JPH10166715A - インクジェット記録シート - Google Patents

インクジェット記録シート

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JPH10166715A
JPH10166715A JP8328983A JP32898396A JPH10166715A JP H10166715 A JPH10166715 A JP H10166715A JP 8328983 A JP8328983 A JP 8328983A JP 32898396 A JP32898396 A JP 32898396A JP H10166715 A JPH10166715 A JP H10166715A
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ink
weight
silica
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jet recording
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Katsuhiko Kawasaki
克彦 川崎
Tetsuya Uto
哲也 宇戸
Mitsuhiro Ikeda
光弘 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い表面光沢や優れたインク吸収性を有し、か
つ、耐擦傷性に優れたインクジェット記録シートを提供
すること。 【解決手段】支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物
からなるインク受理層を設けたインクジェット記録シー
トであって、該インク受理層の上に少なくとも非球状の
シリカ粒子を含んだシリカ層を設けることにより解決で
きた。非球状シリカとして、活性珪酸のコロイド液に水
溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの
混合物を、コロイド液中の活性珪酸に対し各酸化物換算
重量比[(CaO+MgO)/SiO2]で好ましくは
1500〜8500ppm有する水溶液を添加し、さら
にアルカリ金属原子、有機塩基、またはそれらの水溶液
の珪酸塩を加えて加熱する工程により製造したシリカを
用いることにより、良好な結果が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式を利用したプリンターやプロッターに使用される
インクジェット記録シートに関するものであり、特にカ
ラー記録での要望が高い写真印画紙調の光沢を有するイ
ンクジェット記録シートまたはOHPフィルムとして使
用可能な透明性が高いインクジェット記録シートに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンターやプロ
ッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高
精細な画像が容易に得られるようになってきた。これに
伴い、従来からあるインクジェット記録用の上質紙や塗
工紙以外のインクジェット記録シートの開発が切望され
ている。
【0003】インクジェット記録方式は、種々の作動原
理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シー
トに付着させ、画像・文字等の記録を行なうものであ
る。インクジェットプリンターやプロッターは、高速印
字性や低騒音性に優れ、記録パターンの融通性が大き
く、現像−定着が不要等の特長があり、複雑な画像を正
確、かつ迅速に形成することができる点で注目されてい
る。特にコンピューターにより作成した文字や各種図形
等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用
途において、近年急速に普及している。また、複数個の
インクノズルを使用することにより、多色記録を行うこ
とも容易である。多色インクジェット方式により、形成
されるカラー画像は、製版方式による多色印刷やカラー
写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得る
ことが可能であり、さらに作成部数が少ない用途におい
ては、印刷技術や写真技術によるよりも安価で済むこと
から広く応用されつつある。
【0004】最近では、銀塩写真の画像に匹敵する高精
細な画像を出力できるインクジェットプリンター等が安
価で市販されている。インクジェット記録シートは、銀
塩写真方式と比べ同品質の画像が得られながら非常に安
価であることから、大面積の画像が必要な広告や商品見
本等で表示画像を頻繁に取り替える利用者にとって経済
的に大きなメリットがある。また、最近一般的になって
きたパーソナルコンピューター上で画像を作成し、これ
をプリントアウトを見ながら配色やレイアウトを訂正す
ることは従来の銀塩写真方式では全く無理であったが、
インクジェット記録ではこのような操作が気軽にできる
という長所もある。
【0005】インクジェット記録方式で使用される記録
シートとしては、通常の印刷、あるいは筆記用上質紙や
コーテッド紙を用いることができるように、装置やイン
ク組成の面から努力がなされてきた。しかし、高速化・
高精細化、あるいはフルカラー化等インクジェット記録
装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対
しても、より高度な特性が要求されるようになった。即
ち、当該記録シートとしては、印字ドットの濃度が高
く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速
くて、印字ドットが重なった場合においてもインクが流
れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向へ
の拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼ
やけないこと等が要求される。特に、カラー記録の場合
は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの単色記録
だけでなく、これらの色を重ねる重色記録がなされ、イ
ンク付着量がさらに多くなるために極めて厳しい性能が
要求される。
【0006】近年、インク吸収速度が速く、かつ光沢性
を高めたインクジェット記録シートとして、アルミナ水
和物を用いたインクジェット記録シートが提案されてお
り、例えば、特開昭60−232990号、同60−2
45588号、特公平3−24906号、特開平2−2
76670号、同3−215082号、同4−3757
6号、同4−67986号、同5−16517号、同5
−24335号、同5−32037号、同5−5073
9号、同5−286228号、同5−301441号、
同6−48016号、同6−55829号、同6−18
3126号、同6−184954号、同6−19903
4号、同6−199035号、同6−218324、同
6−255235号、同6−262844号、同6−2
70530号、同6−286297号、同6−2978
31号、同6−297832号、同6−316145
号、同7−68919号、同7−68920号、同7−
76161号、同7−82694号、同7−89221
号、同7−172038号公報等に記載されているよう
に微細なアルミナゾルを水溶性バインダーとともに支持
体表面に塗工したインクジェット記録シートが開示され
ている。
【0007】これらのインクジェット記録シートは、画
質、光沢の点で優れており、非常に好ましい。しかしな
がら、これらアルミナ水和物からなるインク受理層の表
面は非常に傷がつきやすいという欠点を有しており、布
や紙等でこするだけで記録物の品質を著しく損なうおそ
れがあった。
【0008】これを解決する手段として、特開平7−7
6162号公報記載のごとく、インク受理層の上にシリ
カ層を設けるという方法がある。しかしながら、一般的
な球状粒子のシリカのみを用いた場合、シリカ層の粒子
の充填が密になるため、シリカ層がインクの浸透を阻害
し、結果として画像が悪化するという欠点を有してい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
表面光沢や優れたインク吸収性を有し、かつ耐擦傷性に
優れたインクジェット記録シートを提供することであ
る。さらに詳しくは、擬ベーマイト状アルミナ水和物か
らなるインク受理層を有し、カラー記録での要望が高い
写真調の光沢を有するインクジェット用被記録シート、
またはOHPフィルムとして使用可能な透明性が高いイ
ンクジェット記録シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は以下に述
べる手段によって解決することができた。すなわち、支
持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク
受理層を設け、その上に少なくとも非球状のシリカ粒子
を含んだシリカ層を有することを特徴とするインクジェ
ット記録シートである。
【0011】非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層は、
球状のシリカ粒子だけからなるシリカ層に比して、ミク
ロ的には粒子の充填が粗になるため、球状のシリカ粒子
だけからなるシリカ層よりインクの浸透が良く、またマ
クロ的には球状のシリカ粒子だけからなるシリカ層と同
程度の透明性及び光沢を有するから、これにより、擬ベ
ーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層が有す
る画質や光沢を実質的に損なわず、かつアルミナ水和物
からなるインク受理層の欠点である傷つきやすさが著し
く改善される。
【0012】また、上記非球状のシリカ粒子として、下
記(a)の工程により製造されるシリカ粒子を用いたイ
ンクジェット記録シートである。 (a)活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウ
ム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物を有する
水溶液を添加し、さらにアルカリ金属水酸化物、水溶性
有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩を加えて加熱す
る工程。
【0013】この工程(a)により得られるシリカ粒子
は小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い構造または
三次元網目構造を有するため、これをシリカ層に含むこ
とによりさらに粒子の充填が粗となりやすく、インクの
浸透性に優れたシリカ層となる。
【0014】また、上記(a)の工程で用いられるカル
シウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物の総
量に対する活性珪酸の各酸化物換算重量比[(CaO+
MgO)/SiO2]が1500〜8500ppmであ
り、非球状シリカ粒子として細長い形状のシリカ粒子を
含むシリカ層を有するインクジェット記録シートであ
る。
【0015】カルシウム塩、マグネシウム塩、またはこ
れらの混合物の量を上記の範囲とすることにより、細長
い形状のシリカ粒子が得られる。この細長い形状のシリ
カ粒子を用いると、さらにシリカ層における粒子の充填
が粗となりやすく、インク浸透性がより向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のインクジェット
記録シートの構成要素及びその製造方法について詳細に
説明する。本発明のインクジェット記録シートは、支持
体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受
理層を設け、その上に少なくとも非球状のシリカ粒子を
含んだシリカ層を有する。
【0017】本発明に係わるシリカ層を構成するシリカ
粒子は、非球状であることが特徴である。シリカのコロ
イド状粒子の形状は、一般的に球状または球状に近い形
状をしているのに対して、本発明に係わる非球状シリカ
粒子は、小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い形
状、または三次元網目構造を有しているものを指す。
【0018】細長い形状の粒子とは三次元方向には伸長
を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形
状の粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているも
の、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。
これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、これら
細長い形状の粒子が文字通り三次元的に絡まった網目状
構造を有するものを指す。
【0019】本発明に係わるこれら非球状のシリカ粒子
は種々の方法によって得られ、本発明においては、いか
なる方法によって得られたものであっても、シリカ粒子
が非球状を有していれば本発明に用いることができる
が、非球状のシリカ粒子の形成方法として、例えば一般
的な水ガラスからアルカリ分を除去して活性珪酸とし、
非球状(鎖状)に連結するように2価以上の陽イオンを
加えて粒子を成長させることにより得られる。
【0020】本発明で言う活性珪酸とは、珪酸及び粒子
径3nm未満の珪酸の重合体が共存するコロイド粒子で
あり、公知の方法で容易に得られる。好ましい活性珪酸
のコロイド水溶液は、水溶性珪酸塩、例えばSiO2
2O(但し、Mはアルカリ金属原子を示す)モル比が
1〜4.5程度の水ガラスの希釈液を陽イオン交換処理
することにより得られ、SiO2換算で通常6重量%以
下、好ましくは1〜6重量%含有し、通常pH5以下、
好ましくは2〜5であるものが用いられる。このpH
は、上記水ガラス希釈液を陽イオン交換処理する際、そ
の中の陽イオンの一部分を残存させることによっても、
あるいはその中の陽イオンの全部または一部分を除いた
後に得られた活性珪酸のコロイド水溶液に少量のアルカ
リ金属酸化物、水溶性有機塩基等を加えることによって
も容易に調製することができる。この活性珪酸のコロイ
ド液は不安定であって、ゲル化しやすい性質を有するの
で、このゲル化を促進するがごとき不純物をなるべく含
有しないものが好ましく、また調製直後のものが好まし
い。さらに好ましい活性珪酸のコロイド水溶液は、Si
2/Na2Oモル比が2〜4程度の市販工業製品のナト
リウム水ガラスの希釈水溶液を水素型陽イオン交換樹脂
を通過させることにより得られる。
【0021】この活性珪酸のコロイド水溶液に、非球状
(鎖状)に連結するように2価以上の陽イオンを加えて
粒子を成長させる。2価以上の陽イオンとしては、カル
シウムイオン及びマグネシウムイオンが好ましく、カル
シウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物の形
態で、水溶液として添加することが好ましい。このカル
シウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物の総
量としては、上記活性珪酸に対し、それぞれの酸化物と
して換算した重量比[(CaO+MgO)/SiO2
では1500〜25000ppm、細長い粒子の場合は
特に1500〜8500ppmとなる量が好ましい。
【0022】また、これらの塩の添加は活性珪酸のコロ
イド液の攪拌下に行うのが良く、その場合の混合温度及
び時間には特に制限はないが、2〜50℃で5〜30分
程度が好ましい。加えられるカルシウム塩及びマグネシ
ウム塩の例としては、カルシウムまたはマグネシウムの
塩化物、硝酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、蟻酸塩、
及び酢酸塩等の無機酸塩及び有機酸塩が挙げられる。こ
れらカルシウム塩とマグネシウム塩は混合して用いても
良い。また、これらの塩の添加時の濃度としては特に制
限はなく、2〜20重量%程度で良い。
【0023】これらカルシウム塩及びマグネシウム塩等
と共にカルシウム及びマグネシウム以外の多価金属成分
が上記活性珪酸のコロイド液に含まれていると、さらに
好ましくシリカゾルを製造することができる。このカル
シウム及びマグネシウム以外の多価金属の例としては、
Sr、Ba、Zn、Sn、Pb、Cu、Fe、Ni、C
o、Mn、Al、Cr、Y、Ti、及びZn等の2価、
3価または4価の金属が挙げられる。これら多価金属成
分の量としては、カルシウム塩及びマグネシウム塩の量
をそれぞれCaO及びMgOの量に換算した時、これら
CaO及びMgOに対し、多価金属酸化物として10〜
80重量%程度が好ましい。
【0024】上記水ガラスの希釈溶液を陽イオン交換処
理することによって得られた活性珪酸のコロイド液に上
記多価金属分が残留している場合には、この多価金属分
は上記10〜80重量%の一部として算入する。残部の
多価金属分は、上記多価金属の水溶液として、加えられ
るカルシウム塩及びマグネシウム塩等と一緒に加えるの
が好ましい。この多価金属の好ましい例としては、塩化
物、硝酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、蟻酸塩、及び
酢酸塩等の無機酸塩や有機酸塩が挙げられる。また、亜
鉛酸塩、錫酸塩、アルミン酸塩、及び鉛酸塩等、例え
ば、アルミン酸ナトリウム、錫酸ナトリウム等の塩も用
いることができる。加えられる上記カルシウム塩、マグ
ネシウム塩、及び多価金属塩等は、活性珪酸のコロイド
液と均一に混合するのが好ましく、通常、水溶液として
添加される。
【0025】上記の工程によって得られた水性液に、ア
ルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの
水溶性珪酸塩を加える。この添加は、上記工程の終了後
なるべく早く、そして攪拌下に行うのが好ましい。また
これらの混合の温度及び時間には特に制限はないが、2
〜50℃で5〜30分程度が好ましい。加えられるアル
カリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水
溶性珪酸塩は、上記工程によって得られた水性液と均一
に混合されるのが好ましく、直接または水溶液として添
加される。
【0026】アルカリ金属水酸化物としては、例えば、
ナトリウム、カリウム、及びリチウム等の水酸化物が挙
げられる。有機塩基としては、例えば、テトラエタノー
ルアンモニウム水酸化物、モノメチルトリエタノールア
ンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム水酸化
物等の第4級アンモニウム水酸化物類、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(β−アミノ
エチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミ
ン、モノプロパノールアミン、及びモルホリン等のアミ
ン類、その他塩基性窒素原子含有の有機化合物等が挙げ
られる。また、それらの水溶性珪酸塩としては、珪酸ナ
トリウム、珪酸カリウム、上記第4級アンモニウムの珪
酸塩、上記アミンの珪酸塩等が例示される。
【0027】さらに、アルカリ金属または有機塩基のア
ルミン酸塩、蟻酸塩、亜鉛酸塩、及び鉛酸塩等も用いる
ことができる。これらアルカリ金属水酸化物、有機塩
基、珪酸塩、及び金属酸塩等は混合して用いても良い。
上記アルカリ金属水酸化物のアルカリ金属原子または有
機塩基の分子をMで表せば、加えられるアルカリ金属水
酸化物、有機塩基またはそれらの水溶性珪酸塩の量は、
活性珪酸に由来するシリカ分及び珪酸塩のシリカ分の合
計をSiO2として、SiO2/M2Oが20〜200、
好ましくは60〜100のモル比となる量が良い。この
添加によって、液はpH7〜10程度を示すに至る。
【0028】以上の工程により得られた混合物を60〜
300℃で30分〜40時間、好ましくは90〜150
℃で2〜12時間加熱することによりSiO2濃度1〜
6重量%の非球状の形状を有するシリカゾルが得られ
る。所望によりこのゾルを濃縮することにより、より高
濃度なゾルが得られる。尚、上記の方法によって得られ
た非球状のシリカ粒子は、動的光散乱法により測定した
粒子径が40〜300nmの範囲であり、電子顕微鏡観
察によると5〜40nmの太さで一平面内または三次元
的に成長した形状を有している。
【0029】本発明に係わる非球状のシリカ粒子は、少
なくとも本発明のインクジェット記録シートにおけるシ
リカ層を形成するための塗液において、非球状の形状で
存在していれば良く、シリカ層形成用塗液の調液に先だ
って、上記の方法を含めて本発明に係わる非球状のシリ
カ粒子を調製し、これを用いてシリカ層形成用塗液を調
製しても良いし、シリカ層形成用塗液調液時に、塗液中
で上記の方法を含めて本発明に係わる非球状のシリカ粒
子を調製しつつ塗液を調液しても良い。塗液調液前に予
め本発明に係わる非球状のシリカ粒子を用意しておくの
であれば、市販のものも用いることができる。市販の非
球状のシリカ粒子の例としては、日産化学工業製スノー
テックスUP、及びスノーテックスOUP等が挙げられ
る。
【0030】本発明において、擬ベーマイト状アルミナ
水和物からなるインク受理層上にシリカ層を設けること
により、これらの層全体としての耐擦傷性が向上する機
構は明らかではないが、シリカ層の皮膜強度がアルミナ
水和物層のそれに比べて優れているためであると推測さ
れる。アルミナ水和物層にシリカを混合して一層構成と
することによっても目的を達成できる可能性はあるが、
アルミナゾルとシリカゾルを混合した塗液は分散状態等
が不安定になりやすく、またそうして得られたインクジ
ェット記録シートもインク吸収性、耐擦傷性ともに二層
構成とした場合よりも劣るため好ましくない。
【0031】一方、本発明のような層構成のインクジェ
ット記録シートにおいては、インクを吸収し色素を定着
する機能は、主としてアルミナ水和物層が有し、シリカ
層はそれの保護層として機能する。従って、インクジェ
ットプリンターからのインクは、シリカ層を透過してア
ルミナ水和物層にまで浸透し、色素がアルミナ水和物層
で定着される。非球状粒子のシリカを用いることによ
り、インク吸収性への悪影響が弱まった理由としては、
球状の粒子を単独で使用した場合と比較してパッキング
率が低く、インクの浸透を阻害しにくいためと考えられ
る。さらに、非球状粒子を使用することで、球状粒子を
単独で用いた場合と比較して、より少ない塗工量で優れ
た耐擦傷性を実現することができる。
【0032】従って、シリカ層の塗工量を少なくするこ
とにより、耐傷強度はそのままに、インクの浸透性への
悪影響が軽減されるだけでなく、インクジェット記録シ
ートのヘーズ(曇価)の悪化も軽減されるため、特にO
HPシートとして用いる場合、その透明度を高くするこ
とが可能となって好ましい。
【0033】本発明では、球状粒子と非球状粒子を混合
して用いた場合にも、上記と同様の効果が得られる。最
適な混合比率は用いる非球状粒子及び球状粒子の種類や
混合比によって異なる。例えば、非球状シリカとしてス
ノーテックスUP(日産化学工業製)、球状シリカとし
てスノーテックス20(日産化学工業製)を用いた場
合、スノーテックスUPとスノーテックス20の比が重
量比で10:0(すなわち非球状シリカ単独)から8:
2の範囲ではほとんど差がなく、耐擦傷性、インク吸収
性ともに良好である。同比が5:5付近でもっともイン
ク吸収性が悪化した。また同比2:8で再び良好な特性
を示し、0:10(すなわち球状シリカ単独)の場合よ
りも優れている。このような現象は、シリカ層のパッキ
ング率に起因していると考えられる。
【0034】シリカ層を設けることにより、シート表面
の触感も向上する。シリカ層を設けない場合には、アル
ミナ水和物層を直接指等で触ると皮脂が吸収されるため
か、指先がシートに吸い付くような不快な感触があっ
た。しかし、上にシリカ層を設けることで、それが大き
く軽減される。さらに、表面の滑りが良くなるため、プ
リンターへの通紙性や、大量の枚数を扱う際のハンドリ
ング性も向上することが期待できる。
【0035】本発明に係わるシリカ層は、擬ベーマイト
状アルミナ水和物からなるインク受理層上にシリカゾル
塗液を塗布、乾燥して得られるが、本発明に係わる非球
状シリカを含むシリカ粒子の分散媒としては、水単独で
も良いし、水可溶性の有機溶媒、例えば、メタノール、
エタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び
ジメチルアセトアミド等、を水に混合して用いても良
い。さらに、本発明に係わる非球状シリカ粒子のの製造
工程において、水を上記水溶性有機溶媒に置換した有機
溶媒分散タイプ(オルガノシリカゾル)も用いることが
できる。オルガノシリカゾルを用いる場合、水に不溶の
バインダーを併用することもできるため、水を主溶媒と
するインクによるバインダーの溶解、膨潤を防ぐことが
できるため好ましい。
【0036】本発明に係わるシリカ層は、非球状シリカ
粒子を含むシリカ総固形分に対して100重量%程度を
上限としてバインダーを併用しても良い。バインダー添
加量が多いほど、シリカ層の耐擦傷性は向上するが、多
すぎるとインクジェット記録シートのインク吸収性、換
言すれば、シリカ層の下層の実質的にインクを吸収し色
素を定着するアルミナ水和物層へのインク到達度を悪化
させるため、上記の範囲が好ましい。さらに、シリカ総
固形分に対してバインダーを1〜30重量%とすること
により、インク吸収性と耐擦傷性のバランスが良く、好
ましい。
【0037】本発明に係わるシリカ層に用いるバインダ
ーとしては、溶媒に合わせて様々なポリマーを選ぶこと
ができる。例えば溶媒が水の場合、メチルセルロース、
メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ
プロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース
等のセルロース系バインダー、でんぷん及びその変性
物、ゼラチン及びそれらの変性物、カゼイン、プルラ
ン、アラビアゴム、カラヤゴム、及びアルブミン等の天
然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコ
ール及びその変性物、SBRラテックス、NBRラテッ
クス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルシ
ョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等
のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレ
イン酸またはその共重合体等を挙げることができるが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】本発明におけるシリカ層形成用塗液の塗布
方法としては、ダイレクトグラビア方式を用いるのが好
ましいが、それ以外のマイクログラビア方式、リバース
グラビア方式、スライドホッパー方式、カーテン方式、
エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロッドバー
コーティング方式、及びロールコーティング方式等の通
常用いられている塗布方法も用いることができる。
【0039】塗布性等を改善する目的で、本発明に係わ
るシリカ層形成用塗液に界面活性剤を添加しても良い。
用いる界面活性剤の種類は、特に限定されず、アニオン
系、カチオン系、ノニオン系、またはベタイン系のいず
れのタイプから選択しても良く、また、低分子のもので
も高分子のものでも良い。1種もしくは2種以上界面活
性剤を組み合わせて用いても良い。
【0040】本発明に係わるシリカ層の乾燥塗工量は、
0.05〜5g/m2の範囲が好ましい。この範囲を下
回ると、対擦傷性が十分に得られないことがあって好ま
しくない。また、この範囲を超えると、シリカ層のヘー
ズが悪化する。そのため、特に透明フィルムを基材とし
て用いてOHP用シートとする場合、透光性が悪化する
ため好ましくない。また、不透明基材を用いて印字面側
から見ることを目的としたシートの場合にも、印字部分
の発色に悪影響して好ましくない。これは、インクの色
素はアルミナ水和物からなるインク受理層において定着
するため、上に設けたシリカ層が濁っているとくすんだ
ような発色となるためである。
【0041】次に、本発明に係わるインク受理層を説明
する。本発明のインクジェット記録シートにおけるイン
ク受理層は、本発明に係わるシリカ層の形成に先立っ
て、支持体上に設けられ、少なくとも擬ベーマイト状ア
ルミナ水和物からなる。本発明に係わる擬ベーマイト状
アルミナ水和物は、平均細孔半径が1〜10nm、特に
好ましくは3〜7nmであるアルミナ水和物からなるこ
とがことが好ましい。これは、アルミナ水和物の細孔半
径が小さすぎるとインクを吸収し難く、また、細孔半径
が大きすぎると、インク中の染料の定着が悪くなり画像
のにじみが発生するためである。
【0042】本発明に係わるアルミナ水和物が十分なイ
ンク吸収容量を有するには、アルミナ水和物の細孔体積
は0.3〜0.8ml/gの範囲であることが好まし
く、特に0.4〜0.6ml/gの範囲であることが好
ましい。インク受理層の細孔体積が大きい場合にはイン
ク受理層にひび割れや粉落ちが発生することがあり、小
さい場合にはインクの吸収が遅くなる傾向がある。さら
に、単位面積当たりのインク受理層の溶媒吸収量は5m
l/m2以上、特に10ml/m2以上であることが好ま
しい。単位面積当たりの溶媒吸収量が小さい場合には、
特に多色印字を行った場合にインクが溢れることがあ
る。
【0043】本発明に係わるアルミナ水和物が、インク
中の染料を十分に吸収して定着するには、BET比表面
積が70〜300m2/gの範囲であることが好まし
い。BET比表面積が大きすぎると、細孔径分布が大き
い方に片よって、インク中の染料の定着の効率が悪くな
り画像のにじみが発生する。逆に、BET比表面積が小
さすぎると、アルミナ水和物の分散が困難になる。
【0044】良好なインク吸収容量を得るためには、イ
ンク受理層の塗工量として固形分で20g/m2以上、
好ましくは30〜50g/m2以上必要である。そのた
め、インク受理層形成用塗液に用いるアルミナ水和物分
散液は15重量%以上、好ましくは20重量%以上の濃
度であることが好ましい。アルミナ水和物の分散液の濃
度を上げるためには、アルミナ水和物の表面水酸基の数
は1020個/g以上であることが好ましい。表面水酸基
の数が少ないと、アルミナ水和物が凝集し易くなり、分
散液の濃度を上げるのが困難になる。
【0045】また、通常アルミナ水和物の分散液は、そ
の製造過程で用いた揮発性塩基性物質、例えばアンモニ
アやトリエチルアミン等を含有しているために分散が不
安定になっており、濃縮等の方法によって15重量%以
上の濃度で安定な分散液を得ることは難しい。そこで、
蒸発乾固、フリーズドライ、あるいはスプレードライ等
の方法で揮発性塩基性物質を取り除き、得られたアルミ
ナ水和物の粉末あるいは固形物を水に再分散することに
より、15重量%以上でも安定なアルミナ水和物分散液
を得ることができる。
【0046】さらに、アルミナ水和物分散液を安定化さ
せるために、種々の酸類が分散液に添加しても良い。こ
のような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢
酸、蟻酸、塩化第二鉄、及び塩化アルミニウム等を挙げ
ることができる。
【0047】同様に、アルミナ水和物の分散を安定化す
ることを目的として、メタノール、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、及びグリ
セリン等のアルコールをインク受理層形成用塗液に添加
することができる。インク受理層形成用塗液の溶媒とし
て、50重量%程度を上限としての水に上記アルコール
を混合して用いることができる。
【0048】本発明に係わるインク受理層は、少なくと
も本発明に係わる擬ベーマイト状アルミナ水和物を含む
塗液を支持体上に塗布して形成する。また、このインク
受理層形成用塗液には、塗液の液性、塗液粘度、インク
受理層の成膜性、及び強度等を調整することを目的とし
て、水溶性バインダーを複数組み合わせて用いても良
い。このような水溶性バインダーとしては、完全ケン化
または部分ケン化のポリビニルアルコールが、擬ベーマ
イト状アルミナ水和物との混合性や塗液粘度の調整等の
点で特に好ましいが、この他に少なくとも本発明に係わ
るシリカ層形成用塗液に併用しても良い上記で例示した
バインダーはすべて用いることができる。
【0049】また、インク受理層形成用塗液を調製した
時に良好な液性を得るためには、調製するインク受理層
形成用塗液の粘度が100cps以上になるように、水
溶性バインダーを選択することが好ましい。また、イン
ク受理層形成用塗液の粘度が高すぎると塗布が困難とな
ることがあるため、塗液の粘度は5000cps以下に
なるように水溶性バインダーを選択することが好まし
い。
【0050】本発明に係わるインク受理層における水溶
性バインダーの使用量は、少ないとインク受理層の強度
が弱くなり、逆に多すぎるとインクの吸収を阻害するこ
とがあるため、水溶性バインダーの総量は、擬ベーマイ
ト状アルミナ水和物に対して、5〜20重量%が好まし
く、特に10〜15重量%が好ましい。
【0051】本発明においてインクジェット記録シート
を製造する場合には、界面活性剤を添加しなくても良好
な塗布性を得ることができる場合が多いが、より塗布性
を改善するため、あるいはインクがインク受理層に付着
した時のドット径を調整することを目的として、界面活
性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤
は、ノニオン性のものが好ましいが、必要に応じてアニ
オン系、カチオン系、ノニオン系、あるいはベタイン系
のいずれのタイプから選択してもよく、また、低分子の
ものでも高分子のものでも良い。これらは1種もしくは
2種以上界面活性剤を組み合わせて用いても良い。界面
活性剤の添加量は、固形分量でインク受理層を構成する
擬ベーマイト状アルミナ水和物に対して0.001〜5
重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量%
である。
【0052】さらに、本発明に係わるインク受理層に
は、上記の界面活性剤の他に、無機顔料、着色染料、着
色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍
光増白剤、粘度安定剤、及びpH調節剤等の公知の各種
添加剤を添加することもできる。
【0053】また、画像の解像性を向上させるために、
擬ベーマイト状アルミナ水和物の分散液と混合した際
に、凝集等を生じることがなければ、インク受理層に撥
水剤またはサイズ剤を含有することにより、印字ドット
径をコントロールして画像の解像性を向上させることが
できる。これらの撥水剤またはサイズ剤としては、一般
に市販されているものを使用することができる。また、
これらの撥水剤またはサイズ剤の形態は溶液または水系
エマルジョンのどちらでも使用可能である。インク受理
層へのこれらの撥水剤の添加量により印字ドット径をコ
ントロールすることができる。その添加量は各成分や濃
度及び希望する印字ドット径によって異なるが、通常有
効固形成分としてインク受理層の全固形分に対して0.
05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%で
ある。
【0054】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、インク受理層の層構成は、単層であっても積層構成
であっても良い。積層構成の場合、全層が擬ベーマイト
状アルミナ水和物と水溶性バインダーを含む層であって
も良いし、擬ベーマイト状アルミナ水和物以外のアルミ
ナ水和物を包含する擬ベーマイト状アルミナ水和物以外
の成分で構成される層と擬ベーマイト状アルミナ水和物
と水溶性バインダーを含む層との積層構成であっても良
い。
【0055】インク受理層が多層で構成され、その全層
とも擬ベーマイト状アルミナ水和物と水溶性バインダー
を含む層の場合は、各層とも同じ層を積層しても良い
し、異なった特性を有する層を積層しても良い。例え
ば、二層構成の場合、上層にはインク吸収速度を上げる
目的で、細孔径の大きい層を設け、下層には透光性に有
利なようにに細孔径の小さい層を設け、インク吸収速度
と透光性のバランスをとること等、目的に合わせた層構
成にすることができる。
【0056】また、インク吸収容量を上げること等を目
的として、アルミナ水和物と水溶性バインダーを含む層
の下層に、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリド
ン等水溶性樹脂からなるインク受理層を設ける等、目的
に合わせた層構成にすることができる。また、本発明に
係わるインク受理層は、支持体の少なくとも片面に設け
れば良いが、カールを防止する等の目的で、支持体の両
面に設けても良い。インク受理層を支持体の両面に設け
る場合は、両面のインク受理層の上に本発明に係わるシ
リカ層を設ける。
【0057】本発明におけるインク受理層形成用塗液の
塗布方法としては、例えば、スライドホッパー方式、カ
ーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方
式、ロールコーティング方式、及びロッドバーコーティ
ング方式等の通常用いられている塗布方法を用いること
ができる。
【0058】本発明のインクジェット記録シートに係わ
る支持体としては、例えばポリエステルフィルム、樹脂
被覆紙、コーテッド紙等が主に用いられるが、ガラス、
アルミニウム箔、蒸着紙、蒸着フィルム、不織布、及び
布帛等、本発明に係わる擬ベーマイト状アルミナ水和物
からなるインク受理層を設けることができる支持体であ
れば、特に限定されるものではない。
【0059】また、クッション性や隠蔽性を付与するた
めに、フィルム内部に多数の空洞を含有する空洞含有フ
ィルム、例えば発泡ポリエステルフィルム等も用いるこ
とができる。本発明に用いる支持体として、その厚さは
特に制限されないが、ポリエステルフィルムを用いる際
には、ハンドリング性とプリンターの通紙適性から10
〜200μm程度のものが好ましく、樹脂被覆紙を用い
る際にも、厚さについては特に制限されないが、50〜
300μm程度のものが好ましい。但し、写真の印画紙
の風合いを得るためには200〜300μm程度のもの
が好ましい。
【0060】支持体に用いられるポリエステルフィルム
におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸ま
たはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール等の多価アルコールとを重縮合させて得られる
ものであって、その具体例としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、及びこれらに他成
分を共重合したもの等が挙げられる。ポリエステルフィ
ルムはそれらのポリエステルをフィルム化したものであ
り、通常はロール延伸、テンター延伸、インフレーショ
ン延伸等の処理により、配向処理されることが多い。
【0061】樹脂被覆紙用の原紙は、特に制限はなく、
一般に用いられている紙が使用できるが、好ましくは写
真用支持体に用いられているような平滑な原紙が良い。
原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パル
プ、及び合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して
用いられる。この原紙には、一般に製紙で用いられてい
るサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白
剤、及び染料等の添加剤が配合される。さらに、その表
面には、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電
防止剤、染料、及びアンカー剤等が塗布されていても良
い。
【0062】また、樹脂被覆紙用の原紙は、抄造中また
は抄造後、カレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等
した表面平滑性の良いものが好ましく、JIS−P−8
119で測定したベックの平滑度が200秒以上のもの
が特に好ましい。また、その坪量は30〜250g/m
2が好ましい。
【0063】樹脂被覆紙用の原紙の白色度は、JIS−
P−8123で測定したハンター白色度が65%以上で
あると白色度が高く、高級感のある記録シートが得られ
るが、目的により求める白色度は異なり、天然パルプと
して未晒しパルプを用いた茶褐色の原紙を併用して用い
ても良い。また、染料等の着色剤を用いて着色した原紙
を用いても良い。
【0064】樹脂被覆紙用の被覆樹脂としては、ポリオ
レフィン樹脂が好ましく、特にポリエチレン樹脂が好ま
しい。また、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレンまたはこれらの混合物が使用で
きる。これらのポリエチレン樹脂は、各種の密度及びメ
ルトフローレートを有するものを単独にまたはそれらの
二種以上を混合して用いることができる。樹脂被覆紙の
樹脂層の構成は、単層、二層以上の多層のいずれであっ
ても良い。この場合にも、上記のポリオレフィン樹脂を
単独にまたは二種以上を混合して用いることができる。
また、多層の各層を互いに異なる組成とすることも同一
の組成とすることもできる。多層からなる樹脂層を形成
する方法としては、共押出コーティング法と逐次コーテ
ィング法のいずれを採用しても良い。
【0065】一方、樹脂被覆紙の樹脂層は、膜形成能の
あるラテックス等の樹脂水分散物を塗布することによっ
て形成することができる。例えば、最低成膜温度(MF
T)の低いラテックス等の樹脂水分散物を、樹脂被覆紙
用の原紙に塗布した後、その樹脂水分散物が有する最低
成膜温度以上の温度に過熱することによっても形成する
ことができる。
【0066】樹脂被覆紙における被覆樹脂層の厚みとし
ては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚みに本
発明に係わるインク受理層を設ける側、またはその反対
面の一面のみ、または表裏両面に設けられる。
【0067】樹脂被覆紙の被覆樹脂中には、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、タルク、及び炭酸カルシウム等の白色顔
料、ステアリン酸アミド及びアラキジン酸アミド等の脂
肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウム等の
脂肪酸金属塩、コバルトブルー、群青、セシリアンブル
ー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コ
バルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン
紫等のマゼンタの顔料や染料、テトラキス[メチレン−
3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタン等の酸化防止剤、蛍
光増白剤、及び紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組
み合わせて加えることができる。
【0068】一方、本発明に係わる非球状のシリカ粒子
を含んだシリカ層及び擬ベーマイト状アルミナ水和物か
らなるインク受理層は、上述したように、双方共に実用
上透光性の層を形成することが可能であるから、透光性
の支持体にこれらの層を設けることで、OHPフィルム
として使用可能な、透光性のインクジェット記録シート
が得られる。
【0069】本発明において、OHPフィルムとして使
用可能なインクジェット記録シートを構成する際に用い
る支持体は、JIS−K−7105によるヘーズが3.
0以下の透明支持体であることが好ましい。また、この
支持体上に本発明に係わるインク受理層とシリカ層とを
設けたインクジェット記録シートにおいては、JIS−
K−7105によるヘーズが10.0以下であることが
好ましい。
【0070】尚、本発明において、OHPフィルムとし
ての光透過性をヘーズで規定するのは、ヘーズはJIS
−K−7105によれば、積分球式光線透過率測定装置
を用いて、拡散透過率及び全光線透過率を測定し、その
比によって表すとしており、OHPフィルムとして使用
する際の光透過性は、単に全光線透過率だけで表現する
よりも、ヘーズの方が人の感覚に近いことによる。
【0071】OHPフィルム等の透光性を要求される記
録シートにおいて、用いる支持体の厚さは特に制限する
必要はないが、ハンドリング性とプリンターの通紙適性
から50〜200μm程度のものが好ましい。
【0072】本発明における支持体には、インク受容層
と支持体との接着性向上等の目的でアンカー層を設けて
も良い。アンカー層にはゼラチン等の親水性バインダ
ー、ブチラール等の溶剤可溶性バインダー、ラテック
ス、硬化剤、顔料、及び界面活性剤等を適宜組み合わせ
て添加せしめることができる。
【0073】また、本発明における支持体には、帯電防
止性、搬送性、カール防止性、筆記性、及び糊付け性等
のために、各種のバックコート層を塗設することができ
る。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防
止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、
滑剤、及び界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめ
ることができる。
【0074】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。
【0075】実施例1 <インク受理層形成塗液の調製>市販のコロイダルアル
ミナ(触媒化成製、カタロイドAS−3)をスプレード
ライヤー(入口温度200℃、出口温度80℃)で乾燥
させ、擬ベーマイト状アルミナ水和物の粉体を得た。こ
の擬ベーマイト状アルミナ水和物20重量部にイオン交
換水60重量部を加え、固形分濃度25重量%のアルミ
ナゾルを得た。このアルミナゾル80重量部にポリビニ
ルアルコール10重量%水溶液(ケン化度96〜98、
重合度約2600)を加えて撹拌し、「インク受理層形
成用塗液配合1」の塗液を調製した。
【0076】<シリカ層形成用塗液の調製>市販のJI
S3号珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3.2
1、SiO2含有率29.2重量%)に水を加えてSi
2濃度3.6重量%の珪酸ナトリウム水溶液を得た。
水素型に調整された陽イオン交換樹脂(商品名、アンバ
ーライト120B)を充填したカラムに、上記珪酸ナト
リウム水溶液を通すことにより、SiO2濃度3.6重
量%、pH2.9の活性珪酸のコロイド液を得た。この
活性珪酸のコロイド液2000重量部をガラス製容器に
採り、次いで10重量%の塩化カルシウム水溶液8.0
重量部を攪拌下に室温で添加し、30分後さらに10重
量%の水酸化ナトリウム水溶液12.0重量部を攪拌下
に室温で添加した。得られた混合液はpH7.6を示
し、SiO2/Na2Oモル比は80であった。
【0077】次いで、上記混合液をステンレス製オート
クレーブに仕込み、130℃で攪拌下6時間加熱した後
冷却して内容物を取り出した。得られた液はシリカゾル
であり、CaOはSiO2に対し重量比5400ppm
含まれていた。このシリカゾルを限外濾過装置でSiO
2濃度20.0重量%まで濃縮した。得られたシリカゾ
ルは比重1.14、pH9.24、粘度125cps、
滴定法によるSiO2/Na2Oモル比126、CaO含
有率1130ppmであった。このシリカゾルのコロイ
ダルシリカ粒子は電子顕微鏡写真から観察すると、細長
い粒子であり、太さは12nmであった。そしてこのシ
リカゾルの動的光散乱法によるコロイダルシリカの粒子
径は84.6nmであった。動的光散乱法によるコロイ
ダルシリカの粒子径は、米国Coulter社製N4装
置により測定した。
【0078】上記のようにして準備したシリカゾル10
重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、
重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン
交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部
を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合1」を調製
した。
【0079】<インクジェット記録シートの作製>支持
体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムを用い、ワイヤバーを用いて「イン
ク受理層形成用塗液配合1」の塗液を乾燥塗工量が35
g/m2になるように塗工、乾燥してインク受理層を形
成した。このインク受理層の上にさらに「シリカ層形成
用塗液配合1」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しイン
クジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を
実測したところ0.09g/m2であった。
【0080】実施例2 実施例1の活性珪酸のコロイド液2000重量部をガラ
ス製容器に採り、次いで10重量%の塩化マグネシウム
水溶液10.3重量部を攪拌下に室温で添加し、30分
後さらに10重量%の水酸化ナトリウム水溶液12.0
重量部を攪拌下に室温で添加した。得られた混合液はp
H7.5を示し、SiO2/Na2Oモル比は80であっ
た。次いで、上記混合液をステンレス製オートクレーブ
に仕込み、130℃で攪拌下6時間加熱した後冷却して
内容物を取り出した。得られた液はシリカゾルであり、
MgOはSiO2に対し重量比6100ppm含まれて
いた。このシリカゾルを限外濾過装置でSiO2濃度2
0.0重量%まで濃縮した。得られたシリカゾルはpH
8.47、粘度12500cps、MgO含有率160
0ppmであった。このシリカゾルのコロイダルシリカ
粒子は電子顕微鏡写真から観察すると、細長い粒子であ
り、太さは15nmであった。このシリカゾルの動的光
散乱法によるコロイダルシリカの粒子径は171nmで
あった。
【0081】上記のようにして準備したシリカゾル10
重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、
重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン
交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部
を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合2」を調製
した。
【0082】実施例1と同様にして作製したインク受理
層の上に「シリカ層形成用塗液配合2」の塗液をワイヤ
バーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製し
た。シリカ層の塗工量を実測したところ0.10g/m
2であった。
【0083】実施例3 実施例1の活性珪酸のコロイド液2000重量部をガラ
ス製容器に採り、次いで10重量%の塩化カルシウム水
溶液16.0重量部を攪拌下に室温で添加し、30分後
さらに10重量%の水酸化ナトリウム水溶液12.0重
量部を攪拌下に室温で添加した。得られた混合液はpH
7.8を示し、SiO2/Na2Oモル比は80であっ
た。次いで、上記混合液をステンレス製オートクレーブ
に仕込み、130℃で攪拌下6時間加熱した後冷却して
内容物を取り出した。得られた液はシリカゾルであり、
CaOはSiO2に対し重量比10800ppm含まれ
ていた。このシリカゾルを限外濾過装置でSiO2濃度
20.0重量%まで濃縮した。得られたシリカゾルはp
H8.47、粘度12500cp、CaO含有率220
0ppmであった。このシリカゾルのコロイダルシリカ
粒子は電子顕微鏡写真から観察すると、三次元網目状の
形状を有する粒子であった。このシリカゾルの動的光散
乱法によるコロイダルシリカの粒子径は295nmであ
った。
【0084】上記のようにして準備したシリカゾル10
重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、
重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン
交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部
を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合3」を調製
した。
【0085】実施例1と同様にして作製したインク受理
層の上に「シリカ層形成用塗液配合3」の塗液をワイヤ
バーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製し
た。シリカ層の塗工量を実測したところ0.09g/m
2であった。
【0086】実施例4 市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス
UP、SiO2濃度20重量%)10重量部にポリビニ
ルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約260
0)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1589
重量部、界面活性剤(旭硝子製、サーフロン145)
0.0001重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用
塗液配合4」を調製した。
【0087】実施例1と同様にして作製したインク受理
層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤ
バーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製し
た。シリカ層の塗工量を実測したところ0.05g/m
2であった。
【0088】実施例5 実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シ
リカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、
乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層
の塗工量を実測したところ0.20g/m2であった。
【0089】実施例6 実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シ
リカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、
乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層
の塗工量を実測したところ1.1g/m2であった。
【0090】実施例7 実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シ
リカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、
乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層
の塗工量を実測したところ5.0g/m2であった。
【0091】実施例8 実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シ
リカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、
乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層
の塗工量を実測したところ9.8g/m2であった。
【0092】実施例9 擬ベーマイト状アルミナ水和物20重量部にイオン交換
水60重量部を加え、固形分濃度25重量%のアルミナ
ゾルを得た。このアルミナゾル80重量部にポリビニル
アルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)
10重量%水溶液及びプロピレングリコール20重量部
を加えて撹拌し、「インク受理層形成用塗液配合2」の
塗液を調製した。
【0093】市販の非球状シリカゾル(日産化学製、ス
ノーテックスUP、SiO2濃度20重量%)7.5重
量部、球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス2
0、SiO2濃度20重量%、粒子径10〜20nm)
2.5重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜
98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、
イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100
重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合5」
を調製した。
【0094】支持体として厚さ100μmのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムを用い、ワイヤバ
ーを用いて「インク受理層形成用塗液配合2」の塗液を
乾燥塗工量が29g/m2になるように塗工、乾燥して
インク受理層を形成した。このインク受理層の上に「シ
リカ層形成用塗液配合5」の塗液をワイヤバーで塗布、
乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層
の塗工量を実測したところ1.0g/m2であった。
【0095】実施例10 市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス
UP、SiO2濃度20重量%)5重量部、球状シリカ
ゾル(日産化学製、スノーテックス20、SiO2濃度
20重量%、粒子径10〜20nm)5重量部にポリビ
ニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約260
0)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489
重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌
し、「シリカ層形成用塗液配合6」を調製した。
【0096】実施例9と同様にしてPETフィルム上に
インク受理層を形成し、その上に「シリカ層形成用塗液
配合6」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェ
ット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測し
たところ1.1g/m2であった。
【0097】実施例11 市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス
UP、SiO2濃度20重量%)2.5重量部、球状シ
リカゾル(日産化学製、スノーテックス20、SiO2
濃度20重量%、粒子径10〜20nm)7.5重量部
にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度
約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水
1489重量部、2−プロパノール100重量部を加え
て撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合7」を調製した。
【0098】実施例9と同様にしてPETフィルム上に
インク受理層を形成し、その上に下記「シリカ層形成用
塗液配合7」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインク
ジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実
測したところ1.1g/m2であった。
【0099】実施例12 擬ベーマイト状アルミナ水和物20重量部にイオン交換
水60重量部を加え、固形分濃度25重量%のアルミナ
ゾルを得た。このアルミナゾル80重量部にホウ酸5重
量%水溶液2重量部を加えて撹拌した後、ポリビニルア
ルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)1
0重量%水溶液を加えて撹拌し、「インク受理層形成用
塗液配合3」の塗液を調製した。
【0100】支持体として厚さ100μmのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムを用い、ワイヤバ
ーを用いて「インク受理層形成用塗液配合3」の塗液を
乾燥塗工量が29g/m2になるように塗工、乾燥して
インク受理層を形成した。このインク受理層の上に「シ
リカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、
乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層
の塗工量を実測したところ1.0g/m2であった。
【0101】実施例13 市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス
UP、SiO2濃度20重量%)10重量部にシラノー
ル基を有するポリビニルアルコール共重合体(クラレ
製、R−ポリマーR−1130)10重量%水溶液2重
量部、イオン交換水32重量部を加えて撹拌し、「シリ
カ層形成用塗液配合8」を調製した。
【0102】実施例1と同様にしてPETフィルム上に
インク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用
塗液配合8」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインク
ジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実
測したところ0.7g/m2であった。
【0103】比較例1 実施例1と同様にしてPETフィルム上にインク受理層
を形成し、その上にシリカ層を設けないでインクジェッ
ト記録シートとした。
【0104】比較例2 市販の球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス2
0、SiO2濃度20重量%、粒子径10〜20nm)
10重量部にシラノール基を有するポリビニルアルコー
ル共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−1130)1
0重量%水溶液2重量部、イオン交換水32重量部を加
えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合9」を調製し
た。
【0105】実施例1と同様にしてPETフィルム上に
インク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用
塗液配合9」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインク
ジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実
測したところ0.7g/m2であった。
【0106】比較例3 市販の球状シリカゾル(触媒化成製、カタロイドUSB
−1、SiO2濃度20重量%、粒子径20〜40n
m)10重量部にシラノール基を有するポリビニルアル
コール共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−113
0)10重量%水溶液2重量部、イオン交換水32重量
部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合10」を
調製した。
【0107】実施例1と同様にしてPETフィルム上に
インク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用
塗液配合10」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しイン
クジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を
実測したところ0.8g/m2であった。
【0108】比較例4 市販の球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスX
L、SiO2濃度40重量%、粒子径40〜60nm)
5重量部にシラノール基を有するポリビニルアルコール
共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−1130)10
重量%水溶液(クラレ製、R−ポリマーR−1130)
2重量部、イオン交換水37重量部を加えて撹拌し、
「シリカ層形成用塗液配合11」を調製した。
【0109】実施例1と同様にしてPETフィルム上に
インク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用
塗液配合11」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しイン
クジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を
実測したところ0.7g/m2であった。
【0110】以上のようにして作製した実施例1〜1
3、比較例1〜4のインクジェット記録シートについ
て、「耐擦傷性」「インク吸収性」「ヘーズ」の項目で
評価を行った。「耐擦傷性」の評価は摩擦試験機(スガ
試験機株式会社製)を使用し、シートの塗工面に300
gの荷重で木綿のガーゼを押しつけて100回摩擦試験
を行い、傷の生じたものを「×」、全く生じなかったも
のを「○」とした。また、100回摩擦試験では多少傷
が生じたが、20回摩擦試験では全く傷が生じなかった
ものを「△」とした。
【0111】「インク吸収性」の評価はインクジェット
プリンターを用いて印字を行い、その品質を見て判定し
た。「○」のものは優れた印字像が得られた。「△」は
実用上は問題ないが、「○」のものと比較すると劣って
いた。「×」のものは印字品質が悪く、実用上問題のあ
るレベルであった。
【0112】「ヘーズ」の評価は、日本電色工業製「N
DH−300A」を用いて測定した。
【0113】「60度鏡面光沢」の評価は、日本電色工
業製「VGS−300A」を用いて、インクジェット記
録シートの白紙部、すなわち印字を行っていない部分を
測定した。
【0114】
【表1】
【0115】三次元網目構造を有するシリカ粒子を用い
た実施例3では、細長い粒子を用いた実施例1及び2に
比べ、ヘーズが若干悪化したが、実用上問題のないレベ
ルであった。
【0116】シリカ層の塗布量が0.05g/m2であ
る実施例4では耐擦傷性に関して、わずかに悪化の兆し
が見られたが、実用上問題ないレベルであった。また、
シリカ層の塗布量が5.0g/m2である実施例7、及
び同塗布量が9.8g/m2である実施例8において、
塗布量の増加に伴ってヘーズが悪化したが、この範囲で
は実用上問題のないレベルであった。
【0117】以上、表1より明らかなように、本発明の
非球状シリカ粒子を用いたシリカ層を設けることによ
り、インク吸収性や表面光沢を悪化させることなく、イ
ンクジェット記録シートの耐擦傷性が格段に向上した。
また、球状シリカ粒子をのみを用いた場合と比べて、イ
ンク吸収性、ヘーズ、光沢においてより優れたインクジ
ェット記録シートが得られた。
【0118】また、本発明のインクジェット記録シート
は表面光沢、ヘーズともに良好であるため、実施例には
挙げなかったが、支持体として樹脂被覆紙等の不透明基
材を用いることにより、写真印画紙調のインクジェット
記録シートとすることもできる。
【0119】
【発明の効果】本発明によれば、表面の対擦傷性に優
れ、かつ高い表面光沢や優れたインク吸収性を有するイ
ンクジェット記録シートを得ることできる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和
    物からなるインク受理層を設けたインクジェット記録シ
    ートであって、該インク受理層の上に少なくとも非球状
    のシリカ粒子を含んだシリカ層を有することを特徴とす
    るインクジェット記録シート。
  2. 【請求項2】 上記非球状のシリカ粒子が、下記(a)
    の工程により製造されるシリカ粒子であることを特徴と
    する請求項1記載のインクジェット記録シート。(a)
    活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、
    マグネシウム塩、またはこれらの混合物を有する水溶液
    を添加し、さらにアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩
    基、またはそれらの水溶性珪酸塩を加えて加熱する工
    程。
  3. 【請求項3】 上記(a)の工程で用いられるカルシウ
    ム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物の総量に
    対する活性珪酸の各酸化物換算重量比[(CaO+Mg
    O)/SiO2]が1500〜8500ppmであり、
    非球状シリカ粒子が細長い形状を有することを特徴とす
    る請求項2記載のインクジェット記録シート。
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