JP2005153450A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、ひび割れやブロンジング等の品質低下が低減されたインクジェット記録用紙を提供することである。
【解決手段】 支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし
【解決手段】 支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし
Description
本発明は、本発明は新規のインクジェット記録用紙に関し、詳しくは、写真画質のプリントを形成するインクジェット記録用紙に関するものである。
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)の面からもその改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に微粒子と親水性ポリマーからなる微小な空隙層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を呈し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した記録用紙は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング、いわゆる「しわ」の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。
インクジェット記録においては、一般に、水溶性染料インクを用いる場合と顔料インクを用いる場合とに大きく分けられる。顔料インクは、画像の耐久性は高いが、画像様に光沢が変化しやすく、その結果、写真画質に近いプリントを得にくい。
一方、水溶性染料インクを用いると、画像の鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。しかしながら、この水溶性染料は親水性が高いため、滲みが発生したり耐水性が劣るという欠点を有している。すなわち、画像記録後に、高湿下で長期間保存したり、プリント面上に水滴が付着した場合、染料が滲みやすい特性を有している。
この問題を解決するため、一般には、カチオン性物質のような染料固着性物質を、記録用紙の多孔質層中に添加しておくことが行われている。例えば、カチオン性ポリマーを用いてアニオン性の染料と結合させ、強固に不動化することにより、耐水性や高湿下での滲み防止を改良する方法が好ましく用いられている。このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウム、ポリエチレンイミン類、エピクロルヒドリン誘導体などが知られている。
更に、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドを用いて滲み耐性を改良したインクジェット記録用紙(例えば、特許文献1参照。)、あるいは、ポリアリルアミン類を使用して耐水性を改良したインクジェット記録用紙が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、高い耐水性、滲み耐性を得るためには、多孔質インク受容層のバインダーを所望の条件に架橋する必要があるが、上記カチオン性ポリマーを用いた場合、乾燥後の膜面にひび割れが生じるなどの問題が発生することが判明した。また、特定の構造を有する4級アンモニウム基を含むポリマー、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類、カチオン変性PVA、カチオン変性PVP、エピクロルヒドリン誘導体、アミノ基置換ナイロン及びカチオン性ポリ水酸化アルミニウムから選ばれるカチオン性の水溶性ポリマーを用いて、インク定着性、画像の解像度及び均一性並びに光透過性に優れたインクジェット記録用シートが提案されている(例えば、特許文献3参照。)が、これらのカチオン性の水溶性ポリマーは耐光性が劣化するという課題を有しており、更なる性能改良が求められている。
特開平10−114144号公報 (特許請求の範囲)
特開2003−80837号公報 (特許請求の範囲)
特開平8−318672号公報 (特許請求の範囲)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、ひび割れやブロンジング等の品質低下が低減されたインクジェット記録用紙を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、電離放射線を照射することにより側鎖間で架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、紫外線を照射することにより側鎖間で光重合開始剤により架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記無機微粒子が、湿式シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項1)
支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、電離放射線を照射することにより側鎖間で架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、紫外線を照射することにより側鎖間で光重合開始剤により架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記無機微粒子が、湿式シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明によれば、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、ひび割れやブロンジング等の品質低下が抑制されたインクジェット記録用紙を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を行った結果、支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有するインクジェット記録用紙により、インク吸収性が高く、発色性、耐光性、画像保存中の滲み耐性に優れ、かつひび割れやブロンジング等の品質低下が抑制されたインクジェット記録用紙を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
一般に、インクジェット記録用紙の作製において、より高い耐水性、滲み耐性を達成するためには、多孔質インク受容層のバインダーを架橋し、かつ色素を固定する目的でカチオン性物質を含有させるのが好ましい。しかしなから、カチオン性物質として水溶性のカチオン性ポリマーを用いると、塗布・乾燥後に形成した塗膜面にひび割れが生じるなど、品質の劣化をもたらすことがあった。これに対し、水溶性のカチオン性ポリマーを除き、その他のインクジェット記録用紙の構成条件を同一にしてインクジェット記録用紙を作製すると、上記のひび割れ故障の発生頻度が大きく減ることから、水溶性のカチオン性ポリマーが硬膜反応に何らかの影響を及ぼしているものと推定できる。
本発明者らの検討によれば、本発明に係るポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウム、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる特定の構造を有する水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種と共に、電離放射線により架橋される親水性樹脂を併せて用いることにより、ひび割れ故障の発生が大きく低減され、かつ光沢、写像性が改良し、塗膜面品質の向上が達成され、塗膜面の品質と、耐水性、高湿滲み、耐光性などの保存性能が両立できたインクジェット記録用紙を得ることができた。
本発明に係る電離放射線により架橋される親水性樹脂を用いることにより、架橋反応が光によって加速されるため、上記水溶性のカチオン性ポリマーによる架橋反応への影響をを防止あるいは抑制ができたものと推測している。その結果、本発明に係る水溶性のカチオン性ポリマーを用いても、高い耐水性と高湿下での滲み耐性をえることができるようになった。また、電離放射線により架橋される親水性樹脂を用いることにより、形成した多孔質層皮膜にひび割れ等の塗布故障を生じにくく、従来、本発明に係る水溶性のカチオン性ポリマーを用いたときの課題を解決できたことにより、高い膜面品質を達成することができた。その結果、膜面品質と、耐水性、高湿滲み、耐光性などの保存性能が両立したインクジェット記録用紙を得ることができた。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット記録用紙の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙においては、支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有することを特徴とする。
本発明でいう電離放射線により架橋する親水性樹脂とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋反応をする水溶性の親水性バインダーであり、架橋反応前には水溶性であるが、架橋反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。また、この親水性バインダーは、架橋反応後も親水性を有し、十分なインクとの親和性を維持するものである。
本発明のインクジェット記録用紙においては、電離放射線により架橋された親水性樹脂として、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、電離放射線を照射することにより側鎖間で架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることが好ましく、また、電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、紫外線を照射することにより側鎖間で光重合開始剤により架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることが好ましい。
このような親水性樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種、またはその親水性樹脂に、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型などの変性基により変性したものである。中でも、光二量化型、光重合型の変性基により変性した親水性樹脂が、感度または樹脂自身の安定性の観点から好ましい。
光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基を導入したものが好ましく、光二量化後アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、一級アミノ基ないし4級アンモニウム基等のカチオン性基を有する樹脂、例えば、特開昭62−283339号、特開平1−198615号、特開昭60−252341号、特開昭56−67309号、特開昭60−129742号等の各公報に記載された感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基になるアジド基のような硬化後カチオン性になる樹脂、例えば、特開昭56−67309号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
本発明においては、電離放射線により架橋する親水性樹脂が、光エネルギー硬化性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
具体的には、例えば、以下のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
特開昭56−67309号公報に記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記式(I)
で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、又は、下記式(II)
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
感光性樹脂の具体例は、該公報中の実施例1、2に、また感光性樹脂の構成成分及びその使用割合は該公報第2頁に記載されている。
また、特開昭60−129742号公報には、感光性樹脂としてポリビニルアルコール構造体中に、下記式(III)、式(IV)
の構造を有する樹脂組成物が挙げられている。
本発明においては、電離放射線により架橋する親水性樹脂の中でも、光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号公報に開示されている下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物が、反応性との観点から好ましい。
上記一般式(1)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Yは芳香族環または単なる結合手を表し、Xは、−(CH2)m−COO−、−O−CH2−COO−または−O−を表し、mは0〜6の整数、nは1または2を表す。
本発明に係る親水性の親水性樹脂において、重合度や架橋密度は皮膜形成時の強度や柔軟性に影響し、重合度が低かったり架橋変性基が多すぎたりすると塗布乾燥時のひび割れや乾燥塗膜の折れ割れといった故障が生じてしまう。したがって、前記一般式(1)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物を含む親水性の高分子化合物においては、重合度は300以上であることが好ましく、400〜5000であることがより好ましく、1000〜4000であることが更に好ましい。また、セグメントに対する電離放射線反応架橋基の変性率が4mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1mol%である。
また、本発明に係る電離放射線により架橋する親水性樹脂として、市販品として容易に入手することができ、例えば、日本化薬:SR−230(ジエチレングリコールジアクリレート)、日本化薬製:カラヤッドPEG400DA、カラヤッドR−167,PET−30、サートマーSR−230、サートマーSR−268、サートマーSR−344、サートマーSR−444、新中村化学製:NKエステル−A200、NKエステルA−400、NKエステルA−600、NKエステルA−TMM−3、NKエステルATMM−3−L、東亞合成製:アロニックスM−240、アロニックスM−245、アロニックスM−205、アロニックスM−210など、市販の紫外線架橋型モノマーを称されている化合物が挙げられる。
なお、本発明においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で、従来公知の親水性樹脂を併用しても良い。公知の親水性樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
本発明においては、光重合開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができ、例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が挙げられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
本発明のインクジェット記録用紙においては、特に、混合性等に優れ、架橋効率の観点からも水溶性光重合開始剤を用いることが好ましく、例えば、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性光重合開始剤を挙げることができる。
これらの光重合開始剤に加え、重合促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、従来のような水溶性樹脂と無機微粒子を、架橋剤と混合して塗布液の粘度増大をもたらしセットさせ、そのまま塗膜を乾燥して空隙層とする方法に対し、電離放射線による架橋性を有する親水性樹脂を、電離放射線の照射により架橋させ形成された網目構造は、架橋剤を用いて形成される比較的短い距離での三次元構造と異なり、長い距離で架橋した構造を含むため、多くの無機微粒子を保持しやすい構造を取ると考えられ、より少ないバインダー量で、均一な膜形成ができる。即ち、親水性バインダーに対する無機微粒子の比率として、よりバインダーの比率が少ないところで用いることができる。また、従来の構成に比較し、親水性バインダーに対し形成される塗膜が強固で、折り曲げ等に対して強いほか、インクジェット記録用紙を形成した後の、インクジェット記録紙の取り扱いによる印字或いは印画前の記録層のひび割れ、剥落等が少なく、更に印画或いは印字の後においても折り曲げ等によるストレスに対し耐性が強い空隙を有する多孔質層を有するインクジェット記録用紙を得ることが出来ると考えられる。
本発明においては、親水性溶媒が存在しているときに前記電離放射線による照射を行い、塗布層中に存在する電離放射線硬化性樹脂を架橋させた後、乾燥して、空隙を有する多孔質層からなるインクジェット記録用紙を得る。本発明に係る親水性樹脂の電離放射線の照射による硬化は、塗布直後から乾燥終了時までの間に行えばよいが、好ましくは塗布直後から塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前であることが好ましい。
電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等が挙げられる。アルファ線、ベータ線、ガンマ線およびX線は、人体への危険性といった問題が付随するため、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましく用いられる。
また、電子線により親水性樹脂を架橋させる場合、一般に無機微粒子の方が親水性バインダーや溶媒の水よりも比重が高いため、電子線照射量が親水性バインダーや溶媒に対して供給過剰であり塗膜中の水分が瞬間的に蒸発して気泡となり塗膜表面を荒したり、また塗膜深部に対しては照射量が不足し、架橋密度に勾配が生じ、表面のみ堅い膜になり、その結果、カール耐性を著しく損なう可能性があること、更に電子線照射に際しては雰囲気の酸素濃度が高いと効果が妨げられるという課題があり、窒素、ヘリウム等の不活性ガスにより照射ゾーンにおいて置換を行い酸素濃度を400ppm以下程度まで保つ必要があり、工程適性上好ましくない面を有することから、紫外線を用いることがより好ましい。
電子線を使用する場合、照射する電子線の量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが望ましい。0.1Mrad未満では充分な照射効果が得られず、20Mradを超えるような照射は支持体、特に紙やある種のプラスチックを劣化させるおそれがあるため好ましくない。電子線の照射方式としては、例えば、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は、塗膜の比重と膜厚により適時変化させることができるが、20〜300kV程度が適当である。
特に製造工程において、取り扱いが比較的容易で、簡便な設備化が可能である紫外線を用いることが好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、数百Paから100万Paまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターをもうけることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜10kW/cm2、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜1J/cm2が好ましく、50mJ/cm2〜100mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして1J/cmを超える場合は、電離放射線架橋性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤を電離放射線により分解してしまい、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を起こす可能性があるので好ましくない。照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合は架橋効率が不足し、本発明の効果が十分にえられない。
紫外線照射の際の照度は、1mW/cm2〜1W/cm2が好ましく、100〜200mW/cm2がより好ましい。照度が1W/cm2以下であれば、塗膜の表面硬化性は向上し、深部まで硬化し、均一に架橋された膜が得られる。その場合は、膜の深度方向の堅さも均質であり、カールなどが起こりにくく、好ましい。照度が10mW/cm2以上であれば、膜中の散乱等により架橋の不均一を避け、本発明の効果が得られため好ましい。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。照度が低すぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明においては、塗布層が親水性の溶媒を含有した状態で電離放射線が照射され、電離放射線を照射後、塗膜を乾燥させ水を主体とする水性溶媒を蒸発させる。しかしながら、電離放射線を照射する際に、水性溶媒が一部或いは大部分蒸発してもかまわない。
本発明のインクジェット記録用紙においては、上記電離放射線により架橋された親水性樹脂と共に、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
本発明でいうポリアリルアミン類とは、下記一般式〔1〕で表されるポリアリルアミン、下記一般式〔2−1〕または〔2−2〕で表されるポリジアリルアミン、下記一般式〔3−1〕または〔3−2〕で表されるポリジアリルアミン誘導体、またはこれらの重合体である。
上記一般式〔1〕において、nは5〜10000の整数、X1 -は無機酸または有機酸の残基を表す。
上記一般式〔2−1〕、〔2−2〕、〔3−1〕及び〔3−2〕において、R1及びR2は各々、水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシエチル基を表し、X2 -は無機酸残基または有機酸残基を表し、Yは2価の連結基を表す。一般式〔2−1〕、〔2−2〕において、nは5〜10000の整数である。また、一般式〔3−1〕及び〔3−2〕において、n/m=9/1〜2/8、p=5〜10000である。
上記一般式〔3−1〕または〔3−2〕で表されるポリジアリルアミンの誘導体の具体例としては、例えば、特開昭60−83882号公報に記載の一般式で示されるSO2基を繰り返し単位に含むもの、特開平1−9776号公報の2頁に記載されているアクリルアミドとの共重合体、本発明に係る一般式〔3−1〕または〔3−2〕で示されるポリジアリルアミンとの共重合体が挙げられる。
これらポリアリルアミン類の中で好ましい例として、下記一般式〔4〕または〔5〕で表される構造を有するポリジメチルジアリルアンモニウム類を挙げることができる。
下記一般式〔4〕及び〔5〕において、nは重合度を表す。重合度としては、1000以下が好ましく、800以下がより好ましい。重合度が、1000を越えると粘度が上昇し、取扱いが困難になることがある。Xは1価のアニオンとなりうる原子または原子群であり、ハロゲンであることが好ましく、もっとも好ましくは塩素原子である。
前記ポリジメチルジアリルアンモニウム類として、上記一般式〔4〕で表される構造を有する化合物または前記一般式〔5〕で表される構造を有する化合物を1種単独で使用してもよく、これらを併用してもよい。いずれの場合においても、異なる重合度のものを混合して使用してもよい。また、前記ポリジメチルジアリルアンモニウム類は、適宜合成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明に用いられるジシアンジアミド系縮合物の具体例としては、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物が挙げられ、これらは三洋化成社のサンフィックス70、日本カーバイド社のニカフロックD−1000、日華化学社のネオフィックスF、ネオフィックスRP−70Yなどの商品名でそれぞれ市販されている。
本発明で言うポリエチレンイミン類とは、エチレンイミンを重合させて得られるポリマーまたはその誘導体であり、特にポリエチレンイミン第4級アンモニウム化合物が好ましい。具体的には、例えば、特開昭60−72785号、同60−76386号公報に記載されているものが挙げられる。
本発明に用いられるエピクロルヒドリン誘導体の具体例としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、または特開昭61−252189号公報の2頁に記載されているエピクロルヒドリンと3級アミンとの反応物や特開昭62−259882号公報の4頁に記載されている一般式(II)の化合物等が挙げられる。
また、本発明において、好ましく用いられるエピクロルヒドリン誘導体としては、下記一般式〔6〕で表される構造を有するポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンである。
上記一般式〔6〕において、nは重合度を表す。重合度としては、100〜800が好ましい。重合度が100未満であると結合強度が劣ることがあり、800を越えると安定性に欠けることがある。
上記一般式〔6〕で表される構造を有するポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンは、エポキシ化ポリアミド樹脂とも呼ばれ、分子中に第2級アミンを含むジアミン(例えば、ジエチレントリアミン)とジカルボン酸(例えば、アジピン酸)との脱水縮合反応によって得られるポリアミドポリアミンにおける第2級アミノ基に、エピクロルヒドリンを付加させた後、反応終了後に塩酸でpHを酸性側にすることにより得られる。前記ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンとしては、1種単独で使用してもよいし、異なる重合度のものを混合して併用してもよい。また、前記ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンは、適宜合成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。
これらは公知の方法により合成することができる。また、市販品としてナルポリ−607(ナルコケミカル社製)やポリフィックス601(昭和高分子社製)がある。
本発明のインクジェット記録用紙には、前記説明した本発明に係るポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーと共に、公知のカチオン性ポリマーを用いることを排除するものではない。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙の上述した以外の各構成要素について、その詳細を説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体上に、無機微粒子、上記説明した電離放射線により架橋された親水性樹脂と、上記説明したポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有する。
本発明に係る多孔質層を形成する無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。上記無機微粒子は一次粒子のまま用いても、また二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子の1つとして、シリカまたはアルミナが好ましく、更にアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカ等が好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであってもく、気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記気相法シリカの粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。1μmを越えると光沢性、または発色性が低下しやすく、そのため200nm以下が好ましい。更に100nm以下のシリカが最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
また、本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子の1つとして、シリカ微粒子が、湿式シリカであることが好ましく、更にゲル法により合成された湿式シリカであることが好ましい。
本発明に用いられる湿式シリカとは、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成されたものであり、例えば、沈降法による(株)トクヤマのファインシールが市販されており、ゲル法によるシリカとしては、日本シリカ工業(株)のNIPGELが市販されている。沈降法シリカは概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的には、ゲル法により合成される湿式シリカの方が沈降法に対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
湿式シリカには、孤立シラノール基がその特性上存在しない。そのため、塗布液において、親水性バインダーとの相互作用が低く、シリカ−と親水性バインダー間の相互作用により塗布液がゲル化するようなことはない。
なお、シリカ粒子の一次粒子および二次粒子の平均粒径は、インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径から求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
湿式シリカの粉砕には、高圧ホモジナイザー、高速攪拌分散機、サンドミル、超音波分散機などを用いることが出来るが本発明においてはサンドミルが好ましい。サンドミルに用いるビーズは1.0mm以下のジルコニアビーズが好ましく、更に好ましくは0.5mm以下のジルコニアビーズである。
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記無機微粒子は、一次粒子のままで、あるいは二次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜に存在していてもいが、上記平均粒径は、電子顕微鏡で観察した時に多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記無機微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ないインク吸収層を形成する必要があり、多孔質層中には、5〜50g/m2の付き量になることが好ましい。更に、10〜25g/m2になることが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、多孔質多孔質層の少なくとも1層が、多価金属化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る多価金属化合物は、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属化合物を挙げることができ、また多価金属化合物は多価金属塩であってもよい。中でもマグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、亜鉛からなる化合物は無色の為好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物であることが更に好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子を含む化合物であることが特に好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物(但し、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムは除く)は、その化合物自身は水溶性であっても非水溶性であっても良いが、多孔質層の所望の位置に均一に添加できるものであることが好ましい。
また、本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、多孔質層の所望の位置に均一に添加できるものが好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子を含む化合物の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(例えば、塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウムなどが挙げられる。
本発明で用いることのできるアルミニウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩等)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩等)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩など)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
本発明で用いることのできるマグネシウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、硫化マグネシウム、炭化マグネシウム、リン酸マグネシウムがあげられ、これらの中でも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムが好ましい。
これらの多価金属化合物の中でも、特に好ましいものは、前述したジルコニウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したもの、アルミニウム原子含む化合物で好ましいものとして例示したもの、マグネシウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したものの中で、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、塩基性塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムである。特に酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルが好ましく、酸塩化ジルコニウムが最も好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、前記多価金属化合物と共に、アミノ酸を併せて用いることも好ましい方法の1つである。
本発明でいうアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体で使用することができる。
本発明に係るアミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
本発明においては、アミノ酸として、下記一般式(2)で表されるアミノ酸が好ましい。
一般式(2)
H2N−R−COOH
一般式(2)において、Rは任意の置換基を表し、炭素数が11以下の置換基が好ましく、更に好ましくは炭素数が8以下の置換基である。このうち、特に好ましいのは、炭素数11以下のα−モノアミノモノカルボン酸、β−モノアミノモノカルボン酸及びγ−モノアミノモノカルボン酸から選ばれる少なくとも1種である。
H2N−R−COOH
一般式(2)において、Rは任意の置換基を表し、炭素数が11以下の置換基が好ましく、更に好ましくは炭素数が8以下の置換基である。このうち、特に好ましいのは、炭素数11以下のα−モノアミノモノカルボン酸、β−モノアミノモノカルボン酸及びγ−モノアミノモノカルボン酸から選ばれる少なくとも1種である。
具体的に好ましいアミノ酸として、アミノカルボン酸、グリシン、アラニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、セリン、ε−アミノ−n−カプロン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニンを挙げることができる。
本発明に用いる支持体は、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもいが、非吸水性支持体であることが好ましい。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体または不透明支持体がある。透明支持体としてはポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50μm〜200μmが好ましい。
また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要は無く、着色された記録シートであってもい。
本発明のインクジェット記録用紙では原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもく、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特にインク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙には、各種の添加剤を添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
次に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法について説明する。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独に或いは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、或いは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、更に好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布及び乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
また、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件であれば特に制限は無いが、好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、或いは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、或いは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。
本発明のインクジェット記録用紙は、特に水溶性染料インクを用いたインクジェット記録方法において特に効果が大きく好ましいが、顔料インクを用いたインクジェット記録方法でも使用することができる。また、本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いたインクジェット記録方法が好ましく用いられる。
上記水性インクとは、下記着色剤及び溶媒、その他の添加剤を有する記録液体である。着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或いは食品用色素等の水溶性染料、或いは水分散性顔料が使用できる。
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶媒、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤、等が挙げられる。
水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするために、20℃において、通常、25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。上記インクのpHは、好ましくは5〜10であり、特に好ましくは6〜9である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
実施例1
《記録用紙の作製》
〔記録用紙1の作製〕
(シリカ分散液S−1の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒子径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を30%含むシリカ分散液B−1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の1200gを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を60g含有)の330gに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
《記録用紙の作製》
〔記録用紙1の作製〕
(シリカ分散液S−1の調製)
予め均一に分散されている一次粒子の平均粒子径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を30%含むシリカ分散液B−1(pH2.6、エタノール0.5%含有)の1200gを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5、サンノプコ社製の消泡剤SN−381を60g含有)の330gに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で1890gに仕上げて、シリカ含有量が25%のほぼ透明なシリカ分散液S−1を得た。
(記録用紙の作製)
上記調製したシリカ分散液S−1の3000gに、10%に調整した特開2000−181062号公報の実施例を参照して調製した前記一般式(1)で表される紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の960gと、光開始剤(日本化薬製 カヤキュアQTX)の1.5gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げて、塗布液T−1を調製した。その後、得られた塗布液T−1をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
上記調製したシリカ分散液S−1の3000gに、10%に調整した特開2000−181062号公報の実施例を参照して調製した前記一般式(1)で表される紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の960gと、光開始剤(日本化薬製 カヤキュアQTX)の1.5gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げて、塗布液T−1を調製した。その後、得られた塗布液T−1をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
次いで、上記調製した塗布液T−1を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(多孔質層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;多孔質層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、シリカの付き量が26g/m2となるように塗布し、その後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプで、波長365nmにおける照度が60mW/cm2の紫外線を用い、エネルギー量で30mJ/cm2の紫外線を照射し、その後80℃の熱風で乾燥して記録用紙1を作製した。
〔記録用紙2の作製〕
上記記録用紙1の作製に用いた塗布液T−1の調製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液に代えて、重合度2300、ケン化度88%のポリビニルアルコール10%水溶液を用い、更にホウ酸0.5gを加えた以外は同様にして塗布液T−2を調製した。
上記記録用紙1の作製に用いた塗布液T−1の調製において、紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液に代えて、重合度2300、ケン化度88%のポリビニルアルコール10%水溶液を用い、更にホウ酸0.5gを加えた以外は同様にして塗布液T−2を調製した。
次いで、上記調製した塗布液T−2を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(多孔質層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;多孔質層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、シリカの付き量が26g/m2となるように塗布し、5℃の冷却風をあてて膜面の温度を低下させ、塗布液の流動性を低下させた後、80℃の熱風で乾燥して記録用紙2を作製した。
〔記録用紙3〜7の作製〕
(シリカ分散液の調製)
上記記録用紙1の作製に用いたシリカ分散液S−1の調製において、カチオン性ポリマーP−1に代えて、下記カチオン性ポリマーa−1,a−2、b−1、c−1、d−1を用いた以外は同様にして、シリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを調製した。
(シリカ分散液の調製)
上記記録用紙1の作製に用いたシリカ分散液S−1の調製において、カチオン性ポリマーP−1に代えて、下記カチオン性ポリマーa−1,a−2、b−1、c−1、d−1を用いた以外は同様にして、シリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを調製した。
〈ポリアリルアミン類〉
a−1:PAA−HCl(ポリアリルアミン塩酸塩 日東紡製)
a−2:PAS−H(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド 日東紡製)
〈ジシアンジアミド系縮合物〉
b−1:サンフィックス70(ジシアンジアミドホルマリン縮合物 三洋化成製)
〈ポリエチレンイミン類〉
c−1:エポミンPK(強カチオン性ポリエチレンイミン 日本触媒製)
〈エピクロルヒドリン誘導体〉
d−1:ポリフィックス601(昭和高分子社製)
(記録用紙の作製)
上記記録用紙1の作製において、シリカ分散液S−1に替えて、上記調製したシリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを用いた以外は同様にして、記録用紙3〜7を作製した。
a−1:PAA−HCl(ポリアリルアミン塩酸塩 日東紡製)
a−2:PAS−H(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド 日東紡製)
〈ジシアンジアミド系縮合物〉
b−1:サンフィックス70(ジシアンジアミドホルマリン縮合物 三洋化成製)
〈ポリエチレンイミン類〉
c−1:エポミンPK(強カチオン性ポリエチレンイミン 日本触媒製)
〈エピクロルヒドリン誘導体〉
d−1:ポリフィックス601(昭和高分子社製)
(記録用紙の作製)
上記記録用紙1の作製において、シリカ分散液S−1に替えて、上記調製したシリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを用いた以外は同様にして、記録用紙3〜7を作製した。
〔記録用紙8〜12の作製〕
上記記録用紙2の作製において、シリカ分散液S−1に替えて、上記調製したシリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを用いた以外は同様にして、記録用紙8〜12を作製した。
上記記録用紙2の作製において、シリカ分散液S−1に替えて、上記調製したシリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを用いた以外は同様にして、記録用紙8〜12を作製した。
《記録用紙の評価》
以上の様にして得られた記録用紙1〜12について、以下の各特性評価を行なった。
以上の様にして得られた記録用紙1〜12について、以下の各特性評価を行なった。
〔ひび割れ耐性の評価〕
各記録用紙のインク受容層塗布面の0.1m2をルーペを用いてひび割れ状態を観察し、下記の基準に則りひび割れ耐性の評価を行った。
各記録用紙のインク受容層塗布面の0.1m2をルーペを用いてひび割れ状態を観察し、下記の基準に則りひび割れ耐性の評価を行った。
A:ひび割れがほとんど観察されない
B:0.5mm未満の微小なひび割れが数点観察される
C:0.5mm以上の粗大なひび割れが数点観察される
D:0.5mm以上の粗大なひび割れが全面に観察される
〔耐水性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正のマゼンタインクによりマゼンタベタ画像を印字し、その反射濃度を光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定し、次いで各マゼンタベタ画像を、25℃の純水に1分間浸漬させたのち取り出し、乾燥させて再度反射濃度を測定し、未処理サンプルに対する残存率を、下式により求め、下記に記載のランクに則り耐水性を評価した。
B:0.5mm未満の微小なひび割れが数点観察される
C:0.5mm以上の粗大なひび割れが数点観察される
D:0.5mm以上の粗大なひび割れが全面に観察される
〔耐水性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正のマゼンタインクによりマゼンタベタ画像を印字し、その反射濃度を光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定し、次いで各マゼンタベタ画像を、25℃の純水に1分間浸漬させたのち取り出し、乾燥させて再度反射濃度を測定し、未処理サンプルに対する残存率を、下式により求め、下記に記載のランクに則り耐水性を評価した。
耐水性(%)=(浸漬試料のマゼンタ反射濃度/未処理試料のマゼンタ反射濃度)×100
A:耐水性(%)が95%以上
B:耐水性(%)が85〜95%未満
C:耐水性(%)が75〜85%未満
D:耐水性(%)が75%未満
〔ブロンジング耐性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正のブラックインクにより黒ベタ画像を印字し、形成した黒ベタ画像を23℃、相対湿度80%の雰囲気下で1週間保存した後、プリント画像の状態(ブロンジングの発生具合)を目視観察し、下記の基準に則りブロンジング耐性の評価を行った。
A:耐水性(%)が95%以上
B:耐水性(%)が85〜95%未満
C:耐水性(%)が75〜85%未満
D:耐水性(%)が75%未満
〔ブロンジング耐性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正のブラックインクにより黒ベタ画像を印字し、形成した黒ベタ画像を23℃、相対湿度80%の雰囲気下で1週間保存した後、プリント画像の状態(ブロンジングの発生具合)を目視観察し、下記の基準に則りブロンジング耐性の評価を行った。
A:ブロンジングの発生が認められない
B:わずかにブロンジングが認められるが問題ない
C:一部でブロンジングが認められるが実用上問題ない
D:ブロンジングが激しく認められる
〔滲み耐性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正マゼンタインクによるマゼンタベタ画像を背景として、ブラックインクによる線幅が約0.3mmの細線を印字した。次いで、印字後直ちに、試料の両面を、記録用紙の作製に用いた紙支持体1により上下各3枚ずつ重ねた後、輪ゴムで固定し、この積層試料を、50℃、相対湿度85%の雰囲気下で7日間保存した。次いで、保存前後でのブラックインクの線幅をマイクロデンシトメーターで測定(反射濃度が最大濃度の50%部分の幅を線幅とした)し、下式に従って滲み率を測定し、下記の基準に則り滲み耐性の評価を行った。この滲み率が小さいほど、滲み耐性に優れていることを表す。
B:わずかにブロンジングが認められるが問題ない
C:一部でブロンジングが認められるが実用上問題ない
D:ブロンジングが激しく認められる
〔滲み耐性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正マゼンタインクによるマゼンタベタ画像を背景として、ブラックインクによる線幅が約0.3mmの細線を印字した。次いで、印字後直ちに、試料の両面を、記録用紙の作製に用いた紙支持体1により上下各3枚ずつ重ねた後、輪ゴムで固定し、この積層試料を、50℃、相対湿度85%の雰囲気下で7日間保存した。次いで、保存前後でのブラックインクの線幅をマイクロデンシトメーターで測定(反射濃度が最大濃度の50%部分の幅を線幅とした)し、下式に従って滲み率を測定し、下記の基準に則り滲み耐性の評価を行った。この滲み率が小さいほど、滲み耐性に優れていることを表す。
滲み率=(画像保存後の線幅)/(画像保存前の線幅)
A:滲み率が1.00〜1.20である
B:滲み率が1.21〜1.40である
C:滲み率が1.41〜1.60である
D:滲み率が1.61以上である
〔耐光性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正マゼンタインクによるマゼンタ画像濃度が約1.0のベタ画像を印字し、この画像サンプルを、キセノン・フェードメーターを用いて、70000ルクスで、100時間照射した後、反射濃度残存率(照射後の反射濃度/照射前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従い耐光性の評価を行った。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定した。
A:滲み率が1.00〜1.20である
B:滲み率が1.21〜1.40である
C:滲み率が1.41〜1.60である
D:滲み率が1.61以上である
〔耐光性の評価〕
各記録用紙に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM940Cを用いて、純正マゼンタインクによるマゼンタ画像濃度が約1.0のベタ画像を印字し、この画像サンプルを、キセノン・フェードメーターを用いて、70000ルクスで、100時間照射した後、反射濃度残存率(照射後の反射濃度/照射前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従い耐光性の評価を行った。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定した。
A:反射濃度残存率が、90%以上
B:反射濃度残存率が、80%以上、90%未満
C:反射濃度残存率が、70%以上、80%未満
D:反射濃度残存率が、70%未満
以上により得られた結果を、表1に示す。
B:反射濃度残存率が、80%以上、90%未満
C:反射濃度残存率が、70%以上、80%未満
D:反射濃度残存率が、70%未満
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1の結果より明らかな様に、本発明に係るカチオン性ポリマー(a−1、a−2、b−1、c−1、d−2)を従来のホウ酸を用いた硬化反応で使用した比較例の記録用紙8〜12は、ひび割れ耐性、耐水性、ブロンジング耐性及び滲み耐性において好ましい特性が得られない。これは、カチオン性ポリマーの架橋反応が阻害、あるいは不均一な架橋反応が進み、皮膜が膨潤しやすくなり、インク吸収性が低下し、その結果、色素の定着が弱くなったためと考えることができる。一方、比較のカチオンポリマーP−1を用いた比較例である記録用紙1及び2は、ひび割れ、耐水性、ブロンジング、滲み耐性はある程度満足できる特性が得られるが、耐光性が劣るという欠点を有していることが分かる。
これに対し、電離放射線架橋型の親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーを含有する本発明の記録用紙3〜7は、架橋方法として本発明に係る電離放射線架橋型の親水性樹脂と光重合剤を用いて架橋反応を行いことにより、上記問題点が解決し、ひび割れ、耐水性、ブロンジング、滲み耐性と耐光性を両立できる記録用紙を得ることができた。
実施例2
《シリカ分散液の調製》
〔シリカ分散液S−2の調製〕
高速攪拌分散機を用いて、カチオンポリマーP−1を2.5g含有する1%エタノール水溶液中に、湿式シリカ(Nipgell AZ200、日本シリカ工業(株)製ゲル法湿式シリカ、平均一次粒径10nm)を徐々に加えながら攪拌分散し、pHを4.0に調整した後、純水を加えて100gに仕上げて、シリカ固形分が25%の湿式シリカ分散液を得た。
《シリカ分散液の調製》
〔シリカ分散液S−2の調製〕
高速攪拌分散機を用いて、カチオンポリマーP−1を2.5g含有する1%エタノール水溶液中に、湿式シリカ(Nipgell AZ200、日本シリカ工業(株)製ゲル法湿式シリカ、平均一次粒径10nm)を徐々に加えながら攪拌分散し、pHを4.0に調整した後、純水を加えて100gに仕上げて、シリカ固形分が25%の湿式シリカ分散液を得た。
次いで、サンドミルにより適宜分散時間を変えてシリカ分散液S−2を調製した。その後、シリカ分散液S−2をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。尚、シリカ分散液S−2を50倍に希釈し、動的光散乱法式粒子径測定装置ゼータサイザー1000HS(マルバーン社製)を用いて測定したシリカ平均二次粒子径は、約190nmであった。
〔シリカ分散液S−2a、2b、2c、2d、2eの調製〕
上記シリカ分散液S−2の調製において、カチオン性ポリマーP−1に代えて、カチオン性ポリマーa−1(前出)、a−3、b−2、c−1(前出)、d−2を用いた以外は同様にして、シリカ分散液S−2a、S−2b、S−2c、S−2d、S−2eを調製した。
上記シリカ分散液S−2の調製において、カチオン性ポリマーP−1に代えて、カチオン性ポリマーa−1(前出)、a−3、b−2、c−1(前出)、d−2を用いた以外は同様にして、シリカ分散液S−2a、S−2b、S−2c、S−2d、S−2eを調製した。
〔ポリアリルアミン類〕
a−3:PAS−J(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体 日東紡製)
〔ジシアンジアミド系縮合物〕
b−2:ネオフィックスRP−70(ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドホルマリン縮合物 日華化学製)
〔エピクロルヒドリン誘導体〕
d−2:ナルポリ−607(エピクロルヒドリン−3級アミン反応物 ナルコケミカル製)
《記録用紙の作製》
〔記録用紙21の作製〕
上記調製したシリカ分散液S−2の3000gに、10%に調整した特開2000−181062号公報の実施例を参照して調製した前記一般式(1)で表される紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)960gと光開始剤(日本化薬製カヤキュアQTX)1.5gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げ、塗布液T−3を調製し、得られた塗布液T−3をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
a−3:PAS−J(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体 日東紡製)
〔ジシアンジアミド系縮合物〕
b−2:ネオフィックスRP−70(ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドホルマリン縮合物 日華化学製)
〔エピクロルヒドリン誘導体〕
d−2:ナルポリ−607(エピクロルヒドリン−3級アミン反応物 ナルコケミカル製)
《記録用紙の作製》
〔記録用紙21の作製〕
上記調製したシリカ分散液S−2の3000gに、10%に調整した特開2000−181062号公報の実施例を参照して調製した前記一般式(1)で表される紫外線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)960gと光開始剤(日本化薬製カヤキュアQTX)1.5gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げ、塗布液T−3を調製し、得られた塗布液T−3をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
次いで、上記調製した塗布液T−3を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(多孔質層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;多孔質層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、シリカの付き量が26g/m2となるように塗布し、その後、365nmに主波長を持つメタルハライドランプで、波長365nmにおける照度が60mW/cm2の紫外線を用い、エネルギー量で30mJ/cm2の紫外線を照射し、その後80℃の熱風で乾燥して記録用紙21を作製した。
〔記録用紙22〜26の作製〕
上記記録用紙21の作製において、シリカ分散液S−2に代えて、上記調製したシリカ分散液S−2a、S−2b、S−2c、S−2d、S−2eを用いた以外は同様にして、記録用紙22〜26を作製した。
上記記録用紙21の作製において、シリカ分散液S−2に代えて、上記調製したシリカ分散液S−2a、S−2b、S−2c、S−2d、S−2eを用いた以外は同様にして、記録用紙22〜26を作製した。
《記録用紙の評価》
以上の様にして得られた記録用紙21〜26について、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、耐水性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
以上の様にして得られた記録用紙21〜26について、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、耐水性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
表2の結果より明らかな様に、無機微粒子として湿式シリカを用いても、実施例1の結果と同様に、ひび割れ、耐水性、ブロンジング、滲み耐性と耐光性を両立できる記録用紙を得ることができた。
実施例3
《記録用紙の作製》
〔記録用紙31の作製〕
実施例1で調製したシリカ分散液S−1の3000gに、10%に調整した特開2000−181062号公報の実施例を参照して調製した前記一般式(1)で表される電離放射線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の960gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げて、塗布液T−4を調製した。その後、得られた塗布液T−4をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
《記録用紙の作製》
〔記録用紙31の作製〕
実施例1で調製したシリカ分散液S−1の3000gに、10%に調整した特開2000−181062号公報の実施例を参照して調製した前記一般式(1)で表される電離放射線架橋型ポリビニルアルコール誘導体水溶液(主鎖PVA重合度3000、ケン化度88%、架橋基変性率1mol%)の960gを攪拌しながら徐々に添加し、純水で6000gに仕上げて、塗布液T−4を調製した。その後、得られた塗布液T−4をアドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
次いで、上記調製した塗布液T−4を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(多孔質層側のポリエチレン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;多孔質層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、シリカの付き量が26g/m2となるように塗布し、その後、加速電圧が175kV、吸収線量が2Mradの条件で電子線を照射し、その後80℃の熱風で乾燥して記録用紙31を作製した。
〔記録用紙32〜36の作製〕
上記記録用紙31の作製において、シリカ分散液S−1に替えて、実施例1で調製したシリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを用いた以外は同様にして、記録用紙32〜36を作製した。
上記記録用紙31の作製において、シリカ分散液S−1に替えて、実施例1で調製したシリカ分散液S−1a、S−1b、S−1c、S−1d、S−1eを用いた以外は同様にして、記録用紙32〜36を作製した。
《記録用紙の評価》
以上の様にして得られた記録用紙32〜36について、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、耐水性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
以上の様にして得られた記録用紙32〜36について、実施例1に記載の方法と同様にして、ひび割れ耐性、耐水性、ブロンジング耐性、滲み耐性及び耐光性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
表3の結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなる多孔質層に、電子線を照射して硬化させた本発明の記録用紙は、実施例1の結果と同様に、耐水性、ブロンジング、滲み耐性と耐光性を両立できる記録用紙を得ることができた。また、ひび割れ耐性については、光開始剤の存在下で紫外線により硬化した実施例1に記載の記録用紙3〜7の特性には及ばないものの、ホウ酸を用いて硬化した記録用紙8〜12に対しては、大きく改良されていることが分かる。
Claims (5)
- 支持体上に、無機微粒子、電離放射線により架橋された親水性樹脂と、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリエチレンイミン類及びエピクロルヒドリン誘導体から選ばれる水溶性のカチオン性ポリマーの少なくとも1種とを含有する多孔質層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、電離放射線を照射することにより側鎖間で架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記電離放射線により架橋された親水性樹脂が、主鎖に複数の側鎖を有する重合度が300以上の親水性高分子化合物に、紫外線を照射することにより側鎖間で光重合開始剤により架橋結合させた高分子化合物を含む親水性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記無機微粒子が、湿式シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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