JP2016165889A - 記録媒体 - Google Patents

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喬 杉浦
亮 田栗
Ryo Taguri
亮 田栗
真也 湯本
Masaya Yumoto
真也 湯本
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Naotoshi Miyamachi
尚利 宮町
哲朗 野口
Tetsuro Noguchi
哲朗 野口
久男 加茂
Hisao Kamo
久男 加茂
和彦 荒木
Kazuhiko Araki
和彦 荒木
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Abstract

【課題】 耐折り割れ性及びインク吸収性に優れた記録媒体を提供すること。
【解決手段】 基材、および、該基材上にインク受容層を有する記録媒体において、該インク受容層は、無機粒子と水溶性樹脂とを含み、記録媒体のマルテンス硬さHM1およびHM2が特定の関係を満たすことを特徴とする記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は記録媒体に関する。
インクによって画像が形成される記録媒体では、インク吸収性を向上させるために、基材上にシリカやアルミナ等の無機粒子を主体として形成された多孔質インク受容層を有する記録媒体が知られている。
しかしながら、多孔質インク受容層は、応力が加わった際に割れてしまうことがあった。このインク受容層の割れを抑制するために、特許文献1では、インク受容層中にポリビニルアルコールとウレタン、シリカを含有し、ダイナミック硬度が9以上であるインクジェット記録用媒体が提案されている。
特開2006−212994号公報
近年、インク受容層を有する記録媒体を用いて、オンデマンドで好みの写真、又は文字や図形を混在させた写真を印刷し、フォトブックやフォトアルバム等に製本することが行われている。
この製本工程において、一方の面のみに印刷した記録媒体に折り目を入れ、印刷面が内側となるように折り目に沿って折り、記録媒体の印刷されていないもう一方の面を貼り合わせて、記録媒体同士を綴じ合わせる製本方式が用いられることがある。この製本方式では、折り目を中心として見開きが可能であり、ページをまたぐ大きな写真や画像を配置したフォトブックやフォトアルバムを作製することができる。
このような見開きが可能なフォトブック、フォトアルバムを製本する際、折り目の部分でインク受容層が割れ、折り部の色が白くなり画像品位が低下してしまうことがあった。そのため、高い耐折り割れ性を有する記録媒体が求められている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の記録媒体は、十分な耐折り割れ性を得ることができなかった。
本発明は、耐折り割れ性及びインク吸収性に優れた記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
即ち本発明は、基材、および、該基材上にインク受容層を有する記録媒体において、該インク受容層は、無機粒子と水溶性樹脂とを含み、該記録媒体の表面から厚み方向に1μmの深さまで、圧子を500mNの荷重で180秒かけて押し込んだ際のマルテンス硬さをHM1とし、圧子を該記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げた後、1回目に圧子を押し込んだ箇所と同一の箇所に対して、圧縮開始位置から厚み方向に1μmの深さまで、圧子を500mNの荷重で180秒かけて押し込んだ際のマルテンス硬さをHM2としたとき、該HM1が40N/mm以下であり、該HM1に対する該HM2の変化率(HM2/HM1×100)が400%以下であることを特徴とする記録媒体である。
本発明によれば、耐折り割れ性及びインク吸収性に優れた記録媒体を提供することができる。
マルテンス硬さ(HM1)を測定する前の、圧子を記録媒体の表面に押し込む前の状態を示す模式図である。 マルテンス硬さ(HM1)を測定するために、記録媒体の表面から厚み方向に1μmの深さまで圧子を押し込んだ状態を示す模式図である。 マルテンス硬さ(HM1)を測定した後、圧子を記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げた状態を示す模式図である。 マルテンス硬さ(HM2)を測定するために、圧縮開始位置から厚み方向に1μmの深さまで圧子を押し込んだ状態を示す模式図である。 マルテンス硬さ(HM2)を測定した後、圧子を記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げた状態を示す模式図である。
本発明では、インク受容層に無機粒子と水溶性樹脂を含有する。そして、特定のマルテンス硬度を有する記録媒体とすることで、十分な耐折り割れ性が得られることを本発明者らは見出した。すなわち、本発明にかかる記録媒体は、製本工程で荷重をかけて折り、さらに、フォトブックの開閉時のように繰り返し折り曲げられる場合であっても、折り部の色が白くなりにくい。
まず、本発明にかかるマルテンス硬さと耐折り割れ性の関係について説明する。
製本時の記録媒体を折る工程において、折り部に位置するインク受容層は外部応力により圧縮される。圧縮により、折り部のインク受容層中の無機粒子の二次粒子間の空隙が潰れ、インク受容層中の無機粒子同士がより密に存在するようになり、折り部のインク受容層が硬くなる。硬化した部分のインク受容層は一般的に脆化し易くなる為、折り目部分のインク受容層が割れ易くなる。すなわち、外部応力による圧縮から解放された際に、折り部のインク受容層が欠落して基材が露出するため、折り部の色が白くなると考えられる。特に、フォトブックやアルバムに用いられる記録媒体の場合、フォトブックやアルバムの開閉、すなわち、折り部が繰り返し折り曲げられる場合であっても、折り部のインク受容層が欠落しないことが重要である。
そのためには開閉(圧縮・圧縮解放)を繰り返しても折り部のインク受容層が脆化しないこと、すなわち、開閉(圧縮・圧縮解放)による硬度変化が小さいことが必須となる。
本発明者らは、インク受容層の圧縮時の硬さの変化に着目し、検討した結果、インク受容層のマルテンス硬さと、耐折り割れ性に相関があることを見出し、本発明に至った。
具体的には、該記録媒体の表面から厚み方向に1μmの深さまで、圧子を500mNの荷重で180秒かけて押し込んだ際のマルテンス硬さをHM1とする。そして、圧子を該記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げた後、1回目に圧子を押し込んだ箇所と同一の箇所に対して、圧縮開始位置から厚み方向に1μmの深さまで、圧子を500mNの荷重で180秒かけて押し込んだ際のマルテンス硬さをHM2とする。このとき、該HM1が40N/mm以下であり、該HM1に対する該HM2の変化率(HM2/HM1×100)が400%以下であることが、優れた耐折り割れ性を得るために重要である。
また、耐折り割れ性を更に向上させるために、HM1は30N/mm以下であることが好ましい。また、耐折り割れ性を更に向上させるために、変化率(HM2/HM1 ×100)は350%以下であることが好ましい。
[マルテンス硬さHM1およびHM2の測定方法]
以下に、本発明におけるマルテンス硬さHM1およびHM2の測定方法について説明する。
本発明におけるマルテンス硬さは、ISO14577に準拠して測定する。ISO14577に準拠したマルテンス硬さの測定では、圧子に荷重をかけて、できた圧痕の深さと硬さをその場で測定する測定法である。マルテンス硬さを測定するための測定装置としては、ピコデンター(HM500、フィッシャーインストルメンツ社製)等を用いることができる。
マルテンス硬さHM1およびHM2の測定手順について、図1〜5を用いて説明する。
図1に記載の通り、記録媒体1は、基材2とインク受容層3を有する。インク受容層3を有している側の記録媒体1の表面の圧縮開始位置(1)まで、圧子を押し下げる。そして、圧子を圧縮開始位置(1)から図2に示す記録媒体の厚み方向に1μmの深さまで、500mNの荷重で180秒かけて押し込む。この時に得られたマルテンス硬さをHM1とした。
次に、マルテンス硬さHM1を測定した後、図3に示すように、圧子を一旦記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げる。そして、1回目に圧子を押し込んだ箇所と同一の箇所に対して、再度圧子を押し下げ、圧子を図3の6で示される圧縮開始位置(2)から図4に示す1μmの深さまで、500mNの荷重で180秒かけて押し込む。この時に得られたマルテンス硬さをHM2とした。
マルテンス硬さHM2を測定した後は、図5に示すように、圧子を記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げ、除荷する。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
[記録媒体]
本発明の記録媒体は、基材と、インク受容層とを有する。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、例えば、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂皮膜紙)などの紙類、フィルムからなるもの等を好ましく使用できる。このフィルムとしては例えば、下記の透明な熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート。
これらの基材以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など)を基材として使用できる。また、ガラスまたは金属などからなるシートなどを基材として使用しても良い。
さらに、記録媒体として銀塩写真と同等の画質と風合いを付与する場合において、基材として好ましく用いられる基材としては、少なくともインク受容層が設けられる一方の面(表面側)をポリオレフィン樹脂で被覆したレジンコート紙が好ましい。より好ましくは両面をポリオレフィン樹脂で被覆したレジンコート紙である。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
またレジンコート層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。本発明において、樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、空く色顔料の分散安定性の観点から、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。
また、基材の厚さには特に制限はないが、25μm以上500μm以下であることが好ましい。基材の厚さが25μm以上であれば、記録媒体の剛性が低くなることを優れて防ぎ、その記録媒体を手にした時の感触や質感の劣化および不透明性の低下などの不都合が生じるのを優れて防ぐことができる。また、基材の厚さが500μm以下であれば、記録媒体が剛直になり扱いにくくなることを優れて防ぎ、プリンタでの給紙走行をスムーズに行うことができる。基材の厚さのより好ましい範囲は50μm以上300μm以下である。また、基材の坪量にも特に制限はないが、25g/m以上500g/m以下であることが好ましい。なお、本実施形態に用いる基材は、表面の平滑性の観点から、非透気性の基材であることが好ましい。
<インク受容層>
本発明において、インク受容層は無機粒子と水溶性樹脂とを含む。
インク吸収性を更に向上させるために、インク受容層に含有される無機粒子はアルミナ及びシリカから選ばれる少なくとも一種の無機粒子であることが好ましい。
また、耐折り割れ性を更に向上させるために、インク受容層は、さらに非水溶性樹脂を含有していることが好ましい。
インク受容層の層厚は、15μm以上35μm以下であることが好ましく、より好ましくは、20μm以上35μm以下である。インク受容層の層厚が上記範囲内であることによって、インク吸収性と耐折り割れ性をより向上させることができる。
また、インク受容層は単層または複数層であってもよい。
本発明において、発色性及びインク吸収性を改善するために、インク受容層は、基材側から順に、インク受容層(A)およびインク受容層(B)を有することが好ましい。また、インク受容層(B)は、アルミナまたは気相法シリカと、水溶性樹脂を含有していることが好ましい。
また、インク受容層(B)の層厚はインク吸収性及び耐折り割れ性をより向上させるために、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
尚、本発明における層厚とは、絶乾時の層厚であり、走査電子顕微鏡を用いて断面を4点測定した平均値である。本発明では、層厚を測定する対象を四角形とし、四隅から四角形の重心方向に1cm離れた部分を4点としている。
本発明のインク受容層は、インク受容層形成用塗工液の固化物であり、インク受容層形成用塗工液を基材上に塗工、乾燥して形成される。また、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
以下、インク受容層に含まれる構成材料について詳細に説明する。
(アルミナ)
本発明におけるアルミナとは、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ、アルミナ水和物等が挙げられる。これらの中でも、画像濃度、インク吸収性の観点から、γ−アルミナ、アルミナ水和物が好ましい。
γ−アルミナとしては市販の気相法γ−アルミナ(例えば商品名:AEROXIDE Alu C、EVONIK製)が挙げられる。
アルミナ水和物としては、下記一般式(X)により表されるものが好ましい。
Al−n(OH)2n・mHO・・・・(X)
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。また、加熱するとmは0の値に達することがある。)
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型が知られており、これらのうち、何れの結晶構造のものも使用可能である。これらの中でも好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造、又は非晶質を示すアルミナ水和物である。具体的には、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されたアルミナ水和物を挙げることができる。本発明に用いるアルミナ水和物の形状の具体例としては、不定形のものや、球状、板状等の定形の形態を有しているものが挙げられる。不定形或いは定形のいずれかを使用してもよいし、併用してもよい。特に一次粒子の数平均粒径が5nm以上50nm以下のアルミナ水和物が好ましく、アスペクト比2以上の板状アルミナ水和物が好ましい。アスペクト比は、特公平5−16015号公報に記載された方法により求めることができる。すなわち、アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で示される。ここで「直径」とは、アルミナ水和物を顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を示す。
アルミナ水和物は、米国特許第4,242,271号明細書、同第4,202,870号明細書に記載されているような、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法やアルミン酸ナトリウムを加水分解する方法等の公知の方法で製造できる。また、アルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和する方法等の公知の方法でも製造することができる。本発明に用いるアルミナ水和物の具体例としては、X線回折法による分析でベーマイト構造もしくは非晶質を示すアルミナ水和物が挙げられる。特に、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物が挙げられる。更に、アルミナ水和物の具体例としては、市販のアルミナ水和物(例えば商品名:DISPERAL HP14、サソール製)を挙げることができる。
また、本発明において、アルミナのBET法で求められる比表面積(BET比表面積)が100m/g以上250m/g以下であることが好ましく、125m/g以上200m/g以下であることがより好ましい。ここでBET法とは、試料表面に大きさの分かっている分子やイオンを吸着させて、その吸着量から、試料の比表面積を測定する方法である。本発明においては、試料に吸着させる気体として、窒素ガスを用いる。
アルミナ及びアルミナ水和物は混合して用いてもよい。混合する場合は、アルミナ及びアルミナ水和物を粉体状態で混合、分散して分散液(ゾル)としてもよいし、アルミナ分散液とアルミナ水和物分散液とを混合してもよい。
本発明において、アルミナは水に分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態でのアルミナの平均二次粒子径は、0.1nm以上500nm以下が好ましく、更には、1.0nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上250nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
(シリカ)
本発明におけるシリカとしては、公知のシリカを用いることができるが、その中でも気相法シリカが好ましい。
気相法シリカとは、一般的には、四塩化ケイ素、水素、酸素を燃焼させることにより製造されるシリカのことであり、乾式シリカ又はフュームドシリカとも呼ばれることがある。気相法シリカとしては、インク吸収性、画像濃度、塗布乾燥時のひび割れ抑制の観点から、BET法による比表面積が50m/g以上400m/g以下のものが好ましく、200m/g以上350m/g以下のものがより好ましい。気相法シリカの具体例としては、市販の気相法シリカ(例えば商品名:AEROSIL300、EVONIK社製)を挙げることができる。
気相法シリカは、分散剤及び媒染剤としてのカチオン性樹脂、多価金属塩等と混合し、水に分散することが好ましい。
カチオン性樹脂の例としてはポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミド縮合物等を挙げることができる。これらのカチオン性樹脂は、それぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いても良い。
また、多価金属塩の例としてはポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムがなどのアルミニウム化合物が好ましい。
本発明において、気相法シリカは水に分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での気相法シリカの平均二次粒子径は、0.1nm以上500nm以下が好ましく、更には、1.0nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上250nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
(水溶性樹脂)
本発明において、インク受容層に含有される水溶性樹脂は、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる結着樹脂として使用されることが好ましい。
本発明においては、インク受容層に含有される水溶性樹脂は、インク吸収性の観点から、無機粒子100質量部に対して、35質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。また、耐折れ割れ性の観点から、無機粒子100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
また、インク受容層がインク受容層(A)およびインク受容層(B)を有する場合、インク受容層(A)に含有される水溶性樹脂は、インク吸収性の観点から、無機粒子100質量部に対して、35質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。また、耐折れ割れ性の観点から、無機粒子100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、インク受容層(B)に含有される水溶性樹脂は、インク吸収性の観点から、インク受容層(B)中の無機粒子100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましい。また、耐折れ割れ性の観点から、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
本発明において、水溶性樹脂としては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセトアミド、並びに、それらの誘導体などが挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記の樹脂の中でも、塗布乾燥時のクラック抑制や膜耐水性の観点からポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS−K6726の方法で測定した値を用いるものとする。
また、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体の平均重合度は、2500以上が好ましく、3000以上5000以下がより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS−K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールのガラス転移温度(Tg)は40℃以上であることが好ましい。また、より好ましくは、ガラス転移温度が70℃以上、90℃以下である。
インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(非水溶性樹脂)
インク受容層は非水溶性樹脂を含むことが好ましい。インク受容層が非水溶性樹脂を含むことで、記録媒体を二つ折りにし、繰り返し開閉した時の受容層の割れを抑制することができる。本発明に用いる非水溶性樹脂としては、インクの発色性の観点から表面電荷がカチオンまたはノニオンであることが好ましい。
また、水溶液であるインク受容層用の塗工液との混和性の観点から、非水溶性樹脂を含むエマルジョンをインク受容層用の塗工液に混ぜて使用することが好ましい。
本発明においてはインク受容層に含有される非水溶性樹脂は、樹脂塊としてインク受容層内に分散して存在している状態が好ましい。すなわち、インク受容層が、水溶性樹脂を有するマトリックス部と、非水溶性樹脂を有するドメイン部とを有するマトリックス−ドメイン構造を有することが好ましい。前記のように非水溶性樹脂がインク受容層内に分散されることによって非水溶性樹脂の力学的物性をインク受容層内においてより効果的に発現することができる。すなわち、記録媒体の折り曲げによるインク受容層の圧縮変形時において、インク受容層中の水溶性樹脂と非水溶性樹脂のうち、非水溶性樹脂が選択的に圧縮変形することにより、インク受容層全体の圧縮を緩和し、インク受容層の割れを抑制することができる。また、最適な粒径、伸度を選択することにより、さらに繰り返し開閉した際にも前述の圧縮緩和効果が持続され、高い折り割れ耐久性を実現することができる。
非水溶性樹脂のインク受容層内における存在の状態はインク受容層の断面試料をミクロトーム等により作製し、SEM等の観察装置を用いて確認することができる。断面試料の作製においては樹脂等の変形を極力避けるためクライオミクロトーム法等の凍結法を用いることが好ましい。尚、断面観察によって測定される非水溶性樹脂の樹脂塊(ドメイン部)の平均径は、前述の動的光散乱法による非水溶性樹脂が分散されたエマルジョン中における非水溶性樹脂の分散粒径とほぼ同等の値を示す。
前記のようなインク受容層中における樹脂の分布を形成するためには、インク受容層に水溶性樹脂、および非水溶性樹脂を用いることが好ましい。これは水溶性樹脂と非水溶性樹脂の相溶性が低いため、インク受容層の作製時における、インク受容層塗工液の塗布乾燥工程において相分離をおこすためである。前記効果により非水溶性樹脂の最低造膜温度以上の乾燥温度でも非水溶性樹脂はインク受容層内において分散された状態で存在させやすくなる。すなわち、マトリックスが水溶性樹脂であり、水溶性樹脂がドメインであるマトリックス−ドメイン構造を形成しやすい。
非水溶性樹脂による圧縮緩和効果を十分に得るために、前記インク受容層内における非水溶性樹脂による樹脂塊の大きさ(ドメイン部の平均径)は0.3μm以上であることが好ましい。前記樹脂塊の大きさは、非水溶性樹脂のインク受容層塗工液中における分散粒径とほぼ一致する。そのため、非水溶性エマルション中における非水溶性樹脂の平均分散粒径を0.3μm以上にすることが好ましい。また、前記樹脂塊がインク受容層内において効率的に圧縮緩和効果を発揮するために非水溶性樹脂の破断時伸度は550%以上であることが好ましい。
非水溶性樹脂の例としては、例えばポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニルーエチレン共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、等のビニル系重合体、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基、カチオン性基等の官能基含有変性重合体、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化樹脂等の合成樹脂系の水性接着剤、無水マレイン酸共重合樹脂系、ポリアクリルアミド系、ポリメチルメタクリレート系、ポリウレタン樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリビニルブチラール系、アルキッド樹脂系等の合成樹脂系接着剤などの高分子が挙げられる。折り割れ耐久性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。
本発明においては、インク受容層に含有される非水溶性樹脂は、インク吸収性の観点から、インク受容層に含有する無機粒子100質量部に対して、60質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることがさらに好ましい。また、耐折れ割れ性の観点から、無機微粒子100質量部に対して、15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましい。
また、本発明においては、インク受容層に含有される水溶性樹脂と非水溶性樹脂の合計含有量は、インク吸収性の観点から、無機粒子の100質量部に対して、90質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、45質量部以下であることがさらに好ましい。また、耐折れ割れ性の観点から、無機粒子100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましい。
(架橋剤)
本発明において、インク受容層は架橋剤を含有してもよい。架橋剤を含有することで耐折り割れ性を高めることができる。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特に樹脂としてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明においては、インク受容層中の、架橋剤の含有量が、水溶性樹脂の含有量に対して、1.0質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
更に、水溶性樹脂がポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中の、ポリビニルアルコールの含有量に対する、ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
<下塗り層>
本発明においては、基材とインク受容層との密着性を向上する目的で、基材とインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の層厚は、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
<バックコート層>
本発明においては、基材のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の層厚は、乾燥塗工量が、0.1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
<トップコート層>
本発明においては、インク受容層の表層に、耐傷性を向上させる目的で、コロイダルシリカを主成分として含む層を設けても良い。コロイダルシリカの平均粒径は20nm以上、200nm以下であることが好ましい。コロイダルシリカの平均粒径が上記範囲内であることで、耐傷性、光沢度および画像濃度をさらに向上させることができる。
コロイダルシリカを主成分として含む層の乾燥塗工量は、0.01g/m以上、2g/m以下であることが好ましい。この他の無機顔料層の乾燥質量が0.01g/m以上であれば、適度な耐傷性を得ることができ、2g/m以下であれば、インク吸収性が低下することを抑制することができる。
(インク受容層形成用塗工液の塗工・乾燥方法)
本発明では、インク受容層形成用塗工液を塗工し、乾燥させることでインク受容層とする。インク受容層形成用塗工液の塗工には、公知の塗工方式を用いることができる。例えば、スロットダイ方式、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等が挙げられる。第1のインク受容層及び第2のインク受容層用の塗工液は、逐次塗工で塗工、乾燥する他、同時多層塗工を行ってもよい。特にスライドビードによる同時多層塗工は、生産性が高く好ましい方法である。
塗工後の乾燥は、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を用いて行う。
本発明において前記の方法で設けられたインク受容層中における無機粒子の含有は、XPS(X線光電子分光法)やEDX(エネルギー分散型X線分光法)といった元素分析を行うことで確認することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。また、実施例および比較例で用いた記録媒体のインク受容層の構成材料、および、評価結果を表1及び2に示す。
[記録媒体の作製]
(実施例1)
(基材の調整)
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ100部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉2部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.3部を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。得られた抄紙原料を長網多筒式抄紙機を用いて水分が10%になるまで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を抄紙原料の両面に4g/m塗布した後、水分が7%になるまで乾燥させることで、坪量110g/mの基紙を作製した。その基紙の表裏両方の面に高密度ポリエチレン20部と低密度ポリエチレン70部からなる樹脂組成物を片面当たり30g/mの塗工量となるように溶融押し出し塗布した。そして、溶融押し出し直後に、表面に凹凸を有するクーリングロールを使用して、基紙を冷却しながらポリエチレン表面を型付け処理した、坪量170g/mの基材を得た。
(アルミナ水和物ゾルの調製)
イオン交換水333部に対して、解膠酸としてメタンスルホン酸を1.5部添加してメタンスルホン酸水溶液とした。このメタンスルホン酸水溶液をホモミキサー(T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で攪拌しながら、アルミナ水和物(DISPERAL HP14、サソール製、比表面積190m/g)100部を少量ずつ添加した。添加終了後も30分間攪拌し、固形分濃度23.0質量%のアルミナ水和物ゾルを調製した。
(気相法シリカゾルの調製)
イオン交換水333部に対して、カチオンポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬製)4.0部を添加してカチオンポリマー水溶液とした。このカチオンポリマー水溶液をホモミキサー(T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で攪拌しながら、気相法シリカ(AEROSIL300、EVONIK製)100部を少量ずつ添加した。添加終了後、イオン交換水で希釈を行い、さらに高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業製)で2回処理を行い、固形分濃度20.0質量%の気相法シリカゾルを調製した。
(ポリビニルアルコール水溶液の調製)
イオン交換水1150部に対して、水溶性樹脂であるポリビニルアルコール(PVA235、クラレ製、けん化度88%、平均重合度3500)100部を撹拌しながら添加した。添加終了後、90℃で加熱溶解させ、固形分濃度8.0質量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。
<インク受容層(A)用アルミナ塗工液Aの調製>
前記アルミナ水和物ゾルに含まれるアルミナ固形分100部に対してポリビニルアルコールが固形分換算で15部となるように前記ポリビニルアルコール水溶液を混合した。次に、この混合液中のアルミナ固形分100部に対して、ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスE2000、第一工業製薬製)を固形分換算で30部になるように混合した。なお、ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスE2000)に含まれるポリウレタン樹脂は非水溶性樹脂である。次にアルミナ固形分100部に対して、オルトホウ酸が固形分換算で0.75部になるように、固形分濃度5質量%のオルトホウ酸水溶液を混合し、塗工液Aとした。
<インク受容層(A)用シリカ塗工液Bの調製>
前記気相法シリカゾルに含まれる気相法シリカ固形分100部に対してポリビニルアルコールが固形分換算で25部となるように前記ポリビニルアルコール水溶液を混合した。次に、この混合液中の気相法シリカ固形分100部に対して、ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスE2000、第一工業製薬製)を固形分換算で35部になるように混合した。次に気相法シリカ固形分100部に対して、オルトホウ酸が固形分換算で3.75部になるように、固形分濃度5質量%のオルトホウ酸水溶液を混合し、塗工液Bとした。
<インク受容層(B)用アルミナ塗工液Cの調製>
前記アルミナ水和物ゾルに含まれるアルミナ固形分100部に対してポリビニルアルコールが固形分換算で11部となるようにポリビニルアルコール含有水溶液を混合した。次に、アルミナ固形分100部に対して、オルトホウ酸が固形分換算で1部になるように、固形分濃度5質量%のオルトホウ酸水溶液を混合し、塗工液Cとした。
<記録媒体の作製>
前記基材の一方の面に、塗工液Aを乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工および乾燥させることで、記録媒体1を作製した。
(実施例2)
塗工液Aの代わりに、塗工液Bを使用した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体2を作製した。
(実施例3)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスE2000、第一工業製薬製)の代わりに、ウレタン樹脂エマルション(ボンタイターHUX895、アデカ製)を使用した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体3を作製した。
(実施例4)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルションの含有量を30部から13部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体4を作製した。
(実施例5)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルションの含有量を30部から15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体5を作製した。
(実施例6)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルションの含有量を30部から60部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体6を作製した。
(実施例7)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルションの含有量を30部から62部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体7を作製した。
(実施例8)
塗工液A中の水溶性樹脂を、平均重合度が3500のポリビニルアルコールから平均重合度が1700のポリビニルアルコールに変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体8を作製した。
(実施例9)
塗工液A中の水溶性樹脂を、ポリビニルアルコールからポリビニルアセトアミド(PNVA、昭和電工製)に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体9を作製した。
(実施例10)
塗工液A中のポリビニルアルコールの含有量を15部から3部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体10を作製した。
(実施例11)
塗工液A中のポリビニルアルコールの含有量を15部から5部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体11を作製した。
(実施例12)
塗工液A中のポリビニルアルコールの含有量を15部から35部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体12を作製した。
(実施例13)
塗工液A中のポリビニルアルコールの含有量を15部から37部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体13を作製した。
(実施例14)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルションを、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルション(スミカフレックス201HQ、住化ケミテックス株式会社)に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体14を作製した。
(実施例15)
塗工液Aを乾燥後の厚みが13μmになるように塗工した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体15を作製した。
(実施例16)
塗工液Aを乾燥後の厚みが15μmになるように塗工した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体16を作製した。
(実施例17)
塗工液Aを乾燥後の厚みが35μmになるように塗工した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体17を作製した。
(実施例18)
塗工液Aを乾燥後の厚みが37μmになるように塗工した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体18を作製した。
(実施例19)
実施例1で作製した記録媒体1のインク受容層の上に、塗工液Cを乾燥後の厚みが1μmとなるように塗工および乾燥させることで、記録媒体19を作製した。
(実施例20)
実施例1で作製した記録媒体1のインク受容層の上に、塗工液Cを乾燥後の厚みが5μmとなるように塗工および乾燥させることで、記録媒体20を作製した。
(実施例21)
実施例1で作製した記録媒体1のインク受容層の上に、塗工液Cを乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工および乾燥させることで、記録媒体21を作製した。
(比較例1)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスE2000、第一工業製薬製)の代わりに、ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスM500,第一工業製薬製)を使用した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体22を作製した。
(比較例2)
塗工液B中の気相法シリカ(AEROSIL300、EVONIK製)を気相法シリカ(AEROSIL300SF75、日本アエロジル製)に変更し、塗工液B中のウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックスE2000、第一工業製薬製)をウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス650、第一工業製薬製)に変更し、塗工液Bを乾燥後の厚みが32μmになるように塗工した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体23を作製した。
(比較例3)
塗工液A中のウレタン樹脂エマルションの含有量を30部から0部に変更し、塗工液A中のポリビニルアルコールの含有量を15部から45部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体24を作製した。
(比較例4)
塗工液A中のポリビニルアルコールの含有量を15部から0部に変更し、塗工液A中のウレタン樹脂エマルションの含有量を30部から45部に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体25を作製した。
(比較例5)
塗工液B中の気相法シリカ(AEROSIL300、EVONIK製)を合成非晶質シリカ(ファインシールX37B、トクヤマ製)に変更し、塗工液B中のウレタン樹脂エマルションをエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルション(AM−3100、昭和高分子製)に変更した以外は実施例1と同様の方法で記録媒体26を作製した。
[評価]
本発明においては、下記の各評価項目の評価基準の5〜2を好ましいレベルとし、1を許容できないレベルとした。
[インク受容層における非水溶性樹脂の分散状態の確認]
実施例1〜21で用いられる記録媒体1〜21について、それぞれの記録媒体のインク受容層をクライオミクロトーム法によって、インク受容層の断面試料を作製した。そして、得られたインク受容層の断面試料をSEMによって観察したところ、いずれの断面試料においても、水溶性樹脂を有するマトリックス部と、非水溶性樹脂を有するドメイン部とを有するマトリックス−ドメイン構造が確認された。
また、ドメイン部の平均径はいずれも0.3μm以上であった。
[マルテンス硬さの測定]
得られた記録媒体をA4サイズにし、インクジェットプリンター(商品名:MP990、キヤノン製)を用いて、記録面全面にブラックのベタ印字を行った。印字終了30分後に、印字した面に対して、ピコデンター(HM500、フィッシャーインストルメンツ社製)を用いてマルテンス硬さの測定を以下のように行った。
23℃50%RHの環境下において、上記記録媒体1〜26の表面(圧縮開始位置(1))から厚み方向に1μmの深さまで、四角錐の形状を有する圧子(頂点角:113°)を500mNの荷重で180秒かけて押し込み、圧縮開始位置(1)から深さ1μmでのマルテンス硬さ(HM1)を測定した(図1、2)。その後、圧子を一旦記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げた後、1回目に圧子を押し込んだ箇所と同一の箇所に対して、再度、四角錐の形状を有する圧子(頂点角:113°)を、圧縮開始位置(2)から厚み方向に1μmの深さまで、500mNの荷重で180秒かけて押し込み、圧縮開始位置(2)から深さ1μmでのマルテンス硬さ(HM2)を測定した(図3、4)。尚、圧縮開始位置(2)は、圧子による一回目の圧縮から解放され、弾性によってインク受容層が十分に復元した後の圧痕の谷部である。
そして、得られたマルテンス硬さHM1およびHM2から、マルテンス硬さの変化率(HM2/HM1×100)を算出した。得られたHM1及びマルテンス硬さの変化率の結果を表2に示す。
[繰り返し折り曲げ時の耐折り割れ性]
得られた記録媒体をA4サイズにし、インクジェットプリンター(商品名:MP990、キヤノン製)を用いて、記録面全面にブラックのベタ印字を行った。印字を行った記録媒体を印字面が内側になるようにして2つ折りにし、更に、プレス機を用いて500kgの荷重をかけて5分間保持し、さらに100回開閉を行った後、折目部分を目視で観察し、下記の基準を用いて評価を行った。評価結果を表2に示す。
5.白い筋が見えない。
4.白い筋がわずかに見える。
3.白い筋が多少見える。
2.白い筋がはっきり見える。
1.白い筋が幅広く、はっきり見える。
[インク吸収性]
得られた記録媒体のそれぞれの記録面に、インクジェットプリンター(商品名:MP990、キヤノン製)を用いて、写真用紙光沢ゴールド、色補正なしモードにて、グリーンのベタ印字を行った。更に、印字部を目視にて観察し、下記の基準を用いて評価を行った。評価結果を表2に示す。
5:ベタ部にムラがほとんど見られない。
4:ベタ部にムラがわずかに見られる。
3:ベタ部にムラが少し見られる。
2:ベタ部にムラがかなり見られる。
1:ベタ部にインクのあふれが見られる。
1 記録媒体
2 基材
3 インク受容層
4 四角錐圧子
5 圧縮開始位置(1)(記録媒体の表面)
6 圧縮開始位置(2)

Claims (14)

  1. 基材、および、該基材上にインク受容層を有する記録媒体において、
    該インク受容層は、無機粒子と水溶性樹脂とを含み、
    該記録媒体の表面から厚み方向に1μmの深さまで、圧子を500mNの荷重で180秒かけて押し込んだ際のマルテンス硬さをHM1とし、圧子を該記録媒体の表面に接触しないところまで押し上げた後、1回目に圧子を押し込んだ箇所と同一の箇所に対して、圧縮開始位置から厚み方向に1μmの深さまで、圧子を500mNの荷重で180秒かけて押し込んだ際のマルテンス硬さをHM2としたとき、
    該HM1が40N/mm以下であり、
    該HM1に対する該HM2の変化率(HM2/HM1×100)が400%以下であることを特徴とする記録媒体。
  2. 前記HM1が30N/mm以下である請求項1に記載の記録媒体。
  3. 前記変化率(HM2/HM1×100)が350%以下である請求項1または2に記載の記録媒体。
  4. 前記インク受容層が、非水溶性樹脂を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録媒体。
  5. 前記非水溶性樹脂がポリウレタン樹脂である請求項4に記載の記録媒体。
  6. 前記インク受容層中における前記非水溶性樹脂の含有量が、前記無機粒子100質量部に対して、15質量部以上、60質量部以下である請求項4または5に記載の記録媒体。
  7. 前記インク受容層中における前記水溶性樹脂と前記非水溶性樹脂の合計含有量が、前記無機粒子100質量部に対して、20質量部以上、90質量部以下である請求項4乃至6のいずれか1項に記載の記録媒体。
  8. 前記無機粒子がアルミナ及びシリカから選ばれる少なくとも一種の無機粒子である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録媒体。
  9. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録媒体。
  10. 前記ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体の平均重合度が2500以上である請求項9に記載の記録媒体。
  11. 前記インク受容層中における前記水溶性樹脂の含有量が、前記無機粒子100質量部に対して5質量部以上、35質量部以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の記録媒体。
  12. 前記インク受容層が、ホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種を含む請求項1乃至11のいずれか1項に記載の記録媒体。
  13. 前記インク受容層の層厚が15μm以上35μm以下である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の記録媒体。
  14. 前記インク受容層は、基材側から順に、インク受容層(A)およびインク受容層(B)を有し、前記インク受容層(B)の層厚が1μm以上10μm以下である請求項1乃至13のいずれか1項に記載の記録媒体。
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