JP2019116078A - インクジェット用記録媒体、インクジェット記録方法、及び、記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた曲面への貼り付け性及びインク吸収性を有し、かつ、屈曲時におけるインク受容層のクラックの発生を抑制したインクジェット用記録媒体、このインクジェット用記録媒体を用いたインクジェット記録方法、及び、記録物を提供する。【解決手段】 本発明のインクジェット用記録媒体は、剥離紙、前記剥離紙上の粘着層、前記粘着層上の下地層、及び、前記下地層上のインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、前記インク受容層は、平均一次粒径が1nm以上50nm以下の無機粒子、及び、平均重合度が4000以上のポリビニルアルコールを含み、前記インクジェット用記録媒体の剥離紙除去後の破断伸度が40%以上250%以下であることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット用記録媒体、インクジェット記録方法、及び、記録物に関する。
従来から手足の爪をマニキュア等で彩ることが行われてきたが、近年ではネイルアートの広まりにより、更に繊細な柄による爪の装飾が求められている。手軽に複雑な柄の装飾を楽しむ方法として、装飾が施されたシールを爪に貼る方法がある。特許文献1には、離形シート上に粘着層、下地層、装飾部を有し、装飾部がインクジェット印刷により形成された印刷層を有する装飾用シールが開示されている。
特開2014−50966号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の装飾用シールにはインクを吸収するインク受容層がないため、インク吸収性が十分ではないことが分かった。そのため、この装飾用シールの下地層上に、水性インクを用いてインクジェット印刷を行うことで装飾部を形成した場合、高精細なインク像を形成することが困難であることが分かった。
そこで、下地層上に、無機粒子およびバインダーを含むインク受容層を設けることによって、インク吸収性を向上させる検討を行った。しかしながら、無機粒子とバインダーを含有するインク受容層を形成した装飾用シールを用いた場合、爪の形状に合わせて装飾用シールを屈曲させた際に、インク受容層にクラックが生じることがあった。
したがって、本発明の目的は、優れた曲面への貼り付け性及びインク吸収性を有し、かつ、屈曲時におけるインク受容層のクラックの発生を抑制することが可能なインクジェット用記録媒体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記インクジェット用記録媒体を用いたインクジェット記録方法、及び、記録物を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
本発明にかかるインクジェット用記録媒体は、剥離紙、前記剥離紙上の粘着層、前記粘着層上の下地層、及び、前記下地層上のインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、前記インク受容層は、平均一次粒径が1nm以上50nm以下の無機粒子、及び、平均重合度が4000以上のポリビニルアルコールを含み、前記インクジェット用記録媒体の剥離紙除去後の破断伸度が40%以上250%以下であることを特徴とする。
また、本発明にかかるインクジェット記録方法は、上記インクジェット用記録媒体に、水性インクを付与してインク像を記録する工程を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる記録物は、上記インクジェット用記録媒体に水性インクによってインク像が記録されていることを特徴とする。
本発明によれば、優れた曲面への貼り付け性及びインク吸収性を有し、かつ、屈曲時におけるインク受容層のクラックの発生を抑制することが可能なインクジェット用記録媒体を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット用記録媒体を用いたインクジェット記録方法、及び、記録物を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、インクジェット用記録媒体を単に「記録媒体」と称することがある。また、記録媒体の剥離紙、粘着層、及び下地層をまとめて「基材」と称することがある。また、記録媒体から剥離紙を取り除いたものを「インク受容体」と称することがある。
本発明者らが鋭意検討したところ、曲面への貼り付け性及びインク吸収性の向上、並びに、屈曲時におけるインク受容層のクラックの抑制をすべて達成するためには、記録媒体が下記の要件を満たすことが重要であることを見出した。一つは、インク受容層が、平均一次粒径が1nm以上50nm以下の無機粒子、及び、平均重合度が4000以上のポリビニルアルコールを含むことである。そして、もう一つは、インクジェット用記録媒体の剥離紙除去後の破断伸度(すなわち、インク受容体の破断伸度)が40%以上250%以下であることである。この理由についての詳細は不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、インク吸収性の向上及び屈曲時におけるインク受容層のクラックの抑制のメカニズムについて説明する。本発明の記録媒体において、インク受容層は、ポリビニルアルコールと共に無機粒子を含有している。その結果、ポリビニルアルコールが膨潤することによるインクの吸収だけでなく、無機粒子によって形成された粒子間の空隙や無機粒子自体が有する空孔によるインクの吸収によって、記録媒体のインク吸収性を向上させることができる。一方で、無機粒子を含有することにより、記録媒体から剥離紙を取り除いたもの(インク受容体)を爪などの曲面に接着させるとき、無機粒子が起点となってインク受容層のクラックが発生しやすくなることが分かった。すなわち、このインク受容層のクラックは、従来、十分とは言えなかったインク吸収性を改善するためにインク受容層に含有させた無機粒子によって、新たに生じた課題である。
この課題に対して、本発明者らが検討したところ、平均一次粒径が1nm以上50nm以下という小さい粒径の無機粒子を用いること、及び、平均重合度が4000以上という長鎖の構造を有するポリビニルアルコールを用いることが重要であることが分かった。これは、粒径の小さい無機粒子が、長鎖のポリビニルアルコールに絡み付くように保持されることによって、無機粒子とポリビニルアルコールとの結着が強化され、インク受容層のクラックの発生が抑制されたものと本発明者らは推測している。
次に、曲面への貼り付け性の向上のメカニズムについて説明する。本発明者らが検討したところ、曲面への貼り付け性は、記録媒体が粘着層を有することだけでなく、記録媒体の剥離紙除去後の破断伸度と密接な関係のあることが分かった。本発明において破断伸度とは、サンプルである記録媒体から剥離紙を取り除いたもの(インク受容体)を引っ張って切断した時の、元のサンプルの長さに対する伸び量の割合である。破断伸度の値が大きいほどサンプルは弾性があって伸びやすいことを意味し、破断伸度の値が小さいほど硬く伸びにくいことを意味する。
インク受容体の破断伸度が40%以上であることにより、インク受容体が適度な柔軟性を有し、インク受容体が爪などの曲面に合わせて変形することができるため、曲面へ密着しやすく、曲面への貼り付け性が向上する。加えて、剥離紙を除いた後の基材(粘着層及び下地層)の伸縮に追従してインク受容層も変形することができるため、インク受容層の構成と合わせて相乗的にクラックが低減される。また、曲面貼り付け性の更なる向上とクラックの発生の更なる抑制の点から、インク受容体の破断伸度は60%以上であることが好ましい。一方、インク受容体の破断伸度が250%以下であることにより、インク受容体が過度に伸びないため、曲面に貼り付ける際のハンドリング性を向上させることができる。例えば、しわが入らないようにインク受容体を爪に貼り付けるために、インク受容体を適度に引っ張りながら貼り付けたとしても、この引っ張りによってインク受容体の形状が極端に変化しないため、爪の形状に合ったインク受容体を爪に貼り付けることができる。
以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。
[記録媒体]
本発明の記録媒体は、剥離紙、剥離紙上の粘着層、粘着層上の下地層、及び下地層上のインク受容層を有する。すなわち、記録媒体は剥離紙、粘着層、下地層、及びインク受容層をこの順に有する。また、本発明において、記録媒体は、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体である。さらに本発明の記録媒体は優れた曲面への貼り付け性を有することから、爪装飾用として用いることが好ましい。
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<剥離紙>
剥離紙の構成に関して特に制限はないが、剥離紙は、基紙、及び、粘着層に接する基紙上の剥離層を有することが好ましい。
基紙としては、フィルムまたは紙が用いられる。フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を用いることができる。紙としては、グラシン紙や上質紙を用いることができ、その片面または両面に、薬品の染み込みを抑制する目止め剤が塗工されていてもよい。基紙の厚さとしては、1μm以上200μm以下が好ましい。
剥離層を構成する剥離剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、天然ワックス、ポリエチレン等を用いることができる。これらの中でもシリコーン樹脂が好ましい。剥離層の厚さとしては、1μm以上50μm以下が好ましい。
記録媒体を爪などの曲面に貼り付ける際には、記録媒体からこの剥離紙を取り除き、粘着層を表面に露出させる。そして、接着させる対象物にその露出した粘着層の表面を接触させることで貼り付けることができる。
<粘着層>
粘着層は剥離紙の上に設けられる。そして、記録媒体において粘着層は剥離紙と接触している。粘着層を構成する粘着剤としては、テープ等の粘着剤として一般的に使用されているものの中から、任意に選ぶことができる。例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等を用いることができる。これらの中でも、アクリル系粘着剤が好ましく、主成分として、例えばアクリル酸エステル単独重合体、アクリル酸エステル単位2種類以上を含む共重合体、アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体のうち、少なくとも1種類を含むものが好ましい。さらに、人体に有害でない水性接着剤を用いることがより好ましく、特にアクリル系水性エマルジョンを用いることがより好ましい。粘着層の厚さとしては、5μm以上100μm以下が好ましい。
<下地層>
下地層は粘着層の上に設けられる。下地層としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の公知の合成樹脂を用いることができる。これらの中でも、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂が好ましい。下地層の厚さとしては、5μm以上100μm以下が好ましい。本発明において、下地層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。本発明において、下地層中の白色顔料の含有量は、1g/m以上30g/m以下であることが好ましい。なお、下地層と粘着層との間に別の層が設けられていてもよい。
<インク受容層>
本発明において、インク受容層は下地層の上に設けられる。インク受容層は単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。インク受容層の厚さ(インク受容層を2層以上有している場合は、インク受容層の厚さの総和)は、4μm以上50μm以下であることが好ましく、6μm以上30μm以下であることがより好ましく、6μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。なお、インク受容層と下地層との間に別の層が設けられていてもよい。
以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(無機粒子)
本発明において、クラックの発生を抑制する観点から、インク受容層は平均一次粒径が1nm以上50nm以下である無機粒子を含有することが重要である。また、インク受容層に含有される無機粒子の平均一次粒径は、1nm以上30nm以下であることが好ましく、3nm以上10nm以下であることがより好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒径は、記録媒体のインク受容層を電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
また、無機粒子の平均二次粒径は1nm以上500nm以下であることが好ましく、1nm以上300nm以下であることがより好ましく、10nm以上250nm以下がさらに好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明において、無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層形成用の塗工液に用いられることが好ましい。
本発明において、インク受容層中における、無機粒子の含有量(質量%)は、インク受容層全質量を基準として、65質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
本発明において、インク受容層を形成する際に塗布する無機粒子の塗布量(g/m)は、2g/m以上45g/m以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、好ましいインク受容層の厚さを形成しやすい。
本発明に用いる無機粒子としては、例えば、アルミナ水和物、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上記無機粒子の中でも、インクの吸収性が高い多孔質構造を形成することができるアルミナ水和物、アルミナ、シリカを用いることが好ましく、アルミナ水和物がより好ましい。これは、アルミナ水和物がアルミナ水和物以外の無機粒子と比較して、多孔質構造の空隙の割合が比較的大きいにもかかわらず、粉体のかさ密度が高いため、同じ量のバインダーを用いた場合であってもよりクラックの発生を抑制することができるためである。
インク受容層に用いるアルミナ水和物は、
一般式(X):Al3−n(OH)2n・mH
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
本発明においてアルミナ水和物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する方法などが挙げられる。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、ギブサイト型、ベーマイト型が知られている。尚、アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法によって分析することができる。本発明においては、これらの中でも、ベーマイト型のアルミナ水和物又は非晶質のアルミナ水和物が好ましい。具体例としては、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報などに記載されたアルミナ水和物や、市販品としてはDisperal HP14、HP18(以上、サソール製)などを挙げることができる。これらのアルミナ水和物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明において、アルミナ水和物のBET法で求められる比表面積が100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがより好ましい。ここでBET法とは、試料表面に大きさの分かっている分子やイオンを吸着させて、その吸着量から、試料の比表面積を測定する方法である。本発明においては、試料に吸着させる気体として、窒素ガスを用いる。
インク受容層に用いるアルミナとしては、気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナなどを挙げることができる。これらの中でも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ−アルミナを用いることが好ましい。気相法アルミナの具体例としては、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
本発明において、気相法アルミナのBET法で求められる比表面積が50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。また、150m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。
また、気相法アルミナの平均一次粒径は、5nm以上が好ましく、11nm以上がより好ましい。また、30nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
本発明に用いるアルミナ水和物及びアルミナは、水分散液としてインク受容層形成用の塗工液に混合することが好ましく、その分散剤として酸を使用することが好ましい。酸としては、
一般式(Y):R−SO
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。本発明においては、上記酸の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量に対して、1.0質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上1.6質量%以下であることがより好ましい。
インク受容層に用いるシリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。本発明においては、乾式法(気相法)により得られるシリカ(以下、「気相法シリカ」ともいう)を用いることが好ましい。これは、気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性が特に高く、また、屈折率が低いので、インク受容層に透明性を付与でき、良好な発色性が得られるためである。具体的に、気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
本発明において、気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上350m/g以下であることがより好ましい。
本発明において、気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層形成用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での気相法シリカの粒径は、50nm以上300nm以下であることがより好ましい。尚、分散状態での気相法シリカの粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明において、アルミナ水和物、アルミナ、シリカは混合して使用してもよい。具体的には、アルミナ水和物、アルミナ、シリカから選択される少なくとも2種を、粉体状態で混合、分散して分散液とする方法が挙げられる。本発明においては、無機粒子として、アルミナ水和物及び気相法アルミナを共に用いることが好ましい。その場合、インク受容層の最表面層に含まれる、アルミナ水和物の含有量(質量%)が、気相法アルミナの含有量(質量%)に対して、質量比率で60/40倍以上90/10倍以下、即ち、1.5倍以上9.0倍以下であることが好ましい。
(バインダー)
本発明において、インク受容層はバインダーを含有する。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着することができる材料を意味する。
本発明においては、インク受容層の強度及びインク吸収性の観点から、インク受容層中におけるバインダーの含有量が、無機粒子の含有量に対して、10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本発明において、バインダーとしては、平均重合度が4000以上のポリビニルアルコールを用いることが重要である。平均重合度が4000以上のポリビニルアルコールを用いることで、インク受容層自体の機械的強度を高めることができる。さらに、上述の通り、無機粒子とポリビニルアルコールとの結着が強化され、クラックの発生を抑制することができる。また、クラックの発生の抑制の点から、ポリビニルアルコールの平均重合度は4500以上であることが好ましい。また、ポリビニルアルコールの平均重合度の上限については特に制限はないが、例えば、インク受容層を形成する際のインク受容層形成用の塗工液の塗工性の点から、8000以下であることが好ましい。なお、本発明において平均重合度は、JIS−K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合である。本発明においてけん化度は、JIS−K6726の方法で測定した値を用いるものとする。
インク受容層形成用の塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールを水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコールの固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
さらにバインダーは、必要に応じて2種以上を用いることができる。ポリビニルアルコールと併用するバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール誘導体を用いることができ、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。他のバインダーとしては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。
(架橋剤)
本発明において、インク受容層は更に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールを用いるため、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明において、インク受容層中の架橋剤の含有量は、インク受容層中の無機粒子の含有量を基準として、5質量%以下であることが好ましい。また、インク受容層中の架橋剤の含有量は、1質量%以下がより好ましく、0質量%である(すなわち、インク受容層が実質的に架橋剤を含んでいない)ことがさらに好ましい。これは、インク受容層中における架橋剤の含有量を上記の範囲内に調整することによって、インク受容層に適切な柔軟性を持たせることができる。それにより、剥離紙を除去した記録媒体を爪に接着させる際にインク受容層も爪の形状に合わせて変形することができ、インク受容層のクラックの発生を更に抑制することができる。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
[記録媒体の製造方法]
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層形成用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層形成用の塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の製造方法>
剥離紙を構成する基紙がフィルムの場合の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、溶融押出成型法、溶液流延法、カレンダー法等が挙げられる。また、剥離紙を構成する基紙が紙の場合の製造方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を用いることができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
さらに、剥離層、粘着層、及び、下地層の製造方法としても、公知の方法を用いることができる。例えば、以下の方法を挙げることができる。まず、各層用の塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の基材を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、スクリーン印刷法、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。
<インク受容層の形成方法>
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層形成用の塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、スクリーン印刷法、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、自然乾燥や、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、上記の記録媒体に、記録ヘッドから水性インクを吐出してインク像を記録する工程を有するインクジェット記録方法である。
インクを記録ヘッドによって吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式や、インクに熱エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式が挙げられる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、インク像が記録された記録媒体の表面に、保護層形成用の塗工液を付与して保護層を形成する工程を有することが好ましい。保護層を形成することによって、記録媒体の機械的強度を向上させることができる。また、保護層に耐水性の材料を用いることによって、記録媒体の耐水性も向上させることができる。なお、保護層の材料については後述する。
その他、本発明のインクジェット記録方法は、インクとして水性インクを用いること、及び、記録媒体として上述の本発明のインクジェット用記録媒体を用いること以外、特に制限はなく、公知のものとすればよい。
(水性インク)
水系顔料インクは水及び色材を含有し、これ以外にも必要に応じて水溶性有機溶剤及びその他の成分を含有する。例えば、水性インク中には必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が含まれる。
水性インクに含有される色材としては公知のものを用いることができる。その中でも、記録媒体にインクを付与した後の表面の平滑性を維持するために、色材として染料を用いることが好ましい。
[記録物]
本発明の記録物は、上記の記録媒体に、水性インクによってインク像が記録されているものである。
水性インクとしては上記の水性インクを用いることができる。記録媒体にインクを付与した後の表面の平滑性を維持するために、水性インクは、色材として染料を含有することが好ましい。
また、記録物は、インク像が記録されたインクジェット用記録媒体上に、保護層を有することが好ましい。保護層を有することによって、記録媒体の機械的強度を向上させることができる。また、保護層に耐水性の材料を用いることによって、記録媒体の耐水性も向上させることができる。
保護層の材料としては、公知の合成樹脂や紫外線硬化樹脂を用いることができる。具体的には、ニトロセルロース、アクリル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
<保護層の形成方法>
本発明の印刷物において、保護層を形成する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。また、樹脂を溶解させるための溶剤として、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
<基材の作製>
(基材1の作製)
剥離紙、粘着層、及び下地層を有する、ルミナスチェンジ・オフベースシールクリア(ビー・エヌ製)を、基材1とした。
(基材2の作製)
剥離紙であるリードクッキングペーパー(ライオン製)上に、粘着層であるボンコートW−386(DIC製)を20μm塗工し、その上に下地層であるハイラップPO(三井化学ファブロ製)を貼り付けて基材2とした。
(基材3の作製)
剥離紙であるリードクッキングペーパー(ライオン製)上に、粘着層と下地層が一体となっている保護粘着フィルムNo.701(ニチバン製)を貼り付けて基材3とした。
(基材4の作製)
下地層として、ハイラップPOをルミラーT60 25μm(東レ製)に変更した以外は基材2と同様にして、基材4とした。
(基材5の作製)
粘着層と下地層として、保護粘着フィルムNo.701を塩ビマスキングテープNo.535Y(ニチバン製)に変更した以外は基材3と同様にして、基材5とした。
(基材6の作製)
基材1から剥離紙及び粘着層を取り除き、下地層のみとしたものを、基材6とした。
<インク受容層形成用の塗工液の調製>
(アルミナ水和物分散液の調製)
イオン交換水中に、固形分濃度が39.0質量%となるようアルミナ水和物DISPERAL HP14(サソール製)を添加した。次に、このイオン交換水とアルミナ水和物との混合液に、アルミナ水和物100部に対して、メタンスルホン酸1.3部および塩化カリウム0.1部を加えて撹拌し、さらにイオン交換水を添加して固形分濃度が35.0質量%のアルミナ水和物分散液とした。この分散液の平均二次粒径は150nmであった。
(湿式法シリカ分散液の調製)
アルミナ水和物を湿式法シリカAY−603(東ソー・シリカ製)にした以外はアルミナ水和物分散液と同様にして、湿式法シリカ分散液とした。この湿式シリカ分散液の平均二次粒径は6500nmであった。
(PVA1バインダー液の調製)
ポリビニルアルコールJP45(日本酢ビ・ポバール製、平均重合度:4500、けん化度:88mol%)をイオン交換水に溶解して、固形分濃度が10.0質量%のPVA1バインダー液とした。
(ウレタンバインダー液の調製)
ポリウレタン水分散体スーパーフレックス650(第一工業製薬製、平均粒径:0.01μm)を、固形分濃度が25.0質量%のウレタンバインダー液とした。
(PVA2バインダー液の調製)
ポリビニルアルコールJP45をポリビニルアルコールPVA235(クラレ製、平均重合度:3500、けん化度:88mol%)に変更した以外はPVA1バインダー液と同様にして、PVA2バインダー液とした。
(PVA3バインダー液の調製)
ポリビニルアルコールJP45をポリビニルアルコールJMR−500P(日本酢ビ・ポバール製、平均重合度:5000、けん化度:88mol%)に変更した以外はPVA1バインダー液と同様にして、PVA3バインダー液とした。
(PVA4バインダー液の調製)
ポリビニルアルコールJP45をポリビニルアルコールJMR−800P(日本酢ビ・ポバール製、平均重合度:8000、けん化度:88mol%)に変更した以外はPVA1バインダー液と同様にして、PVA4バインダー液とした。
(架橋剤水溶液の調製)
オルトホウ酸をイオン交換水に溶解して、固形分濃度が5.0質量%の架橋剤水溶液を得た。
(インク受容層形成用の塗工液の調製)
無機粒子100部に対してバインダーおよび架橋剤が表1に示す割合となるように、上記の無機粒子分散液、バインダー液、架橋剤水溶液を混合し、適宜イオン交換水を加えて、全固形分濃度が22.0質量%の各インク受容層形成用の塗工液を得た。
<記録媒体の作製>
表1に示す通りに、基材上に、バーコーターを用いて、得られた各インク受容層形成用の塗工液を塗工した。これを温度23℃、相対湿度50%の環境下で1日間自然乾燥させ、実施例1〜15および比較例1〜7の各記録媒体を得た。
<評価>
本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のAおよびBを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。なお、下記の各評価において記録媒体に画像を印刷するインクジェット記録装置として、PIXUS TS9030(キヤノン製)を用いた。この記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約11ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、画像デューティーが100%であると定義した。また、印刷時の温度は23℃、相対湿度は50%とした。
(破断伸度)
得られた記録媒体に対して、引張試験機(製品名:AGS−1kNX、島津製作所製)を用い、JIS K 7127:1999に従って破断伸度を測定した。測定対象としては記録媒体から剥離紙をはがしたもの(インク受容体)を用いた。
(曲面貼り付け性)
得られた記録媒体のインク受容層が形成されている側の表面に、画像デューティーが100%の黒色で、フォントサイズが14ptのアルファベット「a」、「b」、及び「c」を印刷した。そして、記録媒体を爪の形状に合わせて切り取り、さらにそのアルファベットが印刷された記録媒体から剥離紙を剥がし、直径が10cmである円柱状物体の側面(曲面)に、しわが入らないようにインク受容体を適度に引っ張りながら貼り付けた。この円柱状物体への貼り付きの状態を目視にて観測し、曲面貼り付け性を評価した。
A:剥離紙を除去した後の記録媒体(インク受容体)が浮きなく円柱状物体の側面に接着していた。
C:剥離紙を除去した後の記録媒体(インク受容体)に浮きが生じ、円柱状物体の側面に接着していなかった、または、円柱状物体の側面に貼り付ける際に、インク受容体が広がってしまい、爪のサイズより大きくなってしまった。
(インク吸収性)
得られた記録媒体のインク受容層が形成されている側の表面に、画像デューティー120%でシアンインクとイエローインクを付与して、グリーンのベタ画像を印刷した。この記録媒体上に印刷されたグリーンのベタ画像を目視により観察し、インクの吸収状態を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:インク受容層の表面におけるインクの吸収ムラがほとんど見られなかった。
B:インク受容層の表面におけるインクの吸収ムラが少し見られた。
C:インク受容層の表面からのインクのあふれが見られた。
(耐クラック性)
得られた記録媒体に対して、画像デューティーが100%の黒色のベタ画像を印刷した記録媒体と、印刷しなかった記録媒体とをそれぞれ準備した。そして、この2つの記録媒体をそれぞれインク受容層が形成されていない側(剥離紙が表面に存在する側)の表面が内側になるように2つ折りし、2kgの荷重で1分間折り曲げた状態を維持した。そして、折り曲げてから1分経過後、折り曲げた状態を元に戻し、目視により折り目部分におけるクラックで観察し、耐クラック性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:印刷しなかった記録媒体および黒色のベタ画像を印刷した記録媒体のいずれにおいても、折り目においてクラックが確認できなかった。
B:印刷しなかった記録媒体では折り目においてクラックは確認できなかったが、黒色のベタ画像を印刷した記録媒体では、確認できる程度の小さなクラックがある
C:印刷しなかった記録媒体および黒色のベタ画像を印刷した記録媒体のいずれにおいても、折り目においてクラックが確認できた。
以上の評価結果を表2に示す。
表2に記載の通り、実施例1〜15は、曲面貼り付け性、インク吸収性、及びクラックの評価のいずれにおいても「A」または「B」という良好な結果が得られた。一方、比較例1〜7は、曲面貼り付け性、インク吸収性、及びクラックのうちのいずれかの評価において「C」という十分ではない結果が得られた。なお、比較例4〜6の曲面貼り付け性の評価のうち、比較例4及び6の評価結果が「C」となっているのは、インク受容体に浮きが生じ、円柱状物体の側面に接着していなかったためである。また、比較例5の曲面貼り付け性の評価結果が「C」となっているのは、円柱状物体の側面に貼り付ける際に、インク受容体が広がってしまい、爪のサイズより大きくなってしまったためである。

Claims (12)

  1. 剥離紙、前記剥離紙上の粘着層、前記粘着層上の下地層、及び、前記下地層上のインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、
    前記インク受容層は、平均一次粒径が1nm以上50nm以下の無機粒子、及び、平均重合度が4000以上のポリビニルアルコールを含み、
    前記インクジェット用記録媒体の剥離紙除去後の破断伸度が40%以上250%以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記インク受容層の厚さが、6μm以上20μm以下である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記インク受容層中のポリビニルアルコールの含有量が、前記インク受容層中の無機粒子の含有量を基準として、10質量%以上40質量%以下である請求項1または2に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 前記インク受容層中の架橋剤の含有量が、前記インク受容層中の無機粒子の含有量を基準として、5質量%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  5. 前記無機粒子がアルミナ水和物である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  6. 前記無機粒子は、平均二次粒径が1nm以上500nm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体に、記録ヘッドから水性インクを吐出してインク像を記録する工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 前記水性インクが染料を有する請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記インク像が記録されたインクジェット用記録媒体の表面に、保護層形成用の塗工液を付与して保護層を形成する工程を有する請求項7または8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体に水性インクによってインク像が記録されていることを特徴とする記録物。
  11. 前記水性インクが染料を有する請求項10に記載の記録物。
  12. 前記記録物は、前記インク像が記録されたインクジェット用記録媒体上に、保護層を有する請求項10または11に記載の記録物。
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