JP4338911B2 - インクジェット記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録材料に関し、更に詳しくは、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性に優れ、かつ印字画像の耐光性と耐ガス性が良好なインクジェット記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク吸収層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
また、特開昭62−174183号、特開平2−276670号、特開平5−32037号、特開平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
【0005】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同平10−193776号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報等公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが開示されている。この気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体上に気相法シリカを主体とするインク受容層が塗設された記録材料が提案されている。
【0006】
従来から一般的に用いられてきた紙支持体は、それ自体がインク吸収層としての役割を有していたが、前述したポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体は、紙支持体と違ってインクを吸収することができないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要であり、インク受容層の空隙率を高める必要がある。従って、気相法シリカの塗布量を多くし、更に、気相法シリカに対するバインダーの比率を低減する必要があった。
【0007】
しかしながら耐水性支持体に気相法シリカのような無機微粒子を用いたインク吸収層を設けた多孔質記録材料は、印字後の保管中に印字画像が変色しやすいという問題を有している。即ち、光による変色や大気中の微量ガスによる変色が生じやすく、特に大気中の微量ガスによる変色はより重要な問題であった。
【0008】
特開昭61−177279号公報には含窒素複素環メルカプト系化合物を用いる事が記載され、特開平7−314882号公報にはジチオカルバミン酸、チオシアン酸等の化合物を、また特開平8−25796号公報にはヨード化合物とチオ尿素化合物等を組み合わせて、大気中の微量ガスによる変色を防止することが記載されている。しかし、画像保存性改良効果が十分でなかったり、白地の変色をもたらしたり、インク吸収性が悪化したり、さらにはその化合物自体が毒性を有していたりして、十分満足できるものではなかった。
【0009】
特開平1−115677号公報には、ファイル等の接触物からの添加剤をインク受容層のシリカ粒子が吸着して黄変するという問題をチオエーテル化合物の使用によって解決することが記載されているが、大気中の微量ガスによる変色については示されていない。
【0010】
特開2000−263928号公報には、非吸水性支持体上にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物単独か含イオウ系化合物等と合わせて含有した多孔質のインク吸収層を設けることにより耐光性を改良する提案がなされている。しかしながら、耐ガス性への影響についての記載が無く、2層以上のインク吸収層を設け、層構成を特定することでの耐光性と耐ガス性の両方を改良することについては記載されていない。
【0011】
特開2000−263920号公報にはインクの吸収性とインクの滲みを改良するのに複数のインク受容層の下層の親水性を低くすることで解決することが記載されているが、保存性の改良については記載されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フォトライクの高光沢と高いインク吸収性を有し、印字画像の耐光性と耐ガス性が良好なインクジェット記録材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について種々検討した結果、以下により解決されることを見出した。
【0014】
(1)耐水性支持体上に少なくとも2層の塗布層を積層したインクジェット記録材料において、支持体に近い塗布層(A)がカルバミド系化合物とバインダーを含有し、支持体から遠い塗布層(B)が無機微粒子、及び親水性バインダーを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【0015】
(2)前記塗布層Aが無機微粒子を含有し、該無機微粒子のBET法による比表面積をXm2/g、塗布層Aの全固形分に対する無機微粒子の含有率をY重量%とすると、XY/100の値が160以下である前記(1)のインクジェット記録材料。
【0016】
(3)前記塗布層Aのバインダーが塗布層Bの親水性バインダーよりも親水性が低いことを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット記録材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録材料は、耐水性支持体から遠い上層の塗布層Bが無機微粒子、及び親水性バインダーを含有しており、形成された空隙にインクの主たる量を吸収させるものであり、高いインク吸収性を発現させるためには空隙容量を高める必要から比較的多量の無機微粒子を塗布する。
【0019】
本発明の塗布層Bに用いられる無機微粒子としては、平均粒径が1μm以下のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等公知の各種微粒子が挙げられるが、特に合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が好ましく、気相法シリカがより好ましい。塗布層Bには、無機微粒子を8g/m2以上含有するのが好ましく、10〜35g/m2の範囲で用いるのがより好ましい。この範囲より少ないと、インク吸収性が劣る。親水性バインダー量は、無機微粒子に対して40重量%以下、好ましくは35重量%以下であり、特に8〜30重量%が好ましい。このように親水性バインダーの比率を小さくすることによって、インク吸収性は向上するが、印字後の保存性、特に耐ガス性が低下しやすく、本発明は、これらの性能を同時に満足させることを特徴とする。
【0020】
本発明において、塗布層Bの無機微粒子の含有量は、インク吸収性と強度からは塗布層Bの全固形分の65〜92重量%、好ましくは70〜92重量%、より好ましくは75〜90重量%含有される。
【0021】
合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数ミクロンから10ミクロン位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。
【0022】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジル、トクヤマ株式会社からQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0023】
本発明に特に好ましく用いられる気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、20nm以下が好ましい。更に好ましくは一次粒子の平均粒径が3〜20nm(特に3〜15nm)でかつBET法による比表面積が90m2/g以上(好ましくは120〜500m2/g)のものを用いることである。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0024】
アルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用出来る。
【0025】
アルミナ水和物はAl2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0026】
塗布層Aには無機微粒子を含有させなくてもよいが、インクの溶剤吸収性を向上させるために塗布層Bで使用のものと同様の無機微粒子を含有させてもよい。本発明の上記含イオウ有機化合物等の化合物の耐ガス性等の劣化防止からは、塗布層Aに使用する無機微粒子のBET法による比表面積をXm2/g、塗布層Aの全固形分に対する含有率をY重量%としたときのXY/100の値は160以下、好ましくは120以下であり、より好ましくは100以下である。
【0027】
本発明において、塗布層Bで無機微粒子とともに用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール類、ポリグリセリンエステル類、セルロース類、デンプン類、ゼラチン類、カゼイン類等を用いることが出来るが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0028】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0029】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0030】
塗布層Aに用いられるバインダーは、塗布層Bで使用されるものと同様の親水性バインダー、あるいはラテックス類が使用されるが、塗布層Bの親水性バインダーよりも親水性が低いバインダーを使用することで耐光性が改良されるので好ましい。インクジェット用インクに含まれる有機溶剤が選択的に塗布層Aに吸着されるのでインクの染料や着色顔料の耐光性が向上すると推測される。使用されるラテックス類の例としては、スチレン−ブタジェン系、アクリル系、スチレン−酢酸ビニル系等のポリマーが挙げられる。親水性の程度は各バインダーを加熱、乾燥によりフィルム状にし、表面に水を滴下し、直後の接触角を測定することで評価され、接触角の小さい方がより親水性が高いと判定される。特にケン化度が80%以下のポリビニルアルコールやラテックス類が好ましく使用される。
【0031】
本発明の塗布層A、あるいはBで使用される親水性バインダーと共に架橋剤(硬膜剤)を用いることが好ましい。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸またはほう酸塩が好ましい。
【0032】
本発明は、塗布層Bに無機微粒子、特に気相法シリカを用いた場合でも、チオエーテル化合物、チオウレア系化合物、ジスルフィド系化合物、メルカプト化合物等の含イオウ有機化合物、糖類、カルバジド系化合物及びジシアンジアミド系樹脂の少なくとも1つを耐水性支持体に近い塗布層Aに含有させることで、更には塗布層Bの親水性バインダーよりも塗布層Aのバインダーの親水性を低くすることで印字後の保存性を著しく改良するものである。塗布層が3層以上の場合には上記化合物の含有量が最も高い塗布層Aを支持体に最も近い最下層に設けるほうが好ましい。塗布層が単層の場合で上記化合物を添加した場合には、活性が高くガスを吸着しやすい無機微粒子を多く含有させる必要から上記化合物が劣化しやすく、良好な耐ガス性効果を得るために添加量を増やす必要からインク吸収性が低下しやすい。本発明では2層以上の塗布層を設け、下層に上記化合物を含有させることにより高いインク吸収性を維持しながら上記化合物の劣化を押さえ、印字画像の耐ガス性を向上させることが可能となる。尚、塗布層各層の化合物量の評価は断面の電子顕微鏡観察でのEDAX測定や一定厚み毎に削って成分分析を行うことで評価される。
【0033】
本発明の塗布層Aに主として用いられるチオエーテル系化合物には、硫黄原子の両側に芳香族基が結合した芳香族系チオエーテル化合物(下記の化3〜化5)、硫黄原子を挟んだ両端にアルキル基(好ましくは炭素数4以上)を有する脂肪族系チオエーテル化合物(下記の化6〜化7)等がある。
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
本発明では特に親水性基を有する脂肪族チオエーテル化合物が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化8】
【0041】
一般式(3)において、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよく、結合して環を形成してもよい。またR1とR2の少なくとも一方は、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基等の親水性基で置換されたアルキル基である。R3は置換されていてもよく、場合によっては酸素原子を有するアルキレン基を表す。mは0〜10の整数を表し、mが1以上の場合R3に結合する少なくとも1つの硫黄原子はスルホニル基であってもよい。
【0042】
一般式(3)の特に好ましい化合物は、R1及びR2の両方が置換基として上述したアミノ基、アミド基、アンモニウム基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基の親水性基を有するアルキル基の化合物である。以下に一般式(3)の化合物の具体例(下記の化9、化10)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
本発明では、チオウレア系化合物が前記一般式(1)で表される構造を分子中に1個以上有する化合物が好ましい。具体的には、チオウレア、N−メチルチオウレア、N−アセチルチオウレア、1,3−ジフェニルチオウレア、テトラメチルチオウレア、グアニルチオウレア、4−メチルチオセミカルバジド、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2(3H)ベンズイミダゾールチオン、6−ヒドロキシ−1−フェニル−3,4−ジヒドロピリミジン−2(1H)−チオン、1−アリル−2−チオウレア、1,3−ジメチル−2−チオウレア、1,3−ジエチル−2−チオウレア、エチレンチオウレア、トリメチルチオウレア、1−カルボキシメチル−2−チオヒダントイン、チオセミカルバジド等が挙げられる。
【0046】
本発明では、ジスルフィド系化合物が前記一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種であり、特にDL−α−リポ酸、4,4’−ジチオジモルフォリン、4,4’−ジチオジブタン酸が好ましい。
【0047】
本発明で用いられるメルカプト化合物は、チオサリチル酸系等や含窒素複素環化合物が好ましく、例えば、2−メルカプトピリジン、3−ヒドロキシ−2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトピリミジン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0048】
本発明で用いられるスルフィン酸化合物、チオスルホン酸化合物、チオスルフィン酸化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
本発明の糖類としては、例えば、D−グルコース、D−リボース、マルトース、セロビオース、メリビオース、ゲンチオビオース、D−グルコサミン、D−キシロース、D−ガラクトース、ラクトース、ビシアノース、ツラノース、ゲンチアノース、ルチノース、L−キシロース、L−ソルボース、D−マニトール、トレハロース、D−フルクトース、スクロース、ラフィノース、スタキオース等の単糖類、少糖類が挙げられる。少糖類はオリゴ糖とも呼ばれ、二糖から十五糖までの重合度の糖質を言う。耐光性、耐ガス性改良の効果からより好ましくはD−グルコース、ラクトース、D−リボース、マルトース、トレハロース等の還元基を有する還元糖が選択される。
【0053】
本発明のカルバミド系化合物としては、各種セミカルバジド系化合物、及びカルボヒドラジド系化合物が好ましく用いられる。
【0054】
本発明に用いられるジシアンジアミド系樹脂としては、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物等が挙げられ、分子量は10,000以下、好ましくは5,000以下であることが好ましい。これらの樹脂は例えば日華化学社からネオフィックスRP−70Y、里田化工社からジェットフィックス20、三洋化成社からサンフィックス70、日本カーバイド社からニカフロックD1000、里田化工社からジェットフィックス105の商品名で入手することができる。
【0055】
上記含イオウ有機化合物、糖類、カルバジド系化合物及びジシアンジアミド系樹脂の記録材料の塗布層Aの単位面積当たりの含有量は、一般的には0.1〜8g/m2であり、0.2〜5g/m2がより好ましい。上記化合物が0.1g/m2より少ないと耐ガス性等の効果が得られにくく、8g/m2より多くても耐ガス性等の更なる向上は少なく、コストも高くなるのであまり有利ではない。上記化合物のうちで異種の化合物を組み合わせて用いることで同量を単独で用いるよりも画像保存性に有効な期間を延ばすことが可能となり好ましい。特に含イオウ有機化合物と糖類、含イオウ有機化合物とカルバジド系化合物、及び含イオウ有機化合物とジシアンジアミド系樹脂の組み合わせが好ましい。塗布層Aには上記の化合物を全固形分の15重量%以上の濃度で含有させるほうが画像保存性向上効果が大きく好ましい。
【0056】
塗布層Bには上記の含イオウ有機化合物等の化合物を添加しなくてもよいが、インク吸収性を低下させない程度で、塗布層Aに含有される量よりも少ない量を添加してもよい。一般的には0.3g/m2以下であり、0.1〜0.3g/m2が好ましい。
【0057】
本発明における塗布層Bにはインクの色剤定着性を向上させるためにカチオン性化合物を含有させるのが好ましい。カチオン性化合物を含有する層と含イオウ有機化合物等の上記化合物を含有する層に分けるほうが特に耐光性からは好ましい。
【0058】
カチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上が好ましく、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0059】
これらのカチオン性ポリマーの使用量は無機微粒子に対して1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%である。
【0060】
本発明に用いられる水溶性金属化合物として、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0061】
本発明において、特に水溶性アルミニウム化合物あるいは周期表4A族元素を含む水溶性化合物が好ましい。水溶性アルミニウム化合物は、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
【0062】
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式4、5又は6で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0063】
[Al2(OH)nCl6-n]m 一般式4
[Al(OH)3]nAlCl3 一般式5
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式6
【0064】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0065】
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物は水溶性で有れば特に制限はないがチタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物が好ましい。例えばチタンを含む水溶性化合物としては塩化チタン、硫酸チタンが、ジルコニウムを含む水溶性化合物としては酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が知られている。これらの化合物はpHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1重量%以上溶解することを目安とする。
【0066】
本発明において、上記水溶性の金属化合物の塗布層B中の含有量は、無機微粒子に対して0.1〜10重量%が好ましく、更に好ましくは1〜5重量%である。
【0067】
上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用するのが好ましい。
【0068】
本発明において、耐水性支持体上に設ける塗布層A、塗布層B等の塗布層の膜面pHが2〜6であることが好ましく、特に3〜5が好ましい。上記した塗布層Aに含イオウ有機化合物、糖類、カルバジド系化合物及びジシアンジアミド系樹脂の少なくとも1種を用い、膜面pHを好ましい範囲とすることによって更に保存性が向上する。塗布層の膜面pHは、J.TAPPI紙パルプ試験方法N0.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pHである。
【0069】
塗布層A、塗布層B等のpHは、塗布液の段階で調整するのが好ましいが、塗布液のpHと塗布乾燥された状態での膜面pHとは必ずしも一致しないため、塗布液と膜面pHとの関係を予め実験等によって求めておくことが所定の膜面pHにするために必要である。塗布液のpHは、酸またはアルカリを適当に組み合わせて行われる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸が用いられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、または弱アルカリとして、酢酸ナトリウム等の弱酸のアルカリ金属塩が用いられる。
【0070】
本発明の塗布層A、塗布層Bには、更に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01重量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50重量%の範囲で用いることができる。
【0071】
本発明において、塗布層A、塗布層Bには界面活性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプでもよく、また低分子のものでも高分子のものでもよい。1種もしくは2種以上界面活性剤をインク吸収層塗液中に添加するが、2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用する場合は、アニオン系のものとカチオン系のものとを組み合わせて用いることは好ましくない。界面活性剤の添加量は塗布層A、塗布層Bを構成するバインダー100gに対して0.001〜5gが好ましく、より好ましくは0.01〜3gである。
【0072】
本発明において、塗布層A、塗布Bには更に、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0073】
本発明の塗布層Aの固形分塗布量は一般には0.1〜12g/m2であり、好ましくは0.5〜10g/m2である。塗布層Bの固形分塗布量は5〜40g/m2であり、好ましくは8〜35g/m2である。
【0074】
本発明に用いられる耐水性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙の両面にポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂被覆紙が挙げられる。本発明に用いられる耐水性支持体の厚みは、約50〜300μm程度が好ましい。
【0075】
本発明において好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0076】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0077】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
【0078】
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0079】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0080】
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などを有し、特に光沢面が優位に用いられる。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。
【0081】
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0082】
本発明において、塗布層A,塗布層B等の塗布層の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。好ましくは、塗布層A、塗布層B等を設ける場合には乾燥工程無しでほぼ同時に塗布出来るスライドリップ方式、カーテン方式が上層の成分が下層へ殆ど浸透しないので好ましい。
【0083】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部とは固形分重量部を意味する。
【0084】
参考例1
支持体として、LBKP(50部)とLBSP(50部)のパルプ配合からなる120g/m2の基紙の表面に低密度ポリエチレン(70部)と高密度ポリエチレン(20部)と酸化チタン(10部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布し、裏面に高密度ポリエチレン(50部)と低密度ポリエチレン(50部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布してなる樹脂被覆紙を用意した。
【0085】
上記支持体上に、下記組成の塗布層A用塗液、塗布層B用塗液を調整し、気相法シリカの塗布量が固形分で塗布層Aが8g/m2、塗布層Bが18g/m2となるようにスライドビード方式で塗布、乾燥して参考例1のインクジェット記録材料を作成した。尚、いずれの記録材料も塗布層の膜面pHが4.2になるように調整した。塗布層Aで使用のポリビニルアルコールは塗布層Bのポリビニルアルコールよりも親水性の低いものであった。
【0086】
<塗布層Aの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径20nm、BET比表面積90m2/g) 100部
ポリビニルアルコール 30部
(商品名:PVA424H、(株)クラレ社製、ケン化度79%、平均重合度2400)
ほう酸 5部
化9の(7)の化合物 36部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0087】
<塗布層Bの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET比表面積300m2/g) 100部
ポリビニルアルコール 18部
(商品名:PVA235、(株)クラレ社製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 5部
アルキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物 4部
(4級化度80%、平均分子量7000)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物 2部
(理研グリーン社製、ピュラケムWT)
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0088】
参考例2
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化3の化合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例2のインクジェット記録材料を得た。
【0089】
参考例3
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化4の化合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例3のインクジェット記録材料を得た。
【0090】
参考例4
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化5の化合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例4のインクジェット記録材料を得た。
【0091】
参考例5
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化6の化合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例5のインクジェット記録材料を得た。
【0092】
参考例6
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化7の化合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例6のインクジェット記録材料を得た。
【0093】
参考例7
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化10の(23)化合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例7のインクジェット記録材料を得た。
【0094】
参考例8
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えてN−メチルチオウレアを使用した以外は参考例1と同様にして参考例8のインクジェット記録材料を得た。
【0095】
参考例9
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えてDL−α−リポ酸を使用した以外は参考例1と同様にして参考例9のインクジェット記録材料を得た。
【0096】
参考例10
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて2−メルカプトベンズイミダゾールを使用した以外は参考例1と同様にして参考例10のインクジェット記録材料を得た。
【0097】
参考例11
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化11のA−1を使用した以外は参考例1と同様にして参考例11のインクジェット記録材料を得た。
【0098】
参考例12
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化12のB−4を使用した以外は参考例1と同様にして参考例12のインクジェット記録材料を得た。
【0099】
参考例13
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化13のC−1を使用した以外は参考例1と同様にして参考例13のインクジェット記録材料を得た。
【0100】
参考例14
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えてD−グルコースを使用した以外は参考例1と同様にして参考例14のインクジェット記録材料を得た。
【0101】
参考例15
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えてジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例15のインクジェット記録材料を得た。
【0102】
参考例16
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えてジシアンジアミドホルマリン縮合物を使用した以外は参考例1と同様にして参考例16のインクジェット記録材料を得た。
【0103】
実施例1
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて1,1−ジメチルセミカルバジドを使用した以外は参考例1と同様にして実施例1のインクジェット記録材料を得た。
【0104】
参考例17
参考例1で塗布層Bを下記組成の塗液に代えてアルミナ水和物が固形で20g/m2になるようにした以外は参考例1と同様に塗布層A、Bをスライドビード方式で塗布、乾燥させて参考例17のインクジェット記録材料を得た。
【0105】
<塗布層B組成>
アルミナ水和物(一次粒子の平均粒径15nm、アスペクト比6) 100部
ポリビニルアルコール 15部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
化9の(7)の化合物 15部
【0106】
参考例18
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物単独に代えてD−グルコースとの1:1の併用とした以外は参考例1と同様にして参考例18のインクジェット記録材料を得た。
【0107】
参考例19
参考例1で塗布層Aの組成で気相法シリカを代え、ポリビニルアルコールを20部とした下記の組成とした以外は参考例1と同様にして参考例19のインクジェット記録材料を得た。
【0108】
<塗布層Aの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径12nm、BET比表面積200m2/g) 100部
ポリビニルアルコール 20部
(商品名:PVA424H、(株)クラレ社製、ケン化度79%、平均重合度2400)
ほう酸 5部
化9の(7)の化合物 36部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0109】
参考例20
参考例1で塗布層Aの組成を気相法シリカを抜いた下記の組成とし、固形分で6g/m2塗布し、塗布層Bの気相法シリカの固形分塗布量を26g/m2とした以外は参考例1と同様にして参考例20のインクジェット記録材料を得た。
【0110】
<塗布層Aの組成>
ポリビニルアルコール 36部
(商品名:PVA424H、(株)クラレ社製、ケン化度79%、平均重合度2400)
化9の(7)の化合物 36部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0111】
参考例21
参考例1で塗布層Bをアルキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物と塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物を抜いた組成とした以外は参考例1と同様にして参考例21のインクジェット記録材料を得た。
【0112】
参考例22
参考例1で塗布層Aの組成のポリビニルアルコールを代えた下記組成にした以外は参考例1と同様にして参考例22のインクジェット記録材料を得た。
【0113】
<塗布層Aの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径20nm、BET比表面積90m2/g) 100部
ポリビニルアルコール 30部
(商品名:PVA235、(株)クラレ社製、ケン化度88%、平均重合度3500))
ほう酸 5部
化9の(7)の化合物 36部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0114】
比較例1
参考例1の塗布層Aで化9の(7)の化合物を抜き、ポリビニルアルコールを代えた下記組成とし、塗布層Bを下記組成とした以外は参考例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
【0115】
<塗布層Aの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径20nm、BET比表面積90m2/g) 100部
ポリビニルアルコール 30部
(商品名:PVA235、(株)クラレ社製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 5部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0116】
<塗布層Bの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径7nm) 100部
ポリビニルアルコール 20部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 5部
化9の(7)の化合物 30部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント製)
【0117】
比較例2
参考例1で塗布層Aの化9の(7)の化合物に代えて化14の化合物を使用し、ポリビニルアルコールを代えた下記組成とした以外は参考例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
【0118】
<塗布層Aの組成>
気相法シリカ(平均一次粒径20nm、BET比表面積90m2/g) 100部
ポリビニルアルコール 36部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 5部
化14の化合物 36部
両性界面活性剤 0.3部
(商品名:SWAM AM-2150、日本サーファクタント社製)
【0119】
比較例3
比較例2で塗布層Aの化14の化合物に代えて化15の化合物を使用した以外は比較例2と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。
【0120】
比較例4
比較例2で塗布層Aの化14の化合物に代えて化16の化合物を使用した以外は比較例2と同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。
【0121】
比較例5
比較例1で塗布層Bの化9の(7)の化合物を抜いた以外は比較例1と同様にして比較例5のインクジェット記録材料を得た。
【0122】
比較例6
参考例1の塗布層Bの組成に化9の(7)の化合物を30部添加した組成の塗布層B単層により気相法シリカとして固形分で26g/m2になるように塗布、乾燥して比較例6のインクジェット記録材料を得た。
【0123】
【化14】
【0124】
【化15】
【0125】
【化16】
【0126】
実施例1、参考例1〜22、比較例1〜6で得られた各々のインクジェット記録材料について、3週間の室内での常温放置後、インク吸収性、印字後の保存性(耐光性及び耐ガス性)、及び光沢度を評価した。その結果を表1に示す。
【0127】
<インク吸収性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−770C)を用いて、C,M,Yをそれぞれ100%で印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:やや転写するが実使用可。
×:転写し実使用不可。
【0128】
<耐光性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−770C)を用いてCYMKのインクでそれぞれベタ印字を行い、アトラス社製サンテストCPS光退色試験機にて600W/m2で30時間照射した後、印字部の濃度を測定し、画像残存率{(照射後濃度/照射前の濃度)×100}を求め、CMYK画像の内、最も残存率が低いデータにより下記の基準で評価した。
◎:85%以上
○:80%〜85%未満
△:75%〜80%未満
×:75%未満
【0129】
<耐ガス性>
上記耐光性試験と同様に印字後、暗室内壁面に室温で150日間曝露した後、印字部の濃度を測定し、画像残存率{(曝露後濃度/曝露前の濃度)×100}を求め、CMYK画像の内、最も残存率が低いデータにより下記の基準で評価した。
◎:85%以上
○:80%〜85%未満
△:75%〜80%未満
×:75%未満
【0130】
<光沢度>
JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って測定した。
【0131】
【表1】
【0132】
光沢度は、いずれの記録材料も65〜75%で、高い光沢を示した。
【0133】
上記結果から明らかなように塗布層Aに本発明のカルバジド系化合物を用いることによって、高いインク吸収性を維持しつつ画像保存性が改良される。特に含イオウ有機化合物と糖類を組み合わせた参考例18は優れた画像保存性を有しており、耐ガス性は200日間暴露での評価で参考例1が残存率75%に対して80%以上を維持していた。参考例19は塗布層AにBET比表面積が200m2/gの気相法シリカを使用し、ポリビニルアルコールの部数を下げた場合であるが、XY/100の値が124と高く、耐ガス性が実施例よりも低下した。参考例20は実施例1で塗布層Aが気相法シリカを含有しない場合であるが、インク吸収性、耐ガス性は参考例1より優れていたが、耐光性がやや低下した。参考例21は塗布層Bのカチオン性化合物を抜いた組成とした場合であるが、耐ガス性の画像残存率の数値はやや参考例1よりは低下したが良好であった。参考例22は塗布層Aのポリビニルアルコールを塗布層Bで使用のものに代えた場合であるが、参考例1よりも耐光性が低下したが良好であった。耐光性が塗布層Bだけに本発明の化合物を添加した比較例1では化合物の劣化のためか耐ガス性が参考例1よりも大きく低下し、インク吸収性も低下した。市販の保存性改良剤を用いた比較例2〜4は特に耐ガス性に劣り、保存性改良材を入れなかった比較例5は耐光性、耐ガス性が大幅に劣った。単層の塗布層にチオエーテル系化合物を添加した比較例6は参考例1よりも耐光性、耐ガス性が大きく劣った。即ち本発明は、インク吸収性と画像保存性が同時に改良され、かつフォトライクな高光沢が得られる。
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、高いインク吸収性、高光沢でかつ画像の耐光性と耐ガス性が良好なフォトライクなインクジェット記録材料が得られる。
Claims (3)
- 耐水性支持体上に少なくとも2層の塗布層を積層したインクジェット記録材料において、該耐水性支持体に近い塗布層(A)がカルバミド系化合物とバインダーを含有し、耐水性支持体から遠い塗布層(B)が無機微粒子、及び親水性バインダーを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
- 前記塗布層Aが無機微粒子を含有し、該無機微粒子のBET法による比表面積をXm2/g、塗布層Aの全固形分に対する無機微粒子の含有率をY重量%とすると、XY/100の値が160以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 前記塗布層Aのバインダーが塗布層Bの親水性バインダーよりも親水性が低いことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録材料。
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