JP4909150B2 - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Description

本発明は、白紙部の光沢が高く、白紙部の触感が好ましく、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、発色性に優れたインクジェット記録材料に関するものである。
インクジェットプリンタに搭載されているインクとしては、水溶性染料を用いたインク(以下、染料インクと呼ぶ)が一般に知られているが、近年、耐候性(耐水性や耐光性)に優れることから、顔料を用いたインク(以下、顔料インクと呼ぶ)が搭載されたインクジェットプリンタが販売されている。
顔料インク搭載インクジェットプリンタで印字された印字物には、印字部と非印字部があり、印字部においても印字濃度が高い部分と低い部分が存在することとなる。その際、高い光沢を有するフォトライクな記録材料に顔料インクで印字すると、印字濃度が低い部分では顔料インクが比較的平滑に定着するため光沢が高くなり、非印字部との光沢差が生じるため、違和感のある印字物になってしまうという問題(以下、白紙部と顔料インク印字部の光沢差と呼ぶ)が生じた。上記問題を軽減する技術として、樹脂含有型顔料インクを用いることが、特開2003−213175号公報に開示されているが、顔料インクからのみのアプローチでは十分に満足できるものではなかった。
一方、インクジェット記録方式に使用される記録材料としては、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の無機微粒子とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
顔料として微細な無機微粒子を使用し、フォトライクな光沢を有する記録材料が知られている。例えば、二次粒子径を500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平5−56552号、特開平10−119423号、同2000−211235号、同2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、同平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。上記したような微細な無機微粒子を含むインク受容層は無機微粒子の空隙にインクを吸収するためインク吸収性が優れており、近年のインクジェット記録材料に一般的に用いられている技術である。
上記した無機微粒子はインク吸収性に優れるだけでなく、微細であるため高い発色性と光沢が得られる。また、近年ではフォトライクの記録材料として、高光沢を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙やプラスチック樹脂フィルムのような支持体が用いられており、上述した微細な無機微粒子と組み合わせて用いられている。しかしながら、近年ではさらなる白紙部の高い光沢、染料インクの高い発色性が求められており、上記した公報に開示された記録材料では、本発明が目的とするフォトライクな記録材料に求められる白紙部の光沢、染料インクの発色性において、十分満足するまでには至っていなかった。
また、インクジェットプリンタを使用して優れた画像を得るためには、記録材料をしっかりと押圧した高精度な搬送が必要であり、インクジェットプリンタにはキザローラ(薄板状のスターホイル)が搭載されている。しかしながら、ギザローラを搭載するプリンタを用いて継続的に顔料インクで印字を行うと、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性が十分ではないため、ギザローラに顔料インクが付着し、インクジェット記録材料から顔料インクが剥離し、白く抜けた部分が発生するという問題が生じた(以下、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性と呼ぶ)。
記録材料の最上層にコロイダルシリカ用いることが知られている。例えば、特開2005−161835号公報(特許文献1)では、多孔質層を形成した後にコロイド状シリカの層を設けることで、記録用紙の光沢を高め、インク吸収速度の異常が無いインクジェット記録材料を製造する技術が開示されている。特開2005−225151号公報(特許文献2)では、球状の一次粒子が2〜3個凝集した凝集コロイダルシリカをリウェットキャストコート法で得られるインクジェット用紙に用いることで、高光沢で色再現性等のインクジェット記録品質が優れるインクジェット記録材料が開示されている。特開2004−50811号公報(特許文献3)では、カチオン化されたコロイダルシリカを用いることで、光沢、インク吸収性が優れるインクジェット記録材料が開示されている。
上記技術を使用することにより、高光沢でインク吸収速度、色再現性の優れたインクジェット記録材料を製造することが可能であるが、白紙部の光沢、白紙部の触感、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、発色性のすべてを十分に満足するものではなかった。
特開2005−161835号公報 特開2005−225151号公報 特開2004−50811号公報
本発明の目的は、白紙部の光沢が高く、白紙部の触感が好ましく、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、発色性に優れたインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
非吸水性支持体上に少なくとも1層のインク受容層とインク受容層上に積層される最上層を有するインクジェット記録材料において、インク受容層は平均二次粒径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有し、インク受容層上に積層される最上層は平均一次粒径が20〜60nmで、かつ平均一次粒径に対する平均二次粒径の比が1.5〜3であるカチオン性コロイダルシリカを主体に含有し、かつカチオン性コロイダルシリカの固形分塗布量が0.05〜0.3g/m2であることを特徴とするインクジェット記録材料。
本発明により、白紙部の光沢が高く、白紙部の触感が好ましく、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、発色性に優れたインクジェット記録材料が得られる。
以下に本発明を詳細に説明する。本発明のインク受容層上に積層される最上層は、平均一次粒径は20〜60nmで、かつ平均一次粒径に対する平均二次粒径の比が1.5〜3であるカチオン性コロイダルシリカを主体に含有する。白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、染料インクの発色性を得るためには、カチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は30〜50nmであることがより好ましい。
本発明のコロイダルシリカとは、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比が1.5〜3であり、コロイダルシリカの一次粒子が2〜3個連なった状態のものであり、5個以上連なったものは含まない。コロイダルシリカの平均一次粒径が20〜60nmで、かつ平均一次粒径と平均二次粒径の比が1.5〜3であれば、異なる2種類以上のコロイダルシリカを用いることもできる。上記範囲では、白紙部の光沢、白紙部の触感、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差が優れる。なお、平均一次粒径は一次粒径が判別できるまで分散された粒子の電子顕微鏡写真より一定面積内に存在する100個の粒子各々の平均粒径のことであり、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は、上記で求めた平均一次粒径に対する連なったコロイダルシリカの直径を求め、比を算出した値である。
本発明のコロイダルシリカはカチオン性である。本発明でカチオン性であるとは、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物、カチオン性シランカップリング剤等により、コロイダルシリカの表面を修飾したもの、あるいはコロイダルシリカの製造過程で粒子表面にカチオン性基を導入したものである。顔料インクとの接着性、染料インクの吸収性、染料インクの発色性からカチオン性シランカップリング剤および水溶性多価金属化合物が好ましく、水溶性多価金属化合物がより好ましい。その際のゼータ電位の測定値は+5〜+70mVであることが好ましい。
カチオン性コロイダルシリカを得るために用いる上記カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、1000〜10万程度が好ましい。
カチオン性コロイダルシリカを得るために用いる上記の水溶性多価金属化合物としては、水溶性多価金属塩として、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、蟻酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、蟻酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、フェノールスルフォン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルフォン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、リンタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物等が挙げられる。これらの中にはpHが不適当に低いものもあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明において水溶性とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。本発明では、ジルコニウムおよびアルミニウムから成る水溶性金属塩が好ましい。ジルコニウムから成る水溶性金属塩としては、例えば、第一希元素化学工業(株)からZA−30が市販されいる。アルミニウムから成る水溶性金属としては、例えば、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って販売されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
カチオン性コロイダルシリカを修飾するカチオン性ポリマーまたは水溶性多価金属化合物の固形分混合比(コロイダルシリカ質量部/カチオン性ポリマーまたは水溶性多価金属化合物質量部)は、100/2〜100/20が好ましく、100/5〜100/15がより好ましい。
カチオン性シランカップリング処理剤によるコロイダルシリカのカチオン化は、アニオン性コロイダルシリカにアミノ基含有シランカップリング剤を添加して得ることができる。具体的な処理方法としては、例えば、コロイダルシリカを好ましくは40〜95℃、特に70℃程度に加熱し、これにカップリング剤を連続滴下させる方法、コロイダルシリカとカップリング剤を室温で仕込み、混合した後、上記温度に加熱して反応する方法、カップリング剤と触媒とを同時にコロイダルシリカに滴下する方法、カップリング剤を溶媒に溶解させた状態でコロイダルシリカを含む反応系に供給する方法、カップリング剤を乳化剤により乳化させた状態でコロイダルシリカを含む反応系に供給する方法が挙げられる。
カチオン性シランカップリング剤処理コロイダルシリカを得るために用いることのできるシランカップリング剤としては、アミノ基含有シランカップリング剤を利用することが好ましい。このシランカップリング剤としては、例えばN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
コロイダルシリカをカップリング剤で処理する場合のカップリング剤の固形分混合比(コロイダルシリカ質量部/カップリング剤質量部)は、100/0.01〜100/20が好ましく、100/0.05〜100/10がより好ましい。
本発明のカチオン性コロイダルシリカはアルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって平均一次粒径や平均二次粒径を調整することが好ましい。本発明に使用されるコロイダルシリカとしては、扶桑化学工業製の商品名クォートロンPLシリーズを挙げることができる。
インク受容層上に積層される最上層に含有されるカチオン性コロイダルシリカの固形分塗布量は、0.05〜0.3g/m2である。優れた白紙部の光沢、染料インクの発色性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性を得るためには0.08〜0.2g/m2の範囲がより好ましい。
最上層には実質的に樹脂バインダーを含有しない。実質的にとは固形分塗布量において、コロイダルシリカに対して樹脂バインダー10質量%以上含有しないことを意味する。本発明は樹脂バインダーを実質的に含有しないことにより、光沢ムラのない塗布面を得ることができる。本発明の樹脂バインダーとは、後述するインク受容層で使用するバインダーと同一のものである。
本発明のインクジェット記録材料は非吸水性支持体上に少なくとも1層のインク受容層を有するが、該インク受容層は平均二次粒径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有する。ここで、主体に含有するとは、インク受容層の固形分塗布量に対して、無機微粒子を50質量%以上含有することであり、より好ましくは60質量%以上含有するこである。
本発明のインク受容層に用いる無機微粒子としては、合成シリカ、アルミナあるいはアルミナ水和物等が挙げられる。
合成シリカは製造方法によって、気相法シリカあるいは湿式法シリカに大別される。本発明のインク受容層に用いられる合成シリカは、気相法シリカであっても湿式法シリカであっても良い。
気相法シリカは、火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており、入手することができる。
本発明のインク受容層に含有される気相法シリカの平均二次粒径は500nm以下である。より高いインク吸収性を得るためには、平均二次粒径が30〜300nmであることが好ましく、該平均二次粒径を得るためには、平均一次粒径は3〜20nmであることが好ましい。気相法シリカの平均一次粒径とは、一次粒子が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の一次粒径として求めた平均粒径のことである。平均二次粒径は希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して求めた値のことである。
湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカ二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。
ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学工業(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロジェットとして市販さている。
沈降法シリカあるいはゲル法シリカは、通常、1μm以上の平均二次粒径を有するが、本発明では、平均二次粒径が500nm以下になるまで粉砕される。より高いインク吸収性を得るためには、平均二次粒径が300nm以下になるまで粉砕することが好ましい。粉砕された沈降法シリカあるいはゲル法シリカの平均二次粒径は希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して求めた値のことである。
沈降法シリカあるいはゲル法シリカの粉砕工程は、分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液中のシリカを粉砕する二次分散工程からなる。一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。沈降法シリカあるいはゲル法シリカの粉砕方法としては、分散媒中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜施回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルが好ましく用いられる。
本発明のインク受容層に用いることができるアルミナの平均二次粒径は500nm以下である。より高いインク吸収性を得るためには、平均二次粒径が50〜300nmで、平均一次粒径が10〜100nmであることが好ましい。アルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもγグループ結晶が好ましい。アルミナの平均一次粒径は、一次粒径が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた平均粒径のことである。平均二次粒径は希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して求めた値のことである。
本発明のインク受容層に用いることができるアルミナ水和物は、Al23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表せる。アルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
本発明に使用するアルミナ水和物の平均二次粒径は500nm以下である。より高いインク吸収性を得るためには、平均一次粒径が5〜50nmであり、かつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。アルミナ水和物の無機微粒子の平均一次粒径は、一次粒径が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた平均粒径のことである。平均二次粒径は希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して求めた値のことである。
本発明のインク受容層は、皮膜としての特性を維持するためと、透明性が高くインクのより高い浸透性を得るために親水性の樹脂バインダーが用いられる。樹脂バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい樹脂バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上のもの、または完全ケン化したものである。平均重合度は500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明のインク受容層において、樹脂バインダーと無機微粒子の混合比は好ましい範囲があり、無機微粒子の種類によって好ましい範囲が適宜選択される。合成シリカに対しては、10〜30質量%の樹脂バインダーを用いるのが好ましく、特に12〜25質量%用いるのが好ましい。アルミナまたはアルミナ水和物に対しては、5〜25質量%の樹脂バインダーを用いるのが好ましく、特に7〜15質量%用いるのが好ましい。
本発明のインク受容層には、皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは樹脂バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
本発明のインク受容層は、単層であっても2層以上あっても良い。インク受容層の固形分塗布量は、塗布する無機微粒子によって異なる。気相法シリカ単層の場合の固形分塗布量は、5〜30g/m2が好ましく、10〜25g/m2の範囲がより好ましい。アルミナまたはアルミナ水和物単層の場合の固形分塗布量は、10〜40g/m2が好ましく、15〜35g/m2がより好ましい。気相法シリカと、アルミナおよびアルミナ水和物を重層する際の総固形分量は、10〜40g/m2が好ましく、15〜35g/m2がより好ましい。
本発明のインク受容層は、樹脂バインダーと共に硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号明細書記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸およびほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する樹脂バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明において、インク受容層および最上層には、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明において、インク受容層および最上層を設ける際の塗布方法は特に限定されないが、スライドビードコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等の塗布装置を単独および組み合わせて使用できる。インク受容層と最上層を同時塗布する場合は、スライドビードコーター、カーテンコーターの塗布装置が使用できる。インク受容層を塗布後、最上層を逐次塗布する場合は、上記塗布装置を適宜組み合わせて使用することができる。本発明で同時塗布とは各層をほぼ同時に塗布することである。逐次塗布するとは、減率乾燥工程以降においてインク受容層の空隙が形成された後、最上層の塗布液を塗布することである。
本発明で使用される非吸水性支持体は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアサテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、および紙と樹脂フィルムを貼り合わせたもの、基紙の両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙等である。これらの非吸水性支持体の厚みは50〜350μm、好ましくは80〜300μmのものが用いられる。
面感、質感の観点から好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙支持体(以降、ポリオレフィン樹脂被覆紙と称す)について詳細に説明する。本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性より好ましくは5〜9%の範囲であり、より好ましくは6〜9%の範囲である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは、例えば、写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体およびこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
ポリオレフィン樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては、5〜50μmが適当である。
非吸水性支持体のインク受容層が塗設される側には、下塗り層を設けるのが好ましい。この下塗り層は、インク受容層が塗設される前に、予め非吸水性支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下塗り層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/m2が好ましく、20〜300mg/m2がより好ましい。更に、下塗り層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。支持体に下塗り層を設けることによって、インク受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部とは、固形分あるいは実質成分の質量部を表す。
<非吸水性支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤とアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して支持体の基紙とした。抄造した基紙の印字面側に密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100質量%の樹脂に対して、10質量%のアナターゼ型二酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ30μmになるように押出し、微粗面加工されたクーリングロールで冷却しながら、インク受容層塗布面側の樹脂被覆層を設けた。反対面側には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ25μmになるようにクーリングロールで冷却しながら樹脂被覆層を設けた。
上記支持体のインク受容層塗布面側に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
上記支持体に下記組成のインク受容層A塗布液を固形分量が25g/m2になるようにスライドビード塗布装置で塗布し、5℃30秒間冷却後、40℃10%RHで乾燥終了点まで乾燥し、下記組成の最上層塗布液1をコロイダルシリカ固形分量が0.1g/m2になるようにグラビア塗布装置で逐次塗布し、50℃で乾燥した。
<気相法シリカ分散液>
水にジメチルジアリルアルミニウムクロライドホモポリマー(分子量:9000)3部と気相法シリカ(平均一次粒径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20質量%の気相法シリカ分散液を作製した。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定による気相法シリカの平均二次粒径は80nmであった。
<インク受容層塗布液A>
気相法シリカ分散液 103部
ホウ酸 5部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<最上層塗布液1>
水にクォートロンPL−3L(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加し、カチオン性コロイダルシリカを得た。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液1をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+45mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は35nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.5であった。
実施例1のインク受容層塗布液Aをインク受容層塗布液Bに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
<湿式法シリカ分散液>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000、4部)と沈降法シリカ(ニップシールVN3、平均二次粒径23μm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度30質量%の湿式法シリカ分散液を得た。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定による湿式法シリカの平均二次粒径は200nmであった。
<インク受容層塗布液B>
湿式法シリカ分散液 104部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 17部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
実施例1のインク受容層塗布液Aをインク受容層塗布液Cに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を作製した。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定によるアルミナ水和物の平均二次粒径は160nmであった。
<インク受容層塗布液C>
アルミナ水和物 100部
(SASOL社製のDisperal.HP−14、平均二次粒径160nm)
硝酸 1.4部
ホウ酸 0.2部
ポリビニルアルコール 9.5部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
固形分濃度が15質量%になるように水で調整した。
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液2に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液2>
水にクォートロンPL−5(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液2をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+47mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は52nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は2.2であった。
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液3に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして実施例5のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液3>
水にクォートロンPL−3L(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のZA−30(第一希元素化学工業(株)社製酢酸ジルコニル;固形分濃度30質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液3をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+43mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は35nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.5であった。
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液4に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして実施例6のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液4>
攪拌機、温度計、還流冷却器、および滴下ロートを備えた装置に、クォートロンPL−3L(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ:固形分濃度20質量%)を100部仕込み、75℃まで加温した。次いで、撹拌下で75℃に維持しながら、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン5部を15分間かけて滴下し、同温度で30分間以上保温して反応させ、これを冷却してカップリング剤で処理したカチオン性コロイダルシリカを作製し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液4をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+42mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は35nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.5であった。
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液5に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして実施例7のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液5>
水にクォートロンPL−3L(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のシャロールDC902P(第一工業製薬(株)製ジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー;固形分濃度50質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液5をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+40mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は35nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.5であった。
実施例1の最上層塗布液1のコロイダルシリカ固形分量を0.05g/m2に変更する以外は、実施例1と同様にして実施例8のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1の最上層塗布液1のコロイダルシリカ固形分量0.3g/m2に変更する以外は、実施例1と同様にして実施例9のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例1)
最上層塗布液1を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にすることで比較例1の記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液6に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液6>
水にカタロイドSI−50(触媒化成工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液6をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+42mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は25nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.2であった。
(比較例3)
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液7に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして比較例3のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液7>
水にクォートロンPL−3L(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液7をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、−30mVであった。また、電子顕微鏡観察によるコロイダルシリカの平均一次粒径は35nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.5であった。
(比較例4)
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液8に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして比較例4のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液8>
水にクォートロンPL−7(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液8をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+38mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は70nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.7であった。
(比較例5)
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液9に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして比較例5のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液9>
水にクォートロンPL−1(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液9をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+38mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は15nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は2.7であった。
(比較例6)
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液10に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして比較例6のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液10>
水にスノーテックスST−PS−M(日産化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液10をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+38mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は35nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は4.0であった。
(比較例7)
実施例1の最上層塗布液1を下記最上層塗布液11に変更し、コロイダルシリカ固形分塗布量を0.1g/m2にするように調整する以外は、実施例1同様にして比較例7のインクジェット記録材料を作製した。
<最上層塗布液11>
水にクォートロンPL−2L(扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)を100部加え、固形分濃度5質量%液を調製後、撹拌しながら、約10分間かけて10部のタキバイン#1500(多木化学株式会社製ポリ塩化アルミニウム水溶液;固形分濃度23.5質量%)を添加した。添加終了後、温度80℃で1時間撹拌した後、室温にまで冷却し、固形分濃度が0.6質量%になるよう水で調整した。作製した最上層塗布液11をゼータ電位測定装置(ベックマン・コールター社製DELSA 440SX)でゼータ電位を測定した結果、+38mVであった。また、電子顕微鏡観察によるカチオン性コロイダルシリカの平均一次粒径は18nm、平均一次粒径に対する平均二次粒径の比は1.5であった。
(比較例8)
実施例1の最上層塗布液1のコロイダルシリカ固形分量を0.03g/m2に変更する以外は、実施例1と同様にして比較例8のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例9)
実施例1の最上層塗布液1のコロイダルシリカ固形分量 0.4g/m2に変更する以外は、実施例1と同様にして比較例9のインクジェット記録材料を作製した。
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
<白紙部の光沢>
JIS−Z8741に基づいて20度光沢度を変角光沢計VGS−300A(日本電色(株)製)で測定した。
○:40%より高い。
△:30〜40%。
×:30%より低い。
<白紙部の触感>
白紙部を触ってサラサラ感を評価した。
○:サラサラ感を十分に満たし、心地よい触感を有する。
×:サラサラ感が少なく、心地よい触感を有していない。
<顔料インクとの接着性>
顔料インク用インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)社製PX−5500)を用いて、Blueの最大インク吐出量でベタ印字を50枚連続で行い、ギザローラが通過した画像部を目視評価した。
○:顔料インクの剥離がない。
△:顔料インクの剥離がわずかであり、目立たない。
×:顔料インクの剥離があり、目立つ。
<白紙部と顔料インク印字部の光沢差>
顔料インク用インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)社製PX−5500)を用いて、白紙部と印字濃度の低い画像部を比較し、光沢差を目視評価した。
○:光沢差が気にならない
△:光沢差が若干感じられる
×:光沢差が目立つ。
<染料インクのインク吸収性>
染料インク用インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)社製PM−G850)でC、M、Y、K、R、G、Bをそれぞれ最大インク吐出量でベタ印字した直後、PPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度目視で観察し、下記の基準で目視評価した。
○:全く転写しない。
△:やや転写するが、実使用上問題なし。
×:転写が大きく、実使用不可。
<染料インクの発色性>
染料インク用インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)社製PM−G850)で、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの原色を含んだ画像を印字して、発色性の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:くすみが全くなく、発色濃度高く、発色性は非常に良好。
△:ややくすみがあり、発色性が劣る。
×:くすみおよび発色濃度の低下が著しく、発色性極めて劣る。
Figure 0004909150
上記の結果から、本発明のインクジェット記録材料は、白紙部の光沢が高く、白紙部の触感が好ましく、インクジェット記録材料と顔料インクとの接着性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性、発色性に優れたインクジェット記録材料が得られることが分かる。最上層を設けていない場合(比較例1)は、白紙の光沢、白紙部の触感、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクの発色性が満足できるものではなかった。最上層に含有されるコロイダルシリカの平均一次粒径に対する平均二次粒径の比が小さい場合(比較例2)は、白紙部の触感、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクのインク吸収性が満足できるものではなかった。最上層に含有されるコロイダルシリカがカチオン性でない場合(比較例3)は、顔料インクとの接着性、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクの発色性が満足できるものではなかった。最上層に含有されるコロイダルシリカの平均一次粒径が大きい場合(比較例4)は、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクの発色性が満足できるものではなかった。最上層に含有されるコロイダルシリカの平均一次粒径が小さい場合(比較例5、比較例7)は、白紙部と顔料インク印字部の光沢差、染料インクの吸収性が満足できるものではなかった。最上層に含有されるコロイダルシリカの平均一次粒径に対する平均二次粒径の比が大きい場合(比較例6)は、白紙部の光沢、白紙部と顔料インク印字部の光沢差が満足できるものではなかった。最上層の塗布量が少ない場合(比較例8)は、白紙部の光沢が満足できるものではなかった。最上層の塗布量が多い場合(比較例9)は、染料インクのインク吸収性が満足できるものではなかった。

Claims (1)

  1. 非吸水性支持体上に少なくとも1層のインク受容層とインク受容層上に積層される最上層を有するインクジェット記録材料において、インク受容層は平均二次粒径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有し、インク受容層上に積層される最上層は平均一次粒径が20〜60nmで、かつ平均一次粒径に対する平均二次粒径の比が1.5〜3であるカチオン性コロイダルシリカを主体に含有し、かつカチオン性コロイダルシリカの固形分塗布量が0.05〜0.3g/m2であることを特徴とするインクジェット記録材料。
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