JP2006192585A - インクジェット記録用紙の製造方法 - Google Patents

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庸介 曽根
Yoshihiko Suda
美彦 須田
Kazuhiro Miyazawa
一宏 宮澤
Koji Tashiro
耕二 田代
Yoshinori Tsubaki
義徳 椿
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Abstract

【課題】塗膜均一性(モトル耐性)、生産性に優れ、かつインク吸収性及びひび割れ耐性が改良されたインクジェット記録用紙の製造方法を提供することにある。
【解決手段】連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層を塗布してから10秒以内に該電離放射線の照射を開始することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電離放射線により架橋する高分子化合物を用いた新規のインクジェット記録用紙の製造方法に関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
上記のインクジェット記録方法で従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野に急速に普及している。
特に最近ではプリンターの高画質化が進み写真画質に到達していることから、インクジェット記録用紙も写真画質を実現し、かつ写真の風合い(光沢、平滑性、コシなど)を再現することが求められている。
このインクジェット記録用紙で用いられる支持体としては、一般には、紙等の吸水性支持体とポリエステルフィルムや樹脂被覆紙等の非吸水性支持体とが知られている。前者は、支持体自身がインクを吸収できるため、高インク吸収能を有している利点がある反面、支持体の吸水性に起因するプリント後にシワが発生(コックリングともいう)するという問題があり、高品位なプリントが得にくかったり、プリント時にコックリングに伴い、記録ヘッドとプリント表面との間で擦りが起き易いなどの課題を有している。これに対し、非吸水性の支持体を使用する場合には、上述の問題はなく、高品位なプリントが得られる利点がある。
一方、支持体上に設けるインク吸収層としては、例えば、高平滑性を有する支持体上に、インク吸収層としてゼラチンやポリビニルアルコール(PVA)などの親水性バインダーを塗布してインク吸収層を形成するインクジェット記録用紙が知られている。このタイプのインクジェット記録用紙は、バインダーの膨潤性を利用して印字したインクを吸収する。しかしながら、このインク吸収層は、バインダーが水溶性樹脂であるが故、プリント後のインク乾燥性に難があり、また形成された画像や皮膜が水分に対して弱く耐水性が乏しい。更に、昨今のインクジェットプリンターにおいては印画速度が早いため、バインダーの膨潤による吸収性がインクの吐出量や吐出速度に追いつかず、インク溢れや形成した画像がまだら状となり適応性がなくなっている等の問題があった。
一方、特開昭63−18387号公報には、変性ポリビニルアルコールと耐水化剤を用いたインク吸収層を設けたインクジェット記録用紙が開示されている。また、電離放射線により架橋された親水性バインダーによるインク吸収層を有する水性インク用記録シートが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。硬化されたバインダーをインク吸収層とすることにより、画像や皮膜の耐水性は解決されているが、本来、樹脂の膨潤能によりインクを吸収させているため、インク吸収性そのものの改良はなされていない。
上記水系樹脂の膨潤性を利用してインクを吸収するタイプのインクジェット用記録用紙に対し、特開平10−119423号公報には、微小な空隙構造を有する多孔質層をインク吸収層として設けた記録用紙が提案されており、高インク吸収性と高速乾燥性であり、最も銀塩写真画質に近い画質が得られる方法の一つになりつつある。
この多孔質層は、主に親水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒子が広く適用されているが、一般的には、無機微粒子がより小粒径であり、高光沢の多孔質層を実現できるため好ましく用いられる。更に、上記無機微粒子に対し、相対的に少量の親水性バインダーを使用することにより、この無機微粒子間に空隙が形成されて高空隙率の多孔質層が得られる。
この多孔質層は、主に親水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒子が知られているが、一般的には、無機微粒子がより小粒径で高光沢の多孔質層を実現できるため好ましく用いられる。
この空隙部は、毛管現象によりインクを吸収するので、架橋剤等を併用してバインダーを架橋し、耐水性を向上させても、吸収速度を損なうことはないという利点を有している。特に、紙支持体の両面をポリエチレン樹脂で被覆したポリエチレンコート紙のような非吸水性支持体上に、このような多孔質インク吸収層を設けたインクジェット記録用紙の場合には、インクジェット記録する際、一時的にはすべてのインクをインク吸収層に保持する必要があるため、インク吸収層は高空隙容量の多孔質層でなくてはならず、従って、高空隙率の厚い塗膜を形成させる必要がある。通常は、乾燥膜厚として25〜50μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。
このような特徴を有する多孔質インク吸収層は、上述のように、その主成分が無機微粒子であり、元来硬い塗膜であることから、厚膜の多孔質層を非吸水性支持体上に塗布する場合、皮膜強度が低下し、乾燥時にひび割れ等の故障を誘発しやすい。
多孔質インク吸収層の形成過程においては、少量の親水性バインダーが微粒子表面に吸着し、その親水性バインダー間で絡み合う、もしくは親水性バインダー間の水素結合等の相互作用により微粒子を保持し、保護コロイドを作って多孔質層を形成している。その後、乾燥過程において塗膜の急激な収縮がおき、その収縮応力により、膜面にひび割れが起こると考えられている。そのため、ひび割れ等が発生しない良好な塗膜を得るための技術開発が求められていた。
このような課題に対し、例えば、多孔質層を形成する親水性バインダーとして、非架橋性のポリビニルアルコールを用いたインクジェット記録用紙の製造方法として、インク吸収層の塗布液を塗布した塗膜の膜面温度を30℃以下で乾燥させることにより、インク吸収量に優れ、吹かれ、ひび割れがなく塗膜強度の優れたインクジェット記録用紙を効率よく製造するインクジェット記録用紙の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、塗布後の含水率1000〜500%の塗膜に対して、乾燥風の膜面風速を10m/sec以下とし、乾燥風温度を30℃を超える温度とし、かつ膜面温度を20℃を超える温度として乾燥を行うことにより、色材受容層のひび割れや光沢ムラ等の発生を防止したインクジェット記録用シートの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
一方、活性エネルギー線硬化型モノマーをバインダーとして用いたインクジェット記録用紙が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、インク吸収層、光沢発現層を順次設けたインクジェット記録用紙で、光沢発現層が、主にコロイド粒子及び1分子中に2個以上のエチレン性二重結合を含有する親水性の電離放射線硬化性化合物からなり、電離放射線を照射することにより硬化する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
このような電離放射線により架橋(硬化)する特性を備えた親水性ポリマーを用いたインク吸収層では、高インク吸収能を維持した状態で、塗膜強度を高めることができる。また、この様な構成からなるインクジェット記録用紙の製造過程では、特許文献2、3に記載のような非架橋性のポリビニルアルコールを用いたインクジェット記録用紙に比較すると、製造時の乾燥条件の制約はやや緩和されるものの、電離放射線照射により硬化させインク吸収性やひび割れ耐性等の効果を十分に発現させるためには、製造過程、特に、支持体上へ塗布した以降の乾燥工程、調湿工程における厳密な制御が必要とされるが、特許文献4、5には、全くそれに関する記載や示唆が見られない。
例えば、支持体上へ電離放射線により架橋する高分子化合物を含む多孔質層を塗布した後、形成した塗布膜に電離放射線を照射するまでに要する時間が長いと、多孔質層を塗設した支持体の搬送中に、幅手の両端部間での搬送速度差、あるいは平行搬送性のゆがみ等により発生する支持体のたわみ(ツレともいう)の形状に対応して、塗設した多孔質層塗布液のレベリング、すなわち塗布液の平準化が生じ、正常の均一な平面状態に戻った際に、縦ムラ状の故障(モトル状故障)を引き起こす。このモトルの発生は、上述のような多孔質層を塗設してから電離放射線を照射するまでの時間の他に、電離放射線を照射するまでの乾燥雰囲気、あるいは電離放射線照射後の乾燥条件に大きく依存していることが判明した。
特開平1−286886号公報 特開2001−10207号公報 特開2003−103912号公報 特開平7−40649号公報 特許第3333338号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、塗膜均一性(モトル耐性)、生産性に優れ、かつインク吸収性及びひび割れ耐性が改良されたインクジェット記録用紙の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層を塗布してから10秒以内に該電離放射線の照射を開始することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項2)
連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該塗布膜に該電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項3)
連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該塗布膜に該電離放射線を照射した後、30秒以内に該塗布膜の膜面温度を30℃以上とすることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項4)
連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該塗布膜の含水率が30〜200%の領域で、該塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とすることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項5)
連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、
該多孔質層を塗布してから10秒以内に該電離放射線の照射を開始し、
該塗布膜に該電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であり、
該塗布膜に該電離放射線を照射した後、30秒以内に該塗布膜の膜面温度を30℃以上とし、
かつ、該塗布膜の含水率が30〜200%の領域で、該塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とすることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項6)
前記多孔質層を塗布してから10秒以内に前記電離放射線の照射を開始することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項7)
前記塗布膜に前記電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項8)
前記塗布膜に前記電離放射線を照射した後、30秒以内に前記塗布膜の膜面温度を30℃以上とすることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
本発明によれば、塗膜均一性(モトル耐性)、生産性に優れ、かつインク吸収性及びひび割れ耐性が改良されたインクジェット記録用紙の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、1)該多孔質層を塗布してから10秒以内に該電離放射線の照射を開始するインクジェット記録用紙の製造方法、2)該塗布膜に該電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であるインクジェット記録用紙の製造方法、3)該塗布膜に該電離放射線を照射した後、30秒以内に該塗布膜の膜面温度を30℃以上とするインクジェット記録用紙の製造方法、あるいは4)該塗布膜の含水率が30〜200%の領域で、該塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とするインクジェット記録用紙の製造方法から選ばれる少なくとも1つのインクジェット記録用紙の製造方法により、塗膜均一性(モトル耐性)、生産性に優れ、かつインク吸収性及びひび割れ耐性が改良されたインクジェット記録用紙の製造方法、あるいは上記1)から4)の全ての要件を満たしたインクジェット記録用紙の製造方法により実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明に係るインクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)は、支持体上に多孔質層(以下、インク吸収層ともいう)を有し、該多孔質層が少なくとも無機微粒子及び電離放射線により架橋する高分子化合物を含有することを1つの特徴とする。
はじめに、本発明に係る無機微粒子について説明する。
本発明に係る記録用紙において用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ(例えば、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ)、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
本発明に係る無機微粒子としては、低コストであることや高い反射濃度が得られる観点から低屈折率の微粒子であることが好ましく、更には、シリカまたはアルミナであることが好ましい。
本発明に用いられるシリカとは、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカである。例えば、湿式シリカでは沈降法による(株)トクヤマ製のファインシールが、ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業(株)製のNIPGELが市販されている。沈降法シリカは、概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限は、特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的にはゲル法により合成される湿式シリカの方が、沈降法に対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素と水素を原料にし燃焼法により合成されるものであり、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルシリーズが市販されている。
高空隙率の多孔質層を得る為には、BET法により測定される比表面積が400m2/g未満であることが好ましく、または分散前の孤立シラノール基比率が0.5〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましく、0.5〜1.1であることが特に好ましい。比表面積の下限は、銀塩写真に近似の光沢が得られる観点から40m2/gであることが好ましい。なお、本発明でいうBET法とは、気相吸着等温線から1g当たりの表面積を求める方法により比表面積を測定する方法である。また、この範囲の比表面積を有する気相法シリカにおいて、一次粒径分布における変動係数は、0.4以下であることが空隙率を大きくできる点から好ましい。なお、湿式シリカにおいては、一次粒子自身が細孔径を持つためこの限りではない。
一方、本発明に係る記録用紙に好ましく用いることのできるアルミナとは、酸化アルミニウム及びその水和物のことであり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形、球状、板状、針状の形態を有している物が使用される。特に、アスペクト比が2以上で、一次粒径の平均粒径が5〜30nmの平板状アルミナ水和物、気相法アルミナが好ましい。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
本発明に係る多孔質層に用いられる電離放射線により架橋される高分子化合物とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋する水溶性樹脂であり、架橋反応後、架橋反応前よりも水溶性が低下する樹脂である。ただし、該樹脂は、架橋後もインクに対し十分な親和性を維持することが好ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコールなどに対し光二量化型、光分解型、光解重合型、光変性型、光重合型等の変性基を作用させ、変性基を介して光により架橋を起こす架橋基変性ポリマー、または電子線により直接架橋するポリマーが使用可能であり、中でも光二量化型、光重合型の化合物が好ましい。
光二量化型の電離放射線架橋型樹脂としては、ジアゾ型、もしくはシンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基を導入した化合物が好ましい。
具体的には、特開昭60−129742号公報に記載のポリビニルアルコール構造体中に、スチルバゾニウム基を導入した化合物で、下記一般式(1)で表される構成単位を有する感光性樹脂を挙げることができる。
Figure 2006192585
上記一般式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はアニオン性基を表す。
また、光重合型の電離放射線架橋型樹脂としては、特開2000−181062号公報に記載の下記一般式(2)で表される構成単位を有する樹脂を挙げることができる。
Figure 2006192585
上記一般式(2)において、R2はメチル基または水素原子を表し、Yは芳香族環または単なる結合手を表し、nは1または2を表す。
芳香族環としては、例えば、下記のものを挙げることができる。
Figure 2006192585
式中、Z1及びZ2は、各々メチル基、エチル基またはハロゲン原子を表す。
また、上記一般式(2)で表される構成単位の例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2006192585
Figure 2006192585
Figure 2006192585
Figure 2006192585
本発明に係る電離放射線により架橋される高分子化合物において、母核であるPVAの重合度が500以上であることが好ましく、1700以上であることがより好ましい。
本発明に係る親水性バインダーにおいて、セグメントに対する電離放射線反応架橋基の変性率が4mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1mol%である。
本発明においては、本発明に係る電離放射線により架橋される高分子化合物と共に、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光開始剤、光増感剤については特に制限は無いが、水溶性の物が混合性、反応効率の観点から好ましい。例えば4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましく、特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)が安定性、反応効率の観点からより好ましい。更に、一例としベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
なお、本発明においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で、本発明に係る電離放射線により架橋される高分子化合物と共に、従来公知の親水性樹脂を併用しても良い。
併用される親水性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーとして用いることのできる親水性樹脂を用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性等の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、本発明の課題である塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
本発明に係る多孔質層において、電離放射線により架橋される高分子化合物に対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、多孔質層の空隙率は良好であり、充分な空隙容量が得やすく、過剰の電離放射線により架橋される高分子化合物がインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことを避けられる。一方、この比率が50倍以下であれば、多孔質層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい電離放射線により架橋される高分子化合物に対するシリカ微粒子の比率は、2.5〜20倍である。また、乾燥塗膜の折れ割れ耐性という観点からは、5〜15倍が好ましい。
本発明に係る多孔質の多孔質層の空隙は、塗膜の単位面積あたり15〜40ml/m2の容量を持つことが好ましい。ここでいう容量とは、単位体積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または、最終的に得られる記録用紙を、J.TAPPI 51に規定される紙および板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定したときの、接触時間が2秒における液体転移量などで定義される。
本発明に係るインクジェット記録用紙においては、上記構成に加えて、本発明の目的効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系の各種界面活性剤、粘度調整剤、低沸点有機、高沸点有機、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、光重合開始剤、光増感剤、重合促進剤、マット剤、シリコンオイル等が挙げられ、中でもカチオン性媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
また、バインダーとして含有する親水性樹脂の架橋剤を併用して多孔質層へ含有させたり、もしくは塗膜形成、乾燥後にオーバーコートさせることも特に好ましい。架橋剤により、多孔質層の耐水性がさらに改善され、また、インクジェット記録時に親水性バインダーの膨潤が抑制されるためにインク吸収速度が向上する。
架橋剤としては、従来公知の架橋剤を使用することができ、無機系架橋剤(例えば、クロム化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸類など)や有機系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、N−メチロール系架橋剤、アクリロイル系架橋剤、ビニルスルホン系架橋剤、活性ハロゲン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エチレンイミノ系架橋剤等)等を使用することができる。
これらの架橋剤は、親水性バインダーに対して、概ね1〜50質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。
親水性バインダーがポリビニルアルコール類であり、微粒子がシリカである場合、架橋剤としては、3族、4族元素を含む化合物、特にホウ酸類やアルミニウム化合物、ジルコニウム化合物などの無機系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が、特に好ましい。
本発明においては、多価金属化合物を上記多孔質層に添加し用いることができる。
多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等を用いることができる。なお、好ましくは、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物である。多孔質層に多価金属化合物を含有させることにより、滲みや耐水性を向上させることができる。これらの多価金属化合物の多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で多孔質層に含有させることができる。
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録用紙は着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルムおよび紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレン層には、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出ししてコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿および高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体のインク受容層側には、インク受容層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク受容層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、やはりゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていても良い。
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
次に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法について、具体的に説明する。
はじめに、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法に適用できる製造工程フローについて、図を用いて説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法に適用できる製造工程フローの一例を示す模式図である。
インクジェット記録用紙の製造工程1では、支持体をロール状に積層した支持体元巻2より、支持体Fを繰り出し、サポートロールSを介して、塗布部Cに搬送される。塗布部Cは、支持体Fの裏面部を保持するバックアップロール3とコータ4とで構成され、コータ4には、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層塗布液5をコータ4に供給するための調整釜が配管を介して接続されている。
連続走行する支持体F上に、コータ4より多孔質層塗布液を所定の湿潤膜厚で塗布を行った後、その下流部に配置されている電離放射線照射部6により電離放射線を照射して、多孔質層中に含有している高分子化合物を硬化(架橋)させた後、冷却ゾーン7で十分に冷却セットさせた後、乾燥部8に搬送して、温度及び湿度を制御した乾燥風を吹き付ながら、搬送ロール9及びリバーサー10を介して搬送して乾燥される。乾燥が完了したインクジェット記録用紙は、巻き取り部でロール状に積層される。
なお、図1においては、一例として冷却ゾーン7を設けた例を示したが、冷却ゾーンを省略した形態でも良く、また、図1では、一例として冷却ゾーン7の前に電離放射線照射部6を設けた例を示したが、冷却ゾーン7の後に電離放射線照射部6を設けた形態であってもよく、本発明で規定する電離放射線の照射条件を満たす範囲であれば、電離放射線照射部6の設置位置は制限されない。
調製釜で調製する多孔質層塗布液5は、電離放射線により架橋する高分子化合物と必要に応じて別の親水性樹脂をバインダーと、フィラーとして用いる無機微粒子とを、必要に応じて界面活性剤等の存在下で混合、分散した後、必要であれば上述の添加剤等を更に混合して調製し、この多孔質層塗布液を少なくとも支持体の片面に塗布して、多孔質層を形成するための塗布膜を形成する。
本発明に係る記録用紙の多孔質層は、単層であっても多層であっても良く、多層構成の場合には、全ての多孔質層を同時に塗布することが、製造コストを低減できる観点から好ましい。
上記多孔質層塗布液、あるいはその他の構成層の支持体への塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
次に、塗膜に電離放射線、例えば、紫外線(具体的な光源は、後述するが、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ等)等を照射する。この電離放射線の照射により、電離放射線により架橋する高分子化合物の側鎖間で架橋反応を生じさせ、塗膜の粘弾性を上昇させ、流動化を抑えてゲル化し、均一な塗膜を形成させることができる。電離放射線照射後に、塗膜を乾燥させ、支持体上に均一な、親水性バインダーと微粒子を主として含有する空隙を有する多孔質層が形成されたインクジェット記録媒体を得ることができる。
本発明においては、塗布部Cで支持体上に多孔質層塗布液を塗設してから電離放射線照射部6により電離放射線を照射するまでの時間tを10秒以下にすることを特徴の1つとし、好ましくは塗布後0.1〜3秒の間に電離放射線を照射することが、本発明の下記目的効果をいかんなく発揮する観点から好ましい。すなわち、この照射条件をとることにより、速やかな電離放射線により架橋する高分子化合物の架橋反応を行い、支持体の搬送中に、幅手の両端部間で発生する支持体のツレによる縦ムラ状の故障(モトル状故障)を効率よく防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、塗布膜に電離放射線を0.1〜100mJ/cm2の範囲の照射量で照射する以前の領域、すなわち、塗布部Cで支持体上に多孔質層塗布液を塗設してから電離放射線照射部6により電離放射線を照射するまでの時間tの間で搬送される領域において、塗膜面に吹き付ける乾燥風の風速を15m/sec以下とすることを特徴とし、好ましくは1〜15m/secであり、更に好ましくは塗布後3秒以内の領域で、塗膜面に吹き付ける乾燥風の風速を1〜15m/sec以下とすることが好ましい。上記で規定する条件とすることにより、電離放射線照射前で未硬化状態の塗布膜への外風による吹かれムラ(風の影響により、塗膜が部分的に一定方向に移動してムラを生じる現象)を防止することにより、均一性の高い塗布膜を形成することができる。
また、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、塗布膜に電離放射線を照射した後、30秒以内に塗布膜の膜面温度を30℃以上とすることが好ましく、更に好ましくは30秒以内に塗布膜の膜面温度を30℃以上、80℃以下とすることが好ましい。上記で規定する条件とすることにより、硬化した塗布膜の乾燥を効率よく行うことができ、その結果、高い生産性を得ると共に、ひび割れ耐性をより一層向上させることができる。
また、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法では、乾燥工程において、塗布膜の含水率が30〜200%の領域で塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とすることを特徴とし、上記で規定する条件とすることにより、硬化した塗布膜の乾燥を効率よく行うことができ、その結果、高い生産性を得ると共に、ひび割れ耐性をより一層向上させることができる。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、上記で規定する各製造条件に加えて、必要に応じて、塗布膜の含水率が200%以下の領域で、更に波長350〜400nmの紫外線を0.1〜100mJ/cm2の範囲の照射させることが、より塗膜の硬度を高める観点から好ましい。
また、乾燥終了後、ロール状に巻いたままあるいは種々のサイズのシートやロールに断裁後、30〜60℃で一定時間、例えば1日〜1ヶ月間保管することが好ましい。コストの観点から、1日〜3日がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法で使用可能な電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等が挙げられ、人体への影響が少なく、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線が好ましく用いられる。
電離放射線として電子線を使用する場合、照射する電子線の量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが望ましい。0.1Mrad以上とすることにより、充分な照射効果を得ることができ、20Mrad以上とすることにより、支持体、特に紙やある種のプラスチックの劣化を抑制することができる。電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は100〜300kV程度が好ましい。なお、電子線照射方式は、紫外線照射に比べて生産性が高く、増感剤添加による臭気や着色の問題がなく、更に均一な架橋構造をとりやすいといった利点がある。
電離放射線として紫外線を使用する場合、光源として、例えば、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜1kW/cm2、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜150mJ/cm2が好ましく、1mJ/cm2〜50mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして150mJ/cm2を超える場合は、電離放射線架橋性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤を紫外線により分解する可能性があり、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を起こす可能性があるので好ましくない。照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合は架橋効率が不足し、本発明の効果が十分に得られない。
紫外線照射の際の照度は0.1mW/cm2以上、1W/cm2以下が好ましい。照度が1W/cm2を超える場合、塗膜の表面硬化性は向上するが、深部硬化性が低下し表面のみ堅い膜が得られる。その場合は、膜の深度方向の堅さのバランスが崩れ、カールなどが起こり、好ましくない。
照度が0.1mW/cm2より低い場合は、膜中の散乱等により架橋が十分進まず、本発明の効果が得られないため好ましくない。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。
照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。
照度が低過ぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明に係る記録用紙を用いて画像記録(プリント)する際には、インクジェット用のインクを用いることが好ましい。
上記インクジェット用のインクとは、着色剤、液媒体及びその他の添加剤を有する水性インクである。また、インクとしては、本発明で用いられる支持体に吸収されないものが好ましい。
上記着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料或いは水分散性顔料を用いることができるが、その中でも水分散性顔料を用いることが、本発明に係る構成を採った際に、特に発色性が向上するという観点から特に好ましい。
上記液媒体としては、主に水及び水溶性の各種有機溶剤で構成されるものが好ましい。前記有機溶剤としては、本発明で用いられる支持体に吸収されないものであれば特に限定されず、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられるが、これらの中ではジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等が好ましく用いられる。
上記その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤等が挙げられ、必要に応じ添加して用いることが好ましい。
水性インクとしては、多孔質層に対する濡れ性を良好にするために、20℃における表面張力は、0.025〜0.06N/mが好ましく、0.03〜0.05N/mがより好ましい。また、上記水性インクのpHを、5〜10に調整したものが好ましく、6〜9であるものがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インク吸収層塗布液の調製》
予め均一に分散されている、一次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル200)を25%含有するシリカ分散液(pH4.0、エタノール1.0%含有)の100gに、スチルバゾリウム基を導入し、濃度を10%に調整した光架橋性ポリビニルアルコール誘導体水溶液(東洋合成工業社製、SPP−SHR、主鎖ポリビニルアルコール重合度:2300、ケン化度:88%)の50kgを徐々に添加した。
次いで、上記混合液を三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で200Lに仕上げ、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行って、インク吸収層塗布液を調製した。
《記録用紙の作製》
〔記録用紙101の作製〕
支持体として、幅が1.5m、長さが約4000mのロール状に積層され、坪量が170g、含水率が8%の写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を記録用紙1m2当たり0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電加工した後、Tgが約80℃のスチレン/アクリル酸エステル系ラテックスバインダーを約0.4g/m2、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)を0.1g/m2および約2μmのシリカを0.1g/m2をマット剤として含有するバック層を塗布したものを使用した。
次いで、図1に記載のインクジェット記録用紙の製造工程フロー(ただし、図1に記載の冷却ゾーンは未使用とした)を用いて、上記支持体上にシリカの付き量で26g/m2となるように、インク吸収層塗布液をカーテンコーターを用いて塗布した。塗布開始後、30秒間は塗布膜に当てる外風の風速を18m/minとなるように搬送部の空調を制御した後、塗布開始30秒後に、365nmに主波長を持つメタルハライドランプで、波長365nmにおける照度が60mW/cm2の紫外線を用い、エネルギー量で30mJ/cm2の紫外線を照射した。その後、紫外線照射40秒後に、塗布膜の膜面温度を30℃となるように乾燥を行って、図1に記載の乾燥ゾーンを11ゾーン設けた乾燥部で乾燥を行って、ロール状に巻き取って記録用紙1を作製した。
なお、記録用紙1の作製において、塗布膜の含水率が30〜200%の領域における最低温度は28℃、最高温度は110℃とした。
〔記録用紙102〜107の作製〕
上記記録用紙101の作製において、インク吸収層を塗布してから紫外線を照射するまでの時間を表1に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙102〜107を作製した。
《記録用紙の評価》
以上に様にして作製した各記録用紙について、下記の各評価を行った。
〔モトル耐性の評価〕
上記作製した各記録用紙のインク吸収層の塗布膜厚を、1.0cm間隔で20点測定し、下式に従って膜厚変動率を求め、下記の基準に従ってモトル耐性の評価を行った。
膜厚変動率(%)={(最大膜厚−最小膜厚)/平均膜厚}×100
1:膜厚変動率が1.0%未満である
2:膜厚変動率が1.0%以上、2.0%未満である
3:膜厚変動率が2.0%以上、4.0%未満である
4:膜厚変動率が4.0%以上、10.0%未満である
5:膜厚変動率が10.0%以上である
〔インク吸収性の評価〕
各記録用紙に対し、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM900Cを用い、反射濃度が約1.0のニュートラルグレーのベタ画像及び人物ポートレート画像を印字して、ムラの有無を目視観察し、下記の基準に従ってインク吸収性の評価を行った。
1:印字ムラの発生が全く認められない
2:印字ムラが僅かに認められるが、ポートレート画像では全く問題ない品質である
3:印字ムラがベタ印字ではやや識別可能なレベルであるが、ポートレート画像では問題のない品質である
4:グレーのベタ画像で色ムラが認められ、かつポートレート画像でも認識され、実技上許容されない品質である
5:グレーのベタ画像及びポートレート画像での画像ムラが強く、全く許容されない品質である
上記の評価ランクにおいて、実用上、1〜3のランクであればインク吸収性に優れ、実用上許容範囲内の品質であると判断した。
〔ひび割れ耐性の評価〕
上記作製した各記録用紙のインク吸収層塗設面側100cm2を、ルーペを用いてひび割れの発生状況を観察し、下記の基準に従ってひび割れ耐性の評価を行った。
1:ひび割れの発生が全く認められない
2:長さ0.5mm未満のひび割れがわずかに見られるが、実技上全く問題のない品質である
3:長さ0.5mm未満のひび割れが散在しているが、実技上は許容範囲内の品質である
4:長さ0.5〜2.0mmのひび割れの発生が数多く認められ、実技上許容されない品質である
5:長さが2.0mmを超えるひび割れの発生が認められ、全く許容されない品質である
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2006192585
表1に記載の結果より明らかなように、インク吸収層を塗布してから紫外線を照射するまでの時間を10秒以内とすることにより、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性に優れたインクジェット記録用紙を製造できることが分かる。
実施例2
《記録用紙の作製》
〔記録用紙201〜206の作製〕
実施例1に記載の記録用紙101の作製において、塗布開始から紫外線を照射するまでの領域における塗布膜に当てる外風の風速を表2に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙201〜206を作製した。
《記録用紙の評価》
上記作製した記録用紙201〜206と、実施例1で作製した記録用紙101について、実施例1に記載の方法と同様にして、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
Figure 2006192585
表2に記載の結果より明らかなように、塗布開始から紫外線を照射するまでの領域における塗布膜に当てる外風の風速を15m/secとして作製した本発明の記録用紙は、比較例に対し、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性に優れていることが分かる。
実施例3
《記録用紙の作製》
〔記録用紙301〜306の作製〕
実施例1に記載の記録用紙101の作製において、紫外線照射後に、塗布膜の膜面温度を30℃とするまでの時間を表3に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙301〜306を作製した。
《記録用紙の評価》
上記作製した記録用紙301〜306と、実施例1で作製した記録用紙101について、実施例1に記載の方法と同様にして、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2006192585
表3に記載の結果より明らかなように、紫外線照射後、塗布膜の膜面温度を30℃とするまでの時間を30秒以内として作製した本発明の記録用紙は、比較例に対し、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性に優れていることが分かる。
実施例4
《記録用紙の作製》
〔記録用紙401〜407の作製〕
実施例1に記載の記録用紙101の作製において、塗布膜の含水率が30〜200%の領域における最低温度及び最高温度を表4に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙401〜407を作製した。
《記録用紙の評価》
上記作製した記録用紙401〜407と、実施例1で作製した記録用紙101について、実施例1に記載の方法と同様にして、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
Figure 2006192585
表4に記載の結果より明らかなように、塗布膜の含水率が30〜200%の領域における最低温度を30℃以上、最高温度を100℃以下となる条件で作製した本発明の記録用紙は、比較例に対し、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性に優れていることが分かる。
実施例5
《記録用紙の作製》
〔記録用紙501〜507の作製〕
実施例1に記載の記録用紙101の作製において、インク吸収層を塗布してから紫外線を照射するまでの時間、塗布開始から紫外線を照射するまでの領域における塗布膜に当てる外風の風速、紫外線照射後に、塗布膜の膜面温度を30℃とするまでの時間、及び塗布膜の含水率が30〜200%の領域における最低温度及び最高温度を表5に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙501〜507を作製した。
《記録用紙の評価》
上記作製した記録用紙501〜507と、実施例1で作製した記録用紙101、104、実施例2で作製した記録用紙203、実施例3で作製した記録用紙304、実施例4で作製した記録用紙404について、実施例1に記載の方法と同様にして、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
Figure 2006192585
表5に記載の結果より明らかなように、本発明の請求項1〜4で規定する条件を更に組み合わせることにより、モトル耐性、インク吸収性及びひび割れ耐性がより一層向上していることが分かる。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法に適用できる製造工程フローの一例を示す模式図である。
符号の説明
1 インクジェット記録用紙の製造工程
2 支持体元巻
3 バックアップロール
4 コータ
5 多孔質層塗布液
6 電離放射線照射部
7 冷却ゾーン
8 乾燥部
9 搬送ロール
10 リバーサー
C 塗布部
F 支持体
S サポートロール

Claims (8)

  1. 連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該多孔質層を塗布してから10秒以内に該電離放射線の照射を開始することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  2. 連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該塗布膜に該電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  3. 連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該塗布膜に該電離放射線を照射した後、30秒以内に該塗布膜の膜面温度を30℃以上とすることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  4. 連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、該塗布膜の含水率が30〜200%の領域で、該塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とすることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  5. 連続走行する支持体上に、電離放射線により架橋する高分子化合物を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有する多孔質層を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に電離放射線を照射して製造するインクジェット記録用紙の製造方法において、
    該多孔質層を塗布してから10秒以内に該電離放射線の照射を開始し、
    該塗布膜に該電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であり、
    該塗布膜に該電離放射線を照射した後、30秒以内に該塗布膜の膜面温度を30℃以上とし、
    かつ、該塗布膜の含水率が30〜200%の領域で、該塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とすることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  6. 前記多孔質層を塗布してから10秒以内に前記電離放射線の照射を開始することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  7. 前記塗布膜に前記電離放射線を0.1〜100mJ/cm2照射する以前の領域における乾燥風の風速が、15m/sec以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  8. 前記塗布膜に前記電離放射線を照射した後、30秒以内に前記塗布膜の膜面温度を30℃以上とすることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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