JP2010036455A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に無機微粒子及び水溶性金属化合物を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体に、インクジェット法によりインクを吐出して画像を記録する画像記録工程と、インクジェット記録媒体に記録された少なくとも前記画像を乾燥させる乾燥工程とを有している。インクジェット記録媒体は、支持体上に該支持体側から順に、無機微粒子及び含窒素有機カチオンポリマーを含む第1のインク受容層と、無機微粒子及び水溶性金属化合物を含む第2のインク受容層とを有し、前記第2のインク受容層よりも前記第1のインク受容層における、含窒素有機カチオンポリマーの含有量が多く、かつ前記水溶性金属化合物の含有量が少ない記録媒体が好ましい。
【選択図】なし
Description
<1> 支持体上に無機微粒子及び水溶性金属化合物(好ましくは水溶性アルミニウム化合物)を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体に、インクジェット法によりインクを吐出して画像を記録する画像記録工程と、インクジェット記録媒体に記録された少なくとも前記画像を乾燥させる乾燥工程と、を有するインクジェット記録方法である。
<2> 前記<1>に記載のインクジェット記録方法において、前記画像記録工程は、支持体上に該支持体側から順に、無機微粒子及び含窒素有機カチオンポリマーを含む第1のインク受容層と、無機微粒子及び水溶性金属化合物を含む第2のインク受容層とを有し、前記第2のインク受容層よりも前記第1のインク受容層における含窒素有機カチオンポリマーの含有量が多くかつ水溶性金属化合物(好ましくは水溶性アルミニウム化合物)の含有量が少ないインクジェット記録媒体に画像を記録する場合が好ましい。
<4> 前記乾燥工程は、誘電加熱により乾燥を行なうことを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<5> 前記乾燥工程は、赤外線加熱により乾燥を行なうことを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<7> 前記乾燥工程は、前記画像記録工程でのインクの吐出終了から20秒以内に乾燥を開始することを特徴とする前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<8> 前記インクの最大総吐出量が、10〜36ml/m2であることを特徴とする前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<10> 前記第2のインク受容層の前記第1のインク受容層に対する含窒素有機カチオンポリマーの含有量比が0〜0.8であり、前記第1のインク受容層の前記第2のインク受容層に対する水溶性アルミニウム化合物の含有量比が0〜0.8であることを特徴とする前記<2>〜前記<9>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<11> 前記含窒素有機カチオンポリマーが、カチオン性ポリウレタン樹脂の粒子であることを特徴とする前記<2>〜前記<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<13> 前記硫黄系化合物が、チオエーテル系化合物又はスルホキシド系化合物であることを特徴とする前記<12>に記載のインクジェット記録方法である。
<14> 前記第2のインク受容層の前記第1のインク受容層に対する前記硫黄系化合物の含有量比が0〜0.6であることを特徴とする前記<12>又は前記<13>に記載のインクジェット記録方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録媒体にインクジェット法でインクを吐出して画像を記録する画像記録工程と画像を乾燥させる乾燥工程とを少なくとも設けて構成されており、画像記録工程において、支持体上に無機微粒子及び水溶性金属化合物を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体にインクを吐出して画像を記録し、乾燥工程において、インクジェット記録媒体に記録された少なくとも画像を乾燥させるようにしたものである。
[画像記録工程]
画像記録工程は、支持体上に無機微粒子及び水溶性金属化合物を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体(以下、「本発明におけるインクジェット記録媒体」ということがある。)にインクジェット法でインクを吐出して画像を記録する。
本工程においては、本発明におけるインクジェット記録媒体として、支持体上に該支持体側から順に、無機微粒子及び含窒素有機カチオンポリマーを含む第1のインク受容層と、無機微粒子及び水溶性金属化合物(好ましくは水溶性アルミニウム化合物)を含む第2のインク受容層とを有し、前記第2のインク受容層よりも前記第1のインク受容層における、含窒素有機カチオンポリマーの含有量が多く、かつ前記水溶性金属化合物の含有量が少ない記録媒体にインクを吐出して画像を記録する場合が好ましい。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
最大総吐出量=1ドットの最大吐出量[ml/m2]×インク総量[%]
〔インク総量:各色インク〔例:Y(イエロー),M(マセ゛ンタ),C(シアン),K(フ゛ラック)〕の各々の吐出設定量(A%)のうち各々のインクの実吐出量(a%)の合計〕
例えば、前記インク総量は、装置におけるYMCK4色のそれぞれの吐出設定量(A%)が100%である場合(4色での設定値は最大400%)、例えばグレー像を記録する際の実吐出量(a%)が例えばY=M=C=K=30%であるときには120%となり、このときの最大総吐出量は、1ドットの最大吐出量を例えば20ml/m2とすると20×1.2=24ml/m2となる。
次に、本発明におけるインクジェット記録媒体について説明する。
本発明におけるインクジェット記録媒体は、支持体と、該支持体上に設けられた無機微粒子及び水溶性金属化合物を含有するインク受容層とを備えている。本発明におけるインクジェット記録媒体は、このインク受容層以外に更に、他のインク受容層を有して2層以上の積層構造に構成することができる。
第2の層よりも第1の層における含窒素有機カチオンポリマーの含有量が多いように積層されると、高い画像濃度と耐オゾン性が得られる。また、第2の層よりも第1の層における水溶性アルミニウム化合物の含有量が少ないように積層されると、ひび割れが発生する等が回避されて面状が良好になり、さらに耐オゾン性が向上する。
また、インク受容層中の水溶性アルミニウム化合物の存在分布も、同様にして確認することができる。
含窒素有機カチオンポリマーを上記含有量比で含有するインク受容層は、例えば、後述のインクジェット記録媒体の製造方法における含窒素有機カチオンポリマーの含有量比〔第2の塗布液中における含有量/第1の塗布液中における含有量〕を後述のとおりに構成することで形成することができる。
また、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、第2の層における含窒素有機カチオンポリマー/無機微粒子の比率よりも、第1の層における含窒素有機カチオンポリマー/無機微粒子の比率が大きいことが好ましい。
水溶性アルミニウム化合物を上記含有量比で含有するインク受容層は、例えば、後述の本発明のインクジェット記録媒体の製造方法において、水溶性アルミニウム化合物の含有量比〔第1の塗布液中における含有量/第2の塗布液中における含有量〕を後述のとおりに構成することで形成することができる。
さらに、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、前記第1の層と前記第2の層とを含むインク受容層全体における、水溶性アルミニウム化合物の含有量としては、インク受容層全体の全固形分に対し、1〜15質量%が好ましく、1.5〜12質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
また、本発明における第1の層及び第2の層の層厚は、それぞれ5〜25μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。前記コロイダルシリカ層の層厚は、インク吸収性及び光沢の観点から、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。
空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ポアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
(無機微粒子)
本発明におけるインク受容層(第1のインク受容層及び第2のインク受容層を含む。)は、無機微粒子の少なくとも1種を含有する。無機微粒子は、インク受容層を形成する際に多孔構造を形成し、インクの吸収性能を向上させる役割を有する。
ここで、微粒子のインク受容層中における固形分含有量とは、インク受容層を構成する成分中の水を除く成分に基づいて算出される量である。
無機微粒子は、1次粒子のまま用いても又は2次粒子を形成した状態で用いてもよい。
無機微粒子の平均粒径としては、平均一次粒径で2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。更には、平均一次粒径が30nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が、その比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
本発明におけるインク受容層(支持体側から第1及び第2のインク受容層を有する場合の少なくとも第2のインク受容層)は、水溶性金属化合物の少なくとも1種を含有する。
水溶性金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。
本発明においては、支持体側から順に第1のインク受容層及び第2のインク受容層を少なくとも有する場合の第2のインク受容層に水溶性アルミニウム化合物の少なくとも1種を含有する形態が好ましい。この場合、水溶性アルミニウム化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1のインク受容層に含有されていてもよい。
[Al2(OH)nCl6−n]m ・・・一般式a
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・・一般式b
Aln(OH)mCl(3n−m) 〔0<m<3n〕 ・・・一般式c
これらの水溶性多価金属化合物は2種以上を併用してもよい。本発明において、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1重量%以上溶解することを意味する。
本発明におけるインク受容層は、含窒素有機カチオンポリマーを含有することが好ましく、特にインク受容層を2層以上の積層構造に構成する場合、前記第1のインク受容層は、含窒素有機カチオンポリマーを少なくとも1種含有する。含窒素有機カチオンポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、前記第2のインク受容層に含有されていてもよい。含窒素有機カチオンポリマーを含むことにより、記録画像の滲みを抑制し、シリカを分散させることができる。
カチオン性ポリウレタンの市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス650」「F−8564D」「F−8570D」、日華化学(株)製、「ネオフィックスIJ−150」などを挙げることができる。
市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「シャロールDC902P」を挙げることができる。
前記水性エマルションとしては、共役ジエン系共重合体エマルション;アクリル系重合体エマルション;スチレン−アクリル系重合体エマルション;ビニル系重合体エマルション;ウレタン系エマルション等の樹脂粒子にカチオン基を有する化合物を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にてエマルション粒子表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合しエマルション粒子表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの等が挙げられる。
これらのカチオン性エマルションの中でも、主成分がウレタン系エマルション(ウレタン系樹脂粒子)であるカチオン性ポリウレタンエマルション(カチオン性ポリウレタン樹脂微粒子)が好ましい。
本発明におけるインク受容層は、水溶性樹脂の少なくとも1種を含有することが好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号、特開昭58−181687号、特開平10−259213号、特開2001−72711号、特開2002−103805号、特開2000−63427号、特開2002−308928号、特開2001−205919号、特開2002−264489号等に記載されたものなどが挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の[0011]〜[0012]に記載の化合物、特開2001−205919号公報、特開2002−264489号公報に記載の化合物なども挙げられる。
なお、透明性を保持する観点からは、無機微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x:y)〕を最適化することで、インク受容層の膜構造及び膜強度を、さらに向上させることが可能である。
インク受容層中におけるPB比(x:y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
特に、インク受容層の上側半分のx/y比が、下側半分のx/y比以上(上側半分と下側半分でPB比が等しいか、又は下側半分の方がバインダーリッチ)であることが好ましく、上側半分と下側半分のPB比が等しいことが特に好ましい。
本発明におけるインク受容層は、色濃度を高め、耐オゾン性をより向上させる観点から、硫黄系化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
硫黄系化合物としては、チオエーテル系化合物、チオウレア系化合物、ジスルフィド系化合物、スルフィン酸系化合物、チオシアン酸系化合物、硫黄含有複素環式化合物、及びスルホキシド系化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
チオエーテル系化合物は、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、分子中に、チオエーテル基を1個以上含むものであればよい。
チオエーテル系化合物は炭素原子数が2以上のものが好ましく、4以上のものが更に好ましい。
チオエーテル系化合物は、硫黄原子、炭素原子、水素原子の他に、更に孤立電子対を含む原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子)を含むことが好ましい。
チオエーテル系化合物としては、例えば、次の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
R1−(S−R3)m−S−R2 ・・・一般式(1)
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
チオウレア系化合物としては、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、「>N−C(=S)−N<」で表される構造を分子中に1個以上有する化合物が挙げられる。
ジスルフィド系化合物としては、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、例えば次の一般式(2)で表される化合物が好ましく、特にDL−α−リポ酸、4,4’−ジチオジモルフォリン、4,4’−ジチオジブタン酸が好ましい。
R1−S−S−R2 ・・・一般式(2)
スルフィン酸系化合物は、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、分子内にスルフィン酸骨格を1個以上含むものであればよい。
本発明に用いられるスルフィン酸系化合物としては、次の一般式(3)で表される化合物が好ましい。
R−SO2M ・・・一般式(3)
スルフィン酸系化合物の具体例を次に示す。
チオシアン酸系化合物としては、チオシアン酸メチル、チオシアン酸エチル、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム等が挙げられる。
硫黄含有複素環式化合物としては、複素環を構成する原子の一つとして硫黄原子を含む化合物、複素環置換メルカプト化合物及び複素環置換メルカプト化合物のメルカプト基がアルキル基、アリール基、アシル基、スルホニル基などで置換された化合物が挙げられ、この内、次の一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Mは、水素原子、アンモニウムイオン、又は金属原子を表す。また、Xを含んで構成される5〜7員環を含む基は他の構成要素と縮合して縮合環を形成していてもよい。
スルホキシド系化合物は、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、分子中にスルホキシド基を1個以上含むものであればよい。
スルホキシド系化合物は、炭素原子数が2以上のものが好ましく、4以上のものが更に好ましい。
スルホキシド系化合物は、スルホキシド基、炭素原子、水素原子の他に、更に、孤立電子対を含む原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子)を含むことが好ましい。
具体的な化合物を以下に示す。
すなわち、インク受容層中の硫黄系化合物の含有量比〔第2の層における含有量/第1の層における含有量〕が、1.0未満であることが好ましく、0〜0.6がより好ましく、0(すなわち、第2の層が硫黄系化合物を含まない形態)が特に好ましい。さらに好ましくは、画像濃度及び耐オゾン性の点で、硫黄系化合物の含有量比〔第2の層における含有量/第1の層における含有量〕が0〜0.6であって、含窒素有機カチオンポリマーの含有量比〔第2の層における含有量/第1の層における含有量〕が0〜0.8である。
より好ましくは、上記同様の理由から、インク受容層中の硫黄系化合物がチオエーテル系化合物又はスルホキシド系化合物であって、支持体側から第1のインク受容層及び第2のインク受容層を有する場合において硫黄系化合物の含有量比〔第2の層における含有量/第1の層における含有量〕が0〜0.6であって、含窒素有機カチオンポリマーがカチオン性ウレタン及び4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーから選ばれる少なくとも1種であって、含窒素有機カチオンポリマーの含有量比〔第2の層における含有量/第1の層における含有量〕が0〜0.8である。
一方、記録された画像の濃度をより高く保つ観点からは、支持体側から第1の層及び第2の層を有する場合の第2の層における硫黄系化合物の含有量が、該第2の層の全固形分に対して0〜5質量%であるのが好ましく、0〜3質量%であるのがより好ましく、0質量%(すなわち、第2の層に硫黄系化合物が含まれない形態)であるのが特に好ましい。
さらに、耐オゾン性をより向上させる観点及び画像の濃度をより高く保つ観点からは、支持体側から第1の層及び第2の層を有する場合の第2の層と第1の層とを合わせたインク受容層全体における、硫黄系化合物の含有量としては、インク受容層全体の全固形分に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、1.5〜3質量%が特に好ましい。
本発明におけるインク受容層は、耐オゾン性をより向上させる観点からは、マグネシウム塩を少なくとも1種含有することが好ましい。
マグネシウム塩としては、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物が挙げられる。
中でも、塩化マグネシウム六水和物が好ましい。
本発明におけるインクジェット記録媒体が最上層としてコロイダルシリカ層を有する場合、用いるコロイダルシリカの平均一次粒径は、10nm〜200nmが好ましく、50nm〜150nmがより好ましい。また、コロイダルシリカは、アニオン性、ノニオン性が好ましい。特にアニオン性が好ましい。含有量としては、0.01g/m2〜5g/m2が好ましい。特に0.05g/m2〜2g/m2が好ましい。
インク受容層は、既述の水溶性樹脂を架橋する観点から、架橋剤を少なくとも1種含有することが好ましい。インク受容層は、特に無機微粒子と水溶性樹脂とを併用し、更にこの架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N'−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等を用いることができる。
上記の架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本発明におけるインク受容層は、上記含窒素有機カチオンポリマー、マグネシウム塩、及び水溶性多価金属塩以外の他の媒染剤や、各種界面活性剤等、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、特開2005−14593号公報中の段落番号0088〜0117に記載されている成分や、特開2006−321176号公報中の段落番号0138〜0155に記載されている成分等を、適宜選択して用いることができる。
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上70質量%以下が好ましい。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録媒体は、インク受容層に加えて、さらにインク溶媒吸収層、中間層、保護層等を有していてもよい。また、支持体上には、前記インク受容層と支持体との間の接着性を高め、電気抵抗値を適切に調整する等の目的で、下塗層を設けてもよい。
OHP等で用いる場合であって、前記インク受容層を支持体の片面のみに設ける場合は、その反対側の表面、あるいはその両面に、光透過性を高める目的で反射防止膜を設けることもできる。
また、インク受容層として、支持体側から順に第1のインク受容層及び第2のインク受容層を有する場合は、下記第1又は第2の形態の方法により作製することができる。
〜第1の形態〜
インクジェット記録媒体の製造方法の第1の形態は、支持体上に該支持体側から順に、少なくとも、無機微粒子と含窒素有機カチオンポリマーとを含有する第1の塗布液と、無機微粒子と水溶性アルミニウム化合物とを含有する第2の塗布液と、を重層塗布して塗布層を形成する工程と、形成された塗布層に、(1)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布すると同時、(2)少なくとも前記第1の塗布液と前記第2の塗布液とを塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程と、を有し、前記塗布層が架橋硬化されてなり、含窒素有機カチオンポリマーを支持体から遠い側の第2のインク受容層よりも支持体に近い側の第1のインク受容層に多く含み、水溶性アルミニウム化合物を支持体に近い側の第1のインク受容層よりも支持体から遠い側の第2のインク受容層に多く含むように構成された2層以上の積層構造のインク受容層を形成する形態である。
インクジェット記録媒体の製造方法の第2の形態は、支持体上に該支持体側から順に、少なくとも、無機微粒子及び含窒素有機カチオンポリマーを含有する第1の塗布液と、無機微粒子及び水溶性アルミニウム化合物を含有する第2の塗布液と、を重層塗布して塗布層を形成する工程と、形成された塗布層を、前記塗布時の第1の塗布液の温度及び前記塗布時の第2の塗布液の温度のいずれか低い方に対し5℃以上低下するように冷却する工程と、冷却された塗布層を乾燥させる工程と、を有し、含窒素有機カチオンポリマーを支持体から遠い側の第2のインク受容層よりも支持体に近い側の第1のインク受容層に多く含み、水溶性アルミニウム化合物を支持体に近い側の第1のインク受容層よりも支持体から遠い側の第2のインク受容層に多く含むように構成された2層以上の積層構造のインク受容層を形成する形態である。
塗布層形成工程においては、更に必要に応じて、第2の塗布液上にその他の塗布液を塗布してもよい。また、各塗布液の間には、バリアー層塗布液(中間層塗布液)を介在させてもよい。
同時重層塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等、公知の塗布装置を用いて行なうことができる。
逐次塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布装置を用いて行うことができる。
第1の塗布液の湿分塗布量としては、50〜200ml/m2が好ましく、75〜150ml/m2がより好ましい。また、第1の塗布液の固形分塗布量としては、5〜25g/m2が好ましく、10〜18g/m2がより好ましい。
第2の塗布液の湿分塗布量としては、50〜200ml/m2が好ましく、75〜150ml/m2がより好ましい。また、第2の塗布液の固形分塗布量としては、5〜25g/m2が好ましく、10〜18g/m2がより好ましい。
その他の塗布液として、例えば、コロイダルシリカを含有する塗布液を用いる場合、該塗布の湿分塗布量としては、10〜150ml/m2が好ましく、20〜100 ml/m2がより好ましい。また、該塗布液の固形分塗布量としては、0.01〜10g/m2が好ましく、0.05〜5g/m2がより好ましい。
(第1の塗布液)
第1の塗布液は、無機微粒子の少なくとも1種と含窒素有機カチオンポリマーの少なくとも1種とを含有する。第1の塗布液の無機微粒子の詳細については、インク受容層中の無機微粒子として既述した通りである。また、第1の塗布液中の無機微粒子の含有率としては、特に制限はなく、第1の塗布液の全固形分に対して50〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。
なお、本発明において、第1の塗布液中の全固形分とは、第1の塗布液から水を除いた全成分をさす。他の液についても同様である。
硫黄系化合物、水溶性樹脂、架橋剤、媒染剤、水溶性多価金属塩等の各成分の詳細については、前述の<インク受容層>の項で既述した通りであり、好ましい形態も同様である。分散剤については後述する。
少なくとも無機微粒子と含窒素有機カチオンポリマーとを含有する第1の塗布液は、例えば、以下のようにして調製できる。すなわち、無機微粒子(好ましくは気相法シリカ微粒子)と分散剤とを水中に添加して(例えば水中の無機微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(例えば硼酸)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば無機微粒子の1/3程度の質量のPVAとなるように)、及び含窒素有機カチオンポリマーを加え、更に水溶性多価金属塩(例えば、塩基性ポリ水酸化アルミニウム)を加えて、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。なお、水溶性多価金属塩は、塗布直前にインライン混合により加えてもよい。
また、上記の分散には、液液衝突型分散機(例えば、スギノマシン社製アルティマイザー)を用いることもできる。
得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
上記の無機微粒子と分散剤とを混合した後、該混合液を、分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なうという点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
第2の塗布液は、無機微粒子の少なくとも1種と水溶性アルミニウム化合物の少なくとも1種とを含む。第2の塗布液の無機微粒子の詳細については、インク受容層中の無機微粒子として既述した通りである。また、第2の塗布液中の無機微粒子の含有率としては、特に制限はなく、第2の塗布液の全固形分に対して50〜85質量%であることが好ましく、55〜70質量%であることがより好ましい。
さらに本発明における第2の塗布液が含窒素有機カチオンポリマーとして、カチオン性ポリウレタン、4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーから選ばれる少なくとも1種(以下、「特定含窒素有機カチオンポリマー」ということがある)を含む場合、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、前記含有量比は0〜0.7が好ましく、0〜0.4がより好ましく、0(すなわち、第2の塗布液が特定含窒素有機カチオンポリマーを含まない形態)が特に好ましい。
硫黄系化合物、水溶性樹脂、媒染剤、界面活性剤、水溶性多価金属塩等の各成分の詳細については、前述の<インク受容層>の項で既述した通りであり、好ましい形態も同様である。また、分散剤については、前述の第1の塗布液の説明で述べた通りであり、好ましい範囲も同様である。さらに、第2の塗布液は、前述の第1の塗布液と同様の方法により調製できる。
以下、必要に応じて用いられることがあるその他の塗布液について説明する。
その他の塗布液は、コロイダルシリカを含有することが好ましい。コロイダルシリカを含有するその他の塗布液を、前記第2の塗布液の上に更に塗布することで、前述のインク受容層中の最上層としてコロイダルシリカ層を形成することができる。これにより、形成されたインク受容層の光沢度をより向上させることができる。コロイダルシリカについては、前述の<インク受容層>の項で既述した通りであり、好ましい範囲も同様である。
その他の塗布液は、例えば、コロイダルシリカをイオン交換水に添加し、混合、撹拌することにより調製できる。
前記第1の形態は、前記塗布層形成工程で形成された塗布層に、
(1)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布すると同時、
(2)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、
のいずれかのときに、塩基性化合物を含む液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程(以下、「硬化工程」ということがある。)を有する。
又は、第1の塗布液を塗布した後、塗布された第1の塗布液上に、第2の塗布液と「塩基性化合物を含む液」とを同時塗布(以下、「同時重層塗布」ともいう)してもよい。同時塗布(同時重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等の公知の塗布装置を用いて行うことができる。
前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液(並びに必要に応じてその他の塗布液)を、支持体側からこの順となるように、同時塗布(同時重層塗布)又は1層ずつ塗布して塗布層を形成した後、形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、(i)該塗布層上に更に「塩基性化合物を含む液」を塗布する方法、(ii)スプレー等により「塩基性化合物を含む液」を噴霧する方法、(iii)前記塗布層が形成された支持体を「塩基性化合物を含む液」中に浸漬する方法、が挙げられる。
次に、硬化工程における「塩基性化合物を含む液」について説明する。
〜塩基性化合物〜
「塩基性化合物を含む液」は、塩基性化合物の少なくとも1種を含有する。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
上記の塩基性化合物以外に、該塩基性化合物と共に他の塩基性物質及び/又はその塩を併用することもできる。他の塩基性物質としては、例えば、アンモニアや、エチルアミン、ポリアリルアミン等の第一アミン類、ジメチルアミン等の第二アミン類、N−エチル−N−メチルブチルアミン等の第三アミン類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、等が挙げられる。
「塩基性化合物を含む液」は、金属化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。金属化合物としては、塩基性下で安定なものを制限なく使用でき、前述の水溶性多価金属塩や、金属錯体化合物、無機オリゴマー、又は無機ポリマーのいずれであってもよい。例えば、ジルコニウム化合物や、特開2005−14593号公報中の段落番号[0100]〜[0101]に無機媒染剤として列挙した化合物が好適である。上記の金属錯体化合物としては、日本化学会編「化学総説 No.32(1981年)」に記載の金属錯体、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordinantion Chemistry Review)」、第84巻、85〜277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載の、ルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体が使用可能である。
さらに、「塩基性化合物を含む液」は、必要に応じて架橋剤、他の媒染剤成分を含有することができる。
「塩基性化合物を含む液」は、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進する。pHは、7.1以上が好ましく、より好ましくはpH8.0以上であり、特に好ましくはpH9.0以上である。前記pHが7.1以上であると、第1の塗布液及び/又は第2の塗布液に含まれることがある水溶性樹脂の架橋反応をより進めることができ、ブロンジングやインク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。
前記第2の形態は、前記塗布層形成工程で形成された塗布層を、前記塗布時の第1の塗布液の温度及び前記塗布時の第2の塗布液の温度のいずれか低い方に対し5℃以上低下するように冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう)と、冷却された塗布層を乾燥してインク受容層を形成する工程(以下、「乾燥工程」ともいう)と、を有する。
冷却工程においては、0〜10℃低下するように冷却することが好ましく、0〜5℃以上低下するように冷却することがより好ましい。
ここで、塗布層の温度は、膜面の温度を測定することにより測定する。
前記第1の形態及び前記第2の形態において、支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。
インクとしては、顔料を着色剤として含む顔料インク、あるいは染料を着色剤として含む染料インクのいずれも使用可能であるが、前記本発明におけるインクジェット記録媒体との関係、具体的には支持体に近いインク受容層に含窒素有機カチオンポリマーを多く含有することから、染料インクが好ましい。染料がインク受容層の支持体に近い層まで浸透することで、より効果的に滲みの発生を抑制することができる。
G3、R31、R32は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホン酸基、又は複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
R31とR35、あるいはR35とR36が結合して5乃至6員環を形成してもよい。
なお、A31、R31、R32、R35、R36及びG3の少なくとも1つは、スルホン酸基を有し、対イオンとしてLi+又は4級アンモニウムイオンを有する。
一般式(M)で表される水溶性染料のうち、特に好ましい具体例を遊離の酸の構造で以下に示す。但し、塩として用いることが好ましい。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
これらの顔料は、分散剤又は界面活性剤を用いて水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加することができる。分散剤は、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
その他の添加剤としては、例えば、ホウ素化合物、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。
これらのうち、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、乾燥防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。乾燥防止剤は、インク中に10〜50質量%の範囲で含有されることが好ましい。
これらは、インク中に5〜30質量%の範囲で含有すると通常は充分な効果が得られ、画像の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
前記イエロー染料としては、特に制限はないが、例えば、特開2007−70573号公報の段落[0025]〜[0040]等に記載のイエロー染料を用いることができる。また、シアン染料としては、特に制限はないが、例えば、特開2007−70753号公報の段落[0083]〜[0090]等に記載のシアン染料を用いることができる。
乾燥工程は、前記画像記録工程でインクジェット記録媒体に記録された少なくとも画像を乾燥させる。インク中に含まれて付与されたインク溶媒はインク受容層中を抜けやすいため、記録後に乾燥処理を施すことで色変わりを抑えた高品位の画像を得ることができる。
マイクロ波加熱は、マイクロ波と被加熱物の相互作用により被加熱物の内部から熱を生じさせて液成分を蒸発させることをいい、例えばマイクロ波発生器を使用して行なえる。具体な例として、特許第2979393号に記載のマイクロ波乾燥手段や、特許第3302177号に記載の、マグネトロンで発生させたマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段、等を挙げることができる。
ここで、インクの吐出終了とは、インクジェットヘッドのノズルから噴出したインク滴が最後にインク受容層に着滴したときをいう。
≪インクジェット記録媒体の作製≫
<支持体の作製>
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し、20時間保持した。その後、この分散液に(5)ポリビニルアルコール溶解液、(6)スーパーフレックス650を30℃で加え、塗布液を調製した。
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)・・・8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水・・・53.3部
(3)シャロールDC−902P(51.5質量%水溶液、第一工業製薬(株)製;分散剤)・・・0.78部
(4)ZA−30(第一稀元素化学工業(株)製;酢酸ジルコニウム)・・・0.48部
(5)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液・・・31.2部
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)・・・2.2部
・イオン交換水・・・28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株)製)・・・ 0.7部
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製)・・・0.1部
(6)スーパーフレックス650(第一工業製薬(株)製;含窒素有機カチオンポリマーエマルション)・・・1.1部
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、該オモテ面に、以下のようにして、前記塗布液をエクストルージョンダイコーターにて、塗布液温度を38℃として塗布し、塗布層を形成した。具体的には、塗布は、前記塗布液を212g/m2とし、下記インライン液を6.6g/m2の速度でインライン混合した後、塗布した。
(1)アルファイン83(大明化学工業(株)製;ポリ塩化アルミニウム)・・・2.0部
(2)イオン交換水・・・7.8部
(3)ハイマックスSC−507(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ハイモ(株)製)・・・0.2部
(1)ホウ酸・・・1.3部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製)・・・5.0部
(3)ジルコゾールAC−7(第一稀元素化学工業(株)製;炭酸ジルコニル・アンモニウム)・・・2.5部
(4)イオン交換水・・・85.2部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製のエマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6;界面活性剤)・・・6.0部
下記の成分に脱イオン水を加えて1リットルとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、水酸化カリウム水溶液10mol/LにてpH=9に調整し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターを用いて減圧濾過して、ライトマゼンタ用インク液を調製した。
・下記構造式で示されるマゼンタ染料(化合物M−1)・・・7.5g/L
・ジエチレングリコール・・・50g/L
・尿素・・・10g/L
・グリセリン・・・200g/L
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル・・・120g/L
・トリエタノールアミン・・・6.9g/L
・ベンゾトリアゾール・・・0.08g/L
・2−ピロリドン・・・20g/L
・サーフィノール465(界面活性剤 エアープロダクスジャパン製)・・・10.5g/L
・Proxel XL−2(殺菌剤:ICIジャパン製)・・・3.5g/L
上記より得たインクジェット記録紙について、前記インクセット101を用いて以下のようにして画像を記録すると共に評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
インクジェット記録装置として、図1に示すインクジェットプリンタを準備した。このインクジェットプリンタは、記録用ヘッド(インクジェットヘッド)として、1200dpiヘッド(FUJIFILM Dimatix,Inc.製)を備えており、図1の記録紙の走行方向A(矢印方向A)と直交する同一平面上の方向(図1の前後方向)に反復移動してインクを吐出するシャトルスキャン方式により画像を記録できるようになっている。インクジェットヘッドには、不図示のインク貯留タンクが接続されており、このインク貯留タンクに上記で得たインクセット101の各色インクに詰め替え、4色画像の記録を実施した。
なお、インクジェット記録紙の走行路を挟んで乾燥装置と対向する位置には、図1に示すように、インクジェット記録紙の記録面とは反対側の裏面に印字(裏印字)するための記録手段(例えばインクジェットヘッドなど)を設け、同時に裏面記録を行なってもよい。
吐出終了後、直ぐにシート状にカットすると共に乾燥装置に搬送され、吐出終了から5秒後にマイクロ波(発振周波数:2450MHz、出力:100W)を3.6秒間照射(紙の搬送速度28mm/秒)し、乾燥させた。このとき、温度25℃の乾燥風も供給した。乾燥時における熱量は360J/KGサイズであった。乾燥終了後、さらに搬送してベタ画像が記録されたインクジェット記録紙を回収部に回収した。
このようにして、インクジェット記録紙上にグレー調の画像を得た。
回収直後(乾燥終了後3分以内)と回収後24時間経過後とにそれぞれ、グレーのベタ画像について、分光光度計スペクトロリノ(グレタグマクベス社製)を用いて視野角2°、光源F8、フィルターなしの条件でL*a*b*を計測し、それぞれの計測値から色差(ΔE)を求め、色調変化を評価する指標とした。評価は、色差の値から、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表2に示す。
<評価基準>
◎:ΔE<2 ;色調変化はほとんど認識できなかった。
○:2≦ΔE<4;色調変化がわかるがあまり目立たない程度であった。
△:4≦ΔE<7;色調の変化がかなり目立った。
×:ΔE≧7 ;色調変化が顕著であった。
前記インクセット101を装填した前記装置で黒ベタの印画を行ない、ベタ画像部の濃度を反射濃度計(Xrite938、Xrite社製)にて測定した。評価結果は下記表2に示す。
前記インクセット101を装填した前記装置でイエロー色、シアン色、マゼンタ色のベタ画像をそれぞれ印画し、画像サンプルとした。得られた各色の画像サンプルを23℃、60%RH、オゾン濃度10ppmの雰囲気で80時間保管し、保管前と保管後のイエロー濃度、シアン濃度、マゼンタ濃度の残存率を算出した。この残存率が最も小さかった色の残存率について、下記の評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。評価結果は下記表2に示す。
<評価基準>
A:75%以上
B:70%以上75%未満
C:60%以上70%未満
D:60%未満
前記「1.画像記録」と同様のKGサイズ印画を連続して行ない、連続処理のベタ画像を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表2に示す。
<評価基準>
◎:20万枚連続印画してもドット抜けの発生はなく、良好な画像が得られた。
○:10万枚連続印画してもドット抜けの発生はなく、良好な画像が得られた。
△:1万枚連続印画して、ドット抜けが発生しはじめた。
×:5000枚連続印画してドット抜けが発生しはじめ、実用上は許容できない程度であった。
KGサイズ印画を連続して行ない、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表2に示す。
<評価基準>
A:500枚/時間以上
B:500枚/時間未満
実施例1において、ESG−2450S−2A(島田理化工業社製;マイクロ波発生装置)を、ニクロム線温風ヒータ(400W、加熱時間2秒)に代え、乾燥ファン(風量:3m3/分)で60℃の温風を送風するようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例2において、ニクロム線温風ヒータを200Wのものに変更し、かつシートの搬送速度を1/2に下げた(吐出終了から乾燥開始までの時間を5秒から10秒に変更)こと以外、実施例2と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例1において、ベタ画像の記録の際の吐出終了後にマイクロ波の照射及び乾燥風の供給による乾燥を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例1のインク受容層の形成において、「インライン液の組成」中のアルファイン83(ポリ塩化アルミニウム)を用いず、「塗布液の組成」中のZA−30を用いず、かつ「塩基性化合物を含む液の組成」中のジルコゾールAC−7を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
≪インクジェット記録媒体の作製≫
<支持体の作製>
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、分散液に(5)ポリビニルアルコール溶解液を30℃で加え、第2の塗布液(上層用)を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(5))は、4.0:1であり、第2の塗布液(上層用)のpHは、3.4で酸性を示した。
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)・・・8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水・・・54.4部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液)・・・0.78部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)ZA−30(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニル)・・・0.48部
(5)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液・・・31.2部
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)・・・2.2部
・イオン交換水・・・28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株)製)・・・0.7部
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製)・・・0.1部
下記組成に記載の、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」と、(5)「30%メチオニンスルホキシド」と、を混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて、分散させた後、分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、分散液に(6)ホウ酸と、(7)ポリビニルアルコール溶解液と、(8)「スーパーフレックス650」と、を30℃で加え、第1の塗布液(下層用)を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(7))は、4.0:1であり、第1の塗布液(下層用)のpHは、3.8で酸性を示した。
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)・・・8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水・・・48.5部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液)・・・0.78部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)ZA−30(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニル)・・・0.48部
(5)メチオニンスルホキシド(下記硫黄系化合物(1))の30%水溶液・・・1.76部
(6)ホウ酸(架橋剤)・・・0.4部
(7)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液・・・31.2部
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・PVA235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)・・・2.2部
・イオン交換水・・・28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株)製)・・・0.7部
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製)・・・0.1部
(8)スーパーフレックス650(第一工業製薬(株)製;含窒素有機カチオンポリマーエマルション(カチオン性ポリウレタン樹脂微粒子))・・・3.1部
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、該オモテ面に、以下のようにして、第1の塗布液(下層用)と第2の塗布液(上層用)とをエクストルージョンダイコーターにて、塗布液温度をそれぞれ38℃として、同時重層塗布して塗布層を形成した。
具体的には、上記同時重層塗布においては、第1の塗布液(下層用)を105.1g/m2で、下記インライン液を3.3g/m2の速度でインライン混合した後下層として塗布し、第2の塗布液(上層用)を106g/m2で、下記組成のインライン液を13.2g/m2の速度でインライン混合した後、上層として塗布した(層構成は、第2の塗布液(上層用)/第1の塗布液(下層用)/支持体である。)。
(1)アルファイン83(大明化学工業(株)製;ポリ塩化アルミニウム)・・・2.0部
(2)イオン交換水・・・7.8部
(3)ハイマックスSC−507(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ハイモ(株)製)・・・0.2部
(1)ホウ酸・・・1.3部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製)・・・5.0部
(3)ジルコゾールAC−7(第一稀元素化学工業(株)製;炭酸ジルコニル・アンモニウム)・・・2.5部
(4)イオン交換水・・・85.2部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製のエマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6;界面活性剤)・・・6.0部
実施例1と同様にして、ライトマゼンタ用インク、マゼンタインク、ライトシアンインク、シアンインク、イエローインク、及びブラックインクを調製し、前記表1に示す濃度のインクセット101を作製した。
上記より得たインクジェット記録紙について、前記インクセット101を用いて以下のようにして画像を記録すると共に評価を行なった。評価結果は下記表3に示す。
インクジェット記録装置として、図1に示すインクジェットプリンタを準備した。このインクジェットプリンタは、記録用ヘッド(インクジェットヘッド)として、1200dpiヘッド(FUJIFILM Dimatix,Inc.製)を備えており、図1の記録紙の走行方向A(矢印方向A)と直交する同一平面上の方向(図1の前後方向)に反復移動してインクを吐出するシャトルスキャン方式により画像を記録できるようになっている。ヘッドに繋がる不図示のインク貯留タンクは、上記で得たインクセット101の各色インクに詰め替え、4色画像の記録を実施した。
なお、インクジェット記録紙の走行路を挟んで乾燥装置と対向する位置には、図1に示すように、インクジェット記録紙の記録面とは反対側の裏面に印字(裏印字)するための記録手段(例えばインクジェットヘッドなど)を設け、同時に裏面記録を行なってもよい。
吐出終了後、直ぐにシート状にカットすると共に乾燥装置に搬送され、吐出終了から5秒後にマイクロ波(発振周波数:2450MHz、出力:100W)を3.6秒間照射(紙の搬送速度28mm/秒)し、乾燥させた。このとき、温度25℃の乾燥風も供給した。乾燥時における熱量は360J/KGサイズであった。乾燥終了後、さらに搬送してベタ画像が記録されたインクジェット記録紙を回収部に回収した。
このようにして、インクジェット記録紙上にグレー調の画像を得た。
回収直後(乾燥終了後3分以内)と回収後24時間経過後とにそれぞれ、グレーのベタ画像について、分光光度計スペクトロリノ(グレタグマクベス社製)を用いて視野角2°、光源F8、フィルターなしの条件でL*a*b*を計測し、それぞれの計測値から色差(ΔE)を求め、色調変化を評価する指標とした。評価は、色差の値から、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表3に示す。
<評価基準>
◎:ΔE<2 ;色調変化はほとんど認識できなかった。
○:2≦ΔE<4;色調変化がわかるがあまり目立たない程度であった。
△:4≦ΔE<7;色調の変化がかなり目立った。
×:ΔE≧7 ;色調変化が顕著であった。
前記インクセット101を装填した前記装置で黒ベタの印画を行ない、ベタ画像部の濃度を反射濃度計(Xrite938、Xrite社製)にて測定した。評価結果は下記表3に示す。
前記インクセット101を装填した前記装置でイエロー色、シアン色、マゼンタ色のベタ画像をそれぞれ印画し、画像サンプルとした。得られた各色の画像サンプルを23℃、60%RH、オゾン濃度10ppmの雰囲気で80時間保管し、保管前と保管後のイエロー濃度、シアン濃度、マゼンタ濃度の残存率を算出した。この残存率が最も小さかった色の残存率について、下記の評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。評価結果は下記表3に示す。
<評価基準>
A:75%以上
B:70%以上75%未満
C:60%以上70%未満
D:60%未満
前記「1.画像記録」と同様のKGサイズ印画を連続して行ない、連続処理のベタ画像を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表3に示す。
<評価基準>
◎:20万枚連続印画してもドット抜けの発生はなく、良好な画像が得られた。
○:10万枚連続印画してもドット抜けの発生はなく、良好な画像が得られた。
△:1万枚連続印画して、ドット抜けが発生しはじめた。
×:5000枚連続印画してドット抜けが発生しはじめ、実用上は許容できない程度であった。
KGサイズ印画を連続して行ない、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表3に示す。
<評価基準>
A:500枚/時間以上
B:500枚/時間未満
得られたインクジェット記録紙の断面をミクロトームにより切り出し、SEM−EDX(日立製作所製のS−2150にEDX装置を組み合わせたもの)を用いてSi元素およびN元素のマッピング分析を行った。Si元素のマッピング画像よりインク受容層の存在位置を確認し、N元素マッピング画像と並べて観察した。結果を下記表3に示す。
<評価基準>
○:インク受容層中の下層のN元素>上層のN元素
×:インク受容層中の下層のN元素≦上層のN元素
得られたインクジェット記録紙の断面をミクロトームにより切り出し、SEM−EDX(日立製作所製S−2150にEDX装置を組み合わせたもの)を用いてSi元素およびAl元素のマッピング分析を行った。Si元素のマッピング画像よりインク受容層の存在位置を確認し、Al元素マッピング画像と並べて観察した。結果を下記表3に示す。
<評価基準>
○:インク受容層中の下層のAl元素<上層のAl元素
×:インク受容層中の下層のAl元素≧上層のAl元素
実施例4において、ESG−2450S−2A(島田理化工業社製;マイクロ波発生装置)を、H7G−21200(日本ガイシ社製の赤外線照射装置、200W、照射時間2.4秒)に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例4におけるインク受容層の形成において、第2の塗布液(上層用)にインライン混合するインライン液を13.2g/m2から6.6g/m2に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例4において、第1の塗布液及び第2の塗布液の塗布液温度を38℃から42℃に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例4において、ESG−2450S−2A(島田理化工業社製;マイクロ波発生装置)を、ニクロム線温風ヒーター(400W、加熱時間2秒)に代え、乾燥ファン(風量:3m3/分)で60℃の温風を送風するようにしたこと以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
実施例4において、「第1の塗布液の組成」中のメチオニンスルホキシド(硫黄系化合物(1))の30%水溶液を、下記硫黄系化合物(2)の30%水溶液に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録紙を得ると共に、画像記録及び評価を行なった。
Claims (14)
- 支持体上に無機微粒子及び水溶性金属化合物を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体に、インクジェット法によりインクを吐出して画像を記録する画像記録工程と、
インクジェット記録媒体に記録された少なくとも前記画像を乾燥させる乾燥工程と、
を有するインクジェット記録方法。 - 前記画像記録工程は、支持体上に該支持体側から順に、無機微粒子及び含窒素有機カチオンポリマーを含む第1のインク受容層と、無機微粒子及び水溶性金属化合物を含む第2のインク受容層とを有し、前記第2のインク受容層よりも前記第1のインク受容層における含窒素有機カチオンポリマーの含有量が多くかつ水溶性金属化合物の含有量が少ないインクジェット記録媒体に画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記乾燥工程は、102mm×152mm当たり2kJ以下の熱量を与えて乾燥を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記乾燥工程は、誘電加熱により乾燥を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記乾燥工程は、赤外線加熱により乾燥を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記乾燥工程での誘電加熱は、マイクロ波加熱であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方法。
- 前記乾燥工程は、前記画像記録工程でのインクの吐出終了から20秒以内に乾燥を開始することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクの最大総吐出量が、10〜36ml/m2であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクは、着色剤として染料を含有する染料インクであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第2のインク受容層の前記第1のインク受容層に対する含窒素有機カチオンポリマーの含有量比が0〜0.8であり、前記第1のインク受容層の前記第2のインク受容層に対する水溶性アルミニウム化合物の含有量比が0〜0.8であることを特徴とする請求項2〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記含窒素有機カチオンポリマーが、カチオン性ポリウレタン樹脂の粒子であることを特徴とする請求項2〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 少なくとも前記第1のインク受容層が硫黄系化合物を更に含み、前記第2のインク受容層よりも前記第1のインク受容層における硫黄系化合物の含有量が多いことを特徴とする請求項2〜請求項11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記硫黄系化合物が、チオエーテル系化合物又はスルホキシド系化合物であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第2のインク受容層の前記第1のインク受容層に対する前記硫黄系化合物の含有量比が0〜0.6であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のインクジェット記録方法。
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