JP2005262871A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】コックリングが少なく、インクの吸収性、発色性および顔料インク適性に優れ、高い表面光沢を兼ね備え、折りや曲げによる塗層の割れや欠落の少ないインクジェット記録材料を提供すること。
【解決手段】透気性の紙基材の少なくとも片面にインク受理層及び光沢発現層を順次有するインクジェット記録材料において、該基材が、ホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を含有し、該インク受理層が平均二次粒子径0.5μm以上の無機顔料を含有し、かつ親水性バインダーを含有する層であり、該光沢発現層が平均二次粒子径0.5μm未満のアルミナ水和物を光沢発現層の乾燥固形分の75質量%以上含有し、かつ親水性バインダーを含有することを特徴とし、更に、該基材の片面に該インク受理層を塗工・乾燥した後のJIS−P8117に従って測定した透気抵抗度が100秒以上6000秒以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関し、さらに詳しくは、コックリングが少なく、インクの吸収性、発色性および顔料インク適性に優れ、高い表面光沢を兼ね備え、折りや曲げによる塗層の割れや欠落の少ないインクジェット記録材料に関するものである。
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンターやプロッターはコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途に於いて近年急速に普及している。特に多色インクジェット方式により形成されるカラー画像は製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較しても遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途に於いては、印刷技術や写真技術よりも安価で済むことから広く応用されつつある。
さらに、用途の多様化に伴い、大判のポスターやPOPアート、製図用途に使用されることが多くなってきている。これら用途ではインクジェットの高鮮鋭性を活かせ、色彩性も優れていることから、良好な画像を得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとなる。これらへの適用はパーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、インクジェット記録材料を多用する理由ともなっている。
このような、近年のインクジェット記録の高速化、画像のフルカラー化及び高精細化といった用途の拡大に伴い、インクの吸収性に優れ、表面光沢が高いインクジェット記録材料が求められている。これらの要求に対し、下層にシリカ多孔質層を設け、上層にアルミナまたはアルミナ水和物含有層を有するインクジェット記録材料や下層に吸収性顔料含有層、最表層に擬ベーマイトを配した記録材料が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、これらのインクジェット記録材料にインクジェット方式による印字を行った場合、先に述べたようなインクジェット記録装置の高速化や多色化による画像形成に必要なインク量の増大により、インクおよび溶媒成分が基材へ浸透し、基材が膨潤することにより、印字部に波打ち(コックリング)が発生しやすい。
コックリングに関しては、単にインク受理層を厚くし、インクおよび溶媒成分が基材へ到達する割合を減少させることにより軽減されるが、インク受理層を厚くすることにより、塗層強度の低下を招くばかりでなく、光沢発現層中のバインダー成分等が吸水性の高い下層へ浸透し、表面光沢が低下する。
一般的に、無機顔料とバインダーを主成分とする層をインクジェット記録材料の裏面にバックコート層として設けることでコックリングの軽減を図ることが行われているが、必ずしも十分な効果が得られていないのが実情であった。
また、ホウ酸またはホウ酸塩からなる群より選ばれた一種以上及び紙表面処理剤により表面処理した基材の処理表面上に、ベーマイト及びポリビニルアルコールを含有する多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録材料が提案されている。ホウ酸またはホウ酸塩類とポリビニルアルコールの架橋反応を利用した該手法により、嵩高な塗工層が形成され、インク吸収性を高めることが可能となり、コックリング抑制に対しても効果が認められるものの、未だ十分に要求が満たせない場合があった(例えば、特許文献3参照)。
ホウ酸またはホウ酸塩類とポリビニルアルコールを架橋反応させることで得られる嵩高で吸収性の高い塗工層は、一方でその塗工層の厚みと堅さから、インクジェット記録材料に応力をかけた場合、例えば折り曲げた場合などにその塗工層が簡単にひび割れてしまう場合がある。よって、コックリングとインク吸収性、折り割れ強度の改善をすべて一度に行うことは非常に困難であった。
特開平6−55829号公報(第2−3頁) 特開平7−89216号公報(第2−6頁) 特開平11−291621号公報
本発明の課題は、コックリングが少なく、インクの吸収性、発色性および顔料インク適性に優れ、高い表面光沢を兼ね備え、折りや曲げによる塗層の割れや欠落の少ないインクジェット記録材料を提供することにある。
上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、透気性の紙基材の少なくとも片面にインク受理層及び光沢発現層を順次有するインクジェット記録材料において、該基材が、ホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を0.1g/m以上1.5g/m以下含有し、該インク受理層が平均二次粒子径0.5μm以上の無機顔料と親水性バインダーを含有する層であり、該光沢発現層が無機超微粒子として平均二次粒子径0.5μm未満のアルミナ水和物を光沢発現層の乾燥固形分の75質量%以上、かつ親水性バインダーを含有するインクジェット記録材料であり、該基材の片面に該インク受理層を塗工・乾燥した後のJIS−P8117に従って測定した透気抵抗度が100秒以上6000秒以下であることを特徴とすることにより解決した。
また、該インク受理層が水性合成エマルジョンを含有し、該水性合成エマルジョンが該無機顔料の乾燥固形分に対して30質量%以上70質量%以下、かつ該受理層中のバインダー樹脂成分総量の50質量%以上80質量%以下含有されていることが好ましい。
該水性合成エマルジョンが、保護コロイドとしてポリビニルアルコール有しており、かつガラス転移点温度が60℃以下であることが更に好ましい。
該光沢発現層が脆化防止剤を含有することが好ましい。
また、該脆化防止剤が、ポリエチレングリコールまたは尿素であることが好ましい。
該脆化防止剤が、該無機超微粒子に対して5質量%以上20質量%以下含有されていることが更に好ましい。
該光沢発現層表面のJIS−Z8741による75度鏡面光沢が40%以上であることが好ましい。
特に該光沢発現層に塩基性ポリ水酸化アルミニウムを含有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録材料は、コックリングが少なく、インクの吸収性、発色性および顔料インク適性に優れ、高い表面光沢を兼ね備え、折りや曲げによる塗層の割れや欠落が非常に少ない。
以下、本発明のインクジェット記録材料を詳細に説明する。
本発明者らはコックリングが少なく、かつ高いインク吸収性と高い表面光沢が得られ、折り割れの少ない塗工層を得る手法を鋭意検討した結果、ホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を0.1g/m以上1.5g/m以下含有する基材上に、平均二次粒子径0.5μm以上の無機顔料と親水性バインダーを含有するインク受理層と無機超微粒子として平均二次粒子径0.5μm未満のアルミナ水和物を光沢発現層の乾燥固形分の75質量%以上、かつ親水性バインダーを含有する光沢発現層を逐次塗設せしめることで、インクおよび溶媒分の透過を防止し、かつ基材の伸縮を抑制する部位をインク受理層と基材の界面近傍に設けることができ、さらに、ホウ酸またはホウ酸塩とポリビニルアルコール等との間の架橋反応により、空隙の多いインク受理層および光沢発現層を形成せしめることが可能となり、その結果、コックリングが少なく高いインク吸収性および表面光沢を付与することができた。特に該基材の片面に該インク受理層を塗工・乾燥した後のJIS−P8117に従って測定した透気抵抗度を100秒以上6000秒以下に制御することで、光沢発現層塗設時の光沢の低下を抑制し、且つ優れたコックリング適性を付与することができ、良好なインクジェット記録材料を得ることが可能となった。
また、ホウ酸またはホウ酸塩の量を特定範囲内とすることにより、過剰な架橋反応を抑制し、塗工層の過度の脆化を抑えることが可能となり、折り割れ等の欠陥を発生しにくくすることが可能となった。
さらに、該インク受理層が水性合成エマルジョンを含有し、該水性合成エマルジョンが該無機顔料の乾燥固形分に対して30〜70質量%、かつ該受理層中のバインダー樹脂成分総量の50〜80質量%含有せしめることで、塗工層の柔軟性が著しく向上し、折り割れ等の欠陥抑制効果を高められることを見出した。そして、該光沢発現層についても、脆化防止剤を添加することで塗工層の脆化を適度に抑制し、折り割れの発生を更に抑えることができることを見出した。
以下に本発明に係る紙基材について説明する。
本発明において用いる透気性の紙基材としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主成分として、従来公知の顔料、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造される。さらに平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
本発明において用いられるホウ酸としては、オルトホウ酸だけでなくメタホウ酸、次ホウ酸等が使用できる。ホウ酸塩はこれらの可溶性塩が好ましく、具体的には、Na・10HO、NaBO・4HO、K・5HO、NHHB・3HO、NHBO等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における該基材中のホウ酸またはホウ酸塩の含有量は、固形分換算で0.1g/m以上1.5g/m以下である。インクの吸収性を保ちつつ、コックリング及び折り割れ適性を向上させるには0.2g/m以上1.2g/m以下が好ましい。より好ましくは0.25g/m以上1.0g/m以下である。
本発明における、ホウ酸またはホウ酸塩の該基材への付与方法は、内添、塗工、含浸等の方法があるが、ホウ酸またはホウ酸塩を一種以上含有する水溶液を塗工あるいは含浸することによる付与方法が基材表面近傍にホウ酸またはホウ酸塩が局在化するので好ましく、インク受理層を設けた際に高い透気抵抗度が得られる。塗工方法としては例えば、従来公知のエアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、キャストコーター、インクラインドサイズプレス、トランスファーロールコーター、タブサイズ、ロッドコーター、シムサイザーなどの各種装置をオンマシン或いはオフマシンで用いることができる。もちろん両面に塗工することも可能であり、片面逐次塗布あるいは両面同時塗布でも良い。
以下に本発明に係わるインク受理層について説明する。
本発明において、該インク受理層には、平均二次粒子径が0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限は15μmである無機顔料を含有する。用いられる無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料などを用いることができる。上記の無機顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性非晶質合成シリカ、多孔性炭酸マグネシウムなどが挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
平均二次粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布計により測定される。
本発明において、インク受理層の乾燥塗工量の範囲は3〜30g/m、より好ましくは5〜20g/mであり、更に好ましくは7〜20g/mであり、インク受理層の乾燥塗工量をこの範囲にすることで光沢性を低下させずにインク吸収性をより効率的に得ることができ、好ましい。
本発明に用いられる親水性バインダーとしてはポリビニルアルコール、でんぷん及びその変性物、ゼラチン及びそれらの変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、カチオン変性、シラノール変性等のポリビニルアルコールの変性物、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸またはその共重合体等を挙げられ、単独あるいは併用して用いることができる。また、これらの親水性バインダーの配合量の総和は、該無機顔料の総和100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましく、特に5〜20質量部であることが好ましい。
該インク受理層には、親水性バインダー以外にエマルジョンまたはラテックスを含有することが非常に好ましい。用いられるエマルジョンまたはラテックスとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体等が挙げられ、これらを1種以上使用できる。
該インク受理層に使用されるエマルジョンまたはラテックスの配合量としては、無機顔料の総和100質量部に対して、30質量部以上70質量部以下、好ましくは、35〜65質量部であり、且つ、該受理層中のバインダー樹脂成分総量の50質量%以上80質量%以下、好ましくは55〜75質量%である。該水性合成エマルジョンは、該インク受理層の脆化を抑制し、柔軟な塗工層を形成できることから、インクジェット記録材料の折り割れ特性の改善を図るばかりでなく、インク吸収性や塗層強度を改善することもできる。ここで該エマルジョンの量が上記範囲を外れた場合、十分な脆化抑制効果が得られず、折り割れ等が悪化することがある。
また、該水性合成エマルジョンは、保護コロイドとしてポリビニルアルコールを有しているものであり、かつガラス転移温度が60℃以下であることが好ましい。ホウ酸またはホウ酸塩の1種以上を塗設せしめた基材上にインク受理層を塗設した際に、保護コロイドとしてポリビニルアルコールが使用されていることで、ホウ酸とポリビニルアルコールが架橋反応をするために塗層強度を発現しつつ高いインク吸収性を実現し、塗工層の脆化をも抑制することが可能となるため非常に好ましい。また、ガラス転移温度を60℃以下とすることで、該インク受理層中で該エマルジョンが十分に成膜し、柔軟な塗工層を形成できるため、非常に好ましい。
該インク受理層には、カチオン性化合物を含有するのが好ましい。適用されるカチオン性化合物としては,モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれも適用でき、ポリマーとしては、ポリアルキレンポリアミド;ポリアルキレンポリ尿素;ポリアミドポリ尿素;ポリアミノエポキシ樹脂;或いはこれらとアルデヒドとの反応生成物やアルキル化剤との反応生成物;エチレンイミンの開環重合物;カチオン性ビニルポリマーの単独重合物或いは他の重合性モノマーとの共重合物;N −ビニルアミド系モノマーの単独重合物或いは他の重合性モノマーとの共重合物;活性水素を有するポリマーに、アンモニア、1 級アミン、2 級アミンとホルムアルデヒドを反応させたマンニッヒ反応物;活性水素を有するポリマーとカチオン化剤との反応物;活性水素を有するポリマーとアンモニア、アミン類、エピハロヒドリンとの反応物;キチンを加水分解したキトサン;活性水素を有するポリマーと上述のポリマーのいずれかを、アルデヒド、エピハロヒドリン、ポリイソシアネート等の架橋剤を用いて反応させた共重合物等が例示できる。これらカチオン性化合物は単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において、インク受理層には、無機顔料及び親水性バインダーの他、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
本発明において、ホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を0.1g/m以上1.5g/m以下含有する基材の片面に該インク受理層を塗工・乾燥した後のJIS−P8117に従って測定した透気抵抗度が100秒以上6000秒以下である。好ましくは150秒以上5000秒以下であり、この範囲にすることで光沢性及びコックリング性能を低下させずにインク吸収性をより効率的に得ることができ、好ましい。透気抵抗度は、紙基材では、紙基材へのホウ酸またはホウ酸塩の塗布、含浸方法やその後の乾燥条件により、紙基材中の含有量及び存在分布を制御し、インク受理層においては、インク受理層の塗工方法や塗工後の乾燥条件により、インク受理層中の親水性バインダーの含有量及び分布を制御し、またインク受理層自体の塗布量等の手段により適宜調整する。
次に本発明に係る光沢発現層について説明する。
該光沢発現層には、平均二次粒子径が0.5μm未満であるアルミナ水和物が光沢発現層の乾燥固形分の75質量%以上使用される。さらに好ましくは80質量%以上である。この範囲にすることでインク吸収性及び表面光沢を両立することができる。特にアルミナ水和物がより好ましい理由として、光沢発現層表面の光沢の低下が起こり難く、より高い表面光沢を得ることができること、親水性バインダーとしてのポリビニルアルコールとの反応性が高いことからホウ酸またはホウ酸塩との反応により嵩高で吸収性に優れた塗工層を形成できること等が挙げられる。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al・nH
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
本発明で使用するアルミナ水和物において平均一次粒子径が3nm〜25nmのアルミナ水和物が好ましい。特に好ましい平均一次粒子径は5nm〜20nmのものである。またこれらが凝集した平均二次粒子径としては、50nm〜200nmにするのが好ましい。
本発明における光沢発現層には、アルミナ水和物以外にも無機超微粒子を用いることができる。用いられる無機超微粒子としては、特開平8−72387公報などに記載されている気相法アルミナ、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、平均二次粒径500nm未満に粉砕した湿式シリカ、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
本発明の光沢発現層に用いられる親水性バインダーとしてはシラノール変性等の変性物を含むポリビニルアルコール、でんぷん及びその変性物、ゼラチン及びそれらの変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸またはその共重合体等が挙げられ、単独あるいは併用して用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの親水性バインダーの配合量の総和は、無機超微粒子に対して、4〜25質量%であることが好ましく、特に5〜20質量%であることが好ましい。
本発明の光沢発現層に用いられる親水性バインダーとしては、接着力の点から、ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体が好ましい。無機超微粒子との混合性、塗液粘度の調整、及び成膜性等の点で重合度2000以上、ケン化度が88%以上96%未満のポリビニルアルコールが特に好ましい。
本発明において、光沢発現層の乾燥塗工量は4〜30g/mの範囲が好ましい。インク吸収性及び光沢発現の点において、特に6〜20g/mの範囲がより好ましい。
本発明において、光沢発現層が脆化防止剤を含有していることが好ましい。該光沢発現層に用いられる脆化防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ブタンジオール、ブタントリオール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、エタノールアセトアミド、尿素及びその誘導体、ソルビトール等の単糖類が挙げられる。中でもポリエチレングリコールと尿素は、塗工液中での相溶性、脆化抑制効果が高く、特に好ましい。
また本発明において、該脆化防止剤の含有量はインク吸収性の観点から、光沢発現層中の無機超微粒子に対して5質量%以上、20質量%以下であることが好ましく、7〜15質量%が更に好ましい。
本発明において、光沢発現層表面のJIS−Z8741による75度鏡面光沢が40%以上が好ましい。より好ましくは50%以上である。
本発明において、インク受理層または光沢発現層を塗工、乾燥後、平坦化や透気抵抗度をコントロールしたり、表面光沢をさらに高めたりする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。また、公知のキャストコート法を用いて光沢面を形成することができる。
本発明において、インクの吸収性、表面光沢度およびインク定着性を向上させるために、光沢発現層中に塩基性ポリ水酸化アルミニウムを添加すると好ましい。
塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ただし、0<n<6 … 一般式1
[Al(OH)AlCl … 一般式2
Al(OH)Cl(3n−m) ただし、0<m<3n … 一般式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、各種グレードの物が容易に入手できる。
本発明において、塩基性ポリ水酸化アルミニウムの光沢発現層中の含有量は、0.1〜5g/m、好ましくは0.2〜3g/mである。
更に、本発明の光沢発現層には、その他の添加剤として、カチオン系染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを本発明の目的を害しない範囲で適宜添加することもできる。
本発明において、インク受理層及び光沢発現層は、インク受理層及び光沢発現層の塗液を支持体上にそれぞれ順次塗工、乾燥して設ける。
本発明においてインク受理層及び光沢発現層を設ける際に、塗工する方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により塗工することができる。
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
以下に本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」及び「%」は特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
透気抵抗度は各サンプルともインク受理層塗液を塗工・乾燥後、JIS−P8117に従って測定した。
<サンプル1の作製>
(基材の作製)
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を添加してスラリーを調製後、長網抄紙機を用いて坪量105g/mで抄造し、さらにインク受理層塗布面側にホウ酸溶液を乾燥固形分1.0g/mになるように塗布、乾燥し、紙基材を得た。
さらに下記インク受理層塗液1を乾燥固形分10g/mになるように塗布、熱風により乾燥し、さらに下記光沢発現層塗液1を乾燥固形分12g/mになるように塗布、熱風により乾燥して設けた後、カレンダー処理を行い、インクジェット記録材料のサンプル1を作製した。なお、インク受理層塗液1を塗工、乾燥後の透気抵抗度は1420秒であった。
(インク受理層塗液1)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液350部を混合し、固形分濃度14.2%に調整してインク受理層塗液1を調製した。
(アルミナ水和物の合成)
下記に光沢発現層に用いるアルミナ水和物の合成例を示す。使用した原材料はすべて市販品であり、精製は特に行わずそのまま使用した。
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、95℃で4時間加水分解を行った。その後、酢酸24gを加え、95℃にて40時間撹拌した後、固形分濃度が16%になるように濃縮し、白色のアルミナ水和物の分散液を得た。
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均一次粒子径を測定したところ、約20nmであり、さらにレーザー回折・散乱法を用いた粒度分布計により平均二次粒子径を測定したところ、約180nmであり、アスペクト比6の平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によってBET比表面積、平均細孔半径、細孔半径1nm〜30nmの細孔容積、細孔半径2nm〜10nmの細孔容積を測定したところ、それぞれ136m/g、5.8nm、0.54ml/g、0.50ml/gであった。
(光沢発現層塗液1)
上記の16%の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を用いて、アルミナ水和物分散液625部、これに10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液60部を混合し、固形分濃度15.5%の光沢発現層塗液1を調整した。
<サンプル2の作製>
サンプル1のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液2に変更した以外はサンプル1と同様にしてサンプル2を作製した。なお、インク受理層塗液2を塗工、乾燥後の透気抵抗度は714秒であった。
(インク受理層塗液2)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液350部、50%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(界面活性剤乳化重合タイプ)50部を混合し、固形分濃度16%に調整してインク受理層塗液2を調製した。
<サンプル3の作製>
サンプル1のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液3に変更した以外はサンプル1と同様にしてサンプル3を作製した。なお、インク受理層塗液3を塗工、乾燥後の透気抵抗度は835秒であった。
(インク受理層塗液3)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液350部、55%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(ポリビニルアルコール保護コロイドタイプ)45.5部を混合し、固形分濃度16%に調整してインク受理層塗液3を調製した。
<サンプル4の作製>
サンプル3の紙基材のホウ酸の塗布量を乾燥固形分で0.08g/mに変更した以外はサンプル3と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液3を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、90秒であった。
<サンプル5の作製>
サンプル3の紙基材のホウ酸の塗布量を乾燥固形分で1.5g/mに変更した以外はサンプル3と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液3を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、1910秒であった。
<サンプル6の作製>
サンプル3の紙基材のホウ酸をホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)に変更し、さらに塗布量を乾燥固形分で0.5g/mに変更した以外はサンプル3と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液3を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、4200秒であった。
<サンプル7の作製>
サンプル3の紙基材のホウ酸をホウ砂に変更し、さらに塗布量を乾燥固形分で1.7g/mに変更した以外はサンプル3と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液3を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、6700秒であった。
<サンプル8の作製>
サンプル1のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液4に変更した以外はサンプル1と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液4を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、1250秒であった。
(インク受理層塗液4)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレRポリマーR−1130;クラレ社製)水溶液300部、55%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(ポリビニルアルコール保護コロイドタイプ)45.5部を混合し、固形分濃度16%のインク受理層塗液2を調製した。
<サンプル9の作製>
サンプル1のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液5に変更した以外はサンプル1と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液5を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、320秒であった。
(インク受理層塗液5)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液100部、30%ポリジアリルアミン系カチオン性染料定着剤水溶液33部、55%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(ポリビニルアルコール保護コロイドタイプ)36.4部を混合し、固形分濃度18.1%のインク受理層塗液5を調製した。
<サンプル10の作製>
サンプル3の光沢発現層塗液1を下記光沢発現層塗液2に変更した以外はサンプル3と同様にして作製した。
(光沢発現層塗液2)
気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、平均二次粒子径120nm、BET法による比表面積300m/g、分散度0.3)100部をホモジナイザーを用いて水480部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液200部を混合し、固形分濃度15.3%の光沢発現層塗液2を調整した。
<サンプル11の作製>
サンプル3のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液6に変更した以外はサンプル3と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液6を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、432秒であった。
(インク受理層塗液6)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレRポリマーR−1130;クラレ社製)水溶液200部、50%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(界面活性剤乳化重合タイプ)60部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液6を調製した。
<サンプル12の作製>
サンプル1のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液7に変更した以外はサンプル1と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液7を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、758秒であった。
(インク受理層塗液7)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレRポリマーR−1130;クラレ社製)水溶液200部、55%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(ポリビニルアルコール保護コロイドタイプ)54.6部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液7を調製した。
<サンプル13の作製>
サンプル1のインク受理層塗液1を下記インク受理層塗液8に変更した以外はサンプル1と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液8を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、306秒であった。
(インク受理層塗液8)
合成非晶質シリカ(平均粒子径4μm)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液150部、55%エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(ポリビニルアルコール保護コロイドタイプ)81.8部を混合し、固形分濃度19.2%のインク受理層塗液8を調製した。
<サンプル14の作製>
サンプル3の光沢発現層塗液1調製の際に、ポリエチレングリコール(重合度400)を3部添加し、光沢発現層塗液3とした以外はサンプル3と同様にして塗布、乾燥してサンプル14を得た。
<サンプル15の作製>
サンプル3の光沢発現層塗液1調製の際に、30%尿素水溶液16.7部を添加し、光沢発現層塗液4とした以外はサンプル3と同様にしてサンプル15を得た。
<サンプル16の作製>
サンプル3のインク受理層塗液3をインク受理層塗液8に変更し、且つ光沢発現層塗液1を光沢発現層塗液4に変更した以外はサンプル3と同様にしてサンプル16を得た。
<サンプル17の作製>
サンプル3の光沢発現層塗液1に27%塩基性ポリ水酸化アルミニウム(ピュラケムWT;理研グリーン株式会社製)を18.5部添加し、光沢発現層塗液5を調製した以外はサンプル3と同様にしてサンプル17を得た。
<サンプル18の作製>
サンプル1の紙基材でホウ酸を付与しない以外は、サンプル1と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液1を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、75秒であった。
<サンプル19の作製>
サンプル2の紙基材でホウ酸を付与しない以外は、サンプル2と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液2を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、40秒であった。
<サンプル20の作製>
サンプル3の紙基材でホウ酸を付与しない以外は、サンプル3と同様にして作製した。なお、インク受理層塗液3を塗工、乾燥後の透気抵抗度は、48秒であった。
上記のようにして作製した各種サンプルについて、表面光沢、インク吸収性、コックリングを以下のようにして評価した。その結果を表1に示す。
<表面光沢>
各サンプルの白紙部分においてJIS−Z8741に従って75度鏡面光沢度を測定した。
<インク吸収性評価>
セイコーエプソン(株)製「MC−10000(プリンタ設定:MC光沢紙、きれい)」で、インクジェット記録材料にブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色及び、ブラックインクを除く他の3色インクでの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、2cm×2cm四方で横一列に隙間なく並べて記録するという方法で、ベタ印字を行った。印字部の各色ベタ部及び境界部について目視評価で判定した。
A:各色ベタ部分にムラがなく、境界を接する各色がすっきりとした線で分けられており、一方の色が他方の色の側へ滲み出していない。
B:各色ベタ部分にムラがなく、各色の境界がはっきりした線ではないが識別でき、一方の色が他方の色の側へ滲み出していない。
C:2重色のいずれかのベタ部分に若干のムラがあるが、各色の境界がはっきりした線ではないが識別でき、一方の色が他方の色の側へ滲み出していない。
D:ベタ部分にムラがあり、各色の境界がぼやけており、一方の色が他方の色の側へ若干はみ出している。
E:各色の境界がわからず、隣接色への滲み出しが大きい。
ここで、A、Bがインク吸収性として良好であり、Cが実用限度、D、Eが使用不可能なレベルである。
<コックリング評価>
セイコーエプソン(株)製「MC−10000(プリンタ設定:MC光沢紙、きれい)」を用いて、ブルーのベタパターンを、5cm×17cmの大きさで記録するという方法で、ベタ印字を行い、印字部分のしわの状態を目視で判定した。
A:印字部分にしわの発生がほとんどなく、非常に良好。
B:印字部分にしわの発生が少なく、良好。
C:印字部分にしわの発生が多い。
ここで、Aがコックリングとして良好であり、Bが実用限度、Cが使用不可能なレベルである。
<折り割れ評価>
各白紙サンプルを、基材繊維の流れ方向に対して垂直方向で折り曲げた際の光沢発現層表面の状態を観察し、目視にて判定した。
A:折り曲げた部分に割れや塗層の欠落が全くなく、非常に良好。
B:折り曲げた部分の割れがほとんどなく、良好。
C:折り曲げた部分の塗層の欠落は発生しないものの、割れが観察される。
D:折り曲げた部分に割れが観察され、若干塗層が欠落する。
E:折り曲げた部分に塗層の割れが顕著に観察され、塗層の欠落が発生。
ここで、A〜Cが折り割れ強度として良好であり、Dが実用限度、Eが使用不可能なレベルである。
<塗層強度>
各白紙サンプル表面に、市販のセロハンテープを貼り付け、その後剥離し、その状態を観察、目視評価した。
A:塗層の剥離がまったく見られない。
B:塗層の一部がわずかに取られる。
C:塗層の一部が取られ、テープ表面に薄く残る。
D:塗層が完全に剥離し、テープに取られる。
ここで、A、Bが塗層強度として良好であり、Cが実用限度、Dが使用不可能なレベルである。
<発色性>
インク吸収性評価に用いた印刷画像を用いて、各色の発色性について目視評価した。
A:各色ともに非常に鮮やかな色再現性を有している。
B:2重色部の鮮やかさが若干落ちるものの、十分な色再現性を有している。
C:単色部は鮮やかに発色しているものの、2重色の鮮やかさが劣る。
D:各色とも発色が悪く、鮮やかさに欠ける。
ここで、A、Bが発色性として良好であり、Cが実用限度、Dが使用不可能なレベルである。
Figure 2005262871
表1中、木材パルプを主成分とする透気性の基材の少なくとも片面にインク受理層、光沢発現層の各塗液を順次、塗工・乾燥して形成されるインクジェット記録材料において、該基材が、ホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を0.1g/m以上1.5g/m以下含有し、該インク受理層が平均二次粒子径0.5μm以上の無機顔料と親水性バインダーを含有する層であり、該光沢発現層が無機超微粒子として平均二次粒子径0.5μm未満のアルミナ水和物を光沢発現層の乾燥固形分の75質量%以上、かつ親水性バインダーを含有するインクジェット記録材料であり、該基材の片面に該インク受理層を塗工・乾燥した後のJIS−P8117に従って測定した透気抵抗度が100秒以上6000秒以下であるサンプル1〜3、5、6、8、9、11〜17は、コックリングが少なく、かつ高いインク吸収性と発色性、良好な折り割れ強度と塗層強度を兼ね備えたインクジェット記録材料とすることができた。水性合成エマルジョンを含有していないサンプル1は、折り割れ強度が実用限度であるのに対し、水性合成エマルジョンを含有するサンプル群は良好な折り割れ特性を示した。中でもポリビニルアルコールを保護コロイドとして有している水性合成エマルジョンを使用したサンプル3、5、6,8、9、12〜17は塗層強度を高めつつ折り割れ適性を改善することが出来た。また、該水性合成エマルジョンが該無機顔料の乾燥固形分に対して30質量%以上70質量%以下、かつ該受理層中のバインダー樹脂成分総量の50質量%以上80質量%以下含有されているサンプル11〜13、光沢発現層に脆化防止剤を含有しているサンプル14,15、そしてその両方を兼ね備えたサンプル16は折り割れ適性が非常に良好で、インク吸収性、発色性およびコックリング適性も良好である。塩基性ポリ水酸化アルミニウムを添加したサンプル17においては、更なる発色性の向上を図ることが可能となった。
一方基材のホウ酸またはホウ酸塩含有量が0.1g/m未満で、インク受理層塗設後の透気抵抗度が100秒未満であるサンプル4は、コックリングが悪く、インク吸収性や発色性にも劣る。基材のホウ酸またはホウ酸塩含有量が1.5g/m以上で、インク受理層塗設後の透気抵抗度が6000秒を越えるサンプル7は、コックリングは良好であるが、折り割れ適性が悪く、インク吸収性も悪くなる。基材にホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を含有しないサンプル18〜20は、基材の伸縮を抑制する部位をインク受理層と基材の界面近傍に設けることができず、インク受理層及び光沢発現層の空隙が少ないためにコックリングやインク吸収性が非常に悪く、光沢も低い。また、サンプル10では、光沢発現層の無機超微粒子を気相法シリカに変更したことにより、光沢の低下と折り割れ適性の悪化が見られる。

Claims (8)

  1. 透気性の紙基材の少なくとも片面にインク受理層及び光沢発現層を順次有するインクジェット記録材料において、該基材が、ホウ酸またはホウ酸塩の一種以上を0.1g/m以上1.5g/m以下含有し、該インク受理層が平均二次粒子径0.5μm以上の無機顔料と親水性バインダーを含有する層であり、該光沢発現層が無機超微粒子として平均二次粒子径0.5μm未満のアルミナ水和物を光沢発現層の乾燥固形分の75質量%以上、かつ親水性バインダーを含有するインクジェット記録材料であり、該基材の片面に該インク受理層を塗工・乾燥した後のJIS−P8117に従って測定した透気抵抗度が100秒以上6000秒以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 該インク受理層が水性合成エマルジョンを含有し、該水性合成エマルジョンが該無機顔料の乾燥固形分に対して30質量%以上70質量%以下、かつ該受理層中のバインダー樹脂成分総量の50質量%以上80質量%以下含有されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料。
  3. 該水性合成エマルジョンが、保護コロイドとしてポリビニルアルコールを有しており、かつガラス転移点温度が60℃以下であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録材料。
  4. 該光沢発現層が脆化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録材料。
  5. 該脆化防止剤が、ポリエチレングリコールまたは尿素であることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録材料。
  6. 該脆化防止剤が、該無機超微粒子に対して5質量%以上、20質量%以下含有されていることを特徴とする請求項4または5記載のインクジェット記録材料。
  7. 該光沢発現層表面のJIS−Z8741による75度鏡面光沢が40%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のインクジェット記録材料。
  8. 該光沢発現層に塩基性ポリ水酸化アルミニウムを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のインクジェット記録材料。
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