JP3685573B2 - インクジェット用被記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに使用される被記録材料に関するものであり、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルムとしても使用可能な塗膜にクラックのない透明性が高い被記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。これに伴い、従来からあるインクジェット記録用の上質紙や塗工紙以外のインクジェット用被記録材料の開発が切望されている。
【0003】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の被記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンターやプロッターは、高速印字性や低騒音性に優れ、記録パターンの融通性が大きく、現像−定着が不要等の特長があり、複雑な画像を正確、且つ迅速に形成することができる点で注目されている。特にコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途において、近年急速に普及している。又、複数個のインクノズルを使用することにより、多色記録を行うことも容易である。多色インクジェット方式により、形成されるカラー画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途においては、印刷技術や写真技術によるよりも安価で済むことから広く応用されつつある。
【0004】
最近では、銀塩写真の画像に匹敵する高精細な画像を出力できるインクジェットプリンター等が安価で市販されている。インクジェット用被記録材料は、銀塩写真方式と比べ同品質の画像が得られながら非常に安価であることから、大面積の画像が必要な電飾看板や商品見本等で表示画像を頻繁に取り替える利用者にとって経済的に大きなメリットがある。また、最近一般的になってきたパーソナルコンピューター上で画像を作成、プリントアウトしこれを見ながら配色やレイアウトを訂正することは従来の銀塩写真方式では全く無理であったが、インクジェット記録ではこのような操作が気軽にできるという長所もある。
【0005】
インクジェットプリンターやプロッターの利用分野として、最近、特に注目されているものとしては、写真に近い画質が要求される印刷分野におけるカラー版下の作製やデザイン部門でのデザインイメージのアウトプット等のフルカラー画像記録等や、コンピューターで作成した画像情報をインクジェットプリンターにより透明な被記録材料に記録し、会議のプレゼンテーション等にてOHPで利用する等がある。
【0006】
上述した、インクジェットプリンターやプロッターの利用分野からの要望や、インクジェットプリンターやプロッターの普及に伴い、被記録材料に対する要望が多様化し、例えば、銀塩カラー写真並の高い光沢表面を有する、優れた外観適性を備えた被記録材料、OHPフィルムとして使用可能な透明性の高い被記録材料等が要望されている。
【0007】
インクジェット記録方式で使用される被記録材料としては、通常の印刷、或は筆記用上質紙やコーテッド紙を用いることができるように、装置やインク組成の面から努力がなされてきた。しかし、記録の高速化・高精細化、或はフルカラー化等インクジェット記録装置、記録方法の性能の向上や用途の拡大に伴い、被記録材料に対しても、より高度な特性が要求されるようになってきた。即ち、当該被記録材料としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速くて、印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。特に、カラー記録の場合は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの単色記録だけでなく、これらの色を重ねる重色記録がなされ、インク付着量が更に多くなるために極めて厳しい性能が要求される。
【0008】
従来インクジェット用被記録材料としては、例えば特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、同64−11877号公報等に見られるシリカ等含珪素顔料を水系バインダーとともに紙表面に塗工して得られる被記録材料が提案されているが、これらの例で用いられているシリカ等の顔料微粒子は吸油量が大きく、これらを使用した被記録材料は一般にインクの吸収容量および吸収速度の点ではある程度のレベルに達するものであるが、シリカ等の無機顔料を多量に塗工層中に導入する必要があることから、被記録材料自体の表面光沢が低下するという欠点を有する。光沢性を改善する目的でシリカに替えてコロイダルシリカを使用すると先の特開昭56−157号公報に記載されているようにインクの吸収性を悪くするため好ましくない。
【0009】
また、光沢表面を備えたインクジェット用被記録材料としては、塗層が湿潤状態にある間にキャスト仕上げして得られるキャスト塗被紙が特開平6−320857号公報等に記載されているが、銀塩写真と比較するとその表面光沢は極めて低く、銀塩写真の質感が得られるものではない。
【0010】
一方、透明性、光沢性を高めたインクジェット用被記録材料としては、支持体上に樹脂からなるインク吸収層を設けたものが提案されている。こうした用途に使用される樹脂の例としては、例えば特開昭57−38185号、同62−184879号公報等に記載されるようなポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、特開昭60−168651号、同60−171143号、同61−134290号公報に記載されるようなポリビニルアルコールを主体とする樹脂組成物、特開昭60−234879号公報に示されるビニルアルコールとオレフィンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体、特開昭61−74879号公報に示されるポリエチレンオキサイドとイソシアネートとの架橋物、特開昭61−181679号公報に示されるカルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物、特開昭61−132377号公報に示されるポリビニルアルコールにメタクリルアミドをグラフト化したポリマー、特開昭62−220383号公報に示されるカルボキシル基を有するアクリル系ポリマー、特開平4−214382号公報等に示されるポリビニルアセタール系ポリマー、特開平4−282282号、同4−285650号公報に記載されるような架橋性アクリル系ポリマー等種々のインク吸収性ポリマーが提案されている。また、特開平4−282282号公報、特開平4−285650号公報等には架橋性ポリマーから構成されるポリマーマトリックスと吸収性ポリマーとの混合させた被記録材料が提案されているが、樹脂からなるインク吸収層は、シリカ等の顔料微粒子からなるインク吸収層と比較して、吸収速度が遅いという欠点を有する。
【0011】
インク吸収速度が速く、透明性、光沢性を高めたインクジェット用被記録材料としては、近年、アルミナ水和物を用いたインクジェット用被記録材料が提案されており、例えば、特開昭60−232990号、同60−245588号公報、特公平3−24906号公報、特開平2−276670号、同3−215082号、同4−37576号、同4−67986号、同5−16517号、同5−24335号、同5−32037号、同5−50739号、同5−286228号、同5−301441号、同6−48016号、同6−55829号、同6−183126号、同6−184954号、同6−199034号、同6−199035号、同6−218324、同6−255235号、同6−262844号、同6−270530号、同6−286297号、同6−297831号、同6−297832号、同6−316145号、同7−68919号、同7−68920号、同7−76161号、同7−76162号、同7−82694号、同7−89221号公報等に記載されているように微細なアルミナゾルを水溶性バインダーとともに支持体表面に塗工したインクジェット用被記録材料が開示されている。いずれもインク吸収性、解像性、画像濃度、色彩性、インク吸着性、透明性等の改良に関するものであり、ここでインクの吸収性が良好で、且つ色素定着性の良好な無機の多孔質層を有するインクジェット用被記録材料を得るには、インク吸収層は、特開平5−24335号公報に記載されているように、塗工量が20g/m2程度以上でなければインク吸収容量が充分ではなく、厚膜塗布により吸収容量を確保することができるが、厚膜塗布をすると乾燥時にインク吸収層にクラックが非常に発生しやすくなり、この乾燥時のクラックの発生を抑制することが必要となる。
【0012】
アルミナ水和物からなるインク吸収層の塗布乾燥時の塗膜のクラックを抑制する方法としては、特開平7−76161号公報に記載されているような、ポリビニルアルコールをバインダーとして用い、ホウ酸またはホウ酸塩でバインダーのポリビニルアルコールをゲル化させ、塗膜の強度を向上させることによって、クラックを抑制する方法が提案されている。しかしながら、成膜性の悪いアルミナ水和物では、ホウ酸又はホウ酸塩の添加量を増やさなければクラックを抑制することができないが、ホウ酸又はホウ酸塩の添加量が多いと、塗液の粘度の経時変化を避けることができず、塗工の安定性が悪くなる。また、ゲル化生成物が塗工筋の原因となる等、面質悪化の原因にもなり、更にインク吸収性も悪化する。特開平6−218324号公報には、アルミナ水和物からなる塗液を支持体上に塗布し、溶媒の除去の前にアンモニアガスを吹き付け、ゲル化させる方法が提案されている。しかしながら、アンモニアガスは腐食性が強いだけでなく、爆発性もあり危険である。また、余剰のアンモニアガスを回収する必要もあり、操作および設備の簡便さの点で望ましくない。上述の問題点を解決する方法として、特開平7−89221号公報には、アルミナ水和物とゼラチンからなるインク吸収層を有するインクジェット用被記録材料が提案されている。この方法は温水に溶解したゼラチン溶液が、低温でゲル化する性質を利用したものである。しかしながら、この方法では加温できる特殊なカーテンコーターが必要であること、溶媒を除去する乾燥ゾーンの前にゼラチンをゲル化させるための冷却ゾーンが必要であること等、操作および設備の簡便さの点で望ましくない。また、乾燥温度を高くするとゲル化したゼラチンが再溶解するため、低温で塗工速度を下げて乾燥させる必要があり、生産性の点からも望ましくない。
【0013】
また、特開平7−232473号、同7−232474号、同7−232475号に記載されているようにアスペクト比3〜10の平板状の非晶質構造のアルミナ水和物を用いたインクジェット用被記録材料が開示されている。しかしながら、これらの中では擬ベーマイト構造のアルミナ水和物よりも細孔容積の小さな非晶質構造のアルミナ水和物を使用しているため、よりインク吸収性が良好なインクジェット用被記録材料を得るには、インク吸収容量が少なくなるため好ましくない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、インクを速やかに吸収しインク吸収性が良好な、にじみや溢れのない印字画像が得ることができるインクジェット用被記録材料を提供することである。また、本発明の課題はアルミナ水和物を含有する塗工液を支持体上に塗布してインク吸収層を形成させる際に、塗布乾燥時のインク吸収層塗膜のクラックのないインクジェット用被記録材料を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は以下に述べる手段によって解決される。
【0016】
すなわち、支持体上にインク吸収層を設けたインクジェット用被記録材料において、該インク吸収層に平均アスペクト比3〜7、細孔半径2nm以上10nm以下の範囲の細孔容積が0.1ml/g以上の平板状である擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物とポリビニルアルコールを含有せしめることにより、より安定に微小クラックの発生を抑制することができ、よりインク吸収性の良好なインクジェット用被記録材料を提供することができた。
【0017】
また、支持体上にインク吸収層を設けたインクジェット用被記録材料において、上記平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物と重合度2000以上、ケン化度が88%以上100%未満のポリビニルアルコールを含む塗工液を支持体上に塗布し、インク吸収層を形成させることにより、塗工乾燥時の微小クラックの発生を抑制したインクジェット用被記録材料を提供することができた。
【0018】
さらに、上記本発明において、ポリビニルアルコールとしてホウ酸またはホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種により架橋されたポリビニルアルコールを用いることにより、塗工乾燥時の微小クラックの発生を抑制したインクジェット用被記録材料を提供することができた。
【0019】
【発明の実施の形態】
アルミナ水和物は下記一般式により表すことができる。
【0020】
Al23・nH2
式中、nが1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を超え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nがそれ以上になる場合は非晶質構造のアルミナ水和物を表す。すなわち、本発明に用いるアルミナ水和物は、少なくともnが1を超え3未満のアルミナ水和物である。
【0021】
本発明で使用されるアルミナ水和物の形状は平均アスペクト比3〜7の平板状の擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物である。より好ましくは平均アスペクト比3〜5の平板状擬ベーマイトアルミナ水和物が望ましい。アスペクト比は粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで「直径」とはアルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を示す。アスペクト比が上記範囲より小さい場合には、インク受像層の細孔径分布が狭くなってインク吸収性が悪くなり、またアスペクト比が上記範囲より大きくなるようなアルミナ水和物は粒径を揃えて製造することが困難であり、また塗膜の透明性も悪くなる。
【0022】
アルミナ水和物には毛束(柱)状とそうでない平板状の形状が有ることが知られている。本発明者らの知見としては、この平板状のアルミナ水和物は毛束(柱)状のものよりも分散性が良く、インク吸収層を形成させた場合、インクの吸収性を阻害することもなく、クラックが入りにくいインク吸収層を得ることができ成膜性に優れているが、毛束状のものはクラックが入りやすく、インク吸収層の成膜性が悪い。
【0023】
アルミナ水和物が十分なインク吸収速度を有するには、アルミナ水和物の平均細孔半径が1〜10nmであることが好ましく、特に2〜7nmであることが好ましい。細孔半径が小さすぎるとインクを吸収し難くなる。また、細孔半径が大きすぎると、インク中の染料の定着が悪くなり画像のにじみが発生する。
【0024】
アルミナ水和物が十分なインク吸収容量を有するには、アルミナ水和物の細孔容積は0.1〜0.8ml/gの範囲であることが好ましく、特に0.4〜0.6ml/gの範囲であることが好ましい。インク吸収層の細孔容積が大きい場合にはインク吸収層にクラックや粉落ちが発生することがあり、小さい場合にはインクの吸収が遅くなる傾向がある。また細孔半径2nm〜10nmの細孔容積は0.1ml/g以上が望ましい。この範囲以外ではインク中の染料の吸着が悪くなるため好ましくない。さらにインク吸収層の単位面積当たりの溶媒吸収量は5ml/m2以上、特に10ml/m2以上であることが好ましい。単位面積当たりの溶媒吸収量が小さい場合には、特に多色印字を行った場合にインクが溢れることがある。
【0025】
アルミナ水和物がインク中の染料を十分に吸収し、定着するにはBET比表面積が70〜300m2/gの範囲であることが好ましい。BET比表面積が大きすぎると細孔径分布が大きい方に片よって、インク中の染料の定着の効率が悪くなり画像のにじみが発生する。逆にBET比表面積が小さすぎるとアルミナ水和物の分散が困難になる。
【0026】
アルミナ水和物の分散液の濃度を上げるためには、アルミナ水和物の表面水酸基の数は1020個/g以上であることが好ましい。表面水酸基の数が少ないと、アルミナ水和物が凝集し易くなり、分散液の濃度を上げるのが困難になる。
【0027】
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
なお、アルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積、表面水酸基の数等は、析出温度、熟成時間、液pH、液濃度、共存塩類等によって制御することができる。
【0029】
アルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号、同62−56321号、特開平4−275917号、同6−64918号、同7−10535号、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書、Am.Ceramic Soc.Bull.,54,289(1975)等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法が開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、プロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。この方法では非常に純度の高いアルミナ水和物を得ることができる。
【0030】
その他にアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭54−116398号、同55−23034号、同55−27824号、同56−120508号公報に例示されている如きアルミニウムの無機塩またはその水和物を原料として得る方法が一般的である。これらの無機塩としては、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の無機塩等、およびこれら無機塩の水和物等を挙げることができる。
【0031】
本発明において、アルミナ水和物の製造方法として、公知の製造方法の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
具体例としては、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の酸性のアルミニウム塩水溶液と、アルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水等の塩基性水溶液との中和反応によってアルミナ水和物を製造することができる。この場合、液中に生成するアルミナ水和物の量が5重量%を超えない範囲で混合し、pHは6〜10、温度20〜100℃の条件下で反応させることが一般的である。また、特開昭56−120508号公報に記載されている如きpHを酸および塩基側に交互に変動させ、アルミナ水和物の結晶を成長させる方法、特公平4−33728号公報に記載されている如き、アルミニウムの無機塩から得られるアルミナ水和物と、バイヤー法で得られるアルミナとを混合し、アルミナを再水和する方法等によっても製造することができる。
【0033】
本発明に用いられる、水溶性バインダーとしては、重合度2000以上、ケン化度が88%以上100%未満のポリビニルアルコールが、アルミナ水和物との混合性、塗液粘度の調整、および成膜性等の点で特に好ましい。重合度2000未満のポリビニルアルコールを用いた場合、塗膜強度が弱いため、クラックが入りやすくなる。また、ケン化度が88%未満の場合、塗膜強度が弱くなりクラックが入りやすくなる。さらにケン化度が100%だとアルミナ水和物との反応性が高いため、塗工液がゲル化しやすくなるため好ましくない。
【0034】
バインダーとしてはポリビニルアルコール以外にもでんぷんおよびその変性物、ゼラチンおよびそれらの変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、カチオン変性、シラノール変性等のポリビニルアルコールの変性物、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックス類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸またはその共重合体等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの水溶性バインダーを併用する場合も、水溶性バインダーの総量が、アルミナ水和物に対して、5〜20重量%であることが好ましく、特に8〜15重量%であることが好ましい。上記範囲以下ではインク吸収層の成膜性が悪くなり、塗膜のクラックや粉落ちが発生しやすくなり、上記範囲より多い場合にはインク吸収層の細孔容積が少なくなりインクの吸収性が悪化する。
【0035】
アルミナ水和物とバインダーとを混合させると経時により増粘したり、チキソトロピー性がでたりする傾向がみられるが、塗工液温度を制御することで塗液の粘度の経時変化を避けることができ、塗工の安定性が良くなり塗工面質を良好に保つことができる。塗工液温度は20℃〜70℃、好ましくは40℃〜50℃が望ましい。20℃未満では塗液のチキソトロピー性が強いため塗工しにくくなり、また70℃より高いと塗工液の表面が乾燥し、それが塗工筋の原因となるため好ましくない。
【0036】
また、成膜性および耐水性の向上を目的としてバインダーの架橋剤としてホウ酸またはホウ酸塩を添加することもできる。その際塗工液を加温すると塗工液がより安定化するため、塗工液温度を40℃〜70℃に加温することが好ましい。
【0037】
ホウ酸またはホウ酸塩の添加量は、H3BO3換算でポリビニルアルコールに対して0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。添加量が0.1重量%に満たない場合にはその効果が十分発揮されず、また添加量が10%を越える場合には塗工液の粘度変化が著しくなり塗工の安定性が悪くなる。
【0038】
ホウ酸としては、オルトホウ酸だけでなくメタホウ酸、次ホウ酸等が使用できる。ホウ酸塩はこれらの可溶性塩が好ましく、具体的には、Na247・10H2O、NaBO2・4H20、K247・5H2O、NH4HB47・3H2O、NH4BO2等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
また、インク吸収層の塗工条件(塗工装置、塗工液温度、粘度等)および乾燥条件(乾燥温度、乾燥時間、温度勾配、風量、風の当て方、湿度等)によってインク吸収層の物性を制御することができる。
【0040】
インク吸収層の乾燥温度は、支持体の耐熱性にもよるが60〜200℃、好ましくは70〜150℃のするのが良い。さらにインク吸収層が十分に乾燥した後に、支持体に悪影響を与えない範囲で熱処理を行うとインク吸収層の細孔容積が大きくなるためインク吸収性が良くなり、さらにインク吸収層の耐水性も良くなる。熱処理する温度は基材にもよるが100〜200℃、好ましくは120〜150℃が良い。
【0041】
本発明においてインクジェット用被記録材料を製造する場合に、用いられる支持体としては、例えば熱可塑性フィルム、樹脂被覆紙、コーテッド紙等が主に用いられるが、ガラス、アルミニウム箔、蒸着紙、蒸着フィルム、布地等インク受理層を設けることができる支持体であれば特に限定されるものではない。
【0042】
熱可塑性フィルムとしては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0043】
本発明における支持体には、インク吸収層と支持体との接着性向上等の目的でアンカー層を設けてもよい。アンカー層にはゼラチン等の親水性バインダー、ブチラール等の溶剤可溶性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることができる。
【0044】
本発明における支持体には、帯電防止性、搬送性、カール防止性、筆記性、糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることができる。
【0045】
また、写真の印画紙調の光沢感、風合いを有するインクジェット用被記録材料を得るためには、インク吸収層の組成だけでなく、支持体の特性も重要である。写真の印画紙調の光沢感、風合いを得るためには、ポリエステルフィルムまたは樹脂被覆紙を用いることが好ましく、また、支持体のJIS−P−8123で測定したハンター白色度が65%以上であることが特に好ましい。
【0046】
また、写真の印画紙調の光沢感、風合いを有するためには、インク吸収層を支持体上に設けた際の、インク吸収層側のJIS−P−8123で測定したハンター白色度が65%以上であることが好ましく、インク吸収層側のJIS−Z−8741で測定した60度鏡面光沢が30%以上であることが好ましい。
【0047】
本発明に用いる支持体として、ポリエステルフィルムを用いる際には、その厚さに特に制限する必要はないが、ハンドリング性とプリンターの通紙適性から10〜200μm程度のものが好ましい。
【0048】
本発明において、ポリエステルフィルムとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとを重縮合させて得られるポリエステルをフィルム化したものであり、通常はロール延伸、テンター延伸、インフレーション延伸等の処理により、配向処理されることが多い。
【0049】
ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびこれらに他成分を共重合したもの等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
ポリエステルフィルムの白色度を高める方法としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機微粒子をポリエステルフィルム内部に含有させる方法や、白色塗料を表面に塗布する方法等がある。
【0051】
また、クッション性や隠蔽性を付与するために、フィルム内部に多数の空洞を含有する空洞含有フィルム、例えば発泡ポリエステルフィルム等も用いることができる。
【0052】
本発明に用いる支持体として、樹脂被覆紙を用いる際にも、厚さについては特に制限する必要はないが、ハンドリング性とプリンターの通紙適性から、50〜300μm程度のものが好ましい。また、写真の印画紙の風合いを得るためには200〜300μm程度のものが好ましい。
【0053】
樹脂被覆紙用の原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、好ましくは、例えば、写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には、一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていても良い。
【0054】
又、樹脂被覆紙用の原紙は、抄造中または抄造後、カレンダー等にて圧力を印加して圧縮した表面平滑性の良いものが好ましく、JIS−P−8119で測定したベックの平滑度が200秒以上のものが特に好ましい。また、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
【0055】
樹脂被覆紙用の原紙の白色度は、JIS−P−8123で測定したハンター白色度が65%以上であると白色度が高く、高級感のある被記録材料が得られるが、目的により求める白色度は異なり、天然パルプとして未晒しパルプを併用した茶褐色の原紙を用いても良い。また、染料等の着色剤を用いて着色した原紙を用いても良い。
【0056】
樹脂被覆紙用の被覆樹脂としては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特にポリエチレン樹脂が好ましい。また、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンまたはこれらの混合物が使用できる。ここで言う低密度ポリエチレンとは、密度が0.915〜0.930g/cm3のものであり、通常高圧法で製造されるものである。一方、高密度ポリエチレンとは、密度が0.950g/cm3以上のものであり、通常低圧法或は中圧法で製造されるものである。これらのポリエチレン樹脂は、各種の密度およびメルトフローレートを有するものを単独にまたはそれらの2種以上を混合して用いることができる。
【0057】
樹脂被覆紙の樹脂層の構成は、単層、2層以上の多層のいずれであっても良い。この場合にも、上記のポリオレフィン樹脂を単独にまたは2種以上を混合して用いることができる。また、多層の各層を互いに異なる組成とすることも同一の組成とすることもできる。多層からなる樹脂層を形成する方法としては、共押出コーティング法と逐次コーティング法のいずれを採用しても良い。
【0058】
一方、樹脂被覆紙の樹脂層は膜形成能のあるラテックスをコーテイングすることによって形成することができる。例えば、最低成膜温度(MFT)の低いラテックスを、樹脂被覆紙用の原紙にコーテイングした後、最低成膜温度以上の温度に加熱することによっても形成することができる。
【0059】
樹脂被覆紙の被覆樹脂層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚みに表面のみ、または表裏両面にコーティングされる。
【0060】
樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、トリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
【0061】
本発明において支持体として用いられる樹脂被覆紙は、走行する原紙上に、加熱溶融したポリオレフィン樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造される。また、樹脂と原紙との接着性を向上させるために、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク吸収層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて、光沢面、マット面等を有し、特に光沢面が好ましく用いられる。必ずしも裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にも、コロナ放電処理、火炎処理等の活性処理を施すことができる。
【0062】
本発明は、OHPフィルムとしても使用可能な、透明性の高いインクジェット用被記録材料にも適用できるものでもあるが、OHPフィルム等の透光性を要求される被記録材料においても、インク吸収層の組成だけでなく、支持体の特性も重要である。OHPフィルムとして使用する際の光透過性は、全光線透過率よりも、ヘーズ(曇価)の方が、人の感覚に近く、本発明のインク吸収層を、JIS−K−7105によるヘーズ(曇価)が3.0以下の透明支持体であることが特に好ましい。
【0063】
また、OHPフィルムとして使用する際のインクジェット用被記録材料のヘーズは、支持体上にインク吸収層を設けたインクジェット用被記録材料において、このインクジェット用被記録材料のJIS−K−7105によるヘーズ(曇価)が10.0以下であることが特に好ましい。
【0064】
なお、ヘーズ(曇価)は、積分球式光線透過率測定装置を用いて、拡散透過率および全光線透過率を測定し、その比によって表すことが、JIS−K−7105に定められている。
【0065】
OHPフィルム等の透光性を要求される被記録材料において、用いる支持体の厚さは特に制限する必要はないが、ハンドリング性とプリンターの通紙適性から50〜200μm程度のものが好ましい。
【0066】
本発明においてインクジェット用被記録材料を製造する場合には、界面活性剤を添加しなくても良好な塗布性を得ることができる場合が多いが、より塗布性を改善するため、あるいはインクがインク吸収層に付着した時のドット径を調整することを目的として、界面活性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤は、ノニオン性のものが好ましいが、必要に応じてアニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプから選択してもよく、また、低分子のものでも高分子のものでも良い。1種もしくは2種以上界面活性剤を組み合わせて用いても良い。界面活性剤の添加量は、固形分量でインク吸収層を構成するアルミナ水和物100重量部に対して0.001〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量部である。
【0067】
更に、上記の界面活性剤の他に、無機顔料、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0068】
また、画像の解像性を向上させるために、アルミナ水和物の分散液と混合した際に、凝集等を生じることがなければ、インク吸収層にフッ素樹脂系、シリコーン樹脂系またはアルキルケテンダイマー系の撥水剤またはサイズ剤を含有することにより、印字ドット径をコントロールして画像の解像性を向上させることができる。これらのフッ素樹脂系、シリコーン樹脂系またはアルキルケテンダイマー系の撥水剤またはサイズ剤としては、一般に市販されているものを使用することができる。また、これらの溶液または水系エマルジョンのどちらでも使用可能である。インク吸収層へのこれらの添加量により印字ドット径をコントロールすることができる。その添加量は各成分や濃度および希望する印字ドット径によって異なるが、通常有効固形成分としてインク吸収層の全固形分に対して0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0069】
本発明におけるインク吸収層は塗工装置を用いて塗布、乾燥することにより形成される。塗液の塗工方法としては、例えば、スライドホッパー方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等の通常用いられている塗工方法が用いられる。
【0070】
また、インク吸収層は支持体の少なくとも片面に設けられるが、カールを防止する等の目的で支持体の両面に設けたりしても良い。
【0071】
インク吸収層塗液の塗布量としては固形分換算で3〜50g/m2、より好ましくは20〜45g/m2である。塗布量がそれ以上になるとインク吸収層の乾燥性が悪くなり、さらにクラックが非常に発生しやすくなるため好ましくない。
【0072】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。
【0073】
参考例1
(アルミナ水和物の合成)
下記にインク吸収層に用いるアルミナ水和物の合成例を示す。使用した原材料はすべて市販品であり、精製は特に行わずそのまま使用した。
【0074】
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、95℃で4時間加水分解を行った。その後、酢酸24gを加え、95℃にて48時間撹拌した後、固形分濃度が15%になるように濃縮し、白色のアルミナ水和物の分散液を得た。
【0075】
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、約30nmであり、アスペクト比6の平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によってBET比表面積、平均細孔半径、細孔半径1nm〜30nmの細孔容積、細孔半径2nm〜10nmの細孔容積を測定したところ、それぞれ136m2/g、5.8nm、0.54ml/g、0.50ml/gであった。
【0076】
(インクジェット用被記録材料の作製)
作製した平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の分散液100gにケン化度96.5%、重合度1700のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名MA−17)の10%水溶液15gを、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を50℃に加温してから、JIS−K−7105によるヘーズ(曇価)が2.19である、表面易接着処理を施した透明ポリエステルフィルム(東レ社製、商品名ルミラー125T)に、乾燥後の重量がそれぞれ20g/m2、25g/m2、30g/m2、35g/m2、40g/m2になるように塗布、乾燥し、140℃で5分間加熱処理してインクジェット用被記録材料を得た。
【0077】
実施例
参考例1に用いた平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の分散液100gにケン化度97%、重合度2600のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名MA−26)の10%水溶液15gを加え、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0078】
実施例
参考例1に用いた平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の分散液100gにケン化度93.5%、重合度3500のポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名PVA−635)の10%水溶液15gを加え、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0079】
実施例
参考例1に用いた平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の分散液100gにプロピレングリコール15gとケン化度97%、重合度2600のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名MA−26)の10%水溶液15gを加え、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0080】
実施例
参考例1に用いた平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の分散液にプロピレングリコール15gとケン化度93.5%、重合度3500のポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名PVA−635)の10%水溶液15gを加え、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0081】
参考例2
参考例1に用いた塗工用分散液に5%ホウ酸水溶液1.5gを加えてから、塗工した以外は全て参考例1と同様にしてインクジェット用被記録材料を得た。
【0082】
実施例
実施例に用いた塗工用分散液に5%ホウ酸水溶液1.5gを加えてから、塗工した以外は全て参考例1と同様にしてインクジェット用被記録材料を得た。
【0083】
比較例1
市販の解膠剤を含有するアルミナ水和物分散液(触媒化成工業社製、商品名カタロイドAS−3、固形分濃度:Al23換算で7重量%)1000gをスプレードライヤーで乾燥させキセロゲルを得た。このキセロゲルの残水分量は5.3%であった。得られたキセロゲルを水に再分散させ、固形分濃度が25%になるようにアルミナ水和物分散液を得た。
このアルミナ水和物の分散液を透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、約20nmであり、アスペクト比1.1〜1.5の柱状アルミナゾルであった。また、窒素吸着脱離方法によってBET比表面積、平均細孔半径、細孔半径1nm〜30nmの細孔容積、細孔半径2nm〜10nmの細孔容積細孔容積を測定したところ、それぞれ261m2/g、6.7nm、0.73ml/g、0.68ml/gであった。
【0084】
作製したアルミナ水和物の分散液100gにケン化度96.5%、重合度1700のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名MA−17)の10%水溶液25gを、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0085】
比較例2
比較例1に用いたアルミナ水和物の分散液100gにケン化度88%、重合度2400のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名PA−24)の10%水溶液25gを加え、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
比較例3
比較例1に用いたアルミナ水和物の分散液100gにケン化度97%、重合度2600のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名MA−26)の10%水溶液25gを加え、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0086】
比較例4
市販のアルミナ水和物の分散液(触媒化成工業社製、商品名カタロイドAS−3)100gにケン化度96.5%、重合度1700のポリビニルアルコール(信越化学工業社製、商品名MA−17)の10%水溶液9.2gを、よく混合、撹拌して塗工用分散液を得た。この分散液を用いた以外は全て参考例1と同様にして、インクジェット用被記録材料を得た。
【0087】
(評価1)
表1において、それぞれの塗工量における塗膜状態について評価を行った。目視により塗膜状態を評価し表面にクラックが全く認められないものを○、塗膜表面に約1mm幅の微小なクラックが認められたものを△、塗膜表面に約5mm幅以上のクラックが生じたものを×とした。
【0088】
【表1】
Figure 0003685573
【0089】
(評価2)
実施例1〜7および比較例1〜4で得られた塗工量20g/m2および30g/m2のインクジェット用被記録材料をキヤノン製フルカラーインクジェットプリンターBJC−600Jを使用して印字を行い、インク吸収性、水滴滴下による塗膜の耐水性評価およびヘーズ測定を行った。なお、塗膜表面に5mm幅以上のクラックが発生し評価1で×としたインクジェット用被記録材料は、塗膜のクラックが全面に発生したため、印字を行わなかった。
【0090】
表2において、インク吸収性および塗膜耐水性について評価を行った。表2のインク吸収性の欄については、単色および2色重色したベタ印字部分の印字直後のインク乾燥状態を目視で観察、評価を行い、全くインクが溢れずに印字できたものを○、多少インクが溢れ印字ムラが生じたものを△、溢れが生じたものを×とした。塗膜耐水性の欄は塗膜上に水滴を滴下し、自然乾燥後に滴下跡が残らないものを○、自然乾燥後に水滴跡が残るが、直ちに水滴を拭き取れば水滴跡が残らないものを△、直ちに水滴を拭き取っても水滴跡が残るものを×とした。またヘーズの欄についてはこの塗工量30g/m2のインクジェット用被記録材料のJIS−K−7105によるヘーズを表す。
【0091】
【表2】
Figure 0003685573
【0092】
【発明の効果】
実施例から明かな様に、塗工乾燥時のインク吸収層の微小クラックを抑制し、インクを速やかに吸収しインク吸収性が良好な、アルミナ水和物と水溶性バインダーからなるインク吸収層を有するインクジェット用被記録材料を提供することができた。またOHPフィルムとしても使用可能な透明性が高いインクジェット用被記録材料を提供することができた。

Claims (2)

  1. 支持体上にインク吸収層を設けたインクジェット用被記録材料において、該インク吸収層が平均アスペクト比3〜7、細孔半径2nm以上10nm以下の範囲の細孔容積が0.1ml/g以上の平板状である擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物と、重合度2000以上、ケン化度が88%以上100%未満のポリビニルアルコールを含有せしめることを特徴とするインクジェット用被記録材料。
  2. 上記ポリビニルアルコールがホウ酸またはホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種により架橋されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用被記録材料。
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