JP3746400B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体に関するものであり、さらに詳しくは、インク吸収性が良好で、高色彩性であり、且つ記録された画像や文字の耐光性及び表面強度に優れたインクジェット記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式にはインクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行う方法が採用されている。インクジェット記録方式は、高速低騒音、カラー化容易、現像および定着の不要などの特徴から、画像記録装置として、情報機器をはじめ各種の用途に急速に普及している。更に多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷や、カラー電子写真方式による印画と比較しても遜色のない記録を得ることも可能である。特に、作成部数の少ない場合には通常の多色印刷や印画による方法よりも安価であり、フルカラー画像記録分野まで広く応用される様になってきている。更に記録の高速化、高精細化、フルカラー化などの記録特性の向上に伴って、記録装置や記録方法の改良が行われ、記録媒体に対しても、高度な特性が要求される様になってきた。
【0003】
高速化、高精細化、カラー化などに対応した記録特性の向上のために、従来から多種多様の記録媒体の形態が提案されている。例えば、特開昭55−5830号公報には支持体表面にインク吸収性の塗工層を設けたインクジェット記録用紙が開示され、特開昭55−51583号公報には被覆層中の顔料として非晶質のシリカを用いた例が開示され、特開昭55−146786号公報には水溶性高分子塗工層を用いた例が開示されている。また近年、例えば、特開平9−48173号公報、同9−272257号公報等にγ型アルミナ結晶微粒子、米国特許第4879166号、同第5104730号、特開平2−276670号公報、同4−37576号公報、同5−32037号公報等に擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を用いた塗工層を有する記録媒体が開示されている。しかしながら、上記の従来技術には以下の問題点がある。
【0004】
1)米国特許第5104730号、特開平2−276670号公報、同2−276671号公報、同3−275378号公報には、平均細孔径が、1nm乃至3nmで狭い細孔径分布を持っている記録媒体が開示されている。この細孔径分布では、染料の吸着性はよいが、溶媒の吸収性が不十分でビーディングが発生する。ここでいうビーディングとは、先に付与されたインクドットが記録媒体に定着する以前に次のインクドットが先のインクドットに隣接して付与されたとき、インクドットが横方向に不規則に移動し、その結果隣接するドットとの間で混合凝集が起こり、画像濃度にムラが生じる現象である。
【0005】
2)一般的に、空隙構成顔料の粒子径を小さくするとインク受容層の透明性や平滑性などが高くなることが明らかとなっている。しかし粒子同士が密に充填されるために径の大きな細孔が形成されず、インク吸収の速度が遅くなるという欠点があった。特開平5−32413号公報では、小さな一次粒子が凝集した二次粒子を用いた記録媒体が開示されている。しかし、透明性とインク吸収性を同時に満足することは困難であった。また、塗膜欠陥の発生が顕著であり、十分なインク吸収能を有するインク受容層を形成することが困難であった。これに関して特開昭58−65692号公報では、一次粒子間での凝集結合力が弱いために二次粒子の強度が低下してインク受容層に塗膜欠陥が発生すると記載されている。そこで前記公報では、一次粒子を予め水溶性高分子の存在下で分散させた後、凝集、乾燥して水溶性高分子を含んだ強固な二次粒子を顔料として用いた記録用紙が開示されている。しかしながら、この方法では塗膜性やインク吸収性には優れるものの、二次粒子径が大きすぎるためにインク受容層の透明性や画像濃度が低下し、画像全体に靄がかかった様になる。また、無機超微粒子含有塗膜の乾燥時収縮によって、割れ、裂け等の塗膜欠陥を発生しやすいという問題を有していた。
【0006】
一方、支持体が紙ではなく樹脂被覆紙やポリエステルフィルムのような耐水性の場合、紙のように支持体によるインク吸収性を得ることができず、インク受容層に対する負担はより大きい。
【0007】
空隙構成顔料として、アルミナ微粒子やアルミナ水和物、コロイダルシリカや気相法シリカ等の超微粒子からなる無機超微粒子を主顔料とするインク受容層は、特開平5−24335号公報に記載されているように、塗工量が20g/m2程度以上でなければインク吸収性が充分でないため、特にフィルム支持体上に於いて、優れたインク吸収性、速乾性を得るためには、厚膜塗布が必要である。しかし、厚膜塗布をすると乾燥時にインク受容層に割れ、裂け等の塗膜欠陥が非常に発生しやすく、乾燥時の塗膜欠陥の発生を抑制する必要があった。また、インク吸収性を改良するためにはバインダーの量を減らすことも有効であるが、そうすると厚膜塗布と相まって塗層強度が低下するという問題もあった。
【0008】
これら無機超微粒子含有塗膜からなるインク受容層に発生する割れや裂け等の塗膜欠陥を抑制する方法としては、特開平7−76161号公報に記載されているような、ポリビニルアルコールを接着剤として用い、ホウ酸またはホウ酸塩で接着剤のポリビニルアルコールをゲル化させ、塗膜の強度を向上させる方法が提案されている。しかしながら、ポリビニルアルコールとホウ酸およびホウ酸塩のゲル化反応は非常に速く、塗工液の粘度の経時変化を避けることができず、塗工の安定性が悪くなるという問題があった。また、ゲル化生成物がストリークの原因となる等、面質悪化の原因にもなっていた。特開平6−218324号公報には、アルミナ水和物からなる塗工液を支持体上に塗布し、溶媒の除去の前にアンモニアガスを吹き付け、ゲル化させる方法が提案されている。しかしながら、アンモニアガスは腐食性が強いだけでなく、爆発性もあり危険であった。また、余剰のアンモニアガスを回収する必要もあり、操作および設備の簡便さの点で望ましくないものである。
【0009】
上述の問題点を解決する方法として、特開平7−89221号公報には、アルミナ水和物とゼラチンからなるインク受容層を有するインクジェット記録媒体が提案されている。この方法は温水に溶解したゼラチン溶液が、低温でゲル化する性質を利用したものである。しかしながら、この方法では加温できる特殊なカーテンコーターが必要であること、溶媒を除去する乾燥ゾーンの前にゼラチンをゲル化させる為の冷却ゾーンが必要であることなど、操作および設備の簡便さの点で望ましくない。また、乾燥温度を高くするとゲル化したゼラチンが再溶解する為、低温で塗工速度を下げて乾燥させる必要があり、生産性の点からも望ましくないものである。
【0010】
また、特開平9−309264号公報には、アルミナ水和物を含有する第一塗工液を塗布し乾燥後、pH8以上の第二塗工液を積層し乾燥し、必要に応じてこれを複数回繰り返しインクジェット記録媒体を製造する方法が開示されている。この方法では、繰り返しによってインク受容層の積層が可能であり、高インク吸収性、速乾性に優れるものの、製造工程が複雑となり、製造コストが嵩むものであった。
【0011】
このような無機超微粒子を使った欠点を回避するために、本発明者らは特願平10−319428号、特願平11−116744号でインク受容層を設ける支持体表面の形状を特定する方法を提案した。しかしながら、擬ベーマイトゾルに代表されるような無機超微粒子の欠点としては、上記以外にも膜強度、耐水性、画像保存性に劣ること、特に光による画像形成色素の退色が大きい事があった。
【0012】
ここで、無機超微粒子を含有するインクジェット記録媒体においては、一般的にオゾン、光などによる色素の退色が進行しやすい。オゾン、光などによる色素の退色を改良する手段としては、例えば、特開昭57−87987号公報などに提案されているような、リンタングステン酸、リンモリブデン酸などの特定金属酸化物や塩化第2クロムなどの特定金属塩化物を含有させたり、特開昭57−87988号公報などに提案されているような、フェニルサリチル酸などの特定構造を有する紫外線吸収剤を含有させることが提案されている。また、特開平04−201594号公報、特開平09−188066号公報、特開平11−78218号公報等には、酸化亜鉛、酸化セリウム等の遷移金属酸化物をインク受容層の顔料と併用する耐光性の改良方法が提案されている。
【0013】
しかし、これらの方法では支持体が耐水性で非吸収性の場合には、インク受容層の無機超微粒子含有層を上記の通り厚塗りする必要があり、インク吸収性、画像色彩性、耐光性を両立させる改良効果は未だ不充分であった。
【0014】
一方、水の付着や、高湿度条件下での長期保存における色素の滲みを防止するための手段としては、例えば、特開平4−320877号公報、同4−323075号公報などに提案されているようなカチオン系定着剤を含有させたり、架橋剤を添加するなどの提案されているものの、このようなカチオン系定着剤を用いた場合でも、カチオン系定着剤自身がオゾンや光に対する安定性に劣るため、色素の退色を助長することもあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、吸収性が良好で、高色彩性であり、且つ記録された画像や文字の耐光性及び表面強度の優れたインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、インクジェット記録媒体における上記の問題について鋭意検討を重ねた結果、耐水性不透明支持体上に、インク受容層及びその上に保護層を設けてなるインクジェット記録媒体において、該インク受容層が主として無機超微粒子として気相法シリカを含有する層であり、かつ該保護層が主として遷移金属酸化物超微粒子及び鎖状コロイダルシリカを含有する層からなるインクジェット記録媒体とすることで目的を達成できることを見出したものである。
【0017】
該保護層の遷移金属酸化物超微粒子が、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化イットリウムの群から選ばれた少なくとも1種であると好ましい。
【0019】
さらに、遷移金属酸化物超微粒子が、平均粒径1nm〜80nmの超微粒子で、塗工量が、1g/m2〜15g/m2の範囲であると画像色彩性が優れ、耐光性が改良されるためより好ましい。
【0020】
該耐水性不透明支持体は、紙とそのインク受容層が設けられる側の表面に設けられた、白色顔料を含有するあるいは含有しない熱可塑性樹脂の被覆層からなるものが好ましい。
【0021】
また該耐水性不透明支持体は、ポリオレフィン被覆紙であり、該ポリオレフィンの被覆層が、溶融ポリオレフィンを押出しコーティング法により紙に被覆するに際し、微粗面クーリングロールに密着させて成形されたものが好ましい。
【0022】
更に該ポリオレフィン樹脂層のインク受容層の設けられる側の表面が、JIS−P8142による75度鏡面光沢度で70%以下であるとより好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明のインクジェット記録媒体における無機超微粒子とは、一次粒子径が100nm以下の無機微粒子で、それらが凝集あるいは連結して二次粒子を形成している場合はその平均二次粒子径が0.5μm以下のものを言う。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに提案されている擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、超微粒子シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0025】
本発明のインクジェツト記録媒体には、市販の無機超微粒子も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、アルミナ水和物としては、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業製)アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業製)、M−200(以上、水澤化学工業製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル製)、また、コロイダルシリカとしては、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスS、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックス20L、スノーテックスUP、スノーテックスOL、スノーテックスAK、スノーテックスPST−1、スノーテックスK、スノーテックスXS、スノーテックスSS、スノーテックスXL、スノーテックスYL、スノーテックスZL、スノーテックスPST−1、スノーテックスPST−3、スノーテックスPST−5、MA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、ETC−ST、DMAC−ST(以上、日産化学工業製)、カタロイドS−20L、カタロイドS−20H、カタロイドS−30L、カタロイドS−30H、カタロイドSI−30、カタロイドSI−40、カタロイドSI−50、カタロイドSI−350、カタロイドSI−45P、カタロイドSI−80P、カタロイドSN、カタロイドSA、カタロイドSB、USB−1、USB−2、USB−3、OSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1622、OSCAL1722(以上、触媒化成工業製)、シリカ/アルミナハイブリッゾゾルとしては、スノーテックスUP−AK1、スノーテックスUP−AK2、スノーテックスUP−AK3(以上、日産化学工業製)、酸化アンチモンゾルとしては、A−1530、A−1550、A−2550(以上、日産化学工業製)、リチウムシリケートとしては、リチウムシリケート35、リチウムシリケート45、リチウムシリケート75(以上、日産化学工業製)などを挙げることができる。
【0026】
これらの無機超微粒子の中でも特に、気相法シリカ微粒子を用いる。
【0040】
シリカ微粒子は、非晶性シリカであり、乾量基準でSiO293%以上、Al23約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどがある。シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。液相法とは、いわゆる液中に存在する珪酸化合物等を、化学変化または物理変化によって固体状態に析出させる微粒子製造方法である。粉砕固相法とはシリカ固体を機械的に粉砕する方法であり、晶析固相法とは溶融や固体の相転移などを利用した微粒子製造方法である。気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法である。
【0041】
本発明で使用するシリカ微粒子は、上記の気相法により合成された非晶性シリカ微粒子である。中でも平均一次粒子径が3nm〜100nmの超微粒子状シリカが好ましい。特に好ましい一次粒子径は4nm〜50nmのものである。またこれらが連結した二次粒子としては、20nm〜200nm、より好ましくは30nm〜100nmにするのがよい。この気相法により合成された非晶性シリカ微粒子として市販されている製品としては、アエロジル(テグサ社)が該当する。
【0042】
本発明で使用する気相法シリカ微粒子は、上記の一次粒子径をもつシリカ微粒子を水に添加し、高速ホモジナイザー等で分散して平均二次粒子径が200nm以下、好ましくは100nm以下にまで分散したものである。
【0043】
本発明のインクジェット記録媒体は、塗工タイプのインクジェット記録媒体であり、耐水性不透明支持体上に、インク受容層及びその上に保護層が設けられる。本発明で言うインク受容層とは、インク中の溶媒を浸透させ、保持または吸収するような空隙を構成する主として無機超微粒子からなる層を指す。このインク受容層は単層でも積層構成であってもよい。積層構成の場合、全層が同じ配合の層であってもよいし、他の成分で構成される層との積層構成であってもよい。
【0044】
本発明の無機超微粒子を含有するインク受容層の塗工量は、固形分換算で単位平方メートル当たり20g以上が必要であり、本発明のさらなる効果を認めるには、好ましくは単位平方メートル当たり25g以上60g以下である。
【0045】
また本発明で言う保護層とは、インク受容層の上に設けられる層で、主としてインク受容層に保持されたインクジェット記録画像の色材を紫外線による分解から保護する役目を持つ。このほかにインク受容層の強度を改良しキズがつくのを保護する役目や、光沢を与えることなどを合わせ持つ。本発明の保護層には、主として遷移金属酸化物超微粒子及びコロイダルシリカを含有する。
【0046】
以下に保護層に含有される酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化イットリウム等の遷移金属酸化物微粒子の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
本発明における酸化セリウムとは、等軸晶系、ホタル石型構造の結晶を有する白色、あるいは淡黄色の金属酸化物の微粒子であり、例えば、シュウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム、硝酸セリウムなどを高温に熱した後に、希硝酸で洗浄して不純物(他の希塩酸化物など)を除去するか、あるいは金属セリウムを空気中で加熱することによって得られる。このような酸化セリウムは、その金属酸化物の微粒子中に多量の酸素を吸蔵することができるため、触媒としても有用である。このような酸化セリウムのゾルとしては、市販のものを用いることができ、例えば、超微粒子酸化セリウム、ニードラールW−15、ニードラールU−15、ニードラールW−100、ニードラールU−100(多木化学(株)製、平均粒子径0.08μm、真比重1.21)などが挙げられる。
【0048】
本発明における酸化チタンとは、結晶系によりルチル型とアナターゼ型に分類され、アナターゼ型酸化チタンは、短波長の光に対して高反射率を示すため、白色度、着色力、遮蔽力に優れるが、結晶構造が不安定であり、光化学的に活性であるため耐光性には劣る。一方、ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンに比べて、白色度、着色力や遮蔽力には劣るが、結晶構造が安定であるため、耐光性に優れる。酸化チタンの微粒子は、例えば、四塩化チタニウムの蒸気を酸水素炎中で加水分解することにより製造され、平均粒子径が5〜10nm、比重が1.04程度の酸化チタンゾルが得られる。このような酸化チタンゾルとしては、市販のものを用いることができ、例えば、超微粒子酸化チタンAUF−0015S(大阪チタニウム製造(株)製、平均粒子径10〜20nm、真比重3.8、嵩比重0.07〜0.1)、超微粒子酸化チタンMT−150W、500B、600B(帝国加工(株)製、平均粒子径5〜50nm)、超微粒子酸化チタンTTO−55(N)(石原産業(株)製、平均粒子径30〜40nm、真比重4.2、嵩比重0.5〜0.7)などを挙げることができる。
【0049】
本発明における酸化亜鉛としては、天然に紅亜鉛酸として産出するが、一般には、亜鉛蒸気を空気中で酸化して得られる乾式法と、塩化亜鉛や硫酸亜鉛などの亜鉛の酸性塩を水溶液中でアルカリ中和して合成する湿式法がある。湿式法の場合、混合するアルカリの種類と中和条件をコントロールすることにより各種形状の酸化亜鉛微粒子を製造でき、粒子径も100nm以下に調整することが可能である。このような酸化亜鉛は、六方晶系ウルノ鉱型の結晶構造を示す。酸化亜鉛のゾルとしては、市販のものを用いることができ、例えば、酸化亜鉛超微粒子ZnO−100(住友セメント(株)製、平均粒子径9nm、真比重5.78、嵩比重0.4)、酸化亜鉛超微粒子ZnO−200(住友セメント(株)製、平均粒子径1.6nm、真比重5.78、嵩比重0.31)などを挙げることができる。
【0050】
本発明における酸化イットリウムとは、ウラン鉱やゼノタイムなどを主要原料として製造され、蛍光体やセラミックス添加剤(ジルコニア微粒子の安定化剤として添加されるなど)などの用途に用いられている。このような酸化イットリウムは平均粒子径が1.5〜2.5μm程度であり、その結晶は立方晶系である。本発明に用いる酸化イットリウム微粒子の平均粒子径は5nm〜10nm程度のゾルである。
【0051】
次に本発明の保護層に含有される成分の一つであるコロイダルシリカについて述べる。コロイダルシリカの形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。本発明に係わるコロイダルシリカは、この球状あるいは小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い形状を有している鎖状のものである。細長い形状の粒子とは三次元方向には伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形状の粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。これに対し、非晶質シリカあるいはシリカゲルと言われるものは、三次元方向に結合した二次凝集シリカ粒子であり、非晶質シリカあるいはシリカゲルを機械的に分散して、その二次粒子径を10〜300nmのコロイド領域の粒子に分散しても、三次元的に結合した粒子の分散物であり、球状の一次粒子あるいは細長い形状の鎖状粒子にまで分散することはできない。この点で本発明のコロイダルシリカと非晶質シリカのコロイド分散粒子とは全く異なるものである。
【0052】
本発明に好ましく使用されるこれら鎖状のシリカ粒子は種々の方法によって得られ、本発明においては、いかなる方法によって得られたものであっても、シリカ粒子が鎖状を有していれば本発明に好ましく用いることができる。鎖状のシリカ粒子の形成方法として、例えば一般的な水ガラスからアルカリ分を除去して活性珪酸とし、鎖状に連結するように2価以上の陽イオンを加えて粒子を成長させることにより得られる。
【0053】
ここで活性珪酸とは、珪酸及び粒子径3nm未満の珪酸の重合体が共存するコロイド粒子であり、公知の方法で容易に得られる。好ましい活性珪酸のコロイド水溶液は、水溶性珪酸塩、例えばSiO2/M2O(但し、Mはアルカリ金属原子を示す)モル比が1〜4.5程度の水ガラスの希釈液を陽イオン交換処理することにより得られ、SiO2換算で通常6重量%以下、好ましくは1〜6重量%含有し、通常pH5以下、好ましくは2〜5であるものが用いられる。このpHは、上記水ガラス希釈液を陽イオン交換処理する際、その中の陽イオンの一部分を残存させることによっても、あるいはその中の陽イオンの全部または一部分を除いた後に得られた活性珪酸のコロイド水溶液に少量のアルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基等を加えることによっても容易に調製することができる。この活性珪酸のコロイド液は不安定であって、ゲル化しやすい性質を有するので、このゲル化を促進するがごとき不純物をなるべく含有しないものが好ましく、また調製直後のものが好ましい。さらに好ましい活性珪酸のコロイド水溶液は、SiO2/Na2Oモル比が2〜4程度の市販工業製品であるナトリウム水ガラスの希釈水溶液を水素型陽イオン交換樹脂を通過させることにより得られる。
【0054】
この活性珪酸のコロイド水溶液に、鎖状に連結するように2価以上の陽イオンを加えて粒子を成長させる。2価以上の陽イオンとしては、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンが好ましく、カルシウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物の形態で、水溶液として添加することが好ましい。このカルシウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物の総量としては、上記活性珪酸に対し、それぞれの酸化物として換算した重量比[(CaO+MgO)/SiO2]では1500〜25000ppm、細長い粒子の場合は特に1500〜8500ppmとなる量が好ましい。
【0055】
また、これらの塩の添加は活性珪酸のコロイド液の撹拌下に行うのが良く、その場合の混合温度及び時間には特に制限はないが、2〜50℃で5〜30分程度が好ましい。加えられるカルシウム塩及びマグネシウム塩の例としては、カルシウムまたはマグネシウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、蟻酸塩、及び酢酸塩等の無機酸塩及び有機酸塩が挙げられる。これらカルシウム塩とマグネシウム塩は混合して用いても良い。また、これらの塩の添加時の濃度としては特に制限はなく、2〜20重量%程度で良い。
【0056】
これらカルシウム塩及びマグネシウム塩等と共にカルシウム及びマグネシウム以外の多価金属成分が上記活性珪酸のコロイド液に含まれていると、さらに好ましくシリカゾルを製造することができる。このカルシウム及びマグネシウム以外の多価金属の例としては、Sr、Ba、Zn、Sn、Pb、Cu、Fe、Ni、Co、Mn、Al、Cr、Y、Ti、及びZn等の2価、3価または4価の金属が挙げられる。これら多価金属成分の量としては、カルシウム塩及びマグネシウム塩の量をそれぞれCaO及びMgOの量に換算した時、これらCaO及びMgOに対し、多価金属酸化物として10〜80重量%程度が好ましい。
【0057】
上記水ガラスの希釈溶液を陽イオン交換処理することによって得られた活性珪酸のコロイド液に上記多価金属分が残留している場合には、この多価金属分は上記10〜80重量%の一部として算入する。残部の多価金属分は、上記多価金属の水溶液として、加えられるカルシウム塩及びマグネシウム塩等と一緒に加えるのが好ましい。この多価金属の好ましい例としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、蟻酸塩、及び酢酸塩等の無機酸塩や有機酸塩が挙げられる。また、亜鉛酸塩、錫酸塩、アルミン酸塩、及び鉛酸塩等、例えば、アルミン酸ナトリウム、錫酸ナトリウム等の塩も用いることができる。加えられる上記カルシウム塩、マグネシウム塩、及びその他の多価金属塩等は、活性珪酸のコロイド液と均一に混合するのが好ましく、通常、水溶液として添加される。
【0058】
上記の工程によって得られた水性液に、アルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩を加える。この添加は、上記工程の終了後なるべく早く、そして撹拌下に行うのが好ましい。またこれらの混合の温度及び時間には特に制限はないが、2〜50℃で5〜30分程度が好ましい。加えられるアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、またはそれらの水溶性珪酸塩は、上記工程によって得られた水性液と均一に混合されるのが好ましく、直接または水溶液として添加される。
【0059】
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等の水酸化物が挙げられる。有機塩基としては、例えば、テトラエタノールアンモニウム水酸化物、モノメチルトリエタノールアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム水酸化物等の第4級アンモニウム水酸化物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、及びモルホリン等のアミン類、その他塩基性窒素原子含有の有機化合物等が挙げられる。また、それらの水溶性珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、上記第4級アンモニウムの珪酸塩、上記アミンの珪酸塩等が例示される。
【0060】
さらに、アルカリ金属または有機塩基のアルミン酸塩、蟻酸塩、亜鉛酸塩、及び鉛酸塩等も用いることができる。これらアルカリ金属水酸化物、有機塩基、珪酸塩、及び金属酸塩等は混合して用いても良い。上記アルカリ金属水酸化物のアルカリ金属原子または有機塩基の分子をMで表せば、加えられるアルカリ金属水酸化物、有機塩基またはそれらの水溶性珪酸塩の量は、活性珪酸に由来するシリカ分及び珪酸塩のシリカ分の合計をSiO2として、SiO2/M2Oが20〜200、好ましくは60〜100のモル比となる量が良い。この添加によって、液はpH7〜10程度を示すに至る。
【0061】
以上の工程により得られた混合物を60〜300℃で30分〜40時間、好ましくは90〜150℃で2〜12時間加熱することによりSiO2濃度1〜6重量%の鎖状の形状を有するシリカゾルが得られる。所望によりこのゾルを濃縮することにより、より高濃度なゾルが得られる。尚、上記の方法によって得られた鎖状のシリカ粒子は、動的光散乱法により測定した二次粒子径が40〜300nmの範囲であり、電子顕微鏡観察によると5〜40nmの太さで一平面内または三次元的に成長した形状を有している。
【0062】
本発明に係わる鎖状のシリカ粒子は、少なくとも本発明のインクジェット記録媒体におけるインク受容層を形成するための塗液において、鎖状の形状で存在していれば良く、インク受容層形成用塗液の調液に先だって、上記の方法を含めて本発明に係わる鎖状のシリカ粒子を調製し、これを用いてインク受容層形成用塗液を調製しても良いし、インク受容層形成用塗液調液時に、塗液中で上記の方法を含めて本発明に係わる鎖状のシリカ粒子を調製しつつ塗液を調液しても良い。塗液調液前に予め本発明に係わる鎖状のシリカ粒子を用意しておくのであれば、市販のものも用いることができる。市販の鎖状のシリカ粒子の例としては、日産化学工業製スノーテックスUP、及びスノーテックスOUP等が挙げられる。
【0063】
本発明に用いられるインク受容層或は保護層には接着剤として、水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を添加しても良い。本発明に用いられる高分子化合物は、インク受容層の構成成分として、インクと親和性を有する化合物である。例えば、水溶性高分子化合物としてはポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、無水マレイン酸重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、でんぷん、ポリビニルブチラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等である。好ましくは、ポリビニルアルコールである。
【0064】
また、非水溶性高分子化合物としては、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類やこれらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水溶性接着剤が、無機超微粒子の分散が安定化されるので特に好ましい。この様な非水溶性接着剤としては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のアセタール樹脂を挙げることができ、特にアセタール化度が5モル%以上20モル%以下の範囲のアセタール樹脂は、水を多少含有させることができ、無機超微粒子特にアルミナ微粒子或はアルミナ水和物の分散を容易にすることができる為、特に好ましい。
【0065】
これらの高分子化合物は、単独乃至複数を併用してもよく、インク受容層の無機超微粒子又は保護層の遷移金属酸化物とコロイダルシリカの固形分重量に対し、2〜30重量%を添加する。好ましくは、5〜15重量%である。上記の添加量の範囲以下では塗膜強度が弱くなり、多すぎるとインク吸収性が低下する。
【0066】
さらに、その他の添加剤として、無機顔料、カチオン系染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、硬膜剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを本発明の目的を害しない範囲で適宜添加することもできる。
【0067】
本発明におけるインクジェット記録媒体では、吸収性、画像色彩性、透明性や耐水性、耐オゾン性および耐光性などの保存性に影響を及ぼさない範囲で無機顔料を、インク受容層や保護層に適宜併用することもできる。
【0068】
本発明に係るインク受容層に配合される上記以外の顔料としては、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0069】
上記の無機顔料の中でも、インク受容層には特に合成非晶質シリカを用いることが好ましく、印画濃度、インク吸収性、印字画像の鮮鋭性などに優れるインクジェット記録媒体を得ることができる。このような合成非晶質シリカとは、例えば、特開昭57−157786号公報、同61−141584号公報、同61−230979号公報、同62−292476号公報などに記されているような、ケイ酸のゲル化により、SiO2の三次元構造を形成させた、微多孔性、不定形微粒子であり、ハンター白色度90以上、細孔径10〜2000オングストローム程度を有するものである。
【0070】
このような合成非晶質シリカは、市販のものを好適に用いることができ、例えば、ミズカシルP−526、ミズカシルP−801、ミズカシルNP−8、ミズカシルP−802、ミズカシルP−802Y、ミズカシルC−212、ミズカシルP−73、ミズカシルP−78A、ミズカシルP−78F、ミズカシルP−87、ミズカシルP−705、ミズカシルP−707、ミズカシルP−707D、ミズカシルP−709、ミズカシルC−402、ミズカシルC−484(以上水沢化学製)、トクシールU、トクシールUR、トクシールGU、トクシールAL−1、トクシールGU−N、トクシールN、トクシールNR、トクシールPR、ソーレックス、ファインシールE−50、ファインシールT−32、ファインシールX−37、ファインシールX−70、ファインシールRX−70ファインシールA、ファインシールB(以上、トクヤマ製)、カープレックスFPS−101、カープレックスCS−7、カープレックス80、カープレックスXR、カープレックス67(以上、塩野義製薬製)、サイロイド63、サイロイド65、サイロイド66、サイロイド77、サイロイド74、サイロイド79、サイロイド404、サイロイド620、サイロイド800、サイロイド150、サイロイド244、サイロイド266(以上、富士シリシア化学製)などが挙げられる。
【0071】
本発明におけるインク受容層を支持体上に設ける方法としては、水またはアルコールなどの親水性有機溶剤、あるいはこれらの混合溶媒を用いて各々の塗布組成物を作成し、インク受容層と保護層を同時重層塗布してもよいし、またインク受容層を塗布乾燥後保護層を塗布乾燥してもよい。また、保護層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ロールに圧接、乾燥して仕上げるキャスト法によって保護層を設けることもなんら問題はない。塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、従来公知のエアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により支持体上に塗工することができる。本発明においては、スライドリップ方式、カーテン方式等が2層同時塗布が出来るから好ましい。
【0072】
インク受容層はある一定の塗工量を数回に分けて塗設することもできる。数回に分割してインク受容層を塗工する方法としては、1層ごとに乾燥して塗工する場合と、複数層をウェット・オン・ウェットで同時に塗工する方法を挙げることができる。また、インク受容層の塗工後には、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用いて平滑化処理を行うことができる。
【0073】
本発明の保護層の塗工量は特に制限はないが、0.5〜20g/m2が好ましい。より好ましくは1〜15g/m2である。塗工量が0.5g/m2未満であると十分な強度及び耐光性改良効果が得られないため好ましくなく、塗工量が20g/m2を超えると吸収性や画像色彩性が悪化する場合があるため好ましくない。
【0074】
また、支持体を挟んだインク受容層の反対面には、カール適性を付与するために、バックコート層を塗設することも可能である。バックコート層を塗工する場合には、顔料として、平板状顔料や加水ハロイサイトが好ましい。
【0075】
本発明に用いられる耐水性不透明支持体は、例えば合成紙、樹脂被覆紙、顔料入り不透明フィルム、発泡フィルムが好ましい。手触り感、高級感から写真用支持体に類似の樹脂被覆紙がさらに好ましい。
【0076】
本発明において好ましく用いられる、樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙である。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0077】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0078】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
【0079】
樹脂被覆紙の樹脂としては、熱可塑性樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体およびこれらの混合物である。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等である。これらの熱可塑性樹脂は、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。好ましくは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂である。
【0080】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0081】
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、そのインク受容層を設ける側あるいは両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などがあるが、本発明においては、JIS−P8142による75度鏡面光沢度で70%以下となるような微粗面加工したものが好ましい。支持体にこのような粗面加工を施しても、インク受容層を設けた記録面は高い光沢を持ち、実用的な光沢度は充分得られる。
【0082】
裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、被覆樹脂層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。
【0083】
本発明で使用する、JIS−P8142による75度鏡面光沢度で70%以下となるような微粗面加工した樹脂被覆紙の製造に於いては、ポリオレフィン樹脂等を押出機で加熱溶融し、紙等のシート状基体とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。クーリングロールは樹脂コーティング層の表面形状の形成に使用され、樹脂被覆紙の表面はクーリングロール表面の形状により高光沢か、無光沢か、またはパターン化された例えば絹目状やマット状等に形成することが出来る。本発明では、微粗面加工したクーリングロールを使用し、インク受容層を設ける側の樹脂被覆層表面のJIS−P8142による75度鏡面光沢度を70%以下とすることが必要である。より好ましくは光沢度が50%以下の場合である。
【0084】
本発明に用いるクーリングロールの表面の形状は、特に限定されないが、例えば特開平10−293379号公報に開示されているような、基本的に極めて平滑に仕上げられたロール表面に設けられた表面の形状が、連続した均一な泡状曲面により構成された形状よりなり、泡状曲面の高さが0.3〜1.0μmで、かつ径が5〜30μmであるような表面を持つクーリングロール等がある。即ち、例えばクーリングロール表面の平滑に研磨した地金上に、50〜70μmのクロムメッキを施した後、表面より10〜20μmを研磨して平滑な表面に加工し、再度50〜70μmのクロムメッキを施してから再び10〜20μmを研磨後、320〜600メッシュの砥砂を使用してクロムメッキ面に微粗面化加工を施ことによって得られる。加工面の凹凸の高さは通常0.1〜10μm程度であり、粗くなるほど加工面の光沢は低下する。
【0085】
クーリングロール表面の泡状曲面の高さが0.3μm未満であると、基本的に平滑性が過剰になり、加熱溶融樹脂を押出被覆型付けした表面は光沢度が高くなる。一方、1.0μmを越えた場合は、基本的に平滑性が低下する結果、光沢度の低い表面が得られる。
【0086】
本発明で云うインクとは、下記の色素、溶媒、その他の添加剤からなる記録液体であり、色素としては、発色性、鮮明性、安定性などが良好な、例えば、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 24、C.I.Direct Yellow 26、C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 98、C.I.Direct Yellow 100、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct red 1、C.I.Direct red 4、C.I.Direct red 17、C.I.Direct red 28、C.I.Direct red 83、C.I.Direct Orenge 34、C.I.Direct Orenge 39、C.I.Direct Orenge 44、C.I.Direct Orenge 46、C.I.Direct Orenge 60、C.I.Direct Violet 47、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Blue 6、C.I.Direct Blue 22、C.I.Direct Blue 25、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 86、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Blue 106、C.I.Direct Blue 199、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 32、C.I.Direct Black 51、C.I.Direct Black 62、C.I.Direct Black 71、C.I.Direct Black 108、C.I.Direct Black 146、C.I.Direct Black 154などの直接染料、C.I.Acid Yellow 11、C.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 23、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Acid Yellow 29、C.I.Acid Yellow 42、C.I.Acid Yellow 49、C.I.Acid Yellow 61、C.I.Acid Yellow 71、C.I.Acid red 1、C.I.Acid red 6、C.I.Acid red 8、C.I.Acid red 32、C.I.Acid red 37、C.I.Acid red 51、C.I.Acid red 52、C.I.Acid red 80、C.I.Acid red 85、C.I.Acid red 87、C.I.Acid red 92、C.I.Acid red 94、C.I.Acid red 115、C.I.Acid red 180、C.I.Acid red 256、C.I.Acid red 317、C.I.Acid red 315、C.I.Acid Orenge 7、C.I.Acid Orenge 19、C.I.Acid Violet 49、C.I.Acid Blue 9、C.I.Acid Blue 22、C.I.Acid Blue 40、C.I.Acid Blue 59、C.I.Acid Blue 93、C.I.Acid Blue 102、C.I.Acid Blue 104、C.I.Acid Blue 113、C.I.Acid Blue 117、C.I.Acid Blue 120、C.I.Acid Blue 167、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 234、C.I.Acid Blue 254、C.I.Acid Black 2、C.I.Acid Black 7、C.I.Acid Black 24、C.I.Acid Black 26、C.I.Acid Black 31、C.I.Acid Black 52、C.I.Acid Black 63、C.I.Acid Black 112、C.I.Acid Black 118 などの酸性染料、その他にも塩基性染料、反応性染料或は食品用色素など の水溶性染料あるいは、カーボンブラックなどの顔料を用いることができる。
【0087】
インクの溶媒としては、水および水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0088】
上記の水溶性有機溶剤の中でも、特にジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0089】
上記の水溶性の有機溶剤以外にも、高沸点脂肪族炭化水素に代表される引火性、毒性などの安全性に優れた非水溶性絶縁溶剤を用いる場合があり、各種無機顔料、有機顔料などが色素として用いられることが多い。
【0090】
インク中に添加されるその他の添加剤としては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0091】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り重量部および重量%を示す。
【0092】
<耐水性不透明支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5重量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0重量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5重量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、ポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。
抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100重量%の樹脂に対して、10重量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面化処理したクーリングロールを用いて押出被覆し、この面をインク受容層を設ける面とした。該表面の光沢度は50%であった。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出被覆した。
【0093】
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、酢酸24g加えて95℃で48時間撹拌した。次に、固形分濃度が15重量%になるように濃縮し、白色のアルミナ水和物の分散液を得た。
【0094】
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状のアルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積およびBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
【0095】
<インク受容層塗工液A>
前記の15重量%のアルミナ水和物の分散液を用いて、アルミナ水和物分散液100部に対し、10重量%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)水溶液を15部混合した。混合後、ホモミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化し、塗工液Aとした。
【0096】
<インク受容層塗工液B>
アルミナ微粒子として、δグループのγ型アルミナ結晶粉末である、一次粒子径13nmのアエロジル酸化アルミニウムC(日本アエロジル社製)600gを2400gのイオン交換水中に撹拌機にて分散し、20重量%のスラリー状の粘性液を調製した。この20重量%のγ型アルミナ分散液を用いて、アルミナ分散液100部に対し、10重量%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)水溶液を30部混合した。混合後、ホモミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化し、塗工液Bとした。分散液中のγ型アルミナ結晶粉末の平均二次粒子径は120nmであった。
【0097】
<インク受容層塗工液C>
インク受容層の塗被組成物は、一次粒子径7nmの気相法微粒子シリカ(AEROSIL300:日本アエロジル社製)100gを、500gのイオン交換水中に撹拌機にて分散し、10重量%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)水溶液80gを混合した。混合後、ホモミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化し、塗工液Cとした。分散液中の気相法微粒子シリカの平均二次粒子径は115nmであった。
【0098】
<インク受容層塗工液D>
インク受容層の塗被組成物は、一次粒子径7nmの気相法微粒子シリカ(AEROSIL300:日本アエロジル社製)100gを、500gのイオン交換水中に撹拌機にて分散し、10重量%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)水溶液80gを混合した。混合後、ホモミキサーに1万rpmで30分間かけ、均一分散化し、塗工液Dとした。分散液中の気相法微粒子シリカの平均二次粒子径は70nmであった。
【0099】
<インク受容層塗工液E>
インク受容層の塗被組成物は、1次粒子径約20nm、BET比表面積270m2/gの合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)30部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製)20部を混合し、塗工液Eとした。分散液中の合成非晶質シリカの平均二次粒子径は3.7μmであった。
【0100】
<インク受容層塗工液F>
インク受容層の塗被組成物は、一次粒子径7nmの気相法微粒子シリカ(AEROSIL300:日本アエロジル社製)100gを、500gのイオン交換水中に撹拌機にて分散し、10重量%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)水溶液80gを混合した。更に粒子径8nmの酸化セリウム(ニードラールU−15;多木化学社製)固形分2g、コロイダルシリカ(スノーテックス−O;日産化学社製、粒子径10−20nm、濃度20%)60g、混合後、ホモミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化し、塗工液Fとした。
【0101】
<インク受容層塗工液G>
インク受容層の塗被組成物は、平均粒子径9nmの酸化亜鉛超微粒子(ZnO−100;住友セメント社製)80gを、300gのイオン交換水中に撹拌機にて分散し、ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度88.0mol%)をn−ブチルアルデヒドで5mol%アセタール化した樹脂の10重量%水溶液200gを混合し、均一分散し、塗工液Gとした。
【0102】
<保護層塗工液A>
保護層の塗被組成物は、粒子径8nmの酸化セリウム(ニードラールU−15;多木化学社製)固形分40部、球状コロイダルシリカ(スノーテックス−O;日産化学社製、粒子径10−20nm、濃度20%)300部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製、10%溶液)80部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製、濃度30%)20部を混合し、保護層塗工液Aとした。
【0103】
<保護層塗工液B>
保護層の塗被組成物は、平均粒子径10〜20nmの超微粒子酸化チタン(AUF−0015S;大阪チタニウム製造社製)40部、球状コロイダルシリカ(スノーテックス−O;日産化学社製、粒子径10−20nm、濃度20%)300部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製、10%溶液)80部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製、濃度30%)20部を混合し、保護層塗工液Bとした。
【0104】
<保護層塗工液C>
保護層の塗被組成物は、平均粒子径9nmの酸化亜鉛超微粒子(ZnO−100;住友セメント社製)40部、球状コロイダルシリカ(スノーテックス−O;日産化学社製、粒子径10−20nm、濃度20%)300部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製、10%溶液)80部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製、濃度30%)20部を混合し、保護層塗工液Cとした。
【0105】
<保護層塗工液D〜I>
保護層の塗被組成物は、平均粒子径1.6nmの酸化亜鉛超微粒子(ZnO−200;住友セメント社製)X部、鎖状コロイダルシリカ(スノーテックス−UP;日産化学社製、粒子太さ5〜20nm、長さ40〜300nm、濃度20%)固形分Y部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製、10%溶液)80部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製、濃度30%)20部を混合し、X/Yをそれぞれ0/100、20/80、40/60、60/40、80/20、100/0としそれぞれ保護層塗工液D,E,F,G,H,Iとした。
【0106】
<保護層塗工液J>
保護層の塗被組成物は、保護層塗工液Cのコロイダルシリカに代えて、平均2次粒子径1.5μmの合成非晶質シリカ(Nipsil−E1011、1次粒子径24nm)をサンドグラインダーにより粉砕分散した後、圧力式ホモジナイザーでさらに粉砕分散し、平均2次粒子径が120nmになるまで粉砕分散操作を繰り返したものを使用した他は保護層塗工液Cと全く同様に配合して保護層塗工液Jを作成した。
【0107】
塗布は、前記支持体上に、ワイヤーバーを用いて表1に記載のインク受容層塗工液を乾燥塗工量25g/m2になるように塗布し、乾燥した。次いで、表1に記載の保護層塗工液をそれぞれ表1に記載の塗工量になるように塗布、乾燥して記録用紙とした。但し、比較例5はインク受容層塗工液Fを乾燥塗工量30g/m2になるように塗布しその上に保護層は設けなかった。また、比較例6はインク受容層塗工液Gを乾燥塗工量10g/m2(厚さ約10μm)になるように塗布しその上に保護層は設けなかった。
【0108】
<塗膜強度評価>
「塗膜強度」の評価は摩擦試験機(スガ試験機株式会社製)を使用し、シートの塗工面に300gの荷重で木綿のガーゼを押しつけて100回摩擦試験を行い、全く生じなかったものを「○」とした。また、100回摩擦試験では多少傷が生じたが、20回摩擦試験では全く傷が生じなかったものを「△」、20回摩擦試験でも傷が生じたものを「×」とした。
【0109】
<耐光性評価>
各インクジェット記録用シートに、インクジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2C)でY、M、C、Bkインクのベタ印字を行った。これらのインクジェット記録用シートを、キセノンアークフェードメーター、アトラス製Ci−35fを用い、ブラックパネル温度63℃、相対湿度65%RHの環境下で30時間の光照射した前後のマゼンタインク色の色差を測定した。色差ΔE*は、L*、a*、b*(CIE1976)に従って光照射前後のサンプルの色を測定した結果を基に、下記数1で規定することができる。色差が大きいほど、色劣化が生じていることを示し、色差が3.0未満であれば視覚上、色の違いに大差はない。
【0110】
【数1】
△E*={(△L*2+(△a*2+(△b*21/2
ここで、△E*は色差、△L*および△a*と△b*は、各々光照射前後のL*およびa*とb*の差である。結果をΔE*が3.0未満を○、ΔE*が3.0〜7.0未満を△、ΔE*が7.0以上を×と評価した。
【0111】
<インク吸収性評価>
一方、インク吸収性の評価は、インクジェット記録装置であるキャノン(株)製BJC−420Jを使い、シアンインク、マゼンタインクで重色の矩形パターンを印字し、この印字パターンと未印字部分の境界部分を下記の基準に従って、目視にて評価した。
A:境界部分には滲みが認められない
B:境界部分には部分的に僅かに滲みが認められる
C:境界部分には僅かに滲みが認められる
D:境界部分に顕著に滲みが認められる
良好なインク吸収性を示すのは、A乃至Bの評価である。
【0112】
<画像色彩性評価>
キャノンBJC−420Jを用いて、マゼンタおよびシアンのベタ印字を行った。その色彩性を以下の通り目視評価を行った。
A:色彩が良く、くすみが全くない。
B:色彩が良く、少しくすみ傾向だが実用上問題ない。
C:ややくすんで見える。
D:色彩もにぶく、くすみが激しい。
【0113】
【表1】
Figure 0003746400
【0114】
表1より、インク受容層に無機超微粒子を使い、保護層に遷移金属酸化物微粒子及びコロイダルシリカを含有させた実施例(1〜)においては、塗膜強度、インク吸収性、画像色彩性、耐光性のいずれもバランスよく優れたものが得られているが、インク受容層が通常インクジェット用紙に多く使われているような大きな2次粒子径を持つシリカ(比較例1)だと色彩性が、また保護層に遷移金属酸化物を含まない(比較例2)と耐光性が、更に保護層にコロイダルシリカを含まない(比較例3、4)と塗膜強度がそれぞれ低下し、総合的インクジェット適性が悪くなる。また、本発明の如く2層構成とせず、1層中に無機超微粒子、遷移金属酸化物及びコロイダルシリカを混合して含んでいる(比較例5)と、充分な塗膜強度、耐光性が得られない。また、2層構成とせず、1層中に遷移金属酸化物とバインダー樹脂(アセタール樹脂)だけの構成(比較例6)だと、透明性と耐光性は得られるものの、吸収性と色彩性が不充分である。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、インク吸収性、画像色彩性、画像耐光性がすぐれていて、且つ十分な塗膜強度を持ったバランスのよいインクジェット記録媒体が提供出来る。

Claims (2)

  1. 耐水性不透明支持体上に、インク受容層及びその上に保護層を設けてなるインクジェット記録媒体において、該インク受容層が主として無機超微粒子として気相法シリカを含有する層であり、かつ該保護層が主として遷移金属酸化物超微粒子及び鎖状コロイダルシリカを含有する層であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 該保護層の遷移金属酸化物超微粒子が、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化イットリウムの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のインクジェット記録媒体。
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