JP3587278B2 - インクジェット記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに使用されるインクジェット記録シートに関するものであり、特にカラー記録での要望が高い写真印画紙調の光沢を有するインクジェット記録シートまたはOHPフィルムとして使用可能な透明性が高いインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。これに伴い、従来からあるインクジェット記録用の上質紙や塗工紙以外のインクジェット記録シートの開発が切望されている。
【0003】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像・文字等の記録を行なうものである。インクジェットプリンターやプロッターは、高速印字性や低騒音性に優れ、記録パターンの融通性が大きく、現像−定着が不要等の特長があり、複雑な画像を正確、かつ迅速に形成することができる点で注目されている。特にコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途において、近年急速に普及している。また、複数個のインクノズルを使用することにより、多色記録を行うことも容易である。多色インクジェット方式により、形成されるカラー画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能であり、さらに作成部数が少ない用途においては、印刷技術や写真技術によるよりも安価で済むことから広く応用されつつある。
【0004】
最近では、銀塩写真の画像に匹敵する高精細な画像を出力できるインクジェットプリンター等が安価で市販されている。インクジェット記録シートは、銀塩写真方式と比べ同品質の画像が得られながら非常に安価であることから、大面積の画像が必要な広告や商品見本等で表示画像を頻繁に取り替える利用者にとって経済的に大きなメリットがある。また、最近一般的になってきたパーソナルコンピューター上で画像を作成し、これをプリントアウトを見ながら配色やレイアウトを訂正することは従来の銀塩写真方式では全く無理であったが、インクジェット記録ではこのような操作が気軽にできるという長所もある。
【0005】
インクジェット記録方式で使用される記録シートとしては、通常の印刷、あるいは筆記用上質紙やコーテッド紙を用いることができるように、装置やインク組成の面から努力がなされてきた。しかし、高速化・高精細化、あるいはフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対しても、より高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速くて、印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。特に、カラー記録の場合は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの単色記録だけでなく、これらの色を重ねる重色記録がなされ、インク付着量がさらに多くなるために極めて厳しい性能が要求される。
【0006】
近年、インク吸収速度が速く、かつ光沢性を高めたインクジェット記録シートとして、アルミナ水和物を用いたインクジェット記録シートが提案されており、例えば、特開昭60−232990号、同60−245588号、特公平3−24906号、特開平2−276670号、同3−215082号、同4−37576号、同4−67986号、同5−16517号、同5−24335号、同5−32037号、同5−50739号、同5−286228号、同5−301441号、同6−48016号、同6−55829号、同6−183126号、同6−184954号、同6−199034号、同6−199035号、同6−218324、同6−255235号、同6−262844号、同6−270530号、同6−286297号、同6−297831号、同6−297832号、同6−316145号、同7−68919号、同7−68920号、同7−76161号、同7−82694号、同7−89221号、同7−172038号公報等に記載されているように微細なアルミナゾルを水溶性バインダーとともに支持体表面に塗工したインクジェット記録シートが開示されている。
【0007】
これらのインクジェット記録シートは、画質、光沢の点で優れており、非常に好ましい。しかしながら、これらアルミナ水和物からなるインク受理層の表面は非常に傷がつきやすいという欠点を有しており、布や紙等でこするだけで記録物の品質を著しく損なうおそれがあった。
【0008】
これを解決する手段として、特開平7−76162号公報記載のごとく、インク受理層の上にシリカ層を設けるという方法がある。しかしながら、一般的な球状粒子のシリカのみを用いた場合、シリカ層の粒子の充填が密になるため、シリカ層がインクの浸透を阻害し、結果として画像が悪化するという欠点を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高い表面光沢や優れたインク吸収性を有し、かつ耐擦傷性に優れたインクジェット記録シートを提供することである。さらに詳しくは、擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層を有し、カラー記録での要望が高い写真調の光沢を有するインクジェット用被記録シート、またはOHPフィルムとして使用可能な透明性が高いインクジェット記録シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は以下に述べる手段によって解決することができた。すなわち、支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層を設け、その上に少なくとも非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層を有することを特徴とするインクジェット記録シートである。
【0011】
非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層は、球状のシリカ粒子だけからなるシリカ層に比して、ミクロ的には粒子の充填が粗になるため、球状のシリカ粒子だけからなるシリカ層よりインクの浸透が良く、またマクロ的には球状のシリカ粒子だけからなるシリカ層と同程度の透明性及び光沢を有するから、これにより、擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層が有する画質や光沢を実質的に損なわず、かつアルミナ水和物からなるインク受理層の欠点である傷つきやすさが著しく改善される。
【0012】
また、上記非球状のシリカ粒子として、下記(a)の工程により製造されるシリカ粒子を用いたインクジェット記録シートである。
(a)活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物を有する水溶液を添加し、さらにアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩を加えて加熱する工程。
【0013】
この工程(a)により得られるシリカ粒子は小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い構造または三次元網目構造を有するため、これをシリカ層に含むことによりさらに粒子の充填が粗となりやすく、インクの浸透性に優れたシリカ層となる。
【0014】
また、上記(a)の工程で用いられるカルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物の総量に対する活性珪酸の各酸化物換算重量比[(CaO+MgO)/SiO2]が1500〜8500ppmであり、非球状シリカ粒子として細長い形状のシリカ粒子を含むシリカ層を有するインクジェット記録シートである。
【0015】
カルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物の量を上記の範囲とすることにより、細長い形状のシリカ粒子が得られる。この細長い形状のシリカ粒子を用いると、さらにシリカ層における粒子の充填が粗となりやすく、インク浸透性がより向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のインクジェット記録シートの構成要素及びその製造方法について詳細に説明する。本発明のインクジェット記録シートは、支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層を設け、その上に少なくとも非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層を有する。
【0017】
本発明に係わるシリカ層を構成するシリカ粒子は、非球状であることが特徴である。シリカのコロイド状粒子の形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしているのに対して、本発明に係わる非球状シリカ粒子は、小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い形状、または三次元網目構造を有しているものを指す。
【0018】
細長い形状の粒子とは三次元方向には伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形状の粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、これら細長い形状の粒子が文字通り三次元的に絡まった網目状構造を有するものを指す。
【0019】
本発明に係わるこれら非球状のシリカ粒子は種々の方法によって得られ、本発明においては、いかなる方法によって得られたものであっても、シリカ粒子が非球状を有していれば本発明に用いることができるが、非球状のシリカ粒子の形成方法として、例えば一般的な水ガラスからアルカリ分を除去して活性珪酸とし、非球状(鎖状)に連結するように2価以上の陽イオンを加えて粒子を成長させることにより得られる。
【0020】
本発明で言う活性珪酸とは、珪酸及び粒子径3nm未満の珪酸の重合体が共存するコロイド粒子であり、公知の方法で容易に得られる。好ましい活性珪酸のコロイド水溶液は、水溶性珪酸塩、例えばSiO2/M2O(但し、Mはアルカリ金属原子を示す)モル比が1〜4.5程度の水ガラスの希釈液を陽イオン交換処理することにより得られ、SiO2換算で通常6重量%以下、好ましくは1〜6重量%含有し、通常pH5以下、好ましくは2〜5であるものが用いられる。このpHは、上記水ガラス希釈液を陽イオン交換処理する際、その中の陽イオンの一部分を残存させることによっても、あるいはその中の陽イオンの全部または一部分を除いた後に得られた活性珪酸のコロイド水溶液に少量のアルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基等を加えることによっても容易に調製することができる。この活性珪酸のコロイド液は不安定であって、ゲル化しやすい性質を有するので、このゲル化を促進するがごとき不純物をなるべく含有しないものが好ましく、また調製直後のものが好ましい。さらに好ましい活性珪酸のコロイド水溶液は、SiO2/Na2Oモル比が2〜4程度の市販工業製品のナトリウム水ガラスの希釈水溶液を水素型陽イオン交換樹脂を通過させることにより得られる。
【0021】
この活性珪酸のコロイド水溶液に、非球状(鎖状)に連結するように2価以上の陽イオンを加えて粒子を成長させる。2価以上の陽イオンとしては、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンが好ましく、カルシウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物の形態で、水溶液として添加することが好ましい。このカルシウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物の総量としては、上記活性珪酸に対し、それぞれの酸化物として換算した重量比[(CaO+MgO)/SiO2]では1500〜25000ppm、細長い粒子の場合は特に1500〜8500ppmとなる量が好ましい。
【0022】
また、これらの塩の添加は活性珪酸のコロイド液の攪拌下に行うのが良く、その場合の混合温度及び時間には特に制限はないが、2〜50℃で5〜30分程度が好ましい。加えられるカルシウム塩及びマグネシウム塩の例としては、カルシウムまたはマグネシウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、蟻酸塩、及び酢酸塩等の無機酸塩及び有機酸塩が挙げられる。これらカルシウム塩とマグネシウム塩は混合して用いても良い。また、これらの塩の添加時の濃度としては特に制限はなく、2〜20重量%程度で良い。
【0023】
これらカルシウム塩及びマグネシウム塩等と共にカルシウム及びマグネシウム以外の多価金属成分が上記活性珪酸のコロイド液に含まれていると、さらに好ましくシリカゾルを製造することができる。このカルシウム及びマグネシウム以外の多価金属の例としては、Sr、Ba、Zn、Sn、Pb、Cu、Fe、Ni、Co、Mn、Al、Cr、Y、Ti、及びZn等の2価、3価または4価の金属が挙げられる。これら多価金属成分の量としては、カルシウム塩及びマグネシウム塩の量をそれぞれCaO及びMgOの量に換算した時、これらCaO及びMgOに対し、多価金属酸化物として10〜80重量%程度が好ましい。
【0024】
上記水ガラスの希釈溶液を陽イオン交換処理することによって得られた活性珪酸のコロイド液に上記多価金属分が残留している場合には、この多価金属分は上記10〜80重量%の一部として算入する。残部の多価金属分は、上記多価金属の水溶液として、加えられるカルシウム塩及びマグネシウム塩等と一緒に加えるのが好ましい。この多価金属の好ましい例としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、蟻酸塩、及び酢酸塩等の無機酸塩や有機酸塩が挙げられる。また、亜鉛酸塩、錫酸塩、アルミン酸塩、及び鉛酸塩等、例えば、アルミン酸ナトリウム、錫酸ナトリウム等の塩も用いることができる。加えられる上記カルシウム塩、マグネシウム塩、及び多価金属塩等は、活性珪酸のコロイド液と均一に混合するのが好ましく、通常、水溶液として添加される。
【0025】
上記の工程によって得られた水性液に、アルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩を加える。この添加は、上記工程の終了後なるべく早く、そして攪拌下に行うのが好ましい。またこれらの混合の温度及び時間には特に制限はないが、2〜50℃で5〜30分程度が好ましい。加えられるアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩は、上記工程によって得られた水性液と均一に混合されるのが好ましく、直接または水溶液として添加される。
【0026】
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等の水酸化物が挙げられる。有機塩基としては、例えば、テトラエタノールアンモニウム水酸化物、モノメチルトリエタノールアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム水酸化物等の第4級アンモニウム水酸化物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、及びモルホリン等のアミン類、その他塩基性窒素原子含有の有機化合物等が挙げられる。また、それらの水溶性珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、上記第4級アンモニウムの珪酸塩、上記アミンの珪酸塩等が例示される。
【0027】
さらに、アルカリ金属または有機塩基のアルミン酸塩、蟻酸塩、亜鉛酸塩、及び鉛酸塩等も用いることができる。これらアルカリ金属水酸化物、有機塩基、珪酸塩、及び金属酸塩等は混合して用いても良い。上記アルカリ金属水酸化物のアルカリ金属原子または有機塩基の分子をMで表せば、加えられるアルカリ金属水酸化物、有機塩基またはそれらの水溶性珪酸塩の量は、活性珪酸に由来するシリカ分及び珪酸塩のシリカ分の合計をSiO2として、SiO2/M2Oが20〜200、好ましくは60〜100のモル比となる量が良い。この添加によって、液はpH7〜10程度を示すに至る。
【0028】
以上の工程により得られた混合物を60〜300℃で30分〜40時間、好ましくは90〜150℃で2〜12時間加熱することによりSiO2濃度1〜6重量%の非球状の形状を有するシリカゾルが得られる。所望によりこのゾルを濃縮することにより、より高濃度なゾルが得られる。尚、上記の方法によって得られた非球状のシリカ粒子は、動的光散乱法により測定した粒子径が40〜300nmの範囲であり、電子顕微鏡観察によると5〜40nmの太さで一平面内または三次元的に成長した形状を有している。
【0029】
本発明に係わる非球状のシリカ粒子は、少なくとも本発明のインクジェット記録シートにおけるシリカ層を形成するための塗液において、非球状の形状で存在していれば良く、シリカ層形成用塗液の調液に先だって、上記の方法を含めて本発明に係わる非球状のシリカ粒子を調製し、これを用いてシリカ層形成用塗液を調製しても良いし、シリカ層形成用塗液調液時に、塗液中で上記の方法を含めて本発明に係わる非球状のシリカ粒子を調製しつつ塗液を調液しても良い。塗液調液前に予め本発明に係わる非球状のシリカ粒子を用意しておくのであれば、市販のものも用いることができる。市販の非球状のシリカ粒子の例としては、日産化学工業製スノーテックスUP、及びスノーテックスOUP等が挙げられる。
【0030】
本発明において、擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層上にシリカ層を設けることにより、これらの層全体としての耐擦傷性が向上する機構は明らかではないが、シリカ層の皮膜強度がアルミナ水和物層のそれに比べて優れているためであると推測される。アルミナ水和物層にシリカを混合して一層構成とすることによっても目的を達成できる可能性はあるが、アルミナゾルとシリカゾルを混合した塗液は分散状態等が不安定になりやすく、またそうして得られたインクジェット記録シートもインク吸収性、耐擦傷性ともに二層構成とした場合よりも劣るため好ましくない。
【0031】
一方、本発明のような層構成のインクジェット記録シートにおいては、インクを吸収し色素を定着する機能は、主としてアルミナ水和物層が有し、シリカ層はそれの保護層として機能する。従って、インクジェットプリンターからのインクは、シリカ層を透過してアルミナ水和物層にまで浸透し、色素がアルミナ水和物層で定着される。非球状粒子のシリカを用いることにより、インク吸収性への悪影響が弱まった理由としては、球状の粒子を単独で使用した場合と比較してパッキング率が低く、インクの浸透を阻害しにくいためと考えられる。さらに、非球状粒子を使用することで、球状粒子を単独で用いた場合と比較して、より少ない塗工量で優れた耐擦傷性を実現することができる。
【0032】
従って、シリカ層の塗工量を少なくすることにより、耐傷強度はそのままに、インクの浸透性への悪影響が軽減されるだけでなく、インクジェット記録シートのヘーズ(曇価)の悪化も軽減されるため、特にOHPシートとして用いる場合、その透明度を高くすることが可能となって好ましい。
【0033】
本発明では、球状粒子と非球状粒子を混合して用いた場合にも、上記と同様の効果が得られる。最適な混合比率は用いる非球状粒子及び球状粒子の種類や混合比によって異なる。例えば、非球状シリカとしてスノーテックスUP(日産化学工業製)、球状シリカとしてスノーテックス20(日産化学工業製)を用いた場合、スノーテックスUPとスノーテックス20の比が重量比で10:0(すなわち非球状シリカ単独)から8:2の範囲ではほとんど差がなく、耐擦傷性、インク吸収性ともに良好である。同比が5:5付近でもっともインク吸収性が悪化した。また同比2:8で再び良好な特性を示し、0:10(すなわち球状シリカ単独)の場合よりも優れている。このような現象は、シリカ層のパッキング率に起因していると考えられる。
【0034】
シリカ層を設けることにより、シート表面の触感も向上する。シリカ層を設けない場合には、アルミナ水和物層を直接指等で触ると皮脂が吸収されるためか、指先がシートに吸い付くような不快な感触があった。しかし、上にシリカ層を設けることで、それが大きく軽減される。さらに、表面の滑りが良くなるため、プリンターへの通紙性や、大量の枚数を扱う際のハンドリング性も向上することが期待できる。
【0035】
本発明に係わるシリカ層は、擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層上にシリカゾル塗液を塗布、乾燥して得られるが、本発明に係わる非球状シリカを含むシリカ粒子の分散媒としては、水単独でも良いし、水可溶性の有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びジメチルアセトアミド等、を水に混合して用いても良い。さらに、本発明に係わる非球状シリカ粒子のの製造工程において、水を上記水溶性有機溶媒に置換した有機溶媒分散タイプ(オルガノシリカゾル)も用いることができる。オルガノシリカゾルを用いる場合、水に不溶のバインダーを併用することもできるため、水を主溶媒とするインクによるバインダーの溶解、膨潤を防ぐことができるため好ましい。
【0036】
本発明に係わるシリカ層は、非球状シリカ粒子を含むシリカ総固形分に対して100重量%程度を上限としてバインダーを併用しても良い。バインダー添加量が多いほど、シリカ層の耐擦傷性は向上するが、多すぎるとインクジェット記録シートのインク吸収性、換言すれば、シリカ層の下層の実質的にインクを吸収し色素を定着するアルミナ水和物層へのインク到達度を悪化させるため、上記の範囲が好ましい。さらに、シリカ総固形分に対してバインダーを1〜30重量%とすることにより、インク吸収性と耐擦傷性のバランスが良く、好ましい。
【0037】
本発明に係わるシリカ層に用いるバインダーとしては、溶媒に合わせて様々なポリマーを選ぶことができる。例えば溶媒が水の場合、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系バインダー、でんぷん及びその変性物、ゼラチン及びそれらの変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルション類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
本発明におけるシリカ層形成用塗液の塗布方法としては、ダイレクトグラビア方式を用いるのが好ましいが、それ以外のマイクログラビア方式、リバースグラビア方式、スライドホッパー方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロッドバーコーティング方式、及びロールコーティング方式等の通常用いられている塗布方法も用いることができる。
【0039】
塗布性等を改善する目的で、本発明に係わるシリカ層形成用塗液に界面活性剤を添加しても良い。用いる界面活性剤の種類は、特に限定されず、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、またはベタイン系のいずれのタイプから選択しても良く、また、低分子のものでも高分子のものでも良い。1種もしくは2種以上界面活性剤を組み合わせて用いても良い。
【0040】
本発明に係わるシリカ層の乾燥塗工量は、0.05〜5g/m2の範囲が好ましい。この範囲を下回ると、対擦傷性が十分に得られないことがあって好ましくない。また、この範囲を超えると、シリカ層のヘーズが悪化する。そのため、特に透明フィルムを基材として用いてOHP用シートとする場合、透光性が悪化するため好ましくない。また、不透明基材を用いて印字面側から見ることを目的としたシートの場合にも、印字部分の発色に悪影響して好ましくない。これは、インクの色素はアルミナ水和物からなるインク受理層において定着するため、上に設けたシリカ層が濁っているとくすんだような発色となるためである。
【0041】
次に、本発明に係わるインク受理層を説明する。本発明のインクジェット記録シートにおけるインク受理層は、本発明に係わるシリカ層の形成に先立って、支持体上に設けられ、少なくとも擬ベーマイト状アルミナ水和物からなる。本発明に係わる擬ベーマイト状アルミナ水和物は、平均細孔半径が1〜10nm、特に好ましくは3〜7nmであるアルミナ水和物からなることがことが好ましい。これは、アルミナ水和物の細孔半径が小さすぎるとインクを吸収し難く、また、細孔半径が大きすぎると、インク中の染料の定着が悪くなり画像のにじみが発生するためである。
【0042】
本発明に係わるアルミナ水和物が十分なインク吸収容量を有するには、アルミナ水和物の細孔体積は0.3〜0.8ml/gの範囲であることが好ましく、特に0.4〜0.6ml/gの範囲であることが好ましい。インク受理層の細孔体積が大きい場合にはインク受理層にひび割れや粉落ちが発生することがあり、小さい場合にはインクの吸収が遅くなる傾向がある。さらに、単位面積当たりのインク受理層の溶媒吸収量は5ml/m2以上、特に10ml/m2以上であることが好ましい。単位面積当たりの溶媒吸収量が小さい場合には、特に多色印字を行った場合にインクが溢れることがある。
【0043】
本発明に係わるアルミナ水和物が、インク中の染料を十分に吸収して定着するには、BET比表面積が70〜300m2/gの範囲であることが好ましい。BET比表面積が大きすぎると、細孔径分布が大きい方に片よって、インク中の染料の定着の効率が悪くなり画像のにじみが発生する。逆に、BET比表面積が小さすぎると、アルミナ水和物の分散が困難になる。
【0044】
良好なインク吸収容量を得るためには、インク受理層の塗工量として固形分で20g/m2以上、好ましくは30〜50g/m2以上必要である。そのため、インク受理層形成用塗液に用いるアルミナ水和物分散液は15重量%以上、好ましくは20重量%以上の濃度であることが好ましい。アルミナ水和物の分散液の濃度を上げるためには、アルミナ水和物の表面水酸基の数は1020個/g以上であることが好ましい。表面水酸基の数が少ないと、アルミナ水和物が凝集し易くなり、分散液の濃度を上げるのが困難になる。
【0045】
また、通常アルミナ水和物の分散液は、その製造過程で用いた揮発性塩基性物質、例えばアンモニアやトリエチルアミン等を含有しているために分散が不安定になっており、濃縮等の方法によって15重量%以上の濃度で安定な分散液を得ることは難しい。そこで、蒸発乾固、フリーズドライ、あるいはスプレードライ等の方法で揮発性塩基性物質を取り除き、得られたアルミナ水和物の粉末あるいは固形物を水に再分散することにより、15重量%以上でも安定なアルミナ水和物分散液を得ることができる。
【0046】
さらに、アルミナ水和物分散液を安定化させるために、種々の酸類が分散液に添加しても良い。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、及び塩化アルミニウム等を挙げることができる。
【0047】
同様に、アルミナ水和物の分散を安定化することを目的として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びグリセリン等のアルコールをインク受理層形成用塗液に添加することができる。インク受理層形成用塗液の溶媒として、50重量%程度を上限としての水に上記アルコールを混合して用いることができる。
【0048】
本発明に係わるインク受理層は、少なくとも本発明に係わる擬ベーマイト状アルミナ水和物を含む塗液を支持体上に塗布して形成する。また、このインク受理層形成用塗液には、塗液の液性、塗液粘度、インク受理層の成膜性、及び強度等を調整することを目的として、水溶性バインダーを複数組み合わせて用いても良い。このような水溶性バインダーとしては、完全ケン化または部分ケン化のポリビニルアルコールが、擬ベーマイト状アルミナ水和物との混合性や塗液粘度の調整等の点で特に好ましいが、この他に少なくとも本発明に係わるシリカ層形成用塗液に併用しても良い上記で例示したバインダーはすべて用いることができる。
【0049】
また、インク受理層形成用塗液を調製した時に良好な液性を得るためには、調製するインク受理層形成用塗液の粘度が100cps以上になるように、水溶性バインダーを選択することが好ましい。また、インク受理層形成用塗液の粘度が高すぎると塗布が困難となることがあるため、塗液の粘度は5000cps以下になるように水溶性バインダーを選択することが好ましい。
【0050】
本発明に係わるインク受理層における水溶性バインダーの使用量は、少ないとインク受理層の強度が弱くなり、逆に多すぎるとインクの吸収を阻害することがあるため、水溶性バインダーの総量は、擬ベーマイト状アルミナ水和物に対して、5〜20重量%が好ましく、特に10〜15重量%が好ましい。
【0051】
本発明においてインクジェット記録シートを製造する場合には、界面活性剤を添加しなくても良好な塗布性を得ることができる場合が多いが、より塗布性を改善するため、あるいはインクがインク受理層に付着した時のドット径を調整することを目的として、界面活性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤は、ノニオン性のものが好ましいが、必要に応じてアニオン系、カチオン系、ノニオン系、あるいはベタイン系のいずれのタイプから選択してもよく、また、低分子のものでも高分子のものでも良い。これらは1種もしくは2種以上界面活性剤を組み合わせて用いても良い。界面活性剤の添加量は、固形分量でインク受理層を構成する擬ベーマイト状アルミナ水和物に対して0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量%である。
【0052】
さらに、本発明に係わるインク受理層には、上記の界面活性剤の他に、無機顔料、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、及びpH調節剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0053】
また、画像の解像性を向上させるために、擬ベーマイト状アルミナ水和物の分散液と混合した際に、凝集等を生じることがなければ、インク受理層に撥水剤またはサイズ剤を含有することにより、印字ドット径をコントロールして画像の解像性を向上させることができる。これらの撥水剤またはサイズ剤としては、一般に市販されているものを使用することができる。また、これらの撥水剤またはサイズ剤の形態は溶液または水系エマルジョンのどちらでも使用可能である。インク受理層へのこれらの撥水剤の添加量により印字ドット径をコントロールすることができる。その添加量は各成分や濃度及び希望する印字ドット径によって異なるが、通常有効固形成分としてインク受理層の全固形分に対して0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0054】
本発明のインクジェット記録シートにおいて、インク受理層の層構成は、単層であっても積層構成であっても良い。積層構成の場合、全層が擬ベーマイト状アルミナ水和物と水溶性バインダーを含む層であっても良いし、擬ベーマイト状アルミナ水和物以外のアルミナ水和物を包含する擬ベーマイト状アルミナ水和物以外の成分で構成される層と擬ベーマイト状アルミナ水和物と水溶性バインダーを含む層との積層構成であっても良い。
【0055】
インク受理層が多層で構成され、その全層とも擬ベーマイト状アルミナ水和物と水溶性バインダーを含む層の場合は、各層とも同じ層を積層しても良いし、異なった特性を有する層を積層しても良い。例えば、二層構成の場合、上層にはインク吸収速度を上げる目的で、細孔径の大きい層を設け、下層には透光性に有利なようにに細孔径の小さい層を設け、インク吸収速度と透光性のバランスをとること等、目的に合わせた層構成にすることができる。
【0056】
また、インク吸収容量を上げること等を目的として、アルミナ水和物と水溶性バインダーを含む層の下層に、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等水溶性樹脂からなるインク受理層を設ける等、目的に合わせた層構成にすることができる。また、本発明に係わるインク受理層は、支持体の少なくとも片面に設ければ良いが、カールを防止する等の目的で、支持体の両面に設けても良い。インク受理層を支持体の両面に設ける場合は、両面のインク受理層の上に本発明に係わるシリカ層を設ける。
【0057】
本発明におけるインク受理層形成用塗液の塗布方法としては、例えば、スライドホッパー方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、及びロッドバーコーティング方式等の通常用いられている塗布方法を用いることができる。
【0058】
本発明のインクジェット記録シートに係わる支持体としては、例えばポリエステルフィルム、樹脂被覆紙、コーテッド紙等が主に用いられるが、ガラス、アルミニウム箔、蒸着紙、蒸着フィルム、不織布、及び布帛等、本発明に係わる擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層を設けることができる支持体であれば、特に限定されるものではない。
【0059】
また、クッション性や隠蔽性を付与するために、フィルム内部に多数の空洞を含有する空洞含有フィルム、例えば発泡ポリエステルフィルム等も用いることができる。本発明に用いる支持体として、その厚さは特に制限されないが、ポリエステルフィルムを用いる際には、ハンドリング性とプリンターの通紙適性から10〜200μm程度のものが好ましく、樹脂被覆紙を用いる際にも、厚さについては特に制限されないが、50〜300μm程度のものが好ましい。但し、写真の印画紙の風合いを得るためには200〜300μm程度のものが好ましい。
【0060】
支持体に用いられるポリエステルフィルムにおけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとを重縮合させて得られるものであって、その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、及びこれらに他成分を共重合したもの等が挙げられる。ポリエステルフィルムはそれらのポリエステルをフィルム化したものであり、通常はロール延伸、テンター延伸、インフレーション延伸等の処理により、配向処理されることが多い。
【0061】
樹脂被覆紙用の原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、好ましくは写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が良い。原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、及び合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には、一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、及び染料等の添加剤が配合される。さらに、その表面には、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、及びアンカー剤等が塗布されていても良い。
【0062】
また、樹脂被覆紙用の原紙は、抄造中または抄造後、カレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等した表面平滑性の良いものが好ましく、JIS−P−8119で測定したベックの平滑度が200秒以上のものが特に好ましい。また、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
【0063】
樹脂被覆紙用の原紙の白色度は、JIS−P−8123で測定したハンター白色度が65%以上であると白色度が高く、高級感のある記録シートが得られるが、目的により求める白色度は異なり、天然パルプとして未晒しパルプを用いた茶褐色の原紙を併用して用いても良い。また、染料等の着色剤を用いて着色した原紙を用いても良い。
【0064】
樹脂被覆紙用の被覆樹脂としては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特にポリエチレン樹脂が好ましい。また、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンまたはこれらの混合物が使用できる。これらのポリエチレン樹脂は、各種の密度及びメルトフローレートを有するものを単独にまたはそれらの二種以上を混合して用いることができる。樹脂被覆紙の樹脂層の構成は、単層、二層以上の多層のいずれであっても良い。この場合にも、上記のポリオレフィン樹脂を単独にまたは二種以上を混合して用いることができる。また、多層の各層を互いに異なる組成とすることも同一の組成とすることもできる。多層からなる樹脂層を形成する方法としては、共押出コーティング法と逐次コーティング法のいずれを採用しても良い。
【0065】
一方、樹脂被覆紙の樹脂層は、膜形成能のあるラテックス等の樹脂水分散物を塗布することによって形成することができる。例えば、最低成膜温度(MFT)の低いラテックス等の樹脂水分散物を、樹脂被覆紙用の原紙に塗布した後、その樹脂水分散物が有する最低成膜温度以上の温度に過熱することによっても形成することができる。
【0066】
樹脂被覆紙における被覆樹脂層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚みに本発明に係わるインク受理層を設ける側、またはその反対面の一面のみ、または表裏両面に設けられる。
【0067】
樹脂被覆紙の被覆樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、及び炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド及びアラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等の酸化防止剤、蛍光増白剤、及び紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
【0068】
一方、本発明に係わる非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層及び擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層は、上述したように、双方共に実用上透光性の層を形成することが可能であるから、透光性の支持体にこれらの層を設けることで、OHPフィルムとして使用可能な、透光性のインクジェット記録シートが得られる。
【0069】
本発明において、OHPフィルムとして使用可能なインクジェット記録シートを構成する際に用いる支持体は、JIS−K−7105によるヘーズが3.0以下の透明支持体であることが好ましい。また、この支持体上に本発明に係わるインク受理層とシリカ層とを設けたインクジェット記録シートにおいては、JIS−K−7105によるヘーズが10.0以下であることが好ましい。
【0070】
尚、本発明において、OHPフィルムとしての光透過性をヘーズで規定するのは、ヘーズはJIS−K−7105によれば、積分球式光線透過率測定装置を用いて、拡散透過率及び全光線透過率を測定し、その比によって表すとしており、OHPフィルムとして使用する際の光透過性は、単に全光線透過率だけで表現するよりも、ヘーズの方が人の感覚に近いことによる。
【0071】
OHPフィルム等の透光性を要求される記録シートにおいて、用いる支持体の厚さは特に制限する必要はないが、ハンドリング性とプリンターの通紙適性から50〜200μm程度のものが好ましい。
【0072】
本発明における支持体には、インク受容層と支持体との接着性向上等の目的でアンカー層を設けても良い。アンカー層にはゼラチン等の親水性バインダー、ブチラール等の溶剤可溶性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、及び界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることができる。
【0073】
また、本発明における支持体には、帯電防止性、搬送性、カール防止性、筆記性、及び糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、及び界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることができる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。
【0075】
実施例1
<インク受理層形成塗液の調製>
市販のコロイダルアルミナ(触媒化成製、カタロイドAS−3)をスプレードライヤー(入口温度200℃、出口温度80℃)で乾燥させ、擬ベーマイト状アルミナ水和物の粉体を得た。この擬ベーマイト状アルミナ水和物20重量部にイオン交換水60重量部を加え、固形分濃度25重量%のアルミナゾルを得た。このアルミナゾル80重量部にポリビニルアルコール10重量%水溶液(ケン化度96〜98、重合度約2600)を加えて撹拌し、「インク受理層形成用塗液配合1」の塗液を調製した。
【0076】
<シリカ層形成用塗液の調製>
市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3.21、SiO2含有率29.2重量%)に水を加えてSiO2濃度3.6重量%の珪酸ナトリウム水溶液を得た。水素型に調整された陽イオン交換樹脂(商品名、アンバーライト120B)を充填したカラムに、上記珪酸ナトリウム水溶液を通すことにより、SiO2濃度3.6重量%、pH2.9の活性珪酸のコロイド液を得た。この活性珪酸のコロイド液2000重量部をガラス製容器に採り、次いで10重量%の塩化カルシウム水溶液8.0重量部を攪拌下に室温で添加し、30分後さらに10重量%の水酸化ナトリウム水溶液12.0重量部を攪拌下に室温で添加した。得られた混合液はpH7.6を示し、SiO2/Na2Oモル比は80であった。
【0077】
次いで、上記混合液をステンレス製オートクレーブに仕込み、130℃で攪拌下6時間加熱した後冷却して内容物を取り出した。得られた液はシリカゾルであり、CaOはSiO2に対し重量比5400ppm含まれていた。このシリカゾルを限外濾過装置でSiO2濃度20.0重量%まで濃縮した。得られたシリカゾルは比重1.14、pH9.24、粘度125cps、滴定法によるSiO2/Na2Oモル比126、CaO含有率1130ppmであった。このシリカゾルのコロイダルシリカ粒子は電子顕微鏡写真から観察すると、細長い粒子であり、太さは12nmであった。そしてこのシリカゾルの動的光散乱法によるコロイダルシリカの粒子径は84.6nmであった。動的光散乱法によるコロイダルシリカの粒子径は、米国Coulter社製N4装置により測定した。
【0078】
上記のようにして準備したシリカゾル10重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合1」を調製した。
【0079】
<インクジェット記録シートの作製>
支持体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、ワイヤバーを用いて「インク受理層形成用塗液配合1」の塗液を乾燥塗工量が35g/m2になるように塗工、乾燥してインク受理層を形成した。このインク受理層の上にさらに「シリカ層形成用塗液配合1」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.09g/m2であった。
【0080】
実施例2
実施例1の活性珪酸のコロイド液2000重量部をガラス製容器に採り、次いで10重量%の塩化マグネシウム水溶液10.3重量部を攪拌下に室温で添加し、30分後さらに10重量%の水酸化ナトリウム水溶液12.0重量部を攪拌下に室温で添加した。得られた混合液はpH7.5を示し、SiO2/Na2Oモル比は80であった。次いで、上記混合液をステンレス製オートクレーブに仕込み、130℃で攪拌下6時間加熱した後冷却して内容物を取り出した。得られた液はシリカゾルであり、MgOはSiO2に対し重量比6100ppm含まれていた。このシリカゾルを限外濾過装置でSiO2濃度20.0重量%まで濃縮した。得られたシリカゾルはpH8.47、粘度12500cps、MgO含有率1600ppmであった。このシリカゾルのコロイダルシリカ粒子は電子顕微鏡写真から観察すると、細長い粒子であり、太さは15nmであった。このシリカゾルの動的光散乱法によるコロイダルシリカの粒子径は171nmであった。
【0081】
上記のようにして準備したシリカゾル10重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合2」を調製した。
【0082】
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合2」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.10g/m2であった。
【0083】
実施例3
実施例1の活性珪酸のコロイド液2000重量部をガラス製容器に採り、次いで10重量%の塩化カルシウム水溶液16.0重量部を攪拌下に室温で添加し、30分後さらに10重量%の水酸化ナトリウム水溶液12.0重量部を攪拌下に室温で添加した。得られた混合液はpH7.8を示し、SiO2/Na2Oモル比は80であった。次いで、上記混合液をステンレス製オートクレーブに仕込み、130℃で攪拌下6時間加熱した後冷却して内容物を取り出した。得られた液はシリカゾルであり、CaOはSiO2に対し重量比10800ppm含まれていた。このシリカゾルを限外濾過装置でSiO2濃度20.0重量%まで濃縮した。得られたシリカゾルはpH8.47、粘度12500cp、CaO含有率2200ppmであった。このシリカゾルのコロイダルシリカ粒子は電子顕微鏡写真から観察すると、三次元網目状の形状を有する粒子であった。このシリカゾルの動的光散乱法によるコロイダルシリカの粒子径は295nmであった。
【0084】
上記のようにして準備したシリカゾル10重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合3」を調製した。
【0085】
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合3」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.09g/m2であった。
【0086】
実施例4
市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスUP、SiO2濃度20重量%)10重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1589重量部、界面活性剤(旭硝子製、サーフロン145)0.0001重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合4」を調製した。
【0087】
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.05g/m2であった。
【0088】
実施例5
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.20g/m2であった。
【0089】
実施例6
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ1.1g/m2であった。
【0090】
実施例7
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ5.0g/m2であった。
【0091】
実施例8
実施例1と同様にして作製したインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ9.8g/m2であった。
【0092】
実施例9
擬ベーマイト状アルミナ水和物20重量部にイオン交換水60重量部を加え、固形分濃度25重量%のアルミナゾルを得た。このアルミナゾル80重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液及びプロピレングリコール20重量部を加えて撹拌し、「インク受理層形成用塗液配合2」の塗液を調製した。
【0093】
市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスUP、SiO2濃度20重量%)7.5重量部、球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス20、SiO2濃度20重量%、粒子径10〜20nm)2.5重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合5」を調製した。
【0094】
支持体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、ワイヤバーを用いて「インク受理層形成用塗液配合2」の塗液を乾燥塗工量が29g/m2になるように塗工、乾燥してインク受理層を形成した。このインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合5」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ1.0g/m2であった。
【0095】
実施例10
市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスUP、SiO2濃度20重量%)5重量部、球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス20、SiO2濃度20重量%、粒子径10〜20nm)5重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合6」を調製した。
【0096】
実施例9と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上に「シリカ層形成用塗液配合6」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ1.1g/m2であった。
【0097】
実施例11
市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスUP、SiO2濃度20重量%)2.5重量部、球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス20、SiO2濃度20重量%、粒子径10〜20nm)7.5重量部にポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液1重量部、イオン交換水1489重量部、2−プロパノール100重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合7」を調製した。
【0098】
実施例9と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上に下記「シリカ層形成用塗液配合7」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ1.1g/m2であった。
【0099】
実施例12
擬ベーマイト状アルミナ水和物20重量部にイオン交換水60重量部を加え、固形分濃度25重量%のアルミナゾルを得た。このアルミナゾル80重量部にホウ酸5重量%水溶液2重量部を加えて撹拌した後、ポリビニルアルコール(ケン化度96〜98、重合度約2600)10重量%水溶液を加えて撹拌し、「インク受理層形成用塗液配合3」の塗液を調製した。
【0100】
支持体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、ワイヤバーを用いて「インク受理層形成用塗液配合3」の塗液を乾燥塗工量が29g/m2になるように塗工、乾燥してインク受理層を形成した。このインク受理層の上に「シリカ層形成用塗液配合4」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ1.0g/m2であった。
【0101】
実施例13
市販の非球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスUP、SiO2濃度20重量%)10重量部にシラノール基を有するポリビニルアルコール共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−1130)10重量%水溶液2重量部、イオン交換水32重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合8」を調製した。
【0102】
実施例1と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用塗液配合8」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.7g/m2であった。
【0103】
比較例1
実施例1と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上にシリカ層を設けないでインクジェット記録シートとした。
【0104】
比較例2
市販の球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックス20、SiO2濃度20重量%、粒子径10〜20nm)10重量部にシラノール基を有するポリビニルアルコール共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−1130)10重量%水溶液2重量部、イオン交換水32重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合9」を調製した。
【0105】
実施例1と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用塗液配合9」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.7g/m2であった。
【0106】
比較例3
市販の球状シリカゾル(触媒化成製、カタロイドUSB−1、SiO2濃度20重量%、粒子径20〜40nm)10重量部にシラノール基を有するポリビニルアルコール共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−1130)10重量%水溶液2重量部、イオン交換水32重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合10」を調製した。
【0107】
実施例1と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用塗液配合10」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.8g/m2であった。
【0108】
比較例4
市販の球状シリカゾル(日産化学製、スノーテックスXL、SiO2濃度40重量%、粒子径40〜60nm)5重量部にシラノール基を有するポリビニルアルコール共重合体(クラレ製、R−ポリマーR−1130)10重量%水溶液(クラレ製、R−ポリマーR−1130)2重量部、イオン交換水37重量部を加えて撹拌し、「シリカ層形成用塗液配合11」を調製した。
【0109】
実施例1と同様にしてPETフィルム上にインク受理層を形成し、その上に上記「シリカ層形成用塗液配合11」の塗液をワイヤバーで塗布、乾燥しインクジェット記録シートを作製した。シリカ層の塗工量を実測したところ0.7g/m2であった。
【0110】
以上のようにして作製した実施例1〜13、比較例1〜4のインクジェット記録シートについて、「耐擦傷性」「インク吸収性」「ヘーズ」の項目で評価を行った。「耐擦傷性」の評価は摩擦試験機(スガ試験機株式会社製)を使用し、シートの塗工面に300gの荷重で木綿のガーゼを押しつけて100回摩擦試験を行い、傷の生じたものを「×」、全く生じなかったものを「○」とした。また、100回摩擦試験では多少傷が生じたが、20回摩擦試験では全く傷が生じなかったものを「△」とした。
【0111】
「インク吸収性」の評価はインクジェットプリンターを用いて印字を行い、その品質を見て判定した。「○」のものは優れた印字像が得られた。「△」は実用上は問題ないが、「○」のものと比較すると劣っていた。「×」のものは印字品質が悪く、実用上問題のあるレベルであった。
【0112】
「ヘーズ」の評価は、日本電色工業製「NDH−300A」を用いて測定した。
【0113】
「60度鏡面光沢」の評価は、日本電色工業製「VGS−300A」を用いて、インクジェット記録シートの白紙部、すなわち印字を行っていない部分を測定した。
【0114】
【表1】
【0115】
三次元網目構造を有するシリカ粒子を用いた実施例3では、細長い粒子を用いた実施例1及び2に比べ、ヘーズが若干悪化したが、実用上問題のないレベルであった。
【0116】
シリカ層の塗布量が0.05g/m2である実施例4では耐擦傷性に関して、わずかに悪化の兆しが見られたが、実用上問題ないレベルであった。また、シリカ層の塗布量が5.0g/m2である実施例7、及び同塗布量が9.8g/m2である実施例8において、塗布量の増加に伴ってヘーズが悪化したが、この範囲では実用上問題のないレベルであった。
【0117】
以上、表1より明らかなように、本発明の非球状シリカ粒子を用いたシリカ層を設けることにより、インク吸収性や表面光沢を悪化させることなく、インクジェット記録シートの耐擦傷性が格段に向上した。また、球状シリカ粒子をのみを用いた場合と比べて、インク吸収性、ヘーズ、光沢においてより優れたインクジェット記録シートが得られた。
【0118】
また、本発明のインクジェット記録シートは表面光沢、ヘーズともに良好であるため、実施例には挙げなかったが、支持体として樹脂被覆紙等の不透明基材を用いることにより、写真印画紙調のインクジェット記録シートとすることもできる。
【0119】
【発明の効果】
本発明によれば、表面の対擦傷性に優れ、かつ高い表面光沢や優れたインク吸収性を有するインクジェット記録シートを得ることできる。
Claims (3)
- 支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物からなるインク受理層を設けたインクジェット記録シートであって、該インク受理層の上に少なくとも非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層を有することを特徴とするインクジェット記録シート。
- 上記非球状のシリカ粒子が、下記(a)の工程により製造されるシリカ粒子であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。(a)活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物を有する水溶液を添加し、さらにアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩を加えて加熱する工程。
- 上記(a)の工程で用いられるカルシウム塩、マグネシウム塩、またはこれらの混合物の総量に対する活性珪酸の各酸化物換算重量比[(CaO+MgO)/SiO2]が1500〜8500ppmであり、非球状シリカ粒子が細長い形状を有することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録シート。
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