JP2011104924A - カード用光沢インクジェット用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、染料インクタイプと顔料インクタイプの両方のインクジェットプリンタに対して優れた記録適正を有するカード用インクジェット用紙を提供する。
【解決手段】坪料150〜600g/mの多層抄きされた紙基材上、又は坪料150〜600g/mの多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000〜5000のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させた記録層を有することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光沢感を有し、且つインクジェット記録適性を示す葉書などのカードを提供するためのインクジェット用紙に関するものであり、特に、染料インクタイプ、顔料インクタイプの両方のインクジェットプリンタに対して優れた記録適正を有するカード用光沢インクジェット用紙を提供する。
インクジェットプリンタによる記録方式は、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が容易なために多方面で利用されている。係る記録方式に使用するインクジェット記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適用されている。
近年、デジタルカメラやインクジェットプリンタの飛躍的進歩と普及に伴い、インクジェット記録用紙についても品揃えが要求されている。その中でも、葉書は、年賀状、書中見舞いなどで、写真画像を出力されることが多いが、現在のところ、染料インクタイプに対応した葉書用インクジェット用紙は提供されているものの、顔料インクタイプにも適用する葉書用インクジェット用紙は提供されていない。
特許文献1には、基紙の厚さが100〜300μmのインクジェット記録用紙が開示されている。また、特許文献2〜3には、多層抄きにより得た基紙を用いたインクジェット記録用紙が開示されている。これらのインクジェット記録用紙は、葉書として適用できるものの、光沢感が低いものでしかない。
特許文献4には、抄き合わせ法により製造した基紙の両面にフィルム形成能ある樹脂で被覆した画像材料用支持体が開示されている。この支持体を用いる、記録層を設けると、重厚感があり、しかも光沢感があるインクジェット記録用紙となる。しかし、支持体表面がフィルム形成されているため、インクジェット記録を施した際、インクの溶媒は支持体内部には浸透しないので、記録層の乾燥塗工量を大幅に増量する必要がある。乾燥塗工量を大幅に増量すると、乾燥工程での記録層のひび割れを抑制しがたくなってしまう。ひび割れが発生すると、光沢感が損なわれるだけでなく、顔料インクタイプのインクジェットプリンタで記録した際に滲みが生じてしまう。また、裏面も樹脂被覆されているため、葉書として使用することができない。
特許文献5〜6には、多層抄きした紙基材を用い、記録層を形成し、次いでキャスト法により光沢層を形成したインクジェット記録用紙が開示されている。これらに記載された方法では、重厚感を備えた、且つ光沢感を有するインクジェット記録用紙が得られるものの、顔料インクを用いた際の滲みを抑制することができない。
特許第3028720号公報 特開平8−258400号公報 特開平8−267907号公報 特開平11−105202号公報 請求項1 特開2001−187486号公報 実施例6 特開2005−193601号公報 実施例1
本発明は、光沢感を有し、染料インクタイプ、顔料インクタイプの両方のインクジェットプリンタに対して優れた記録適正を有するカード用光沢インクジェット用紙を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、多層抄きの紙基材を用い、特定の記録層を採用することにより達成できることを見出し、本発明に至ったのである。即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上、又は坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000〜5000のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させた記録層を有することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙。
(2)ゲル化がホウ素化合物とポリビニルアルコールの架橋反応によるゲル化である(1)記載のカード用光沢インクジェット用紙。
(3)記録層上に、コロイダルシリカを主成分とする保護層を有する(1)又は(2)記載のカード用光沢インクジェット用紙。
(4)紙基材が、古紙パルプを用紙中に40質量%以上含有した、3層以上の多層抄き合わせにより抄造された紙基材である(1)〜(3)のいずれか一に記載のカード用光沢インクジェット用紙。
(5)坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上、又は坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、ホウ素化合物を塗工した後、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000〜5000のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工し、該塗工液が増粘またはゲル化した状態で乾燥して記録層を形成することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙の製造方法。
本発明は、光沢感を有し、染料インクタイプ、顔料インクタイプの両方のインクジェットプリンタに対して優れた記録適正を有するカード用光沢インクジェット用紙を提供することができる。
本発明は、坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上、又は坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000以上のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させた記録層を有することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙である。また、本発明は、坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上、又は坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、ホウ素化合物を塗工した後、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000以上のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工し、該塗工液増粘またはゲル化した状態で乾燥して記録層を形成することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙の製造方法である。なお、カード用とは、葉書の用途に限定されるものでなく、所定の大きさに断裁され、インクジェット記録が施された状態で使用される用途であればよく、例えば写真用紙、名刺、プリペイドカード、磁気カード、ICカード、身分証明書、タグ、札、入場券、カードゲームなどが一例として挙げられる。
<紙基材>
本発明では、坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材を使用する。中でも3層以上の多層抄き合わせにより抄造された紙基材を使用することが好ましい。坪量が150g/m未満であると葉書の重厚感が得られなくなる。坪量の上限は特に限定しないが、紙基材の均一性やプリンタの通紙適性から、700g/m以下のものが好ましい。好ましい坪量は200g/m以上であり、600g/m以下である。
本発明で使用するパルプについては、製法や種類等について、特に限定するものではなく、KP、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、脱墨パルプ等の古紙パルプ、あるいはケフナ、竹、藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維も使用出来る。多層抄き合わせの場合、各層において使用するパルプが異なっていてもよい。例えば、白色度の低い古紙パルプを中層とし、白色度の高いパルプを表層及び裏層とする多層抄き合わせ紙は、多くの古紙パルプの配合できるため、環境面からも好ましい構成の一つである。この場合、紙基材中に40質量%以上含有せしめることができる。
本発明で使用する古紙パルプは、その原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準規格表に示されている、例えば上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。さらに、具体的に述べると、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙ならびにPPC用紙等のOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗被紙古紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙古紙や、板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙等が使用される。勿論、印字、複写、印刷、非印刷物のいずれもが対象となる得る。
更に、表層に古紙パルプを配合する場合、古紙パルプに蛍光消色処理を施しておくことが好ましい。古紙パルプの蛍光消色処理とは、脱墨処理後の古紙パルプをチオ硫酸ナトリウム五水和物(ハイポ)、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウムのいずれかをパルプ濃度10%以上で添加率1%以上、温度40度以上、反応時間60分以上で処理することである。中でも作業環境の安全性から二酸化塩素が好ましい。前記処理により、古紙パルプの蛍光強度を90%以上下げることが可能となる。
蛍光消色処理の方法は上記以外にも、多価金属処理、酵素処理、過酸化物処理、オゾン処理、マスキング処理などがあり、本発明では、いずれの処理も使用できる。具体的には、多価金属処理は、古紙パルプスラリーに、例えばアルミニウム箔を挿入に20℃で24時間処理することで、蛍光を消すことが出きる。酵素処理は、レドックスメディエーターの存在化pH2〜12、および常温〜70℃の範囲の温度で、ラッカーゼ(フェノール分解酵素)を更に含有することで、蛍光増白剤を分解できる。過酸化物処理は、2%濃度の古紙パルプスラリーに、過硫酸アンモニウム1%と硫酸鉄0.2%を配合し、反応温度60℃以上、反応時間2時間以上、pH8以下の条件で反応させると、酸化分解で蛍光が消される。オゾン処理は、パルプ濃度0.5〜3重量%のスラリーをpH9〜11.5に保持した状態で、オゾンの存在下で、スラリーを攪拌することで、脱色できる。マスキング処理は、約1%濃度の古紙スラリーのpHを7以下に保持した状態で、ポリアルキレンポリアミン・ジカルボン酸縮合物のポリアルキル4級アンモニウム塩を適量添加、攪拌により蛍光作用を消すことが出きる。
また、各層中には、必要に応じて、填料が配合出来る。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機顔料が挙げられる。
なお、紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も紙の用途に応じて適宜添加することができる。特に、層間強度を500〜700KPaに調整する為に、層内の強度を高める手法として紙力増強剤の添加が効果ある。また、各層間の接着強度を高める為に、スプレーで澱粉を吹付けることも効果ある。
抄紙方法については特に限定するものではなく、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性の中性抄紙法等の全ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機を適宜使用することができる。
<下塗り層>
下塗り層は、上記多層抄きされた紙基材の表面の面質を補うために形成することが好ましい。面質を補うことにより、均質な記録層を形成することができ、光沢性の向上と、染料インク及び顔料インクの記録適性が向上するので好ましい。
下塗り層は、顔料と接着剤を主成分として含有する塗工層である。顔料としては、カオリン(含クレー)、雲母、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられ、単独或いは併用で用いられる。接着剤としては、インクジェット記録用紙用の公知の接着剤を使用することができ、水分散系接着剤、水溶性接着剤を単独、併用とも可能である。顔料と接着剤の配合比率は、顔料100質量部に対し、接着剤を7〜500質量部である。なお、インクジェット記録の際に、葉書が波打ったりして、印字不良を生じるような場合は、接着剤の比率を高くするとよく、一方、インクの吸収性が不足するような場合は、接着剤の比率を小さくするとよい。
下塗り層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、下塗り層中に、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。また、記録層のひび割れを防止するため、架橋剤を配合することもできる。
下塗り層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータおよびダイコータ等の各種塗工装置が挙げられる。また、下塗り層は、より平滑な面を形成するために、カレンダー処理を施すことが好ましい。
<記録層>
本発明では、上記多層抄きされた紙基材の片面に、或いは、該紙基材上に設けた下塗り層上に、顔料として乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料を、また接着剤として重合度2000以上のポリビニルアルコールをそれぞれ含有する塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させた記録層を形成する。
微細顔料として、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を用いるが、その平均粒子径は5〜1000nm程度、好ましくは、5〜800nmである。5nm未満であれば、微細すぎて多孔質な記録層が得られず、インクの吸収性が得られない。一方、1000nmを越えると、粗い粒子が記録層中に存在することにより、光沢感が得られない。
平均粒子径が1000nmを超えるような場合は、たとえば機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により調節することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。粒子径を小さくする為には分級と繰り返し粉砕が必要である。
なお、ここでいう平均粒子径は、動的光散乱法に基づく装置を使用して測定した粒子径分布のメジアン径であり、本発明者らは「動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500型(株式会社堀場製作所製)」を使用したが、測定原理が同じであれば、装置のモデルが異なっても、ほぼ同じ値が得られる。
本発明に用いる乾式法シリカは、フュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することが出来る。
本発明に用いる2次コロイダルシリカ粒子は、1次粒子径が5〜100nmの1次粒子が会合度1.1〜10の範囲で会合した2次コロイダルシリカ粒子である。好ましい会合度は1.3〜5であり、より好ましい会合度は1.5〜3である。
本発明に用いるアルミナは一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナが好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ(フュームドアルミナ)は最も好ましい。
気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の一次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナは、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナの使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
本発明に用いるアルミナ水和物は、特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報)などが挙げられる。
乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、アルミナ水和物は、併用することは可能である。
これらの中でも、記録層の成膜性や印字後の画像濃度の点で、乾式法シリカやアルミナを使用することが好ましい。また、平均1次粒子径が3〜40nmの1次粒子が凝集してなる微細顔料であると、インク中の染料や顔料が、多孔質な記録層に固定しやすく、かつインク吸収速度、画像濃度、光沢感が優れるため好ましい。平均1次粒子径5〜20nmの1次粒子が凝集してなる微細顔料を用いることはより好ましい。平均1次粒子径は、凝集しても、粉砕処理をしても変動しないので、例えば電子顕微鏡で観察して求めるとよい。
また、2次コロイダルシリカ粒子は、記録層を形成した際に、球状のコロイダルシリカを用いた場合に比べ、粒子間で多くの空隙が形成されるため、インク吸収性があり、また、表面傷が生じがたいので好ましい材料であるが、乾式法シリカ等に比べ、インク吸収性が劣る傾向にあるので、乾式法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、湿式法シリカと併用して用いることがより好ましい。
乾式法シリカはアニオン性を示すため、乾式法シリカとカチオン性化合物とを混合して得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子として用いることが好ましい。なお、シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子の平均粒子径が1000nmを超えるような場合、これを粉砕分散して、平均粒子径10〜1000nmの範囲に調節するとよい。10nm未満では、インク吸収性が低下するおそれがある。10nm以上とすることによりインク吸収性を得、1000nm以下とすることにより、光沢感を得るとともに、記録層の透明性が高まり、印字濃度が高くなるため好ましい。この凝集体粒子は、平均粒子径は30〜800nmの範囲が最も好ましい。カチオン性化合物およびシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子は、インク定着剤として作用しており、詳しくは、インク定着剤の項で説明する。
記録層には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の平均粒子径5〜1000nmの微細顔料の他に、通常のインクジェット記録用紙に使用される公知の顔料を用いることができる。これらの顔料としては、カオリン(含クレー)、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられ、単独或いは併用で用いられる。
本発明では、記録層の接着剤としてポリビニルアルコールを主成分として使用するが、微細顔料との接着性、インク吸収性及びひび割れ制御の点から重合度2000〜5000のポリビニルアルコールを使用する。重合度が2000未満であると、記録層の強度が弱いと共に、ひび割れが発生しやすく、かつ断裁時に紙粉が発生する虞があり、重合度が5000を超えると、十分なインク吸収性が得られにくいとともに、溶液粘度が高く塗工液調整におけるハンドリング面が困難となる虞があり、好ましくない。
ポリビニルアルコールは、そのケン化度の相違により性状が異なり、目的に応じてそのケン化度を選択することが好ましい。ケン化度が95%以上、より好ましくは98%以上のポリビニルアルコールを使用すると、記録層の強度が強くなるとともに、塗工液調製時に泡立ちなどもおこらず、製造時の作業性が非常に良好である。また、ケン化度が75〜90%の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用すると、記録層の可撓性に優れ、その折り割れ防止に非常に効果的である。これらケン化度の異なるポリビニルアルコールは、その目的に応じて、それぞれ単独で用いても、併用して用いても良い。
記録層に用いるポリビニルアルコールとしては、重合度3500以上、ケン化度95%以上のポリビニルアルコールが好ましい。重合度4000以上、ケン化度97%以上のポリビニルアルコールが最も好ましい。インク吸収性などを改善する意味で2種以上のバインダーを併用しても良い。
本発明は接着剤としてポリビニルアルコールを用いるが、本発明の効果を損なわない範囲でインクジェット記録用紙用の公知の接着剤を使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂等の水分散系接着剤や、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、キチン、キトサン等の各種多糖類、重合度が2000未満のポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等の水溶性接着剤が挙げられる。
記録層の接着剤の配合量は、顔料100質量部に対して7〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。この配合量が、7質量部未満であると、ひび割れが発生したり、塗膜強度が十分でなくなったりする虞があり、50質量部を超えると、インクの吸収性を損なう虞があり好ましくない。
本発明の記録層は、上記の微細顔料と、上記のポリビニルアルコールをそれぞれ含有する塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させて得た層である。例えば、塗工液を塗工後、乾燥の初期段階で、増粘またはゲル化させることにより、乾燥時の熱風による記録層のひび割れを防ぐことができる。また、増粘またはゲル化させた状態で乾燥するため、嵩高であり、均質な多孔質である記録層が得られる。
塗工後、増粘またはゲル化させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、塗工液に配合したポリビニルアルコールと架橋反応可能な架橋剤を用いて増粘またはゲル化させる方法、電子線などのエネルギーを供給することにより増粘またはゲル化させる方法(例えば特開2002−160439号公報に開示)などが挙げられる。この中で、架橋剤剤を用いる方法は、特殊な装置や化合物を必要としないので好ましく、以下に代表例として説明する。
接着剤との架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸およびホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は、増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素含有化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが、塗工液を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、基材の片面に0.01〜2.0g/m含有されることが好ましい。含有量が2.0g/m以下であることにより、親水性バインダーとの架橋密度が高くなりすぎず、塗膜強度を良好なものにできる。一方、含有量が0.01g/m以上であることにより、ポリビニルアルコールとの架橋が強まり、塗工液のゲル化を促進して塗膜がひび割れしにくいものとなる。
記録層は、例えば、架橋剤を予め紙基材表面や下塗り層表面に塗布・含浸させておき、記録層用塗工液を塗布する、または、記録層用塗工液に架橋剤を配合しておき塗布する、または、記録層用塗工液を塗布後、架橋剤を塗布する等の方法により製造される。中でも、架橋剤を予め塗布しておくことにより、増粘またはゲル化を均一に起こすことができるため好ましい。また、下塗り層を有さない場合、架橋剤を紙基材表面に予め塗布しておくと、記録層用塗工液のポリビニルアルコールの多くが紙基材に浸透してしまうことを防ぐことができるので、よりひび割れを防ぐことができる。
本発明、このように、記録層用塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させて記録層を形成することにより、記録層のひび割れを防ぐことができる。因みに、記録層にひびが発生してしまうと、光沢感が損なわれるだけでなく、顔料インクタイプのインクジェットプリンタで出力した際に、顔料インク中の微細着色顔料が記録層のひびに流れ込んでしまい、滲みが発生してしまう。また、染料インクにおいても、記録層のひびの部分では染料が記録層の内部まで浸透してしまい、滲みや印字濃度の低下を生じることになる。
記録層にひびが発生してしまうと、たとえその表面にコロイダルシリカ等の層を形成したとしても、顔料インクを用いたときの滲みを改善することができない。
記録層は、2層以上形成することもでき、このように2層以上で構成する場合は、それぞれの層を構成する微細顔料やポリビニルアルコールは同じでも良いし、異なっていても構わないが、少なくとも、記録面に近い記録層は、増粘またはゲル化した後、乾燥して形成する必要がある。
記録層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータおよびダイコータ等の各種塗工装置が挙げられる。
また、スライドビードコータなどを用い、複数の記録層を同時に塗工することもできる。2層以上の記録層を塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
さらに、この塗工した記録層に、必要に応じてスーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。
記録層の塗工量は、乾燥塗工量が5〜40/m程度である。塗工量が5g/m未満であると、インクの定着能力が不十分となるばかりが、多層抄きされた紙基材の地合の悪さが表面に現れてしまい、光沢性が得られ難くなる。好ましくは8g/m以上、より好ましくは10g/m以上である。一方、塗工量が40g/mを超えると、インク中の染料が記録層の内部に浸透することにより印字濃度が低下するばかりか、記録層にひび割れが起こりやすくなる。好ましくは30g/m以下、より好ましくは25g/m以下である。なお、記録層のインク吸収性を高めるために、接着剤の配合量は少ないほど好ましくなるが、ひび割れがより発生し易い傾向にある。この場合、記録層の塗工量を20g/m以下にする、あるいは20g/m以下の塗工量で複数回塗工するとよい。
(インク定着剤)
記録層には、インク定着剤を配合する。インク定着剤は、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、これにより印字画像に耐水性を付与する。このインク定着剤には、カチオン性化合物が用いられ、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物、金属化合物が例示される。
カチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、(ロ)第2級または第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、またはそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(へ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。
低分子カチオン性化合物としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系またはジルコニウム系などのカチオン性カップリング剤やカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
金属化合物としては、水溶性アルミニウム化合物(例えば、塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等の無機塩、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーであるポリ水酸化アルミニウム化合物等)、水溶性ジルコニウム化合物(例えば、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等)、水溶性チタン化合物(例えば塩化チタン、硫酸チタン等)、水溶性ランタノイド属化合物(例えば、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン等)などの水溶性多価金属塩等が挙げられる。
これらのインク定着剤は単独に、また2種以上併用して用いられる。
(シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子)
上記カチオン性化合物は、乾式法シリカとの混合液中で乾式法シリカと凝集し、シリカ−カチオン性化合物凝集体を形成する。このため、このカチオン性化合物は、単体で用いるよりあらかじめ乾式法シリカと凝集体を形成して用いることが好ましい。シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を形成するために用いる単体の乾式法シリカは、平均粒子径が3〜40nmの1次粒子であるが、この凝集体微粒子は、実質的に1次粒子が凝集してできた二次粒子からなっている。シリカ−カチオン性化合物凝集体は、平均粒子径10〜1000nmとなるように粉砕・分散し、シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子として、記録層用塗工液に用いることが好ましい。粉砕・分散する方法としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダ、ナノマイザ(商品名)、ホモミキサ等が挙げられる。
顔料およびインク定着剤としてこのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、1種単独で、あるいは2種以上併用して用いられるが、これを用いることによって、記録層の透明性、表面強度、平滑性ならびにインクの吸収性、発色性、耐候性、耐水性等を向上させることができる。
記録層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、記録層中に、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
記録層中には、さらにインクの定着性を高め耐水性を向上させるために、単体のカチオン性化合物を配合してもよい。カチオン性化合物としては、上記シリカ−カチオン性化合物凝集体で用いたカチオン性化合物が例示でき、その中でも、水溶性樹脂あるいはエマルジョンのものが好ましく用いられる。また、この単体で配合するカチオン性化合物、特にカチオン性樹脂は、接着剤としての役割も併せて付与させる場合にしばしば用いられる。
<保護層>
本発明では、記録層は、上述のように、微細顔料と出来るだけ少量のポリビニルアルコールによる多孔質な記録層は、表面傷がつきやすいため、記録層上に、保護層を形成してもよい。保護層には、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、1μm以下のガラスビーズやプラスチックビーズ(例えばポリスチレンビーズ)を用いることができる。中でもコロイダルシリカを主成分とする保護層を形成することが好ましい。コロイダルシリカは、アニオン性であっても、カチオン性であっても構わない。また、球状であっても、非球状であっても構わない。更に、1次粒子径が5〜100nmの1次粒子が会合度1〜10の範囲で会合したコロイダルシリカであってもよく、カチオン樹脂や金属化合物で表面処理がほどこされていてもよい。
コロイダルシリカの粒子径は、5〜400nm程度であるが、200nm以下のものを用いると、記録濃度が高く、また光沢感もが高くなるので好ましい。コロイダルシリカは、自着性があるので、バインダーがなくても塗工可能であるが、表面傷を十分防ぐためには、バインダーを少量配合することが好ましい。過剰の配合は、インク吸収性を損なうことになるので、保護層に使用するバインダーは、コロイダルシリカ100質量部に対し1〜200質量部程度、より好ましくは10〜100質量部の範囲で調節される。バインダーとしては、上記記録層に用いた上述の接着剤のなかから選ばれ、単独であっても、または2種類以上であってもよい。なお、保護層中のコロイダルシリカがカチオン性である場合、ポリビニルアルコールやゼラチン、カチオン変性した接着剤を使用するとよく、アニオン性である場合は、ポリビニルアルコールやカゼイン、アニオン系の接着剤が使用可能である。
保護層の塗工量は、保護機能とインク吸収性のバランスから、0.1〜5g/m程度、好ましくは0.5〜3g/mである。保護層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータおよびダイコータ等の各種塗工装置が挙げられる。
また、保護層は、その塗工面が湿潤状態にある間に、塗工面を加熱した鏡面ロールに圧接し、乾燥するキャスト法により形成することも可能であり、高光沢な記録面が得られることから、特に好ましい保護層となる。キャスト法としては、ウェット法、ゲル化法、リウェット法など、公知の方法が採用できるが、保護層を塗工後、直ちに鏡面ロールに圧接するウエット法が好ましい。
(離型剤)
保護層をキャスト法により形成する場合、保護層の塗工面と鏡面ドラムの剥離をスムーズに行なうために、保護層の塗工液に離型剤を配合することが好ましい。
離型剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物が挙げられる。
離型剤の配合量は、コロイダルシリカ100質量部に対し0.1〜50質量部、好ましくは0.3〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部の範囲で調節される。ここで配合量が少ないと、離型性改善の効果が得られにくく、多いと逆に光沢が低下したり、インクのハジキや記録濃度の低下が生じたりする場合がある。
保護層を形成するための塗工組成物中には、白色度、粘度、流動性等を調節するために、一般の印刷用塗工紙やインクジェット用紙に使用されている顔料、消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤及び分散剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添加される。
<裏面層>
本発明では、上記の記録層等を設けていない紙基材のもう一方の面側である裏面に、写真の風合いを付与したり、ペン書き適性を付与したち、インクジェット用紙のカール防止効果を付与したり、プリンタ内の搬送性等の改良したりするために、裏面層を設けてもよい。裏面層には、特に限定するものではないが、例えば、顔料とバインダー系(例えば、コロイダルシリカとアクリル系エマルション型バインダー等)、有機エマルジョン系(例えば、シリコーン系エマルジョン型バインダー、アクリル系エマルジョン型バインダー等)、親水性・疎水性の接着剤系(例えば、澱粉やポリビニルアルコールの塗膜)、ラミネート(例えば、ポリエチレン等)、バインダーとサイズ剤(例えば、澱粉、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤など)等が挙げられる。また、導電剤を配合したり、着色剤、蛍光染料などを配合したりすることも可能である。また、裏面に記録層を形成することもできる。裏面の記録層は、インクジェット記録に限らず、感熱記録、熱転写記録、電子写真記録、磁気記録、印刷、筆記など、適宜形成することができる。
また、裏面にインクジェット記録体や他の記録体を貼り合わせて両面記録体としたり、裏面に粘着剤層を形成してラベルとしたり、磁気カードやICカードの表面に貼り合わせてカードとしたりなど、公知の手段を施すことができる。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り、質量部および質量%を示す。
<古紙パルプの製造方法>
(古紙パルプA)
パルパーにてケント古紙(灰分33.2%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、フォスフォスルフォンアミジン(FAS)を添加し漂白を行いながらディスパーザーを用いて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工社製)に通した後、フリーネスを300mlに調整し、古紙パルプAを得た。このパルプの灰分は11.8%、0.1mm以下の微細繊維は14.5%であった。
(古紙パルプB)
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナーおよびスクリーン)を通過させた後、ダブルデイスクリファイナーにより、フリーネスを350mlに調整し、古紙パルプBを得た。このパルプの灰分は18.8%、0.1mm以下の微細繊維は9.8%であった。
(古紙パルプC)
古紙パルプAをパルプ濃度10%に調整した後、二酸化塩素を対パルプ1%となるように添加し、60℃1時間処理することにより蛍光強度を97%低下させた古紙パルプCを得た。
(古紙パルプD)
古紙パルプAをパルプ濃度2%に調整した後、過硫酸アンモニウムを対パルプ1%(Kayaclean AW:日本化薬社製)と硫酸鉄を対パルプ0.4%(Kayaclean IK:日本化薬社製)配合し、pH2.5の条件下、60℃、5時間処理することにより蛍光強度を97%低下させた古紙パルプDを得た。
(古紙パルプE)
古紙パルプAをパルプ濃度1%に調整した後、硫酸バンドと苛性カリ水溶液でpHを7以下に保持した状態で、ポリアルキレンポリアミン・ジカルボン酸縮合物のポリアルキル4級アンモニウム塩(OP−603:一方社油脂工業社製)を対パルプ1重量%添加し、室温(20℃)1時間処理することにより蛍光強度を97%低下させた古紙パルプEを得た。
<紙基材の作製>
「紙基材A」
以下のような手抄紙作製方法により5層貼り合わせた紙基材を作成した。
(表層、裏層の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(表下,裏下の処方)
パルプ配合:古紙パルプA 100%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(中層の処方)
パルプ配合:古紙パルプB 100%
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
上記のように処方した各層の原料を150メッシュワイヤーの角型シートマシンで表層,裏層は目標坪量35g/m,表下層,裏下層は目標坪量35g/m、中層は目標坪量40g/mとなるように手抄きした。この湿紙を表層、表下層、中層、裏下層、裏層の層間には酸化デンプン2.5%の水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布して重ね合わせて、105℃のドラムドライヤーで3分間乾燥させて手抄き紙を得た。
表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として酸化デンプン2.5%、ポリビニルアルコール1.1%、オレフィン系表面サイズ剤有姿で0.4%の混合水溶液を作成した。この表裏面サイズ液をマイヤーバーで表面に絶乾固形分で2g/m,裏面に2g/m塗布し、風乾したものを小型キャレンダーで平滑化処理した。
「紙基材B」
紙基材Aにおいて、表層,裏層は目標坪量60g/m,表下層,裏下層は目標坪量60g/m、中層は目標坪量90g/mとなるように手抄きした以外、紙基材Aと同様にして紙基材Bを得た。
「紙基材C」
紙基材Aにおいて、表層,裏層は目標坪量90g/m,表下層,裏下層は目標坪量90g/m、中層は目標坪量120g/mとなるように手抄きした以外、紙基材Aと同様にして紙基材Cを得た。
「紙基材D」
以下のような手抄紙作製方法により3層貼り合せた紙基材を作成した。
(表層、裏層の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(中層の処方)
パルプ配合:古紙パルプA 100%
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
上記のように処方した各層の原料を150メッシュワイヤーの角型シートマシンで表層,裏層は目標坪量50g/m,中層は目標坪量90g/mとなるように手抄きした。この湿紙を表層、中層、裏層の層間には酸化デンプン2.5%の水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布して重ね合わせて、105℃のドラムドライヤーで3分間乾燥させて手抄き紙を得た。
表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として酸化デンプン2.5%、ポリビニルアルコール1.1%、オレフィン系表面サイズ剤有姿で0.4%の混合水溶液を作成した。この表裏面サイズ液をマイヤーバーで表面に絶乾固形分で2g/m,裏面に2g/m塗布し、風乾したものを小型キャレンダーで平滑化処理し、紙基材Dを得た。
「紙基材E」
紙基材Dにおいて、表層,裏層は目標坪量35g/m,中層は目標坪量50g/mとなるように手抄きした以外、紙基材Dと同様にして紙基材Eを得た。
「紙基材F」
以下のような手抄紙作製方法により5層貼り合わせた紙基材を作成した。
(表層、裏層の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプC50%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(表下、裏下の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプC50%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(中層の処方)
パルプ配合:古紙パルプB 100%
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
上記のように処方した各層の原料を150メッシュワイヤーの角型シートマシンで表層,裏層は目標坪量35g/m,表下層,裏下層は目標坪量35g/m、中層は目標坪量40g/mとなるように手抄きした。この湿紙を表層、表下層、中層、裏下層、裏層の層間には酸化デンプン2.5%の水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布して重ね合わせて、105℃のドラムドライヤーで3分間乾燥させて手抄き紙を得た。
表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として酸化デンプン2.5%、ポリビニルアルコール1.1%、オレフィン系表面サイズ剤有姿で0.4%の混合水溶液を作成した。この表裏面サイズ液をマイヤーバーで表面に絶乾固形分で2g/m,裏面に2g/m塗布し、風乾したものを小型キャレンダーで平滑化処理し、紙基材Fを得た。
「紙基材G」
以下のような手抄紙作製方法により5層貼り合わせた紙基材を作成した。
(表層、裏層の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプD50%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(表下、裏下の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプD50%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(中層の処方)
パルプ配合:古紙パルプB 100%
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
上記のように処方した各層の原料を150メッシュワイヤーの角型シートマシンで表層,裏層は目標坪量35g/m,表下層,裏下層は目標坪量35g/m、中層は目標坪量40g/mとなるように手抄きした。この湿紙を表層、表下層、中層、裏下層、裏層の層間には酸化デンプン2.5%の水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布して重ね合わせて、105℃のドラムドライヤーで3分間乾燥させて手抄き紙を得た。
表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として酸化デンプン2.5%、ポリビニルアルコール1.1%、オレフィン系表面サイズ剤有姿で0.4%の混合水溶液を作成した。この表裏面サイズ液をマイヤーバーで表面に絶乾固形分で2g/m,裏面に2g/m塗布し、風乾したものを小型キャレンダーで平滑化処理し、紙基材Gを得た。
「紙基材H」
以下のような手抄紙作製方法により5層貼り合わせた紙基材を作成した。
(表層、裏層の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプE50%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(表下、裏下の処方)
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプE50%。
サイズ剤 :ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.8%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
(中層の処方)
パルプ配合:古紙パルプB 100%
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ2.0%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ2.5%添加。
上記のように処方した各層の原料を150メッシュワイヤーの角型シートマシンで表層,裏層は目標坪量35g/m,表下層,裏下層は目標坪量35g/m、中層は目標坪量40g/mとなるように手抄きした。この湿紙を表層、表下層、中層、裏下層、裏層の層間には酸化デンプン2.5%の水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布して重ね合わせて、105℃のドラムドライヤーで3分間乾燥させて手抄き紙を得た。
表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として酸化デンプン2.5%、ポリビニルアルコール1.1%、オレフィン系表面サイズ剤有姿で0.4%の混合水溶液を作成した。この表裏面サイズ液をマイヤーバーで表面に絶乾固形分で2g/m,裏面に2g/m塗布し、風乾したものを小型キャレンダーで平滑化処理し、紙基材Hを得た。
実施例1
紙基材Aを用い、その片面に下記下塗り層用塗工液を8g/mとなるようにバーで塗工、乾燥、カレンダー処理を施した。
「下塗り層用塗工液の調製」
市販分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50)0.3部含有水溶液に、顔料として白色度90%、粒子径2μm以下の粒子が97%を含有するカオリン(イメリスミネラルズ・ジャパン社製、商品名:Contour Xtreme)100部を添加して分散し、カオリンの65%スラリーを調整した。平均粒子径が110nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PT1051、日本ゼオン社製、ガラス転移温度:10℃)を15部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬社製、商品名:WSA)0.3部(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度が56%の下塗り層用塗工液を調製した。
次いで、下塗り層上に、5%のホウ砂液を乾燥重量が1g/mとなるようにバーで塗工し、乾燥させた。次いで、下記記録層用塗工液を乾燥塗工量で20g/mとなるように、エアーナイフコータで塗工、乾燥した。
「記録層用塗工液の調製」
(シリカゾル(シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子)の調製)
市販乾式法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g、(株)トクヤマ製)をサンドグラインダにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。
該分散液にカチオン性化合物として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(商品名:PAS−J−81、日東紡績(株)製)10部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる8%分散液を調製しシリカゾルを得た。
(塗工液の調製)
上記シリカゾル100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA135、クラレ(株)製、重合度3500)15部を添加・攪拌し、更に水を添加し、固形分濃度12%の塗工液を得た。
次いで、記録層上に、下記保護層塗工液を乾燥塗工量が1.2g/mとなるように、鏡面ドラムのニップ部で塗布し、そのまま90℃に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げて、カード用光沢インクジェット用紙を得た。
(保護層用塗工液の調製)
カチオン変性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL、平均粒子径:45nm)100部、平均粒子径20nmのカチオンウレタンラテックス25部、カチオン離型剤(近代科学社製、商品名:ペルトールN−856)5部の5%混合液を塗工液とした。
実施例2
実施例1において、紙基材Aを紙基材Bに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例3
実施例1において、紙基材Aを紙基材Cに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例4
実施例1において、紙基材Aを紙基材Dに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
比較例1
実施例1において、紙基材Aを紙基材Eに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例5
実施例1において、紙基材Aを紙基材Fに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例6
実施例1において、紙基材Aを紙基材Gに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例7
実施例1において、紙基材Aを紙基材Hに変更した以外は実施例1と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
比較例2
実施例2において、下塗り層上に、5%のホウ砂液を塗工せず、記録層を塗工した以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
比較例3
実施例2において、下記記録層用塗工液を用いた以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
「記録層用塗工液の調製」
湿式シリカ(商品名:ファインシール(R)X−30、トクヤマ社製) :80部
軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP121、奥多摩工業社製) :20部
カチオン樹脂(商品名:ユニセンスCP103、センカ社製) :10部
界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製) :0.3部
酢酸ビニル系接着剤(商品名:ポリゾールAM3150、昭和高分子社製):15部
比較例4
実施例2の記録層用塗工液の調製において、ポリビニルアルコール(商品名:PVA135、クラレ(株)製)15部をポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ(株)製、重合度1700)に変更した以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例8
実施例2において、下塗り層を形成せず、紙基材Bのその片面に5%のホウ砂液を塗布した以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例9
実施例2において、保護層を形成せず、記録層を塗工後、ゲル化した状態でキャストした以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例10
実施例2において、保護層をバーコータで1.2g/m塗工し、ドライヤーで乾燥した以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
実施例11
紙基材Bを用いた以外は実施例1と同様にして下塗り層を形成した。次いで、下塗り層上に、35℃に加熱した下記記録層用塗工液を20g/mになるように塗布し、20℃に冷やしてから、50℃の乾燥器で乾燥を行った。次いで、実施例1と同様にして保護層を形成し、カード用光沢インクジェット用紙を得た。
「記録層用塗工液の調製」
(シリカゾル(シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子)の調製)
2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBE−603)の水溶液(876g、1%)に市販乾式法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA200)120g、乳酸4gを攪拌しながら添加し、サンドグラインダにより分散した後、圧力式ホモジナイザで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダと圧力式ホモジナイザの分散操作を繰り返し、水分散液を調製した。
(記録層用塗工液の調製)
上記シリカゾル100部に、ホウ酸4部を添加して溶解した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)15部を混合し、13%水分散液を調製した。
実施例12
実施例2において、下記記録層用塗工液を用いた以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
「記録層用塗工液の調製」
酸化アルミナ(フュームドアルミナ)スラリー(CABOT社製、商品名:PG−003、粒径:約0.25μm)100部に、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−140、重合度:4000、ケン化度:98.5%)11部を混合し、22%水分散液を調製した。
実施例13
実施例2において、下記記録層用塗工液を用いた以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
「記録層用塗工液の調製」
アルミナ水和物(擬ベーマイト)スラリー(触媒化成社製、商品名:AS−3、粒径:約0.5μm)、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−140、重合度:4000、ケン化度:98.5%)9部を混合し、12%水分散液を調製した。
実施例14
実施例2において、保護層を形成せず、下記記録層用塗工液を塗工後、ゲル化した状態でキャストした以外は実施例2と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
「記録層用塗工液の調製」
2次コロイダルシリカ粒子(平均一次粒子径が23nm、会合度が2.2のコロイダルシリカ、商品名:PL2、扶桑化学工業社製)50部と、湿式シリカの一種であるゲル法シリカ(平均粒子径0.3μm、1次粒子直径約10nm、グレース社製)50部を混合したスラリーに、カチオン樹脂(商品名:ユニセンスCP103、センカ社製)10部を配合し、サンドグラインダーで分散、粉砕処理をし、次いで、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)10部、離型剤(近代科学社製、商品名:ペルトールN−856)5部を配合して濃度20%の塗工液を調製した。なお、該塗工液は、スクリーンにより1μmを超える粗粒子を取り除いた。
比較例5
実施例14の記録層用塗工液の調製において、2次コロイダルシリカ粒子(平均一次粒子径が23nm、会合度が2.2のコロイダルシリカ、商品名:PL2、扶桑化学工業社製)を球状コロイダルシリカ(商品名:ST−20L、平均粒子径45nm、日産化学社製)に変更した以外は実施例14と同様にしてカード用光沢インクジェット用紙を得た。
上記実施例、比較例により得られたカード用光沢インクジェット用紙について、下記評価を行いその結果を表1に示す。
「重厚感」
得られたカード用光沢インクジェット用紙の重厚感を下記の評価で行なった。
◎:葉書よりも重厚感が感じられる。
○:葉書に近い重厚感がある。
△:従来のRC紙を用いたインクジェット記録用紙に近い感じがする。
×:マットタイプのインクジェット記録用紙に近い感じがする。
「光沢性」
得られたカード用光沢インクジェット用紙の光沢性を下記の評価で行なった。
◎:銀塩写真用紙に近い光沢感。
○:A2グレードの光沢系印刷用紙以上の光沢感。
△:A2グレードの光沢系印刷用紙に近い光沢感。
×:光沢感がほとんどない。
「ひび割れ」
得られたカード用光沢インクジェット用紙のひび割れの状態を75倍のルーペで観察し、下記の評価で行なった。
◎:ひび割れが全く見られない。
○:ひび割れが若干見られる。
△:ひび割れが全面に見られる。
×:ひび割れが全面に頻繁に見られる。
(インクジェット印字評価)
染料インクタイプのインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、G860)と顔料インクタイプのインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PC−G930)で、本発明のインクジェット記録用紙にフルカラー印字して、滲みの状態を目視観察し下記基準で評価した。
○:全く滲みがみられなく良好。
△:若干滲みがみられるが、実用上問題ない。
×:滲みが酷く、実用上問題となる。
「表面傷」
得られたカード用光沢インクジェット用紙の表面の傷の付き易さを摩擦試験機(スガ試験機社製)で評価した。
評価条件:裏面と光沢面とを接触させ荷重200gで、20回こすり、表面の傷の状態を目視で観察し、下記の評価で行なった。
◎:表面に全く傷が見られない。
○:表面に傷が若干見られる。
△:表面に傷が見られるものの、実用可能なレベル。
×:表面に著しく多くの傷が見られる。
Figure 2011104924
表1から明らかなように、本発明方法で製造されたカード用光沢インクジェット用紙は、重厚感、光沢感があり、ひび割れがなく、染料インク、顔料インクに対しても優れた記録適性を示すものであった。
本発明で製造されるカード用光沢インクジェット用紙は、従来にない重厚感と光沢感を示すものであり、断裁加工することにより、葉書、メッセージカード、プリペイドカードをはじめとする様々な用途に利用可能である。

Claims (5)

  1. 坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上、又は坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000〜5000のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工後、一旦増粘またはゲル化させた状態で乾燥させた記録層を有することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙。
  2. ゲル化がホウ素化合物とポリビニルアルコールの架橋反応によるゲル化である請求項1記載のカード用光沢インクジェット用紙。
  3. 記録層上に、コロイダルシリカを主成分とする保護層を有する請求項1又は2記載のカード用光沢インクジェット用紙。
  4. 紙基材が、古紙パルプを用紙中に40質量%以上含有した、3層以上の多層抄き合わせにより抄造された紙基材である請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード用光沢インクジェット用紙。
  5. 坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上、又は坪料150g/m以上の多層抄きされた紙基材上に設けた下塗り層上に、ホウ素化合物を塗工した後、乾式法シリカ、2次コロイダルシリカ粒子、アルミナ、及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の微細顔料と、重合度2000〜5000のポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗工し、該塗工液が増粘またはゲル化した状態で乾燥して記録層を形成することを特徴とするカード用光沢インクジェット用紙の製造方法。
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