JP2005028873A - インクジェット記録用紙及びその製造方法 - Google Patents

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学 金子
Yoshinori Tsubaki
義徳 椿
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Abstract

【課題】 支持体上に親水性バインダーと、アルミナまたはアルミナ水和とを構成成分とする多孔質層を厚膜で、かつ高速で塗布しても表面の平滑性が良好で表面の美観に優れ、製造時にひび割れが発生しにくく、インク受容層の柔軟性が良好で折れ割れ耐性に優れ、さらにインク受容層のインク吸収性が良好で、高い印字濃度が得られ且つ画像の滲み耐性が良好な多孔質層を有するインクジェット記録用紙とその製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙及びその製造方法に関し、詳しくは、高印字濃度で、且つ画像の滲み耐性が良好であり、ひび割れ耐性が向上した多孔質層を、支持体上に有するインクジェット記録用紙及びその製造方法に関するものである。
近年、インクジェット記録方式においては、急速に画質向上が図られてきており、銀塩写真画質に迫りつつある。この様な銀塩写真画質をインクジェット記録方式で達成するための手段として、使用するインクジェット記録用紙においても急速な技術改良が進められている。
インクジェット記録用紙で用いられる支持体は、一般に、紙等の吸水性支持体とポリエステルフィルムや樹脂被覆紙等の非吸水性支持体とが知られている。前者は、支持体自身がインクを吸収できるため、高いインク吸収能を有している利点がある反面、支持体の吸水性に起因して、プリント後にシワ(コックリングともいう)が発生するという問題があり、高品位なプリントを得ることが難しく、またプリント時にコックリングに伴うヘッドによるプリント表面の擦りが起き易い等の課題を有している。これに対し、後者の非吸水性支持体を使用する場合には、上述の問題はなく、高品位なプリントが得られる利点がある。
一方、インク受容層としては、例えば、高平滑性を有する支持体上に、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性バインダーを塗布してインク受容層とするインクジェット記録用紙が知られている。このタイプの記録用紙は、バインダーの膨潤性を利用してインクを吸収する方法で、膨潤型インクジェット記録用紙と呼ばれている。
この膨潤型のインク受容層は、構成するバインダーが水溶性樹脂であるが故に、プリント後のインク乾燥性に難があり、画像や皮膜が水分に対して弱く耐水性に乏しく、更に昨今のインクジェットプリンターにおいては印画速度が早いため、バインダーの膨潤による吸収性がインクの吐出量や吐出速度に追いつかず、インク溢れやまだらとなり適応性がなく、高速印字には不適である等の問題があった。
一方、変性ポリビニルアルコールと耐水化剤によるインク受容層が記載されて(例えば、特許文献1参照。)いる。また、電離放射線により架橋された親水性樹脂によるインク受容層を有する水性インク用記録用紙が提案されて(例えば、特許文献2参照。)いる。この様に、硬化されたバインダーをインク受容層とすることによりにより、画像や皮膜の耐水性は解決されているが、本来、樹脂の膨潤性によりインクを吸収させているものゆえ、インクの吸収性は改善されてはいない。
上記水系樹脂の膨潤性を利用してインクを吸収するタイプの膨潤型インクジェット用記録用紙に対し、微小な空隙を有する多孔質層をインク受容層として設けた空隙型のインクジェット記録用紙(例えば、特許文献3参照。)は、高インク吸収性と高速乾燥性を有しており、最も銀塩写真画質に近いものが得られる方法の一つになりつつある。
この多孔質層は、主に親水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒子が知られているが、一般的には、無機微粒子がより小粒径で高光沢の多孔質層を実現できるため好ましく用いられる。
このような無機微粒子に対して、比較的少量の親水性バインダーを使用することにより、無機微粒子間に空隙が形成されて高空隙率の多孔質層が得られる。
この空隙部は、毛管現象によりインクを吸収するので、架橋剤等を併用してバインダーを架橋し、耐水性を向上させても、吸収速度を損なうことはないという利点を有している。特に、紙支持体の両面をポリエチレン樹脂で被覆したポリエチレンコート紙のような非吸水性支持体上に、このような多孔質層を設けたインクジェット記録用紙の場合には、インクジェット記録する際、一時的にはすべてのインクをインク受容層に保持する必要があるため、インク受容層は高空隙容量の多孔質層でなくてはならず、従って、高空隙率の厚い塗膜を形成させる必要がある。通常は、乾燥膜厚として25〜50μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。
このような特徴を有する多孔質層は、一般に主成分が無機微粒子であり、元来硬い塗膜であることから、厚膜の多孔質層を非吸水性支持体上に塗布する場合、乾燥時にひび割れが起きやすい。
多孔質層の製造過程においては、少量の親水性バインダーが微粒子表面に吸着し、その親水性バインダー間で絡み合う、もしくは親水性バインダー間の水素結合等の相互作用により微粒子を保持し、保護コロイドを作って多孔質層を形成している。その後、乾燥過程において塗膜の急激な収縮がおき、その収縮応力により、膜面にひび割れが起こると考えられている。特に、皮膜の乾燥終点付近において、その現象が顕著である。
そのため、ひび割れ等が発生しない良好な塗膜を得るために、生産性を犠牲にし、比較的穏やかな条件で乾燥させる必要があった。
更に、乾燥後のインク受容層においては、微粒子が比較的少量の親水性バインダーにより結着されているだけなので、耐水性が悪いという課題があった。
このような課題に対し、ホウ酸とイソシアネート系架橋剤を用いて皮膜耐水性を向上させたインクジェット記録用紙が提案されて(例えば、特許文献4参照。)いる。また、活性エネルギー線硬化型モノマーをバインダーとして用いたインクジェット記録用紙が考案されて(例えば、特許文献5参照。)いる。一方、インク受容層、光沢発現層を順次設けたインクジェット記録用紙で、光沢発現層が、主にコロイド粒子及び1分子中に2個以上のエチレン性二重結合を含有する親水性の電離放射線硬化性化合物からなり、電離放射線を照射することにより硬化する方法が提案されて(例えば、特許文献6参照。)いる。
このような親水性バインダーに架橋剤を添加したり、あるいは活性エネルギー線硬化型モノマーをバインダーとして使用した場合、バインダー間の架橋反応により、乾燥塗膜の耐水性は改善されるものの、バインダー間は比較的短い距離で高密度の三次元架橋を形成するため、柔軟性が損なわれ、加えて塗膜(インク受容層)の折れ割れ耐性を劣化させるという新たな課題が生じる。
一方、無機微粒子として比較的安価な微粒子シリカがよく使用され、例えば気相法で合成された微粒子シリカやコロイダルシリカと少量の親水性バインダーの組み合わせで得られるインクジェット記録用紙が知られている。これら微粒子シリカは表面がアニオン性であるためインク定着性がなく、耐水性を付与したりプリント保存後に起きる画像の滲みを抑制する為に一般的にカチオンポリマーや多価金属塩等のカチオン定着剤が必要とされる。しかしながら、このようなカチオン定着剤を使用してもインク定着性はいまだ不充分であり、しかも定着性を高めるためにカチオン定着剤を多量に添加すると、インク吸収を阻害したり、コストが高くなる等の問題点がる。
特開昭63−183873号公報 (特許請求の範囲) 特開平1−286886号公報 (特許請求の範囲) 特開平10−119423号公報 (特許請求の範囲) 特開2001−146068号公報 (特許請求の範囲) 特開平7−40649号公報 (特許請求の範囲) 特許第3333338号明細書 (特許請求の範囲)
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、平滑性が良好で表面の美観に優れ、製造時にひび割れが発生しにくく、インク受容層の柔軟性が良好でひび割れ耐性に優れ、さらにインク受容層のインク吸収性が良好で、高い印字濃度が得られ、且つ画像の滲み耐性が良好な多孔質層を含むインク受容層を設けてなるインクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙とも云う)とその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
支持体上に、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
支持体上に、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項3)
支持体上に、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであり、かつ、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記アルミナは、気相法により合成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記電離放射線により架橋された親水性バインダーは、重合度が500以上で、かつ、架橋基変性率が0.01〜4mol%である親水性バインダーを電離放射線により架橋したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項6)
前記支持体は、インク非吸収支持体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項7)
支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成したことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項8)
支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成したことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項9)
支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであり、かつ、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成したことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項10)
前記アルミナは、気相法により合成されたものであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項11)
前記電離放射線により架橋される親水性バインダーは、重合度が500以上で、かつ、架橋基変性率が0.01〜4mol%であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項12)
前記支持体は、インク非吸収支持体であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
本発明の記録用紙とその製造方法により、支持体上に親水性バインダーと、アルミナまたはアルミナ水和とを構成成分とする多孔質層を厚膜で、かつ高速で塗布しても平滑性が良好で表面の美観に優れ、製造時にひび割れが発生しにくく、この多孔質層を含有するインク受容層の柔軟性が良好で折れ割れ耐性に優れ、さらにインク受容層のインク吸収性が良好で、高い印字濃度が得られ、かつ、画像の滲み耐性が良好なインクジェット記録用紙を得た。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層、または、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層、或いは、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであり、かつ、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することにより、平滑性が良好で表面の美観に優れ、製造時にひび割れが発生しにくく、多孔質層の柔軟性に優れ、更に、この多孔質層を有するインク受容層のインク吸収性が良好で、高い印字濃度が得られ、かつ、画像の滲み耐性が良好なインクジェット記録用紙を実現できることを見出し、本発明をなすに至った。
更に、前記アルミナが気相法により合成されたもの、前記電離放射線により架橋される親水性バインダーの重合度が500以上で、且つ架橋基変性率が0.01〜4mol%である親水性バインダーを電離放射線により架橋したもの、前記支持体がインク非吸収性のものを用いることにより上記効果がより一層発揮できることを見出した。
更に、支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、
(1)二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物、
(2)または、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物
(3)或いは、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであり、かつ、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、
電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成することにより、上記特性を満足できるインクジェット記録用紙が製造できることを見出した。
更に、前記アルミナが気相法により合成されたもの、前記電離放射線により架橋される親水性バインダーが、重合度が500以上で、かつ、架橋基変性率が0.01〜4mol%である親水性バインダーを電離放射線により架橋したもの、前記支持体が、インク非吸収性のものを用いることにより上記効果がより一層発揮できることを見出した。
以下、本発明を詳細に説明する。
〈アルミナ〉
一般に、アルミナとしては、気体状の塩化アルミニウムを水素及び酸素とともに加熱燃焼させ高温で加水分解することにより得られる気相法アルミナと、アルミン酸塩を加水分解して焼成する等の方法で製造される、いわゆる湿式のアルミナ及びアルミナ水和物等の微粒子が挙げられる。これら気相法アルミナ、湿式のアルミナ及びアルミナ水和物の各微粒子の性質は、その比表面積とその構造とに密接な関係がある。
なお、各微粒子の比表面積はBET法により測定することができる。
アルミナ及びアルミナ水和物の微粒子は、それらの微粒子そのものにインク定着性があり、プリント時の斑やブロンジングの要因となるカチオン定着剤を添加する必要がなく、インク定着性を高めることができる。この性質は、インクジェットのインクに使用される着色剤のほとんどがアニオン性であり、アルミナ及びアルミナ水和物の表面がカチオン性の性質を持っているので、それらの微粒子表面に着色剤が吸着されることにより定着される。着色剤を吸着しうる量は、微粒子の比表面積に左右される。
また、アルミナ及びアルミナ水和物は、その表面に反応性の水酸基を有しており、水酸基の水素結合によって微粒子間に相互作用が生じて三次元的な空隙を形成し、その空隙にインクが吸収されることによってインクの吸収容量が増加し、インク吸収性が高まる。
湿式のアルミナ及びアルミナ水和物は、200〜400m2/gの比表面積を有するものが多いが、その製造過程から粒子内部に細孔が多数存在しており、内部表面積が大きい。このことはすなわち、インクの着色剤が吸着する細孔は多いが、多くの細孔が粒子の内面に有しているため粒子間で水素結合ができる水酸基の数は少なく、空隙を形成しにくくなりインク吸収容量が少なくなると思われる。
一方、気相法のアルミナは、内部に細孔がほとんど存在せず、細孔表面のほとんどが粒子の外側を向いているため、湿式のアルミナ及びアルミナ水和物よりも粒子間水素結合をする水酸基の数が多く、空隙を作りやすい。
本発明で使用されるアルミナまたはアルミナ水和物としては、気層法のアルミナ、湿式のアルミナ及びアルミナ水和物のいずれも使用できるが、インク吸収性の点で気層法アルミナまたはアルミナ水和物の擬ベーマイトが好ましく、より好ましくは気相法アルミナである。
アルミナまたはアルミナ水和物としては、比表面積が、80〜400m2/gのものを使用するが、さらに比表面積が120〜250m2/gの気相法アルミナを使用すると、インクの吸収性、画像の滲み耐性が良好になり好ましい。
すなわち、気相法アルミナの比表面積が120〜250m2/gであると、インクの吸収性がより良好で、画像の滲み耐性がより満足され、微粒子間の相互作用をコントロールすることができ、粉体としての取り扱いも容易で、分散したときの液粘度も低く、且つ分散安定性も良好なので高速で塗布しやすく好ましい。
気相法アルミナを使用する場合、分散液のpHは、3〜5の範囲にすることが好ましい。分散液のpHを3〜5の範囲にすることで粒子間相互作用がコントロールされて分散性が向上し、固形分濃度30質量%以上でも良好な分散液を調製することが可能となり、分散液の停滞安定性にも優れ、しかも高いインクの吸収性を維持することができる。
本発明で使用されるアルミナまたはアルミナ水和物は、分散液中では一次粒子が複数結合して二次粒子を形成しており、二次粒子径は分散時間、分散機等の分散条件を変えることにより制御することができる。アルミナまたはアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は、取り扱い性、分散性、分散安定性、インク吸収性、光沢性等の点で5〜30nmが好ましく、7〜12nmが取り扱い、分散性の点でより好ましい。また、二次粒子径は、塗膜に照射する電離放射線の透過性の観点から10〜300nmが好ましく、50〜200nmが寄り好ましい。
なお、アルミナまたはアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は粉体そのものを、また、二次粒子の平均粒径は記録用紙の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径から求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
〈親水性バインダー〉
本発明の記録用紙は、多孔質層中に構成成分として電離放射線により架橋される親水性バインダーを含有している。
電離放射線により架橋された親水性バインダーとは、電離放射線により架橋する親水性バインダーを電離放射線で架橋したものである。電離放射線には、例えば、紫外線、電子線等が挙げられる。
電離放射線により架橋される親水性バインダーは、硬化反応前には水溶性であるが、硬化反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。なお、電離放射線により架橋された親水性バインダーは、硬化後も親水性を有し、インクとの十分な親和性を維持するものである。
電離放射線により架橋される親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール(以下、単にPVAとも云う)等に対し光二量化型、光分解型、光解重合型、光変性型及び光重合型等の変性基を作用させ、変性基を介して電離放射線により架橋を起こす架橋基変性ポリマー、または電離放射線により直接架橋するポリマーが使用可能であり、中でも光二量化型、光重合型の変性基を有する架橋基変性ポリマーが好ましい。
光二量化型の電離放射線により架橋される親水性バインダーとしては、ジアゾ基、またはシンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入した樹脂が好ましい。
具体的には、特開昭60−129742号公報に記載のポリビニルアルコール構造体中に、スチルバゾニウム基を導入した化合物で、下記一般式(1)で表される感光性樹脂を挙げることができる。
Figure 2005028873
上記一般式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はアニオン性基を表す。
また、光重合型の電離放射線により架橋される親水性バインダーとしては、特開2000−181062号公報に記載の下記一般式(2)で表される樹脂を挙げることができる。
Figure 2005028873
上記一般式(2)において、R2は水素原子またはメチル基を表し、Yは芳香族環または単結合手を表す。nは1または2を表す。
前記親水性バインダーは、母核であるPVAの重合度が500以上であることが好ましく、1700以上であることがより好ましい。母核であるPVAの重合度の上限は特に限定されず、水に可溶の範囲で有れば好ましく用いられる。
前記親水性バインダーにおいて、セグメントに対する電離放射線反応架橋基の変性率は、0.01〜4mol%が好ましく、0.01〜1mol%がより好ましい。
前記親水性バインダーを用いることにより、緩やかな三次元架橋構造が形成され、得られる乾燥塗膜のひび割れ耐性、インク受容層の柔軟性が良好になる。
〈分散液の調製〉
アルミナまたはアルミナ水和物と、親水性バインダーとを含有する分散液は、親水性バインダーの水溶液中にアルミナまたはアルミナ水和物の微粒子を高圧ホモジナイザー、高速攪拌分散機、サンドミル、超音波分散機等で分散させることにより調製することができるが、これらの中ではサンドミルを用いて分散させて調製することが好ましい。前記サンドミルに用いるビーズはジルコニア製が好ましく、その径は0.2〜1.0mmか好ましく、0.3〜0.5mmがより好ましい。
上記分散液には、本発明の目的効果を損なわない範囲で、さまざまな微粒子を併用することもできる。併用できる微粒子としては例えば軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、湿式シリカや気相法シリカ等の合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ゼオライト、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
さらに、本発明の目的効果を損なわない範囲で、従来公知の親水性樹脂を併用することができる。
さらに、本発明の目的効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、界面活性剤(例えば、カチオン、ノニオン、アニオン、両性界面活性剤)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機、高沸点有機、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、光重合開始剤、光増感剤、重合促進剤、マット剤、シリコンオイル等が挙げられる。
上記カチオン性媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、長期保存での変色や耐光性の劣化が少ないこと、着色剤の媒染能が充分高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
上記多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+等の硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等が好ましく用いられる。なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニル等の無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性の化合物は、一般に、耐光性を向上したり、滲み耐性や耐水性を向上させる機能を有するものが多い。
上記光重合開始剤、光増感剤としては、特限定されるものではなく、従来公知の化合物を用いることができ、例えば、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(例えば、チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)、アントラキノン類(例えば、エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等)、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル等)、2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、ベンゾイン類(例えば、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等)、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等)、ビスアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることがでる。上記各化合物は単独で使用しても混合して使用してもよい。
上記光重合開始剤に加え、重合促進剤を添加することも好ましい。重合促進剤としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
〈記録用紙の製造〉
本発明においては、分散液を支持体上に塗布後、電離放射線を照射し、乾燥して記録用紙を製造することができる。
《分散液の塗布》
塗布においては、アルミナまたはアルミナ水和物の付量が、支持体1m2当たり5〜40gになるよう塗布することが好ましく、7〜30gがより好ましい。付量を上記範囲にすることにより、印字時のインク吸収性や印字濃度が良好になる。
塗布して形成された多孔質層においては、アルミナまたはアルミナ水和物が親水性バインダーに対して質量比で、2〜50倍であることが好ましく、5〜15倍であることがより好ましい。質量比を上記範囲にすることにより、多孔質層に充分な空隙容量を確保することができのでインクを十分吸収することができ、且つ厚膜で塗布しても、ひび割れに対する耐性が得られ、柔軟性のある記録用紙を得ることができる。
多孔質層の空隙容量が、塗膜の単位面積当たり15〜40ml/m2を有することが好ましい。空隙容量を上記範囲にすることにより良好なインク吸収性が得ることができる。
ここでいう空隙容量とは、単位体積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または最終的に得られる記録用紙を、J.TAPPI 51に規定される紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定したときの、接触時間が2秒における液体転移量で定義される。
本発明の記録用紙の製造において、分散液を支持体上に塗布する塗布方法としては、特に限定されず、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
多孔質層は、単層であっても2層以上で構成されていても良く、2層以上で構成されている場合、それらの構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。また2層以上で構成する場合には、全ての構成層を同時に塗布する方法が、生産性の観点から好ましい。
《電離放射線の照射》
塗布後、塗膜中の電離放射線により架橋される親水性バインダーを架橋させて水不溶性とするために電離放射線を塗膜に照射する。
電離放射線の光源としては、特に限定されないが、具体的には、数kPa〜数MPaの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられ、これらの中では波長分布及び出力の観点から、高圧水銀灯またはメタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。
上記光源としては、出力400W〜30kW、照度10mW/cm2〜10kW/cm2を有するものが好ましい。また、光源には300nm未満の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましい。
本発明においては、電離放射線の照射源としては、発光主波長が300〜400nmであるメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーを0.1〜100mJ/cm2にすることが好ましい。
上記条件で電離放射線を照射することにより、電離放射線により親水性バインダーが分解されることなく、本発明の目的を達成するに充分な架橋反応を促進させることができる。
〈支持体〉
本発明の記録用紙に用いられる支持体としては、インク吸水支持体(例えば、紙等)やインク非吸水支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、インク非吸水支持体が好ましい。
好ましく用いられるインク非吸水支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂等で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が挙げられる。
上記支持体上に、前記の分散液を塗布するにあたっては、支持体表面と塗膜層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体表面にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録用紙では着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィン樹脂の代表であるポリエチレンでラミネートしたインク非吸水の紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプにポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を加えて抄紙される。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。
更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前述の原紙中に添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、インク受容層を塗布する面側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微細面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの膜厚は、インク受容層を塗布する面が20〜40μm、バック層を塗布する面が10〜30μmであることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体のインク受容層を塗布する面側には、インク受容層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることができる。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーや、Tgが−30〜60℃のラテックスポリマー等が好ましい。これらバインダーの塗布量は、記録用紙1m2当たり0.001〜2gが好ましい。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマー等の帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク受容層を塗布する面側とは反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることが好ましい。バック層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーや、Tgが−30〜60℃のラテックスポリマー等が好ましく、またカチオン性ポリマー等の帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、0.1〜1μmが好ましいが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、インク受容層の厚さにもよるが1〜20μmが好ましい。また、バック層は2層以上から構成されていても良い。
〈インク〉
本発明の記録用紙を用いて画像記録(プリント)する際には、インクジェット用のインクを用いることが好ましい。
上記インクジェット用のインクとは、着色剤、液媒体及びその他の添加剤を有する水性インクである。また、インクとしては、本発明で用いられる支持体に吸収されないものが好ましい。
上記着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料或いは水分散性顔料が好ましく用いられる。
上記液媒体としては、主に水及び水溶性の各種有機溶剤で構成されるものが好ましい。前記有機溶剤としては、本発明で用いられる支持体に吸収されないものであれば特に限定されず、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられるが、これらの中ではジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等が好ましく用いられる。
上記その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤等が挙げられ、必要に応じ添加して用いることが好ましい。
水性インクとしては、インク受容層に対する濡れ性を良好にするために、20℃における表面張力は、0.025〜0.06N/mが好ましく、0.03〜0.05N/mがより好ましい。また、上記水性インクのpHを、5〜10に調整したものが好ましく、6〜9であるものがより好ましい。
以下、本発明の効果について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中に記載の「%」は、特に断りのない限り「質量%」を表す。
(微粒子分散液S−1〜8の調製)
塩化アルミニウムを気化させ、酸素、水素の存在下、高温で処理して得た比表面積130m2/g(BET法により測定)の気相法アルミナ250gを得た。これを純水800ml中に、硝酸でpHを4.6に調整しながら高速攪拌分散機を用いて徐々に加えていき、最後に4質量%硼酸水溶液を60ml加えた後、硝酸によりpHを4.5に調整し、純水で1000mlに仕上げた。次いでこの液をサンドミルにより分散し、気相法アルミナの「微粒子分散液S−1」を調製した。
同様の方法で、無機微粒子として比表面積100m2/gの気相法アルミナ、比表面積250m2/g、450m2/gのアルミナ水和物(擬ベーマイト)、及び比表面積60m2/g、90m2/gのアルミニウムアルコキシドを加水分解し焼成して得られたアルミナを用い、サンドミルの分散時間を変えて分散を行い、表2に示す「微粒子分散液S−2〜8」を調製した。
(微粒子分散液S−9の調製)
高速攪拌分散機を用いて、硝酸でpH4に調整した1%エタノール水溶液800ml中に、比表面積200m2/gの気相法により製造したシリカ250gを徐々に加えた後、純水を加えて1000mlに仕上げた。次いでこの液をサンドミルにより分散し、表2に示す「微粒子分散液S−9」を調製した。
表1に、用いた無機微粒子及びその比表面積を示す。
Figure 2005028873
(記録用紙A−1〜9の作製)
130mlの「微粒子分散液S−1〜9」に、電離放射線により架橋される親水性バインダーである10質量%の濃度に調整したポリビニルアルコール誘導体(下記式(P)で表される化合物:主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の水溶液40gと光重合開始剤「カヤキュアQTX」(日本化薬株式会社製)0.06gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で300mlに仕上げて、インク受容層用の分散液を調製した。
Figure 2005028873
次いで、上記インク受容層用の分散液を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmで塗布し、その後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプに300nm未満の波長をカットするフィルター「365フィルター」(岩崎電気株式会社製)を設け、照度100mw/cm2で、エネルギー量として30mJ/cm2となるように電離放射線を照射し、その後、80℃の熱風型オーブンで乾燥させて多孔質層であるインク受容層を有する「記録用紙A−1〜9」を作製した。
なお、前記ポリエチレンコート紙は、インク受容層側のポリエチレン中にはアナターゼ型酸化チタンを8%含有、インク受容層面側には0.05g/m2の厚さでゼラチン下引き層を有し、インク受容層とは反対側の面にはTgが約80℃のラテックス性ポリマーを含むバック層を0.2g/m2の塗膜として有するものである。
〔記録用紙B−1の作製〕
上記「記録用紙A−1」の作製で用いた電離放射線により架橋される親水性バインダーである主鎖PVA重合度3000のポリビニルアルコール誘導体を、電離放射線により架橋される親水性バインダーである主鎖PVA重合度300の電離放射線架橋型ポリビニルアルコール誘導体に変更した以外は同様にして、「記録用紙B−1」を作製した。
〔記録用紙C−1の作製〕
上記「記録用紙A−1」の作製で用いた電離放射線により架橋される親水性バインダーである架橋基変性率1mol%のポリビニルアルコール誘導体を、電離放射線により架橋される親水性バインダーである架橋基変性率5mol%のポリビニルアルコール誘導体に変更した以外は同様にして、「記録用紙C−1」を作製した。
〔記録用紙D−1の作製〕
上記「記録用紙A−3」の作製で用いた365nmに主波長を持つメタルハライドランプを254nmに主波長を持つ低圧水銀ランプに変更し、エネルギー量を30mJ/cm2から110mJ/cm2に変更した以外は同様にして、「記録用紙D−1」を作製した。
〔記録用紙E−1の作製〕
上記「記録用紙A−3」の作製で用いた電離放射線により架橋される親水性バインダーであるポリビニルアルコール誘導体に代えて、ポリビニルアルコール(重合度3000、ケン化度88%)を用い、更にホウ酸0.03gを添加し、電離放射線の照射を行わなかった以外同様にして、「記録用紙E−1」を作製した。
なお、上記作製した各記録用紙は、作製した後更に40℃で3日間保管して安定化させた。
(記録用紙の各特性の評価)
以上により作製した各記録用紙について、以下に記載の方法に則り、各評価を行った。
〔平均二次粒子径〕
平均二次粒子径は、前記電子顕微鏡で観察する方法により求めた値である。
〔平滑性の評価〕
上記作製した各記録用紙のインク受容層面を、JIS B 0601に規定される方法に準じて、中心線表面粗さ(いずれも基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した)を求め、下記の基準に則り平滑性の評価を行った。
評価基準
◎:中心線表面粗さRaが1.0μm未満であり、美観が非常に優れている
○:中心線表面粗さRaが1.0〜1.5μm未満であり、美観が優れている
△:中心線表面粗さRaが1.5μm以上で、美観を損ない実用上問題がある
×:目視評価で塗膜全面にひび割れが多発し、実用上使用に耐えない
上記の評価ランクにおいて、◎、○のランクであれば、優れた品質であると判断した。
〔ひび割れ耐性の評価〕
上記作製した各記録用紙のインク受容層表面をルーペで観察し、10cm2中に発生している膜面のひび割れ個数をカウントし、これをひび割れ耐性の尺度とした。
評価基準
◎:3個以下であり、美観が非常に優れている
○:4個以上、10個以下であり、美観が優れている
△:11個以上、20個以下であり、美観を損ないやや問題がある
×:21個以上であり、実用に耐えない
上記の評価ランクにおいて、◎、○、△のランクであれば、ひび割れとして問題ないレベルであると判断した。
〔インク吸収性の評価〕
「インクジェットプリンターPM800C」(セイコーエプソン株式会社製)を用い、反射濃度が約1.0のニュートラルグレー画像を全面ベタ印字して、下記に示す基準に則り、インク吸収性の評価を行った。
評価基準
◎:ベタ画像面に、ムラ発生が全く認められず良好な品質
○:ベタ画像面に、僅かにムラが認められるが実技上は問題ない品質
△:ベタ画像面を注視すると、識別できるムラの発生は認められるが、実際のプリントでは問題にならない品質
×:ベタ画像面に、明らかなグレーの色ムラが認められ、実技上許容されない品質
××:ベタ画像面に、激しい色ムラが認められ全く許容されない品質
上記の評価ランクにおいて、△以上のランクであれば、実用上許容される品質であると判断した。
〔インク受容層の柔軟性の評価〕
上記の各記録用紙を5×10cmの短冊状のサイズに断裁し、これを23℃、55%RHの環境下で、コア内径が3cmの紙管にインク受容層が外側になるように巻きつけ、1時間後に取り外し、インク受容層面側をルーペで観察し、折れ割れに起因するヒビの発生数をカウントし、下記の基準に則りインク受容層の柔軟性の評価を行った。
評価基準
◎:ヒビの発生が、全く認められずインク受容層の柔軟性良好
○:ヒビの発生数が、1〜5本で、インク受容層の柔軟性良好
△:ヒビの発生数が、6〜19本で、インク受容層の柔軟性やや悪い
×:ヒビの発生数が、20〜99本で、インク受容層の柔軟性悪い
××:ヒビの発生数が、100本以上で、インク受容層の柔軟性非常に悪い
上記の評価ランクにおいて、△以上のランクであれば、実用上許容される品質であると判断した。
〔印字濃度の評価〕
上記の各記録用紙に、「インクジェットプリンターPM−800C」(セイコーエプソン株式会社製)で黒色ベタ印字を行い、反射濃度を測定した。
評価基準
◎:濃度が2.4以上で実用上問題なし
○:濃度が2.2以上2.4未満で実用上問題なし
△:濃度が2.0以上2.2未満でやや薄いが実用上問題なし
×:濃度が2.0未満で濃度が薄く実用上問題あり
上記の評価ランクにおいて、△以上のランクであれば、実用上許容される品質であると判断した。
〔画像の滲み耐性の評価〕
上記の各記録用紙に、「インクジェットプリンターPM−800C」(セイコーエプソン株式会社製)を用いてマゼンタのベタプリントを背景に、幅約0.3mmのブラックの細線ラインをプリントし、5分間放置後50℃、85%RHで5日間保存した。保存前後での細線の滲みを以下の4段階で評価した。
評価基準
◎:滲みの発生がなく、美観が非常に優れている
○:わずかに滲みは発生しているが、美観が優れている
△:やや滲みが発生しており、美観を損なう
×:滲みが発生しており、美観を損なう
上記の評価ランクにおいて、△以上のランクであれば、実用上許容される品質であると判断した。
以上により得られた各評価結果を、表2に示す。
Figure 2005028873
表2より明らかなように、本発明の記録用紙は、比較例に対し、平滑性、ひび割れ耐性、インク受容層の柔軟性、インク吸収性、印字濃度、画像の滲み耐性に優れていることが分かる。

Claims (12)

  1. 支持体上に、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 支持体上に、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  3. 支持体上に、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであり、かつ、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋された親水性バインダーとを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  4. 前記アルミナは、気相法により合成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記電離放射線により架橋された親水性バインダーは、重合度が500以上で、かつ、架橋基変性率が0.01〜4mol%である親水性バインダーを電離放射線により架橋したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記支持体は、インク非吸収支持体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであるアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成したことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  8. 支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成したことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  9. 支持体上に多孔質層を有するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層は、二次粒子の平均粒径が10〜300nmであり、かつ、BET法により測定される比表面積が80〜400m2/gのアルミナまたはアルミナ水和物と、電離放射線により架橋される親水性バインダーとを含有する分散液を塗布した後、発光主波長が300〜400nmのメタルハライドランプを用い、波長350nmにおける照射エネルギーが0.1〜100mJ/cm2の電離放射線を照射し、その後乾燥して形成したことを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  10. 前記アルミナは、気相法により合成されたものであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  11. 前記電離放射線により架橋される親水性バインダーは、重合度が500以上で、かつ、架橋基変性率が0.01〜4mol%であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  12. 前記支持体は、インク非吸収支持体であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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