JP2006256303A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】速いインク吸収速度を維持したまま高い光沢感を有し、インク液滴に対するドット拡大率を高めることができるインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】支持体上に微粒子と親水性樹脂とを含有する2層以上の空隙型インク吸収層を有し、最表層の空隙型インク吸収層は、平均空隙径が隣接する空隙型インク吸収層に比べ小さく、かつ少なくとも該最表層の空隙型インク吸収層が、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に微粒子と親水性樹脂とを含有する2層以上の空隙型インク吸収層を有し、最表層の空隙型インク吸収層は、平均空隙径が隣接する空隙型インク吸収層に比べ小さく、かつ少なくとも該最表層の空隙型インク吸収層が、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規のインクジェット記録用紙に関するものである。
近年、インクジェット記録方式は急速に画質の向上が図られており、写真画質に迫りつつあり、また、一方では印字速度も高速化している。その様な状況において、最終的なプリント品質に対するインクジェット記録用紙の品質の重要性が非常に高まっている。高画質なインクジェット記録画像の形成が可能なインクジェット記録用紙の一例として、シリカやアルミナなどの無機微粒子と、バインダーとして少量の水溶性高分子とを組み合わせ、空隙構造を有する多孔質層を形成させた空隙型インクジェット記録用紙が開発されている。この空隙型インクジェット記録用紙においては、インク吸収層内部に空隙部分を有しているため、インクがその空隙部分に毛細管現象により急速に吸収されること、多量のインクを内部の空隙部分に保持することができることの2つの特徴を有する。これにより、乾燥性に優れ、また急速にインクが吸収されることから、印字したインクドット形状が真円に近い状態に保たれ、画像の鮮明さに優れるという長所を生み出している。
一般的に、空隙型インクジェット記録用紙は鮮明なプリント画像が得られる一方で、光沢感が未だ低いのが現状である。
光沢感を向上するため、紙基材の両面にポリエチレン樹脂を被覆することで平滑性を付与したレジンコート紙を支持体とし、空隙型インク吸収層を塗工したインクジェット記録用紙が知られている。このような空隙型インクジェット記録用紙の一例として、無機微粒子としてシリカを用い、親水性バインダーとしてポリビニルアルコールと架橋剤として硼酸又はその塩からなるインク吸収層を支持体上に設けたインクジェット記録用紙が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
前記レジンコート紙を支持体に用いることで光沢感は向上するが、支持体の平滑性を上げる為にポリエチレン樹脂を厚く塗工する必要があり、その結果、コストを高めるだけでなく、この方法による支持体の平滑化のみでは空隙型インク吸収層を塗工したインクジェット記録用紙の光沢感を十分に向上させることができない。
更に、近年では、インクジェット記録で得られる画質を写真に近づけようとする試みが数多くなされている。中でも、印字したドットに関する画質向上の最大のポイントは、ドットの一つ一つが肉眼で識別できないようにすることであり、そのためにインクを小液滴化すること、あるいは特にハイライト部でドットの反射濃度を低くし、ドットの識別を困難にするため、低濃度の染料インクを併用すること等がポイントとなる。
この様な状況では、画像形成時に吐出されるインク液滴量は増加傾向にあり、そのため、インクジェット記録用紙のインク吸収容量が不足して溢れることにより、画質や乾燥性の低下が見られるようになってきた。
上記課題に対応するため、空隙型のインク吸収層を厚くすると、その塗膜特性から亀裂(クラック)が発生しやすくなったり、乾燥能力から塗布スピードを低下したりして、製造コストが増大する等の課題が発生する。
この課題を解決する別の手段として、インクジェット記録用紙上に記録されるインク液滴あたりのドット径を拡大することにより、必要なドットサイズに要求されるインク量を低減する方法が挙げられる。例えば、インクジェット記録用紙上のドット拡大率が1割増加すると、画像形成に必要なインク量はおよそ25%軽減でき、同時にインクジェット記録用紙のインク吸収容量を低減できることから、プリントコストに有利である。更に、前記空隙型インク吸収層の膜厚を低減できることから、空隙型インクジェット記録用紙の課題であるひび割れの抑制や乾燥負荷軽減等、製造上のメリットもある。しかしながら、高いインク吸収性を維持したままドット拡大率を上げることは、困難な課題であった。
特開平10−119423号公報
特開2000−218927号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、速いインク吸収速度を維持したまま高い光沢感を有し、インク液滴に対するドット拡大率を高めることができるインクジェット記録用紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.支持体上に微粒子と親水性樹脂とを含有する2層以上の空隙型インク吸収層を有し、最表層の空隙型インク吸収層は、平均空隙径が隣接する空隙型インク吸収層に比べ小さく、かつ少なくとも該最表層の空隙型インク吸収層が、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
2.前記最表層の空隙型インク吸収層の膜厚が、0.03μm以上、1.00μm以下であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録用紙。
3.前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に紫外線を照射することにより、側鎖間で架橋結合させた高分子化合物であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録用紙。
4.前記最表層の空隙型インク吸収層は、平均粒子径が100nm以下の微粒子を含有し、かつ該微粒子がシリカまたはポリマー微粒子であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
5.前記平均粒子径が100nm以下のシリカ微粒子が、コロイダルシリカであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
6.前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、前記空隙型インク吸収層を塗布した後、湿潤状態で電離放射線を照射することにより架橋されたものであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明により、速いインク吸収速度を維持したまま高い光沢感を有し、インク液滴に対するドット拡大率を高めることができるインクジェット記録用紙を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に微粒子と親水性樹脂とを含有する2層以上の空隙型インク吸収層を有し、最表層の空隙型インク吸収層は、平均空隙径が隣接する空隙型インク吸収層に比べ小さく、かつ少なくとも該最表層の空隙型インク吸収層が、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙により、速いインク吸収速度を維持したまま高い光沢感を有し、インク液滴に対するドット拡大率を高めることができるインクジェット記録用紙を実現できることを見出したものである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に微粒子と親水性樹脂とを含有する2層以上の空隙型インク吸収層を有し、最表層の空隙型インク吸収層は、平均空隙径が隣接する空隙型インク吸収層に比べ小さく、かつ少なくとも該最表層の空隙型インク吸収層が、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙により、速いインク吸収速度を維持したまま高い光沢感を有し、インク液滴に対するドット拡大率を高めることができるインクジェット記録用紙を実現できることを見出したものである。
すなわち、本発明の目的であるインク液滴あたりのドット拡大率の向上に関し鋭意検討した結果、支持体上に少なくとも2層の空隙型インク吸収層を有し、支持体から最も離れた位置にある最表層の空隙型インク吸収層の平均空隙径を、下層の隣接した位置にある空隙型インク吸収層の平均空隙径より小さく設計することにより、ドット拡大率が向上できることを見出した。
このように、上下に位置する空隙型インク吸収層間で平均空隙径に差を付与する手段としては、例えば、
1)少なくとも微粒子からなる最表層と少なくとも微粒子と少量の親水性樹脂からなる下層を有する空隙型インク吸収層群において、上層である最表層で空隙を形成する微粒子の粒径が、下層の空隙型インク吸収層中の微粒子に比べ小さいものを使用する方法、
2)上記の様な空隙型インク吸収層群において、上層にポリマー微粒子やコロイダルシリカなど比較的空隙を形成し難い粒子を使用し、下層に気相法シリカや湿式シリカに代表される多孔質粒子など比較的大きな空隙を形成しやすい粒子を使用する方法、
3)上記の様な空隙型インク吸収層群において、微粒子に対する親水性樹脂の比率を下層より最表層を高く設定する方法、
4)2層以上の空隙型のインク吸収層を塗布した後、カレンダー処理等の物理的手段で最表層の空隙を閉塞させる方法、
などが挙げられる。
1)少なくとも微粒子からなる最表層と少なくとも微粒子と少量の親水性樹脂からなる下層を有する空隙型インク吸収層群において、上層である最表層で空隙を形成する微粒子の粒径が、下層の空隙型インク吸収層中の微粒子に比べ小さいものを使用する方法、
2)上記の様な空隙型インク吸収層群において、上層にポリマー微粒子やコロイダルシリカなど比較的空隙を形成し難い粒子を使用し、下層に気相法シリカや湿式シリカに代表される多孔質粒子など比較的大きな空隙を形成しやすい粒子を使用する方法、
3)上記の様な空隙型インク吸収層群において、微粒子に対する親水性樹脂の比率を下層より最表層を高く設定する方法、
4)2層以上の空隙型のインク吸収層を塗布した後、カレンダー処理等の物理的手段で最表層の空隙を閉塞させる方法、
などが挙げられる。
以上のような方法を適宜選択することにより、ドット拡大率の向上は可能であるが、前記最表層と下層の平均空隙径に差を設ける方法では、インク吸収性が低下する問題が生じる。
インク吸収性を向上する手段としては、一般的には架橋剤を使用することが知られているが、単に架橋剤を使用しただけでは十分な効果が得られなかった。例えば、前記最表層と下層間で平均空隙径に差を設けたインク吸収層に、空隙型インクジェット記録用紙等で広く用いられる硼酸、硼砂を架橋剤として適用した場合、十分なインク吸収速度が得られず、プリント後にまだら状の画像ムラやブロンジングが生じる。
この課題について鋭意検討した結果、最表層の平均空隙径が隣接する下層に比べ小さいインク吸収層において、最表層の空隙型インク吸収層に、電離放射線により架橋されている親水性樹脂を含有させることにより、ドット拡大率の向上とインク吸収性の両立が可能となり本発明に至った。特に、親水性樹脂が電離放射線で架橋されている場合、塗布後の経時保存においても安定したドット拡大効果が得られることに加え、膜面の平滑性が高く光沢感が向上することが分かった。
電離放射線による架橋でインク吸収性が改善されること、安定したドット拡大効果と光沢感の向上効果が得られることについて明確な解釈には至っていないが、次のように推定している。
硼酸や硼砂のような無機系の架橋剤は水に対し可逆的な架橋であり、プリント時のインク浸透過程で架橋構造が変化し、親水性樹脂の膨潤による空隙の閉塞で吸収速度が低下する。一方、電離放射線で架橋されている場合は、水に対し架橋構造が変化しないためインク浸透過程での不可逆な架橋である為、親水性樹脂の膨潤または下層への拡散による空隙の閉塞が起きにくい結果、高い吸収速度を達成できるものと考えている。更に、熱により架橋が進行する架橋手段に比べ電離放射線による架橋であれば、塗布後経時での架橋状態が変化しにくい為安定したドット径と吸収速度が得られるものと推定している。
電離放射線により架橋されている場合の光沢感が向上することについては次のように推定している。すなわち、空隙型インク吸収層用の塗布液を支持体に塗工後、湿潤状態で電離放射線により架橋・ゲル化させることにより高い弾性膜を形成できるため、乾燥風による膜面の乱れを抑制できるものと推定している。この結果、膜面の平滑性が向上し、良好な光沢感が得られるものと考えている。一方、硼酸や硼砂のような無機系の架橋剤を用い低温でゲル化させる手段も有効であるが、温度に対し可逆な架橋反応であるため乾燥時の膜面温度上昇に伴い膜の弾性が低下し、十分な乾燥風耐性を得ることができず十分な光沢感が得られない。
また、グリオキザールやエポキシなど有機系の架橋剤を用いて親水性樹脂を架橋させて上記同様に塗布液をゲル化させることも原理的には可能であるが、塗布後できるだけ早い段階で架橋反応、ゲル化させることは困難であり塗膜の光沢感を向上する効果には至っていない。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙においては、支持体上に微粒子と親水性樹脂から構成される高い空隙容量を有する少なくとも2層の空隙型インク吸収層(以下、空隙層ともいう)を積層した重層構造からなり、その中で、支持体から最も離れた位置に最表層が形成されている。
本発明でいう空隙層とは、微粒子と親水性樹脂から高い空隙容量を有する空隙構造を形成している層であり、インク吸収層の1つとして包含されるものである。また、インク吸収層とは、広義ではインク吸収能を少なくとも有している層をいう。
本発明のインクジェット記録用紙においては、最表層の空隙層の平均空隙径が、隣接する空隙層に比べて小さいことを特徴の1つとするが、本発明に係る空隙型インク吸収層の平均空隙径は、空隙型インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100以上の任意の孔径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の孔径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
本発明のインクジェット記録用紙においては、支持体上に微粒子と親水性樹脂から構成される高い空隙容量を有する少なくとも2層の空隙型インク吸収層を積層したインクジェット記録用紙において、最表層が電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とする。
次いで本発明に係る空隙型インク吸収層に用いる親水性樹脂について説明する。
本発明に係る空隙型インク吸収層に適用可能な親水性樹脂としては、特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、バインダーの吸湿特性が比較的小さく、記録用紙のカールがより小さい観点、及び少量の使用で無機微粒子のバインダー能力が高くひび割れや膜付き性が優れている観点から、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000〜5,000のものが好ましく用いられ、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の違いなど、2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
本発明に係る空隙型インク吸収層において、最表層が電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とする。
電離放射線により架橋された親水性樹脂(以下、高分子化合物ともいう)とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋または重合反応をする水溶性樹脂であり、反応前には水溶性であるが、反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。上記の樹脂は反応後も親水性を有し、十分なインクとの親和性を維持するものである。
このような樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、及びこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であるか、またはその親水性樹脂に、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型などの変性基により変性したものである。中でも、光二量化型、光重合型の変性基により変性した樹脂が、感度または樹脂自身の安定性の観点から好ましい。光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチリルピリジニウム基、スチルキノリウム基を導入したものが好ましく、光二量化後アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、1級アミノ基ないし4級アンモニウム基等のカチオン性期を有する樹脂、例えば、特開昭62−283339号、特開平1−198615号、特開昭60−252341号、特開昭56−67309号、特開昭60−129742号等の各公報に記載された感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基になるアジド基のような硬化後カチオン性になる樹脂、例えば、特開昭56−67309号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられるが、その中でも、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に紫外線を照射することにより側鎖間で架橋結合させた高分子化合物であることが好ましい。
具体的には、例えば、以下のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
特開昭56−67309号公報に記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記式(I)
で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または、下記式(II)
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
感光性樹脂の具体例は、該公報中の実施例1、2に、また感光性樹脂の構成成分及びその使用割合は該公報第2頁に記載されている。
また、特開昭60−129742号公報には、感光性樹脂としてポリビニルアルコール構造体中に、下記式(III)、式(IV)
の構造を有する樹脂組成物が挙げられている。
本発明においては、電離放射線により架橋する親水性樹脂の中でも、光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号公報に開示されている下記一般式(A)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物が、反応性との観点から好ましい。
上記一般式(A)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Yは芳香族環または単なる結合手を表し、Xは、−(CH2)m−COO−、−O−CH2−COO−または−O−を表し、mは0〜6の整数、nは1または2を表す。
また、上記主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物とともに、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂を併用してもよい。
本発明においては、電離放射線により重合された高分子化合物を含む親水性バインダーと共に、光開始剤や増感剤を添加することが好ましい。これらの化合物は、溶媒に溶解、または分散した状態、もしくは上記高分子化合物を含む親水性バインダーに対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤については、特に制限はなく、従来公知の光開始剤あるいは光増感剤を用いることができ、例えば、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(例えば、チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)、アントラキノン類(例えば、エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等)、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル等)、2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等)、ビスアシルフォスフィンオキサイド及びこれらの混合物等が挙げられ、上記各化合物は単独で使用しても2種以上併用してもよい。
特に、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性開始剤が、混合性等に優れ架橋効率の観点からも好ましい。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
このような樹脂においては、母核ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300以上であることが好ましく、1700以上がより好ましい。セグメントに対する電離放射線反応変性基の変性率は4mol%以下が好ましく、より好ましくは1mol%以下である。セグメントの重合度が300以下または、変性率が4mol%を超えると、塗膜の架橋密度が高すぎて、乾燥塗膜の折れ割れ性が著しく悪くなる。同時に架橋密度が高すぎる場合、基材との吸湿性、寸法安定性のバランスが悪く、カール耐性が悪くなり好ましくない。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、親水性バインダーとして上記の電離放射線により高分子化合物を用いる場合には、電離放射線により高分子化合物を含む塗布液を塗布し、塗布層の総固形分濃度が5〜90%の時点に電離放射線を照射して塗工層をゲル化させ、その後乾燥することが好ましい。
本発明でいう電離放射線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や取り扱いが容易で、かつ工業的にもその利用が普及している点で電子線または紫外線が好ましい。
電子線の照射方法としては、例えば、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などがあるが、処理能力の観点からカーテンビーム方式が好ましい。電子線の加速電圧は、塗膜の比重と膜圧により適時変化させることができるが、20kV〜300kVが適当である。電子線の照射量は0.1〜20Mradの範囲が好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、100Pa〜1MPaの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。
特に光源の波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして100J/cm2を超える場合には、電離放射線架橋性の親水性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤が電離放射線により分解を起こし、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を生ずる可能性がある。逆に、照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合では、架橋効率が不足し、本発明の効果を十分に得ることができなくなる。したがって、光源としては300nm以下の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましく、ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜10kW/cm2が好ましい。本発明では照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜100mJ/cm2であることが好ましく、1mJ/cm2〜50mJ/cm2であることがより好ましい。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。照度が低すぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明に係る最表層には、平均粒子径が100nm以下のシリカ微粒子またはポリマー微粒子を含有することが、本発明の目的効果をより奏する観点から好ましい。
最表層に適用可能な微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、気相法シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、「微粒子工学体系 第2巻,p463」に記載の界面活性剤をテンプレートとして合成されるメソ細孔を有するシリカ、アルミノシリケート等の無機微粒子やアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体、例えば、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のポリマー微粒子を挙げることができる。
上記の各微粒子は、一次粒子のまま用いても、また、二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明に係る最表層に用いられる微粒子の平均粒子径は、高い光沢性を得る為に100nm以下であることが好ましく、特に好ましくは40nm以下であることで高い光沢性とインク吸収性およびドット拡大率の向上効果が得られる。平均粒子径の下限に特に制約はないが、製造上安定した粒子径が得られる観点で概ね10nm以上である。微粒子の平均粒径は、空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
また、最表層のインク吸収層に微粒子を含有する場合は、インクの良好な発色性を得る観点において、微粒子がシリカまたはポリマー微粒子であることが好ましい。また、最表層のインク吸収層にシリカを使用する場合、本発明に係る最表層は空隙径を低くする必要がある観点から、コロイダルシリカを用いることが特に好ましい。
本発明に係るコロイダルシリカとは、二酸化ケイ素をコロイド状に水に分散させたものであり、平均粒子径が5〜100nm程度で球状である。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業社のスノーテックスシリーズ、触媒化成工業社のカタロイド−Sシリーズ、バイエル社のレバシルシリーズなどが挙げられる。また、アルミナゾルや水酸化アルミニウムでカチオン変性したコロイダルシリカやシリカの一次粒子を2価以上の金属イオンで粒子間を結合し数珠状に連結した数珠状コロイダルシリカも好ましく用いられる。数珠状コロイダルシリカは日産化学工業社のスノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UPシリーズなどがある。
上記のような構成からなる最表層の乾燥膜厚としては、0.03〜1.0μmの範囲とすることが、ドット拡大率の向上とインク吸収性の両立において好ましく、0.1〜0.5μmの範囲がより好ましい。
次いで、微粒子と親水性樹脂を含む最表層を除く空隙型インク吸収層について説明する。
本発明に係る最表層を除く空隙型インク吸収層で用いられる親水性樹脂としては、上述の最表層に適用できる親水性樹脂と同様の化合物を挙げることができる。
また、本発明に係る最表層を除く空隙型インク吸収層で用いられる微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。上記無機微粒子は、一次粒子のまま用いても、また二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、低屈折率で、かつ100nm以下の平均粒子径のものが比較的安価に得られる観点からシリカ系粒子またはアルミナ径粒子が好ましく、更にはアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカ等が好ましく、特に、平均粒子径が100nm以下の気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。
この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであっても良い。表面がアルミニウムで修飾された気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、光沢性や発色濃度の観点から100nm以下であり、粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね10nm以上が好ましい。
上記無機微粒子の平均粒子径は、多孔質インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記無機微粒子は、一次粒子のままであるいは二次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜に存在していても良いが、上記平均粒子径は、電子顕微鏡で観察した時にインク吸収層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記無機微粒子が二次以上の凝集粒子である場合には、その平均一次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒子径以下であり、無機微粒子の一次粒子径としては30nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜20nmの微粒子である。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記無機微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ないインク吸収層を形成する必要があり、インク受容層中には、5〜50g/m2の付量になることが好ましい。更には、10〜30g/m2であることが特に好ましい。
本発明に係る空隙層、インク吸収層、あるいは最表層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することもできる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン媒染剤、多価金属化合物、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、長期保存での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、特にインク吸収層が多価金属化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る多価金属化合物は、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属化合物を挙げることができ、また多価金属化合物は多価金属塩であってもよい。中でもマグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、亜鉛からなる化合物は無色の為好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物であることが更に好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子を含む化合物であることが特に好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物(但し、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムは除く)は、その化合物自身は水溶性であっても非水溶性であっても良いが、インク吸収層の所望の位置に均一に添加できるものであることが好ましい。
また、本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、インク吸収層の所望の位置に均一に添加できるものが好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子を含む化合物の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(例えば、塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウムなどが挙げられる。
これらのジルコニウム原子を含む化合物の中でも、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルが好ましい。
本発明で用いることのできるアルミニウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩等)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩等)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩など)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムが好ましい。
本発明で用いることのできるマグネシウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、硫化マグネシウム、炭化マグネシウム、リン酸マグネシウムがあげられ、これらの中でも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムが好ましい。
これらの多価金属化合物の中でも、特に好ましいものは、前述したジルコニウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したもの、アルミニウム原子含む化合物で好ましいものとして例示したもの、マグネシウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したものの中で、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、塩基性塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムである。特に酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルが好ましく、酸塩化ジルコニウムが最も好ましい。
カチオン性ポリマー、あるいは水溶性の多価金属化合物の使用量は、無機微粒子に対する質量比で10質量%以下、より好ましくは8質量%以下であることがインク吸収性の劣化を抑制する為に好ましい。
カチオン性ポリマー、あるいは水溶性の多価金属化合物の添加方法としては、塗布液に直接添加して塗布する方法のほか、記録用紙の塗布乾燥後にカチオン性の樹脂や水溶性の多価金属化合物の水溶液をオーバーコートして乾燥するといった方法でもかまわない。
本発明の記録用紙において、インク吸収層塗布液の粘度は40℃において0.010〜0.300Pa・sにすることが好ましく、より好ましい粘度範囲は0.025〜0.100Pa・sである。塗布液の粘度が高くなりすぎると塗布装置への供給が出来なくなり、送液不良を招く結果となる。
本発明で用いることのできる支持体としては、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが特に好ましい。吸収性支持体を用いた場合には、支持体がインク中の水分を吸収することによりコックリングを起こしてしまうことがあり、プリント後の品位が損なわれてしまう。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができる。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなる、いわゆるホワイトペットが好ましい。前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長は、JIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。また、原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良い。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙において、支持体上に本発明に係るインク吸収層等の構成層を塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙上に画像印字を行うのに用いるインクジェットインク(以下、単にインクともいう)について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を、特に好ましく用いることができる。
インクに用いられる着色剤としては、従来公知の水溶性染料、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、あるいは分散染料、顔料等を用いることができる。
水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが、特に好ましい。水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
本発明で用いるインク組成物には、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。また、インク組成物はその飛翔時の表面張力として、20mN/m以上が好ましく、30〜45mN/mであることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙を用いたインクジェット記録方法に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電解制御型、スリットジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《添加剤の調製》
〔コロイダルシリカの合成〕
文献「Gypsum & Lime No.211(1987)p47〜48」に記載の合成法に準じて、珪酸ソーダ水溶液を原料としたイオン交換法により、合成条件を適宜調整しながら、下記の平均粒子径を有するコロイダルシリカS−1〜S−5を合成した。
《添加剤の調製》
〔コロイダルシリカの合成〕
文献「Gypsum & Lime No.211(1987)p47〜48」に記載の合成法に準じて、珪酸ソーダ水溶液を原料としたイオン交換法により、合成条件を適宜調整しながら、下記の平均粒子径を有するコロイダルシリカS−1〜S−5を合成した。
S−1:平均粒子径15nm
S−2:平均粒子径35nm
S−3:平均粒子径45nm
S−4:平均粒子径100nm
S−5:平均粒子径130nm
〔微粒子分散液Aの調製〕
気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径14nm)の10kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーを用いて、35Lの純水に435mlのエタノールを加えた水溶液中に室温で吸引分散した後、純水を添加して全量を43.5Lに仕上げて分散液とした。この分散液は、pHが2.8でエタノールを1質量%含有している。
S−2:平均粒子径35nm
S−3:平均粒子径45nm
S−4:平均粒子径100nm
S−5:平均粒子径130nm
〔微粒子分散液Aの調製〕
気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径14nm)の10kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーを用いて、35Lの純水に435mlのエタノールを加えた水溶液中に室温で吸引分散した後、純水を添加して全量を43.5Lに仕上げて分散液とした。この分散液は、pHが2.8でエタノールを1質量%含有している。
次に、この分散液の400mlに、カチオン性ポリマーP−1の28%水溶液を33ml添加し、ディゾルバーでプレ分散した後、pHを4.5に調整するに要する量のトリエタノールアミンを加えた。更に、サンドミル分散機を用いて、周速9m/秒の条件で30分間分散した。この分散液の全量を540mlに仕上げて、ほぼ透明な微粒子分散液Aを調製した。この微粒子分散液Aを、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
〔親水性樹脂水溶液B−1の調製〕
特開2000−181062号公報に記載の方法に準じて、重合度1700、ケン化度98%のポリビニルアルコールに、p−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドを反応させた後、光重合開始剤(日本化薬製、カヤキュアQTX)を、ポリビニルアルコールに対し、質量比で1.8%添加して架橋基変性率1mol%、固形分濃度8質量%の紫外線重合型ポリビニルアルコール水溶液である親水性樹脂水溶液B−1を調製した。
特開2000−181062号公報に記載の方法に準じて、重合度1700、ケン化度98%のポリビニルアルコールに、p−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドを反応させた後、光重合開始剤(日本化薬製、カヤキュアQTX)を、ポリビニルアルコールに対し、質量比で1.8%添加して架橋基変性率1mol%、固形分濃度8質量%の紫外線重合型ポリビニルアルコール水溶液である親水性樹脂水溶液B−1を調製した。
《インク吸収層塗布液の調製》
〔下層用塗布液1の調製〕
上記調製した微粒子分散液Aの528mlを40℃で攪拌しながら、上記調製した親水性樹脂水溶液B−1の188mlを徐々に添加し、全体の液が1000mlになるように純水を加えて、半透明状の下層塗布液1を調製した。
〔下層用塗布液1の調製〕
上記調製した微粒子分散液Aの528mlを40℃で攪拌しながら、上記調製した親水性樹脂水溶液B−1の188mlを徐々に添加し、全体の液が1000mlになるように純水を加えて、半透明状の下層塗布液1を調製した。
〔上層(最表層)用塗布液1の調製〕
上記調製した親水性樹脂水溶液B−1の321mlに純水を450ml加え、攪拌しながら微粒子として気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径14nm)の紛体を100g添加し、ディゾルバーでプレ分散した後、pHを4.5に調整するに要する量のトリエタノールアミンを加えた。次いでサンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で20分間分散した。アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行い上層用塗布液1を調製した。なお、ここで調製した上層用塗布液1の親水性樹脂(B)に対する微粒子(P)の比率(P/B)は3.5である。
上記調製した親水性樹脂水溶液B−1の321mlに純水を450ml加え、攪拌しながら微粒子として気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径14nm)の紛体を100g添加し、ディゾルバーでプレ分散した後、pHを4.5に調整するに要する量のトリエタノールアミンを加えた。次いでサンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で20分間分散した。アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行い上層用塗布液1を調製した。なお、ここで調製した上層用塗布液1の親水性樹脂(B)に対する微粒子(P)の比率(P/B)は3.5である。
《記録用紙の作製》
〔記録用紙1−1の作製〕
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層面側のポリエチレン中には8%のアナターゼ型酸化チタン含有し、同じくインク吸収層面側には0.05g/m2のゼラチン下引き層を有し、また、インク吸収層とは反対側の面にはTgが約80℃のラテックス性ポリマー含むバック層を0.2g/m2として有する)に、上記下層用塗布液1をワイヤーバーにより湿潤膜厚200μmで塗布した。塗布後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用い、照度100mw/cm2で、エネルギー量として30mJ/cm2となるように紫外線を照射し、その後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して、下層塗布試料1を作製した。この下層塗布試料1の表面について、前述の方法に従って電子顕微鏡観察により測定した平均空隙径は、25nmであった。
〔記録用紙1−1の作製〕
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層面側のポリエチレン中には8%のアナターゼ型酸化チタン含有し、同じくインク吸収層面側には0.05g/m2のゼラチン下引き層を有し、また、インク吸収層とは反対側の面にはTgが約80℃のラテックス性ポリマー含むバック層を0.2g/m2として有する)に、上記下層用塗布液1をワイヤーバーにより湿潤膜厚200μmで塗布した。塗布後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用い、照度100mw/cm2で、エネルギー量として30mJ/cm2となるように紫外線を照射し、その後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して、下層塗布試料1を作製した。この下層塗布試料1の表面について、前述の方法に従って電子顕微鏡観察により測定した平均空隙径は、25nmであった。
次いで、上記下層塗布試料1上に、上記調製した上層用塗布液1をワイヤーバーにより乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用い、照度100mw/cm2で、エネルギー量として30mJ/cm2となるように紫外線を照射し、その後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙1−1を作製した。この記録用紙1−1の表面について、前述の方法に従って電子顕微鏡観察により測定した平均空隙径は、15nmであった。
〔記録用紙1−2〜1−15の作製〕
上記記録用紙1−1の作製において、上層用塗布液1に代えて、上層(最表層)用塗布液1の調製に用いた微粒子の種類、親水性樹脂に対する微粒子の比率(P/B)及び乾燥膜厚を表1に記載の条件に変更した上層塗布液2〜15を用いた以外は同様にして、記録用紙1−2〜1−15を作製した。なお、各上層用塗布液のpH調整には、トリエタノールアミンまたは硝酸を用いた。
上記記録用紙1−1の作製において、上層用塗布液1に代えて、上層(最表層)用塗布液1の調製に用いた微粒子の種類、親水性樹脂に対する微粒子の比率(P/B)及び乾燥膜厚を表1に記載の条件に変更した上層塗布液2〜15を用いた以外は同様にして、記録用紙1−2〜1−15を作製した。なお、各上層用塗布液のpH調整には、トリエタノールアミンまたは硝酸を用いた。
なお、表1に略称で記載の各微粒子の詳細は以下の通りである。
微粒子A:気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル社製、平均二次粒子径41nm(*:記録用紙を作製した後、表面原子顕微鏡にて測定した値))
微粒子B:カチオン変性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK、日産化学工社製、平均粒子径12nm)
微粒子C:酸性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO、日産化学工業社製、平均粒子径15nm)
微粒子D:スチレン−アクリル共重合エマルジョン(スチレン:n−ブチルアクリレート=4:1、平均粒子径20nm)
S−1〜S−5:上記のコロイダルシリカ
《記録用紙の評価》
〔光沢感の評価〕
上記作製した各記録用紙の鏡面光沢(60°)と像鮮明性(反射角60°)を下位の方法に則り測定し、下記の基準に従って光沢感を評価した。評価ランクが3以上であれば、銀塩写真に近い良好な光沢感であると判定した。
微粒子B:カチオン変性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK、日産化学工社製、平均粒子径12nm)
微粒子C:酸性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO、日産化学工業社製、平均粒子径15nm)
微粒子D:スチレン−アクリル共重合エマルジョン(スチレン:n−ブチルアクリレート=4:1、平均粒子径20nm)
S−1〜S−5:上記のコロイダルシリカ
《記録用紙の評価》
〔光沢感の評価〕
上記作製した各記録用紙の鏡面光沢(60°)と像鮮明性(反射角60°)を下位の方法に則り測定し、下記の基準に従って光沢感を評価した。評価ランクが3以上であれば、銀塩写真に近い良好な光沢感であると判定した。
鏡面光沢:日本電子工業株式会社製の変角光度計(VGS−1001DP)を用い入射角および反射角は60°で測定した。
像鮮明性:JIS K 7105に規定される像鮮明度を、写像性測定装置ICM−1DP(スガ試験機社製)により反射60°、光学くし2mmsでの写像性(C値%)を測定した。
5:鏡面光沢が75以上、100未満で、像鮮明性が75以上、99未満
4:鏡面光沢が75以上、100未満で、像鮮明性が65以上、75未満
3:鏡面光沢が60以上、74未満で、像鮮明性が56以上、65未満
2:鏡面光沢が60以上、74未満で、像鮮明性が45以上、55未満
1:鏡面光沢が30以上、60未満で、像鮮明性が20以上、45未満
〔インク吸収性の評価〕
上記作製した各記録用紙を、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−800Cで、純正インクによる緑のベタ画像印字を行い、印字直後にベタ画像表面を指でこすって画像の乱れを目視評価し、下記の基準に従ってインク吸収性の評価を行った。
4:鏡面光沢が75以上、100未満で、像鮮明性が65以上、75未満
3:鏡面光沢が60以上、74未満で、像鮮明性が56以上、65未満
2:鏡面光沢が60以上、74未満で、像鮮明性が45以上、55未満
1:鏡面光沢が30以上、60未満で、像鮮明性が20以上、45未満
〔インク吸収性の評価〕
上記作製した各記録用紙を、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−800Cで、純正インクによる緑のベタ画像印字を行い、印字直後にベタ画像表面を指でこすって画像の乱れを目視評価し、下記の基準に従ってインク吸収性の評価を行った。
◎:指でこすっても画像の乱れが全く認められない
○:指でこするとわずかに画像が乱れるが、良好な品質である
△:指でこするとやや画像がこすれて汚れるが、実用上可能な範囲である
×:画像がこすれて激しく汚れてしまい、実用上許容範囲外の品質である
〔ドット拡大率の評価〕
(インク液の調製)
以下に示す組成からなるブラックインクを調製した。
○:指でこするとわずかに画像が乱れるが、良好な品質である
△:指でこするとやや画像がこすれて汚れるが、実用上可能な範囲である
×:画像がこすれて激しく汚れてしまい、実用上許容範囲外の品質である
〔ドット拡大率の評価〕
(インク液の調製)
以下に示す組成からなるブラックインクを調製した。
C.I.ダイレクトイエロー86 3質量部
C.I.リアクティブレッド180 2.6質量部
C.I.ダイレクトブルー199 2.5質量部
エチレングリコール 22質量部
プロピレングリコール 14質量部
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 10質量部
界面活性剤(エマルゲン910、花王社製) 0.05質量部
プロキセルGXL(アビシア社製) 0.1質量部
イオン交換水 45.75質量部
(インクジェット画像記録)
特開平11−99644号に記載の圧電性セラミックを用いたインクジェットヘッドを用い、下記の条件で上記調製したインク液を各記録用紙に記録密度:70dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数を表す)、駆動周波数:30kHz、インク液滴量:7plで記録し、下記の評価を行った。
C.I.リアクティブレッド180 2.6質量部
C.I.ダイレクトブルー199 2.5質量部
エチレングリコール 22質量部
プロピレングリコール 14質量部
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 10質量部
界面活性剤(エマルゲン910、花王社製) 0.05質量部
プロキセルGXL(アビシア社製) 0.1質量部
イオン交換水 45.75質量部
(インクジェット画像記録)
特開平11−99644号に記載の圧電性セラミックを用いたインクジェットヘッドを用い、下記の条件で上記調製したインク液を各記録用紙に記録密度:70dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数を表す)、駆動周波数:30kHz、インク液滴量:7plで記録し、下記の評価を行った。
(ドット拡大率の測定)
得られた記録画像中のドットをCCDカメラを内蔵したマイクロスコープで拡大撮影し、30個のドット径を測定して平均値を求めた。この方法により測定した記録用紙1−2のドット径を1.0と定義し、各記録用紙のドット径との比を求めて、これをドット拡大率とした。
得られた記録画像中のドットをCCDカメラを内蔵したマイクロスコープで拡大撮影し、30個のドット径を測定して平均値を求めた。この方法により測定した記録用紙1−2のドット径を1.0と定義し、各記録用紙のドット径との比を求めて、これをドット拡大率とした。
以上により得られた結果を、まとめて表1に示す。
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の記録用紙は、比較例に対し、高いドット拡大効果が得られ、かつ良好な光沢感とインク吸収性を示すことが分かる。
実施例2
《添加剤の調製》
〔微粒子分散液Bの調製〕
気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径14nm)の10kgを三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーを用いて、35Lの純水に435mlのエタノールを加えた液中に室温で吸引分散した後、純水を加えて全量を43.5Lに仕上げ分散液とした(pH2.8、エタノール1質量%含有)。
《添加剤の調製》
〔微粒子分散液Bの調製〕
気相法シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径14nm)の10kgを三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーを用いて、35Lの純水に435mlのエタノールを加えた液中に室温で吸引分散した後、純水を加えて全量を43.5Lに仕上げ分散液とした(pH2.8、エタノール1質量%含有)。
この分散液の400mlに、カチオン性ポリマーP−1(前出)の28%水溶液を33ml、ホウ酸2.1gおよびホウ砂1.4gを溶解した水溶液69mlを添加し、ディゾルバーでプレ分散した。更にサンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で30分間分散した。この分散液の全量を540mlに仕上げて、ほぼ透明な微粒子分散液Bを得た。得られた微粒子分散液Bを、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
《記録用紙の作製》
〔記録用紙2−1の作製〕
ポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(株)クラレ製)の8%水溶液の125mlに純水を200ml加え、攪拌しながら微粒子としてカチオン変性コロイダルシリカの18%分散液(商品名:スノーテックスAK、日産化学工業(株)製、平均粒子径12nm)を556ml添加し、ディゾルバーでプレ分散した後、pHを4.5に調整するに要する量の硝酸を加えた。次いで、サンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で20分間分散した。アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行い、上層用塗布液16を調製した。更に、上層用塗布液16に架橋剤としてグリオキザールを3g添加攪拌し、実施例1で作製した下層塗布試料1の上にワイヤーバーを使用し、乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙2−1を作製した。
〔記録用紙2−1の作製〕
ポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(株)クラレ製)の8%水溶液の125mlに純水を200ml加え、攪拌しながら微粒子としてカチオン変性コロイダルシリカの18%分散液(商品名:スノーテックスAK、日産化学工業(株)製、平均粒子径12nm)を556ml添加し、ディゾルバーでプレ分散した後、pHを4.5に調整するに要する量の硝酸を加えた。次いで、サンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で20分間分散した。アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行い、上層用塗布液16を調製した。更に、上層用塗布液16に架橋剤としてグリオキザールを3g添加攪拌し、実施例1で作製した下層塗布試料1の上にワイヤーバーを使用し、乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙2−1を作製した。
〔記録用紙2−2、2−3の作製〕
上記記録用紙2−1の作製において、上層用塗布液16に代えて、グリオキザールの量を1gに変更した上層塗布液17を用いた以外は同様にして記録用紙2−2を、グリオキザールをジグリシジルエチルエーテルに変更した上層塗布液18を用いた以外は同様にして記録用紙2−3を作製した。
上記記録用紙2−1の作製において、上層用塗布液16に代えて、グリオキザールの量を1gに変更した上層塗布液17を用いた以外は同様にして記録用紙2−2を、グリオキザールをジグリシジルエチルエーテルに変更した上層塗布液18を用いた以外は同様にして記録用紙2−3を作製した。
〔記録用紙2−4の作製〕
ポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(株)クラレ製)の8%水溶液の125mlに純水を200ml加え、攪拌しながら微粒子としてカチオン変性コロイダルシリカの18%分散液(商品名:スノーテックスAK、日産化学工業(株)製、平均粒子径12nm)を556ml添加し、更にホウ酸1.3gおよびホウ砂0.8gを溶解した水溶液41mlを添加しディゾルバーでプレ分散した。次いで、サンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で20分間分散した。アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行い上層用塗布液19を調製した。次いで、実施例1で作製した下層塗布試料1の上にワイヤーバーを使用し、上層用塗布液19を乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して、記録用紙2−4を作製した。
ポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(株)クラレ製)の8%水溶液の125mlに純水を200ml加え、攪拌しながら微粒子としてカチオン変性コロイダルシリカの18%分散液(商品名:スノーテックスAK、日産化学工業(株)製、平均粒子径12nm)を556ml添加し、更にホウ酸1.3gおよびホウ砂0.8gを溶解した水溶液41mlを添加しディゾルバーでプレ分散した。次いで、サンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で20分間分散した。アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行い上層用塗布液19を調製した。次いで、実施例1で作製した下層塗布試料1の上にワイヤーバーを使用し、上層用塗布液19を乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して、記録用紙2−4を作製した。
〔記録用紙2−5、2−6の作製〕
(下層用塗布液2の調製)
実施例1に記載の微粒子分散液Bの528mlを40℃で攪拌しながら、ポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(株)クラレ製)の8%水溶液の188mlを徐々に添加し全体の液が1000mlになるように純水を加えて、半透明状の下層塗布液2を調製した。
(下層用塗布液2の調製)
実施例1に記載の微粒子分散液Bの528mlを40℃で攪拌しながら、ポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(株)クラレ製)の8%水溶液の188mlを徐々に添加し全体の液が1000mlになるように純水を加えて、半透明状の下層塗布液2を調製した。
(記録用紙2−5の作製)
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層面側のポリエチレン中には8%のアナターゼ型酸化チタン含有し、同じくインク吸収層面側には0.05g/m2のゼラチン下引き層を有し、また、インク吸収層とは反対側の面にはTgが約80℃のラテックス性ポリマー含むバック層を0.2g/m2として有する)に、上記下層用塗布液2をワイヤーバーにより湿潤膜厚200μmで塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して下層塗布試料2を作製した。下層塗布試料2の表面について、前述の方法に従って電子顕微鏡観察により測定した平均空隙径は、23nmであった。
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層面側のポリエチレン中には8%のアナターゼ型酸化チタン含有し、同じくインク吸収層面側には0.05g/m2のゼラチン下引き層を有し、また、インク吸収層とは反対側の面にはTgが約80℃のラテックス性ポリマー含むバック層を0.2g/m2として有する)に、上記下層用塗布液2をワイヤーバーにより湿潤膜厚200μmで塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して下層塗布試料2を作製した。下層塗布試料2の表面について、前述の方法に従って電子顕微鏡観察により測定した平均空隙径は、23nmであった。
次いで、下層塗布試料2上に、記録用紙1−5の作製に用いた上層用塗布液5をワイヤーバーにより乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用い、照度100mw/cm2で、エネルギー量として30mJ/cm2となるように紫外線を照射し、その後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙2−5を作製した。
(記録用紙2−6の作製)
記録用紙2−5で作製した下層塗布試料2上に、記録用紙2−4の作製で用いた上層塗布液19をワイヤーバーにより乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙2−6を作製した。
記録用紙2−5で作製した下層塗布試料2上に、記録用紙2−4の作製で用いた上層塗布液19をワイヤーバーにより乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した。塗布後、80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙2−6を作製した。
《記録用紙の評価》
上記作製した各記録用紙と実施例1で作製した記録用紙1−5について、実施例1と同様の評価と、膜面のひび割れ耐性を下記方法に従って評価した。なお、ドット拡大率の評価については、各記録用紙について、(60℃、5時間)、(60℃、14日間)及び(60℃、30日間)の3条件で保存した後の各記録用紙について評価した。また、各記録用紙の表面について電顕観察から測定される平均空隙径は3〜6nmの範囲であった。
上記作製した各記録用紙と実施例1で作製した記録用紙1−5について、実施例1と同様の評価と、膜面のひび割れ耐性を下記方法に従って評価した。なお、ドット拡大率の評価については、各記録用紙について、(60℃、5時間)、(60℃、14日間)及び(60℃、30日間)の3条件で保存した後の各記録用紙について評価した。また、各記録用紙の表面について電顕観察から測定される平均空隙径は3〜6nmの範囲であった。
〔ひび割れ耐性の評価〕
各記録用紙の10cm×10cm当たりに発生している5μm以上の大きさのひび割れ個数をカウントし、下記の基準に従ってひび割れ耐性を評価した。
各記録用紙の10cm×10cm当たりに発生している5μm以上の大きさのひび割れ個数をカウントし、下記の基準に従ってひび割れ耐性を評価した。
下記評価ランクにおいて、画像品位上の許容限界レベルを△、実用上許容範囲外を×とした。
◎:ひび割れ故障の発生が全く認められない
○:ひび割れ故障の発生が1〜3個
△:ひび割れ故障の発生が4〜9個
×:ひび割れ故障の発生が10個以上
以上により得られた各評価結果を、表2に示す。
○:ひび割れ故障の発生が1〜3個
△:ひび割れ故障の発生が4〜9個
×:ひび割れ故障の発生が10個以上
以上により得られた各評価結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の記録用紙は、比較例に対し、ひび割れが起きにくく、高いドット拡大効果が得られ、良好な光沢感とインク吸収性を示すことが分かる。
特に、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有する場合、記録用紙の保存後でも安定したドット拡大効果が得られることが分かる。
Claims (6)
- 支持体上に微粒子と親水性樹脂とを含有する2層以上の空隙型インク吸収層を有し、最表層の空隙型インク吸収層は、平均空隙径が隣接する空隙型インク吸収層に比べ小さく、かつ少なくとも該最表層の空隙型インク吸収層が、電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記最表層の空隙型インク吸収層の膜厚が、0.03μm以上、1.00μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に紫外線を照射することにより、側鎖間で架橋結合させた高分子化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記最表層の空隙型インク吸収層は、平均粒子径が100nm以下の微粒子を含有し、かつ該微粒子がシリカまたはポリマー微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記平均粒子径が100nm以下のシリカ微粒子が、コロイダルシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、前記空隙型インク吸収層を塗布した後、湿潤状態で電離放射線を照射することにより架橋されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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