JP2008036827A - インクジェット記録シート - Google Patents

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Abstract

【課題】高い表面光沢を実現でき、さらに、顔料インクに対して高い発色性と画像部の耐傷性を実現することができる光沢インクジェット記録シートを提供すること。
【解決手段】透気性の支持体上に少なくとも1層以上のインク受理層を設け、再湿法キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録シートにおいて、粒子径3μm以上22μm以下のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って製造されることを特徴とするインクジェット記録シート。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録シートに関するものであり、さらに詳しくは、顔料インクに対して高い発色性と画像部の耐傷性を実現することができる光沢インクジェット記録シートに関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
記録シートに要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録シートと称される、支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性結着剤からなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化、高性能化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなインクジェットプリンタの進歩に伴って、インクジェット記録シートも各種開発されてきている。このインクジェット記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インク吸収性が高い)、(2)インクのニジミのないこと(インク吸収性が高い)、(3)インクドットの真円性が高いこと、(4)色濃度が高いこと、(5)印字部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと等が挙げられる。
近年、インクジェット記録の用途の広がりにより、インクジェットプリンタも最大でもA4判用紙への印字を主目的とする幅の狭い、枚葉印刷を主体とする個人ユースの卓上プリンタから、A1判、A0判といった大判、さらには、それより大きな長尺物まで印字できるワイドプリンタまで幅の広い品揃えとなっており、名詞サイズの印字物から懸垂幕レベルの印字物まで幅広く用いられている。
ワイドプリンタの用途としては、ポスター、グラフィック、看板、懸垂幕等を挙げることができるが、そのほとんどは屋内あるいは屋外での掲示が主体である。そのため、見る人の目を引く必要があるため、マットタイプのインクジェット記録シートよりは光沢タイプのインクジェット記録シートが好ましく用いられている。
また、掲示物の場合、その掲示期間が長期に渡るため、染料インクより保存性に優れた顔料インクが用いられ、事実、現状のワイドプリンタのそのほとんどは顔料インクタイプである。そのため、顔料インクに対応したインクジェット記録シートも提案されている(特許文献1)。ところが、顔料インクの場合、インク自体の保存性は優れるものの、インクが記録シート表面に付着堆積しているだけなため物理的な力に弱く、すなわち印字部表面を擦ったり引っ掻いたりすることにより容易にインクが剥がれてしまい、長期間掲示している間に印字部に多数の傷が発生し画像の品位を落としてしまう。
インク受理層や最表層である保護層に有機顔料を含有させる提案が各種なされているが、そのほとんどは記録シートの搬送性改良を主目的としたものであり、また、表面の耐傷性改良を目的としたものでも印字後印字面を加熱処理し有機顔料を溶融緻密化させるなどの工程を経なければならなかった(特許文献2〜5)。顔料インクによる画像部の耐傷性を改良する手段として有機樹脂微粒子をインク受容層に含有させたインクジェット記録シートも提案されているが、爪等による引っ掻き傷には耐えられるものではなかった(特許文献6)。
特開2005−1373号公報 特開平11−301108号公報 特開2002−292997号公報 特開2003−170658号公報 特開2003−226072号公報 WO2002/034541号パンフレット
本発明の目的は、高い表面光沢を実現でき、さらに、顔料インクに対して高い発色性と画像部の耐傷性を実現することができる光沢インクジェット記録シートを提供することである。
上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、透気性の支持体上に少なくとも1層以上のインク受理層を設け、再湿法キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録シートにおいて、粒子径3μm以上22μm以下のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って製造されることを特徴とするインクジェット記録シートにより解決した。
再湿法キャスト処理時に最表層となるインク受理層が、少なくとも無機超微粒子、親水性結着剤を含有するとより好ましい。
本発明によれば、高い表面光沢性と顔料インクに対する高い発色性を持ち、さらに、顔料インクで印字した画像部が擦過された場合でも、インクが剥がれにくい光沢インクジェット記録シートを得ることができる。
以下、本発明のインクジェット記録シートを詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録シートは、支持体上に少なくとも1層以上のインク受理層を設け、再湿法キャスト処理をして製造される。再湿法キャスト処理とは、支持体に塗布されたインク受理層の塗工液を一旦乾燥、又は半ば乾燥した後、再湿液をインク受理層に接触させることにより再び可塑性を有した状態に戻した後、加熱されたキャストドラムに圧着し、インク受理層表面にキャストドラムの面を写し取る方法である。一般にキャストドラムの表面は鏡面に加工されており、これによって得られるインクジェット記録シートは、表面の平滑性が高く、光沢の高いものが得られる。
本発明のインクジェット記録シートのインク受理層は特に限定されないが、無機微粒子及び結着剤を含有するインク受理層が好ましい。無機微粒子の具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらのうち、インク吸収性の点で多孔性無機微粒子が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸カルシウム、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられる。
本発明に係わるインク受理層に含有する結着剤としては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;カゼイン、ゼラチンおよびそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸またはその共重合体等の親水性結着剤、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン樹脂ラテックス、アルキッド樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス等のラテックス系結着剤、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性結着剤、ポリビニルブチラール等が挙げられ、これらを1種以上使用できる。これらのうち、親水性結着剤およびラテックス系結着剤を各々1種ずつ以上含有すると塗層強度の点で好ましい。
また、本発明に係わるインク受理層は、良好な顔料インクの発色性、高い表面光沢を得る為に、再湿法キャスト処理時に最表層となるインク受理層が、少なくとも無機超微粒子、親水性結着剤を含有すると好ましい。
本発明に係るインク受理層で用いられる無機超微粒子とは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は、平均二次粒子径が500nm以下の無機超微粒子をいう。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、特開平10−181191号、特開平10−272833号、特開2001−199158号及び特開2002−331747号公報に記載されているような、機械的に粉砕した湿式法シリカ、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。さらに、好ましくは、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物等のコロイド粒子である。
尚、本発明でいう無機超微粒子の平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、無機超微粒子の平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折・散乱法を用いた粒度分布計により測定して得られる。
一般にシリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al23約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法及び気相法がある。その中で、気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法であり、該気相法で製造された非晶質シリカを気相法シリカという。
気相法シリカは、一般には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
本発明に係わる無機超微粒子に用いられる平均二次粒径500nm未満に粉砕した湿式シリカとは、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、カチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは50〜400nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を示す。ここでいう粉砕された湿式法シリカの平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
コロイダルシリカは湿式法で合成された一次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、その形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。本発明に係わるコロイダルシリカは、小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い形状、または三次元網目構造を有している非球状のものがより好ましい。細長い形状の粒子とは三次元方向には伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形状の粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、これら細長い形状の粒子が文字通り三次元的に絡まった網目状構造を有するものを指す。
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al23・nH2
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、光沢発現層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下することがある。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となることがある。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
本発明のインクジェツト記録シートには、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業(株))アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業(株))、M−200(以上、水澤化学工業(株))、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル(株))などを挙げることができる。
本発明において用いられるアルミニウム酸化物超微粒子は、γ型結晶であるγ型酸化アルミニウム微粒子が好ましく用いられる。γ型結晶は結晶学的に分類すると、さらにγグループとδグループに分けることができる。δグループの結晶形態を有する微粒子の方が好ましい。
γ型結晶微粒子のアルミニウム酸化物は、一次粒子の平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能であるが、一般に、一次粒子は二次凝集形態(以下、二次粒子と記す)を形成して、数千から数万nmにまで粒子径が大きくなる。このような大粒子径のγ型アルミナ結晶微粒子を使用すると、インク受理層の印字性、吸収性は良好であるものの、透明性に欠け、塗膜欠陥が発生しやすくなることがある。
γ型酸化アルミニウム微粒子ゾルを得るには、通常、数千から数万nmの二次粒子となっているγ型酸化アルミニウム結晶をビーズミルや超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザー等の粉砕手段によって、平均粒子径が200nm以下、好ましくは100nm以下の超微粒子になるまで粉砕する。平均粒子径が200nmを越えると、インク吸収性は増加するが、被膜が脆く、透明性が低下する。粉砕手段としては、超音波ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーを用いる方法が好ましく、ビーズミル等の他の粉砕方法では、γ型酸化アルミニウム結晶が硬い結晶であるために、粉砕容器から異物が混入しやすく、透明性の低下や欠陥の発生の原因となる。γ型酸化アルミニウム結晶微粒子は、インク吸収性に優れ、乾燥性、インク定着性等の印字品質もよく、超微粒子化することで、高比率でインク受理層の最表層に含有させても透明性に優れたインクジェット記録シートを得ることができる。
γ型酸化アルミニウム結晶微粒子は、市販品として、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエロジル(株))、γグループに属するAKP−G015(住友化学工業(株))などとして入手できる。
また、再湿法キャスト処理時に最表層となるインク受理層は、親水性結着剤を含有させることにより、再湿法キャスト処理時に再湿液によりインク受理層の可塑化が十分に行われ、良好なキャスト処理を行うことが出来る。親水性結着剤としては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;カゼイン、ゼラチンおよびそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ無水マレイン酸またはその共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸またはその共重合体、親水性ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係わるインク受理層に含有する親水性結着剤の配合量は、該インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば特に制限されない。好ましくは、無機微粒子100質量部に対して2〜100質量部である。さらに好ましくは、2〜50質量部である。
本発明に係わるインク受理層は、2層以上のインク受理層を積層して形成しても良く、各インク受理層の構成は異なっても良く特に限定されない。複数層のインク受理層とすることで、より高い表面光沢やインク吸収性が得られる場合がある。
本発明に係わるインク受理層は、表面の亀裂の発生を抑制するのが好ましい。インク受理層表面の亀裂を防ぐことにより、顔料インクでより高い発色濃度が得られる。インク受理層表面の亀裂は、再湿法キャスト処理後に亀裂が十分に抑制されていれば良いが、最表層のインク受理層形成時に亀裂の発生が抑制されていると特に好ましい。インク受理層表面の亀裂の発生を抑制する方法は特に限定されないが、例えば、特開2005−1373号公報、特開2005−153291号公報に記載のインクジェット記録材料と同様な方法を用いることが出来る。
本発明においてインク受理層には、種々の添加剤を含有させることも出来る。添加剤としては、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤力増強剤、乾燥紙力増強剤などが挙げられる。
本発明に係わるインク受理層は、支持体にインク受理層の塗液を塗布し、引き続き乾燥する事により形成される。インク受理層の塗液を塗布する装置には、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、サイズプレス、スプレーなどの各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで用いることができる。
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
本発明において、インク受理層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。
次に、本発明に係わる再湿液について説明する。本発明の再湿液は、少なくとも特定粒子径のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有することが必須となる。
ポリオレフィンとは、炭素−炭素二重結合を1個またはそれ以上含む脂肪族炭化水素の重合体を指し、工業的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンが実用化されている。具体的には、三井化学(株)よりポリオレフィンの微粒状ディスパージョンとしてケミパールシリーズが、住友精化(株)より粉体状のフローセンシリーズ、フロービーズシリーズが上梓されている。本発明におけるポリオレフィン粒子としては、素材がポリオレフィンであれば特に制限するものではないが、入手のしやすさの点で好ましくはポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子を用いることができる。
シリコーンとは、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合を骨格とし、そのケイ素にメチル基などの有機基が結合したポリマーである。本発明に係わるシリコーン粒子は、シリコーンの球形あるいは不定形の粒子である。具体的には、信越化学工業(株)よりKMPシリーズが、ジーイー東芝シリコーン(株)よりトスパールシリーズが上梓されている。本発明に係わるシリコーン粒子は、素材がシリコーンであれば特に制限するものではないが、これらのうち、ゴム弾性を有するシリコーン粒子は、特に画像部の耐傷性が良好で好ましい。
また、ポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子以外の粒子を再湿液に含有させたのでは、十分な画像部の耐傷性が得られない。
再湿法キャスト処理時の再湿液にポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有させることにより、再可塑化されたインク受理層の表面付近にこれら粒子が埋まり、粒子の一部がインク受理層表面から突き出した状態となり、画像部の耐傷性が向上する。粒子の全体がインク受理層中に埋まった場合には、十分な画像部の耐傷性が得られない場合がある。また、粒子がインク受理層中に十分に埋まっていない場合にも、十分な画像部の耐傷性が得られない場合がある。粒子の埋まり具合は、粒子の粒子径及びキャスト時のニップ圧などにより調節することが出来る。
再湿液に含有させるポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子の粒子径は、3μm以上22μm以下である。粒子径が3μm未満であると十分な画像部の耐傷性が得られない。また、粒子径が22μmを超えると、十分な表面光沢が得られなかったり、十分な画像濃度が得られない。
インク受理層表面に埋め込むポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子の量は、再湿法再湿液に含有させるポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子の濃度を調節する等の方法により行うことが出来る。インク受理層表面に埋め込むポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子の量が多すぎる場合には、高い画像部の耐傷性が得られるものの、印字部の発色性や表面光沢が不十分となる場合がある。また、インク受理層表面に埋め込むポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子の量が少なすぎる場合には、十分な画像部の耐傷性が得られない場合がある。インク受理層表面に埋め込むポリオレフィン粒子は、0.05g/m2〜2g/m2が好ましい。
本発明のインクジェット記録シートに用いられる支持体としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗工紙、クラフト紙、含浸紙など透気性の支持体を挙げることができるが、特に制限されず、好ましくは、いわゆる原紙を用いることができる。例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、結着剤及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙である。該原紙をそのまま本発明のインクジェット記録シートに係わる吸水性支持体としても良いし、さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていても良い。また、この様な原紙に、そのままインク受理層を設けてもよいし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を利用して平坦化処理をした後にインク受理層を設けてもよい。
実施例
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例に於いて示す「部」および「%」は特に明示しない限り質量部および質量%を示す。
<支持体1>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を1%スラリーに調製後、長網抄紙機を用いて坪量105g/m2で抄造し支持体1を得た。
<インク受理層塗液1>
合成非晶質シリカ(平均二次粒子径2.5μm)100部をホモジナイザーを用いて純水400部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液250部、水酸化ナトリウム0.5部を混合し、固形分濃度16.7%、pH8のインク受理層塗液1を調製した。
<アルミナ水和物の合成>
純水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、95℃で4時間加水分解を行った。その後、酢酸24gを加え、95℃にて40時間撹拌した後、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して分散し、固形分濃度が16%になるように濃縮して、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。なお、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は180nmであった。
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均一次粒子径を測定したところ、約20nmであり、アスペクト比6の平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物であった。
<インク受理層塗液2>
上記の16%の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を用いて、該アルミナ水和物分散液622部、これに4%ホウ酸水溶液13.1部、10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液62.9部、水1.6部を混合し、固形分濃度15.2%、pH4.0のインク受理層塗液2を調製した。
<インク受理層塗液3>
水472部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部、沈降法シリカ(BET法による比表面積130m2/g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径6μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液をビーズミルで処理して、シリカ濃度17.2%の湿式シリカ分散液を得た。この分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた湿式シリカ微粒子の平均二次粒子径は250nmであった。こうして得たシリカ分散液580部に固形分濃度4%ホウ酸水溶液20部、固形分濃度10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液200部を混合し、固形分濃度15.1%、pH4.0のインク受理層塗液3を調製した。
<インク受理層塗液4>
20%酸性コロイダルシリカ(平均一次粒子径40nm)618部に4%ホウ酸水溶液16.3部、10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液65.1部を混合し、固形分濃度18.7%、pH4.0のインク受理層塗液4を調製した。
<再湿液1>
水875部に、ポリオレフィン粒子分散液(三井化学(株) ケミパールW310、粒子径9.5μm、固形分濃度40%)124.8部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液1を調製した。
<再湿液2>
水875部に、ポリオレフィン粒子分散液(三井化学(株) ケミパールM200、粒子径6.0μm、固形分濃度40%)124.8部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液2を調製した。
<再湿液3>
水950部に、ポリオレフィン粒子(住友精化(株) フローセンUF20、粒子径22.0μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液3を調製した。
<再湿液4>
水950部に、シリコーン粒子(信越化学工業(株) KMP−597、粒子径5.0μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液4を調製した。
<再湿液5>
水950部に、シリコーン粒子(信越化学工業(株) KMP−598、粒子径13.0μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液5を調製した。
<再湿液6>
水950部に、シリコーン粒子(信越化学工業(株) KMP−701、粒子径3.5μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液6を調製した。
<再湿液7>
水875部に、ポリオレフィン粒子分散液(サンノプコ(株) SNコート950、粒子径20μm、固形分濃度40%)124.8部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液7を調製した。
<再湿液8>
水875部に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂粒子分散液(三井化学(株) ケミパールV100、粒子径12.0μm、固形分濃度40%)124.8部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液8を調製した。
<再湿液9>
水950部に、小麦でんぷん粒子(粒子径20.0μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液9を調製した。
<再湿液10>
水950部に、シリコーン粒子(信越化学工業(株) KMP−590、粒子径2.0μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液10を調製した。
<再湿液11>
水950部に、シリコーン粒子(信越化学工業(株) X−52−875、粒子径40μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液11を調製した。
<再湿液12>
水950部に、ポリエチレン粒子(三井化学(株) XM−221U、粒子径25μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液12を調製した。
<再湿液13>
水950部に、アクリル粒子(綜研化学(株) MR−7G、粒子径7μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液13を調製した。
<再湿液14>
水950部に、ポリスチレン粒子(積水化成品工業(株) SBX−8、粒子径8μm)50部を混合し、更にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、固形分濃度5%の再湿液14を調製した。
<再湿液15>
水1000部にアニオン系界面活性剤(日光ケミカル(株) OTP−75 固形分濃度75%)0.13部を混合し、再湿液15を調製した。
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液1を乾燥固形分12g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層1を形成した。さらに、インク受理層1上に、インク受理層塗液2を乾燥固形分10g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層2を形成した。このようにして得られた塗工紙の塗工面を、再湿液1に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度5m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液2を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例2のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液3を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例3のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液4を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例4のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液5を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例5のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液6を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例6のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液7を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例7のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1でインク受理層塗液2を用いる代わりにインク受理層塗液3を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例8のインクジェット記録シートを作製した。
実施例1でインク受理層塗液2を用いる代わりにインク受理層塗液4を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例9のインクジェット記録シートを作製した。
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液2を乾燥固形分15g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層を形成した。このようにして得られた塗工紙の塗工面を再湿液1に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度5m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例10のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例1)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液8を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例1のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例2)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液9を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例2のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例3)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液10を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例3のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例4)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液11を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例4のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例5)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液12を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例5のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例6)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液13を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例6のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例7)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液14を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例7のインクジェット記録シートを作製した。
(比較例8)
実施例1で再湿液1を用いる代わりに再湿液15を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例8のインクジェット記録シートを作製した。
評価
実施例1〜10,比較例1〜8で作製したインクジェット記録シートの印字部耐傷性、発色性、表面光沢を下記試験方法により評価を行った。
<試験方法>
(1)印字部耐傷性
実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートに顔料インク使用インクジェットプリンタ(キヤノン(株) imagePROGRAF W6200 モード;スペシャル5)を用いて、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各100%のベタ印字を行う。印字後24時間放置しておいた後、印字部を4cm×4cm×0.5cmの塩化ビニル製の板の角で強く擦り、インクの剥げ具合を目視で観察する。インクが全く剥がれず擦った跡も残っていないものを◎、インクが全く剥がれていないものの擦った跡が光沢差で判るものを○、僅かにインクが剥がれ落ち板に付着するものの、印字部でインク受理層まで見えていないものを△、明らかにインク受理層まで見えているものを×と判定した。実用的には、◎あるいは○である必要がある。
(2)発色性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートをA4判に断裁した後、顔料インク使用インクジェットプリンタ(キヤノン(株) imagePROGRAF W6200 モード;スペシャル5)ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色100%のベタ印字を行い、マクベスRD919で印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
(3)表面光沢
表面光沢は、JIS P 8142に準拠し、村上色彩技術研究所製デジタル光沢計GM−26D型を用いて入反射角度が75度で測定した。光沢度が65%以上であれば掲示物として視認性が良好であり、見栄えのする画像を印字することができる。
Figure 2008036827
表1中、実施例1〜10に示す様に、透気性の支持体上に少なくとも1層以上のインク受理層を設け、粒子径3μm以上22μm以下のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って作製されたインクジェット記録シートは、印字部の耐擦過性が非常に高く、かつ良好な印字部の発色性と高い表面光沢を兼ね備えていた。
粒子径3μm以上22μm以下のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有しない再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って作製された比較例8のインクジェット記録シートは、良好な印字部の発色性と高い表面光沢を兼ね備えていたが、印字部の耐擦過性が著しく劣った。
粒子径3μm以上22μm以下のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子以外の粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って作製された比較例1,2,6及び7のインクジェット記録シートは、印字部の耐擦過性が不十分であった。
粒子径3μm未満のシリコーン粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って作製された比較例3のインクジェット記録シートは、印字部の耐擦過性が不十分であった。また、22μmを超えるポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って作製された比較例4,5のインクジェット記録シートは、印字部の耐擦過性が非常に高かったが、表面光沢が低く、印字部の発色性が悪かった。

Claims (2)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも1層以上のインク受理層を設け、再湿法キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録シートにおいて、粒子径3μm以上22μm以下のポリオレフィン粒子またはシリコーン粒子を含有する再湿液を用いて再湿法キャスト処理を行って製造されることを特徴とするインクジェット記録シート。
  2. 再湿法キャスト処理時に最表層となるインク受理層が、少なくとも無機超微粒子、親水性結着剤を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。
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