JP3895625B2 - インクジェット用記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット用記録材料に関し、更に詳しくは、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性に優れ、かつ印字画像の室内保存性が改良されたインクジェット用記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク吸収層を設けてなる空隙型の記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同平10−193776号、同平10−203006号、同平10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報等には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが開示されている。この気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体上に気相法シリカやアルミナ水和物等を主体とするインク受容層が塗設された記録材料が提案されている。
【0005】
従来から一般的に用いられてきた紙支持体は、それ自体がインク吸収層としての役割を有していたが、前述したポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体は、紙支持体と違ってインクを吸収することができないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性を高めるためにインク受容層の空隙率を高める必要がある。従って、気相法シリカ等の塗布量を多くし、更に気相法シリカに対するバインダーの比率を低減する必要があった。
【0006】
しかしながらバインダー比率を低減すると亀裂等の表面欠陥が発生し易くなり、特に染料定着剤として一般に使用されている有機カチオン性ポリマーを使用した場合には、カチオン性ポリマーがシリカ粒子同士を凝集させ、塗布性の悪化、亀裂等の表面欠陥の発生、その結果として表面光沢の低下を引き起こすという問題があった。
【0007】
また、耐水性支持体上の気相法シリカのような無機微粒子を用いた高空隙率の多孔質記録材料は、印字後の保管中に印字画像が変色しやすいという問題を有している。即ち、光による変色や大気中の微量ガスによる変色が生じやすく、特に大気中の微量ガスによる変色はより重要な問題であった。
【0008】
インクジェット記録に用いられている水溶性インクは、染料として酸性染料や直接染料を含有し、湿潤剤やノズル目詰まり防止剤として一般に高沸点の極性有機溶剤を含有している。染料は乾燥状態よりも湿潤状態の方が分解しやすく、特に極性有機溶剤中で分解しやすい。紙支持体ではインク溶媒の大部分が紙支持体自身に吸収され、またインク溶媒が蒸発しやすいため、支持体上に染料定着能を有するインク受容層を有する場合、染料とインク溶媒が分離されやすいと考えられる。一方、耐水性支持体上に高空隙型インク受容層を設けた場合には、インク受容層にインクが留まり、インク溶剤は蒸発しにくく、特に高沸点有機溶剤はインク受容層中に残存しやすい。このことが、染料の褪色が起こりやすい一因と考えられる。
【0009】
特開昭61−177279号公報には含窒素複素環メルカプト系化合物を用いる事が記載され、特開平7−314882号公報にはジチオカルバミン酸、チオシアン酸等の化合物を、また特開平8−25796号公報にはヨード化合物とチオ尿素化合物等を組み合わせて、大気中の微量ガスによる変色を防止することが記載されている。しかし、画像保存性改良効果が十分でなかったり、白地の変色をもたらしたり、さらにはその化合物自体が毒性を有していたりして、十分満足できるものではなかった。
【0010】
特開2000−263928号公報には、耐水性支持体上の高空隙率インク受容層に、染料定着剤としてポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を使用することで耐光性を改良する提案が、特開2000−318307号公報には、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性定着剤とジシアンジアミド系重縮合物を使用することで画像の耐水性と耐光性を改良する提案がされているが、インク吸収性が低下したり、無機微粒子使用による室内での画像退色の低下を改良するには不十分であった。
【0011】
特開昭64−8085号、同平7−89222号、同平7−290817号、同2000−219706号公報には、紙支持体上のインク吸収性層に、耐光性を悪化させない耐水化剤として、特定のポリビニルアミン共重合物を使用する事が開示されている。しかし、インク溶剤の吸収は紙支持体が行い、これらのインク受容層はインク染料の定着が主目的であり、耐水性支持体を使用した場合の様にインク全体を受容するためのものではないため、上記説明の耐水性支持体上の高空隙型インク受容層で特に問題となる、表面欠陥や微量ガスによる褪色に関する記述はない。
【0012】
特開2000−309157号公報には、有機カチオン性ポリマーに替わる物質として特定の水溶性金属化合物の使用が開示されている。これらの金属化合物は染料の耐水性、表面亀裂の改善にはある程度の効果があるものの、上記画像褪色に関する改良効果はなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フォトライクな高光沢と高いインク吸収性を有し、室内保存性が改良されたインクジェット記録用材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について種々検討した結果、主として下記の手段により本発明の目的が達成された。
【0015】
(1)耐水性支持体上に平均一次粒径30nm以下の気相法シリカ、アルミナ及びアルミナ水和物から選ばれる無機微粒子を全固形分の50〜95質量%と、該無機微粒子に対して40質量%以下の親水性バインダーを含有するインク受容層を設けたインクジェット用記録材料において、該インク受容層に0.1〜10g/ m 2 のポリビニルアミン誘導体およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種と、前記の無機微粒子に対して0.1〜10質量%の水溶性多価金属化合物とを含有することを特徴とするインクジェット用記録材料。
【0016】
(2)前記ポリビニルアミン誘導体がビニルアミンとビニルアルコールの共重合体である前記(1)に記載のインクジェット用記録材料。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる耐水性支持体は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、および紙の少なくとも片面にポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂被覆紙が挙げられる。本発明に用いられる支持体の厚みは、約50〜300μm程度が好ましい。
【0020】
本発明において好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0021】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0022】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。ただし、原紙の密度は剛直性のためには1.10g/cm3以下、好ましくは0.6〜1.05g/cm3である。密度が小さすぎると樹脂被覆を行っても均一な表面平滑性が得られにくい。
【0023】
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0024】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0025】
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、ポリオレフィン樹脂の場合は、走行する原紙上に加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、そのおもて面または両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(おもて面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などに加工される。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に片面5〜50μmの厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。特に、樹脂被覆時に樹脂層表面を型付けされたクーリングロールに押圧することや樹脂被覆紙を型付けロールで後加工すること等により樹脂被覆紙のインク受容層を設ける面のJIS−B0601で規定されるカットオトフ値0.8mmでの中心線平均粗さを0.1〜5μm、好ましくは0.1〜4μmとすることで画像の経時ひび割れが良化される。樹脂被覆層表面が鏡面の場合よりも上記範囲の中心線平均粗さとすることでインク受容層と樹脂被覆層とが接する界面の面積が広くなるのでしみ込んだインクの溶剤が界面全体に広がりにくくなるために強度低下が少なくなるためと推測される。中心線平均粗さが5μmより大きいと手触りや印字画像の見栄えが低下する。
【0026】
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0027】
本発明のインク受容層に用いられる無機微粒子としては、平均一次粒径が30nm以下であり、特に気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が好ましい。
【0028】
合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数ミクロンから10ミクロン位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。
【0029】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジル、トクヤマ株式会社からQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0030】
本発明に特に好ましく用いられる気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは一次粒子の平均粒径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0031】
本発明のインク受容層に含有されるアルミナ、およびアルミナ水和物は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者の何れかを使用してもよいし併用してもよい。特に平均一次粒径が5〜30nmでアスペクト比2〜7の板状アルミナ水和物の使用により光沢性、印字濃度、およびインク吸収性が良好となる。
【0032】
本発明のアルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用出来る。
【0033】
本発明のアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0034】
本発明の気相法シリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物の平均一次粒径とは、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求め、平均した。平板状アルミナ水和物の平均厚さは、アルミナ水和物をフィルム上に塗布したシートの断裁面の観察より得られ、アルミナ水和物のアスペクト比は平均厚さに対する平均粒径の比で得られる。本発明の気相法シリカ、平板状アルミナ水和物等の二次粒子の平均粒径は希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
【0035】
本発明において、インク受容層で使用される平均一次粒径30nm以下の無機微粒子の固形分総量の範囲は8〜40g/m2であり、好ましくは10〜35g/m2である。8g/m2より少ないとインク吸収性に劣り、40g/m2より多いとインク受容層の強度が弱くなり、表面にひび割れが発生しやすくなる。
【0036】
また本発明において、無機微粒子の含有量は、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50〜95質量%であり、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは65〜90質量%である。以上の範囲とすることで、インク受容層の強度とインク吸収性が良好となる。
【0037】
本発明において、インク受容層が単層の場合と、2層以上の同一配合か異なった配合の層を設ける場合とがある。好ましくは支持体に近い層に気相法シリカを使用し、離れた層にアルミナ水和物を使用することでインク吸収性と光沢性に優れた記録材料が得られる。
【0038】
本発明において、インク受容層で無機微粒子とともに用いられる親水性バインダーとしては、公知の各種バインダーを用いることができるが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0039】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0040】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0041】
親水性バインダー量は、無機微粒子に対して40質量%以下、好ましくは35質量%以下であり、特に10〜30質量%が好ましい。このように親水性バインダーの比率を小さくすることによって、インク吸収性は向上するが、印字後の保存性、すなわち耐光性、耐ガス性が低下しやすく、本発明は、これらの性能を同時に満足させることを特徴とする。
【0042】
本発明は、上記親水性バインダーと共に架橋剤(硬膜剤)を用いることが好ましい。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸、ほう砂またはほう酸塩が好ましい。
【0043】
本発明で用いるポリビニルアミン誘導体とは、特開昭58−23809号、同昭64−8085号、同平4−11094号公報に例示されるようなポリマー化合物である。
【0044】
本発明のポリビニルアミン誘導体は、下記一般式(1)で示される構造単位を5モル%以上含有するポリマー化合物であり、単独重合物(ポリビニルアミン)でも、共重合物でも良い。但し、一般式(1)の構造単位が多くなると、塗布液の安定性が悪化する傾向にあるため、一般式(1)の構造単位が10〜30%であることが好ましい。共重合物の他のモノマー単位としては、N−ビニルアミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、アクリルアミド、炭素数1〜4のアルコールと(メタ)アクリル酸とからなる(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、アリルアミン、N−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン等を挙げることができる。特にビニルアルコールとの共重合物が好ましい。
【0045】
【化1】
Figure 0003895625
【0048】
また、これらの化合物は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸の塩になっていることが好ましく、特に塩酸塩が好ましい。
【0049】
これらポリマー化合物の分子量としては5千から50万が好ましく、特に1万から20万の範囲が好ましい。分子量が50万より大きいと粘度が高く塗布性が悪くなり、5千より小さいものでは耐水性や保存性改良等の本発明の効果が得られ難い。
【0050】
本発明のポリマー化合物のインク受容層中における単位面積当たりの含有量は、一般的には0.1g/m2以上である。0.1g/m2よりも少ないと、耐水性や保存性改良等の効果が得られにくい。添加量に上限は無いが、多すぎると膜面にひび割れが発生し表面光沢が低下したり、インク吸収性が悪化するので、一般的には10g/m2以下、好ましくは5g/m2以下である。
【0051】
これらの化合物は、公知の方法、例えば特開昭58−23809号、同昭64−8085号、同昭64−40694号、同平4−11094号、特開2000−219706号公報に記載の方法により合成する事が出来る。一般にはN−ビニルホルムアミドと酢酸ビニルやアクリロニトリル等の各種モノマーとの重合反応、それに続く加水分解反応によって合成することが可能である。ポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合体は、N−ビニルホルムアミドと酢酸ビニルの共重合体を加水分解することによって、ポリアミジン誘導体はN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの共重合体を加水分解することによって得ることができる。また、三菱化学(株)、ハイモ(株)等から市販品を入手することも可能である。
【0052】
本発明では、更に水溶性金属化合物を併用する事が好ましい。水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、チタン、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、塩化チタン、硫酸チタン、乳酸チタン、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0053】
本発明において、特に水溶性アルミニウム化合物あるいは周期表4A族元素を含む水溶性化合物が好ましい。水溶性アルミニウム化合物は、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
【0054】
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式3、4、または5で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0055】
[Al2(OH)nCl6-nm 一般式3
[Al(OH)3nAlCl3 一般式4
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式5
【0056】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0057】
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物は水溶性で有れば特に制限はないがチタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物が好ましい。例えばチタンを含む水溶性化合物としては塩化チタン、硫酸チタン、乳酸チタンが、ジルコニウムを含む水溶性化合物としては酢酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が知られている。これらの化合物はpHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1重量%以上溶解することを目安とする。
【0058】
本発明において、上記水溶性の金属化合物のインク受容層中の含有量は、無機微粒子に対して0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。
【0059】
本発明におけるインク受容層には印字画像のインク滲みを抑えるためにカチオン性ポリマーを含有させても良い。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上が好ましく、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0060】
これらのカチオン性ポリマーの使用量はインク受容層中の無機微粒子に対して0.5〜10質量%、好ましくは1〜7質量%である。使用量が少ないとインクの滲み改良効果が得にくく、多いと印字画像の耐光性が低下する。
【0061】
本発明において、インク受容層の膜面pHが2〜6であることが好ましく、特に3〜5.5が好ましい。膜面pHを好ましい範囲とすることで更に保存性が向上する。インク受容層の膜面pHは、J.TAPPI紙パルプ試験方法N0.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pHである。
【0062】
インク受容層のpHは、塗布液の段階で調整するのが好ましいが、塗布液のpHと塗布乾燥された状態での膜面pHとは必ずしも一致しないため、塗布液と膜面pHとの関係を予め実験等によって求めておくことが所定の膜面pHにするために必要である。塗布液のpHは、酸またはアルカリを適当に組み合わせて行われる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸が用いられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、または弱アルカリとして、酢酸ナトリウム等の弱酸のアルカリ金属塩が用いられる。
【0063】
本発明のインク受容層には、更に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
【0064】
本発明において、インク受容層に界面活性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプでもよく、また低分子のものでも高分子のものでもよい。1種もしくは2種以上界面活性剤をインク吸収層塗液中に添加するが、2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用する場合は、アニオン系のものとカチオン系のものとを組み合わせて用いることは好ましくない。界面活性剤の添加量はインク受容層を構成するバインダー100gに対して0.001〜5gが好ましく、より好ましくは0.01〜3gである。
【0065】
本発明において、インク受容層には更に、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0066】
本発明では、耐傷性を改良する目的で、インク受容層上にコロイダルシリカを主体とした保護層をインク吸収性を低下させない程度、固形分で5g/m2程度以下で設けても良い。コロイダルシリカは、例えばケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。コロイダルシリカの一般的な一次粒子の平均粒径は5〜100nm程度であり、平均粒径が10〜500nm程度の二次粒子を形成しているほうがインク吸収性からは好ましい。市販の球状のものとして日産化学社製、スノーテックス20等、触媒化成工業社製、カタロイドUSB等が挙げられ、鎖状のものとして日産化学社製、スノーテックスUP等が挙げられ、パールネックレス状のものとして日産化学社製、スノーテックスPS−M等が使用出来る。保護層にも本発明のポリビニルアミン誘導体、ポリアミジン誘導体を含有させてよい。また、インク受容層に本発明のポリビニルアミン誘導体、ポリアミジン誘導体を添加しないで保護層の塗布組成物のみに添加して、インク受容層上に保護層を塗布してもよい。
【0067】
本発明において、インク受容層の塗布方法、および保護層、裏塗り層を設ける場合の塗布方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部とは固形分質量部を意味する。
【0069】
実施例1
支持体として、LBKP(50部)とLBSP(50部)のパルプ配合からなる170g/m2の基紙の表面に低密度ポリエチレン(70部)と高密度ポリエチレン(20部)と酸化チタン(10部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布し、裏面に高密度ポリエチレン(50部)と低密度ポリエチレン(50部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布してなる樹脂被覆紙を用意した。
【0070】
上記支持体上に、下記組成のインク受容層用塗液を調整し、気相法シリカの塗布量が固形分で20g/m2となるようにスライドビード方式で塗布、15℃で30秒間、40℃で3分間乾燥して実施例1のインクジェット用記録材料を作成した。尚、いずれの記録材料もインク受容層の膜面pHが4.2になるように調整した。
【0071】
<インク受容層の組成>
気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m2/g) 100部
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ポリビニルアルコール 24部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 3部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWANOL AM-2150、日本サーファクタント製)
ポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物 6部
(ビニルアミン単位15%、平均分子量5〜10万)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
(理研グリーン株製、ピュラケムWT)
【0072】
実施例2
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物をビニルアミン単位25%、平均分子量5〜10万のものに代えた以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット用記録材料を得た。
【0073】
実施例3
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物をビニルアミン単位12%、平均分子量約10万のものに代えた以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット用記録材料を得た。
【0074】
実施例4
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物に代えてポリビニルアミン(ビニルアミン単位100%、平均分子量約7万)を使用した以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット用記録材料を得た。
【0076】
実施例5
実施例1でインク受容層の組成の塩基性ポリ水酸化アルミニウムに代えて乳酸チタン(商品名:TC−301、(株)マツモト交商製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット用記録材料を得た。
【0077】
実施例6
実施例1でインク受容層の組成の塩基性ポリ水酸化アルミニウムに代えてヒドロキシ塩化ジルコニル(商品名:ZC−2、第一稀元素化学工業(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェット用記録材料を得た。
【0078】
参考例1
実施例1でインク受容層の組成の塩基性ポリ水酸化アルミニウムを抜いた以外は実施例1と同様にして参考例1のインクジェット用記録材料を得た。
【0079】
実施例7
実施例1でインク受容層を下記組成の2層、および下記組成の保護層をインク受容層の気相法シリカ、およびアルミナ水和物の塗布量を固形分で18g/m2、および5g/m2とし、保護層の塗布量は固形分で3g/m2となるようにスライドビードコーターで同時に塗布した以外は実施例1と同様にして実施例7のインクジェット用記録材料を得た。
【0080】
<インク受容層下層組成>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径15nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 5部
ポリビニルアルコール 15部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWANOL AM-2150、日本サーファクタント製)
【0081】
<インク受容層上層組成>
アルミナ水和物 100部
(平均一次粒径14nm、アスペクト比5の平板状粒子)
硝酸 1部
ポリビニルアルコール 15部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物 10部
(ビニルアミン単位15%、平均分子量5〜10万)
両性界面活性剤 0.5部
(商品名:SWANOL AM-2150、日本サーファクタント製)
【0082】
<保護層組成>
コロイダルシリカ 60部
(日産化学社製、スノーテックスOL−40、平均一次粒径45nm)
コロイダルシリカ 40部
(日産化学社製、スノーテックスOZL、平均一次粒径80nm)
ポリビニルアルコール 5部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 2部
ポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物 10部
(ビニルアミン単位15%、平均分子量5〜10万)
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWANOL AM-2150、日本サーファクタント製)
【0083】
比較例1
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物及び塩基性ポリ水酸化アルミニウムを抜いた以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット用記録材料を得た。
【0084】
比較例2
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物を抜いた以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット用記録材料を得た。
【0085】
比較例3
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物に代えてジシアンジアミド系樹脂(商品名:ジェットフィックス20、里田化工社製)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット用記録材料を得た。
【0086】
比較例4
実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン−ビニルアルコール共重合物に代えて2級アミン塩(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例4のインクジェット用記録材料を得た。
【0087】
比較例5
実施例1で樹脂被覆紙支持体を上質紙(三菱製紙(株)製、金菱、157g/m2)に代えた以外は実施例1と同様にして比較例5のインクジェット用記録材料を得た。
【0088】
得られた各々のインクジェット記録材料について、白紙部光沢性、インク吸収性、印字後の保存性(耐光性及び耐ガス性)を評価した。その結果を表1に示す。
【0089】
<白紙部光沢性>
記録材料の印字前の白紙部光沢感を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
◎:カラー写真並の高い光沢感が有る。
○:高い光沢感はあるが、◎に比べやや劣る。
△:アート、コート紙並の光沢感が有る。
×:上質紙並の沈んだ光沢感が有る。
【0090】
<インク吸収性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−770C)を用いて、シアン、マゼンタ、イエローをそれぞれベタ印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:全く転写しない。
○:やや転写するが実使用可。
△:転写し実使用困難。
×:大部分が転写し実使用不可。
【0091】
<耐光性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−770C)を用いてシアン、マゼンタ、イエローのインクでそれぞれベタ印字を行い、透明フィルムで密閉し、アトラス社製サンテストCPS光退色試験機にて600W/m2で30時間照射した後、印字部の濃度を測定し、画像残存率(照射後濃度/照射前の濃度)を求め、各色の中で最も残存率が低いものを表示した。
【0092】
<耐ガス性>
上記耐光性試験と同様に印字後、暗室内壁面に室温で100日間曝露した後、印字部の濃度を測定し、画像残存率(曝露後濃度/曝露前の濃度)を求め、各色画像の内、最も残存率が低いものを表示した。
【0093】
【表1】
Figure 0003895625
【0094】
耐傷性として記録材料表面同士を重ねて擦った場合の傷の発生のしにくさの評価では実施例9の記録材料が最も優れていた。
【0095】
上記結果から明らかなように実施例のインクジェット用記録材料は良好な白紙部光沢性、インク吸収性、耐光性、および耐ガス性を有している。参考例1は実施例1で水溶性金属化合物を抜いた場合であるが、やや光沢性が低下し、高湿条件での画像のニジミもやや低下した。また、耐光性に関しても水溶性多価金属化合物と組合せた方が良好な結果を示した。実施例7は2層のインク受容層上にポリビニルアミン誘導体を含有した保護層を設けた場合であるが、実施例1よりも単位面積当たりのポリビニルアミン誘導体の量は少ないが良好な耐光性、および耐ガス性を示し、白紙部光沢性は他の実施例、比較例よりも優れていた。実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン誘導体を抜いた比較例2は、耐光性、および耐ガス性が大きく低下した。更に水溶性多価金属化合物を抜いた比較例1は、耐光性および耐ガス性はほとんど変わらなかったが、インク吸収性が低下し、高湿条件での画像ニジミが大きく悪化した。実施例1でインク受容層の組成のポリビニルアミン誘導体をジシアンジアミド系樹脂に代えた比較例3は、耐ガス性は良好であったが、インク吸収性が低下し、耐光性が大きく低下した。また、若干表面光沢が低下しており、シリカ微粒子の凝集が発生していると考えられる。2級アミン塩に変えた比較例4も、比較例3と同様の結果であった。比較例5は支持体を吸水性支持体に変えた場合であるが、表面の光沢感がなく、印字部の発色が他のサンプルより劣り、また印字後の用紙に波打ち(コックリング)が発生した。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、高いインク吸収性、高光沢でかつ画像の室内保存性の改良されたフォトライクなインクジェット記録材料が得られる。

Claims (1)

  1. 耐水性支持体上に平均一次粒径30nm以下の気相法シリカ、アルミナ及びアルミナ水和物から選ばれる無機微粒子を全固形分の50〜95質量%と、該無機微粒子に対して40質量%以下の親水性バインダーを含有するインク受容層を設けたインクジェット用記録材料において、該インク受容層に0.1〜10g/ m 2 のポリビニルアミン誘導体およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種と、前記の無機微粒子に対して0.1〜10質量%の水溶性多価金属化合物とを含有することを特徴とするインクジェット用記録材料。
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