JP2006123179A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造時にひび割れ等の欠陥がなく、耐光性及び耐候性に優れたプリントを形成するインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】 支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有するポリビニルアルコールと下記一般式(1)で表される化合物の共重合体と、無機微粒子とを含有するインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【化1】
Figure 2006123179

(式中、R1、R2、R4、R5はアルキル基もしくはカルボニル基を表し、R3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、加水分解によりイミノ基もしくはヒドロキシルイミノ基を生成する基を表す。Qは単結合または2価の連結基を表し、Jはエチレン性二重結合を有する任意の置換基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料(単に記録材料ともいう)に関し、詳しくは製造時にひび割れ等の品質低下がなく、記録画像の褪色が少なく、塗工層の耐候性に優れた記録材料に関する。
近年、インクジェット記録方式においては、急速に画質向上がはかられてきており、銀塩写真画質に迫りつつある。この様な写真画質をインクジェット記録で達成するための手段として、使用する記録材料においても急速に技術改良が試みられている。
インク受容層としては、例えば、高平滑性を有する支持体上に、ゼラチンやPVAなどの親水性バインダーを塗布しインク受容層とするインクジェットシートが考案されている。このタイプの記録材料は、バインダーの膨潤性を利用してインクを吸収する。このインク受容層は水溶性樹脂であるが故、プリント後のインクの乾燥性に難があったり、画像や皮膜が水分に対して弱く耐水性がない、さらに昨今のインクジェットプリンターにおいては印画速度が早いため、バインダーの膨潤による吸収性がインクの吐出量や吐出速度に追いつかず、インク溢れやまだらとなり適応性がなくなっている等の問題があった。
上記水系樹脂の膨潤性を利用してインクを吸収するタイプのインクジェット用記録シートに対し、微小な空隙を有する多孔質層をインク受容層として設けた記録材料は、高インク吸収性且つ高速乾燥性を有し、最も写真画質に近いものが得られる方法の一つになりつつある。
このインク受容層は、主に親水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒子が知られているが、一般的には、無機微粒子がより小粒径であり、高光沢のインク受容層を実現できるため好ましく用いられる。
このような無機微粒子に対して比較的少量の親水性バインダーを使用することにより、該微粒子間に空隙が形成されて高空隙率のインク受容層が得られる。
この空隙の形成により、毛細管現象によってインクを吸収するので架橋剤等を併用してバインダーを架橋し、耐水性を向上させても吸収速度を損なうことはない。
しかしながら、ポリエチレンコート紙のような非吸水性支持体上に、このようなインク受容層を設けたインクジェット記録材料の場合には、インクジェット記録する際、一時的にはすべてのインクをインク受容層に保持する必要があるため、インク受容層は高空隙容量のインク受容層でなくてはならず、従って、高空隙率の厚い塗膜を形成させる必要がある。通常は、乾燥膜厚として25μm以上、通常は30μm〜50μmの厚い層を形成させる。
このようなインク受容層は、主成分が無機微粒子であるが故、元来硬い膜であることから、厚い膜厚のインク受容層を非吸水性支持体上に塗布する場合、乾燥時にひび割れが起きやすい。更に、光、或いは経時による記録画像の劣化が問題点として挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物を含有するインクジェット記録材料についての開示はある(例えば、特許文献1参照。)が、この特許文献には、耐光性及び他の素材との重合に関して、何ら触れられていない。
ヒンダードアミン系化合物と他の化合物を重合して、より機能性の高い素材を得ようという試みは以前から検討されてきている。例えば、カチオン性ポリマーと重合する試み(例えば、特許文献2、3参照。)などがある。しかし、色材を媒染する素材にヒンダードアミン系化合物を共重合することにより、ヒンダードアミン系化合物の機能をより効果的に発現させることはできるが、カチオンポリマーのカチオン性基とヒンダードアミン系化合物のピペラジン基がシリカへの競争吸着を起こし、塗液の物性が不安定化(粘度上昇、生産性低下)やヒビ割れの劣化という問題を同時に発生してしまう。
カチオン性以外の化合物とヒンダードアミン系化合物を重合する試みは幾つか(例えば、特許文献4、5参照。)知られている。しかしながら、インクジェット記録材料の最も優れたバインダであるPVAとの重合が困難であるために、PVAの優れた特性であるインク吸収性、発色性、ヒビ割れ耐性、カール耐性等を有する記録材料を製造することはできなかった。バインダとしてPVAを使用し、これにヒンダードアミン系化合物と他の親水性化合物の重合体を併用しても、PVAの優れた特性を損なう結果しか得られず、また塗工層の耐候性を大きく向上させることはできなかった。
製造時にひび割れが発生しにくく、製造後において、折り曲げ等に対する耐性が高い、高空隙率、高インク吸収性、高耐水性および高滲み耐性のインク受容層を有するインクジェット記録材料として、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に紫外線を照射することによって、側鎖間で架橋結合させた高分子化合物を含むバインダー、および微粒子を含有するインク受容層を有するインクジェット記録材料(例えば、特許文献6参照。)が開示されているが、耐光性が大きく劣化する。
特公平4−34512号公報 (特許請求の範囲) 特開平10−235992号公報 (特許請求の範囲) 特開2003−1926号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−211110号公報 (特許請求の範囲) 特開2003−39813号公報 (特許請求の範囲) 特開2004−136644号公報 (特許請求の範囲)
本発明の目的は、製造時にひび割れ等の欠陥がなく、耐光性及び耐候性に優れたプリントを形成するインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有するポリビニルアルコールと下記一般式(1)で表される化合物の共重合体と、無機微粒子とを含有するインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録材料。
Figure 2006123179
(式中、R1、R2、R4、R5はアルキル基もしくはカルボニル基を表し、R3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、加水分解によりイミノ基もしくはヒドロキシルイミノ基を生成する基を表す。Qは単結合または2価の連結基を表し、Jはエチレン性二重結合を有する任意の置換基を表す。)
(請求項2)
一般式(1)のR1、R2、R4、R5がメチル基、Qが−OCO−L1−基または−NHCO−L2−基であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
但し、L1及びL2はそれぞれ単結合または2価の連結基を表す。
(請求項3)
一般式(1)のR3が水素原子、Jが−C(CH3)=CHであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録材料。
(請求項4)
前記ポリビニルアルコールのケン化度が90mol%以上、かつ重合度が300以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
(請求項5)
前記ポリビニルアルコールのモノマー単位と上記一般式(1)で表される化合物のモル比が、5以上1000以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
(請求項6)
側鎖にエチレン性二重結合を有するポリビニルアルコールと、一般式(1)で表される化合物及び光開始剤を塗工液に含有させ、塗工後電離放射線を照射してポリビニルアルコールと一般式(1)で表される化合物を重合させて製造したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
(請求項7)
無機微粒子が、一次粒径20nm以下の気相法シリカであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
本発明により、製造時にひび割れ等の欠陥がなく、耐光性及び耐候性に優れたプリントを形成するインクジェット記録材料を得た。
本発明を更に詳しく説明する。側鎖に架橋性基を有する親水性高分子を光開始剤存在下で架橋させたバインダを含有する記録材料が知られているが、ヒビ割れ性や折り曲げ耐性に優れるのものの、耐光性の低下することがわかった。本発明者はこの現象について検討を進め、紫外線を吸収し耐光性を向上させることすら期待できる光開始剤が、耐光性に大きく悪影響を及ぼしていることを突き止めた。この光開始剤による耐光性劣化メカニズムについては未だ十分に解明されていないが、紫外線照射後もインク受容層内に残存している光開始剤から保存中にラジカルが発生し、これが開始反応となって連鎖的に色材の分解反応が進行するものと考えられる。
一方ラジカル分解を抑制するものとしては一般に種々のものが知られているが、特に有用とされているものにヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物などが知られている。また光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物などが知られている。特開2000−158802号には、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤を併用することによりインクジェット記録材料の耐光性が大きく向上することが記載されている。色材分解反応の開始反応を起こしやすい紫外線を可能な限り遮蔽し、遮蔽しきれなかた紫外線からラジカル分解反応が開始してしまってもフェノール系酸化防止剤で分解反応を停止するという、非常に合理的な手法であると思われる。特にインク受容層内に残存する光開始剤が紫外線を吸収し、ラジカルを発生させ色材の分解反応を加速するインクジェット記録材料には極めて有効な手法であると予想される。
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、ヒビ割れ耐性や折り曲げ耐性に優れる側鎖に架橋性基を有する親水性高分子を光開始剤存在下で架橋させたバインダを含有する記録材料に紫外線吸収剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等を組み合わせて使用する技術を用いても、有効な耐光性向上手段とはならず、紫外線吸収能をほとんど有しない本発明の一般式(1)で表されるヒンダードアミン系光安定剤のみ有効な手段であることが判明した。本発明の効果は、側鎖に架橋性基を有する親水性高分子を光開始剤存在下で架橋させたバインダを含有する記録材料にヒンダードアミン系光安定剤を含有させた場合に特異的に起こる現象である。
また、ヒビ割れ耐性や折り曲げ耐性に優れる側鎖に架橋性基を有する親水性高分子を光開始剤存在下で架橋させたバインダを含有する記録材料に本発明の一般式(1)で表されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させた場合、ヒビ割れや折れ割れも向上することは判明した。これもヒンダードフェノール系のラジカル捕捉剤には見られない効果であった。詳細なメカニズムに関しては未だ明らかになっていないが、光安定剤から発生するラジカルを適度に捕捉する、もしくはラジカルの寿命を短縮することにより製造時のヒビ割れ、及び製造後の折れ割れを抑制しているものと予想される。
ビニルアルコールモノマーは通常不安定であり、このためPVAとヒンダードアミン系化合物の重合体を作製し、インクジェット記録材料に適用することは困難であったが、本発明者らはPVAに重合性基を導入し、これとヒンダードアミン系化合物モノマーを重合させることにより、PVAの有する優れたインク吸収性、発色性、ヒビ割れ耐性、カール耐性等とヒンダードアミン系化合物の有する優れた画像の耐光性を両立し、かつ期待できる相乗効果である。
本発明の一般式(1)において、R1、R2、R4、R5はアルキル基もしくはカルボニル基を表すが、アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、加水分解によりイミノ基もしくはヒドロキシルイミノ基を生成する基を表すが、水素原子、アルキル基が好ましい。
一般式(1)のR3が脂肪族基を表す場合、置換基を有してもよい。上記R3の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、アセチル基などが挙げられる。
特にR3がHである場合、製造時にヒビ割れが発生しにくくなり、製造後の取り扱いで折れ割れが発生しにくくなるため、好ましい実施態様である。このメカニズムは明らかになっていないが、一般式(1)で表される化合物の塩基性が高くなるため無機微粒子への吸着性が向上し、無機微粒子と親水性高分子が一般式(1)で表される化合物を介して強く結合するためであると推測される。
Qは単結合または2価の連結基を表し、Jはエチレン性二重結合を有する任意の置換基を表すが、Qは−OCO−L1−基または−NHCO−L2−基が好ましい。但し、L1及びL2はそれぞれ単結合または2価の連結基を表す。また、R3が水素原子の時、Jは−C(CH3)=CHが好ましい。
本発明においては、支持体上に少なくとも2層のインク受容層を設け、支持体から遠いインク受容層により多くの一般式(1)で表される化合物を含有させることも好ましい。支持体上に3層以上のインク受容層を設けた場合、支持体から遠いインク受容層ほど一般式(1)で表される化合物の含有量が多くなる、もしくは同等量であることも好ましい。
本発明においては、エチレン性二重結合を有しないヒンダードアミン化合物を併用する態様も好ましい。一般式(1)で表される化合物は、親水性高分子化合物とのバランスを重視して用いる必要があるため、より高い耐光性や耐候性を求められる場合、塗工液にエチレン性二重結合を有しないヒンダードアミン化合物を含有させたり、オーバーコートにより塗工層に含有させることができる。特に塗工時のヒビ割れや塗工液の粘度上昇を抑制する観点から、オーバーコートにより塗工層に含有させる方法が好ましい。
本発明においては、一般式(1)で表される化合物と光開始剤のモル比が付量で1以上60以下、さらに好ましくは3以上40以下である。支持体上に複数のインク受容層を設けた場合は、一般式(1)で表される化合物の総量と光開始剤総量のモル比とする。一般式(1)で表される化合物と光開始剤のモル比が1未満の場合は、耐光性や耐候性、折れわれが劣化しやすく、また60より大きい場合は、ひび割れの劣化、折れわれの劣化を招きやすくなる。
本発明においては、重合度300以上、ケン化度80mol%以上のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。重合度が300以下であると、製造時のヒビ割れが発生しやすくなり好ましくない。またケン化度が80mol%未満のポリビニルアルコールを用いた場合、一般式(1)で表される化合物と重合した後の水への溶解性が低下し、塗工液の濁度が上昇するとともに塗工層の曇りが発生して発色性が低下しやすくなり好ましくない。特にケン化度90mol%以上のポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
本発明においては、ポリビニルアルコールのモノマー単位と一般式(1)で表される化合物のモル比が、5以上1000以下であることが好ましい。このモル比が1000以上の場合、耐光性や耐候性が低下しやすく、また5未満の場合、重合体の溶解性が低下して発色性が低下しやすくなったり、製造時にヒビ割れが発生しやすくなり好ましくない。
本発明のインクジェット記録材料は、支持体上に特定の親水性バインダーと微粒子を主として含有するインク受容層を形成する水溶性塗布液を塗布し、空隙を有するインク受容層を形成したものである。
本発明に用いられる無機微粒子は、細孔容量が大きく、平均粒径が小さい微細無機顔料が用いられる。特に、シリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、及びアルミナ、炭カルなどの微細顔料が用いられる。
本発明に用いられるシリカとは、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカである。
例えば湿式シリカでは沈降法による(株)トクヤマのファインシールが、ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業(株)のNIPGELが市販されている。沈降法シリカは概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的にはゲル法により合成される湿式シリカの方が沈降法に対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素と水素を原料にし燃焼法により合成されるものであり例えば日本アエロジル株式会社製のアエロジルシリーズが市販されている。
高空隙率のインク吸収層を得るためにはBET法により測定される比表面積が400m2/g未満であるか、または孤立シラノール基比率が0.5〜2.0である。比表面積は、好ましくは40m2/g〜100m2/gの範囲であり、比表面積の下限は写真に近い光沢が得られる観点から40m2/gである。尚、BET法とは気相吸着等温線からシリカ微粒子1g当たりの表面積を求める方法により比表面積を測定する方法である。
この範囲の比表面積を有する気相法シリカにおいて、一次粒径分布における変動係数を0.01〜0.4にすることが空隙率の観点から好ましい。変動係数が0.4を超えると、空隙率が低下する懸念があり好ましくない。尚、湿式シリカにおいては一次粒子自身が細孔径を持つためこの限りではない。
気相法シリカにおいては、二次凝集体は湿式シリカに対して比較的弱い相互作用により形成されているため、湿式シリカに対して低いエネルギーで分散できるという特徴を有している。
気相法シリカの一次粒径分布における変動係数は、インク受容層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の一次粒子の粒径を求めてその粒径分布の標準偏差を数平均粒径値で割った値として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
シリカの一次粒子及び二次粒子の平均粒径はインク受容層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径から求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。また、二次平均粒径は、紫外線の透過という観点から300nm以下であることが好ましい。
前記気相法シリカを湿度20〜60%で3日以上保存して気相法シリカの含水率を調整することも好ましい。
本発明の気相法シリカにおいて、孤立シラノール基比率は0.5〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.1である。
本発明に用いられるアルミナとは酸化アルミニウム、及びその水和物のことであり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形、球状、板状、針状の形態を有している物が使用される。特にアスペクト比が2以上で、一次粒径の平均粒径が5〜30nmの平板状アルミナ水和物、気相法アルミナが好ましい。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
また、無機微粒子と紫外線により架橋される親水性樹脂を含む前記インク受容層の固形分濃度は5〜90%の範囲であることが好ましい。
本発明のインク受容層に用いられるバインダーは、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に紫外線を照射することにより、側鎖間で光開始剤により架橋結合させた高分子化合物を含む。上記、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物とは、紫外線の照射により、反応を起こして架橋する水溶性の樹脂であり、硬化反応前には水溶性であるが、硬化反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。ただし、かかる樹脂は硬化後もある程度の親水性を有し、十分なインクの親和性を維持するものである。
この様な樹脂としては、ポリビニルアルコールなどに対し光二量化型、光分解型、光解重合型、光変性型、光重合型等の変性基を作用させ、変性基を介して光により架橋を起こす架橋基変性ポリマー、または電子線により直接架橋するポリマーが使用可能であり、ノニオン性、カチオン性、アニオン性の物が挙げられる。構造中にカチオン、またはアニオンの部位を持つポリマーにおいては、無機フィラー等の表面とカチオン、またはアニオンの構造部位が吸着、もしくは反発などの相互作用をして、架橋反応を阻害するおそれがあるため望ましくない。ノニオンタイプの紫外線により架橋する親水性バインダー、中でも特開2000−181062号に開示される樹脂が、無機微粒子との相互作用がカチオン、アニオンタイプの物より小さく、効率的に架橋反応を起こすため本発明では好適である。
なお、本発明で目的とする諸性能を落とさない限りにおいては、バインダーとして、上記主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物とともに、以下の親水性樹脂を併用してインク受容層に含有させても良い。
併用される親水性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーとして用いることのできる親水性樹脂を用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性等の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、本発明の課題である塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
本発明に係るインク受容層の親水性バインダーに対する微粒子の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、インク受容層の空隙率は良好であり、十分な空隙容量が得やすく、過剰の親水性バインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことをさけられる。一方、この比率が50倍以下であれば、インク受容層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい親水性バインダーに対する微粒子の比率は、2.5〜20倍である。特に、乾燥塗膜の折れ割れ耐性という観点からは、5〜15倍がより好ましい。
本発明に係るインク受容層は、塗膜の単位面積当たり15〜40ml/m2の容量を持つことが好ましい。この容量とは、単位体積の塗膜を水につけた時に発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または、最終的に得られる記録材料を、J.TAPPI 51に規定される紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定した時の、接触時間が2秒における液体転移量などで定義される。
本発明のインクジェット記録材料に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、或いは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引き処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録材料は着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m3(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法ににより測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面はを被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレンに層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であってもよい
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示した時の、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体のインク受容層側には、インク受容層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録材料1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク受容層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていてもよい。
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
上記インク受容層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が十分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられる。尚、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性の化合物は、一般に、耐光性を向上したり、にじみや耐水性を向上させる機能を有するものが多い。これらの水溶性多価金属イオンは、記録材料1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
上記塗布液の塗布方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法或いは米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
本発明の記録材料に係るインク受容層は、単層であっても多層であってもよく、多層構成の場合には、全ての層を同時に塗布することが、製造コスト低減の観点から好ましい。
本発明で用いる紫外線の光源として例えば数mmHgから10気圧までの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜1kW/cm2、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜150mJ/cm2が好ましく、1mJ/cm2〜50mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして150mJ/cm2を超える場合は、親水性高分子化合物の母核、または共存させる各種添加剤を紫外線により分解する可能性があり、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を起こす可能性があるので好ましくない。照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合は架橋効率が不足し、本発明の効果が十分に得られない。
紫外線照射の際の照度は0.1mW/cm2以上、1W/cm2以下が好ましい。照度が1W/cm2を超える場合、塗膜の表面硬化性は向上するが、深部硬化性が低下し表面のみ堅い膜が得られる。その場合は、膜の深度方向の堅さのバランスが崩れ、カールなどが起こり、好ましくない。
照度が0.1mW/cm2より低い場合は、膜中の散乱等により架橋が十分進まず、本発明の効果が得られないため好ましくない。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。
照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。
照度が低過ぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明においては、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はないが、水溶性の物が混合性、反応効率の観点から好ましい。特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましい。更に、一例としベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
実施例1
《シリカ分散液S−1の作製》
予め均一に分散されている、一次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を30%含有するシリカ分散液B1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の1200gとカチオン性ポリマー分散剤P−1を12%、n−プロパノールを10%及びエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を60g含有)の330gに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で仕上げて、シリカ含有量25%のほぼ透明なシリカ分散液S−1を得た。
Figure 2006123179
《記録材料1の作製》
得られたシリカ分散液S−1の3000gに8%に調整したポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA235:重合度3500、ケン化度88%)1200gと硼酸0.5gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げ、塗布液T−1を得た。
得られた塗布液T−1をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
次いで、上記調製した塗布液T−1を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、シリカの付き量で18g/m2となるように塗布し、5℃の冷風で1分間冷却した後、30℃の温風で乾燥してインクジェット記録材料1を得た。
《記録材料2の作製》
PVA235をクラレ社製PVA135H(重合度3500、ケン化度99%)に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《記録材料3の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−1の4%水溶液2400gに変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−1の作製》
グリシジルメタクリレート112g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド96g、ピリジン4g、およびN−ニトロソ−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(和光純薬製品、商品名Q−1300)2gを反応容器に入れ、80℃の湯浴中で5時間攪拌した。グリシジルメタクリレートの反応率が99%で、純度80%のp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドが得られた。
次に、重合度1700、鹸化率88%のポリ酢酸ビニル鹸化物(日本合成工業製品 商品名EG−05)450gを精製水2250gに分散させた後、80℃まで昇温して溶解させた。この溶液にリン酸45g、上記反応で得られた純度80%のp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒド120gを加え、80℃で6時間攪拌した。得られた透明な粘調性溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂(三菱化学製品 ダイヤイオンWA20)300gを加え1時間攪拌した。pHが中性であることを確認した後、400メッシュの紗を用いてイオン交換樹脂を濾別、透明な紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液を得た。
得られた紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液の1000gと光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ製イルガキュア2959)1.04gに、化合物(a−1)の10%水溶液46.0gを加え、強く攪拌しながら、365nmに主波長を持つメタルハライドランプで照射光の強度を調節しながら5分間紫外線を照射し、ポリビニルアルコールと化合物(a−1)の共重合体V−1を作製した。V−1の4%水溶液の粘度は、前記PVA−235の4%水溶液とほぼ同じ粘度を示した。
《記録材料4の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−2に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−2の作製》
V−1の作製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコールのケン化度を95mol%に変え、化合物(a−1)の添加量を10%水溶液48.9gに変えて作製した。
《記録材料5の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−3に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−3の作製》
V−1の作製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコールのケン化度を99mol%に変え、化合物(a−1)の添加量を10%水溶液50.8gに変えて作製した。
《記録材料6の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−4に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−4の作製》
V−1の作製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコールのケン化度を99mol%に変え、化合物(a−1)の添加量を10%水溶液5.08gに変えて作製した。
《記録材料7の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−5に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−5の作製》
V−1の作製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコールのケン化度を99mol%に変え、化合物(a−1)の添加量を10%水溶液2.54gに変えて作製した。
《記録材料8の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−6に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−6の作製》
V−1の作製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコールのケン化度を99mol%に変え、化合物(a−1)の添加量を10%水溶液460gに変えて作製した。
《記録材料9の作製》
PVA235を次のようにして作製した化合物V−7に変えた以外は記録材料1と同様にして作製した。
《化合物V−7の作製》
V−1の作製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコールのケン化度を99mol%に変え、化合物(a−1)の添加量を10%水溶液1150gに変えて作製した。
《記録材料10の作製》
記録材料1の作製において、塗布液に、オイル分散液(B−1)440gを添加した以外は同様にして作製した。
《オイル分散液(B−1)の作製》
以下に示すA液及びB液をそれぞれ加熱溶解し、55℃でA液とB液を混合後、高圧ホモジナイザーで乳化分散し、全量を純水で50Lに仕上げて、オイル分散液(B−1)を作製した。
(A液) 化合物(a−2) 5kg
ジ−イソデシル−フタレート 7kg
酢酸エチル 7kg
(B液) 酸処理ゼラチン 1kg
純水 22kg
カチオン性ポリマー(P−1)20%水溶液 4kg
サポニン20%水溶液 3kg
《記録材料11の作製》
記録材料2の作製において、塗布液に、オイル分散液(B−1)440gを添加した以外は記録材料1と同様にして作製した。
Figure 2006123179
《記録材料の特性評価》
以上により作製した各記録材料について、以下の方法で評価を行い、結果を表1に示した。
(ひび割れ)
記録材料の表面に発生したひび割れの有無、及びその大きさを目視で観察し、下記の基準に従って評価した。
AA:表面にひび割れは全く認められなかった
A:1mm未満の長さのひび割れが認められた
B:1〜2mmの長さのひび割れが認められた
C:3mm以上の長さのひび割れが認められた。
(耐光性)
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM−900C」)を用いて、各インクジェット記録用シート上にマゼンタとシアンのベタ画像を印画した後、365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフィルターを通して、「Xenon Weather−ometer Ci65A」(ATLAS社製)を用いて、温度25℃相対湿度32%の環境条件下で3.8時間かけてランプを点灯し、その後ランプを消した状態で、温度20℃相対湿度91%の環境条件下に1時間放置するサイクルを168時間かけて行なった。この試験の前後の各色画像濃度を、反射濃度測定計(Xrite社製の「Xrite938」)にて測定し、各色濃度の残存率を算出した。
A:褪色レベルは小さく、良好であった。(マゼンタ残存率:70%を越える)
B:褪色が認められたが、実用上問題の無いレベルであった。(マゼンタ残存率:50〜70%)
C:褪色が顕著で、実用上問題となるレベルであった。
(耐候性)
プリント後すぐに40℃、相対湿度70%の高湿下で12時間保存し、次いで「Xenon Weather−ometer Ci65A」(ATLAS社製)を用いて、温度25℃相対湿度32%の環境条件下で12時間かけてランプを点灯し、その後ランプを消した状態で、温度40℃相対湿度70%の環境条件下に12時間保存し、プリント面を目視で観察した。
A:プリント面のひび割れなし
B:プリント面にややひび割れが見られる
C:プリント面にかなりひび割れがみられる。
Figure 2006123179
表1から、本発明の試料は、製造時にひび割れ等の欠陥がなく、折れ割れ等の取り扱い性に優れ、耐光性に優れたプリントを形成するインクジェット記録材料であることがわかる。
実施例2
《記録材料12の作製》
シリカ分散液S−1の3000gに、実施例1の化合物V−1作製の際用いた紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液の10%に調整した溶液960gと光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ製イルガキュア2959)2.07gを攪拌しながら徐々に添加し、ついで化合物(a−1)の10%水溶液を492g添加し、純水で6000gに仕上げ、塗布液T−2を得た。
得られた塗布液T−2をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
次いで、上記調製した塗布液T−2を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、シリカの付き量で18g/m2となるように塗布し、その後365nmに主波長を持つメタルハライドランプで、波長365nmにおける照度が60mW/cm2の紫外線を用い、エネルギー量で30mJ/cm2の紫外線を照射したその後30℃の温風で乾燥してインクジェット記録材料12を得た。
Figure 2006123179
表2から、本発明の一般式(1)で表される化合物単位を含む塗布液を塗布後紫外線を照射しても優れた効果を示すことが判る。

Claims (7)

  1. 支持体上に、側鎖にエチレン性二重結合を有するポリビニルアルコールと下記一般式(1)で表される化合物の共重合体と、無機微粒子とを含有するインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録材料。
    Figure 2006123179
    (式中、R1、R2、R4、R5はアルキル基もしくはカルボニル基を表し、R3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、加水分解によりイミノ基もしくはヒドロキシルイミノ基を生成する基を表す。Qは単結合または2価の連結基を表し、Jはエチレン性二重結合を有する任意の置換基を表す。)
  2. 一般式(1)のR1、R2、R4、R5がメチル基、Qが−OCO−L1−基または−NHCO−L2−基であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
    但し、L1及びL2はそれぞれ単結合または2価の連結基を表す。
  3. 一般式(1)のR3が水素原子、Jが−C(CH3)=CHであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記ポリビニルアルコールのケン化度が90mol%以上、かつ重合度が300以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
  5. 前記ポリビニルアルコールのモノマー単位と上記一般式(1)で表される化合物のモル比が、5以上1000以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
  6. 側鎖にエチレン性二重結合を有するポリビニルアルコールと、一般式(1)で表される化合物及び光開始剤を塗工液に含有させ、塗工後電離放射線を照射してポリビニルアルコールと一般式(1)で表される化合物を重合させて製造したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
  7. 無機微粒子が、一次粒径20nm以下の気相法シリカであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
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JP2009040629A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd 多孔質シリカゾルおよび高発色性インク受容層形成用塗布液ならびにその用途

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