JP2004299165A - インクジェット用記録材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、アルミナゾル塗工液を支持体上に塗布したインクジェット用記録材料の製造方法に関し、特に塗布性およびインク吸収性に優れたインクジェット用記録材料の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミナ水和物とポリビニルアルコールおよび架橋剤を含有する塗工液を支持体上に塗布してインク受容層を形成するインクジェット用記録材料の製造方法において、前記塗工液がカルボキシル基を含有する有機酸またはその塩を含みかつケン化度95%以上のポリビニルアルコールとケン化度95%未満のポリビニルアルコールの2種を併用した塗工液であることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナゾル塗工液を支持体上に塗布したインクジェット用記録材料の製造方法に関し、特に塗布性およびインク吸収性に優れたインクジェット用記録材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、騒音がなく、高速印字が可能であり、端末プリンター等に採用され近年急速に普及している。複数個のインクノズルを使用することにより多色印字を行うことが容易であり、近年のインクジェット記録技術の進歩に伴い、銀塩方式のカラー写真に迫る高画質、保存性、高級感のある面質や光沢等が要求されるようになってきた。フォトグレードといわれる銀塩写真並の高画質を要求されるインクジェット用記録材料では、光沢や面質の点で支持体として紙をポリエチレン樹脂でラミネートした所謂RCベースやポリエステルフィルムなど耐水性支持体が一般的に使用されている。これら支持体の場合支持体上に設けられたインク受容層ですべてインクを吸収する必要があり、インクの乾燥性や吸収性などに対して高いレベルが要求される。
【0003】
このような銀塩写真並の高画質なインクジェット記録材料として、支持体上にアルミナまたはアルミナ水和物微粒子をインク吸収層として設けてなる記録材料が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
これでは多孔性アルミナ水和物からなる層を設けインク吸収性などを改善するものであるが、近年のインクジェットプリンターの印字速度の増加に伴う多色同時印字においてインク吸収性は十分なレベルになく、これを改善するために、例えば、特開平10−217603号、同平10−193777号、同2000−27093号公報等がある(特許文献2〜4参照)。
【0005】
従来、アルミナ水和物を用いる場合、その分散剤としてあるいは塗工液のpH調整剤として酸が用いられる。酸の中でも硝酸や塩酸等の無機酸は強酸のため製造設備の腐食や取り扱い性に問題がある。一方、酢酸のようなカルボキシル基を有する有機酸(以下カルボン酸という)は前記した無機酸の問題は大幅に軽減されるので使用しやすい。しかしながら、アルミナ塗工液にカルボン酸またはその塩が含まれると、バインダーとしてポリビニルアルコールを使用した場合、塗液の増粘による塗布性の悪化や低温で塗層をゲル化させて乾燥させる場合においてはゲル化の阻害が発生し、塗布性やインク吸収性に悪影響を与えることがあり改善が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−276670号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開平10−217603号公報(第4〜5頁)
【特許文献3】
特開平10−193777号公報(第4〜7頁)
【特許文献4】
特開2000−27093号公報(第4〜6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルミナゾル塗工液を支持体上に塗布したインクジェット用記録材料の製造方法に関し、特に塗布性およびインク吸収性に優れたインクジェット用記録材料の製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成できることが判明した。
【0009】
(1)アルミナ水和物とポリビニルアルコールおよび架橋剤を含有する塗工液を支持体上に塗布してインク受容層を形成するインクジェット用記録材料の製造方法において、前記塗工液がカルボキシル基を含有する有機酸またはその塩を含みかつケン化度95%以上のポリビニルアルコールとケン化度95%未満のポリビニルアルコールの2種を併用した塗工液であることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【0010】
(2)前記架橋剤がほう酸またはほう酸塩であることを特徴とする前記(1)記載のインクジェット用記録材料の製造方法。
【0011】
(3)前記塗工液を塗布後、膜面温度を15℃以下に冷却する工程が含まれることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット用記録材料製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、Al・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロボキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。得られるアルミナ水和物の形態としてはベーマイトゾルの場合やベーマイトゾルをゲル化やスプレードライにより粉末化されたものがあり、市販品では日産化学工業(株)社、Sasol社、Martinswerk社などから入手可能である。
【0013】
本発明に用いられるアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は100nm以下が用いられるが、5〜50nmが好ましく、より好ましくは8〜30nmである。一次粒子の平均粒径とは、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた。
【0014】
本発明に用いられるアルミナ水和物は二次粒子の平均粒径が80〜250nmであることが好ましく、より好ましくは120〜200nmである。上記範囲によりインク吸収性と表面光沢がさらに改良される。本発明の二次粒子の平均粒径とはアルミナ水和物の分散液を固形分濃度を2%以下まで希薄しレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される。二次粒子の粒径はアルミナ水和物のもつ分散性に支配されるが、解膠剤の添加量や固形分濃度によりある程度調整は可能である。
【0015】
本発明に用いられる上記のアルミナ水和物の分散液を安定化させるためには、ゾルの解膠剤やアルミナ水和物粉末の分散剤として、種々の酸類が添加される。このような酸類として無機酸としては硝酸、塩酸、臭化水素酸等が挙げられ、有機酸としは乳酸、酢酸、蟻酸等が挙げられる。本発明においては製造設備の腐食や取り扱い性の面からカルボン酸を用いることが好ましい。また、カルボン酸と無機酸を併用してもよく、カルボン酸の添加は無機酸を添加する前でも後でもよく、同時に添加してもよい。アルミナ水和物分散液において、酸の添加量はアルミナ水和物のAl換算100gに対して10〜120ミリモルが好ましく、特に20〜80ミリモルがより好ましい。
【0016】
本発明に用いられるアルミナ水和物分散液の分散には、例えば歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、高圧ホモジナイザー、超音波分散機およびビーズミル等公知の分散装置が用いられる。また、アルミナ水和物粉末を分散するときに添加する酸はアルミナ水和物微粉末を水に添加する前でも後でもよく、同時に添加してもよい。
【0017】
本発明に用いられるアルミナ水和物分散液の固形分濃度は一般的にはAl換算で10〜35質量%であるが、20〜30質量%が好ましい。
【0018】
本発明に用いられるアルミナゾル塗工液には、水溶性バインダーとして、ケン化度95%以上のポリビニルアルコールとケン化度95%未満のポリビニルアルコールの2種が併用される。ケン化度95%以上のポリビニルアルコール単独では塗液が増粘しやすく粘度調整が難いため好ましくない。一方、ケン化度95%未満ポリビニルアルコール単独では塗工液にカルボン酸が含まれていると塗工液の低温での成膜性に悪影響を与えやすく、塗布性やインク吸収性の点から好ましくはない。ケン化度95%未満のポリビニルアルコールの好ましいケン化度の下限は70%であり、より好ましくは78%である。本発明で使用されるケン化度95%以上のポリビニルアルコール(A)とケン化度95%未満のポリビニルアルコール(B)の好ましい質量比(A/B)は0.05〜1であり、より好ましくは0.1〜0.5である。また、上記した2種のポリビニルアルコールの平均重合度は500〜6000が好ましく、1000〜5000がより好ましい。
【0019】
本発明に使用されるアルミナゾル塗工液における上記2種のポリビニルアルコールの合計の含有量は、アルミナ水和物に対して3〜30質量%が好ましく、特に好ましくは5〜22質量%である。この範囲であれば、インク吸収性を低下させることなく、適度な塗層強度を得ることができるので好ましい。
【0020】
本発明に使用されるアルミナゾル塗工液には上記したポリビニルアルコール以外にカチオン変性ポリビニルアルコールや他の水溶性バインダー、例えば、カゼイン、ゼラチンポリビニルピロリドン、デンプン、アルギン酸、ポリエチレンオキサイド等やそれらの誘導体を併用してもよい。これらの水溶性バインダーの添加量はポリビニルアルコールに対して20質量%以下であることが望ましい。
【0021】
本発明は、上記ポリビニルアルコールと共に架橋剤を使用するが、架橋剤としてほう酸またはほう酸塩が好ましい。ほう酸またはほう酸塩をアルミナゾル塗工液に使用した場合、特に、塗布後15℃以下の低温で冷却するとゲル化しやすくなり塗布性に関して好ましい。
【0022】
本発明で使用されるほう酸は、オルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸等、ほう酸塩としてはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。ほう酸またはほう酸塩の添加量はアルミナゾル塗工液中のポリビニルアルコールに対して0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
【0023】
本発明は、ほう酸またはほう酸塩以外にポリビニルアルコールの架橋剤(硬膜剤)を併用して用いてもよい。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウムの如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
本発明に使用されるアルミナゾル塗工液にはカルボン酸またはその塩が含まれる。これらは良好な塗布性とインク吸収性を向上のために必要であるが、添加するタイミングとして、上記したアルミナゾルの解膠剤もしくは分散剤として、塗工液のpH調整剤として、あるいはインク吸収助剤等として添加される。カルボン酸またはその塩はアルミナゾル塗工液中で、アルミナ水和物表面へのポリビニルアルコールの吸着性に影響を与えていると推測される。特にケン化度95%未満のポリビニルアルコールとアルミナ水和物の吸着を阻害する方向に作用すると考えられ、ケン化度95%以上のポリビニルアルコールとの併用により塗工液の安定性と塗工液の低温でのゲル化のバランスが適度に保たれていると推測している。
【0025】
本発明で用いられるカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられる。上記カルボン酸のアルミナゾル塗工液での含有量は、アルミナ水和物のAl換算100gに対して10〜120ミリモルが好ましい。
【0026】
本発明のアルミナゾル塗工層には、耐水性改良目的等でカチオン性化合物を含有するのが好ましい。カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー、水溶性金属化合物が挙げられる。
【0027】
本発明に用いられるカチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000〜10万程度が好ましい。
【0028】
これらのカチオン性ポリマーの使用量はアルミナ水和物に対して1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。
【0029】
本発明に用いられる水溶性金属化合物として、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0030】
また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0031】
[Al(OH)Cl6−n ・・一般式1
[Al(OH)AlCl ・・一般式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・一般式3
【0032】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0033】
本発明において、上記水溶性金属化合物のアルミナ塗工層中の含有量は、0.1g/m〜10g/m、好ましくは0.2g/m〜5g/mである。
【0034】
上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用してもよい。
【0035】
本発明において、アルミナゾル塗工層には、更に、界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0036】
本発明において、支持体上にアルミナ水和物およびポリビニルアルコール含有のインク受容層を少なくとも1層設けるが、それ以外に少なくとも1層のアルミナ水和物以外の多孔性無機微粒子としてコロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ等を含有する層を設けてもよい。
【0037】
本発明において、アルミナ水和物およびポリビニルアルコールを含有のインク受容層の合計の塗布量は乾燥固形分量で10g/m〜50g/mが好ましく、より好ましくは18g/m〜40g/mである。また、アルミナ水和物およびポリビニルアルコールを含有するインク受容層に加えてアルミナ水和物以外の多孔性無機微粒子含有層を塗設する場合の塗布量は、各層の乾燥固形分量の合計で15g/m〜50g/mが好ましく、より好ましくは20g/m〜40g/mである。
【0038】
本発明に用いられる支持体としては、一般紙、アート紙、コート紙等の吸水性支持体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙の両面にポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂被覆紙等の耐水性支持体が挙げられる。特に樹脂被覆紙が好ましく用いられる。
【0039】
本発明において好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0040】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0041】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/mが好ましい。
【0042】
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0043】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0044】
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などを有し、特に光沢面が優位に用いられる。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚味に表面または表裏両面にコーティングされる。
【0045】
本発明において、アルミナゾル塗工液の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0046】
本発明において、アルミナゾル塗工液を支持体上に塗設後乾燥する工程において膜面温度を15℃以下に冷却後乾燥することが好ましい。乾燥温度は60℃未満の低温で行うのが好ましい。低温で乾燥することによりアルミナ水和物塗工層がゲル化した状態で空隙構造形成するため塗布性やインク吸収性に優れたインクジェット記録材料が得られる。
【0047】
本発明において、インクジェット記録材料には、アルミナ水和物微粒子を含有するインク受容層に加え、該層の上に、耐傷性を向上のための保護層を設けても良い。保護層としてはコロイダルシリカや球状アルミナ等の無機微粒子を含む多孔質層が挙げられる。
【0048】
フィルム支持体、樹脂被覆紙にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、好ましくはコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が行われる。
【0049】
本発明は、耐水性支持体であるフィルムや樹脂被覆紙を使用する場合に、インク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。該プライマー層の上に、本発明の無機微粒子含有のインク受容層を塗布した後、冷却し、比較的低温で乾燥することによって、更にインク受容層の透明性が向上する。
【0050】
耐水性支持体上に設けられるプライマー層はゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする。係る合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0051】
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【0052】
本発明における支持体には筆記性、帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種バックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部及び%は質量部、質量%を示す。
【0054】
実施例1
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100質量%の樹脂に対して、10質量%のアナターゼ型二酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーディングし、微粗面化工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70質量部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
【0055】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の微粗面加工された表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成のプライマー層をゼラチンが50mg/mとなるように塗布乾燥して支持体を作成した。
【0056】
<プライマー層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0057】
上記支持体のプライマー層上に下記アルミナゾル塗工組成物よりなる塗工液をスライドビード塗布装置で塗布し乾燥した。アルミナゾル塗工層が固形で35g/mになるように塗布、乾燥した。
【0058】
<アルミナゾル塗工組成物>
擬ベーマイト分散液(Al換算で固形分濃度25%) 100部
(一次粒子の平均粒径14nm、2次粒子の平均粒径170nm)
ほう酸 0.3部
ポリビニルアルコールA 10部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ポリビニルアルコールB 2部
(ケン化度98%、平均重合度1700)
界面活性剤 0.2部
(商品名:SWAM AM−2150、日本サーファクタント社製)
【0059】
上記加剤に蒸留水を加え固形分濃度20%、pH3.9のアルミナゾル塗工液を得た。上記の擬ベーマイト分散液は蒸留水に解膠剤として酢酸をAl換算100gに対して80ミリモルなるように予め添加しておき、分散装置(特殊機化工業社製、ハイビスディスパーミックス)により攪拌しながら、この溶液に擬ベーマイト粉末(DISPERAL HP14、Sasol社製)を添加し、添加後さらに60分攪拌を続けて分散液を作製した。
【0060】
塗布後の乾燥条件を下記に示す。
5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥した。
【0061】
上記のようにして作成したインクジェット記録シートについて下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0062】
<塗布性>
塗布面の状態を目視観察し評価した。
○:塗布ムラ、スジの表面欠陥がみられない。
△:塗布ムラ、スジなどの表面欠陥がわずかにみられる。
×:塗布ムラ、スジの程度が著しい。
【0063】
<インク吸収性>
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM880C)にて、レッド、グリーン、ブルー、重色系100%および70%のベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:やや転写する。
×:転写が大きく実使用不可。
【0064】
実施例2
実施例1の擬ベーマイト分散液の解膠剤として乳酸に代えた以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例3
実施例1のポリビニルアルコールを下記のものに代えた以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコールA 10部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ポリビニルアルコールC 2部
(ケン化度96%、平均重合度2400)
【0066】
実施例4
実施例1のポリビニルアルコールを下記のものに代えた以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコールD 10部
(ケン化度88%、平均重合度4500)
ポリビニルアルコールE 2部
(ケン化度99.7%、平均重合度3500)
【0067】
比較例1
実施例1の擬ベーマイト分散液の解膠剤を酢酸から硝酸に代えAl換算100gに対して30ミリモル添加にした以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
実施例1のポリビニルアルコールを下記の単独に代えた以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコールA 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
【0069】
比較例3
実施例1のポリビニルアルコールを下記の単独に代えた以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコールC 12部
(ケン化度96%、平均重合度2400)
【0070】
比較例4
実施例2のポリビニルアルコールを下記の単独に代えた以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコールA 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
【0071】
比較例5
実施例1のアルミナ塗工組成物からほう酸を除いた以外は実施例1と同様にして比較例5のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 2004299165
【0073】
結果:実施例1〜4の結果から明らかなようにカルボン酸とケン化度95%以上とケン化度90%未満のポリビニルアルコールを併用したアルミナゾル塗工液から得られたインクジェット記録材料は良好な塗布性とインク吸収を示し優れている。比較例1はカルボン酸を含まないアルミナゾル塗工液の場合であるが低温ゲル化が不十分であり、塗布性、インク吸収性に劣っている。比較例2および4はケン化度95%以上のポリビニルアルコールを含まないものであるが塗布性が悪く、インク吸収性に劣る。比較例3はケン化度95%未満のポリビニルアルコールを含まないものであるが塗布性にやや劣り不十分なレベルにある。比較例5はほう酸を含まないアルミナゾル塗工液の場合であるが低温ゲル化が不十分であり、塗布性、インク吸収性に劣っている。
【0074】
【発明の効果】
本発明は、アルミナゾル塗工液を支持体上に塗布したインクジェット用記録材料の製造方法に関し、特に塗布性およびインク吸収性に優れたインクジェット用記録材料が得られる。

Claims (3)

  1. アルミナ水和物とポリビニルアルコールおよび架橋剤を含有する塗工液を支持体上に塗布してインク受容層を形成するインクジェット用記録材料の製造方法において、前記塗工液がカルボキシル基を含有する有機酸またはその塩を含みかつケン化度95%以上のポリビニルアルコールとケン化度95%未満のポリビニルアルコールの2種を併用した塗工液であることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
  2. 前記架橋剤がほう酸またはほう酸塩であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用記録材料の製造方法。
  3. 前記塗工液を塗布後、膜面温度を15℃以下に冷却する工程が含まれる請求項1または2に記載のインクジェット用記録材料の製造方法。
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