JP7309590B2 - インクジェット用記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明の記録媒体は、基材と、この基材に設けられたアンダーコート層と、このアンダーコート層に設けられたインク受容層とを有する。すなわち、アンダーコート層とインク受容層を含む少なくとも2層が基材に設けられている。本発明の記録媒体は、インクジェット記録方法に適用されるインクジェット用の記録媒体である。
基材としては、基紙のみから構成されるもの、プラスチックフィルムのみから構成されるもの、及びクロスのみから構成されるものなどを挙げることができる。複層構造を有する基材を用いることもできる。複層構造を有する基材としては、基紙と樹脂層が積層された、いわゆる樹脂被覆基材を用いることができる。樹脂被覆基材を構成する樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよく、基紙の両面に設けられていてもよい。基材としては、樹脂被覆基材、プラスチックフィルム、クロスが好ましい。
[1]基紙
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などを挙げることができる。木材パルプのなかでも、短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。漂白処理して白色度を向上させたパルプも好ましい。基紙には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
樹脂被覆基材を構成する樹脂層は、基紙の表面に、基紙の表面の少なくとも一部を被覆するように設けられている。樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面積/基紙の全表面積)は70%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%であることが好ましい。すなわち、基紙の表面の全てが樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
プラスチックフィルムは、プラスチックをフィルム状に加工したものである。プラスチックとしては、分子量10,000以上の高分子成分を、プラスチック全質量を基準として、50質量%以上含有するものを用いることができる。プラスチックとしては、ビニル系プラスチック、ポリエステル系プラスチック、セルロースエステル系プラスチック、ポリアミド系プラスチック、耐熱エンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性プラスチックを挙げることができる。
クロスは、多数の繊維を薄く広いシート状に加工したものである。繊維としては、天然繊維、天然繊維の性質を有する材質やプラスチックから再生される再生繊維、石油などの高分子を原料とする合成繊維を挙げることができる。天然繊維としては、木綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミヤなどを挙げることができる。再生繊維としては、アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステルなどを挙げることができる。合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタンなどを挙げることができる。
インク受容層は、無機粒子及びバインダを含有する。インク受容層は、例えば、インク受容層に含有される材料を含む塗工液を調製し、調製した塗工液を塗工及び乾燥することで形成することができる。インク受容層は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。インク受容層は、基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
インク受容層は、無機粒子を含有する。無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下であることが好ましく、1nm以上30nm以下であることがさらに好ましく、3nm以上10nm以下であることが特に好ましい。無機粒子の平均一次粒子径が50nmを超えると、インク吸収性が十分に得られない場合がある。無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡で観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径(100点以上の平均値)である。
シリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。いずれのシリカも好適に用いることができる。なかでも、湿式法シリカを用いると、耐折り割れ性をより向上させることができるために好ましい。湿式法シリカを用いると、空隙率がより高いインク受容層を形成することができる。このため、折り曲げの際に生ずる圧縮によってインク受容層がより変形しやすくなり、インク受容層の開裂や剥離に対する耐性がより高まるためであると推測される。
アルミナとしては、γ-アルミナ、α-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、χ-アルミナなどを挙げることができる。なかでも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ-アルミナが好ましい。γ-アルミナとしては、気相法アルミナを用いることが好ましい。気相法アルミナの市販品としては、以下商品名で、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
アルミナ水和物は、下記一般式(X)で表されるものが好ましい。
Al2O3-n(OH)2n・mH2O ・・・(X)
R-SO3H ・・・(Y)
インク受容層はバインダを含有する。バインダとしては、親水性バインダを用いることが好ましい。バインダとしては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール、及びこれらの誘導体;ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。
インク受容層は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などを挙げることができる。ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体をバインダとして用いる場合には、ホウ酸やホウ酸塩を架橋剤として用いることが好ましい。
インク受容層には、上述の各種成分以外のその他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などを挙げることができる。
アンダーコート層にインク受容層用の塗工液を塗工した後、乾燥させることで、アンダーコート層にインク受容層を形成することができる。塗工液は、公知の塗工方式によってアンダーコート層に塗工することができる。塗工方式としては、スロットダイ方式、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式などを挙げることができる。インク受容層は、第1のインク受容層、第2のインク受容層、…、第nのインク受容層を含む複層構造を有していてもよい。各層を形成するための塗工液は、逐次塗工してもよく、同時多層塗工してもよい。なかでも、スライドビード方式による同時多層塗工は、生産性が高いために好ましい。
アンダーコート層はセロファンを含有する層であり、好ましくはセロファンを主成分として含有する層である。より具体的には、アンダーコート層は、アンダーコート層全質量を基準として、セロファンを50質量%以上100質量%以下含有する層である。アンダーコート層の厚さは10μm以上であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上30μm以下であることが特に好ましい。アンダーコート層の厚さを10μm以上とすることで、インク吸収性を向上させることができる。また、厚さ10μm以上のアンダーコート層は、折り曲げた際に生ずる圧力の緩衝層として機能するため、記録媒体の耐折り割れ性をさらに向上させることができる。アンダーコート層の厚さは、以下の手順にしたがって測定される。まず、マイクロトームにより記録媒体を切断して形成された断面を、走査型電子顕微鏡(商品名「SU-70」、日立製作所製)によって観察する。そして、観察されたアンダーコート層の任意の10点以上の厚さを測定し、その平均値をアンダーコート層の厚さとする。
基材のインク受容層が設けられる面と反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上すべく、バックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、白色顔料やバインダなどを含有することが好ましい。バックコート層の厚さは、乾燥塗工量が1g/m2以上25g/m2以下となる厚さであることが好ましい。
インク受容層の表面に、耐傷性を向上すべく、コロイダルシリカを主成分として含有するトップコート層を設けることが好ましい。コロイダルシリカの平均一次粒子径は、20nm以上200nm以下であることが好ましい。コロイダルシリカの平均一次粒子径が20nm未満であると、耐傷性の向上効果が不十分になることがある。一方、コロイダルシリカの平均一次粒子径が200nm超であると、散乱により光沢度や光学濃度が低下しやすくなることがある。
(アルミナ水和物ゾル)
イオン交換水333部に解膠酸であるメタンスルホン酸1.5部を溶解させてメタンスルホン酸水溶液を得た。得られたメタンスルホン酸水溶液を分散機(商品名「ホモミクサーMARKII2.5型」、プライミクス製)を使用して3,000rpmで撹拌しながら、アルミナ水和物(商品名「DISPERAL HP14」、サソール製)100部を少量ずつ添加した。アルミナ水和物の添加終了後、さらに30分間撹拌して、固形分の含有量が23.0%のアルミナ水和物ゾルを得た。
イオン交換水333部にカチオン性樹脂(商品名「シャロールDC902P」、第一工業製薬製)4.0部を溶解させてカチオン性樹脂の水溶液を得た。得られたカチオン性樹脂の水溶液を分散機(商品名「ホモミクサーMARKII2.5型」、プライミクス製)を使用して3,000rpmで撹拌しながら、気相法シリカ100部を少量ずつ添加した。気相法シリカとしては、商品名「AEROSIL300」(EVONIK製、一次粒子径:7nm)を用いた。気相法シリカの添加終了後、イオン交換水で希釈した。高圧ホモジナイザー(商品名「ナノマイザー」、吉田機械興業製)を使用して2回処理し、固形分の含有量が20.0%の気相法シリカゾルを得た。
(塗工液A)
アルミナ水和物ゾルに、アルミナ水和物の固形分100部に対して、ポリビニルアルコール(商品名「PVA120」、クラレ製)が10部となる量のポリビニルアルコール水溶液を添加及び混合した。次いで、アルミナ水和物の固形分100部に対して、オルトホウ酸が1部となる量の5%オルトホウ酸水溶液を添加及び混合して、塗工液Aを得た。
気相法シリカゾルに、気相法シリカの固形分100部に対して、ポリビニルアルコール(商品名「PVA120」、クラレ製)が25部となる量のポリビニルアルコール水溶液を添加及び混合した。次いで、気相法シリカの固形分100部に対して、オルトホウ酸が3部となる量の5%オルトホウ酸水溶液を添加及び混合して、塗工液Bを得た。
アルミナ水和物ゾルに、アルミナ水和物の固形分100部に対して、ポリビニルアルコール(商品名「PVA120」、クラレ製)が10部となる量のポリビニルアルコール水溶液を添加及び混合した。次いで、アルミナ水和物の固形分100部に対して、オルトホウ酸が3部となる量の5%オルトホウ酸水溶液を添加及び混合して、塗工液Cを得た。
(実施例1:記録媒体1)
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム(商品名「ルミラー50」、東レ製、厚さ50μm)を用意した。アクリル樹脂粒子(商品名「モビニール7820」、日本合成製)を固形分2g/m2となるように基材の表面に塗布した後、厚さ20μmの透明セロファン(グリセリン5%含有)を載置した。80℃に加熱したローラーを使用して5N/m2に加圧し、基材にセロファンをラミネートしてアンダーコート層を形成した。形成したアンダーコート層に塗工液Aを乾燥塗工量15g/m2となるように塗工した後、90℃の熱風で乾燥してインク受容層を形成し、記録媒体1を得た。得られた記録媒体1の断面を観察して測定したアンダーコート層(セロファン)の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.60であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は86N/mm2であった。また、記録媒体1のコブ吸水度は33g/m2であった。
アンダーコート層に塗工液Aを乾燥塗工量20g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体2を得た。得られた記録媒体2の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは20μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.55であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は86N/mm2であった。また、記録媒体2のコブ吸水度は38g/m2であった。
アンダーコート層に塗工液Aを乾燥塗工量10g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体3を得た。得られた記録媒体3の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは10μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.65であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は86N/mm2であった。また、記録媒体3のコブ吸水度は28g/m2であった。
アンダーコート層に塗工液Bを乾燥塗工量15g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体4を得た。得られた記録媒体4の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.58であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は86N/mm2であった。また、記録媒体4のコブ吸水度は25g/m2であった。
アンダーコート層として乳白セロファン(グリセリン5%含有)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体5を得た。得られた記録媒体5の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.51であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は101N/mm2であった。また、記録媒体5のコブ吸水度は32g/m2であった。
アンダーコート層として透明セロファン(グリセリン0%含有)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体6を得た。得られた記録媒体6の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.50であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は103N/mm2であった。また、記録媒体6のコブ吸水度は34g/m2であった。
アンダーコート層として厚さ10μmの透明セロファン(グリセリン5%含有)を用いたこと、及び、塗工液Aを乾燥塗工量10g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体7を得た。得られた記録媒体7の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは10μmであり、インク受容層の厚さは10μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.92であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は61N/mm2であった。また、記録媒体7のコブ吸水度は19g/m2であった。
塗工液Aを乾燥塗工量25g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体8を得た。得られた記録媒体8の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは25μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.50であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は86N/mm2であった。また、記録媒体8のコブ吸水度は43g/m2であった。
アンダーコート層として厚さ30μmの透明セロファン(グリセリン5%含有)を用いたこと、及び、塗工液Aを乾燥塗工量15g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体9を得た。得られた記録媒体9の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは30μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.45であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は114N/mm2であった。また、記録媒体9のコブ吸水度は61g/m2であった。
塗工液Cを乾燥塗工量15g/m2となるように塗工したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体10を得た。得られた記録媒体10の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は1.20であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は86N/mm2であった。また、記録媒体10のコブ吸水度は30g/m2であった。
カチオン性ウレタン樹脂(商品名「スーパーフレックス650-5」、第一工業製薬製)を乾燥塗工量20g/m2となるように基材の表面に塗布及び乾燥してアンダーコート層を形成した。このこと以外は前述の実施例1と同様にして記録媒体11を得た。得られた記録媒体11の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.50であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は103N/mm2であった。また、記録媒体11のコブ吸水度は15g/m2であった。
カルボキシ変性SBR(スチレン・ブタジエンゴム)粒子(商品名「JSR-0695」、JSR製、高分子接着剤)を乾燥塗工量20g/m2となるように基材の表面に塗布及び乾燥してアンダーコート層を形成した。このこと以外は前述の実施例1と同様にして記録媒体12を得た。得られた記録媒体12の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.37であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は141N/mm2であった。また、記録媒体12のコブ吸水度は15g/m2であった。
生分解性樹脂粒子と、変性ワックス粒子とを、5:2(固形分質量比)で混合して得た分散液を、乾燥塗工量20g/m2となるように基材の表面に塗布及び乾燥してアンダーコート層を形成した。生分解性樹脂粒子としては、商品名「ランディPL-1000」(ミヨシ油脂製)を用いた。変性ワックス粒子としては、商品名「WR984」(星光PMC製)を用いた。このこと以外は前述の実施例1と同様にして記録媒体13を得た。得られた記録媒体13の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.16であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は321N/mm2であった。また、記録媒体13のコブ吸水度は15g/m2であった。
ポリビニルアルコール(商品名「PVA117」、クラレ製)を乾燥塗工量20g/m2となるように基材の表面に塗布及び乾燥してアンダーコート層を形成した。このこと以外は前述の実施例1と同様にして記録媒体14を得た。得られた記録媒体14の断面を観察して測定したアンダーコート層の厚さは20μmであり、インク受容層の厚さは15μmであった。インク受容層のマルテンス硬さH1とアンダーコート層のマルテンス硬さH2の比(H1/H2)は0.48であり、アンダーコート層のマルテンス硬さH2は108N/mm2であった。また、記録媒体14のコブ吸水度は55g/m2であった。
アンダーコート層を形成せず、インク受容層を基材に直接形成したこと以外は、前述の実施例1と同様にして記録媒体15を得た。得られた記録媒体15の断面を観察して測定したインク受容層の厚さは15μmであった。また、記録媒体15のコブ吸水度は15g/m2であった。
以下に示す各項目の評価基準において、「A」及び「B」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。
インクジェット記録装置(商品名「MP990」、キヤノン製)を使用し、A4サイズに裁断した記録媒体の記録面(インク受容層の表面)全面にブラックのベタ画像(100%デューティ)を記録した。記録した画像が内側になるように記録媒体を2つ折りにした後、プレス機を使用して500kgの荷重をかけて5分間保持した。折った記録媒体を開いて折目部分を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐折り割れ性を評価した。結果を表3に示す。
A:白い筋が見えない。
B:白い筋が多少見える。
C:白い筋がはっきり見える。
インクジェット記録装置(商品名「MP990」、キヤノン製)を使用し、記録媒体の記録面(インク受容層の表面)にグリーンのベタ画像(150%デューティ)を記録した。記録条件は、「写真用紙光沢ゴールド」及び「色補正なしモード」とした。記録した画像を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがってインク吸収性を評価した。結果を表3に示す。
A:インクの溢れがほとんど見られなかった。
B:インクの溢れが見られた。
C:インクの溢れが顕著に見られた。
Claims (9)
- 基材と、前記基材に設けられたアンダーコート層と、前記アンダーコート層に設けられたインク受容層と、を有するインクジェット用記録媒体であって、
前記インク受容層が、無機粒子及びバインダを含有し、
前記アンダーコート層が、セロファンを含有し、
前記インク受容層の厚さが、20μm以下であり、
前記インク受容層のマルテンス硬さをH1(N/mm2)とし、前記アンダーコート層のマルテンス硬さをH2(N/mm2)としたとき、H1/H2が0.50以上1.00以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。 - 前記アンダーコート層のマルテンス硬さH2が、50N/mm2以上100N/mm2以下である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記アンダーコート層が、多価アルコールをさらに含有する請求項1又は2に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記多価アルコールが、グリセリンである請求項3に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記アンダーコート層の厚さが、10μm以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット用記録媒体。
- コブ吸水度が20g/m2以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記バインダが、ポリビニルアルコールである請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記ポリビニルアルコールのけん化度が、98.0mol%以上である請求項7に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記ポリビニルアルコールの重合度が、2,000以上である請求項7又は8に記載のインクジェット用記録媒体。
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