JP2006231561A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

インクジェット記録用紙 Download PDF

Info

Publication number
JP2006231561A
JP2006231561A JP2005045781A JP2005045781A JP2006231561A JP 2006231561 A JP2006231561 A JP 2006231561A JP 2005045781 A JP2005045781 A JP 2005045781A JP 2005045781 A JP2005045781 A JP 2005045781A JP 2006231561 A JP2006231561 A JP 2006231561A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
recording paper
resin
absorbing layer
emulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005045781A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Tashiro
耕二 田代
Kazuhiro Miyazawa
一宏 宮澤
Yoshihiko Suda
美彦 須田
Yasusuke Sone
庸介 曽根
Yoshinori Tsubaki
義徳 椿
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2005045781A priority Critical patent/JP2006231561A/ja
Publication of JP2006231561A publication Critical patent/JP2006231561A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 本発明の目的は、インク吸収性及びカール特性に優れたインクジェット記録用紙を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に、少なくとも無機微粒子とバインダーとして電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有するインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該インク吸収層が、更にバインダーとして少なくとも水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インク吸収性及びカール特性が改良されたインクジェット記録用紙に関する。
近年、インクジェット記録方式の飛躍的な技術革新に伴い、得られるプリント品質は銀塩写真で得られるプリントに匹敵しつつある。インクジェット記録方式で得られるプリント品質は、主に、プリンター、インクジェットインク及びインクジェット記録用紙の3つに大きく依存するが、現在、得られる画質に対するプリンター及びインクジェットインクの技術革新が急速に進み、その結果、インクジェット記録用紙の特性差が最終的なプリント品質に対し大きく影響を与える状況にあり、インクジェット記録用紙の品質の重要性が非常に高まってきている。
従来、銀塩写真プリントに近いプリントをインクジェット記録で得るため、インクジェット記録用紙に関し様々な改良が試みられてきているが、特に、支持体として紙の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂で被覆した支持体を用い、その上にインク吸収層を設けたインクジェット記録用紙は、プラスチックフィルム等に比べて比較的低コストであること、その重厚感やしなやかさ、平滑性、光沢性などの面で、銀塩写真のプリントに近い高級感のあるプリントが得られるとして、最近は広く普及し始めてきている。
一般に、支持体上に設けられるインク吸収層としては、大きく分けて膨潤型インク吸収層と空隙型インク吸収層とが知られている。
膨潤型インク吸収層は、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンあるいはポリエチレンオキサイドなどの親水性ポリマーから実質的に構成されるものである。この膨潤型インク吸収層は、高い光沢性が得られること、膨潤性ポリマーを使用しているためにポリマーが膨潤できる範囲であれば大容量のインクを吸収できること、低コストで製造できる等の利点を有している反面、乾燥性に劣り、印字直後に印字面に触れることができない、すなわち、印字後、直ちに複数のインクジェット記録用紙を積層できない、インク液滴の吸収速度が遅く、その結果、高速印字した際に、吸収速度の遅れに伴う画像ムラが発生しやすいという欠点を抱えている。
一方、空隙型インク吸収層は、その製造方法や構成にはいくつかの種類はあるが、その代表的なものとして、少量の親水性ポリマーと多量の微粒子から構成される層であり、この微粒子間に空隙が形成されて、この空隙部にインクを吸収するものである。
この空隙型インク吸収層を有するインクジェット記録用紙の特徴は、インク吸収速度が速く、プリント時に画像ムラが生じにくいこと、プリント直後に表面が見かけ上乾燥していること、膨潤型インク吸収層で見られるような耐水性とインク吸収速度のジレンマがなく、両特性を同時に満足できること等が挙げられ、近年、特に要求が高くなってきている高速印字特性、高画質化などの点で、膨潤型インク吸収層に対し、より優位な特性を備えている。
近年、インクジェットプリンターの印字速度の上昇に伴い、単位時間当たりのインクジェット記録用紙へのインク付与量が増大し、更に高いインク級収能がインクジェット記録用紙に求められている。一般に、空隙型のインクジェット記録用紙でのインク吸収性を向上させる手段の1つとして、インク吸収層を構成するバインダーに対する微粒子、例えば、無機微粒子の比率を高める方法が知られているが、そのインク吸収層が脆弱であり、空気が非常に乾燥している状態でインクジェット記録用紙を丸めたり折ったりすると、インク吸収層が割れてヒビが入ることがある。この様な課題に対し、インク吸収層のバインダーとして、電離放射線により硬化する親水性樹脂をバインダーとして用い、高インク吸収能を維持したまま、塗膜強度を高めたインクジェット記録用紙が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかしながら、空隙型のインクジェット記録用紙では、非吸水性支持体を用いる場合が多く、インク吸収の全てをインク吸収層のみで担い必要があり、特に、高速印字等のインク付与量が多い場合に十分に対応するためには、必然的に、インク吸収層を厚膜とし、インク吸収容量を高める必要がある。この様な状況において、電離放射線により硬化する親水性樹脂をバインダーとして用いたインク吸収層を有するインクジェット記録用紙では、例えば、非吸水性支持体上に電離放射線により硬化する親水性樹脂を含むインク吸収層を厚膜で塗設した後、電離放射線を照射して親水性樹脂を硬化する際に、照射光源に近接したインク吸収層表面部と、光源より離れたインク吸収層内部とでは、必然的にその照射量、すなわち硬化度に違いが生じることとなる。その結果、例えば、水を多く含む水性インク等を多量に出射した場合には、インク吸収層表面と内部とで膨潤の違いにより、大きなカールを生じると要因となり、あるいは印字後、温湿度の異なる環境下でプリントを保存した場合でもカール変動を引き起こす要因となる。
上記課題に対し、例えば、インク吸収層内の硬化度を一定にするため、照射光源の照度を上げたり、あるいは照射時間を長くすることにより、ある程度のカールの緩和は認められるが、それを実現するためには、照射光源の増設や塗布速度の低下等を招く結果となり、生産性の観点からは受け入れ難い方法であり、インク吸収性とカール特性の両立を実現できるインクジェット記録用紙の開発が切望されている
特開平7−40649号公報 特開平9−71035号公報 特開2002−160439号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸収性及びカール特性に優れたインクジェット記録用紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、少なくとも無機微粒子とバインダーとして電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有するインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該インク吸収層が、更にバインダーとして少なくとも水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
前記インク吸収層を2層以上有し、下部に位置するインク吸収層が、より上部に位置するインク吸収層よりも、全バインダー量に対する前記水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂量の比率が高いことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記高分子分散剤がポリビニルアルコールまたはその誘導体であり、かつ平均重合度が1500〜5000であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記エマルジョン樹脂のTg(ガラス転移温度)が、20℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明によれば、インク吸収性及びカール特性に優れたインクジェット記録用紙を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、少なくとも無機微粒子とバインダーとして電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有するインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該インク吸収層が、更にバインダーとして少なくとも水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙により、高いインク吸収性を付与すると共に、印字時、あるいは印字したインクジェット記録用紙を、例えば、低湿環境下で長時間に保存した際にも安定したカール耐性が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)においては、インク吸収層が、無機微粒子と共に、バインダーとして電離放射線により架橋された親水性樹脂含有することを特徴の1つとする。
本発明に係るインク吸収層に用いられる電離放射線により架橋される親水性樹脂とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋する水溶性樹脂であり、架橋反応後、架橋反応前よりも水溶性が低下する樹脂である。ただし、該樹脂は、架橋後もインクに対し十分な親和性を維持することが好ましい。
電離放射線の照射により架橋する親水性樹脂としては、例えば、光二量化型、光分解型、光変性型、光解重合型等の樹脂が挙げられる。本発明では光二量化型樹脂が好ましい。光二量化型樹脂としては、分子構造中にジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基などの架橋性基を導入したものが好ましい。また、光架橋後、アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、第1級アミノ基〜第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基を有する樹脂、例えば、特開昭56−67309号、同60−129742号、同60−252341号、同62−283339号、特開平1−198615号の各公報に記載されている感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基となりカチオン性となるアジド基のような基を有する樹脂、例えば、特開昭56−67309号公報に記載されている感光性樹脂(組成物)等が挙げられる。
本発明に係る電離放射線の照射により架橋形成する親水性樹脂は、架電離放射線照射後に未反応遊離基が生じることを抑制できるので、経時的に塗膜の折り割れ性が劣化するということを抑制できる。このような親水性樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びこれらの共重合体並びにこれら親水性樹脂の誘導体を主鎖とし、前記したような架橋性基を側鎖とするものが挙げられる。
本発明に係る電離線の照射により架橋する親水性樹脂は、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により架橋反応を起こす樹脂であるが、架橋結合後に架橋結合前よりも水に溶解しにくくなる樹脂であることが好ましい。このような親水性樹脂としては、主鎖に複数の側鎖を有する平均重合度が300以上、好ましくは400以上、より好ましくは1000以上の親水性親水性樹脂であり、電離放射線を照射することにより側鎖間で架橋結合する親水性樹脂が挙げられる。平均重合度の上限については特に制限はないが、概ね4000程度である。電離線の照射により架橋する親水性樹脂の平均重合度は、架橋性基を修飾する前段階の高分子溶液の粘度から粘度平均重合度を決定することができる。例えば、親水性樹脂にポリビニルアルコールを用いる場合、JIS K−6726に示される方法に準じて重合度を決定できる。
本発明においては、電離放射線の照射により架橋する親水性樹脂としては、特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂が好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール構造中に、下記式(I)
Figure 2006231561
で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂、又は下記式(II)
Figure 2006231561
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂である。
樹脂の具体例は該公報中の実施例1及び2に、樹脂の構成成分及びその使用割合は該公報第2頁に記載されている。
また、電離放射線の照射により架橋する親水性樹脂としては、特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂も好ましく用いられる。具体的には、ポリビニルアルコール構造中に下記式(III)または(IV)
Figure 2006231561
で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂である。
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、A-はアニオンを示すが、これらは、ポリビニルアルコールまたは部分鹸化ポリ酢酸ビニルに、ホルミル基を有するスチリルピリジニウム塩またはスチリルキノリニウム塩を作用させて製造したスチリルピリジニウム(スチルバゾリウム)構造或いはスチリルキノリニウム構造を有する構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂であり、その製造法については特開昭60−129742号公報に詳細に記載されており、これを参考に容易に製造できる。これら、スチリルピリジニウム基またはスチリルキノリニウム基を有するポリビニルアルコール系樹脂中の、スチリルピリジニウム基またはスチリルキノリニウム基の割合は、ビニルアルコール単位あたり、0.2〜10.0モル%の割合であることが好ましい。感光性単位であるスチリルピリジニウム基またはスチリルキノリニウム基の導入量が多いほど高感度であるが、10.0モル%を超えると水溶性が著しく減じ水に溶解しにくくなり、0.2モル%より少ないと架橋後の強度が不足する傾向にある。また、ベースとなるポリビニルアルコールは、一部未鹸化のアセチル基を含んでいてよく、ケン化度は70〜100%であることが好ましい。
主鎖に複数の側鎖を有する平均重合度が300以上の親水性高分子化合物に電離放射線を照射し、側鎖間を架橋結合させた高分子化合物を含むバインダーを含有する多孔質インク吸収層の網目構造は、架橋剤のみを用いて架橋結合させて形成される多孔質の網目構造や、主鎖に複数の架橋性基を有さない親水性高分子化合物または重合度が低い親水性高分子化合物に電離放射線を照射して架橋結合させて形成された多孔質の網目構造のような比較的短い距離での三次元構造とは異なった、長い距離での架橋を含むため、多くの微粒子を保持しやすい構造を取っており、より少ないバインダー量で、即ち、微粒子に対するバインダーの比率をより小さくして、均一な膜を形成することができる。
このように、微粒子に対するバインダー比が小さい方が、インクジェット記録層の空隙率は上がり、インクをより保持しやすくなるので(インクを吸収しやすい)、インク溢れを抑制でき、乾燥が早く、形成される塗膜が強固で、折り曲げ等に対し強いほか、インクジェット記録シートを形成した後の印字或いは印画前の記録層のひび割れ、剥落等が少なく、更に印画或いは印字の後においても折り曲げ等によるストレスに対し耐性が強い多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録シートを得ることが出来る。
従って、高インク吸収性で、耐水性が改善され、折り割れおよびひび割れが少ないインクの乾燥速度の速いインクジェット記録用紙を得ることができる。
本発明においては、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はないが、一例としベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等があげられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
特に、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−(2−ヒドロキシ)−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性開始剤が、混合性等に優れ架橋効率の観点からも好ましい。
なお、増感剤を使用する場合には使用量は塗布組成物中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%程度の範囲で調節するのが望ましい。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等があげられる。塗布組成物中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.05〜3質量%程度混合してもよい。
また、上記において、ベースとなるポリビニルアルコールは、一部未鹸化のアセチル基を含んでいてよく、アセチル基の含有率は30%未満であることが望ましい。またその重合度は1800以上であることが好ましい。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、90〜100%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、第1〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、該ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
本発明に係るインク吸収層において、電離放射線により架橋される親水性樹脂に対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、インク吸収層の空隙率は良好であり、充分な空隙容量が得やすく、過剰の電離放射線により架橋される親水性樹脂がインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことを避けられる。一方、この比率が50倍以下であれば、インク吸収層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい電離放射線により架橋される親水性樹脂に対するシリカ微粒子の比率は、2.5〜20倍である。また、乾燥塗膜の折れ割れ耐性という観点からは、5〜15倍が好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、インク吸収層中に上記説明した本発明に係る電離放射線により架橋される親水性樹脂と共に、水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用紙において、上記で規定する構成からなるインク吸収層とすることにより、電離放射線により架橋される親水性樹脂により高いインク吸収性を実現すると共に、該親水性樹脂の課題の1つであるインク吸収層の上部と下部領域とでの電離放射線の照射量差に起因する硬化度、それに伴うカールバランス変動に対し、エマルジョン樹脂を共存させることにより、塗膜の柔軟性を高め、効果的にカール変動を抑制することができるものである。
本発明でいうエマルジョン樹脂とは、油溶性のモノマーを、分散剤を含む水溶液中でエマルジョン状態に保ち、重合開始剤を使って乳化重合させた樹脂である。
エマルジョンの重合時に一般的に使用される分散剤としては、一般的には、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子の分散剤が挙げられる。
本発明におけるエマルジョン樹脂は、水系媒体中に微細な(平均粒径0.01〜2μm)樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られることを特徴とする。用いる分散剤の種類によって出来上がるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られないが、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とは、エマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、平均分子量が10,000以上の高分子の分散剤で、側鎖又は末端に水酸基が置換されたものであり、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子と2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられ、特にポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)及びその誘導体が好ましい。
高分子分散剤として使用されるPVA及びその誘導体としては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVA、及びカチオン変性したPVAやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性PVA、シリル基を有するシリル変性PVA等の変性PVA等がある。
PVA及びその誘導体は、平均重合度の高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5,000以内であるとエマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱い。従って、平均重合度は300〜5,000のものが好ましく、1,500〜5,000のものがより好ましく、3,000〜4,500のものが特に好ましい。PVAの鹸化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%がより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、又はブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体、又は共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
これらエマルジョン樹脂は、前述の如く空隙層形成時に柔軟性を付与するものであり、室温でも柔軟な性質を持つものが適しており、エマルジョン樹脂をフィルム化した場合のTgが20℃以下であることが好ましく、−40〜10℃であることがより好ましい。
水酸基を含む高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂の平均粒径は0.01〜2μmが好ましいが、インク吸収層を構成する材料で平均粒径が大きいものが含まれると、インク吸収層中における光の散乱により透明性が低下し、印字濃度の低下が起きてしまう。従ってエマルジョン樹脂の平均粒径は、0.05〜0.5μmであることが特に好ましい。
水酸基を含む高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂の製造法は、特に制限はなく、公知の乳化重合法で製造される。又、このようなエマルジョン樹脂で市販されているものとして、例えば、大同化成工業社製のビニゾール480やビニゾール2023等の酢酸ビニル系エマルジョン、日信化学工業社製のビニブラン2597、ビニブラン2561等のアクリル系エマルジョン、住友化学工業社製のスミカフレックスS−400等の酢酸ビニル−エチレン系エマルジョン等が挙げられる。
なお、本発明においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で、本発明に係る電離放射線により架橋される親水性樹脂及び水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂と共に、従来公知の親水性樹脂を併用することを排除するものではない。
併用される親水性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーとして用いることのできる親水性樹脂を用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性等の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、本発明の課題である塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
本発明で係るインク吸収層には、空隙構造を形成する無機微粒子を用いる。
本発明に用いられる無機微粒子は、細孔容量が大きく、平均粒径が小さい微細無機微粒子が用いられる。特に、シリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナ、炭酸カルシウムなどの微細顔料が用いられる。
本発明に用いられるシリカとは、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカである。
例えば、湿式シリカでは沈降法による(株)トクヤマのファインシールが、また、ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業(株)のNIPGELが市販されている。沈降法シリカは概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限として、特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的にはゲル法により合成される湿式シリカの方が沈降法に対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素と水素を原料とし、燃焼法等により合成されるものであり、例えば、日本アエロジル株式会社製のアエロジルシリーズが市販されている。
高空隙率のインク吸収層を得る為には、BET法により測定される比表面積が400m2/g未満であるか、あるいは孤立シラノール基比率が0.5〜2.0であることが好ましい。
上記比表面積の下限としては、写真に近似の光沢が得られる観点から40m2/gである。なお、BET法とは気相吸着等温線から1g当たりの表面積を求める方法により比表面積を測定する方法である。この範囲の比表面積を有する気相法シリカにおいて、一次粒径分布における変動係数を0.4以下とすることが、空隙率の観点から好ましい。ただし、湿式シリカにおいては、一次粒子自身が細孔径を持つためこの限りではない。
気相法シリカにおいては、二次凝集体は湿式シリカに対して比較的弱い相互作用により形成されているため、湿式シリカに対して低いエネルギーで分散できるという特徴がある。
気相法シリカの一次粒径分布における変動係数は、空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の一次粒子の粒径を求め、その粒径分布の標準偏差を数平均粒径値で割った値として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
ここでいうシリカの一次粒子および二次粒子の平均粒径は、空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径から求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
なお、本発明において、二次平均粒径としては、電離放射線の透過という観点から300nm以下であることが好ましい。
また、前記気相法シリカを、湿度20〜60%の環境下で3日以上保存して気相法シリカの含水率を調整することも好ましい。
本発明に係る気相法シリカにおいて、孤立シラノール基比率は0.5〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.1である。
本発明のインクジェット記録用紙で用いることのできるアルミナとは、酸化アルミニウム及びその水和物のことであり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形、球状、板状、針状等の形態を有しているものが使用される。特に、アスペクト比が2以上で、一次粒径の平均粒径が5〜30nmの平板状アルミナ水和物、気相法アルミナが好ましい。
上記無機微粒子のインク吸収層形成用塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
本発明に係る多孔質インク吸収層の空隙は、塗膜の単位面積あたり15〜40ml/m2の容量を持つことが好ましい。ここでいう容量とは、単位体積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または、最終的に得られる記録用紙を、J.TAPPI 51に規定される紙および板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定したときの、接触時間が2秒における液体転移量などで定義される。
本発明に係るインクジェット記録用紙においては、上記構成に加えて、本発明の目的効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系の各種界面活性剤、粘度調整剤、低沸点有機、高沸点有機、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、光重合開始剤、光増感剤、重合促進剤、マット剤、シリコンオイル等が挙げられ、中でもカチオン性媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
また、バインダーとして含有する親水性樹脂の架橋剤を併用してインク吸収層へ含有させたり、もしくは塗膜形成、乾燥後にオーバーコートさせることも特に好ましい。架橋剤により、インク吸収層の耐水性がさらに改善され、また、インクジェット記録時に親水性バインダーの膨潤が抑制されるためにインク吸収速度が向上する。
本発明の記録用紙においては、必要に応じて従来公知の架橋剤を使用することができ、無機系架橋剤(例えば、クロム化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸類など)や有機系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、N−メチロール系架橋剤、アクリロイル系架橋剤、ビニルスルホン系架橋剤、活性ハロゲン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エチレンイミノ系架橋剤等)等を挙げることができる。
これらの架橋剤は、親水性バインダーに対して、概ね1〜50質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。親水性バインダーがポリビニルアルコール類であり、微粒子がシリカである場合、架橋剤としては、3族、4族元素を含む化合物、特にホウ酸類やアルミニウム化合物、ジルコニウム化合物などの無機系架橋剤およびエポキシ系架橋剤を適用することができる。
本発明においては、多価金属化合物を上記インク吸収層に添加し用いることができる。
多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等を用いることができる。なお、好ましくは、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物である。インク吸収層に多価金属化合物を含有させることにより、滲みや耐水性を向上させることができる。これらの多価金属化合物の多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲でインク吸収層に含有させることができる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、上記説明した本発明に係る電離放射線により架橋される親水性樹脂及び水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有するインク吸収層を2層以上有し、より下部に位置するインク吸収層が、より上部に位置するインク吸収層よりも、全バインダー量に対する前記水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂量の比率が高いことが好ましい。この様な層構成とすることにより、高いインク吸収能を付与するため、厚い湿潤膜厚でインク吸収層を形成した場合でも、その後の電離放射線照射工程で、下層部への電離放射線の照射量が上部領域に対し低下した状態でも、下層ほどエマルジョン樹脂量の比率を高めることにより、上下層部間でのカールバランスの崩れを効果的に緩和することができる。
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録用紙は着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルムおよび紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレン層には、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出ししてコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿および高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体のインク吸収層側には、インク吸収層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク吸収層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、やはりゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていても良い。
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
本発明の記録用紙の空隙層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種のインク吸収層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
次に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法について、具体的に説明する。
はじめに、本発明のインクジェット記録用紙の製造に適用できる製造工程フローについて、図を用いて説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録用紙の製造に適用できる製造工程フローの一例を示す模式図である。
インクジェット記録用紙の製造工程1では、支持体をロール状に積層した支持体元巻2より、支持体Fを繰り出し、サポートロールSを介して、塗布部Cに搬送される。塗布部Cは、支持体Fの裏面部を保持するバックアップロール3とコータ4とで構成され、コータ4には、電離放射線により架橋する親水性樹脂を含む親水性バインダーおよび無機微粒子を含有するインク吸収層塗布液5をコータ4に供給するための調整釜が配管を介して接続されている。
連続走行する支持体F上に、コータ4よりインク吸収層塗布液を所定の湿潤膜厚で塗布を行った後、その下流部に配置されている電離放射線照射部6により電離放射線を照射して、インク吸収層中に含有している親水性樹脂を硬化(架橋)させた後、冷却ゾーン7で十分に冷却セットさせた後、乾燥部8に搬送して、温度及び湿度を制御した乾燥風を吹き付ながら、搬送ロール9及びリバーサー10を介して搬送して乾燥される。乾燥が完了したインクジェット記録用紙は、巻き取り部でロール状に積層される。
なお、図1においては、一例として冷却ゾーン7を設けた例を示したが、冷却ゾーンを省略した形態でも良く、また、図1では、一例として冷却ゾーン7の前に電離放射線照射部6を設けた例を示したが、冷却ゾーン7の後に電離放射線照射部6を設けた形態であってもよく、本発明で規定する電離放射線の照射条件を満たす範囲であれば、電離放射線照射部6の設置位置は制限されない。
調製釜で調製するインク吸収層塗布液5は、電離放射線により架橋する親水性樹脂と必要に応じて別の親水性樹脂をバインダーと、フィラーとして用いる無機微粒子とを、必要に応じて界面活性剤等の存在下で混合、分散した後、必要であれば上述の添加剤等を更に混合して調製し、このインク吸収層塗布液を少なくとも支持体の片面に塗布して、インク吸収層を形成するための塗布膜を形成する。
本発明に係る記録用紙のインク吸収層は、単層であっても多層であっても良く、多層構成の場合には、全てのインク吸収層を同時に塗布することが、製造コストを低減できる観点から好ましい。
上記インク吸収層塗布液、あるいはその他の構成層の支持体への塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
次に、塗膜に電離放射線、例えば、紫外線(具体的な光源は、後述するが、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ等)等を照射する。この電離放射線の照射により、電離放射線により架橋する親水性樹脂の側鎖間で架橋反応を生じさせ、塗膜の粘弾性を上昇させ、流動化を抑えてゲル化し、均一な塗膜を形成させることができる。電離放射線照射後に、塗膜を乾燥させ、支持体上に均一な、親水性バインダーと微粒子を主として含有する空隙を有するインク吸収層が形成されたインクジェット記録用紙を得ることができる。
本発明においては、塗布部Cで支持体上にインク吸収層塗布液を塗設してから電離放射線照射部6により電離放射線を照射するまでの時間tを10秒以下にすることを特徴の1つとし、好ましくは塗布後0.1〜3秒の間に電離放射線を照射することが、本発明の下記目的効果をいかんなく発揮する観点から好ましい。すなわち、この照射条件をとることにより、速やかな電離放射線により架橋する親水性樹脂の架橋反応を行い、支持体の搬送中に、幅手の両端部間で発生する支持体のツレによる縦ムラ状の故障(モトル状故障)を効率よく防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、塗布膜に電離放射線を0.1〜100mJ/cm2の範囲の照射量で照射する以前の領域、すなわち、塗布部Cで支持体上にインク吸収層塗布液を塗設してから電離放射線照射部6により電離放射線を照射するまでの時間tの間で搬送される領域において、塗膜面に吹き付ける乾燥風の風速を15m/sec以下とすることを特徴とし、好ましくは1〜15m/secであり、更に好ましくは塗布後3秒以内の領域で、塗膜面に吹き付ける乾燥風の風速を1〜15m/sec以下とすることが好ましい。上記で規定する条件とすることにより、電離放射線照射前で未硬化状態の塗布膜への外風による吹かれムラ(風の影響により、塗膜が部分的に一定方向に移動してムラを生じる現象)を防止することにより、均一性の高い塗布膜を形成することができる。
また、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、塗布膜に電離放射線を照射した後、30秒以内に塗布膜の膜面温度を30℃以上とすることが好ましく、更に好ましくは30秒以内に塗布膜の膜面温度を30℃以上、80℃以下とすることが好ましい。上記で規定する条件とすることにより、硬化した塗布膜の乾燥を効率よく行うことができ、その結果、高い生産性を得ると共に、ひび割れ耐性をより一層向上させることができる。
また、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法では、乾燥工程において、塗布膜の含水率が30〜200%の領域で塗布膜の膜面温度を30℃以上、100℃以下とすることを特徴とし、上記で規定する条件とすることにより、硬化した塗布膜の乾燥を効率よく行うことができ、その結果、高い生産性を得ると共に、ひび割れ耐性をより一層向上させることができる。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、上記で規定する各製造条件に加えて、必要に応じて、塗布膜の含水率が200%以下の領域で、更に波長350〜400nmの紫外線を0.1〜100mJ/cm2の範囲の照射させることが、より塗膜の硬度を高める観点から好ましい。
また、乾燥終了後、ロール状に巻いたままあるいは種々のサイズのシートやロールに断裁後、30〜60℃で一定時間、例えば1日〜1ヶ月間保管することが好ましい。コストの観点から、1日〜3日がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法で使用可能な電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等が挙げられ、人体への影響が少なく、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線が好ましく用いられる。
電離放射線として電子線を使用する場合、照射する電子線の量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが望ましい。0.1Mrad以上とすることにより、充分な照射効果を得ることができ、20Mrad以上とすることにより、支持体、特に紙やある種のプラスチックの劣化を抑制することができる。電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は100〜300kV程度が好ましい。なお、電子線照射方式は、紫外線照射に比べて生産性が高く、増感剤添加による臭気や着色の問題がなく、更に均一な架橋構造をとりやすいといった利点がある。
電離放射線として紫外線を使用する場合、光源として、例えば、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜1kW/cm2、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜150mJ/cm2が好ましく、1mJ/cm2〜50mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして150mJ/cm2を超える場合は、電離放射線架橋性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤を紫外線により分解する可能性があり、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を起こす可能性があるので好ましくない。照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合は架橋効率が不足し、本発明の効果が十分に得られない。
紫外線照射の際の照度は0.1mW/cm2以上、1W/cm2以下が好ましい。照度が1W/cm2を超える場合、塗膜の表面硬化性は向上するが、深部硬化性が低下し表面のみ堅い膜が得られる。その場合は、膜の深度方向の堅さのバランスが崩れ、カールなどが起こり、好ましくない。
照度が0.1mW/cm2より低い場合は、膜中の散乱等により架橋が十分進まず、本発明の効果が得られないため好ましくない。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。
照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。
照度が低過ぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明の記録用紙を用いて画像記録(プリント)する際には、インクジェット用のインクを用いることが好ましい。
上記インクジェット用のインクとは、着色剤、液媒体及びその他の添加剤を有する水性インクである。また、インクとしては、本発明で用いられる支持体に吸収されないものが好ましい。
上記着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料或いは水分散性顔料を用いることができるが、その中でも水分散性顔料を用いることが、本発明に係る構成を採った際に、特に発色性が向上するという観点から特に好ましい。
上記液媒体としては、主に水及び水溶性の各種有機溶剤で構成されるものが好ましい。前記有機溶剤としては、本発明で用いられる支持体に吸収されないものであれば特に限定されず、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられるが、これらの中ではジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等が好ましく用いられる。
上記その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤等が挙げられ、必要に応じ添加して用いることが好ましい。
水性インクとしては、インク吸収層に対する濡れ性を良好にするために、20℃における表面張力は、0.025〜0.06N/mが好ましく、0.03〜0.05N/mがより好ましい。また、上記水性インクのpHを、5〜10に調整したものが好ましく、6〜9であるものがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《記録用紙の作製》
〔シリカ分散液の調製〕
(シリカ分散液D−1の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を25%含むシリカ分散液B−1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の400Lの中に、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を2g含有)の110Lを、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。
得られたシリカ分散液D−1は、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
Figure 2006231561
(シリカ分散液D−2の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を25%含むシリカ分散液B−1(pH2.6、エタノール0.5%含有)400Lの中に、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を2g含有)の110Lを、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、硼酸とホウ砂の1:1質量比の混合水溶液A−1(各々3%の濃度)54Lを攪拌しながら、徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−2を得た。
得られたシリカ分散液D−2は、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
〔エマルジョン樹脂溶液の調製〕
〈エマルジョン樹脂溶液A1の調製〉
分散剤として4%ポリビニルアルコール水溶液(重合度1700、鹸化度88.5モル%)の450gをpH3.8に調整し、攪拌しながらメタクリル酸メチル(MMA)の50gとアクリル酸ブチル(BA)の50gを加えて62℃に昇温し、4%過硫酸アンモニウム水溶液を13g添加して重合を開始した。20分後、メタクリル酸メチルの100gとアクリル酸ブチルの100gを4時間かけて徐々に添加し、6時間後、重合率が99.9%になったところで冷却した。これをpH7.0に中和し、エマルジョン樹脂溶液A−1を合成した。このエマルジョン樹脂溶液を真空乾燥機にて60℃で乾燥し、示差走査熱量計によりTgを測定したところ、15℃であった。
〈エマルジョン樹脂溶液A2〜A5の調製〉
上記エマルジョン樹脂溶液A1の調製において、単量体の種類(なお、表1に記載のEHAは、2−エチルヘキシルメタクリレートを表す)、分散剤の種類を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、エマルジョン樹脂溶液A2〜A5を調製した。なお、Tgは単量体の組成比率を、表1に記載のTgとなるように調整した。
Figure 2006231561
〔インク吸収層塗布液の調製〕
(インク吸収層塗布液1の調製)
上記調製したシリカ分散液D−1の4500g中に、10%の固形分濃度とした特開2000−181062号公報に記載の実施例を参照して調製した一般式(1)で表される紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(化合物−1:主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の960gと光開始剤(日本化薬製 カヤキュアQTX)の1.5g及び上記調製したエマルジョン樹脂溶液A−1の70gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げて、インク吸収層塗布液1を調製した。
得られたインク吸収層塗布液1を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
(インク吸収層塗布液2〜5の調製)
上記インク吸収層塗布液1の調製において、エマルジョン樹脂溶液の種類をA−2〜A−5にそれぞれ変更した以外は同様にして、インク吸収層塗布液2〜5を調製した。
(インク吸収層塗布液6の調製)
上記調製したシリカ分散液D−2の4500g中に、10%ポリビニルアルコール(平均重合度:3500 ケン化度99.7%、クラレ社製 PVA135H)を960g及びエマルジョン樹脂A−1の70gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げ、インク吸収層塗布液6を調製した。
得られたインク吸収層塗布液6を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
(インク吸収層塗布液7の調製)
上記インク吸収層塗布液6の調製において、エマルジョン樹脂溶液A−1を、エマルジョン樹脂溶液A−4に変更した以外は同様にして、インク吸収層塗布液7を調製した。
〔記録用紙の作製〕
(記録用紙101の作製)
上記調製したインク吸収層塗布液1を、下記支持体A上にバーコーターによりシリカの付き量が26g/m2となる条件で塗布した。
使用した支持体Aは、含水率が8%で、坪量が180gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを押し出し溶融塗布した。表面側はコロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を記録用紙1m2当り0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電した後、Tgが約80℃のスチレン−アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
塗布後、直ちに365nmに主波長を持つメタルハライドランプで、エネルギー量40mJ/cm2の紫外線を照射し、その後50℃の熱風型オーブンで乾燥させて、記録用紙101を作製した。
(記録用紙102の作製)
上記記録用紙101の作製において、塗布後に照射した紫外線のエネルギー量を80mJ/cm2に変更した以外は同様にして、記録用紙102を作製した。
(記録用紙103〜107の作製)
上記記録用紙101の作製において、インク吸収層塗布液の種類及び紫外線の照射エネルギー量を表2に記載のように変更した以外は同様にして、記録用紙103〜107を作製した。
(記録用紙108の作製)
インク吸収層塗布液6を、支持体A上にバーコーターによりシリカの付き量が26g/m2となる条件で塗布した後、紫外線照射は行わずに、50℃の熱風型オーブンで乾燥させて、記録用紙108を作製した。
(記録用紙109の作製)
上記記録用紙108の作製において、インク吸収層塗布液5をインク吸収層塗布液7に変更した以外は同様にして、記録用紙109を作製した。
以上のようにして作製した記録用紙101〜109は、乾燥後に自動断裁機によりL判サイズに断裁し、100枚を重ねた状態で更に40℃の環境下で3日間保管して安定化させた。
《記録用紙の評価》
(インク吸収性の評価)
各記録用紙について、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM950Cを用い、PM写真用紙モード、きれい、L版サイズふちなしの条件にて、Status−Aで測定した際のニュートラルグレー色の反射濃度が約1.0となる条件で、全面ベタ画像の印字を行った後、印字した画像表面を目視観察し、下記に示す基準に従ってインク吸収性の評価を行った。
○:画像ムラの発生が全く認められないか、あるいは僅かに画像ムラが認められるが、ベタ印字しても実技上は全く問題の無い品質である
△:画像ムラがベタ画像印字では認識できるレベルにあるが、通常の画像を印字した際にはほとんど目立たず、実用上強要される範囲にある
×:グレーベタ画像で色ムラの発生が認められ、実技上許容され難い品質である
上記の評価ランクにおいて、実用上、×は商品価値に乏しいと判定した。
(カール耐性の評価)
A4サイズに断裁した各記録用紙を、18℃で相対湿度を25%に制御した部屋で、水平な台の上に48時間放置し、四隅のカール(持ち上がり)の高さを測定し、その平均値(mm単位)を測定し、以下の基準に従ってカール耐性の評価を行った。なお、各記録用紙は四隅が持ち上がる状態になる向きに放置し、インク吸収層塗設面側を上にしたときに四隅が持ち上がる状態を表示した。
◎◎:平均高さが0mm以上、2mm未満である
◎:平均高さが2mm以上、4mm未満である
○:平均高さが4mm以上、8mm未満である
△:平均高さが8mm以上、12mm未満である
×:平均高さが12mm以上である
以上により得られた評価結果を、表2に示す。
Figure 2006231561
表2に記載の結果より明らかなように、電離放射線により架橋された親水性樹脂と高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂とをバインダーとして用いた本発明の記録用紙は、比較例に対し、高いインク吸収性を有し、かつ低湿度環境下で保存した際にもカール安定性に優れていることが分かる。
実施例2
《シリカ分散液D−3の調製》
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を25%含むシリカ分散液B−1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の400Lを、カチオン性ポリマーP−2を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を2g含有)の110Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。得られたシリカ分散液D−3は、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
Figure 2006231561
《記録用紙の作製》
〔記録用紙201の作製〕
(インク吸収層塗布液の調製)
実施例1及び上記調製した各シリカ分散液を用いて、以下に記載の各添加剤を順次混合して、多孔質のインク吸収層塗布液を調製した。
〈第1層用インク吸収層塗布液:最下層〉
シリカ分散液D−1 4500g
10%紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(化合物−1:主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%) 960g
光開始剤(日本化薬製 カヤキュアQTX) 1.5g
エマルジョン樹脂溶液A−1(固形分濃度44%) 11.5g
純水で6000gに仕上げて、第1層用インク吸収層塗布液を調製した。
〈第2層用インク吸収層塗布液:最上層〉
シリカ分散液D−3 4500g
10%紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(化合物−1:主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%) 960g
光開始剤(日本化薬製 カヤキュアQTX) 1.5g
エマルジョン樹脂溶液A−1(固形分濃度44%) 73g
カチオン型界面活性剤−1の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
純水で6000gに仕上げて、第2層用インク吸収層塗布液を調製した。
上記のようにして調製した各塗布液は、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
(記録用紙の作製)
上記調製した各インク吸収層塗布液(第1層用、第2層用)を用いて、実施例1で作製した支持体A上に、それぞれのインク吸収層におけるシリカ付き量が13g/m2になる条件で、スライドホッパー型コーターを用い40℃で2層同時重層塗布を行った。なお、上記紙支持体Aは、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール状に巻かれた支持体とした。
次いで、支持体上に各インク吸収層塗布液の塗布した後、最初の乾燥ゾーンにおいて365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用い、エネルギー量50mJ/cm2の紫外線を照射し、その後、温風を順次インク吸収層表面に吹き付けながら各ゾーン(それぞれ温湿度を独立して任意に調整できる11のゾーンを用いた)を通過させて乾燥し、ロール状に巻き取って、試料201を作製した。乾燥後、自動断裁機によりL判サイズに断裁し、100枚を重ねた状態で更に40℃の環境下で3日間保管して安定化させた。
〔記録用紙202、203の作製〕
上記記録用紙201の作製において、第1層用インク吸収層塗布液及び第2層用インク吸収層塗布液の調製で用いたエマルジョン樹脂溶液A−1の添加量を、表3に記載のE/B(総バインダー量Bに対するアマルジョン樹脂A−1の質量比)となるように適宜調整した以外は同様にして、記録用紙202、203を作製した。
《記録用紙の評価》
上記作製した記録用紙201〜203について、実施例1に記載の方法と同様にして、インク吸収性及びカール耐性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2006231561
表3に記載の結果より明らかなように、2層からなる本発明の記録用紙においては、上層のE/Bに対し、下層のE/Bをより高く設定することにより、カール耐性がより向上していることが分かる。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法に適用できる製造工程フローの一例を示す模式図である。
符号の説明
1 インクジェット記録用紙の製造工程
2 支持体元巻
3 バックアップロール
4 コータ
5 多孔質層塗布液
6 電離放射線照射部
7 冷却ゾーン
8 乾燥部
9 搬送ロール
10 リバーサー
C 塗布部
F 支持体
S サポートロール

Claims (4)

  1. 支持体上に、少なくとも無機微粒子とバインダーとして電離放射線により架橋された親水性樹脂を含有するインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該インク吸収層が、更にバインダーとして少なくとも水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記インク吸収層を2層以上有し、下部に位置するインク吸収層が、より上部に位置するインク吸収層よりも、全バインダー量に対する前記水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂量の比率が高いことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記高分子分散剤がポリビニルアルコールまたはその誘導体であり、かつ平均重合度が1500〜5000であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記エマルジョン樹脂のTg(ガラス転移温度)が、20℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
JP2005045781A 2005-02-22 2005-02-22 インクジェット記録用紙 Pending JP2006231561A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005045781A JP2006231561A (ja) 2005-02-22 2005-02-22 インクジェット記録用紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005045781A JP2006231561A (ja) 2005-02-22 2005-02-22 インクジェット記録用紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006231561A true JP2006231561A (ja) 2006-09-07

Family

ID=37039752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005045781A Pending JP2006231561A (ja) 2005-02-22 2005-02-22 インクジェット記録用紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006231561A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006256303A (ja) インクジェット記録用紙
JP2004136644A (ja) インクジェット記録用紙
JP2006231561A (ja) インクジェット記録用紙
JP2006076113A (ja) インクジェット記録用紙
JP4270011B2 (ja) インクジェット記録用紙とその製造方法
JP2006264223A (ja) インクジェット記録媒体及びその製造方法
JP2006076182A (ja) インクジェット記録用紙
JP2006192585A (ja) インクジェット記録用紙の製造方法
JP2005040956A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005035079A (ja) インクジェット記録用紙
JP2006218719A (ja) インクジェット記録用紙
US20040247803A1 (en) Ink-jet recording paper and a method for producing ink-jet recording paper
JP2005014590A (ja) インクジェット記録用紙及びインクジェット記録用紙の製造方法
JP2005246611A (ja) インクジェット記録用紙の製造方法
JP2006123180A (ja) インクジェット記録材料の製造方法
JP2005053100A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JP2005035038A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JP2005081802A (ja) インクジェット記録用シート及びその製造方法
JP2006123179A (ja) インクジェット記録材料
JP2005035006A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JP2006069191A (ja) インクジェット記録媒体
JP2005186379A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005035078A (ja) インクジェット記録用紙およびその製造方法
JP2006256304A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005231048A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット記録媒体の製造方法