JP2007055237A - 被記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑化処理を行うことなく光沢性に優れたインク受容層が形成でき、さらに、画像濃度およびインク吸収性に優れ、高温高湿下での画像の滲みが抑制された被記録媒体を提供すること。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面にインク受容層を設けてなる被記録媒体において、上記支持体が、基材の少なくともインク受容層を設ける側にインク吸収性および/またはインク浸透性を有する樹脂層を形成したものであり、該樹脂層の水に対する接触角が60°以下、JIS-Z-0208に基づく透湿度が100g/m2・24hr以上、および樹脂層の厚さが10〜100μmであることを特徴とする被記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、光沢度が高く、画像濃度およびインク吸収性に優れた高品質な画像記録が可能で、かつ高温高湿下での画像の滲みが効果的に防止された被記録媒体に関する。
インクジェット記録方式は、種々のインク吐出方式、例えば、静電吸引方式、圧電素子を用いてインクに機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱して発泡させその圧力を利用する方式などにより、インクの小滴を発生および飛翔させ、これを紙あるいはインク受容層を形成したプラスチックフィルムなどの被記録媒体に付着させて記録を行うものであり、静粛性に優れ、高速印字、多色印字を行うことが可能な印字方式として、近年急速に普及している。
このようなインクジェット記録方式において、記録の高速化、高解像度化など、インクジェット記録装置の性能が向上するに伴い、被記録媒体に対してより高度な特性が要求されている。例えば、
(1)インク受容層と支持体とが密着性に優れていること、
(2)温度や湿度の変化による特性変化が小さく、カールをおこさないこと、
(3)ブロッキングをおこさないこと、
(4)印字ドットの光学濃度が高く、鮮やかで明るい色調が出せること、
(5)印刷画像の彩度が高いこと(くすみがないこと)、
(6)ドット形状が真円に近く、その周辺が滑らかであること、
(7)インクの吸収能力が高いこと(吸収速度が速く、吸収容量が大きいこと)、
(8)インク受容層および印刷画像の印字部が耐水性に優れていること、
(9)印刷画像の印字部が耐光性に優れていること、
(10)高温高湿下において、印刷画像が安定で画像に変化がないこと、
などの特性を同時に満足させることが要求される。
また、OHPなどの透明な被記録媒体においては、支持体となるフィルムのみならず、インク受容層にも透明性が要求される。同様に、白色フィルムや基紙の両面にポリエチレンなどの樹脂がコートされたレジンコート紙などの白色支持体においても、支持体自体の白色度や光沢感を損なわないように、透明性に優れたインク受容層が要求される。さらに、フォトライクな高画質記録物が得られる光沢紙の用途においては、光沢性、表面平滑性および銀塩写真に類似した印画紙状の風合いも要求されている。
しかしながら、これらの諸特性はしばしばトレードオフの関係にあり、従来より公知の技術ではこれらを同時に満足させることが困難であった。特に、光沢性と風合いの観点から主流となっているレジンコート紙を支持体とした被記録媒体では、水溶性染料を色材としたインクを用いて画像を記録し、これを高温高湿環境下で長時間保存した場合に染料が滲み、画像品位が悪化するという問題があった。
このような問題を解決する方法として、以前から多くの提案が為されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、基材中または基材上の塗工層中にポリエチレンイミンを含有させる方法が、特許文献3〜6には、媒染剤としてポリアリルアミンを使用する方法が、特許文献7には、3級または4級窒素原子を有する親水性ポリマー媒染剤と親水性基含有のビニルモノマー単位を含む重合体を含有する層を設ける方法が、特許文献8には、カチオン性ポリマーとカチオン性界面活性剤を支持体上に塗布または含浸させる方法が、特許文献9には、4級アンモニウム塩重合物とカチオン変性ポリビニルアルコールを主成分とする染料定着層を設ける方法が、特許文献10には、特定の2種類のカチオンポリマーを併用する方法が開示されている。また、特許文献11〜37には、特定の3級または4級の窒素原子を含有するポリマーまたは化合物をインク受容層中に添加することが記載されている。
上記いずれの方法も、アニオン性の染料をカチオン性ポリマーと結合させ、染料を水に対して不溶化することで、高温高湿下での画像の滲みを防止する技術であるが、十分な効果を得るためには多量のカチオン性ポリマーが必要であり、インク受容層中に占めるカチオン性ポリマーの量は相対的に増加してしまう。従って、無機微粒子を用いた多孔質(空隙型)のインク受容層では空隙が減少し、インク吸収性が低下するという問題が生じる。また、分子量やカチオン化度によって差はあるが、殆どのカチオン性ポリマーは無機微粒子を含有するインク受容層形成用塗工液の粘度を増大させる傾向があり、添加量に比例してその傾向も強くなることから、塗工液の塗工安定性が著しく低下し、塗布後の表面のインク受容層の平滑性が悪化して、形成される画像の光沢度が低下するという問題があった。
一方、光沢紙に分類される被記録媒体として、紙あるいはコート紙などの吸水性を有する支持体上に、キャスト法によりインク受容層を形成した被記録媒体がある。このような被記録媒体は、フィルムやレジンコート紙を支持体とした被記録媒体と比較して、インク吸収性に優れ、高温高湿環境下での画像の滲みが生じ難いという利点がある。しかしながら、吸水性支持体上にインク受容層を設けた被記録媒体は、カール制御が困難なこと、また、印刷部分の光沢度が低下したり、インク打込量が多い場合には被記録媒体にコックリングが発生するといった問題がある。さらにキャスト法で製造される被記録媒体は、その製造プロセスにおいて、湿潤状態にあるインク受容層を加熱した鏡面ロールに接触させることで平滑性が得られるが、この工程は被記録媒体の製造スピードを律速させ、生産性を低下させることから、このような平滑化処理を必要としないフィルムやレジンコート紙を支持体として用いた場合よりコスト的に不利であった。
特開昭59−198186号公報 特開昭59−198188号公報 特開昭61−61887号公報 特開昭61−72581号公報 特開昭61−252189号公報 特開昭62−174184号公報 特開昭63−307979号公報 特開昭63−162275号公報 特開平6−143798号公報 特開平8−142496号公報 特開昭59−20696号公報 特開昭59−33176号公報 特開昭59−33177号公報 特開昭59−96987号公報 特開昭59−155088号公報 特開昭60−11389号公報 特開昭60−49990号公報 特開昭60−83882号公報 特開昭60−109894号公報 特開昭61−277484号公報 特開昭61−293886号公報 特開昭62−19483号公報 特開昭62−198493号公報 特開昭63−49478号公報 特開昭63−115780号公報 特開昭63−203896号公報 特開昭63−274583号公報 特開昭63−280681号公報 特開昭63−260477号公報 特開平1−9776号公報 特開平1−24784号公報 特開平1−40371号公報 特開平3−133686号公報 特開平6−234268号公報 特開平7−125411号公報 特開平8−318672号公報 特開平10−029369号公報
本発明は、上記の実態に鑑みて為されたものであり、光沢度が高く、画像濃度およびインク吸収性に優れた高品質な画像記録が可能で、かつ高温高湿下での画像の滲みが効果的に防止された被記録媒体を提供することを目的としている。
本発明者らは、平滑化処理を行うことなく光沢性に優れたインク受容層を形成でき、さらに、画像濃度およびインク吸収性に優れ、高温高湿下での画像の滲みが抑制された被記録媒体を得るために鋭意検討を重ねた結果、基材上にインク吸収性および/またはインク浸透性を有する樹脂層を設け、かつ該樹脂層の水に対する接触角、JIS-Z-0208に基づく透湿度、および厚さを特定の範囲とすることで、前述した複数の課題を同時に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、支持体の少なくとも一方の面にインク受容層を設けてなる被記録媒体において、上記支持体が、基材の少なくともインク受容層を設ける側にインク吸収性および/またはインク浸透性を有する樹脂層を形成したものであり、該基材上に形成した樹脂層の水に対する接触角、JIS-Z-0208に基づく透湿度、および厚さが下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする被記録媒体を提供する。
樹脂層の接触角 ≦60° 式(1)
樹脂層の透湿度 ≧100g/m2・24hr 式(2)
10μm≦ 樹脂層の厚さ ≦100μm 式(3)
上記本発明の被記録媒体においては、樹脂層が、セルロース、その誘導体;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニル系重合体;ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系重合体;およびポリスルホン系重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とすること;およびインク受容層が無機微粒子、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂を含有することが好ましい。
上記本発明の構成とすることで、平滑化処理を行うことなく高光沢な画像が形成されるインク受容層を形成することができ、さらに画像濃度およびインク吸収性に優れた高品質な画像記録が可能で、高温高湿下での画像の滲みが効果的に防止された被記録媒体を提供することができる。
次に、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において使用する基材としては特に限定はしないが、例えば、適度のサイジングが施された紙、無サイズ紙、コート紙、キャストコート紙、紙の片面或いは両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂被覆紙(以下「レジンコート紙」と記す)などの紙類からなるもの;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートおよびポリカーボネートなどの透明な熱可塑性樹脂フィルム;無機物の充填または微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など);布帛;さらにはガラスまたは金属などからなるシートなどが挙げられる。
上記基材の中で、インク吸収性の観点から基材自身にも高い吸液性(特に水性インク、または水性インク中の水溶性溶媒に対する吸収性)を必要とする場合には、紙類あるいは布帛などが好ましく使用できる。ここで水溶性溶媒とは、水、または水に混合可能な有機溶剤との混合溶液であり、水に混合可能な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフランなどのエーテル類が挙げられる。
本発明においては、上記基材上に樹脂層を形成することで支持体が得られるが、該樹脂層表面の平滑性を上げ、さらに樹脂層上に形成するインク受容層の光沢度を高めて、銀塩写真と同等の画質が付与できる被記録媒体を製造する場合には、上記吸液性を有する基材の中で、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙などの平滑性の高い基材を用いるのが好ましい。特に、JIS-P-8119により規定されるベック平滑度が10秒以上のものが好ましく、より好ましくは50秒以上、さらに好ましくは100秒以上ものが望ましい。
基材の厚さには特に制限はないが、25μm〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは50μm〜300μmの範囲である。基材の厚さが25μmより薄い場合は得られる被記録媒体の剛性が低く、手にした時の感触や質感或いは不透明性が不十分となるなどの不都合が生じる。逆に、500μmより厚い場合には、得られた被記録媒体が剛直となり、プリンターの給紙走行に支障を来すことがある。また、基材の重さについても特に制限はなく、おおよそ25g/m2〜500g/m2の範囲であることが好ましい。
本発明の支持体は、前記基材の少なくとも一方の面にインク吸収性および/またはインク浸透性(特に水性インク、または水性インク中の水溶性溶媒の吸収性または浸透性であり、以下、特に断らない限り「インク浸透性」という)を有する樹脂層を形成することで得られる。
基材上に形成される樹脂層は、水性インクに対して濡れ性が高く、水性インク(特にインク中の水溶性溶媒)が吸収または浸透可能な親水性重合体を主成分として構成されていることが好ましい。親水性重合体としては、例えば、セルロース、セルロース誘導体[セルロースエステル(酢酸セルロース(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなど)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステルなど)、セルロースエーテル(エチルセルロースなど)]、ビニル系重合体[ポリ酢酸ビニルおよびその完全または部分ケン化物(ポリビニルアルコールなど)、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびその完全または部分ケン化物(エチレン−ビニルアルコール共重合体)]、アクリル系重合体[ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリN−メチルアクリルアミドなど]、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレングリコールなど)、ポリアルキルビニルエーテル(ポリメチルビニルエーテルなど)、カルボキシル基含有重合体またはその塩(スチレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)、ポリスルホン系重合体(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリアミド、ポリエチレンイミンなどが挙げられ、これら親水性重合体は、単独もしくは二種以上を組合せて使用することができる。
上記親水性重合体の中で、セルロース、その誘導体;ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系重合体:あるいはポリスルホン系重合体など、所謂半透膜の素材として利用されているもの、およびポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニル系重合体は、高温高湿下での画像の滲みを抑制するという本発明の支持体の効果を発揮するうえで特に優れており、好ましく使用することができる。
上記親水性重合体を主成分とする樹脂層は、水に対する接触角が80°未満のものを指すが、本発明においては樹脂層のインク浸透性を向上させるという観点から、接触角が60°以下であり、40°以下のものが好ましい。ここで接触角とは、樹脂層表面に置かれた水滴の表面と樹脂層との交点において、水滴に対する接線と重合体表面とがなす角度であり、この角度が小さい程、水性インクに対する濡れ性が高いことを意味する。本発明における接触角の値は、上記親水性重合体からなるフィルムを23℃、50%RHで12時間放置した後、フィルム上に純水2μlを滴下し、液量が変化しない範囲(液滴がフィルムに吸収されず、かつ蒸発しない範囲)で、液滴の広がりが最大となる時点(滴下後0.1〜60秒後)の角度を接触角計を用いて測定することにより得られる。本発明における接触角の測定は、自動接触角計CA−VP(協和界面科学(株)社製)を使用して行った。
また、本発明においては、樹脂層のインク浸透性を向上させ、高温高湿下での画像の滲みを抑制するという本発明の被記録媒体の効果を十分に発揮させるために、樹脂層のJIS-Z-0208に基づく透湿度が100g/m2・24hr以上であり、透湿度が300g/m2・24hr以上であれば好ましい。なお、本発明における透湿度は、JIS-Z-0208に規定された温湿度条件(温度:40℃、湿度:90%RH)で測定された値である。
本発明で使用する支持体において、基材上に形成される樹脂層の厚さは10〜100μmの範囲であり、好ましい範囲は10〜50μm程度である。樹脂層の厚さが10μm未満では、製造時にピンホールなどの欠陥が発生してインク吸収性が不均一となったり、あるいは基材表面の凹凸が緩和されずに樹脂層表面の平滑性が低下する場合がある。逆に、樹脂層の厚さが100μmを越える場合は、インク吸収性が低下する恐れがある。従って、樹脂層表面の平滑性を上げ、さらに該樹脂層上に形成するインク受容層の光沢性を高めるためには、樹脂層の厚さは上記範囲内であって、かつ基材の表面粗さ[JIS-B-0601に基づく最大高さ(Ry)]より大きいことが好ましい。
本発明において、基材上に樹脂層を形成する方法としては、上記の好適な親水性重合体を適宜選択し、これらを適当な溶剤に溶解または分散させて塗工する方法;親水性重合体からなるフィルムを形成した後、該フィルムを基材にラミネートする方法;基材上にフィルムを押し出し成型して積層させる方法などが挙げられる。親水性重合体を溶解/分散した液の塗工方法としては、例えば、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、シムサイザー法、スプレーコート法、グラビアコート法、カーテンコーター法などが挙げられる。また、ラミネートする際に使用する接着剤としては、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエステル系、イソシアネート系、フェノール系、酢酸ビニル系およびアクリル系などが挙げられる。
また、親水性重合体としてセルロースを使用する場合、従来より公知のセロファンフィルムの製造方法と類似するビスコース加工紙の製造方法と同様にして、基材上にビスコースを塗布・含浸させ、再生セルロース膜を生成することで樹脂層を形成してもよい。
上記の如き方法で基材上に形成された樹脂層表面の平滑性については特に制限しないが、該樹脂層上にインク受容層を形成し、フォトライクな画質が付与できる被記録媒体を製造する場合には、樹脂層表面のJIS-B-0601による10点平均粗さが0.5μm以下で、かつJIS-Z-8741により規定される60度鏡面光沢度が25%以上であることが好ましい。
樹脂層は透明、半透明または不透明のいずれであってもよいが、インク受容層に透明性があり、基材の色や凹凸面の模様が印刷される画像に影響する場合には、樹脂層中に樹脂層のインク浸透性を妨げない範囲で、各種着色剤、白色顔料、蛍光増白剤などを添加してもよい。また、樹脂層は、親水性重合体の種類やその他の添加剤の各組成比を変更して多層形成してもよく、基材の片面もしくは両面に形成することも可能である。特に、樹脂層が両面に形成された支持体では、その片面にインク受容層を形成しても樹脂層自体の表面電気抵抗が低いことから帯電し難く、一般のフィルムやレジンコート紙の裏面に施されている帯電防止処理が不要となる。また、親水性重合体からなる樹脂層は、インク受容層を形成する際に使用する水性塗工液に対して親和性が高く、疎水性表面を有するフィルムやレジンコート紙のようにインク受容層形成面に易接着処理を施す必要がないという利点もあり、いずれも被記録媒体の製造コストを下げるうえで有利に働く。
なお、基材の片面のみに樹脂層を形成した支持体には、耐水性、カールバランス、被記録媒体として重積した場合のインク受容層表面との摩擦係数および摩擦による帯電などの調整、もしくはブロッキングを防止する目的で、樹脂層に使用される親水性重合体以外の各種樹脂、または無機微粒子や帯電防止剤などが混入された樹脂を、樹脂層が形成されていない裏面にバックコートもしくはラミネートしてもよい。また、樹脂層とその上に形成するインク受容層との接着強度を向上させるために、樹脂層表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことも可能である。
本発明においては、以上のようにして得られた支持体の樹脂層上に、無機微粒子とともに水溶性樹脂および/または水分散性樹脂を含有するインク受容層を形成することで、画像濃度およびインク吸収性に優れた高品質な画像記録が可能で、かつ高温高湿下での画像の滲みが効果的に防止された被記録媒体を製造することができる。
本発明において、インク受容層の形成に使用できる無機微粒子は、インク吸収能が高く、発色性に優れ、高品位の画像が形成可能な微粒子であることが好ましい。このような無機微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ケイソウ土、アルミナ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナ水和物、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、リトポン、ゼオライトなどを挙げることができ、これらを単独或いは複数種併用することができる。
上記無機微粒子の形態としては、高光沢かつ高透明性のインク受容層を得るために、平均粒径が50nm〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは100nm〜300nmの範囲である。無機微粒子の平均粒径が50nmより小さい場合、インク受容層のインク吸収性が著しく低下し、吐出量の多いプリンターで印字した際にインクの滲みやビーディング(インクを吸収できずに粒状の濃度ムラとなる現象)が発生する。
一方、平均粒径が500nmより大きい場合は、インク受容層の透明性が低下するとともに、画像の印字濃度や光沢が低下する場合がある。なお、本発明でいう平均粒径は動的光散乱法によって測定され、「高分子の構造(2)散乱実験と形態観察 第1章 光散乱」(共立出版 高分子学会編)、あるいはJ.Chem.Phys.,70(B),15 Apl.,3965(1979)に記載のキュムラント法を用いた解析から求めることができる。
本発明においては、前述した無機微粒子の中で、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物などが好ましく使用でき、さらに、形成するインク受容層の透明性や平滑性に優れ、より微細な空隙を形成できること、また、粒子表面が正電荷を有し、インク中の染料の定着性が良いという点から、ベーマイト構造または擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物がより好ましく使用できる。
特に、BET比表面積が50m2/g以上のアルミナ水和物が好ましく、より好ましくは50〜500m2/gの範囲であり、さらに好ましくは50〜250m2/gの範囲である。アルミナ水和物のBET比表面積が50〜500m2/gの範囲であれば、インク受容層のインク吸収性、ビーディングおよび平滑性などに優れる。一方、BET比表面積が50m2/g未満の場合、インク受容層の透明性や、印字濃度が低下して、印字物が白くモヤのかかったような画像になりやすく、また、BET比表面積が500m2/gを超える場合、インク吸収性が低下したり、アルミナ水和物を安定に分散する為に解膠剤として多量の酸が必要となるため好ましくない。
本発明で好ましく用いられる、ベーマイト構造または擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物は下記一般式(1)により表される。
Figure 2007055237
式中、nは0、1、2または3の整数の内、いずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。mH2Oは多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物をか焼するとmは0の値に達することがあり得る。
一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示す。ベーマイト構造としては、完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造を採ることもできる。この擬ベーマイトのX線回折図形は完全なベーマイトよりも幅広な回折ピークを示す。完全ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別できるものではないので、以下特に断らない限り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物という。
上記アルミナ水和物の製造方法としては特に限定はされないが、例えば、バイヤー法、明バン熱分解法などのいずれの方法も採用することができる。特に好ましい方法は、長鎖のアルミニウムアルコキシドに対して酸を添加して加水分解する方法である。また、得られたアルミナ水和物は、水熱合成の工程を経て粒子を成長させる熟成工程の条件を調整することにより、アルミナ水和物の粒子形状を特定範囲に制御することができ、熟成時間を適当に設定すると、粒子径が比較的均一なアルミナ水和物の一次粒子が成長する。ここで得られたゾルは、解膠剤として酸を添加することで、そのまま分散液として用いることもできるが、アルミナ水和物の水への分散性をより向上させるため、ゾルをスプレードライなどの方法により粉末化した後、酸を添加して分散液とすることもできる。また、アルミナ水和物を解膠する酸としては従来より公知のものが使用でき、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸などの有機酸、および塩酸、硝酸などの無機酸が挙げられ、それらの中から1種または2種以上を自由に選択して用いることができる。
また、解膠剤として酸を使用する代わりに、各種界面活性剤あるいは高分子分散剤を用いて分散液を作ることもできる。さらに、有機酸とカチオン性ポリマーを併用し、水中に無機微粒子を分散解膠することで微粒子分散液を調製してもよい。
微粒子分散液の溶媒としては、水、または水に混合可能な有機溶剤との混合溶液などの水性媒体であれば特に制限はない。水に混合可能な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフランなどのエーテル類が挙げられる。
本発明においては、上記無機微粒子とともに、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂を用いてインク受容層が形成される。本発明で使用される水溶性樹脂または水分散性樹脂としては、例えば、ゼラチン、カゼインおよびそれらの変性物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはその変性物(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性など)、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸またはその共重合体、アクリルアミド系樹脂、無水マレイン酸系共重合体、ポリエステル系樹脂、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスおよびこれらの各種重合体ラテックスにカチオン性基またはアニオン性基を付与した官能基変性重合体ラテックス類などが挙げられる。好ましいのは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールで、平均重合度が300〜5,000のものである。ケン化度は70〜100%未満のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。また、これらの水溶性樹脂または水分散性樹脂は単独あるいは複数種混合して用いることができる。
また、前記無機微粒子(A)と水溶性樹脂および/または水分散性樹脂(B)の混合質量比は、好ましくはA:B=1:1〜30:1、より好ましくはA:B=1.5:1〜20:1の範囲である。水溶性樹脂および/または水分散性樹脂の量がこれらの範囲内であれば、形成されたインク受容層のひび割れや粉落ちが発生し難くなり、インク吸収性も良い。また、前記無機微粒子と水溶性樹脂および/または水分散性樹脂の混合方法については特に限定しないが、好ましいのは、予め必要に応じた量の水性媒体に水溶性樹脂および/または水分散性樹脂を溶解し、これを微粒子分散液と混合する方法であり、バッチ式あるいは連続式のいずれの方法でも混合可能である。
また、本発明の被記録媒体において、無機微粒子、および水溶性樹脂および/または水分散性樹脂によって形成される皮膜の造膜性、耐水性および皮膜強度を改善するために、インク受容層中に硬膜剤を添加してもよい。一般に、硬膜剤は使用するポリマーが持つ反応性基の種類によって様々なものが選択され、例えば、ポリビニルアルコール系の樹脂であれば、エポキシ系硬膜剤や、ホウ酸などのホウ素化合物あるいは水溶性アルミニウム塩などの無機系硬膜剤などが挙げられる。
硬膜剤の使用量は、バインダーとして用いる水溶性樹脂および/または水分散性樹脂の量によって変化するが、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂に対して、概ね0.1〜30.0質量%の割合で添加するとよい。硬膜剤の含有量が、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂に対して0.1質量%未満の場合では、造膜性が低下し十分な耐水性が得られない。逆に、30.0質量%を超える場合は、塗工液粘度の経時変化が大きくなり、塗工安定性が低下することがある。
また、本発明の被記録媒体において、高温高湿下での画像の滲みをより効果的に防止するために、インク受容層中にインク吸収性に影響を与えない範囲でカチオン性ポリマーを添加してもよい。カチオン性ポリマーとしては従来より公知のものが使用でき、例えば、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアクリルアミドのカチオン変性物或いはアクリルアミドとカチオン性モノマーの共重合体、ビニルピロリドン系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体、ビニルオキサゾリドン系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体、ビニルイミダゾール系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体などが挙げられ、それぞれ単独もしくは二種以上を組合せて使用することができる。
インク受容層を形成するための塗工液中の固形分濃度は、支持体上にインク受容層を形成できる程度の粘度であれば特に制限はないが、塗工液全質量に対して5.0〜50.0質量%が好ましい。固形分濃度が5.0質量%未満の場合は、インク受容層の膜厚を厚くするのに塗工量を増やす必要があり、乾燥に多くの時間とエネルギーを必要とすることから非経済的である。また、50.0質量%を超えると塗工液の粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
また、前記塗工液には、本発明の効果を妨げない範囲内で各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、消泡剤、インク定着剤、ドット調整剤、着色剤、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、浸透剤、帯電防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤(退色防止剤)などを挙げることができる。
調製された塗工液を支持体上に塗工する方法としては、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、スピンコーター法、スプレーコーター法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、ダイコーター法など、従来より公知の塗工方法を用いることができる。その後、熱風乾燥機、熱ドラム、遠赤外線乾燥機などの乾燥装置を用いて乾燥することで、インク受容層を形成することができる。なお、本発明の被記録媒体におけるインク受容層は、無機微粒子、バインダーおよびその他の添加剤の各組成比を変更して多層形成してもよく、支持体の片面もしくは両面に形成することが可能である。また、画像の解像度および搬送性などを向上させる目的で、カレンダーやキャストなどの装置を用いて平滑化処理してもよい。
塗工液の支持体上への塗工量として好ましい範囲は、固形分換算で0.5〜60.0g/m2であり、より好ましい範囲は5.0〜55.0g/m2である。塗工量が0.5g/m2未満の場合は、形成されたインク受容層がインクの水分を十分に吸収できず、インクが流れたり、画像が滲んだりする場合があり、60.0g/m2を超えると、乾燥時にカールが発生したり、印字性能に期待されるほど顕著な効果が現れない場合がある。
以上の如き本発明の支持体を用いた被記録媒体が、高温高湿下での画像の滲みを抑制できた理由は明確ではないが、レジンコート紙などの非吸水性支持体を用いた場合に生じる滲みが、インク中に含まれる高沸点溶媒が原因で、溶媒が染料とともに拡散して生じていると仮定すると、おそらく本発明の被記録媒体では、インク中の染料がインク受容層のアルミナ微粒子に吸着され、有機溶媒が樹脂層へ浸透したことで色材と有機溶媒が分離され、溶媒と染料がともに拡散することがなくなったのではないかと推察される。
本発明の被記録媒体に画像を記録する際に使用するインクは、特に限定しないが、媒体として水と水溶性有機溶剤との混合物を使用し、これに色材として染料または顔料を溶解または分散した一般的なインクジェット記録用の水性インクが好ましく使用できる。
前記被記録媒体に上記インクを付与して画像形成を行う方法としては、インクジェット記録方法が特に好適であり、このインクジェット記録方法としてはインクをノズルより効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得る方法であれば如何なる方法でもよい。特に特開昭54−59936号公報などに記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例中、「部」および「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
<支持体Aの製造>
基材として上質紙(厚さ:145μm、坪量:147.8g/m2、平滑度:153秒)および樹脂層用の素材としてセロファンフィルム(厚さ:21μm、坪量:29.5g/m2、接触角:22.3°、透湿度:710g/m2・24hr)を用意し、前記セロファンフィルム上に、乾燥塗工量が6g/m2となるようにグラビアコーターを用いて接着剤(商品名:タケラックA-520および商品名:タケネートA-50(三井武田ケミカル(株)社製)の混合品、混合比:A-520/A-50=4/1、混合希釈後の固形分濃度:25%)を塗布し、乾燥後、上質紙にラミネートして支持体Aを製造した。また、得られた支持体について、下記評価1のテストを行った。
<支持体Bの製造>
支持体Aの製造方法において、基材をコート紙(厚さ:178μm、坪量:160.4g/m2、平滑度:230秒)に変更した以外は、支持体Aの製造方法と同様にして支持体Bを製造し、下記評価1のテストを行った。
<支持体Cの製造>
支持体Aの製造方法において、樹脂層用の素材をポリビニルアルコールフィルム(厚さ:30μm、接触角:28.5°、透湿度:370g/m2・24hr)に変更した以外は、支持体Aの製造方法と同様にして支持体Cを製造し、下記評価1のテストを行った。
<支持体Dの製造>
支持体Bの製造方法において、樹脂層用の素材をポリビニルアルコールフィルム(厚さ:30μm、接触角:28.5°、透湿度:370g/m2・24hr)に変更した以外は、支持体Bの製造方法と同様にして支持体Dを製造し、下記評価1のテストを行った。
<支持体Eの製造>
支持体Aの製造方法において、樹脂層用の素材をポリビニルアルコールフィルム(厚さ:65μm、接触角:32.3°、透湿度:100g/m2・24hr)に変更した以外は、支持体Aの製造方法と同様にして支持体Eを製造し、下記評価1のテストを行った。
<支持体Fの製造>
従来より公知のセルロースケーシングの製法を参考にして、上質紙(厚さ:145μm、坪量:147.8g/m2、平滑度:153秒)上にビスコースを塗布し、厚さ30μmの再生セルロース膜を形成して支持体Fを製造した。なお、セルロース膜表面の接触角は23.5°、透湿度は590g/m2・24hrであった(セルロース膜の透湿度は、支持体Fの透湿度から基材の透湿度を差引いた値である)。得られた支持体について、下記評価1のテストを行った。
<支持体G>
支持体Gとしてポリエチレン被覆紙(ポリエチレン被覆層の厚さ:30μm、ポリエチレン被覆層の接触角:96.8°、ポリエチレン被覆層の透湿度:15g/m2・24hr、JIS-Z-8741による60度鏡面光沢度:64%)を用い、下記評価1のテストを行った。
<評価1:支持体のインク吸収性についての評価方法>
インクジェットプリンタ(商品名:BJ F870、キヤノン(株)社製)を用いて、支持体の樹脂層表面にブラックインクのベタ印字(インク打込量:100%)を行い、23℃、50%RHで24時間放置した後、印字された部分を指で触れて乾き具合いを確認することによってインク吸収性の評価を行った。インクが指に転写しなかったものを「〇」、染料が少しだけ指に転写したものを「△」、インクが乾き切れずに指に転写したものを「×」とした。結果を表1に示す。
Figure 2007055237
<アルミナ水和物およびその分散液の製造>
米国特許第4,242,271号明細書に記載された方法で、アルミニウムドデキシドを製造した。次に米国特許第4,202,870号明細書に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーに、アルミナ水和物固形分が7.7%になるまで水を加えた。この時、アルミナスラリーのpHは9.4であり、これに3.9%の硝酸溶液を加えてpHを調整した。次にオートクレーブを用いて、熟成前のpH:6.0、熟成温度:150℃、熟成時間:6時間にて熟成を行いコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを入口温度87℃でスプレードライしてアルミナ水和物粉末とした。
さらに、イオン交換水100部に、得られたアルミナ水和物を27.3部、6%−酢酸水溶液を9.10部(アルミナ水和物に対して2%)添加し、スリーワンモータ(商品名:BL600、新東科学(株)社製)を用いて350rpmで10分間撹拌して、固形分濃度が20%のアルミナ分散液を調製した。また、得られたアルミナ分散液を60℃で乾燥して粉末化し、X線回折装置(X'Pert-PRO、PANalytical社製)を用いて結晶構造を解析したところ、ベーマイト構造を示していた。さらに、上記粉末を120℃で24時間真空脱気した後、比表面積/細孔分布測定装置(商品名:TriSter3000、マイクロメリティックス((株)島津製作所)社製、吸着ガス=窒素)を用いてBET比表面積を測定したところ139.7m2/gであった。
<実施例1>
先程調製したアルミナ分散液100部に、ホウ酸を0.4部(ポリビニルアルコールに対して20%)添加し、さらにポリビニルアルコール(PVA224、(株)クラレ社製)の10%水溶液を20部(アルミナ水和物に対して10%)添加してスリーワンモータで均一になるまで撹拌して塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥塗工量が35g/m2となるように支持体A上にメイヤーバーで塗工し、送風定温乾燥器((株)東洋製作所社製、商品名:FC-610)で110℃、20分間乾燥して本発明の被記録媒体を作製した。得られた被記録媒体について下記評価2〜5を行った。
得られた被記録媒体の諸物性について、下記の要領で評価を行った。
<評価2:光沢度についての評価方法>
光沢計(商品名:VG-2000、日本電色工業(株)社製)を用いて、被記録媒体のインク受容層表面のJIS-Z-8741で規定される20度鏡面光沢度および75度鏡面光沢度を測定した。得られた値を表2に示す。
<評価3:印字濃度についての評価方法>
作製した上記の被記録媒体に、インクジェットプリンタ(商品名:BJ F870、キヤノン(株)製)を用いてブラック(Bk)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インクおよびイエロー(Y)インクを単色で、かつインク打込量100%でベタ印字し、各色の光学濃度を光学反射濃度計(RD−918、グレタマクベス社製)を用いて測定した。得られた値を表2に示す。
<評価4:インク吸収性についての評価方法>
インクジェットプリンタ(商品名:BJ F870、キヤノン(株)社製)を用いて、インク打込量が90%〜270%の範囲で、グリーン(シアンインク/フォトシアンインク/イエローインクの混合比率が85/90/100)のベタ印字を行い、ビーディングが発生しない最大打込量を求めることでインク吸収性の評価を行った。インク打込量が200%以上のものを「○」、インク打込量が170%以上かつ200%未満のものを「△」、インク打込量が170%未満のものを「×」とした。結果を表2に示す。
<評価5:高温高湿下における画像滲みについての評価方法>
インクジェットプリンタ(商品名:BJ F870、キヤノン(株)製)を用いて、ブラック(シアンインク/マゼンタインク/イエローインクの混合比率:50/50/50、インク打込量:150%)のベタ印字を行い、30℃、80%RHの環境下に1週間曝露して、画像が滲む度合いを目視にて評価した。滲みが起きていないものを「〇」、僅かに滲みが起きているものを「△」、大きく滲んでいるものを「×」とした。結果を表2に示す。
<実施例2〜6>
実施例1において、支持体Aを支持体B〜Fに変更した以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を作製し、評価2〜5のテストを行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
実施例1において、支持体Aを上質紙(厚さ:145μm、坪量:147.8g/m2、平滑度:153秒)に変更した以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を作製し、評価2〜5のテストを行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
実施例1において、支持体Aをコート紙(厚さ:178μm、坪量:160.4g/m2、平滑度:230秒)に変更した以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を作製し、評価2〜5のテストを行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
実施例1において、支持体Aを支持体Gに変更し、ポリエチレン被覆層表面にコロナ放電処理を施した後、塗工液を塗布した以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を作製し、評価2〜5のテストを行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
実施例1において、塗工液中にカチオン性ポリマー(商品名:PAS-A-120L、30%水溶液、重量平均分子量:約100,000、日東紡績(株)社製)0.667部(アルミナ水和物に対して1%)を添加し、さらに支持体Aをポリエチレン被覆層表面にコロナ放電処理を施した支持体Gに変更した以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を作製し、評価2〜5のテストを行った。結果を表2に示す。
Figure 2007055237
表2から明らかなように、本発明の支持体を用いて製造した被記録媒体は、光沢度および印字濃度が高く、高品質な画像記録が可能であった。また、ポリエチレン被覆紙と比較した場合、インク吸収性、および高温高湿下での画像の滲みの防止効果に優れていた。
本発明によれば、基材上にインク吸収性および/またはインク浸透性を有する樹脂層を設けた支持体を用いることで、平滑化処理を行うことなく光沢性に優れたインク受容層が形成でき、さらに、画像濃度およびインク吸収性に優れ、高温高湿下での画像の滲みが効果的に防止された被記録媒体を提供することができた。

Claims (3)

  1. 支持体の少なくとも一方の面にインク受容層を設けてなる被記録媒体において、上記支持体が、基材の少なくともインク受容層を設ける側にインク吸収性および/またはインク浸透性を有する樹脂層を形成したものであり、該樹脂層の水に対する接触角、JIS-Z-0208に基づく透湿度、および厚さが下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする被記録媒体。
    樹脂層の接触角 ≦60° 式(1)
    樹脂層の透湿度 ≧100g/m2・24hr 式(2)
    10μm≦ 樹脂層の厚さ ≦100μm 式(3)
  2. 樹脂層が、セルロース、その誘導体;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニル系重合体;ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系重合体;およびポリスルホン系重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とする請求項1に記載の被記録媒体。
  3. インク受容層が、無機微粒子、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂を含有する請求項1に記載の被記録媒体。
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