JP4270011B2 - インクジェット記録用紙とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)に関し、更に詳しくは、製造時にひび割れが発生しにくく、インク吸収性が良好で、かつ画像にじみ、被膜の折れ割れ耐性及び寸法安定性を向上させた多孔質層を有するインクジェット記録用紙とその製造方法に関する。
近年、インクジェット記録方式においては、急速に画質向上が図られてきており、銀塩写真画質に迫りつつある。この様な写真画質をインクジェット記録で達成するための手段として、使用する記録用紙においても急速に技術改良が進められている。
インクジェット記録用紙で用いられる支持体は、一般に紙等の吸水性支持体とポリエステルフィルムや樹脂被覆紙等の非吸水性支持体とが知られている。前者は、支持体自身がインクを吸収できるため、高いインク吸収能を有している利点がある反面、支持体の吸水性に起因してプリント後にシワが発生(コックリングともいう)するという問題があり、高品位なプリントが得ることが難しく、またプリント時にコックリングに伴うヘッドによるプリント表面の擦りが起き易いなどの課題を有している。
これに対し、非吸水性の支持体を使用する場合には、上述の問題はなく、高品位なプリントが得られる利点がある。
一方、インク受容層としては、例えば、高平滑性を有する支持体上に、インク吸収層としてゼラチンやPVAなどの親水性バインダーを塗布してインク受容層とするインクジェットシートが考案されている。このタイプの記録用紙は、バインダーの膨潤性を利用してインクを吸収する方法で、膨潤型インクジェット記録用紙と呼ばれている。
この膨潤型のインク受容層は、構成するバインダーが水溶性樹脂であるが故に、プリント後のインク乾燥性に難があり、画像や皮膜が水分に対して弱いため耐水性に乏しく、更に昨今のインクジェットプリンターにおいては印画速度が早いため、バインダーの膨潤によるインク吸収性がインクの吐出量や吐出速度に追いつかず、インク溢れやまだらとなる等適応性がなく、高速印字には不適であるという問題があった。
一方、特開昭63−18387号には変性ポリビニルアルコールと耐水化剤によるインク受容層が記載されている。また、電離放射線により架橋された親水性樹脂によるインク受容層を有する水性インク用記録シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この様に、硬化されたバインダーをインク受容層とすることによりにより、画像や皮膜の耐水性は解決されているが、本来、樹脂の膨潤性によりインクを吸収させているものゆえ、インク吸収性は改善されてはいない。
上記水系樹脂の膨潤性を利用してインクを吸収するタイプの膨潤型インクジェット用記録シートに対し、特開平10−119423のように微小な空隙を有する多孔質層をインク吸収層として設けた空隙型のインクジェット記録用紙は、高インク吸収性と高速乾燥性を有しており、最も銀塩写真画質に近いものが得られる方法の一つになりつつある。
この多孔質層は、主に親水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒子が知られているが、一般的には、無機微粒子が、より小粒径で、高光沢の多孔質層を実現できるため好ましく用いられる。
この様な無機微粒子に対して、比較的少量の親水性バインダーを使用することにより、無機微粒子間に空隙が形成されて高空隙率の多孔質層が得られる。
この空隙部は、毛管現象によりインクを吸収するので、架橋剤等を併用してバインダーを架橋し、耐水性を向上させても、吸収速度を損なわないという利点を有している。特に、紙支持体の両面をポリエチレン樹脂で被覆したポリエチレンコート紙のような非吸水性支持体上に、この様な多孔質層を設けたインクジェット記録用紙の場合には、インクジェット記録する際、一時的には全てのインクをインク受容層に保持する必要があるため、インク受容層は高空隙容量の多孔質層でなくてはならず、従って、高空隙率の厚い塗膜を形成させる必要がある。通常は、乾燥膜厚として25μm以上、詳しくは30μm以上、50μm以下である。
この様な特徴を有する多孔質層は、一般に主成分が無機微粒子であり、元来硬い塗膜であることから、厚膜の多孔質層を非吸水性支持体上に塗布する場合、乾燥時にひび割れが起きやすい。
多孔質層の製造過程においては、少量の親水性バインダーが微粒子表面に吸着し、その親水性バインダー間で絡み合う、もしくは親水性バインダー間の水素結合などの相互作用により微粒子を保持し、保護コロイドを作って多孔質層を形成している。その後、乾燥過程において塗膜の急激な収縮がおき、その収縮応力により、膜面にひび割れが起こると考えられている。特に、皮膜の乾燥終点付近において、その現象が顕著である。
そのため、ひび割れなどが発生しない良好な塗膜を得るために、生産性を犠牲にし、比較的穏やかな条件で乾燥させる必要があった。
更に、乾燥後のインク受容層においては、微粒子が比較的少量の親水性バインダーにより結着されているだけなので、耐水性が悪いという課題があった。
この様な課題に対し、ホウ酸とイソシアネート系架橋剤を用いて皮膜耐水性を向上させたインクジェット記録用紙が提案されており(例えば、特許文献2参照。)、また、活性エネルギー線硬化型モノマーをバインダーとして用いたインクジェット記録用紙が考案されている(例えば、特許文献3参照。)。一方、インク吸収層、光沢発現層を順次設けたインクジェット記録シートで、光沢発現層が、主にコロイド粒子及び1分子中に2個以上のエチレン性二重結合を含有する親水性の電離放射線硬化性化合物からなり、電離放射線を照射することにより硬化する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
この様な親水性バインダーに架橋剤を添加したり、或いは活性エネルギー線硬化型モノマーをバインダーとして使用した場合、バインダー間の架橋反応により、乾燥塗膜の耐水性は改善されるものの、バインダー間は比較的短い距離で高密度の三次元架橋を形成するため、柔軟性が損なわれ、加えて皮膜の折れ割れ耐性を劣化させるという新たな課題が生じた。
また、特開平11−157202号には、水溶性樹脂を電子線により架橋する例が示されている。この様に電子線により親水性樹脂を架橋させる場合、一般に無機微粒子の方が親水性バインダーよりも比重が大きいため、電子線照射量が親水性バインダーや溶媒に対して供給過剰となり、塗膜中の水分が瞬間的に蒸発して気泡となるため塗膜表面を荒らしたり、また塗膜深部に対しては逆に電子線照射量が不足し架橋密度に勾配が生じるため、表面のみ堅い膜になり易い。その結果、画像にじみやカール耐性を著しく損なうという課題があった。
特開平1−286886号公報 (特許請求の範囲) 特開2001−146068号公報 (特許請求の範囲) 特開平7−40649号公報 (特許請求の範囲) 特許第3333338号明細書 (特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、支持体上に親水性バインダーと微粒子からなる多孔質層を厚膜、高速に塗布しても、製造時にひび割れが発生しにくく、インク吸収性、画像にじみ、折れ割れ耐性及び寸法安定性に優れた多孔質層を有するインクジェット記録用紙とその製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
(請求項1)
支持体上に無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含有する塗布液を少なくとも1層以上塗布して塗布層を形成し、該塗布層に電離放射線を照射して前記親水性樹脂を架橋させて形成した多孔質層を有するインクジェット記録用紙において、前記親水性樹脂が、下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
Figure 0004270011
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは1または2、Yは芳香族環または単結合手を表し、Xは−(CH2m−COO−、−OCH2−COO−又は−O−を表し、mは0〜6までの整数である。)
(請求項2)
前記ポリ酢酸ビニルケン化物の母核PVA重合度が400以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記ポリ酢酸ビニルケン化物の架橋変性率が4モル%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
水溶性光開始剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
支持体が非吸水性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項6)
多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、
前記多孔質層が、支持体上に無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含有する塗布液を少なくとも1層以上塗布して塗布層を形成し、該塗布層の固形分濃度が5〜90%の範囲で電離放射線を照射し、その後乾燥させたものであり、
前記親水性樹脂が、下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物であることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
Figure 0004270011
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは1または2、Yは芳香族環または単結合手を表し、Xは−(CH2m−COO−、−OCH2−COO−又は−O−を表し、mは0〜6までの整数である。)
(請求項7)
前記ポリ酢酸ビニルケン化物の母核PVA重合度が400以上であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項8)
前記ポリ酢酸ビニルケン化物の架橋変性率が4モル%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項9)
水溶性光開始剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項10)
支持体が非吸水性であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
本発明により、支持体上に親水性バインダーと微粒子からなる多孔質層を厚膜、高速に塗布しても、製造時にひび割れが発生しにくく、インク吸収性、画像にじみ、折れ割れ耐性及び寸法安定性に優れた多孔質層を有するインクジェット記録用紙とその製造方法を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含有する塗布液を少なくとも1層以上塗布して塗布層を形成し、該塗布層に電離放射線を照射して前記親水性樹脂を架橋させて形成した多孔質層を有するインクジェット記録用紙において、前記親水性樹脂が、前記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物であることを特徴とするインクジェット記録用紙により、製造時のひび割れがなく均一な塗膜品質を有する多孔質層が得られ、かつインク吸収性、湿潤カール耐性、折れ割れ耐性及び寸法安定性に優れたインクジェット記録用紙を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体上に特定の親水性樹脂と微粒子を主として含有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、空隙を有する多孔質層を形成したものである。
本発明に用いられる無機微粒子は、細孔容量が大きく、平均粒径が小さい微細無機顔料が用いられる。特に、シリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナ、炭カルなどの微細顔料が用いられる。
本発明に用いられるシリカとは、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカである。
例えば湿式シリカでは沈降法による(株)トクヤマのファインシールが、ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業(株)のNIPGELが市販されている。沈降法シリカは概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的にはゲル法により合成される湿式シリカの方が沈降法に対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素と水素を原料にし燃焼法により合成されるものであり例えば日本アエロジル株式会社製のアエロジルシリーズが市販されている。
高空隙率の多孔質層を得るためにはBET法により測定される比表面積が400m2/g未満であるか、または孤立シラノール基比率が0.5〜2.0である。比表面積は、好ましくは40m2/g〜100m2/gの範囲であり、比表面積の下限は写真に近い光沢が得られる観点から40m2/gである。尚、BET法とは気相吸着等温線からシリカ微粒子1g当たりの表面積を求める方法により比表面積を測定する方法である。
この範囲の比表面積を有する気相法シリカにおいて、一次粒径分布における変動係数を0.01〜0.4にすることが空隙率の観点から好ましい。変動係数が0.4を超えると、空隙率が低下する懸念があり好ましくない。尚、湿式シリカにおいては一次粒子自身が細孔径を持つためこの限りではない。
気相法シリカにおいては、二次凝集体は湿式シリカに対して比較的弱い相互作用により形成されているため、湿式シリカに対して低いエネルギーで分散できるという特徴を有している。
気相法シリカの一次粒径分布における変動係数は、空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の一次粒子の粒径を求めてその粒径分布の標準偏差を数平均粒径値で割った値として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
シリカの一次粒子及び二次粒子の平均粒径は空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径から求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。また、二次平均粒径は、電離放射線の透過という観点から300nm以下であることが好ましい。
前記気相法シリカを湿度20〜60%で3日以上保存して気相法シリカの含水率を調整することも好ましい。
本発明の気相法シリカにおいて、孤立シラノール基比率は0.5〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.1である。
本発明に用いられるアルミナとは酸化アルミニウム、及びその水和物のことであり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形、球状、板状、針状の形態を有している物が使用される。特にアスペクト比が2以上で、一次粒径の平均粒径が5〜30nmの平板状アルミナ水和物、気相法アルミナが好ましい。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
また、無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含む前記多孔質層の固形分濃度は5〜90%の範囲であることが好ましい。
本発明に係るポリ酢酸ビニルケン化物は、紫外線、電子線等の電離線照射により、反応を起こして架橋する樹脂であり、硬化反応前には水溶性であるが、硬化反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。ただし、本発明に係るポリ酢酸ビニルケン化物は、硬化後もある程度の親水性を有し、十分なインクとの親和性を維持するものである。
この様な樹脂としては、ポリビニルアルコールなどに対し光二量化型、光分解型、光解重合型、光変性型、光重合型等の変性基を作用させ、変性基を介して光により架橋を起こす架橋基変性ポリマー、または電子線により直接架橋するポリマーが使用可能であり、ノニオン性、カチオン性、アニオン性の物が挙げられる。構造中にカチオン、またはアニオンの部位を持つポリマーにおいては、無機フィラー等の表面とカチオン、またはアニオンの構造部位が吸着、もしくは反発などの相互作用をして、架橋反応を阻害するおそれがあるため望ましくない。ノニオンタイプの電離放射線により架橋する親水性バインダー、中でも前記特開2000−181062号に開示される樹脂が、無機微粒子との相互作用がカチオン、アニオンタイプの物より小さく、効率的に架橋反応を起こすため本発明では好適である。
本発明では、前記一般式(1)の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物を用いることが必須である。
一般式(1)の式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは1または2、Yは芳香族環または単結合手を表し、Xは−(CH2m−COO−、−OCH2−COO−又は−O−を表し、mは0〜6までの整数である。
上記一般式(1)で表される構成単位の例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 0004270011
Figure 0004270011
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Figure 0004270011
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本発明に係るポリ酢酸ビニルケン化物の、母核PVA重合度は400〜5000の範囲が好ましく、400〜3500の範囲がより好ましい。更に好ましくは1700〜3500の範囲である。重合度が400未満の場合は十分な塗膜強度が得られず、5000を超える場合は溶液粘度が高くなり過ぎ、塗布性が低下する。
ケン化度は60%以上、好ましくは70〜100%未満のものが好適であり、更に好ましくは88%〜100%未満がよい。ケン化度が60%未満では本発明の目的であるひび割れ抑制効果が小さい。
一般式(1)で示されるポリ酢酸ビニルケン化物の合成は、特開2000−181062号公報に準じて行うことができる。
また、セグメントに対する電離放射線反応架橋基の変性率は4モル%以下が好ましく、より好ましくは0.01〜1モル%以下である。
セグメントの重合度が400未満、或いは変性率が4モル%を超えると、塗膜の架橋密度が高過ぎて、乾燥塗膜の折れ割れ性が著しく悪くなる、同時に架橋密度が高過ぎる場合、基材との吸湿性、寸法安定性のバランスが悪く、カール耐性が悪くなり好ましくない。
本発明に係る多孔質層の架橋された親水性樹脂に対する微粒子の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、多孔質層の空隙率は良好であり、十分な空隙容量が得やすく、過剰の架橋された親水性樹脂がインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことをさけられる。一方、この比率が50倍以下であれば、多孔質層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい架橋された親水性樹脂に対する微粒子の比率は、2.5〜20倍である。特に、乾燥塗膜の折れ割れ耐性という観点からは、5〜15倍がより好ましい。
本発明に係る多孔質層は、塗膜の単位面積当たり15〜40ml/m2の容量を持つことが好ましい。この容量とは、単位体積の塗膜を水につけた時に発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または、最終的に得られる記録用紙を、J.TAPPI 51に規定される紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定した時の、接触時間が2秒における液体転移量などで定義される。
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、或いは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引き処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法ににより測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面はを被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレンに層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であってもよい
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示した時の、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体の多孔質層側には、多孔質層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体の多孔質層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていてもよい。
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
上記多孔質層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が十分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられる。尚、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性の化合物は、一般に、耐光性を向上したり、にじみや耐水性を向上させる機能を有するものが多い。これらの水溶性多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
上記塗布液の塗布方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法或いは米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
本発明の記録用紙に係る多孔質層は、単層であっても多層であってもよく、多層構成の場合には、全ての層を同時に塗布することが、製造コスト低減の観点から好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用紙の製造方法は、支持体上に前記無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含有する多孔質層を少なくとも1層以上塗布し、かつ電離放射線を照射しその後乾燥してなることを特徴とする。
本発明でいう電離放射線とは、例えば電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線が好ましい。
光源として例えば数mmHgから10気圧までの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜1kW/cm2、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜150mJ/cm2が好ましく、1mJ/cm2〜50mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして150mJ/cm2を超える場合は、電離放射線架橋性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤を紫外線により分解する可能性があり、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を起こす可能性があるので好ましくない。照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合は架橋効率が不足し、本発明の効果が十分に得られない。
紫外線照射の際の照度は0.1mW/cm2以上、1W/cm2以下が好ましい。照度が1W/cm2を超える場合、塗膜の表面硬化性は向上するが、深部硬化性が低下し表面のみ堅い膜が得られる。その場合は、膜の深度方向の堅さのバランスが崩れ、カールなどが起こり、好ましくない。
照度が0.1mW/cm2より低い場合は、膜中の散乱等により架橋が十分進まず、本発明の効果が得られないため好ましくない。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。
照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。
照度が低過ぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明においては、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光開始剤、光増感剤については特に制限は無いが、水溶性の物が混合性、反応効率の観点から好ましい。例えば4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましく、特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)が安定性、反応効率の観点からより好ましい。更に、一例としベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
〈インクジェット記録用紙1の作製〉
(無機微粒子分散液Sの作製)
予め均一に分散されている、一次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を30%含有するシリカ分散液B1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の40gとカチオン性ポリマー分散剤P−1を12%、n−プロパノールを10%及びエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を2g含有)の11gに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で仕上げて、シリカ含有量25%のほぼ透明なシリカ分散液Sを得た。
Figure 0004270011
(記録用紙の作製)
得られたシリカ分散液S100gに対し10%に調整した例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)32gと光開始剤(日本化薬製カヤキュアQTX)0.05gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で200gに仕上げ、塗布液T−1を得た。
得られた塗布液T−1をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
次いで、上記調製した塗布液T−1を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、バーコーターを用いて、シリカの付き量で26g/m2となるように塗布し、その後365nmに主波長を持つメタルハライドランプで、波長365nmにおける照度が60mW/cm2の紫外線を用い、エネルギー量で30mJ/cm2の紫外線を照射したその後80℃の熱風型オーブンで乾燥させてインクジェット記録用紙1を得た。
〈インクジェット記録用紙2の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに、10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率1mol%)を用い、日本化薬製カヤキュアQTXの代わりにチバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア2959を用いた以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙2を得た。
〈インクジェット記録用紙3の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率1mol%)の代わりに、10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率2.2mol%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙2の作製と同様にしてインクジェット記録用紙3を得た。
〈インクジェット記録用紙4の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率1mol%)の代わりに10%の例示化合物B−4の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率2.2mol%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙2の作製と同様にしてインクジェット記録用紙4を得た。
〈インクジェット記録用紙5の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率1mol%)の代わりに10%の例示化合物B−20の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率1.6mol%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙2の作製と同様にしてインクジェット記録用紙5を得た。
〈インクジェット記録用紙6の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度400、ケン化度88%、架橋基変性率4.5mol%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙6を得た。
〈インクジェット記録用紙7の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに10%の例示化合物B−20の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度400、ケン化度88%、架橋基変性率4.2mol%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙2の作製と同様にしてインクジェット記録用紙7を得た。
〈インクジェット記録用紙8の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに、10%の下記化−aの構造単位を有するアニオン製光2量化型PVA(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)を用い、塗布液をサンドミルにて再分散させた以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙8を得た。
〈インクジェット記録用紙9の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに、10%の下記化−bの構造単位を有するアニオン製光2量化型PVA(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)を用い、塗布液をサンドミルにて再分散させた以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙9を得た。
〈インクジェット記録用紙10の作製〉
紫外線を照射しないこと以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙10を得た。
〈インクジェット記録用紙11の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに、10%のPVA(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙11を得た。
〈インクジェット記録用紙12の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の代わりに、10%の日本化薬製PET−30(ペンタエリストリトールアクリレート)を用いた以外は、インクジェット記録用紙1の作製と同様にしてインクジェット記録用紙12を得た。
〈インクジェット記録用紙13の作製〉
10%の例示化合物B−2の構造単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物水溶液(主鎖PVA重合度1700、ケン化度99%、架橋基変性率1mol%)の代わりに10%の下記化−cの構造単位を有する樹脂(主鎖PVA重合度500、架橋基変性率20mol%)を用いた以外は、インクジェット記録用紙2の作製と同様にしてインクジェット記録用紙13を得た。
Figure 0004270011
得られたインクジェット記録用紙1〜13は、更に40℃で三日間保管して安定化させた。
《記録用紙の特性評価》
以上により作製した各記録用紙について、以下に記載の方法に則り、膜面性状、インク吸収性、画像にじみ、折れ割れ耐性の評価を行い、結果を表1に示した。
(膜面性状)
目視により膜面平滑性、10cm2中のひび割れ個数を評価した。
(インク吸収性)
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM900Cを用い、シアンとイエローの出力が255のパッチをを全面ベタ印字して、下記に示す基準により、ムラの有無を目視で10段階評価した。
1:ムラが全く見受けられない
2:よく観察するとムラが僅かに認められるが実技上は全く問題ないレベル
3:ドット状のムラが認められるが、実際のプリントでは殆ど問題ないレベル
4:ムラが認められるが、実際のプリントでは殆ど問題ないレベル
5:ムラが認められるが、画像の種類によっては問題がないレベル
6:色ムラが認められ、実技上許容され得ないレベル
7:インクの溢れが海島模様となり、実技上許容され得ないレベル
8:インクが溢れいろ濁りが発生し、実技上許容され得ないレベル
9:溢れたインクがなかなか乾かず、実技上許容され得ないレベル
10:全く許容され得ないレベル
上記の評価ランクにおいて、実用上、6以上は、商品価値が無い。
(画像にじみ)
キャノン社製のインクジェットプリンターPIXAS900を用い、マゼンダ画像部を背景とし、線幅が焼く0.5mmの黒細線をプリントし、40℃、相対湿度80%で一週間保存した後に、線幅をマイクロデンシトメーターで測定し、線幅の増大比をにじみとして求めた。
(折れ割れ)
5mm×10cmの短冊状に断裁した記録用紙を、コア内径3cmの紙管にまきつけ、折れ割れのヒビを目視にて評価した
◎ :折れ割れが全くなし
○ :折れ割れが3本以下
○△:折れ割れが4本から10本
△ :折れ割れが11本から20本
× :折れ割れが20本から100本
××:折れ割れが100本以上
上記の評価ランクにおいて、実用上、×以下は商品価値が無い。
(寸法安定性)
寸法安定性は各記録用紙をA4サイズに断裁し、23℃で相対湿度が20%の条件下で、水平な台の上に一日放置し、四隅のカール(持ち上がり)の高さを測定し、その平均値を以下の基準に当てはめ、寸法安定性とした(mm単位)。尚、各記録用紙は四隅が持ち上がる状態になる向きに放置し、インク受容面を上にしたときに四隅が持ち上がる状態を表示した。
◎ :3mmより小さい
○ :3mm以上5mmより小さい
○△:5mm以上10mmより小さい
△ :10mm以上30mmより小さい
× :30mm以上
××:筒状になり測定不可能
Figure 0004270011
上表より、本発明の構成により、膜面性状、インク吸収性、画像にじみ、折れ割れ耐性及び寸法安定性が比較例に対し優れていることが分かる。

Claims (10)

  1. 支持体上に無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含有する塗布液を少なくとも1層以上塗布して塗布層を形成し、該塗布層に電離放射線を照射して前記親水性樹脂を架橋させて形成した多孔質層を有するインクジェット記録用紙において、前記親水性樹脂が、下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
    Figure 0004270011
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは1または2、Yは芳香族環または単結合手を表し、Xは−(CH2m−COO−、−OCH2−COO−又は−O−を表し、mは0〜6までの整数である。)
  2. 前記ポリ酢酸ビニルケン化物の母核PVA重合度が400以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記ポリ酢酸ビニルケン化物の架橋変性率が4モル%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 水溶性光開始剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 支持体が非吸水性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、
    前記多孔質層が、支持体上に無機微粒子と電離放射線により架橋される親水性樹脂を含有する塗布液を少なくとも1層以上塗布して塗布層を形成し、該塗布層の固形分濃度が5〜90%の範囲で電離放射線を照射し、その後乾燥させたものであり、
    前記親水性樹脂が、下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物であることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
    Figure 0004270011
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは1または2、Yは芳香族環または単結合手を表し、Xは−(CH2m−COO−、−OCH2−COO−又は−O−を表し、mは0〜6までの整数である。)
  7. 前記ポリ酢酸ビニルケン化物の母核PVA重合度が400以上であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  8. 前記ポリ酢酸ビニルケン化物の架橋変性率が4モル%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  9. 水溶性光開始剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  10. 支持体が非吸水性であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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