インクジェット記録用光沢紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、キャストコート法による良好な染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感を有し、かつ、リサイクル可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に2層以上のインク吸収層が設けられ、インク吸収層の最表層が光沢発現層であり、光沢発現層の下側の残りのインク吸収層がアンダー層であり、かつ、光沢発現層がキャストコート法によって設けられており、インク吸収層の合計の塗工量が10〜30g/mであり、インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線の極大値が少なくとも25〜50nmに存在し、かつ、アンダー層がカチオン性高分子を含有し、かつ、光沢発現層のカチオン性高分子含有量が前記アンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少ない。
【選択図】なし

Description

本発明は、キャストコート法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、特に染料インク及び顔料インクに関して良好なインク吸収性と画像鮮明性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感を有するインクジェット記録用光沢紙及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なくある程度の印字品質が期待できるが、より高い印字品質を求める場合には、媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク吸収層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙及び/又はフィルムを支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット専用媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体に分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。光沢媒体の製法としては、一般的方法はキャストコート法によってインク吸収層を形成し表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク吸収層を形成する方法とがある。
後者の印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているためにインク吸収層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク吸収層表面も平滑で、光沢のある表面が形成しやすい。しかし、全体のコストは、インク吸収性をあげるために塗工量を多くする必要があり、また基材そのものが紙よりも高価であることから前者のキャストコート法による光沢媒体に比べ高い価格のものとなる。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができないといった問題点もあり、エコロジーの観点からは紙ベースでリサイクル可能な、キャストコート法で製造された光沢媒体の方に優位性がある。
一方で、従来の主流であった染料着色剤を使用した染料インクだけでなく、耐水性、耐光性などの保存性に優れた着色顔料を分散した顔料インクも使用されるようになっている。これら顔料インクの平均粒子径がおおよそ50〜100nmであって、染料分子の5〜10倍の大きさであるために必然的に吸収速度も異なることから、光沢媒体に両者のインク適性をもたせるためには、従来の染料インク専用媒体とは異なるインク吸収層の設計が必要である。
染料インクよりも顔料インクの吸収速度が遅いことから、塗工層に大きなひび割れが多数存在するか、又は塗工層の細孔容積が大きすぎることによって、顔料インクが塗工層下部に流れ込んで印字部が白ボケしてしまう。結果的に顔料インクの印字部の濃度が低下してしまう。故に顔料インク適性を有する塗工層を形成させるためには、塗工層表面の大きなひび割れを極力減らし、かつ、塗工層の細孔容積を適性範囲に設計する必要がある。
また、従来多用されている染料インクは、顔料インクと比較して吸収速度が速いことから、塗工層の細孔容積が小さくてもインクを吸収する傾向にある。しかし、顔料インクの場合は、インクを吸収しきれずに滲み出して画像鮮明性が低下してしまう。故に染料インク及び顔料インクの画像鮮明性を両立させるためには、極めて緻密な塗工層設計が必要だと考えられる。
塗工層の細孔容積を規定してインク吸収性を向上させたインクジェット記録用光沢紙の提案がある(例えば、特許文献1又は2を参照)。
特開2001−347749号公報 特開2007−175895号公報
しかし、特許文献1及び2に記載の技術の場合においては、染料インクの吸収及び発色に優れてはいるが、カチオン性高分子の塗工層分布について考慮されていないために顔料インクの画像鮮明性が劣ることがある。
このように特許文献1及び2に記載のインクジェット記録用光沢紙は、染料インクについては非常に優れているという特徴をもつが、顔料インクの画像鮮明性について不満足な点がある。
よって、本発明者らの研究結果から、前記各提案内容では染料インク及び顔料インク適性の両立は困難であるとの結論に至った。このような現状を鑑みると、キャストコート法によって製造するインクジェット記録用光沢紙において、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造された媒体を超える画質(染料インク及び顔料インク適性)と均一な光沢感とを有する記録媒体は全くないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、キャストコート法で製造されるインクジェット記録用光沢紙において、染料インク及び顔料インク適性をもちながら、銀塩写真並の高光沢感を有し、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造した媒体に匹敵する画質と均一な光沢感を有し、かつ、リサイクル可能な記録媒体を提供することである。また、本発明のインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、キャストコート法におけるカチオン性高分子の添加方法を特定することで、顔料インク適性をより優れたものにすることを目的とする。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に2層以上のインク吸収層が設けられ、該インク吸収層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層の下側の残りのインク吸収層がアンダー層であり、かつ、前記光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙において、前記インク吸収層の合計の塗工量(絶乾質量。以下、省略。)が10〜30g/mであり、前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH(Barrett‐Joyner‐Halenda)法によって求められた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25〜50nmに存在し、かつ、前記アンダー層がカチオン性高分子を含有し、かつ、前記光沢発現層のカチオン性高分子含有量が前記アンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少ないことを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた全細孔容積が0.5〜2.0cm/gであることが好ましい。顔料インク適性により優れる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記アンダー層のカチオン性高分子の含有量が0.10〜5.00g/mであることが好ましい。染料インクの耐水性を確保する。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層のカチオン性高分子の含有量が2.0g/m以下とすることが好ましい。顔料インク適性をより優れたものにすることが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法は、紙基材の少なくとも片面に2層以上のインク吸収層が設けられ、該インク吸収層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層の下側の残りのインク吸収層がアンダー層であり、かつ、前記光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙の製造方法において、顔料、結着剤及びカチオン性高分子を含有するアンダー層用塗工液を前記紙基材に塗工する工程と、前記アンダー層の上に、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液又は顔料、結着剤及びカチオン性高分子を含有する光沢発現層用塗工液のいずれかを、前記光沢発現層のカチオン性高分子含有量が前記アンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少なくなるように塗工する工程と、を有し、かつ、前記インク吸収層の合計の塗工量を10〜30g/mとし、前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)を少なくとも25〜50nmに存在させ、かつ、前記光沢発現層を形成するキャストコート方式が凝固法又は再湿潤法であり、前記光沢発現層となる塗工層に前記各法によって塗布する凝固液、再湿潤液のいずれにもカチオン性高分子を含有させないことを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙の製造方法では、前記アンダー層に含有する顔料の種類、粒子径及びBET比表面積、並びに、前記光沢発現層に含有する顔料の種類、粒子径及びBET比表面積を制御因子として、前記極大値(ピーク)の細孔直径を25〜50nmの範囲に調整することが好ましい。
本発明のインクジェット記録用光沢紙は、キャストコート法で製造したインクジェット記録用光沢紙でありながら、非常に良好な表面光沢感、染料インク及び顔料インクのインク吸収性を高いレベルで両立している。また、本発明のインクジェット記録用光沢紙の製造方法では、凝固液、再湿潤液のいずれにもカチオン性高分子を含有しないことで、顔料インク適性をより優れたものにすることができる。また、本発明では、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ、製造コストも低く、廃棄する場合にはリサイクル可能であり、資源の有効利用という観点からも好ましい。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙基材の少なくとも片面に2層以上のインク吸収層が設けられ、インク吸収層の最表層が光沢発現層であり、光沢発現層の下側の残りのインク吸収層がアンダー層であり、かつ、光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙において、インク吸収層の合計の塗工量が10〜30g/mであり、インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25〜50nmに存在し、かつ、アンダー層がカチオン性高分子を含有し、かつ、光沢発現層のカチオン性高分子含有量がアンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少ない。
本実施形態においては、塗工層の細孔直径分布及び全細孔容積の測定には窒素吸着法を使用した。窒素吸着法は、大きさや性質が既知である窒素分子を固体表面に吸着させて、吸着したガス分子の量を測定し、細孔直径分布及び全細孔容積を求める方法である。窒素吸着法は、水銀圧入法と異なり、極微小な細孔直径(0.1〜100nm)だけを測定することが可能なため、紙基材の大きな細孔を除いた塗工層の細孔直径だけを簡便に測定できる。また、本発明においては、窒素脱着時の等温曲線からBJH法によって細孔直径分布と全細孔容積を求めた。市販の測定装置の例としてトライスターII3020シリーズ(島津製作所製)がある。
本実施形態においては、細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25nm以上50nm以下に存在することが必要である。好ましくは、27〜48nm、より好ましくは30〜45nmに極大値が存在する。細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が25nm未満だけに存在する場合は、顔料インクの吸収性に劣る。また、細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が25〜50nmに存在せずに50nmを超えた領域に存在する場合は、印字した顔料インクが白ボケして画像鮮明性に劣る。
本実施形態においては、前記ピークの細孔直径は、本発明の構成を満たす限り、種々の条件を変更することで調整することが可能である。例を示せば、アンダー層に含有する顔料の種類、粒子径及びBET比表面積、並びに、光沢発現層に含有する顔料の種類、粒子径及びBET比表面積を制御因子として、25〜50nmの範囲に調整することができる。例えば、顔料のBET比表面積が大きいほど、ピークの細孔直径は大きくなる。また、コロイダルシリカ等の顔料の粒子径が大きいほど、ピークの細孔直径は大きくなる。顔料の種類について後に例示する。
細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)は、25〜50nmだけに存在することが好ましいが、25〜50nmの範囲に存在する細孔直径のピークに加えて、25nm未満又は50nmを超える細孔直径のピークを有していてもよい。ここで25〜50nmの範囲から外れるピークを有する場合においては、25〜50nmの範囲のピークと25nm未満のピークを有する組合せが好ましい。25nm未満のピークだけの場合、顔料インクの吸収に劣るが、25〜50nmの範囲のピークがあることで、顔料インクの吸収が改善されるからである。そして、2本以上のピークを有する場合、25〜50nmの範囲に存在する細孔直径のピークが、最高強度のピークの30%以上の強度を有するピークであることが好ましい。また、2本以上のピークを有する場合には、25〜50nmの範囲にいずれのピークも存在することが好ましい。
また、本実施形態においては、インク吸収層の合計の塗工量が10〜30g/mであることが必要である。インク吸収層の塗工量が10g/m未満の場合は、顔料インクの吸収性に劣る。インク吸収層の塗工量が30g/mを超える場合は、経済性に劣り、塗工ムラに起因する顔料インクのムラが目立つ。好ましくは、12〜28g/mである。より好ましくは、14〜25g/mである。
さらに、本実施形態においては、アンダー層にカチオン性高分子を含有し、かつ、光沢発現層のカチオン性高分子含有量がアンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少ないことが必要である。光沢発現層のカチオン性高分子含有量がアンダー層のカチオン性高分子含有量以上の場合、アニオン性である顔料インクが凝集しすぎて吸収が阻害されるために画像鮮明性が低下する。特に、ブラック顔料インクが凝集しやすく、印字濃度が低下してしまう。また、アンダー層にカチオン性高分子を含有しない場合は、染料インクの耐水性が低下する。
本実施形態においては、アンダー層のカチオン性高分子の含有量が0.10〜5.00g/mであることが好ましい。アンダー層のカチオン性高分子の含有量が5.00g/mを超える場合は、染料インクの吸収性に劣ることがある。アンダー層のカチオン性高分子の含有量が0.10g/m未満では、染料インクを強固に定着できず、染料インクの耐水性が劣ることがある。好ましくは、0.15〜4.80g/mである。さらに好ましくは、0.20〜4.50g/mである。
本実施形態においては、光沢発現層のカチオン性高分子の含有量は、2.0g/m以下であることが好ましい。光沢発現層のカチオン性高分子の含有量が2.0g/mを超える場合は、アニオン性である顔料インクが凝集しすぎて吸収が阻害されるために画像鮮明性が低下することがある。好ましくは、光沢発現層のカチオン性高分子の含有量が1.5g/m以下である。さらに好ましくは、光沢発現層のカチオン性高分子の含有量が1.2g/m以下である。アンダー層だけにカチオン性高分子を含有させてもよい。
本実施形態においては、インク吸収層の窒素脱着等温線からBJHによって求められた全細孔容積が0.5〜2.0cm/gであることが好ましい。全細孔容積が2.0cm/gを超える場合は、印字した染料インクが沈み込みすぎて画像鮮明性が低下することがある。また、全細孔容積が0.5cm/g未満の場合は、顔料インクの吸収性が低下することがある。好ましくは、全細孔容積が0.6〜1.5cm/gである。より好ましくは、全細孔容積が0.7〜1.3cm/gである。
カチオン性高分子の作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応して水に不溶な塩を形成することから、染料インクをインク吸収層に、より強固に定着させ、染料インクの耐水性が向上する。このようなカチオン性高分子としては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、ポリアミジン化合物、その他第4級アンモニウム塩類などが用いられ、これらを2種以上併用してもかまわない。
本実施形態においては、光沢発現層の顔料として気相法シリカを含有することが好ましい。気相法シリカは、乾式法シリカ又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には、四塩化ケイ素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素との供給比率、原料の四塩化ケイ素供給などの条件を変更することによって得られる。気相法シリカの平均一次粒子径は、5〜30nmが好ましく、6〜20nmがより好ましい。
また、気相法シリカのBET比表面積は、100〜400m/gであることが好ましい。より好ましくは、150〜380m/gであり、特に好ましくは、180〜350m/gである。BET比表面積が100m/g未満であると、顔料インクの画像鮮明性に劣ることがある。BET比表面積が400m/gを超えると、塗工液の粘度が高すぎて安定性が劣ることがある。ここで、BET比表面積は、BET法によって求めた単位質量あたりの表面積である。BET法とは、気相吸着法による粉体の比表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料のもつ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
さらに、本実施形態においては、光沢発現層に含有させる気相法シリカ以外の顔料としては、球状コロイダルシリカ、非球状コロイダルシリカ、合成非晶質シリカ、アルミナ修飾シリカ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、σ−アルミナ、擬ベーマイトなどを使用でき、本発明の効果を損なわない範囲において2種以上を併用して用いることもできる。光沢発現層の顔料として気相法シリカを使用する場合は、プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付き防止のために球状コロイダルシリカと併用することが好ましい。さらに好ましくは、平均粒子径が50nm〜300nmの球状コロイダルシリカと併用することがよい。特に好ましくは、平均粒子径が50nm〜300nmのカチオン性球状コロイダルシリカと併用することがよい。平均粒子径が50nm〜300nmのカチオン性球状コロイダルシリカと併用する場合、光沢発現層塗工液の粘度を低く抑えることができ、塗工性の観点から特に好ましい。
さらに、光沢発現層に含有させる結着剤としては、ポリビニルアルコール(カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含む。)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリル樹脂の複合体樹脂、などが例示され、単独又は併用して用いられる。インク吸収性と優れた光沢感とを両立するという観点からポリビニルアルコールを含有することが好ましい。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、光沢発現層の強度、表面光沢感、塗工液性などを考慮して決定する。通常、顔料100質量部に対し1〜100質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜60質量部程度の範囲で添加され、更に好ましくは10〜50質量部である。1質量部未満であると、塗工層強度が低下することがある。100質量部を超えると、インク吸収性が低下することがある。
また、前記ポリビルアルコールは、鹸化度78〜95mol%の、いわゆる部分鹸化ポリビニルアルコールが好ましい。より好ましい鹸化度は、79〜94mol%であり、さらに好ましい鹸化度は、80〜92mol%である。鹸化度78〜95mol%を含有することで塗工層のひび割れを低減させ、顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることが可能である。鹸化度が78mol%未満では、塗工層のひび割れが少なすぎて染料インクの吸収性が悪化することがある。また、鹸化度が95mol%を超えると、塗工層のひび割れが大きすぎて顔料インクの画像鮮明性が悪化することがある。本実施形態においては、この部分鹸化ポリビニルアルコールの添加量が顔料100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。1質量部未満では、光沢発現層の耐傷性が劣る場合がありうる。添加量が20質量部を超えると、インク吸収性に劣り、塗工液の安定性が劣る傾向にあって塗工性に問題が発生することがある。より好ましくは、顔料100質量部に対して2〜15質量部である。さらに好ましくは、顔料100質量部に対して3〜14質量部である。
また、前記ポリビルアルコールとしてシラノール変性ポリビニルアルコールを使用することも好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールを含有することで、塗工層のひび割れを低減させ、顔料インクの画像鮮明性を優れたものにすることが可能である。本実施形態においては、このシラノール変性ポリビニルアルコールの添加量が顔料100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。1質量部未満では、光沢発現層の耐傷性が劣ることがある。添加量が20質量部を超えると、インク吸収性に劣り、塗工液の安定性が劣る傾向にあって塗工性に問題が発生することがある。より好ましくは、顔料100質量部に対して1.5〜15質量部である。さらに好ましくは、顔料100質量部に対して2〜13質量部である。また、前記鹸化度78〜95mol%の部分鹸化ポリビニルアルコールと併用することも可能である。
また更に、光沢発現層には分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの助剤を適宜選定して添加することができる。
本実施形態の光沢発現層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。アンダー層と光沢発現層を含むインク吸収層の全体の塗工層を10〜30g/mとした上で、光沢発現層の塗工量(絶乾質量)は、固形分換算で1〜25g/m、好ましくは3〜20g/mの範囲が好ましい。さらに好ましくは、5〜18g/mである。塗工量が25g/mを超えると生産性が劣り、塗工量が1g/m未満の場合には十分な光沢面が形成しづらい。
本実施形態においては、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法」による光学くし幅2mm入反射角度60°による条件の光沢発現層の写像性が50%以上であることが光沢感の観点から好ましい。さらに好ましくは、写像性が55%以上である。写像性が60%以上であれば、更に優れた光沢感を有するといえる。ここで、入反射角度を当該JIS記載の45°を60°と変更した理由は、光沢感の差異を評価しやすくするためである。
光沢発現層は、公知のキャストコート法によって形成する。キャストコート法には、ウェット法、凝固法、再湿潤法が知られており、本実施形態においては凝固法であることが好ましい。凝固法は、光沢発現層を塗工して湿潤状態にあるうちに凝固液を塗布して凝固処理してキャストドラムに圧接する方法である。凝固処理においては、凝固剤は、塗工層の結着剤成分と効果的に凝固するものを選定することが重要であり、本実施形態においてはホウ素化合物が好ましい。より好ましくは、ホウ酸ナトリウム若しくはホウ酸又はその両方である。また、凝固液濃度が高い場合は、凝固力が強くなり、耐傷性がより良化するので好ましい。凝固剤の含有量は、凝固しうる結着剤に対して5質量%以上が好ましい。5質量%未満の場合は、表面強度が低下するおそれがあり、更に好ましくは10質量%以上である。また、本発明においては、光沢発現層を塗工して乾燥させた後に再湿潤液にて塗工層を湿潤状態にしてキャストドラムに圧接する、いわゆる再湿潤法によっても可能である。
また、本発明における製造方法として、前記凝固液、前記再湿潤液のいずれにもカチオン性高分子を含有しないことが好ましい。凝固液、再湿潤液のそれぞれにカチオン性高分子を含有した場合には、前記光沢発現層の最表面にカチオン性高分子が高い濃度で存在するために顔料インクが凝集しやすく、画像鮮明性が低下する。
また、前記凝固液、再湿潤液のそれぞれに潤滑剤(lubricant)を添加することも好ましい。凝固液、再湿潤液のそれぞれに潤滑剤を含有させることで、光沢発現層表面に潤滑性をもたせることが可能であり、プリンター搬送時の傷付きを防止することが可能である。また、新たな工程を増やすことなく、経済的に有利に光沢発現層に潤滑剤を含有させることができる。
本実施形態でいう潤滑剤とは、接触部の減摩作用を施す物質のことをいう。潤滑剤の例として、液状潤滑剤、液状潤滑剤の固化物、固体潤滑剤などがあげられる。また、本実施形態においては、凝固液、再湿潤液のそれぞれに含まれる潤滑剤として高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンであることが好ましい。凝固液、再湿潤液のそれぞれに高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンの両方を含ませることがより好ましい。
高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ミリスチン酸塩があり(例えば、これらのナトリウム塩、カリウム塩、いわゆる石鹸を含む。)、また、ラウリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウムである。本実施形態においては、光沢発現層が、高級脂肪酸塩としてラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、オレイン酸塩のうち、いずれか1種以上を含有することで、光沢発現層表面の摩擦係数が低減して耐傷性をより優れたものにすることが可能となるので更に好ましい。
高級脂肪酸塩は、光沢発現層顔料100質量部に対して、0.005〜20.000質量部添加することが好ましい。より好ましくは、0.010〜10.000質量部である。また、ポリエチレンエマルジョンは、光沢発現層顔料100質量部に対して、0.005〜20.000質量部添加することが好ましい。より好ましくは、0.010〜10.000質量部である。さらに好ましくは、0.050〜8.000質量部である。そして、高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンとの質量比は、99/1〜1/99とすることが好ましい。より好ましくは、95/5〜5/95である。さらに好ましくは、93/7〜7/93である。高級脂肪酸塩とポリエチレンエマルジョンについては、それぞれ複数種使用してもかまわない。
また、本実施形態においては前記凝固液、前記再湿潤液のいずれの中にも写像性付与のためにコロイダルシリカを含有させてもかまわない。また、凝固液、再湿潤液のいずれの中にコロイダルシリカを含有することによって、光沢発現層表面がさらさらとした手触り感となり、銀塩写真のような風合いを出すことが可能となる。また、本発明においては、凝固液、再湿潤液のいずれの中に写像性付与のために樹脂を含有させてもかまわない。
また、本実施形態においては、光沢発現層を塗工してから凝固液を塗布するまでの時間、凝固液を塗布してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着するときの圧力、及びライン速度を調整することによって、光沢度の高い光沢発現層が形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗工液に応じて最適条件を求めることで適正化する必要がある。
また、キャスト処理後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよいし、カール調整のため、裏面に水、カール調整剤などを塗工したり、加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
本実施形態のインクジェット記録用光沢紙は、光沢発現層と紙基材との間に1層以上のインク吸収層(前記アンダー層のことである。)を設けることが経済性及びインク吸収性の観点から必要である。アンダー層は、白色顔料と結着剤成分とを主成分とする。
アンダー層に用いる顔料としては、公知の白色顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、気相法シリカ、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナなどの白色無機顔料、又はアクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が挙げられる。本発明においては、合成シリカを含有することが好ましい。本発明で用いる合成シリカは、平均粒子径が1.0〜15.0μmの範囲が好ましい。合成シリカの平均粒子径が1.0μm未満では染料インクのインク吸収性が低下し、15.0μmを超える場合は顔料インクの画像鮮明性が低下するおそれがある。より好ましくは、合成シリカの平均粒子径が4.0〜12.0μm、更に好ましくは、5.0〜10.0μmの範囲である。また、本発明で用いる合成シリカの細孔容積は、1.0〜2.5cm/gの範囲が好ましい。合成シリカの細孔容積が1.0cm/g未満では染料インクのインク吸収性が低下し、2.5cm/gを超える場合は顔料インクの画像鮮明性が低下するおそれがある。より好ましくは、合成シリカの細孔容積が1.3〜2.3cm/g、更に好ましくは、1.5〜2.1cm/gの範囲である。合成シリカの細孔容積は、窒素吸着法から求められる。また、アンダー層の顔料として気相法シリカを含有させる場合には、プリンター搬送時の光沢発現層表面の傷付き防止のために、光沢発現層の顔料として球状コロイダルシリカを含有させることが好ましい。
アンダー層に含有させる結着剤は、ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含む。)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類などが例示され、単独又は併用して用いられる。結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク吸収層の強度、塗工液性を考慮して決定される。通常、アンダー層に含有される顔料100質量部に対し1〜200質量部の範囲で添加される。好ましくは、5〜100質量部、更に好ましくは10〜90質量部の範囲で添加される。1質量部未満であると、塗工層強度が低下することがある。200質量部を超えると、インク吸収性が低下することがある。
アンダー層には、前記顔料及び前記結着剤以外に前記カチオン性高分子を添加することが必須である。カチオン性高分子の作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン性の成分と反応し水に不溶な塩を形成することから、インクをインク吸収層、特にアンダー層に、より強固に定着させ、耐水性が向上する。カチオン性高分子の添加量は、特に限定されないが、アンダー層の顔料100質量部に対し1〜50質量部の範囲で使用される。好ましくは、5〜40質量部、更に好ましくは7〜30質量部の範囲で添加される。1質量部未満であると、印画部の耐水性が低下することがある。50質量部を超えると、インク吸収性が劣ることがある。
その他の助剤としては、必要に応じて消泡剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加使用できる。
アンダー層を形成する塗工液の塗工方法としては、エアーナイフ、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機があるが、いずれのものを用いてもよい。アンダー層と光沢発現層を含むインク吸収層の全体の塗工層を10〜30g/mとした上で、アンダー層の塗工量(絶乾質量)は、特に限定されないが、塗工量が少なすぎる場合は、インク吸収性が劣ることから固形分換算で5g/m以上とすることが好ましい。また、塗工量が多すぎる場合は、光沢発現層塗工時にバインダーマイグレーションが発生し、光沢発現層表面の耐傷性が低下するおそれがあるので25g/m以下が好ましい。より好ましくは、6〜20g/m、更に好ましくは7〜18g/mである。アンダー層を形成する塗工液を2回以上塗工して、アンダー層を2層以上で構成してもよい。
また、塗工後に一定の平滑性を出すために、アンダー層を塗工後に一定の平滑性を出すスーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することも可能である。
アンダー層及び光沢発現層は、基材の片面だけでなく、両面に設けてもよい。両面印刷用とすることができる。
本実施形態で使用する透気性を有する紙基材としては、上質紙、中質紙、白板紙などの紙基材を用いることができる。また、酸性紙、中性紙なども使用することが可能である。また、保存時の耐変色性に優れている傾向があることから、使用する紙基材が酸性紙であることが好ましい。ここで記述される酸性紙とは、タルク、カオリンクレーなどの填料と硫酸バンドなどの酸性薬品とを添加して抄紙した紙をいう。また、本実施形態においては、燃料としてリサイクルされる場合を考慮し原料パルプとしては、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。また、使用する填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、合成シリカ、アルミナ、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、ベントナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の公知の顔料を使用することが可能である。
また、紙料中には前記パルプ、填料以外にも公知の紙力剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料などの各種抄紙用薬品が適宜用いられる。各紙料の調成方法、配合、各抄紙薬品の添加方法については、本実施形態の効果を損なうものでなければ特に限定されない。また、前記紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの公知の抄紙機を適用して抄造することが可能であり、単層抄きでも多層抄きでもかまわない。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、紙基材に古紙を配合することも可能である。
また、光沢発現層塗工液の過度の浸透を抑えるために、紙基材には、サイズプレスなどで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を塗布することが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」、「%」は、特に明示しない限りそれぞれ固形質量部、固形質量%を示す。
(実施例1)
(紙基材の形成)
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度520mlCSF)100部に対して、乾燥質量でグラフト化澱粉(DG4204、グラフト成分の自家変性タピオカ澱粉と幹成分のアニオン架橋ポリアミドとが1:1でグラフト重合された分子量200万のグラフト化澱粉共重合体:星光PMC社製)1.00部と、酸性ロジンサイズ剤0.20部と、液体硫酸バンド1.00部と、灰分7%になるように添加量を調整したタルク(タルクNTL:日本タルク社製)と、を配合して紙料を得た。この紙料を長網抄紙機にて抄造し、紙匹を得た。その後、サイズ液として酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)を前記紙匹の両面に乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、坪量170g/mの上質紙を製造し、インクジェット光沢紙用の紙基材とした。
(アンダー層の形成)
次に、顔料として合成シリカ(ニップジェルAZ−410、平均粒子径4.0μm、細孔容積1.8cm/g、東ソー・シリカ社製)100質量部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部及びエチレン−酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−13:昭和高分子社製)45質量部と、更にカチオン性高分子(ハイマックスSC−600L:ハイモ社製)20質量部とを用い、固形分濃度22質量%のアンダー層用塗工液を得た。続いて、このアンダー層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように前記紙基材の片面に塗工・乾燥してアンダー層を塗設した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.57g/mであった。)。
(光沢発現層の形成)
次いで、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)50質量部と球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)50質量部と、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5質量とポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)5質量部とカチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)10質量部とし、更にインク定着向上のためにカチオン性高分子(ハイマックスSC−600L:ハイモ社製)5質量部と、を配合してセリエミキサーで攪拌して固形分濃度18%の光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液をアンダー層形成面にエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工した。次いで、凝固剤としてホウ酸を1.0%及びホウ酸ナトリウムを1.0%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるオレイン酸カリウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20:大京化学社製、融点105℃)0.1%とを含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.2%)として絶乾塗布量1.0g/mとなるように更に塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(実施例2)
実施例1において、アンダー層の絶乾塗工量を20g/mとした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、1.14g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(実施例3)
実施例1において、アンダー層の顔料として合成シリカ(サイロジェットP−416、平均粒子径12.0μm、細孔容積2.1cm/g、グレース社製)100質量部として絶乾塗工量を6g/mとし、光沢発現層の絶乾塗工量を4g/mとした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.34g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.16g/mであった。)。
(実施例4)
実施例2において、アンダー層のカチオン性高分子を45質量部、光沢発現層のカチオン性高分子を30質量部とした以外は、実施例2に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、4.50g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、2.00g/mであった。)。
(実施例5)
実施例2において、アンダー層のカチオン性高分子を45質量部、光沢発現層のカチオン性高分子を15質量部とした以外は、実施例2に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、4.50g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、1.11g/mであった。)。
(実施例6)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(レオロシールQS−102、BET比表面積200m/g:トクヤマ社製)65.0質量部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)35.0質量部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.57g/mであった。また、光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(実施例7)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として気相法シリカ(HDK T40、BET比表面積400m/g:ワッカー社製)35.0質量部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)65.0質量部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.57g/mであった。また、光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(実施例8)
(紙基材の形成)
実施例1と同様の方法で紙基材を作製した。
(アンダー層の形成)
アンダー層の顔料として気相法シリカ(HDK T30、BET比表面積300m/g:ワッカー社製)80質量部と、球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)20質量部と、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)5質量及びポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)15質量部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)20質量部と、インク定着向上のためにカチオン性高分子(ハイマックスSC−600L:ハイモ社製)20質量部と、を用い、固形分濃度18%のアンダー層用塗工液を得た。続いて、このアンダー層用塗工液を前記紙基材の片面にエアーナイフコーターで絶乾塗工量18.0g/mとなるように塗工・乾燥してアンダー層を塗設した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、2.25g/mであった。)。
(光沢発現層の形成)
次いで、光沢発現層塗工液の顔料として球状コロイダルシリカ(スノーテックスAK−YL、平均粒子径120nm:日産化学工業社製)100質量部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)10質量部と、カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600:第一工業製薬社製)10質量部と、を配合してセリエミキサーで攪拌して固形分濃度5%の光沢発現層用塗工液を得た。この光沢発現層用塗工液をアンダー層形成面にエアーナイフコーターで絶乾塗工量2.0g/mとなるように塗工した。次いで、凝固剤としてホウ酸を1.0%及びホウ酸ナトリウムを1.0%と、潤滑剤として高級脂肪酸塩であるオレイン酸カリウム0.1%及びポリエチレンエマルジョン(ポリレンN−20:大京化学社製、融点105℃)0.1%とを含む水溶液を凝固液(凝固液の濃度は2.2%)として絶乾塗布量1.0g/mとなるように更に塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度105℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した(このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0g/mであった。)。
(実施例9)
実施例1と同様に、紙基材の作成とアンダー層の塗工を行った。次いで、アンダー層形成面に実施例1と同様の光沢発現層用塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗工した後、エアードライヤーにて乾燥し、光沢発現層の面上に再湿潤液として温水(80℃)を塗布して光沢発現層表面を湿潤状態にしてから表面温度120℃のキャストドラムに圧着してインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.57g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(比較例1)
実施例1において、アンダー層の絶乾塗工量を4g/mとし、光沢発現層の絶乾塗工量を4g/mとした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.23g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.16g/mであった。)。
(比較例2)
実施例1において、アンダー層の絶乾塗工量を30g/mとし、光沢発現層の絶乾塗工量を10g/mとした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、1.73g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(比較例3)
実施例1において、アンダー層のカチオン性高分子を5質量部、光沢発現層のカチオン性高分子を30質量部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.31g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、2.00g/mであった。)。
(比較例4)
実施例1において、光沢発現層塗工液の顔料として球状コロイダルシリカ(スノーテックスOL、平均粒子径50nm:日産化学工業社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.57g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.40g/mであった。)。
(比較例5)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の顔料を単分散球状コロイダルシリカ(MP−3040、平均粒子径300nm:日産化学工業社製)100質量部、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R2105:クラレ社製)1質量部とポリビニルアルコール(PVA−235、鹸化度87mol%:クラレ社製)1質量部とカチオン性ポリウレタン樹脂(ハイドランCP−7020:大日本インキ工業社製)1質量部とを配合した以外は、実施例1に記載したとおりの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した(このときのアンダー層中のカチオン性高分子の含有量は、0.57g/mであった。また、このときの光沢発現層中のカチオン性高分子の含有量は、0.46g/mであった。)。
得られたインクジェット記録用光沢紙について、次の試験を実施し、結果を表1(実施例)と表2(比較例)に示した。
Figure 2011230400
Figure 2011230400
(1)インク吸収層の細孔直径分布と全細孔容積の測定
得られたインクジェット記録用光沢紙を約3mm×3mmの大きさの小片にして複数切った後、これら約1gを105℃、10Pa以下で12時間真空脱気した後、窒素吸着法による細孔分布測定装置(トライスターII3020:島津製作所社製)を用いて細孔直径分布と全細孔容積を測定した。また、本測定方法においては、紙基材の細孔は大きすぎて実質的に測定されず無視できるため、測定で得られた細孔容積値をインク吸収層の全細孔容積の値とした。また、同じ理由で、測定で得られた細孔直径分布をインク吸収層の細孔直径分布とした。
インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線をもとに、極大値(ピーク)の存在を次のとおり判断した。細孔直径0〜100nmの範囲において、バックグラウンドラインを線引きする。当該バックグラウンドラインを基準として、極大値(ピーク)の高さ(「高さ」は、強度に相当する。)と当該ピークの細孔直径を測定する。ピークが一つである場合には、その細孔直径が25nm以上50nm以下の領域にあれば、極大値(ピーク)の存在ありと判断する。ピークが二つ以上である場合には、最高強度のピーク高さの5%以上の高さを有する極大値(ピーク)を選定し、選定された極大値(ピーク)の細孔直径が25nm以上50nm以下の領域に1つでもあれば、極大値(ピーク)の存在ありと判断する。細孔直径25以上50nm以下の範囲にピークが全くなければ、極大値(ピーク)の存在なしと判断する。また、細孔直径25nm以上50nm以下の範囲に最高強度のピーク高さの5%未満のピークしかなければ、極大値(ピーク)の存在なしと判断する。
(2)光沢発現層表面の写像性:
得られたインクジェット記録用光沢紙の光沢発現層表面の鏡面性を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2に準じて、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定した。評価としては、写像性が50%以上は、反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れ、実用できる。50%未満では、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、光沢紙として実用上問題がある。
(3)染料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、得られたインクジェット記録用光沢紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(4)染料インクの吸収性:
セイコーエプソン社製染料インク専用インクジェットプリンター「EP−801A」を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字、並びにRGB(Red-Green-Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用光沢紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって評価した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
(5)顔料インクの画像鮮明性:
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−G5300」を用い、得られたインクジェット記録用光沢紙に印字した。印字した画像を目視によって評価した。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用できる。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用上不可。
(6)顔料インクの吸収性と顔料インクのブラックベタ部の印字濃度:
セイコーエプソン社製顔料インク専用インクジェットプリンター「PX−G5300」を用い、CMYKの各インクを用いて、CMYKの各インクのベタ(100%濃度)及び文字、並びにRGB(Red-Green-Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用光沢紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字のにじみの程度を目視によって以下のように評価した。また、K(ブラック)ベタ部の印字濃度をポータブル反射濃度計RD−19(サカタインクスエンジニアリング社製)にて測定した。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用できる。
○:境界のにじみが目立たず、文字が鮮明であり、実用できる。
△:境界のにじみが目立ち、文字が不鮮明で実用上問題がある。
×:境界のにじみがひどく、文字が判別できなくなり実用上不可。
表1から明らかなように、実施例1〜9は、比較例1〜5に比べて染料インク及び顔料インクのインク吸収性と画像鮮明性とに優れ、かつ、光沢発現層表面の光沢感に優れていた。実施例では、細孔直径25〜50nmの範囲にピークをもたせ、かつ、光沢発現層のカチオン性高分子含有量がアンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少なくしたため、顔料インクの画像解明性を優れたものにすることができた。
比較例1は、インク吸収層の全塗工量を10g/m未満としたために顔料インクの画像鮮明性と吸収性とが劣った。比較例2は、インク吸収層の全塗工量が30g/mを超えたために顔料インクの画像鮮明性が劣った。比較例3は、光沢発現層のカチオン性高分子の含有量をアンダー層のカチオン性高分子の含有量より多くしたために顔料インクの画像鮮明性と吸収性とが劣った。比較例4は、インク吸収層の細孔直径分布の極大値を15nmだけとし、25nm未満に存在するようにしたために顔料インクの画像鮮明性と吸収性とが劣った。比較例5は、インク吸収層の細孔直径分布の極大値を25〜50nmの範囲に存在するようにしたために顔料インクの画像鮮明性が劣った。

Claims (6)

  1. 紙基材の少なくとも片面に2層以上のインク吸収層が設けられ、該インク吸収層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層の下側の残りのインク吸収層がアンダー層であり、かつ、前記光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙において、
    前記インク吸収層の合計の塗工量が10〜30g/mであり、前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)が少なくとも25〜50nmに存在し、かつ、前記アンダー層がカチオン性高分子を含有し、かつ、前記光沢発現層のカチオン性高分子含有量が前記アンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少ないことを特徴とするインクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた全細孔容積が0.5〜2.0cm/gであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  3. 前記アンダー層のカチオン性高分子の含有量が0.10〜5.00g/mであることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用光沢紙。
  4. 前記光沢発現層のカチオン性高分子の含有量が2.0g/m以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用光沢紙。
  5. 紙基材の少なくとも片面に2層以上のインク吸収層が設けられ、該インク吸収層の最表層が光沢発現層であり、該光沢発現層の下側の残りのインク吸収層がアンダー層であり、かつ、前記光沢発現層がキャストコート法によって設けられたインクジェット記録用光沢紙の製造方法において、
    顔料、結着剤及びカチオン性高分子を含有するアンダー層用塗工液を前記紙基材に塗工する工程と、
    前記アンダー層の上に、顔料及び結着剤を含有する光沢発現層用塗工液又は顔料、結着剤及びカチオン性高分子を含有する光沢発現層用塗工液のいずれかを、前記光沢発現層のカチオン性高分子含有量が前記アンダー層のカチオン性高分子含有量よりも単位面積あたりの乾燥質量換算で少なくなるように塗工する工程と、を有し、かつ、
    前記インク吸収層の合計の塗工量を10〜30g/mとし、前記インク吸収層の窒素脱着等温線からBJH法によって求められた細孔直径分布曲線の極大値(ピーク)を少なくとも25〜50nmに存在させ、かつ、前記光沢発現層を形成するキャストコート方式が凝固法又は再湿潤法であり、前記光沢発現層となる塗工層に前記各法によって塗布する凝固液、再湿潤液のいずれにもカチオン性高分子を含有させないことを特徴とするインクジェット記録用光沢紙の製造方法。
  6. 前記アンダー層に含有する顔料の種類、粒子径及びBET比表面積、並びに、前記光沢発現層に含有する顔料の種類、粒子径及びBET比表面積を制御因子として、前記極大値(ピーク)の細孔直径を25〜50nmの範囲に調整することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録用光沢紙の製造方法。
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