JP2007276446A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢とインク吸収性に優れ、なおかつ染料インクプリンタにおいてはL*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を実現し、顔料インクプリンタにおいてはインクの濃淡ムラを改良することが可能なインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、無機微粒子を主体に含有する少なくとも2層のインク受容層を塗布したインクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aは気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカおよびアルミナ系微粒子から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子を主体に含有し、インク受容層Aよりも支持体から離れたインク受容層Bは平均一次粒子径6nm以下の気相法シリカを主体に含有し、かつインク受容層Bに含有される気相法シリカのBET比表面積が前記インク受容層Aに含有される無機微粒子よりも大きく、インク受容層Aに含有される無機微粒子とのBET比表面積の差が50m2/g以上200m2/g以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関し、詳しくは光沢とインク吸収性に優れ、なおかつ染料インクプリンタにおいてはL*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を実現し、顔料インクプリンタにおいてはインクの濃淡ムラを改良することが可能なインクジェット記録材料に関するものである。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の無機微粒子とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
近年、顔料として極微細な無機微粒子を使用し、フォトライクな光沢を有する記録材料が知られている。例えば、平均二次粒子径を500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。特公平5−56552号、特開平10−119423号、同2000−211235号、同2000−309157号公報等に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、同平10−181190号公報等に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。上述したような極微細な無機微粒子を含むインク受容層は無機微粒子を主体に含有することによって、空隙率の高い多孔質なインク受容層となり、インク吸収性が向上する。
上述した無機微粒子は、インク吸収性に優れるだけでなく粒子径が小さいので高い発色性と光沢が得られる。また、近年ではフォトライクの記録材料として、高光沢を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙やプラスチック樹脂フィルムのような支持体が用いられており、上述した無機微粒子と組み合わせて用いられている。しかしながら、近年ではさらなる高発色を求められる場合もあり、上記した公報に開示された記録材料では、本発明が目的とするフォトライクな記録材料に求められる発色性において、十分満足するまでには至っていなかった。
上述した気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、アルミナのような微粒子は本来白色の無機顔料であり、特にインク受容層の内部に色素が入っていく染料インクの場合、発色性は塗層の透明性に大きく左右される。特に暗闇や女性の髪などのいわゆる漆黒を再現するためにはL***空間においてL*値が5以下を再現できることが好ましく、そのためには白色のインク受容層によるヘイズは大きな課題であった。なお、L*値とはCIE(国際照明委員会)が定めているCIEL***表色系による色空間のL*軸のことで、L*値が小さいほど、黒の再現領域が大きいことを示す。
インク受容層にBET比表面積が300m2/gを超える気相法シリカを使用することはすでに知られており、例えば、特開2000−238422号公報(特許文献1)では、光沢性、インク吸収性、画像くすみが改善されたインクジェット記録材料を作製する技術として開示されている。また、特開2005−138407号公報(特許文献2)では、比表面積が250m2/g以上の気相法シリカを用いることが記載されている。また、特開2003−276306号公報(特許文献3)では二次粒子径を小さくすることにより、色濃度、光沢感を向上させる技術として開示されている。
しかし、比表面積の大きな粒子の平均二次粒子径あるいは平均凝集粒子径は小さくなる傾向にあり、このような粒子を主体に使用するとインク受容層の空隙が小さくなり、その結果インク吸収性の低下が起こり易かった。
一方、インク受容層を2層にしてそれぞれの層に別の特性を求めることにより品質のバランスを保つことはすでに知られており、例えば、特開平10−119424号公報(特許文献4)では、支持体に近い側のインク受容層に平均二次粒子径が1〜10μmのシリカ系微粒子を、支持体から離れた側のインク受容層に平均粒子径7〜30nmのシリカ系微粒子などを使用することにより、高いインク吸収性と高品位の画像形成を可能にしたインクジェット記録材料を作製する技術として開示されている。また、特開2002−160441号公報(特許文献5)でも2層のインク受容層を設けたときに支持体から離れた側のインク受容層の平均一次粒子径をより小さくすることにより、インク吸収性、光沢性と発色性に優れたインクジェット記録材料を作製する技術として開示されている。
また、インク受容層のオーバー層としてコロイド状粒子を含有する層を設けることが知られている。例えば、特開2001−353957号公報(特許文献6)では、カチオン性コロイド粒子を含有する層を設けることで高濃度かつ経時滲みや耐水性が向上したインクジェット記録材料を作製する技術として開示されている。また、特開2000−37944号、同2003−94800号、同2003−237223号公報(特許文献7)では、コロイダルシリカを含有する層を最表層に設けることで、インク吸収容量や発色性を損なうことなく高光沢かつ耐傷性に優れたインクジェット記録材料を作製する技術として開示されている。また、特開2005−161835号公報(特許文献8)では、最表層にコロイダルシリカを薄層塗布することにより、飛躍的に光沢を向上させる技術として開示されている。
上記の技術を使用することにより、従来にない高光沢なインクジェット記録材料を作製することが可能であるが、高光沢を達成するためには、平均一次粒子径が100nm以下のコロイド状粒子を使用することが必要である。しかし、粒径の小さなコロイド状粒子層を最表層に設けることは、気相法シリカ等の無機微粒子を主体に構成されたインク受容層の空隙を界面で塞ぐことになり、その結果界面でインクの停滞が生じるインク吸収阻害と云われる現象が起こり易かった。インク吸収阻害が起こると、画像の高濃度部でのインクの濃淡ムラが発生し易かった。このような濃淡ムラは、特にインクの打ち込み量が相対的に多い顔料インクを使用したプリンタで発生し易かった。
上記のような従来から知られている記録材料では、本発明が目的とする光沢とインク吸収性に優れ、なおかつ染料インクプリンタにおいてはL*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を実現し、顔料インクプリンタにおいてはインクの濃淡ムラを改良することが可能なインクジェット記録材料を得られるまでには至っていなかった。
特開2000−238422号公報 特開2005−138407号公報 特開2003−276306号公報 特開平10−119424号公報 特開2002−160441号公報 特開2001−353957号公報 特開2003−237223号公報 特開2005−161835号公報
本発明の目的は、光沢とインク吸収性に優れ、なおかつ染料インクプリンタにおいてはL*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を実現し、顔料インクプリンタにおいてはインクの濃淡ムラを改良することが可能なインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成される。
1)支持体上に、無機微粒子を主体に含有する少なくとも2層のインク受容層を塗布したインクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aは気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカおよびアルミナ系微粒子から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子を主体に含有し、インク受容層Aよりも支持体から離れたインク受容層Bは平均一次粒子径6nm以下の気相法シリカを主体に含有し、かつインク受容層Bに含有される気相法シリカのBET比表面積が前記インク受容層Aに含有される無機微粒子よりも大きく、インク受容層Aに含有される無機微粒子とのBET比表面積の差が50m2/g以上200m2/g以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
2)前記インク受容層Aに含有される無機微粒子のBET比表面積が280m2/g以上である前記1に記載のインクジェット記録材料。
3)前記インク受容層Bにおける気相法シリカの含有量が1〜20g/m2である前記1に記載のインクジェット記録材料。
4)前記インク受容層Bのさらに支持体から離れた側に平均一次粒子径100nm以下のコロイド状粒子を含有するオーバー層を有する前記1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録材料。
5)前記コロイド状粒子が、コロイダルシリカである前記4に記載のインクジェット記録材料。
6)前記コロイダルシリカが、カチオン性コロイダルシリカである前記5に記載のインクジェット記録材料。
本発明により、光沢とインク吸収性に優れ、なおかつ染料インクプリンタにおいてはL*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を実現し、顔料インクプリンタにおいてはインクの濃淡ムラを改良することが可能なインクジェット記録材料を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、インク受容層は少なくとも2層存在し、支持体に近いインク受容層Aおよびインク受容層Aよりも支持体から離れた側に位置するインク受容層Bは何れも無機微粒子を主体に含有する多孔質層である。ここで主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、更に好ましくは65質量%以上含有することである。上限は95質量%程度である。無機微粒子を主体に含有することによって、空隙率の高い多孔質なインク受容層となり、インク吸収性が向上する。
本発明において、インク受容層Aは、気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカおよびアルミナ系微粒子から選ばれる少なくとも1種を主体に含有する。本発明で更に好ましいのはインク吸収性、発色性の観点などから考えると、気相法シリカである。なお、本発明でいうインク吸収性とは、インク受容層がインクを吸収する速度やインクを吸収できる容量のことを総合的に見た指標であり、評価方法としてはインクを打ち込んだ直後にPPC用紙などを圧着して転写を確認することが一般的である。
気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカは非晶質合成シリカの一種である。非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化硅素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件化で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、水澤化学(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からはスノーテックスとして、扶桑化学工業(株)からはクォートロンPLシリーズとして、その他シリカドール(日本化学工業(株)製)、アデライトAT(旭電化工業(株)製)、カタロイド(触媒化成工業(株)製)などが市販されている。
本発明のインク受容層Aで使用することができる気相法シリカについて説明する。本発明のインク受容層Aには、気相法シリカを好ましくはカチオン性ポリマーの存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、より好ましくは10〜300nmに分散したものである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。尚、本発明でいう平均二次粒子径とは、無機微粒子の分散液を動的光散乱法(Dynamic Light Scattering、以下DLS)により測定し、得られる散乱強度分布を解析して得られたものである。
上記気相法シリカの分散に使用するカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。カチオン性ポリマーの使用量は気相法シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
次に、本発明のインク受容層Aで使用することができる湿式法シリカについて説明する。本発明で用いられる湿式法シリカは、沈降法シリカあるいはゲル法シリカである。これらの粉砕前のシリカ粉末は、本発明では平均凝集粒子径(二次粒子径)が5〜50μmであるのが好ましい。これらの湿式法シリカを水性媒体中で平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは100〜300nm程度まで微粉砕したシリカ微粒子が用いられる。上記の微粉砕は、カチオン性化合物の存在下で行われるのが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
インク受容層Aに用いられる湿式法シリカは、前記の気相法シリカの分散と同様の方法が使用できる。また、分散剤として前記の気相法シリカの分散に使用されるカチオン性ポリマーと同様のものが使用できる。
インク受容層Aに用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが更に好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
次に、本発明のインク受容層Aで使用することができるアルミナ系微粒子について説明する。本発明に使用するアルミナ系微粒子は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者の何れかを使用してもよいし、併用してもよい。
インク受容層Aに用いることの出来る酸化アルミニウムとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で500nm以下、好ましくは100〜300nm程度まで粉砕したものが使用出来る。
インク受容層Aに用いることの出来る酸化アルミニウム含水物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。酸化アルミニウム含水物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
インク受容層Aに用いられるアルミナ系微粒子としてはインク吸収性の観点から酸化アルミニウム含水物が好ましい。
インク受容層Aに用いられるアルミナ系微粒子は酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された平均二次粒子径が500nm以下の分散液の形態から使用される。
インク受容層Bは平均一次粒子径6nm以下の気相法シリカを主体に含有する。インク受容層Aに含有される無機微粒子のBET比表面積は、インク受容層Bに含有される気相法シリカよりも小さく、その差は50〜200m2/gである。インク受容層Bに含有される気相法シリカのBET比表面積によるが、インク受容層Aに含有される無機微粒子のBET比表面積は180m2/g以上であることが好ましく、280〜350m2/gであることが更に好ましい。平均一次粒子径は、一般的にインク受容層Bのそれより大きくなるが、6nmを超え、15nm以下であることが好ましく、6nmを超え、11nm以下であることが更に好ましい。また、平均二次粒子径が大きくなればインク吸収性が上がると考えられるが、大きくなり過ぎると光沢度が低下する。そのため、平均二次粒子径は100〜300nmかつインク受容層Bに含有される気相法シリカよりも大きいことが好ましい。尚、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものである。また、本発明でいうBET比表面積とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本発明は、インク受容層Bに含有される気相法シリカの平均一次粒子径を6nm以下とする。このような気相法シリカをインク受容層Aの上層に用いることで、インク受容層Bの透明性が向上し、L*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を同時に実現することが可能である。
上記効果は、該気相法シリカの平均一次粒子径が小さいことで、インク受容層内部に入り込んだ光の散乱が抑えられることに起因すると考えられる。また、気相法シリカの平均一次粒子径を小さくすることで気相法シリカのBET比表面積が向上する傾向にあるため、これに伴い気相法シリカとインクの接触面積がより増加し、インク色材がインク受容層Bの表面近傍に集中するためと推測する。特に黒の発色再現性において、上記効果はより顕著に現れる。また、上記の技術による発色性の向上はインク受容層の透明性の向上によることが主因であるため、黒だけでなく他の色の発色性も上がり、色再現域が拡大する。
本発明は、インク受容層Bに含有される気相法シリカは、インク受容層Aに含有される無機微粒子よりもBET比表面積が大きく、その差が50m2/g以上200m2/g以下であることが特徴である。これにより、高いインク吸収性を維持しながら、上記のような極めて高い発色性を実現することが可能である。インク受容層Aに含有される無機微粒子のBET比表面積を大きくし過ぎると、該無機微粒子の平均二次粒子径は小さくなる傾向にあり、結果としてインク吸収性が低下するため、上記BET比表面積の差を、50m2/g以上とすることでインク吸収性が改良できる。また、BET比表面積の差を200m2/g以下とすることでインク受容層Aの寄与による発色性の低下がほとんどなくなるものと考えている。また、インク受容層Aとインク受容層Bに含有される無機微粒子の物性を近づけることで、界面での光の屈折、乱反射やインク吸収の阻害を極力防ぐことが可能であると本発明者は考えている。
インク受容層Bに含有される気相法シリカの平均一次粒子径は6nm以下であることが必要であるが、3〜6nmが好ましい。また、BET比表面積は300m2/gを超え、500m2/g以下であることが好ましく、350〜450m2/gであることが更に好ましい。
インク受容層Bに含有される気相法シリカは、前記のインク受容層Aに用いることができる気相法シリカの分散と同様の方法が使用できる。また、分散剤として前記のインク受容層Aに用いることができる気相法シリカの分散に使用されるものと同様のものが使用できる。
本発明において、インク受容層に含有させる無機微粒子の量は、合計で10g/m2以上が好ましく、特に12〜45g/m2の範囲が好ましい。また、このうちのインク受容層Bは、一次粒子径、二次粒子径ともにインク受容層Aより小さい傾向にあり、発色性が向上する一方でインク吸収性が低下する傾向にあるため、適切な塗布量を選ぶ必要がある。インク受容層Bに含有させる気相法シリカの量は、1〜20g/m2が好ましく、特に2〜10g/m2の範囲が好ましい。
インク受容層Bよりさらに支持体から離れた側には、塗層を設けても設けなくてもよいが、発色性、インク吸収性と顔料インク適性の観点からは設けない方がより好ましい。高光沢、耐傷性の向上を期待するためにオーバー層を設ける場合は、高光沢であることを可能にするために、平均一次粒子径100nm以下のコロイド状粒子を含有することが好ましい。
平均一次粒子径100nm以下のコロイド状粒子を含有するオーバー層を有する場合は、オーバー層に最も近いインク受容層のBET比表面積が300m2/gを超える気相法シリカを主体に含有することが好ましい。一般に粒子径の大きな粒子を主体とする層に、更にオーバー層として粒子径の小さな粒子を含有する層を設けると、粒子径の大きな粒子を主体とする層内にできた空隙を粒子径の小さな粒子が界面で塞ぎ、界面でインクが停滞、すなわちインク吸収阻害が発生し、その結果インクの濃淡ムラが発生すると考えられる。従って、インク受容層が有する空隙の細孔径あるいはインク受容層に使用している無機微粒子の平均二次粒子径とオーバー層に使用しているコロイド状粒子の粒子径の差を小さくすることによりインク吸収阻害は改善できると推測される。しかしながら、従来の技術では粒子径の差を近づけるためにはコロイド状粒子の平均一次粒子径を大きくせざるを得ず、その結果、光沢度が著しく低下していた。本発明者は鋭意検討した結果、平均一次粒子径100nm以下のコロイド状粒子を含有するオーバー層を有し、かつオーバー層に最も近いインク受容層が、好ましくはBET比表面積が300m2/gを超える気相法シリカを主体に含有することにより、光沢と発色性に優れ、なおかつ顔料インクプリンタにおけるインクの濃淡ムラを改良することが可能であることを見出した。
オーバー層に最も近いインク受容層が、好ましくはBET比表面積が300m2/gを超える気相法シリカを主体に含有することにより、特に染料インクプリンタの発色性が向上し、なおかつ顔料インクにおける吸収阻害を改善することが可能である。比表面積が増大することにより染料インクの発色性が向上する理由は前記の通りであるが、気相法シリカの比表面積を増大させると平均二次粒子径が小さくなる傾向にあるため、該気相法シリカを使用することは、結果として顔料インクプリンタにおけるインクの濃淡ムラが改善されるものと考えられる。オーバー層に最も近いインク受容層が本発明のインク受容層Bである場合、好ましい平均一次粒子径およびBET比表面積は前記と同様であるが、それ以外のときは、BET比表面積は330m2/g以上が好ましく、更に好ましくは350m2/g以上である。このようなBET比表面積を持つ気相法シリカの平均一次粒子径は10nm未満であるが、その中でも3nm以上7nm以下が特に好ましい。
本発明で使用されるコロイド状粒子としては、無機微粒子と有機微粒子に分類され、無機微粒子としては、上述した無機微粒子の他に、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化錫等の金属酸化物等もしくはこれら2種以上の混合物が含まれる。また、有機微粒子としては、アクリルエマルジョンなどのエマルジョン、SBR、MBR等各種ラテックス、各種ポリマービーズ等が挙げられる。これらの中でも、インク吸収性や発色性からコロイダルシリカが好ましく用いられる。
コロイダルシリカは、前述した湿式法で合成された平均一次粒子径が数nm〜500nm程度の合成シリカである。コロイダルシリカは気相法シリカ等に比べ、一次粒子が孤立して存在するために、塗膜を形成した場合、粒子が密な状態で存在するため、オーバー層部分のインク吸収容量は低い。このため、インク吸収性の観点からは、なるべく大きな粒子径のものを薄く塗ることが好ましい。一方、光沢発現の観点からは小さな粒子径のものを厚く塗ることが好ましい。インク吸収性と光沢性を両立できる平均一次粒子径の範囲としては1〜100nmの範囲が好ましく、更に5〜80nmの範囲が好ましく、特に10〜50nmの範囲が好ましい。また、コロイダルシリカの塗布量としては0.001〜8.0g/m2の範囲が好ましく、0.01〜4g/m2の範囲が更に好ましい。
コロイド状粒子がアニオン性である場合はアニオン性のインクがほとんど定着しないために、インクの大部分がオーバー層を通過するため、オーバー層が遮蔽層となり発色性が低下しやすい。このため、カチオン性あるいはカチオン化されたものが好ましく使用される。例えば、カチオン化されたコロイダルシリカとしては、ライオン(株)からはシリカLGT、触媒化成工業(株)からはファインカタロイドなどが市販されている。また、アニオン性のコロイド状粒子を使用する場合は、塗布量は0.001〜5.0g/m2の範囲が好ましい。
本発明のインク受容層AおよびBは、皮膜としての特性を維持するためと、透明性が高くインクのより高い浸透性を得るために親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度は500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。インク受容層AおよびBにおける親水性バインダーは無機微粒子に対して5〜30質量%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜25質量%である。また、必要に応じてオーバー層にも同様の親水性バインダーを用いてもよい。
本発明において、インク受容層AおよびBには、親水性バインダーとともに硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号明細書記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明において、インク受容層AおよびBには耐水性改良等を目的として更にカチオン性化合物を含有してもよい。カチオン性化合物の例としては、前述した無機微粒子の分散に用いたカチオン性ポリマー、及び水溶性金属化合物が挙げられる。これらの中でも、特に水溶性多価金属化合物が好ましい。中でも、水溶性アルミニウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物が好ましく利用できる。
本発明に用いることができる水溶性アルミニウム化合物としては、無機塩や有機酸の単塩および複塩、金属錯体などのいずれであってもよい。本発明に用いられる水溶性アルミニウム化合物は、例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-nm ・・式1
[Al(OH)3nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
本発明に用いることができる水溶性ジルコニウム化合物としては、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムなどが挙げられる。
これらの水溶性ジルコニウム化合物の中でもインク受容層AおよびBを形成する塗布液に安定に添加でき、優れた滲み耐性を示す酢酸ジルコニウム(ジルコニル)化合物は特に好ましい。
これらのものは、第一稀元素化学工業(株)からジルコゾールZA−20等、または日本軽金属(株)等から市販されている。
インク受容層AおよびBには、更に着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。また、本発明のインク受容層の塗布液のpHは、3.3〜6.5の範囲が好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。
また、インク受容層AおよびBには、チオエーテル化合物、カルボヒドラジドおよびその誘導体を含有させることによって印字後の保存性を著しく改良することができる。
本発明で用いられるカルボヒドラジド誘導体は、同一分子中に同構造を一つまたは二つ以上有する化合物であっても、あるいは同構造を分子主鎖または側鎖に有するポリマーであってもよい。
本発明に用いられるチオエーテル化合物には、硫黄原子の両側に芳香族基が結合した芳香族チオエーテル化合物、硫黄原子を挟んだ両端にアルキル基を有する脂肪族チオエーテル化合物等がある。これらの中でも特に親水性基を有する脂肪族チオエーテル化合物が好ましい。
なおこれらの化合物は既知の合成法や、特開2002−321447号公報、特開2003−48372号公報に記載の合成法などを参考に合成できる。また、一部の化合物については、市販の化成品をそのまま使用することができる。
本発明において、インク受容層AおよびBを設ける際の塗布方法は特に限定されないが、スライドビードコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等の塗布装置が使用できる。これらの塗布装置の中でも2層以上のインク受容層を同時塗布するのに適しているスライドビードコーター、カーテンコーターなどが好ましい。
インク受容層AおよびBと、更に平均一次粒子径100nm以下のコロイド状粒子を含有するオーバー層を塗布する場合、インク吸収性を確保するためには、インク受容層AおよびBを乾燥させて、該インク受容層の全固形分濃度が50質量%以上になった後、オーバー層を塗布することが好ましく、80質量%以上になった後、オーバー層を塗布することが更に好ましい。オーバー層の塗布装置としては、グラビアコーターが好ましい。
本発明で使用される支持体としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、樹脂被覆紙、樹脂フィルム等が挙げられるが、特に非吸収性支持体が好ましい。非吸収性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙と樹脂フィルムを貼り合わせたもの、基紙の両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙等が挙げられる。特にポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましい。これらの非吸収性支持体の厚みは50〜300μm、好ましくは80〜260μmのものが用いられる。
本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙支持体について詳細に説明する。本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性より好ましくは5.0〜9.0質量%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0質量%の範囲である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押し出しコーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては、5〜50μmが適当である。
本発明に用いられる非吸収性支持体のインク受容層が塗設される側には、下引き層を設けるのが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め非吸収性支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/m2が好ましく、20〜300mg/m2がより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。支持体に下引き層を設けることによって、インク受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
本発明のインクジェット記録材料のインク吸収性を有する側と支持体に対して反対側には、帯電防止性、搬送性の向上、カール防止、印字直後に重ね合わせた際のくっつき防止やインク転写防止などのために種々の種類のバックコート層を設けてもよい。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、顔料、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、実施例、比較例中の部及び%は質量部、質量%を表す。
(実施例1)
<ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレンに対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作成した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液1を作製した。
<シリカ分散液1>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬(株);分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、BET比表面積300m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物を圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液1を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は135nmであった。
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液2を作製した。
<シリカ分散液2>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬(株);分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径5nm、BET比表面積380m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物を圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液2を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は120nmであった。
<インク受容層Aの塗布液>
シリカ分散液1(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 23部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
エタノール 対シリカ分散液10%
インク受容層Aの塗布液は、イオン交換水で13%の固形分濃度になるように調整した。
<インク受容層Bの塗布液>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 23部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
エタノール 対シリカ分散液10%
インク受容層Bの塗布液は、イオン交換水で13%の固形分濃度になるように調整した。
上記組成のインク受容層Aの塗布液を下層(支持体に近い層)として、およびインク受容層Bの塗布液を上層(支持体から離れた層)としてスライドビードコーターで同時重層塗布した。なお、インク受容層Aの湿分塗布量は131g/m2である(固形分塗布量は17g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は13g/m2)。また、インク受容層Bの湿分塗布量は61.5g/m2である(固形分塗布量は8g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は6.3g/m2)。インク受容層の塗布液の温度は40℃で、支持体上に塗布後すぐに5℃の空気で20秒間冷却することによりゲル化した。このとき、インク受容層の表面温度は15℃であった。その後、30〜50℃の温風で乾燥させることにより、実施例1のインクジェット記録材料を得た。
(実施例2)
実施例1のインク受容層Aの湿分塗布量を185g/m2(固形分塗布量は24g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は19g/m2)、インク受容層Bの湿分塗布量を7.7g/m2(固形分塗布量は1g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は0.79g/m2)に変えた以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。
(実施例3)
実施例1のインク受容層Aの湿分塗布量を38g/m2(固形分塗布量は5g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は3.9g/m2)、インク受容層Bの湿分塗布量を231g/m2(固形分塗布量は30g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は24g/m2)に変えた以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た。
(実施例4)
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液3を作製した。
<シリカ分散液3>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬(株);分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、BET比表面積200m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物を圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液3を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は150nmであった。
実施例1のインク受容層Aに使用したシリカ分散液1をシリカ分散液3に変えた以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録材料を得た。
(実施例5)
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液4を作製した。
<シリカ分散液4>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬(株);分子量9,000)4部と沈降法シリカ(平均一次粒子径16nm、BET比表面積210m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミル(直径0.3mmのジルコニアビーズ、該ビーズの充填率80容量%、円盤周速10m/秒)処理して、固形分濃度30%のシリカ分散液4を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は200nmであった。
実施例1のインク受容層AおよびBの代わりに、下記組成のインク受容層Aの塗布液を下層(支持体に近い層)として、および下記組成のインク受容層Bの塗布液を上層(支持体から離れた層)としてスライドビードコーターで同時重層塗布した以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層Aの塗布液>
シリカ分散液4(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 17部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
エタノール 対シリカ分散液10%
このインク受容層Aの塗布液は、イオン交換水で15%の固形分濃度になるように調整した。インク受容層Aの湿分塗布量は113g/m2である(固形分塗布量は17g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は14g/m2)。
<インク受容層Bの塗布液>
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 17部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
エタノール 対シリカ分散液10%
このインク受容層Bの塗布液は、イオン交換水で13%の固形分濃度になるように調整した。インク受容層Bの湿分塗布量は61.5g/m2である(固形分塗布量は8g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は6.6g/m2)。
(実施例6)
アルミナを以下のように粉砕して、アルミナ分散液1を作製した。
<アルミナ分散液1>
水に硝酸2部と酸化アルミニウム含水物(平均一次粒子径14nm、BET比表面積190m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して分散することにより、固形分濃度30%のアルミナ分散液1を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は160nmであった。
実施例5のインク受容層Aの代わりに、下記組成のインク受容層Aの塗布液を下層(支持体に近い層)とした以外は実施例5と同様にして実施例6のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層Aの塗布液>
アルミナ分散液1(アルミナ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 10部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 1部
エタノール 対アルミナ分散液2%
このインク受容層Aの塗布液は、イオン交換水で16%の固形分濃度になるように調整した。インク受容層Aの湿分塗布量は169g/m2である(固形分塗布量は27g/m2、そのうちアルミナ固形分の塗布量は24g/m2)。
(実施例7)
実施例1のインク受容層AおよびBを塗布し、完全に乾燥させた後、さらに下記配合のオーバー層塗布液を、マイクログラビア方式による逐次塗布で、固形分塗布量を0.1g/m2となるように塗布し、乾燥させることにより、実施例7のインクジェット記録材料を得た。
<オーバー層の塗布液>
コロイダルシリカ(平均一次粒子径35nm)(シリカ固形分として) 100部
(クォートロンPL−3L、扶桑化学工業(株)製)
このオーバー層の塗布液はアニオン性であり、イオン交換水で0.5%の固形分濃度になるように調整した。
(実施例8)
実施例7のインク受容層Aの湿分塗布量を154g/m2(固形分塗布量は20g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は16g/m2)、インク受容層Bの湿分塗布量を38g/m2(固形分塗布量は5g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は3.9g/m2)に変えた以外は実施例7と同様にして実施例8のインクジェット記録材料を得た。
(実施例9)
実施例8のインク受容層Aを実施例5のインク受容層Aに変え、インク受容層Aの湿分塗布量を133g/m2(固形分塗布量は20g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は17g/m2)に変えた以外は実施例8と同様にして実施例9のインクジェット記録材料を得た。
(実施例10)
実施例7のコロイダルシリカを、平均一次粒子径70nmのアニオン性コロイダルシリカ(クォートロンPL−7、扶桑化学工業(株))に変えた以外は実施例7と同様にして実施例10のインクジェット記録材料を得た。
(実施例11)
実施例7のコロイダルシリカを、平均一次粒子径220nmのアニオン性コロイダルシリカ(クォートロンPL−20、扶桑化学工業(株))に変えた以外は実施例7と同様にして実施例11のインクジェット記録材料を得た。
(実施例12)
実施例7のコロイダルシリカを、カチオン性のコロイダルシリカ(平均一次粒子径30nm、ファインカタロイドC−125、触媒化成工業(株))に変えた以外は実施例7と同様にして実施例12のインクジェット記録材料を得た。
(実施例13)
実施例5のインク受容層の上に、さらに実施例12と同様の方法でオーバー層を塗布したことにより、実施例13のインクジェット記録材料を得た。
(比較例1)
実施例1のインク受容層Aの塗布液を単独で塗布した以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。なお、インク受容層Aの湿分塗布量は192g/m2である(固形分塗布量は25g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は20g/m2)。
(比較例2)
比較例1のインク受容層の上に、さらに実施例7と同様の方法でオーバー層を塗布したことにより、比較例2のインクジェット記録材料を得た。
(比較例3)
比較例1のインク受容層の上に、さらに実施例12と同様の方法でオーバー層を塗布したことにより、比較例3のインクジェット記録材料を得た。
(比較例4)
実施例4のインク受容層Bに使用したシリカ分散液2をシリカ分散液1に変えた以外は実施例4と同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。
(比較例5)
比較例4のインク受容層の上に、さらに実施例12と同様の方法でオーバー層を塗布したことにより、比較例5のインクジェット記録材料を得た。
(比較例6)
実施例1のインク受容層Bの塗布液を単独で塗布した以外は実施例1と同様にして比較例6のインクジェット記録材料を得た。なお、インク受容層Bの湿分塗布量は192g/m2である(固形分塗布量は25g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は20g/m2)。
(比較例7)
比較例6のインク受容層の上に、さらに実施例7と同様の方法でオーバー層を塗布したことにより、比較例7のインクジェット記録材料を得た。
(比較例8)
比較例7のコロイダルシリカを、実施例10と同様に変えた以外は比較例7と同様にして比較例8のインクジェット記録材料を得た。
(比較例9)
比較例7のコロイダルシリカを、実施例11と同様に変えた以外は比較例7と同様にして比較例9のインクジェット記録材料を得た。
(比較例10)
比較例7のオーバー層を下記の塗布液に変え、インク受容層を下層、オーバー層を上層としてスライドビードコーターで同時塗布を行った以外は比較例7と同様にして比較例10のインクジェット記録材料を得た。
<オーバー層の塗布液>
コロイダルシリカ(平均一次粒子径45nm)(シリカ固形分として) 100部
(スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)製)
ポリビニルアルコール 4部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
このオーバー層の塗布液は、イオン交換水で8%の固形分濃度になるように調整した。インク受容層の湿分塗布量は192g/m2である(固形分塗布量は25g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は20g/m2)。また、オーバー層の湿分塗布量は12.5g/m2である(固形分塗布量は1.0g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は0.96g/m2
(比較例11)
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液5を作製した。
<シリカ分散液5>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬(株);分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、BET比表面積380m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物を圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液5を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は130nmであった。
比較例2のインク受容層に使用したシリカ分散液1をシリカ分散液5に変えた以外は比較例2と同様にして比較例11のインクジェット記録材料を得た。
(比較例12)
実施例1のインク受容層Bに使用したシリカ分散液2をシリカ分散液5に変えた以外は実施例1と同様にして比較例12のインクジェット記録材料を得た。
(比較例13)
実施例1のインク受容層Aに使用したシリカ分散液1をシリカ分散液5に変えた以外は実施例1と同様にして比較例13のインクジェット記録材料を得た。
(比較例14)
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液6を作製した。
<シリカ分散液6>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬(株);分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、BET比表面積150m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物を圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液6を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は180nmであった。
実施例1のインク受容層Aに使用したシリカ分散液1をシリカ分散液6に変えた以外は実施例1と同様にして比較例14のインクジェット記録材料を得た。
(比較例15)
比較例2のインク受容層に使用した塗布液を実施例5のインク受容層Aに使用した塗布液に変え、インク受容層の湿分塗布量を167g/m2(固形分塗布量は25g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は21g/m2)に変えた以外は比較例2と同様にして比較例15のインクジェット記録材料を得た。
(比較例16)
シリカを以下のように粉砕して、シリカ分散液7を作製した。
<シリカ分散液7>
水にポリアミン化合物(AGESTAT A50、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株))4部とゲル法シリカ(平均一次粒子径10nm、BET比表面積360m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミル(直径0.3mmのジルコニアビーズ、該ビーズの充填率80容量%、円盤周速10m/秒)処理して、固形分濃度12%のシリカ分散液7を得た。なお、分散液をDLSを使用して測定すると平均二次粒子径は170nmであった。
実施例1のインク受容層Aの代わりに、下記組成のインク受容層Aの塗布液を下層(支持体に近い層)として、および実施例1のインク受容層Bの塗布液を上層(支持体から離れた層)としてスライドビードコーターで同時重層塗布した以外は実施例1と同様にして比較例16のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層Aの塗布液>
シリカ分散液7(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 50部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 8部
エタノール 対シリカ分散液10%
このインク受容層Aの塗布液は、イオン交換水で10%の固形分濃度になるように調整した。インク受容層Aの湿分塗布量は170g/m2である(固形分塗布量は17g/m2、そのうちシリカ固形分の塗布量は11g/m2)。
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<光沢性>
塗布・乾燥したインク受容層の塗布面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:写真用印画紙を遙かに上回る高光沢である。
○:写真用印画紙を上回る光沢である。
△:写真印画紙並の光沢である。
×:写真用印画紙を下回る光沢である。
<染料インク発色性1>
市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM−G850、印字モード:EPSON写真用紙・標準)にて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの最大濃度にてベタ印字を行い、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの光学濃度およびブラックのL*値をGretagSpectrolino色差計(Gretag(株)製)で測定した。下記の基準で評価した
◎:L*値が5以下であり、かつ4色の光学濃度がいずれも2.0以上である。
○:L*値が5以下であり、かつ4色のうち3色の光学濃度が2.0以上である。
△:L*値が5を超える。あるいは4色のうち2色以上の光学濃度が2.0未満である。
×:L*値が5を超え、かつ4色のうち2色以上の光学濃度が2.0未満である。
<染料インク発色性2>
市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM−G800、印字モード:EPSON写真用紙・きれい)にて、ブラックのベタ印字を行い、ブラックの発色濃度を目視で観察した。下記の基準で評価した
◎:くすみがなく、発色性が良好。
○:僅かにくすみがみられるが、発色性は比較的良好といえる。
△:ややくすみがみられ、発色性に劣る。
×:強いくすみの発生がみられ、発色性に劣る。
<インク吸収性>
市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM−G800、印字モード:EPSON写真用紙・きれい)にてレッド、グリーン、ブルー、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:全く転写しない。
○:僅かに転写するが、実用上問題ない。
△:印字面にインクがやや溢れ、転写が少しみられる。
×:印字面にインクがあふれ、転写が著しい。
<顔料インク発色性>
市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PX−G900、印字モード:EPSON写真用紙・きれい)にて、ブラックのベタ印字を行い、ブラックの発色濃度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
◎:くすみがなく、発色性が良好。
○:僅かにくすみがみられるが、発色性は比較的良好といえる。
△:ややくすみがみられ、発色性に劣る。
×:強いくすみの発生がみられ、発色性に劣る。
<顔料インクプリンタでのインク濃淡ムラ発生度合い>
市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PX−G900、印字モード:EPSON写真用紙・きれい)にてレッド、グリーン、ブルー、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にベタ部のインクの吸収状態、画像の濃淡ムラの程度を目視で観察した。下記の基準で評価した
◎:画像の濃淡ムラはみられない。
○:僅かに画像の濃淡ムラがみられるが、実用上問題ない。
△:画像の濃淡ムラが少しみられる。
×:強い濃淡ムラが発生。
Figure 2007276446
表1に示した結果より明らかな様に、本発明の構成(実施例1〜13)により、光沢性とインク吸収性に優れ、なおかつ染料インクプリンタにおいてはL*値が5以下の色再現が可能な極めて高い発色性を実現し、顔料インクプリンタにおいてはインクの濃淡ムラを改良することが可能なインクジェット記録材料を得ることができる。比較例1〜5、11、12および比較例15は、インク受容層Bに平均一次粒子径6nm以下の気相法シリカを主体に含有しなかった、あるいはインク受容層Bが無かったために、発色性が低下し、極めて高い発色性を実現出来なかった。比較例6〜10はインク受容層Aが存在しなかったために、比較例13および16はインク受容層Bに平均一次粒子径6nm以下の気相法シリカを主体に含有しているが、そのBET比表面積がインク受容層Aに含有される無機微粒子と同じか、その差が50m2/g未満であるために、インク吸収性が低下し、そのために発色性が低下した。また比較例14は上記の差が200m2/gを超えているために、インク吸収性は高いが、発色性は低下した。

Claims (6)

  1. 支持体上に、無機微粒子を主体に含有する少なくとも2層のインク受容層を塗布したインクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aは気相法シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカおよびアルミナ系微粒子から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子を主体に含有し、インク受容層Aよりも支持体から離れたインク受容層Bは平均一次粒子径6nm以下の気相法シリカを主体に含有し、かつインク受容層Bに含有される気相法シリカのBET比表面積が前記インク受容層Aに含有される無機微粒子よりも大きく、インク受容層Aに含有される無機微粒子とのBET比表面積の差が50m2/g以上200m2/g以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 前記インク受容層Aに含有される無機微粒子のBET比表面積が280m2/g以上である請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  3. 前記インク受容層Bにおける気相法シリカの含有量が1〜20g/m2である請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記インク受容層Bのさらに支持体から離れた側に平均一次粒子径100nm以下のコロイド状粒子を含有するオーバー層を有する請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録材料。
  5. 前記コロイド状粒子が、コロイダルシリカである請求項4に記載のインクジェット記録材料。
  6. 前記コロイダルシリカが、カチオン性コロイダルシリカである請求項5に記載のインクジェット記録材料。
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JP2011241378A (ja) * 2010-04-19 2011-12-01 Seiko I Infotech Inc インク用溶媒、インク用溶媒の製造方法、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法

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