JP4533397B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
<1> 耐水性支持体上に、擬ベーマイト状アルミナ水和物を含有するインク受容層を少なくとも2層有し、前記2層のインク受容層のうち、前記耐水性支持体から遠い側の上層は、ケン化度95%〜99%、平均重合度1500〜4500のポリビニルアルコール(B1)と架橋剤としてホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種とを更に含み、前記耐水性支持体に近い側の下層は、ケン化度75%〜90%、平均重合度2000〜8000のポリビニルアルコール(B2)と架橋剤としてホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種とを更に含むインクジェット記録媒体である。
本発明のインクジェット記録媒体は、耐水性支持体(以下、単に支持体ともいう。)上に、擬ベーマイト状アルミナ水和物を含有するインク受容層を少なくとも2層設けて構成されており、この2層のインク受容層のうち、耐水性支持体から遠い側の上層をケン化度ケン化度95%〜99%、平均重合度1500〜4500のポリビニルアルコール(以下、「高ケン化PVA」ともいう。)と架橋剤としてホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種とを更に用いて構成し、耐水性支持体に近い側の下層をケン化度75%〜90%、平均重合度2000〜8000のポリビニルアルコール(以下、「低ケン化PVA」ともいう。)と架橋剤としてホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種とを更に用いて構成したものである。
上層側に高ケン化度のPVAを使用することによりブロンジングが抑制される理由は明らかになっていない。擬ベーマイトアルミナは、高ケン化度のPVAほど水素結合によるゲル化が起こりやすく、細孔径が大きくなり、インク吸収速度が速くなる、および、高ケン化度のPVAほどアルミナ表面に吸着しやすくなり、アルミナ表面での染料会合が起こりにくくなっていること等が、ブロンジング抑制に効いているものと推定される。
上記の理由から、圧倒的に高濃度の画像が得られ、記録画像のブロンジングを効果的に低減することができると推定される。
また、本発明における最上層は、インク受容層が2層からなる場合は支持体から離れた前記上層をいい、インク受容層が3層以上からなる場合は、支持体から最も離れた層をいう。
本発明におけるインク受容層が2層からなる場合、支持体側の下層は、擬ベーマイト状アルミナ水和物と低ケン化PVAとホウ酸及び/又はその塩とを少なくとも含み、上層は擬ベーマイト状アルミナ水和物と高ケン化PVAとホウ酸及び/又はその塩を含み、両層は必要に応じて更に、擬ベーマイト状アルミナ水和物以外の無機微粒子、上記以外のPVA、他のバインダーや架橋剤、媒染剤などの他の成分を含有することができる。
−擬ベーマイト状アルミナ水和物−
本発明のインクジェット記録媒体は、多層からなるインク受容層の少なくとも2層は、少なくとも擬ベーマイト状アルミナ水和物の少なくとも一種を含有する。多層を形成する少なくとも2層がアルミナ水和物を用いて構成されることにより、気相法シリカ等に比べてバインダーの量を大きく減らすことが可能であり、インク吸収後の透明性が大きく向上し、圧倒的に高濃度の画像を記録できる。また、インク吸収性及びその吸収速度を向上させることができる。
作製した記録媒体から平均一次粒子径を測定する場合は、インク受容層を削りだした後、熱水により樹脂成分を除く処理を行なった後、遠心分離により粒子のみを回収する等の処理を行ない、得られた粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)による観察により求めることができる。このとき、例えば、基準サンプルとしてインク受容層用塗布液のみを塗布したサンプルについて同様の処理を行ない、その測定値(平均値)を使用したアルミナ水和物粒子の既知の粒子径(nm)と対比し、対比により得た値の差分から、作製した記録媒体における測定値(平均値)を比例計算して換算することにより、作製した記録媒体における平均一次粒子径を求めることができる。なお、平均一次粒子径を求めるためには、測定粒子数として100〜3000個程度は必要である。
(1)高ケン化PVA
インクジェット記録媒体を構成する2層のインク受容層のうちの上層は、擬ベーマイト状アルミナ水和物と共に、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール(高ケン化PVA)の少なくとも一種を含有する。少なくとも2層から形成されるインク受容層の上層に高ケン化のPVAを含有することにより、ブロンジングの発生を抑制でき、更には層表面の耐傷性を向上させる効果が得られる。
高ケン化PVAの好ましいケン化度は、ブロンジングの低減及び耐傷性向上と共に、アルミナ水和物との反応性を抑えて塗布液調製時のゲル化を防ぐ観点から、90%以上100%未満である。ブロンジングの低減及び耐傷性の観点から、95以上100%未満が更に好ましい。
インクジェット記録媒体を構成する2層のインク受容層のうちの下層は、擬ベーマイト状アルミナ水和物と共に、ケン化度90%未満のポリビニルアルコール(低ケン化PVA)の少なくとも一種を含有する。少なくとも2層から形成されるインク受容層の下層に低ケン化のPVAを含有することにより、層の透明性を向上でき、更に、染料インクによる記録後のインク受像層の透明性が向上して、画像濃度が大きく向上する。
低ケン化PVAの好ましいケン化度は、透明性、空隙率(すなわちインク吸収性)を高め、高濃度を得る観点から、75%以上90%以下が好ましく、更には85%以上90%以下が好ましい。
2層のインク受容層を構成する上層及び下層はいずれも、架橋剤として、ホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種を含有する。架橋剤を含有することにより、前記高ケン化PVA及び低ケン化PVA並びに必要に応じて含有するバインダーを架橋して硬膜することができる。これより、擬ベーマイト状アルミナ水和物を用いて構成されるインク受容層の膜強度を高めることができる。
インクジェット記録媒体を構成するインク受容層のうち、耐水性支持体から最も離れた最上層は、少なくとも、四級アンモニウム塩型のカチオンポリマーの少なくとも一種を含有させることが可能である。適当な極性を有するカチオンポリマーを適切に選定して含有することにより、ブロンジングを更に抑制することができる。
なお、最上層は好ましくは、四級アンモニウム塩型のカチオンポリマーと共に、上記の擬ベーマイト状アルミナ水和物、PVA、及び架橋剤を用いて構成される。
中でも、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの誘導体が好ましい。
本発明におけるインク受容層を構成する最上層には、更にコロイダルシリカの少なくとも一種を含有することが好ましい。コロイダルシリカを含むことにより、インク受容層表面の光沢がより向上し、更にはサラサラとした良好な手触り感が得られる。
以下、上記の各以外に含有することができる成分について詳述する。
(無機微粒子)
インク受容層に少なくとも一種の無機微粒子を含有することにより、多孔質層を形成することができる。無機微粒子の種類は特に限定されないが、光沢、インク吸収性の点で、気相法シリカ、アルミナ、又はアルミナ水和物が好ましい。無機微粒子は、単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
また、既述の上層及び下層が本発明の効果を損なわない範囲で擬ベーマイト状アルミナ水和物以外の無機微粒子を含んでもよい。
気相法シリカは、日本アエロジル(株)製のアエロジルシリーズ、トクヤマ(株)製のQSタイプ等が市販されており、容易に入手が可能である。気相法シリカの平均一次粒子径は、5〜50nmが好ましく、より高い光沢を得るためには5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m2/gのものが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。吸着気体としては通常、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられる。多分子吸着の等温線を表すもので最も著名なものとして、Brunauer Emmett Tellerの式(BET式)があり、表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
インク受容層には、膜としての特性を維持するために、既述の高ケン化PVA及び低ケン化PVA以外の他のバインダーを用いることができる。また、本発明におけるインク受容層(既述の上層及び下層を含む)は、既述の高ケン化PVA及び低ケン化PVAを含有する場合は更に下記他のバインダーを併用してもよく、また、既述の高ケン化PVA及び低ケン化PVAを含有しない場合は、既述の高ケン化PVA及び低ケン化PVA並びに下記他のバインダーの中から適宜選択したバインダーを含有することができる。
好ましいバインダーは、完全もしくは部分ケン化のポリビニルアルコール、又はカチオン変性ポリビニルアルコールである。
本発明におけるインク受容層は、無機微粒子として気相法シリカを含有する場合はカチオン性化合物を併用することが好ましい。カチオン性化合物を併用することによって、インク受容層のひび割れの防止及び耐水性の向上が図られる。
この場合、カチオン性化合物を含有するインク受容層の上に、コロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する層(例えば最上層)を設けることによって、耐傷性、耐水性、インク吸収性を更に向上でき、加えて2つの層の界面における凝集が防止され、結果として塗布ムラや光沢ムラを解消することができる。
なお、既述の上層及び下層のように、インク受容層にアルミナ水和物を含有する場合にはカチオン性化合物を必ずしも併用する必要はなく、併用しなくとも良好なひび割れ耐性及び耐水性が得られる。
また、カチオン性ポリマーの使用量は、擬ベーマイトアルミナ (その他の含まれる無機微粒子を含む。)の1〜10質量%の範囲が好ましい。
ここで、「水溶性」とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・・式2
Aln(OH)mCl(3n−m)〔0<m<3n〕 ・・・式3
本発明におけるインク受容層は、界面活性剤を用いて構成できる。界面活性剤を含有すると、塗布形成される塗膜への塗布スジ等の塗布故障を抑制できる。
前記界面活性剤としては、ノニオン性のものが好ましい。ノニオン性以外にも必要に応じて、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプも選択して用いることができる。また、低分子のものでも高分子のものでもよく、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤のインク受容層中における含有量は、擬ベーマイト状アルミナ水和物100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量部である。
インク受容層の膜としての脆弱性を改善する目的で、各種油滴を含有することもできる。油滴としては、室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や、重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーの一種以上を重合させた粒子)が挙げられる。油滴の使用量は、好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲である。
本発明における既述の上層及び下層には、ホウ酸及びその塩以外の他の架橋剤を併用してもよい。また、既述の上層及び下層以外の他のインク受容層は、バインダーと共に、架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤の具体的な例としては、前記ホウ酸及びホウ酸塩のほか、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンなどのケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書に記載のもの等の反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載などの反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書に記載のもの等のN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書に記載のもの等のイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、同2,983,611号明細書に記載のもの等のアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書に記載のもの等のカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書に記載のもの等のエポキシ化合物、ムコクロル酸などのハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンなどのジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウムなどの無機硬膜剤などがある。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、特にホウ酸又はその塩が好ましい。
硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
まず、擬ベーマイト状アルミナ水和物を水(例えばイオン交換水)中に加えて、ディゾルバー、吸引分散機等の攪拌機で撹拌して粗分散液を調製し、これを更に高圧分散機もしくはビーズミルで微分散させることにより、アルミナ含有分散液を得る。続いて、このアルミナ含有分散液を、ポリビニルアルコール(上層形成用の場合は高ケン化PVAを、下層形成用の場合は低ケン化PVAを含む。)と、ホウ酸及び/又はその塩(架橋剤)と、必要に応じて他の成分と共に、撹拌し、混合する。このとき、混合前に各成分(例えば各成分を含む各水溶液)を所望の温度(好ましくは40〜70℃)に調整しておき、各成分(例えば各水溶液)を所望の温度(好ましくは40〜70℃)に保温しながら混合を行なうようにするのが好ましい。
塗布液の温度としては、30〜70℃が好ましく、より好ましくは40〜50℃である。塗布液の温度は、30℃以上であると塗液のチキソトロピー性が抑えられ、塗布を良好に行なえ、70℃以下であると塗布筋等の塗布故障の発生を防止できる。
本発明のインクジェット記録媒体を構成する耐水性支持体としては、特に限定はしない。基紙の両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙でもよいし、透明なプラスチック製支持体、たとえば、ポリエステル系樹脂を使用したような透明支持体でもよい。
インク受容層を塗布形成する際の塗布条件(塗工装置、塗工液温度、粘度等)及び乾燥条件(乾燥温度、乾燥時間、温度勾配、風量、風の当て方、湿度等)を適宜選択することにより、インク受容層の物性を制御することができる。
また、塗布後、インク受容層を充分に乾燥させた後、支持体に悪影響を与えない範囲で熱処理を行なうことにより、インク受容層の細孔容積を大きくできるので、インク吸収性が良好になり、さらにインク受容層の耐水性も向上させることができる。熱処理する温度は、支持体の耐熱性にも依存するが、30〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜60℃である。
−アルミナ白色透明分散液の調製−
イオン交換水2042gをディゾルバーで攪拌しながら、これにカタロイドAP−5(触媒化成工業(株)製;擬ベーマイト状アルミナ水和物)708gを添加し、アルミナの白色粗分散液を得た。このときのディゾルバーの回転数は、3000r.p.m,回転時間は10分間とした。
得られたアルミナ白色透明分散液の分散粒子の粒子径は0.1040μmであった。
上記より得たアルミナ白色透明分散液100部、PVA−220(ケン化度88%、重合度2000のポリビニルアルコール、(株)クラレ製;低ケン化PVA)の7%水溶液34部、7.5%ホウ酸水溶液9.6部、10%界面活性剤水溶液(エマルゲン109P、花王(株)製、HLB13.6;界面活性剤)1.38部、及びイオン交換水50.6部を、混合前に予め60℃に保温し、保温後の各液を60℃で保温しながらよく混合し、下層用塗布液を調液した。このとき、擬ベーマイト状アルミナ(A)とポリビニルアルコール(B2)との質量比率A/B2は10である。
次に、上記より得たアルミナ白色透明分散液100部、PVA−124(ケン化度99%、重合度2400のポリビニルアルコール、(株)クラレ製;高ケン化PVA)の7%水溶液10部、7.5%ホウ酸水溶液3部、10%界面活性剤水溶液(エマルゲン109P、花王(株)製、HLB13.6;界面活性剤)0.01部、及びイオン交換水50.6部を、混合前に予め60℃に保温し、保温後の各液を60℃で保温しながら、よく混合して上層用塗布液を調液した。このとき、擬ベーマイト状アルミナ(A)とポリビニルアルコール(B1)との質量比率A/B1は10である。
実施例1において、上層のPVA−124の量を10部から15部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
実施例1において、上層にシャロールDC402P(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、第一工業製薬(株)製)3部を添加したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
実施例1において、下層用塗布液の調製に用いたPVA−220の量を10部から8部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
尚、擬ベーマイト状アルミナ水和物と低ケン化PVAとの質量比率(A/B2)は10以上である。
実施例1において、下層用塗布液の調製に用いたPVA−220(低ケン化PVA)をPVA−245(ケン化度88%、平均重合度3500、(株)クラレ製)に代え、上層用塗布液の調製に用いたPVA−124(高ケン化PVA)をPVA−145(ケン化度99%、平均重合度4500、(株)クラレ製)に代えたこと以外は、実施例と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
実施例1において、下層用塗布液の調製に用いたPVA−220(低ケン化PVA)をPVA−424(ケン化度78%、平均重合度2400、(株)クラレ製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
実施例1において、上層用塗布液の調製に用いたPVA−124(高ケン化PVA)をJM33(ケン化度95%、重合度3300、日本合成化学工業(株)製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録媒体を作製し、更に同様の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、インク受容層(上層)の上に、さらに下記組成のコロイダルシリカ含有層用塗布液をコロイダルシリカの塗布量が 0.2g/m2になるように塗布し、乾燥させて、最上層を形成したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
〈コロイダルシリカ含有層用塗布液の組成〉
・PL−3L(扶桑化学(株)製、コロイダルシリカ)…0.5部
・ポリフィックス700(昭和高分子(株)製) …0.1部
・PVA−117の7%水溶液((株)クラレ製) …0.6部
・スワノールAM3130(日本サーファクタント(株)製) …0.0015部
実施例1において、下層用塗布液の調製に用いたPVA−220(低ケン化PVA)をPVA−124(ケン化度99%、重合度2400、(株)クラレ製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録媒体を作製した。
実施例1において、上層用塗布液の調製に用いたPVA−124(高ケン化PVA)をPVA−220(ケン化度88%、重合度2000、(株)クラレ製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録媒体を作製した。
実施例1において、下層に用いたPVA−220を上層に、上層に用いたPVA−124を下層に置き換えた以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録媒体を作製した。
実施例1の上層に使用しているPVA−124をPVA−424(ケン化度78%、平均重合度2400、(株)クラレ製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録媒体を作製した。
上記の実施例及び比較例で得た各インクジェット記録媒体について、下記の測定、評価を行なった。測定、評価の結果は下記表1に示す。
インクジェットプリンタPM−A950(セイコーエプソン(株)製)を使用して、ブラック(Bk)のベタ印字を行なった。このベタ印字部の画像濃度をグレタグ スペクトロリノSPM−50(グレタグマクベス社製)を用いて、視野角2°、光源D50、フィルターなしの条件にて計測した。
インクジェットプリンタPM−A820(セイコーエプソン(株)製)を使用して、35℃/80%RHの雰囲気中でシアン色のベタ印字を行ない、このベタ印字部を蛍光灯下で目視により下記の評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
◎:写りこんだ蛍光灯の光が全く赤くならず、良好なシアン色を保っていた。
○:写りこんだ蛍光灯の光が僅かに赤く見えた。
△:写りこんだ蛍光灯の光が赤く見えた。
×:写りこんだ蛍光灯の光が全て赤く見えた。
インクジェットプリンタPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を準備し、空のインクタンクに各色のインク溶媒を装填してベタ印字するのと同様の操作を行なった。印字操作後、3時間放置した後、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機(株)製)によりヘイズを計測した。
インクジェットプリンタPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を使用して、ブラック(Bk)のベタ印字を行なった。このベタ印字部を蛍光灯下でプリンターで印画した際に付いた擦り傷の程度を下記の評価基準にしたがって観察、評価した。
〈評価基準〉
○:傷は全く観察されなかった。
△:僅かに傷があるのが観察された。
×:傷が何本も太く入っているのが観察された。
カラーインクジェットプリンタPM−A820(セイコーエプソン(株)製)を使用して記録を行ない、記録終了後、印字部を指先で軽く擦って汚れなくなるまでの時間を測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。許容される程度は4以上である。
〈評価基準〉
5:インク吸収速度は10秒未満であった。
4:インク吸収速度は10秒以上30秒未満であった。
3:インク吸収速度は30秒以上60秒未満であった。
2:インク吸収速度は1分以上5分未満であった。
1:インク吸収速度は5分以上であった。
インクジェットプリンタPM−A950(セイコーエプソン(株)製)を使用して、ブラック(Bk)のベタ印字を行なった。このベタ画像部を、デジタル変角光沢計UGV−5D(測定孔8mm、スガ試験機(株)製)を用いて、入射角60°、受光60°にて光沢度を測定した。
これに対し、上層に低ケン化PVAを用いた比較例2〜4では、ブロンジングが劣っており、下層に高ケン化度のPVAを用いた比較例1では、特に印画濃度に劣っていた。
Claims (6)
- 耐水性支持体上に、擬ベーマイト状アルミナ水和物を含有するインク受容層を少なくとも2層有し、前記2層のインク受容層のうち、
前記耐水性支持体から遠い側の上層は、ケン化度95%〜99%、平均重合度1500〜4500のポリビニルアルコール(B1)と架橋剤としてホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種とを更に含み、前記耐水性支持体に近い側の下層は、ケン化度75%〜90%、平均重合度2000〜8000のポリビニルアルコール(B2)と架橋剤としてホウ酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種とを更に含むインクジェット記録媒体。 - 前記少なくとも2層のインク受容層の前記耐水性支持体から最も離れた最上層は、前記擬ベーマイト状アルミナ水和物(A)と前記ポリビニルアルコール(B1)との質量比率(A/B1)が8以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記少なくとも2層のインク受容層の前記耐水性支持体から最も離れた最上層は、四級アンモニウム塩型のカチオンポリマーを更に含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記下層は、前記擬ベーマイト状アルミナ水和物(A)と前記ポリビニルアルコール(B2)の質量比率(A/B2)が10以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記ポリビニルアルコール(B1)及び前記ポリビニルアルコール(B2)の少なくとも一方は、平均重合度が3000以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層上に、コロイダルシリカを含有する層を更に有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
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