JP2005297535A - 記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画像のにじみが少なく、耐水性、耐擦過性、耐光性、オゾン耐性に優れた画像を記録可能な記録方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1種の油溶性化合物を含む微粒子分散物を含有するインク組成物を用い、少なくともポリマー微粒子を含有するインク受容層を設けてなる記録媒体に記録させた後、該記録媒体を加熱処理することを特徴とする記録方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、油溶性化合物を含む水系の微粒子分散物を含有するインクを用いた記録方法に関する。
従来、紙などの記録媒体への記録方法として種々知られている。例えば、水を主体とした溶媒に染料や顔料を着色剤として溶解あるいは分散した液体を、電気信号に従って紙上に噴射し可視画像を形成するインクジェット記録方法、また、電子写真方式を利用する記録方法、具体的には、光導電性感光体に形成された静電潜像を乾式現像又は湿式現像で顕像化し、これらの可視画像を静電気力や圧力、熱により紙に転写及び定着する乾式電子写真記録方法や湿式電子写真記録方法が、知られている。
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭でも、紙、フィルム、布等の印字等に広く利用されている。インクジェット記録用インクとしては、油性インク、水性インク、固体状インクが知られているが、これらの中でも、製造容易性、取扱性、臭気性、安全性等の点で水性インクが有利であり、水性インクが主流となっている。
しかし、前記水性インクの多くは、分子状態で溶解する水溶性染料を用いているため、透明性及び色濃度が高いという利点があるものの、染料が水溶性であるため耐水性が悪く、いわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリード)を生じて著しく印字品質が低下する、耐光性が悪い、更に、表面に多孔質無機微粒子を含むインク受容層を設けた記録紙(以下、「写真画質用紙」ということがある)においては、酸化性ガス(SOx、NOx、オゾン等)の影響により画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
そこで、前記問題を解決する目的で顔料や分散染料を用いた水性インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、これらの水性インクの場合、耐水性はある程度向上するものの十分とはいい難く、前記水性インク中の顔料や分散染料の分散物の保存安定性に欠け、インク吐出口での目詰まりを起こし易い等の問題がある。更に、写真画質用紙においては、前記顔料や染料を用いたインクは染み込み性に乏しく、手で擦ると表面から前記顔料や染料が剥離し易いという問題もある。
一方、ポリマーに油溶性染料又は顔料を内包させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、色調が不十分であり、色再現性が十分でなく、特に酸化性ガスなどによる画像耐久性も十分でなく、さらに、写真画質用紙に印字した場合、耐擦過性が十分でない。また、ポリマーに塩形成基とポリアルキレンオキサイド基を導入することで、着色性、耐擦過性に優れるインクが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、指による耐擦過性は良いものの、消しゴム擦りのような高レベルの耐擦過性は不十分である。また、高沸点有機溶媒と染料を用いることで、色調や耐擦過性を向上させる方法が提案されているが、高レベルの画像耐久性が要求される場合は不十分である。
一方、光沢性に優れ、かつブロンジングが改良されたインクジェット画像の定着方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、この定着方法では、定着時間および残存溶剤量の変化により、印字画像の特性が変わってしまうという問題がある。また、高光沢性と吸収速度向上を両立させるために水溶性バインダーを含有するインク受容層を有し、かつ表層に熱可塑性微粒子を含有するインクジェット記録媒体が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、顔料を含有するインクの場合には、耐擦性が十分でなく、光沢性も満足いくものではない。
以上の通り、取扱性、臭気、安全性を具備すると共に、分散粒子の粒径が小さく、分散物の分散安定性及び保存安定性に優れ、ノズル先端での目詰まりがなく吐出安定性に優れた染料インクを用いても、発色性、色調(色相)に優れ、前記写真画質用紙を用いた場合でもインク浸透性に優れ、印字後の耐水性、特に画像保存性、耐擦過性に優れ、高濃度で高画質の記録を可能とするインクジェット記録方法は未だ提供されていないのが現状である。
また、顔料インクを用いた場合は、耐光性などの問題は解消されるが、微細化及びポリマーを併用しても散乱は消失せず透明性が劣るという問題がある。
特開昭56−157468号公報 特開昭58−45272号公報 特開昭62−241901号公報 特開2003−48366号公報(全頁) 特開2003−48371号公報(全頁)
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、画像のにじみが少なく、耐水性、耐擦過性、耐光性、オゾン耐性に優れた画像を記録可能な記録方法を提供することにある。
<1> 少なくとも1種の油溶性化合物を含む微粒子分散物を含有するインク組成物を用い、少なくともポリマー微粒子を含有するインク受容層を設けてなる記録媒体に記録させた後、該記録媒体を加熱処理することを特徴とする記録方法である。
<2> 前記微粒子分散物が少なくとも1種の疎水性ポリマーを含み、前記インク受容層が多孔質構造を有することを特徴とする前記<1>に記載の記録方法である。
<3> 前記油溶性化合物が油溶性染料であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の記録方法である。
<4> 前記油溶性化合物は酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の記録方法である。
<5> 前記油溶性化合物は少なくとも1つの複素環を有するアゾ染料、又は少なくとも分子中に−SO−又は−SO2−の連結基を有するフタロシアニン染料であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録方法である。
<6> 前記ポリマー微粒子は、ビニルモノマーの重合体及び共重合体、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、及びこれらの変性物又は共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録方法である。
<7> 前記記録媒体のインク受容層が、窒素ガス吸着法による細孔分布曲線から求めた前記ポリマー微粒子の粒径と同一細孔直径以上におけるインク受容層の細孔容量A(×10-5ml/cm2)を、該インク受容層の乾燥膜厚B(μm)で除したインク受容層の単位厚み当たりの細孔容積(A/B)が、2.0(×10-5ml/cm2/μm)以上であることを特徴とする前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録方法である。
<8> 前記記録媒体を加熱処理して皮膜を形成することを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録方法である。
<9> 前記記録方法がインクジェット記録方式によることを特徴とする前記<1>から<8>のいずれかに記載の記録方法である。
本発明によれば、画像のにじみが少なく、耐水性、耐擦過性、耐光性、オゾン耐性に優れた画像を記録可能な記録方法を提供することができる。
以下、本発明の記録方法について説明する。
本発明の記録方法は、少なくとも1種の油溶性化合物を含む微粒子分散物を含有するインク組成物を用い、少なくともポリマー微粒子を含有するインク受容層を設けてなる記録媒体に記録させた後、該記録媒体を加熱処理することを特徴としている。以下、先ず前記インク組成物と前記記録媒体とについて説明した後、本発明の記録方法について説明する。
<インク組成物>
前記インク組成物は、少なくとも1種の油溶性化合物を含む微粒子分散物を含有する。以下、インク組成物の各成分について説明する。
[微粒子分散物]
微粒子分散物は、少なくとも1種の油溶性化合物を含む微粒子を水性媒体に分散してなり、前記微粒子分散物は、沸点150℃以上の疎水性高沸点有機溶媒が含まれていてもよい。
更に詳しく述べると、前記微粒子分散物とは、油溶性化合物を必須成分とし、必要に応じて疎水性ポリマーと疎水性高沸点有機溶媒やその他の着色剤が、水性媒体中に微粒子状の油滴として分散された、いわゆる乳化分散物状態になっているものである。
なお、本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて添加剤などを添加したものを意味する。
(油溶性化合物)
前記油溶性化合物のうち、油溶性染料について説明する。
前記油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料などの化合物を意味する。より具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを意味する。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料等があり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうちマゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうちシアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
前記油溶性染料の中でも、好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
例えば、C.I.ソルベント・ブラック3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2,11,25,35及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が好ましい。
これらの中でも、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB、Oil Yellow129、Oil Yellow105、Oil Pink312、Oil Red5B、Oil Scarlet308、Vali Fast Blue2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Neopen Yellow075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等がより好ましい。
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもでき、その好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
例えば、C.I.ディスパーズイエロー5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が好ましい。
また、前記油溶性染料(油溶性化合物)の中でも、少なくとも1つの複素環を有するアゾ染料、又は少なくとも分子中に−SO−又は−SO2−の連結基を有するフタロシアニン染料が好ましい。具体的には、後述する一般式(I)で表される化合物、一般式(Y−I)で表される化合物、一般式(M−I)で表される化合物、及び一般式(C−I)で表される化合物が好ましい。また、これらの中でも、アゾ染料、フタロシアニン染料においては、それぞれ、一般式(M−I)で表される化合物、一般式(C−I)で表される化合物が特に好ましい。
以下に、一般式(I)で表される化合物の説明をする。なお、下記一般式(I)の各基のうち、少なくとも1つが以下に示す好ましい範囲である化合物が好ましく、より多くの基が好ましい範囲である化合物がより好ましく、全ての基が好ましい範囲である化合物が特に好ましい。
Figure 2005297535
前記一般式(I)において、Xは、カラー写真カプラーの残基を表す。Aは、−NR45又はヒドロキシ基を表す。前記R4及びR5は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
Aとしては、−NR45が好ましい。R4及びR5としては、各々独立に、水素原子及び脂肪族基が好ましく、水素原子、アルキル基及び置換アルキル基がより好ましく、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基及び炭素原子数1〜18の置換アルキル基が特に好ましい。
前記一般式(I)において、B1は、=C(R6)−又は=N−を表す。B2は、−C(R7)=又は−N=を表す。B1及びB2が、同時に−N=とならないのが好ましく、B1が=C(R6)−であり、B2が−C(R7)=であるのがより好ましい。
前記一般式(I)において、R2、R3、R6及びR7は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR51、−SR52、−CO253、−OCOR54、−NR5556、−CONR5758、−SO259、−SO2NR6061、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−COR67、−NR68COR69又は−NR70SO271を表す。
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70及びR71は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。
これらの中でも、R2及びR7としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、−OR51、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−NR68COR69及び−NR70SO271が好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基、置換アルキル基、−NR62CONR6364及び−NR68COR69がより好ましく、水素原子、塩素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数1〜10の置換アルキル基が特に好ましく、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基及び炭素原子数1〜4の置換アルキル基が最も好ましい。
また、これらの中でも、R3及びR6としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子及び脂肪族基が好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基及び置換アルキル基がより好ましく、水素原子、塩素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数1〜10の置換アルキル基が特に好ましく、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基及び炭素原子数1〜4の置換アルキル基が最も好ましい。
前記一般式(I)において、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、及びR6とR7は、互いに結合して環を形成してもよい。該環を形成する組み合わせとしては、R3とR4、R4とR5及びR5とR6の組み合わせが好ましい。
2とR3、又はR6とR7が、互いに結合して形成する環としては、5員環又は6員環が好ましい。該環としては、芳香族環(例えば、ベンゼン環等)又は、不飽和複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピリミジン環、ピロール環、フラン環等)が好ましい。
3とR4、又はR5とR6が、互いに結合して形成する環としては、5員環又は6員環が好ましい。該環としては、テトラヒドロキノリン環及びジヒドロインドール環が好ましい。
4とR5が互いに結合して形成する環としては、5員環又は6員環が好ましい。該環としては、ピロリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環が好ましい。
本明細書において、脂肪族基とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。
前記アルキル基は、分岐状であってもよいし、環状であってもよい。前記アルキル基における炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜18がより好ましい。
前記置換アルキル基におけるアルキル部分は、前記アルキル基の場合と同様である。
前記アルケニル基は、分岐状であってもよいし、環状であってもよい。前記アルケニル基の炭素原子数は2〜20が好ましく、2〜18がより好ましい。
前記置換アルケニル基におけるアルケニル部分は、前記アルケニル基の場合と同様である。
前記アルキニル基は、分岐状であってもよいし、環状であってもよい。前記アルキニル基の炭素原子数は2〜20が好ましく、2〜18がより好ましい。
前記置換アルキニル基におけるアルキニル部分は、前記アルキニル基の場合と同様である。
前記アラルキル基及び置換アラルキル基におけるアルキル部分は、前記アルキル基の場合と同様である。
前記アラルキル基及び置換アラルキル基におけるアリール部分は、下記アリール基の場合と同様である。
前記置換アルキル基、前記置換アルケニル基、前記置換アルキニル基及び前記置換アラルキル基におけるアルキル部分の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基、−OR111、−SR112、−CO2113、−NR114115、−CONR116117、−SO2118及び−SO2NR119120が挙げられる。
前記R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。
前記置換アラルキル基におけるアリール部分の置換基としては、下記置換アリール基の置換基の例と同様のものが挙げられる。
本明細書において、芳香族基とは、アリール基及び置換アリール基を意味する。
前記アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記置換アリール基におけるアリール部分は、前記アリール基の場合と同様である。
前記置換アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、脂肪族基、複素環基、−OR121、−SR122、−CO2123、−NR124125、−CONR126127、−SO2128及び−SO2NR129130が挙げられる。
前記R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129及びR130は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、又は芳香族基を表す。
本明細書において、複素環基としては、飽和複素環又は不飽和複素環を有する基の双方が含まれる。複素環は、5員又は6員環であるのが好ましい。また、複素環には、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。
該複素環におけるヘテロ原子としては、例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子等が挙げられる。その中でも、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。
該複素環を構成する原子のうち、炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)複素環基が好ましい。
前記飽和複素環としては、例えば、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環及び1,3−チアゾリジン環が挙げられる。
前記不飽和複素環としては、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びキノリン環が挙げられる。
また、前記複素環基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR131、−SR132、−CO2133、−NR134135、−CONR136137、−SO2138及びSO2NR139140が挙げられる。
前記R131、R132、R133、R134、R135、R136、R137、R138、R139及びR140は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。
前記カプラーとしては、以下のカプラーが好ましい。
イエローカプラーとしては、米国特許3,933,501号、同4,022,620号、同4,326,024号、同4,401,752号、同4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許1,425,020号、同1,476,760号、米国特許3,973,968号、同4,314,023号、同4,511,649号、欧州特許249,473A号、同502,424A号の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))が挙げられる。
マゼンタカプラーとしては、米国特許4,310,619号、同4,351,897号、欧州特許73,636号、米国特許3,061,432号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60−33552号、同60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許4,500,630号、同4,540,654号、同4,556,630号、国際公開WO88/04795号、特開平3−39737号(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下)、欧州特許456,257号の〔A−4〕−63(134頁),〔A−4〕−73,−75(139頁)、同486,965号のM−4,−6(26頁)、M−7(27頁)、同571,959A号のM−45(19頁)、特開平5−204106号の(M−1)(6頁)、同4−362631号の段落0237のM−22、が挙げられる。
シアンカプラーとしては、米国特許4,052,212号、同4,146,396号、同4,228,233号、同4,296,200号、欧州特許73,636号、特開平4−204843号のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385の請求項1の一般式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラーが挙げられる。
その他、特開昭62−215272号(91頁)、特開平2−33144号(3頁、30頁)、EP355,660A(4頁、5頁、45頁、47頁)記載のカプラーも有用である。
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、マゼンタ染料としては、下記一般式(II)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 2005297535
前記一般式(II)において、R1は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR11、−SR12、−CO213、−OCOR14、−NR1516、−CONR1718、−SO219、−SO2NR2021、−NR22CONR2324、−NR25CO226、−COR27、−NR28COR29又は−NR30SO231を表す。R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。また、R2、R3、A、B1、及びB2は、前記一般式(I)の場合と同義であり、それらの好ましい範囲も同様である。
前記一般式(II)において、Dは、5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表し、少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。また、前記複素環は、さらに別の環と縮合環を形成してもよい。
Dで表される5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群における、少なくとも1つの置換基としては、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR81、−SR82、−CO283、−OCOR84、−NR8586、−CONR8788、−SO289、−SO2NR9091、−NR92CONR9394、−NR95CO296、−COR97、−NR98COR99及び−NR100SO2101が挙げられる。
81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R100及びR101は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。
前記一般式(II)において、R1としては、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR11、−SR12、−NR1516、−SO219、−NR22CONR2324、−NR25CO226、−NR28COR29及び−NR30SO231が好ましく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR11及び−NR1516がより好ましく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、フェノキシ基、置換フェノキシ基、ジアルキルアミノ基、及び置換ジアルキルアミノ基がさらに好ましく、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10の置換アルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数6〜10の置換アリール基が特に好ましく、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基及び炭素原子数1〜6の置換アルキル基が最も好ましい。
前記一般式(II)において、Aとしては、−NR45が好ましい。また、Dとしては、5員の含窒素複素環を形成するのが好ましく、5員の含窒素複素環としては、例えば、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環がより好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物の中でも、下記一般式(III)で表される油溶性のピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が特に好ましい。
Figure 2005297535
前記一般式(III)において、R1,R2,R3,R4,R5,R6、及びR7は、前記一般式(II)の場合と同義である。また、X1及びYは、各々独立に、−C(R8)=又は−N=を表す。R8は、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。X1及びYの一方は必ず−N=である。ただし、X1及びYが同時に−N=となることはない。
前記一般式(III)において、R8としては、水素原子,アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基が好ましく,水素原子,炭素数1〜150の置換アルキル基及び炭素数6〜150の置換アリール基がより好ましく、炭素数1〜100の置換アルキル基及び炭素数6〜100の置換アリール基が特に好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物の中でも、X1が−N=であり、Yが−C(R8)=となるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましい。
次に、前記一般式(II)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物の例示化合物(M−1〜16)を以下に示すが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
本発明に使用可能な化合物としては、さらに、特願2000−78491号明細書に記載されている例示化合物が挙げられるが、これらに何ら限定されるものではない。
前記一般式(II)で表される化合物は、例えば特開平4−126772号、特公平7−94180号公報及び特願2000−78491号明細書に記載された方法を参考にして、合成することができる。
また、シアン染料としては、下記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物が、特に好ましく用いられる。
Figure 2005297535
前記一般式(IV−1)〜(IV−4)において、A、R2、R3、B1及びB2は、前記一般式(I)の場合と同義であり、それらの好ましい範囲も同じである。R201、R202及びR203は、各々独立に、前記一般式(II)におけるR1と同義である。R201及びR202は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
さらに、前記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物におけるR201が、ハメット置換基定数σp値0.30以上の電子吸引性基であるものは、吸収がシャープであり、より好ましい。
そして、ピロロトリアゾールアゾメチン化合物におけるR201及びR202のハメット置換基定数σp値の和が、0.70以上のものはシアン色として優れた色相を呈し、特に好ましい。
ここで、前記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物の色相について説明する。
前記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物は、R201、R202、R203、及びR2、R3、A、B1、B2の組合せにより、さまざまな色相を持つことができる。
前記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物は、R201が電子吸引性の置換基であると、そうでない場合と比較して吸収波形がシャープとなり好ましい。そして、前記電子吸引性の程度が強いほど吸収波形はよりシャープになる。この点からR201としては、アルキル基やアリール基よりも、ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基が好ましく、0.45以上の電子吸引性基がより好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましい。
前記ピロロトリアゾールアゾメチン化合物は、マゼンタ色素としても、シアン色素としても用いることができるが、シアン色素として用いるのがより好ましい。なお、前記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物は、マゼンタ色素としても使用することができる。
前記一般式(IV−1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物をシアン化合物とするためには、R201及びR202のハメット置換基定数σp値の和が0.70以上のものが好ましい。このσp値の和が0.70未満であると、吸収極大波長がシアン色素としては短波長となり、人間の目には青色に見え、好ましくない。その中でも、R202のハメット置換基定数σp値が0.30以上のものがより好ましい。また、R201とR202のハメット置換基定数σp値の和は、2.0以下のものが好ましい。
前記ハメット置換基定数σp値が、0.30以上の電子吸引性基としては、例えば、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルチオ基、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基、複素環基などが挙げられる。
さらに詳しくは、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ等)、カルバモイル基[例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル等]、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル等)、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル等)、アリールスルフィニル基(例えば3−ペンタデシルフェニルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル等)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル等)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル、ヘプタフロロプロピル等)ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ等)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ等)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ等)、2つ以上のσp値が0.15以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、ペンタクロロフェニル等)、複素環基(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル、5−クロロ−1−テトラゾリル、1−ピロリル等)が挙げられる。
前記ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル等)、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル等)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、n−オクタンスルホニル等)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル等)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル等)などが挙げられる。
前記ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基(0.66)、ニトロ基(0.78)、メタンスルホニル基(0.72)などが挙げられる。
前記R201及びR202のハメット置換基定数σp値の和が0.70以上の組合せとしては、R201がシアノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基及びハロゲン化アルキル基から選択され、R202がアシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基及びハロゲン化アルキル基から選択される組み合わせが好ましい。
本発明におけるピロロトリアゾールアゾメチン化合物の好ましい構造としては、下記一般式(IV−1a)で表される化合物であって、R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の置換アルキル基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、炭素数1〜5のアシルアミノ基、炭素数1〜5のアミノカルボニルアミノ基、又は炭素数2〜5のアルコキシカルボニルアミノ基であり、R4及びR5が、各々独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜18の置換アルキル基であり、R201及びR202が、各々独立に、ハメット置換基定数σp値の和が0.30以上の電子吸引性基であり、R203が、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18の置換アルキル基、又は炭素数6〜20の置換又は無置換のアリール基であるものが挙げられる。
そして前記ピロロトリアゾールアゾメチン化合物を、シアン色素として用いる場合には、前記好ましい構造の中でも、R201とR202のハメット置換基定数σp値の和が0.70以上の化合物が好ましく、ハメット置換基定数σp値の和が1.00以上のものがより好ましい。
本発明におけるピロロトリアゾールアゾメチン化合物のうち、下記一般式(IV−1a)で表される構造であって、R2が、水素原子又はメチル基であり、R4及びR5が、各々独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R201がシアノ基であり、R202がアルコキシカルボニル基であり、R203がアリール基であるものが、最も好ましい。
Figure 2005297535
ここで、本明細書で用いられるハメット置換基定数については、特願平11−365188号明細書に記載があり、本発明おけるσp値も、その記載の中で定めるものと同義である。
本発明におけるピロロトリアゾールアゾメチン化合物の例示化合物(C−1〜9)を以下に挙げるが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
本発明に使用可能な化合物としては、さらに特願平11−365188号明細書に記載されている例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
なお、前記一般式(IV―1)〜(IV−4)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物は、特開平5−177959号、同9−292679号、同10−62926号公報、及び特願平11−365188号明細書に記載の方法を参考に、合成することができる。
イエロー染料の好ましい構造としては、一般式(Y−I)で表される化合物(油溶性化合物)が好ましい。尚、一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、グリーンインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
Figure 2005297535
前記一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5-ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、下記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
Figure 2005297535
前記一般式(Y−II)において、R1及びR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R4は複素環基を表す。
Figure 2005297535
前記一般式(Y−III)において、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(R11)=を表し、前記R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R6は複素環基を表す。
Figure 2005297535
一般式(Y−IV)において、R7及びR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。R10は複素環基を表す。
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるR1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表す置換基について以下に詳述する。
1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
1、R2、R3、R5、R7、及びR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。
1、R3、R5、及びR8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、 前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
2、R7、R8、及びR9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
4、R6、R10で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(R11)=を表す。R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
Figure 2005297535
前記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例としては、特願2002−10361号に記載の化合物(Y−101〜Y−155)が好適に挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの化合物は,特開平2−24191号、特開2001−279145号公報を参考にして合成できる。
マゼンタ染料の構造としては、前述の通り、下記一般式(M−I)で表される化合物(以下、「アゾ染料」と称する場合がある)が好ましい。以下に、本発明に係る一般式(M−I)で表される化合物について説明する。
Figure 2005297535
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残
基を表す。
1及びB2は、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すか、あるいは、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−又は−CR2=を表す。
5,R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。各基は更に置換基を有していてもよい。
G、R1,R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基又はアリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルアリールスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、又はヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。
また、R1とR5、又はR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
本発明に係る前記一般式(M−I)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残
基を表す。該5員複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。
Aの好ましい複素環の例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は、更に置換基を有していてもよい。中でも、下記一般式(M−a)から(M−f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
Figure 2005297535
前記一般式(M−a)〜(M−f)のR7〜R20は、後に説明する置換基G、R1及びR2と同じ置換基を表す。
前記一般式(M−a)〜(M−f)のうち、好ましいのは一般式(M−a)及び(M−b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(M−a)で表されるピラゾール環である。
1及びB2は、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すか、あるいは、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−又は−CR2=を表すが、B1が=CR1−を表しB2が−CR2=を表すものがより好ましい。
5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R5及びR6で表される好ましい置換基には、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、又は複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。ただし、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
G、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基若しくはアリール基若しくは複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
Gで表される好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基、アリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基若しくはアリール基若しくは複素環基で置換されたアミノ基、又はアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
1及びR2で表される好ましい置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基及びシアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
1とR5、又は、R5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、前記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げることができる。
以下、G、R1及びR2で表される置換基について詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、及び置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基を挙げることができる。
本明細書において、芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい。
芳香族基の例としては、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環、又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員又は6員環の複素環基が好ましい。置換基の例としては、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例としては、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、及び2−フリル基が含まれる。
前記アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基の例としては、各々、メタンスルホニル基及びフェニルスルホニル基を挙げることができる。
前記アルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基の例としては、各々、メタンスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
前記アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例としては、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
前記アミノ基には、アルキル基、アリール基、及び複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、及び複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が挙げられる。
前記アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基及び2−クロロアニリノ基が含まれる。
前記アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
前記アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
前記ウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。ウレイド基の例としては、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基及び3−フェニルウレイド基が含まれる。
前記スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例としては、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例としては、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基の例としては、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
前記カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例としては、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
前記スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例としては、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
前記アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例としては、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
前記カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例としては、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル基が含まれる。
前記アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例としては、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と、無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例としては、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
本発明において、特に好ましいアゾ染料は、下記一般式(M−II)で表される化合物である。
Figure 2005297535
前記一般式(M−II)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表す。Z1はσp値が0.30〜1.0の電子求引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子求引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
1、R2、R5、及びR6は、前記一般式(M−I)の場合と同義である。
3及びR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。その中でも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が、特に好ましい。
2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。その中でも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも、特に、芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子及び炭素原子が挙げられる。5〜8員環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環、及びチアン環等が挙げらる。
前記一般式(M−II)で説明した各基は、更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、前記一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1及びR2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
ここで、置換基Z1に関連して、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは前記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合に、その範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、前記一般式(M−I)及び(M−II)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子求引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基〔例えば、メタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基〕を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子求引性基としては、前記に加えアシル基(例えば、アセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基としては、前記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子求引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子求引性基の具体例としては、前記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
前記一般式(M−I)で表される化合物として、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
(イ)R5及びR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5及びR6が共に水素原子であることはない。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1及びB2は、各々=CR1−、−CR2=であり、そしてこれらR1、R2は、各々、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
なお、一般式(M−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(M−I)で表される化合物の例示化合物(a−1〜a−27、b−1〜b−6、c−1〜c−3、d−1〜d−4、e−1〜e−4)を以下に示すが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2005297535
Figure 2005297535
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Figure 2005297535
Figure 2005297535
シアン染料の好ましい構造としては、前述の通り、下記一般式(C−I)で表される化合物(以下、「フタロシアニン染料」と称する場合がある)を用いることが好ましい。以下に、一般式(C−I)で表される化合物について説明する。
Figure 2005297535
前記一般式(C−I)において、X1、X2、X3及びX4は、各々独立に、−SO−Z1、−SO2−Z1、又は−SO2NR2122を表す。
1は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、特に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
21及びR22は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、特に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。ただしR21及びR22の両方が水素原子であることはない。
21、R22及びZ1が表す、置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
21、R22及びZ1が表す、置換基を有するシクロアルキル基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
21、R22及びZ1が表す、置換基を有するアルケニル基又は無置換のアルケニル基は、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
21、R22及びZ1が表す、置換基を有するアラルキル基又は無置換のアラルキル基は、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
21、R22及びZ1が表すアリール基の置換基としては、後述のZ1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じもの挙げられる。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が挙げられ、中でもヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基が更に好ましい。
21、R22及びZ1が表すヘテロ環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても非芳香族ヘテロ環であってもよい。
以下に、R21、R22及びZ1で表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。
ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。この中でも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
1、Y2、Y3及びY4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、各々は、さらに置換基を有していてもよい。
これら中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
1、R21、R22、Y1、Y2、Y3及びY4が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜30の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜30の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基で、詳しくは(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、及び4級アンモニウム基)等が挙げられる。
1〜a4、b1〜b4は、各々、X1〜X4、Y1〜Y4の置換基数を表し、a1〜a4は各々独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4は各々独立に0〜4の整数を表す。ただしa1〜a4の総和は2以上である。ここで、a1〜a4及びb1〜b4が2以上の整数を表すとき、複数のX1〜X4及びY1〜Y4は各々同一でも異なっていてもよい。
1、b1は、a1+b1=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a1が1又は2を表し、b1が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa1が1を表し、b1が3を表す組み合わせが最も好ましい。
2、b2は、a2+b2=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a2が1又は2を表し、b2が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa2が1を表し、b2が3を表す組み合わせが最も好ましい。
3、b3は、a3+b3=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a3が1又は2を表し、b3が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa3が1を表し、b3が3を表す組み合わせが最も好ましい。
4、b4は、a4+b4=4の関係を満たす各々独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいのは、a4が1又は2を表し、b4が3又は2を表す組み合わせであり、その中でもa4が1を表し、b4が3を表す組み合わせが最も好ましい。
Mは、水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表す。
Mとして好ましいものは、水素原子、金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。また、水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。これらの中でも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
また、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L-M−Pc)又は3量体を形成してもよく、その場合のMは、各々、同一であっても異なるものであってもよい。
Lで表される2価の連結基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、イミノ基(−NH−)、又はメチレン基(−CH2−)が好ましい。
前記一般式(C−I)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは以下の通りである。
1〜X4としては、各々独立に、−SO2−Z1又は−SO2NR2122が特に好ましい。
1は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
21及びR22は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
1〜Y4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
1〜a4は、各々独立に、1又は2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。b1〜b4は、各々独立に、3又は2であることが好ましく、特に3であることが好ましい。
Mは、水素原子、金属元素又はその酸化物、水酸化物若しくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
前記一般式(C−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(C−I)で表される化合物の中でも、下記一般式(C−II)で表される構造の化合物がより好ましい。
Figure 2005297535
前記一般式(C−II)において、X11〜X14、Y11〜Y18は、前記一般式(C−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4と各々同義であり、好ましい例も同様である。また、M1は、前記一般式(C−I)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
具体的には、式(C−II)中、X11、X12、X13及びX14は、各々独立に、−SO−Z11、−SO2−Z11、又は−SO2NR2324を表す。
11は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
23は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、R24は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17及びY18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、各々の基は、さらに置換基を有していてもよい。
11〜a14は各々X11〜X14の置換基数を表し、各々独立に、0〜2の整数を表すが、すべてが同時に0になることは無い。なお、a11〜a14が2を表すとき、2つのX11〜X14は各々同一でも異なっていてもよい。
1は水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物である。
前記一般式(C−II)中、好ましくはa11〜a14は、4≦a11+a12+a13+a14≦8の範囲である各々独立の1又は2の整数を表し、特に好ましいのは、4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのは、a11=a12=a13=a14=1のときである。
一般式(C−II)で表される化合物の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
11〜X14としては、各々独立に−SO2−Z11又は−SO2NR2324が特に好ましい。
11は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
23は、各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
24は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
11〜Y18は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
11〜a14は、各々独立に、1又は2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。
1は、水素原子、金属元素若しくはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表し、特に、Cu、Ni、Zn、Alが好ましく、その中でもCuが最も好ましい。
前記一般式(C−II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(C−I)で表される化合物は、その合成法によって不可避的に置換基Rn(n=1〜4)及びYq(q=1〜4)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、これら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明は、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。
本発明においては、前記一般式(C−I)及び(C−II)で表される化合物であるフタロシアニン系色素類縁体混合物を、置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
(1)β-位置換型:(2及び/又は3位、6及び/又は7位、10及び/又は11位、14及び/又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
(2)α-位置換型:(1及び/又は4位、5及び/又は8位、9及び/又は12位、13及び/又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
(3)α,β-位混合置換型:(1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置)フタロシアニン系染料の誘導体を説明する場合、前記β-位置換型、α-位置換型、α,β-位混合置換型を使用する。
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用若しくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
前記一般式(C−I)で表される化合物は、WO00/17275、同0
0/08103、同00/08101、同98/41853、特開平10−36471号の各公報などに記載されているように、例えば、無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として本発明に係る化合物を合成する時には、ヘテロ環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、本発明に係る化合物としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β-位混合置換型混合物として得られる。
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を多くフタロシアニン核に導入すると、酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。前記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
それに対して、本発明に係る一般式(C−II)で表される化合物は、例えば、下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を下記一般式(C−III)で表される金属誘導体と反応させて得られる化合物から誘導できる。
Figure 2005297535
化合物P、Q中、pは、11〜14を表し、q及びq’は、各々独立に、11〜18を表す。
一般式(C−III)
M−(Y)d
前記一般式(C−III)において、Mは、前記一般式(C−I)及び(C−II)で表される化合物におけるMと同義であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数を表す。
即ち、前記の合成法に従えば、望みの置換基を特定の数だけ導入することができる。特に、酸化電位を高くするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、前記合成法は一般式(C−I)で表される化合物の合成法と比較して極めて優れている。
かくして得られる前記一般式(C−II)で表される化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(C−II−1)〜(C−II−4)で表される化合物の混合物、即ちβ−位置換型(2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン系染料)となっている。
Figure 2005297535
Figure 2005297535
前記一般式(C−II−1)〜(C−II−4)において、R1〜R4は、前記一般式(C−II)における(X11)a11〜(X14)a14と同義である。
本発明においては、いずれの置換型においても酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることが堅牢性の向上に非常に重要であることが見出されている。中でもα,β−位混合置換型よりはβ−位置換型の方が、色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において優れている傾向にある。
前記一般式(C−I)又は(C−II)で表される化合物の例示化合物(C−101〜C−120)を下記に示すが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
Figure 2005297535
前記一般式(C−I)で表される化合物は、前述した特許に従えば合成することが可能である。また、一般式(C−II)で表される化合物は、特願2000−24352号、同2000−47013号、同2000−57063号、同2000−96610号の各明細書に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、色素中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
また、前記油溶性染料(油溶性化合物)は、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が高いことが望ましい。油溶性染料の酸化電位は1.0V(vs SCE)よりも高い(貴である)ことが望ましい。また、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも高いものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より高いものが更に好ましく、1.3V(vs SCE)より高いものが特に好ましい。
酸化電位に関しては、特開2002−309118号の段落[0049]から[0051]に記載されている。
(疎水性ポリマー)
疎水性ポリマーとしては、油溶性ポリマーを挙げることができる。
前記油溶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ビニルポリマーが好適に挙げられる。前記ビニルポリマーとしては、従来公知のものが挙げられ、水不溶性型、水分散(自己乳化)型、水溶性型の何れもものであってもよいが、着色微粒子の製造容易性、分散安定性等の点で水分散型のものが好ましい。
前記水分散型のビニルポリマーとしては、イオン解離型のもの、非イオン性分散性基含有型のもの、あるいはこれらの混合型のもののいずれであってもよい。前記イオン解離型のビニルポリマーとしては、三級アミノ基などのカチオン性の解離性基を含有するビニルポリマーや、カルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離性基を含有するビニルポリマーが挙げられる。前記非イオン性分散性基含有型のビニルポリマーとしては、ポリエチレンオキシ鎖などの非イオン性分散性基を含有するビニルポリマーが挙げられる。これらの中でも、着色微粒子の分散安定性の点で、アニオン性の解離性基を含有するイオン解離型のビニルポリマー、非イオン性分散性基含有型のビニルポリマー、混合型のビニルポリマーが好ましい。前記ビニルポリマーを形成するモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
即ち、アクリル酸エステル類、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、グリシジルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートsec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−iso−プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルメタクリレートなどが挙げられる。ビニルエステル類、具体的には、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなどが挙げられる。
アクリルアミド類、具体的には、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、tert−オクチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
メタクリルアミド類、具体的には、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等、スチレン類、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
また、解離性基を有するモノマーとしては、アニオン性の解離性基を有するモノマー、カチオン性の解離性基を有するモノマーが挙げられる。
前記アニオン性の解離性基を有するモノマーとしては、例えば、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
前記カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロトン酸、イタコン酸モノアルキルエステル(例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、マレイン酸モノアルキルエステル(例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなど)などが挙げられる。
前記スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸、アクリロイルオキシエチルスルホン酸、アクリロイルオキシプロピルスルホン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸など)、アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸など)、メタクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−メタクルリアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸など)などが挙げられる。
前記リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクリロイルオキシエチルホスホン酸などが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、メタクリルアミドアルキルスルホン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸がより好ましい。
前記カチオン性の解離性基を有するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノエチルアタクリレートなどの3級アミノ基を有するモノマーが挙げられる。
また、非イオン性分散性基を含有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとカルボン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとスルホン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとリン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとイソシアネート基含有モノマーから形成されるビニル基含有ウレタン、ポリビニルアルコール構造を含有するマクロモノマーなどが挙げられる。前記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのエチレンオキシ部の繰り返し数としては、8〜50が好ましく、10〜30がより好ましい。前記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのアルキル基の炭素原子数としては、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。
これらのモノマーは、1種単独で使用されてビニルポリマーが形成されていてもよいし、2種以上が併用されてビニルポリマーが形成されていてもよく、前記ビニルポリマーの目的(Tg調節、溶解性改良、分散物安定性等)に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、前記ビニルポリマーの中でも、前記解離性基を有するものが好ましく、前記解離性基としてカルボキシル基及びスルホン酸基の少なくとも一方を有するものがより好ましく、前記解離性基としてカルボキシル基を有するものが特に好ましい。
前記ビニルポリマーにおける解離性基の含量としては、0.1〜3.0mmol/gが好ましく、0.2〜2.0mmol/gがより好ましい。なお、前記解離性基の含量が、少ない場合にはビニルポリマーの自己乳化性が小さく、多い場合には水溶性が高くなり染料の分散に適さなくなる傾向がある。なお、前記解離基として、前記アニオン性の解離基としては、更に、アルカリ金属(例えばNa、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩などであってもよく、前記カチオン性の解離基としては、更に、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸)や無機酸(塩酸、硫酸など)の塩であってもよい。
前記ビニルポリマーの具体例(P−1)〜P−105))を以下に列挙する。括弧内の比は質量比を意味する。なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
P-1) メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体(50:50)
P-2) メチルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体(65:35)
P-3) ブチルアクリレート−スチレン共重合体(50:50)
P-4) ポリエチルメタクリレート
P-5) ポリn−ブチルメタクリレート
P-6) ポリイソブチルメタクリレート
P-7) ポリイソプロピルメタクリレート
P-8) ポリメチルクロロアクリレート
P-9) ポリ(2−tert−ブチルフェニルアクリレート)
P-10) ポリ(4−tert−ブチルフェニルアクリレート)
P-11) n−ブチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
P-12) メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(70:30)
P-13) メチルメタクリレート−スチレン共重合体(50:50)
P-14) イソブチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(55:45)
P-15) n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−スチレン共重合体(50:30:20)
P-16) 酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体(85:15)
P-17) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(65:35)
P-18) n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(35:35:30)
P-19) ジアセトンアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(50:50)
P-20) エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体(70:30)
P-21) メチルメタクリレート−シクロヘキシルアクリレート共重合体(50:50)
P-22) tert−ブチルメタクリルアミド−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
P-23) n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(80:20)
P-24) メチルメタクリレート−イソブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(52:28:20)
P-25) sec−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(85:15)
P-26) n−ブチルメタクリレート−ペンチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(38:38:24)
P-27) エチルアクリレート−アクリル酸(95:5)
P-28) イソプロピルアクリレート−アクリル酸共重合体(90:10)
P-29) ブチルメタクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(85:5:10)
P-30) シアノエチルアクリレート−ベンジルメタクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
P-31) イソブチルメタクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
P-32) n−ブチルメタクリレート−tert−ブチルアクリルアミド−アクリル酸共重合体(55:37:8)
P-33) n−ブチルメタクリレート−1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート−アクリル酸共重合体(75:20:5)
P-34) メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(50:45:5)
P-35) 2エチルヘキシルメタクリレート−メチルアクリレート−アクリル酸共重合体(40:55:5)
P-36) 3−メトキシブチルメタクリレート−スチレン−アクリル酸共重合体(35:50:15)
P-37) シクロヘキシルメタクリレート−アリルメタクリレート−アクリル酸共重合体(35:50:15)
P-38) イソプロピルメタクリレート−フルフリルメタクリレート−アクリル酸共重合体(80:10:10)
P-39) イソプロピルメタクリレート−2−ブトキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(75:15:10)
P-40) エチルアクリレート−フェニルメタクリレート−アクリル酸共重合体(72:15:13)
P-41) イソブチルメタクリレート−2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(80:10:10)
P-42) イソブチルメタクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数23)のメタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体(70:20:10)
P-43) イソブチルメタクリレート−ジプロピレングリコールモノメタクリレート−アクリル酸共重合体(85:5:10)
P-44) イソブチルメタクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数9)のメタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体(80:10:10)
P-45) イソブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート−アクリル酸共重合体(75:15:10)
P-46) イソブチルアクリレート−メトキシスチレン−アクリル酸共重合体(75:15:10)
P-47) イソブチルアクリレート−N−ビニルピロリドン−アクリル酸共重合体(60:30:10)
P-48) tert−ブチルアクリレート−メタクリル酸共重合体(88:12)
P-49) ヘキシルアクリレート−スチレン−メタクリル酸共重合体(80:5:15)
P-50) 2,2,2−テトラフルオロエチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体−メタクリル酸共重合体(25:60:15)
P-51) エチルメタクリレート−2−メトキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-52) エチルメタクリレート−2−エトキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-53) ビニルアセテート−メタクリル酸共重合体(85:15)
P-54) n−ブチルメタクリレート−アクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-55) tert−オクチルアクリルアミド−プロピルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(20:65:15)
P-56) n−ブチルメタクリレート−ブトキシメチルアクリルアミド−メタクリル酸共重合体(80:5:15)
P-57) n−ブチルメタクリレート−ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート−メタクル
酸共重合体(80:5:15)
P-58) イソブチルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-59) n−ブチルメタクリレート−ブチルアクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-60) n−ブチルメタクリレート−フェニルアクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-61) n−ブチルメタクリレート−メタクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-62) n−ブチルメタクリレート−メトキシエチルメタクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-63) n−ブチルメタクリレート−N−ビニルピロリドン−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
P-64) イソブチルメタクリレート−1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート−メタクリル酸共重合体(55:30:15)
P-65) イソブチルメタクリレート−2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(50:35:15)
P-66) n−ブチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体(90:10)
P-67) エチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体(90:10)
P-68) n−ブチルアクリレート−スチレン−スチレンスルホン酸共重合体(80:10:10)
P-69) イソブチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体(90:10)
P-70) イソブチルアクリレート−トリエチレングリコールモノメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体(80:10:10)
P-71) n−ブチルアクリレート−1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体(80:10:10)
P-72) n−ブチルアクリレート−2−ブトキシエチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体(70:20:10)
P-73) n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸共重合体(90:10)
P-74) n−ブチルアクリレート−2−ブトキシエチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸共重合体(70:20:10)
P-75) イソブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸共重合体(90:10)
P-76) イソブチルアクリレート−n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸共重合体(70:20:10)
P-77) エチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホ
ン酸共重合体(60:30:10)
P-78) n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(90:10)
P-79) エチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(90:10)
P-80) エチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-81) n−ブチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-82) tert−ブチルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(50:40:10)
P-83) tert−ブチルアクリレート−1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルメタクリレート−2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-84) tert−ブチルアクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数23)のメタクリル酸エステル−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-85) イソブチルアクリレート−N−ビニルピロリドン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-86) エチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合(90.4:9.6)
P-87) n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(98:12)
P-88) イソブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(90.4:9.6)
P-89) n−ブチルメタクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(50:35:15)
P-90) ビニルピロリドン−イソブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(50:35:15)
P-91) n−ブチルメタクリレート−2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(90:10)
P-92) n−ブチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-93) イソブチルアクリレート−ヒドロキシメチルアクリルアミド−2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(80:10:10)
P-94) n−ブチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−ビニルスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-95) ヘキシルメタクリレート−メチルメタクリレート−ビニルスルホン酸共重合体(40:45:15)
P-96) エチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−ビニルスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-97) n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸共重合体(90:10)
P-98) エチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸共重合体(90:10)
P-99) エチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-100) n−ブチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸共重合体(60:30:10)
P-101) エチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸ソーダ共重合体(90.4:9.6)
P-102) n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸ソーダ共重合体(98:12)
P-103) イソブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸ソーダ共重合体(90.4:9.6)
P-104) n−ブチルメタクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸ソーダ共重合体(50:35:15)
P-105) n−ブチルメタクリレート−2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸共重合体(90:10)
前記ビニルポリマーの分子量(Mw)としては、通常1000〜100000であり、3000〜50000が好ましい。前記分子量が1000〜10000であると、安定な着色微粒子の分散物を得られるとともに、有機溶媒への溶解性がよく、有機溶媒の粘度が適度で分散しやすくなる。
−微粒子分散物の製造−
本発明に係る微粒子分散物は、前記油溶性化合物と前記疎水性ポリマーとを水性媒体(少なくとも水を含有する液)中に着色微粒子の形で分散させることにより製造される。具体的には、例えば、予め前記疎水性ポリマーのラテックスを調製しこれに前記油溶性化合物を含浸させる方法、あるいは共乳化分散法などが挙げられる。
これらの中でも、前記共乳化分散法が好ましい。前記共乳化分散法としては、前記分散性ポリマーと前記油溶性化合物とを含有する有機溶媒に水を添加すること、及び、水中に該有機溶媒を添加すること、のいずれかにより、該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法が好適に挙げられる。
なお、前記ラテックスとは、水性媒体に不溶な前記分散性ポリマーが微細な粒子として水性媒体中に分散したものを意味する。前記分散の状態としては、前記分散性ポリマーが前記水性媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいは前記分散性ポリマーが分子中に部分的に親水的な構造をもち分子鎖自身が分子状分散したもの、などのいずれであってもよい。
−有機溶剤−
前記微粒子分散物を製造する際に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、前記油溶性化合物や前記分散性ポリマーの溶解性に基づいて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
有機溶剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また前記染料やポリマーの溶解性によっては、水との混合溶媒であってもよい。
前記有機溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記分散性ポリマー100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。
前記有機溶剤の使用量を10〜2000質量部とすることにより、着色微粒子の微細で安定な分散をさせやすくなるとともに、前記有機溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が容易で、かつ配合設計上の余裕をもたせることができる。
前記有機溶剤は、有機溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、微粒子分散物の安定性及び安全衛生上の観点から有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する方法は溶剤の種類に応じて各種の公知の方法を用いることが出来る。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この有機溶剤の除去工程は乳化直後、出来るだけ速やかに行うのが好ましい。
−粘度調整剤−(粘度を上げるための添加剤)
本発明に係る微粒子分散物の粘度は5〜70mPa・sの範囲が好ましい。更に10〜50mPa・sの範囲に調整することがより好ましく、目標の粘度に調整する目的で粘度調整剤が使用される。粘度調整剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン等に代表される多価アルコール類、アミルアルコール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー等があげられる。
これらのうち多価アルコール類と置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類が好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類がより好ましい。また前記の前記水溶性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの水溶性有機溶剤はインク中に5〜60質量%含有することが好ましく、7〜50質量%含有することがさらに好ましく、10〜40質量%含有することが特に好ましい。
−添加剤−
本発明に係る微粒子分散物は、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、例えば、中和剤、疎水性高沸点有機溶媒、分散剤、分散安定剤などが挙げられる。
前記中和剤は、前記分散性ポリマーが未中和の解離性基を有する場合に、微粒子分散物のpH調節、自己乳化性調節、分散安定性付与等の点で好適に使用することができる。
前記中和剤としては、有機塩基、無機アルカリなどが挙げられる。
前記有機塩基としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニアなどが挙げられる。
前記中和剤は、微粒子分散物における分散安定性を向上させる観点からは、pH4.5〜10.0となるよう添加するのが好ましく、pH6.0〜10.0となるよう添加するのがより好ましい。
前記疎水性高沸点有機溶媒は、微粒子分散物の粘度、比重、及び印字性能の調整などに用いられる。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、疎水性であり、沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。ここで「疎水性」とは、25℃における蒸留水に対する溶解度が3%以下であることをいう。また、前記疎水性高沸点有機溶媒の誘電率は3〜12であるのが好ましく、4〜10であるのがより好ましい。尚、ここで、誘電率とは25℃における真空に対する比誘電率をいう。前記疎水性高沸点有機溶媒としては、米国特許第2,322,027号明細書、特願平2000−78531号明細書に記載等に記載の化合物を用いることができる。具体的には、リン酸トリエステル類、フタル酸ジエステル類、アルキルナフタレン類、安息香酸エステル類などが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
前記高沸点溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記分散性ポリマー100質量部に対し、0〜1000質量部が好ましく、0〜300質量部がより好ましい。
前記分散剤及び/または分散安定剤は前記ポリマーラテックス、前記着色剤含有液、前記ポリマー着色剤混合液、前記着色剤微粒子分散液、前記ポリマー溶液、少なくとも水を含む液等のいずれに添加してもよいが、前記ポリマーラテックス及び/または着色剤微粒子分散液を調製する前工程の、前記着色剤含有液、水を含む溶液に添加するのが好ましい。
前記分散剤、分散安定剤としては、カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、水溶性または水分散性の低分子化合物、オリゴマー等が挙げられる。前記分散剤、分散安定剤の添加量としては、前記油溶性化合物と前記疎水性ポリマーとの合計に対し、0〜100質量%であり、0〜20質量%が好ましい。
(インク組成物)
本発明に係るインク組成物は、前記微粒子分散物の他、更に必要に応じて適宜選択したその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、水溶性有機溶剤、乾燥防止剤、浸透促進剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調節剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤、防錆剤、紫外線吸収剤等等の公知添加剤が挙げられ、これらは特開2001−279141号の段落番号(0217)から(0226)まで、特開2001−181549号公報に記載のものを用いることができる。
水溶性有機溶剤はインク組成物の粘度調整や乾燥防止剤や浸透促進剤の目的で使用される。水溶性有機溶剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン等に代表される多価アルコール類、アミルアルコール、フルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等に代表される置換あるいは無置換の脂肪族一価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤はインク組成物中に5〜60質量%含有することが好ましく、7〜50質量%含有することがさらに好ましく、10〜40質量%含有することが特に好ましいが、最終の添加量は目標とする粘度により調整される。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年) 記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少なくいことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤(例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物など)、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤(例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(AirProducts&Chemicals社))など)が好ましく、中でも、分子量200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものが更に好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
本発明に係るインク組成物の表面張力はこれらを使用しても使用しなくても20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。動的表面張力はこれらを使用しても使用しなくても20〜40mN/mが好ましい。さらに25〜35mN/mが好ましい。
<記録媒体>
次に、本発明に係る記録媒体について詳細に説明する。
本発明に係る記録媒体は、ポリマー微粒子を少なくとも含有する多孔質構造のインク受容層を支持体上に設けてなり、更に、目的及び必要に応じて適宜に選択したその他の層、例えば、バック層、保護層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電防止層、反射層、色味調整層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層等を有してもよい。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
本発明においては、前記記録媒体を構成するインク受容層が細孔を有し、多孔質構造を備えている。このインク受容層の多孔質構造が、ポリマー微粒子の二次粒子により形成されることが、空隙率をより大きくでき、インク吸収量を増加させることができる点で好ましい。
ここで、前記インク受容層の吸着側の細孔分布曲線は、例えば、窒素ガス吸着法で測定し、BJH法により算出することができる。
具体的には、図1(ポリマー微粒子の1次粒径が75nm)及び図2(ポリマー微粒子の1次粒径が49nm)に示す様に、ポリマー微粒子の2次粒子が形成され、硬膜を有する場合の細孔分布曲線は、2次粒子が形成され、硬膜を有しない場合の細孔分布曲線及び1次粒子のみが形成された場合の細孔分布曲線に比べて細孔容積の最大ピークが大きくなり、それに対応する細孔直径も大きくなることが認められる。また、多孔質構造のインク受容層の細孔分布曲線の最適化は、後述する実施例の結果からも導くことができる。
従って、本発明においては、窒素ガス吸着法による細孔分布曲線から求めた前記ポリマー微粒子の粒径と同一細孔直径以上におけるインク受容層の細孔容積A(×10-5ml/cm2)を、該インク受容層の乾燥膜厚B(μm)で除したインク受容層の単位厚み当たりの細孔容積(A/B)が、2.0(×10-5ml/cm2/μm)以上であり、該(A/B)は3.0(×10-5ml/cm2/μm)以上がより好ましく、特に3.0〜5.0(×10-5ml/cm2/μm)が好ましい。
前記インク受容層の単位厚み当たりの細孔容積(A/B)が2.0(×10-5ml/cm2/μm)以上であると、単位厚み当たりのインク受容層の空隙率が大きく、インクの吸収量が十分である。
前記ポリマー微粒子の粒径と同一細孔直径以上におけるインク受容層の細孔容積Aは、インク受容層の乾燥膜厚に応じて異なるが、例えば、50(×10-5ml/cm2)以上が好ましく、100(×10-5ml/cm2)以上がより好ましく、特に130(×10-5ml/cm2)以上が好ましい。
前記インク受容層に含有されるポリマー微粒子の粒径と同一孔径における細孔容積Aは、窒素ガス吸着法で測定し、BJH法により算出した細孔分布曲線により求めることができる。
また、前記ポリマー微粒子の粒径X(nm)に対する、窒素ガス吸着法による細孔分布曲線から求めたインク受容層の細孔容積の最大ピークに対応する細孔直径Y(nm)の比率〔(Y/X)×100〕が、65%以上であり、70%以上がより好ましい。該比率〔(Y/X)×100〕が65%未満であると、インク吸収性が悪化し、画像が滲んでしまうことがある。尚、インク受容層の乾燥膜厚は、特に制限されないが、10〜100μmが好ましく、15〜70μmがより好ましく、特に20〜50μmが最も好ましい。
また、窒素ガス吸着法による細孔分布曲線から求めた前記インク受容層のポリマー微粒子の二次粒子による細孔容積の最大ピークに対応する細孔直径Yが、33nm以上であり、35nm以上が好ましく、特に40nm以上が好ましい。前記インク受容層の細孔分布曲線が、細孔直径Yが33nmよりも小さいところに最大ピークを持つ場合には、十分なインク吸収能が得られないことがある。ここで、最大ピークとはインク受容層の細孔分布曲線のピークの内で最大のものを意味する。
また、前記細孔容積の最大ピークは、インク受容層の乾燥膜厚等に応じて異なるが、例えば、200ml/cm2以上が好ましく、220ml/cm2以上がより好ましい。更に、前記細孔分布曲線は、細孔直径30〜80nmの範囲に細孔容積の最大ピークを有することが好ましい。
(インク受容層)
本発明に係る記録媒体を構成するインク受容層の、上述した様な特性を満足する細孔の形成は、インク受容層の形成材料であるポリマー微粒子の種類、粒子径及び形状等、また、ポリマー微粒子と共に用いる水溶性樹脂の種類や、ポリマー微粒子に対する水溶性樹脂の混合比率等、更には、インク受容層を構成する架橋剤や媒染剤等の種類や添加量、インク受容層を形成する場合の乾燥条件や膜厚等の関係を適宜調整することによって可能となる。以下、インク受容層の構成成分について詳細に説明する。
(ポリマー微粒子)
前記インク受容層がポリマー微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該ポリマー微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えた記録媒体が得られるので好ましい。尚、ポリマー微粒子のインク受容層における固形分含有量の上限値は、特に制限されないが、通常は90質量%以下であるのが望ましい。ここで、ポリマー微粒子のインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
前記ポリマー微粒子(ラテックス)としては、各種ポリマーの親水性溶媒分散体の形態で用いることができる。具体的には、ビニルモノマーの(共)重合体、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー及びこれらの変性物や共重合体等の水分散体を用いることができる。これらの中でも、ビニルモノマーの(共)重合体、ウレタン系ポリマーの使用が好ましく、インク吸収性と塗膜強度の観点から、特にビニルモノマーの(共)重合体が好ましい。
前記ビニルモノマーとしては、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエン)、シアン化ビニル(例えば、(メタ)アクリルニトリル及びα-クロロアクリロニトリル)、カルボン酸ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル)脂肪族共役ジエン(例えば、1,3−ブタジエン及びイソプレン)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例えば、ベンジル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート)、アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−オクチル(メタ)アクリルアミド)、置換アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、重合性オリゴマー(例えば、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール)などが好ましく用いられる。
前記ポリマー微粒子は多官能モノマーで架橋されていることが望ましい。多官能モノマーとしては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン又はこれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステル及びアミド(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート)、及び他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物又はジビニルスルホン化合物)、などが挙げられる。
前記ポリマー微粒子における多官能モノマーの導入率は2モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。これにより、塗布及び乾燥時の粒子の変形を防ぐことができ、インク受容層の空隙を増大させることができる。
通常、これらのポリマー微粒子は乳化重合法によって得られる。そこで用いられる界面活性剤や重合開始剤等については、常法で用いられるものから適宜に選択して用いることができる。該ポリマー微粒子の合成法に関しては、米国特許第2,852,368号、同第2,853,457号、同第3,411,911号、同第3,411,912号、同第4,197,127号、ベルギー特許第688,882号、同第691,360号、同第712,823号、特公昭45−5331号、特開昭60−18540号、同51−130217号、同58−137831号、同55−50240号、等の各公報に詳しく記載されている。
前記ポリマー微粒子の平均粒径は10〜100nmが好ましく、15〜80nmがより好ましい。また、ポリマー微粒子のガラス転移温度(Tg)には特に限定はないが、塗布及び乾燥時の粒子の変形防止の観点から、一般的には、ガラス転移温度が高く、硬いものが好ましいが、使用するバインダーの種類やバインダーとの量比及びインク吸収性等の関係を考慮して適宜に選ぶことができる。
前記ポリマー微粒子は二次粒子を形成するものが好ましく、これにより、インク受容層の空隙率を大きくすることができる。
(水溶性樹脂)
本発明に係る記録媒体では、そのインク受容層が、上述したポリマー微粒子と共に水溶性樹脂を含有することが好ましい。
前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコール樹脂の例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等の公報に記載されたものなどが挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落[0011]〜[0014]に記載の化合物なども挙げられる。これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
前記水溶性樹脂の含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、4〜25質量%が好ましく、5〜16質量%がより好ましい。
インクジェット記録において、上述の様にして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって速やかにインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
(ポリマー微粒子と水溶性樹脂との質量含有比)
ポリマー微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
前記インク受容層は、前記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、4/1〜20/1が好ましく、6/1〜20/1がより好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。また、シート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが好ましい。
(架橋剤)
本発明に係る記録媒体のインク受容層は、前記水溶性樹脂を含む塗布層が更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含む形態が好ましく、特に前記ポリマー微粒子と前記水溶性樹脂とを併用し、更に該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
前記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
前記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。即ち、
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
前記の架橋剤は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明において、前記の架橋硬化は、ポリマー微粒子及び水溶性樹脂等を含有する塗布液(以下、「塗布液A」ということがある。)及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、且つ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、の何れかの時に、pHが8以上の塩基性溶液(以下、「塗布液B」ということがある。)を前記塗布層に付与することにより行うことが好ましい。
前記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると、下記の様に行われることが好ましい。即ち、インク受容層が、ポリマー微粒子及びポリビニルアルコールを含む水溶性樹脂を含有する塗布液(塗布液A)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、の何れかの時に、pHが8以上の塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤であるホウ素化合物は、塗布液A、又は塗布液Bの何れかに含有させればよく、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させてもよい。
前記架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
(媒染剤)
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの向上を図るために、インク受容層に媒染剤が含有されることが好ましい。該媒染剤としては有機媒染剤としてカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましく、該媒染剤をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用を起こし色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。有機媒染剤及び無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用してもよく、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
媒染剤はポリマー微粒子と水溶性樹脂を含む前記塗布液Aに添加する方法、又はポリマー微粒子との間で凝集を生ずる懸念がある場合は、前記塗布液Bに含有させ塗布する方法を利用できる。
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。これら媒染剤は、インク受容層のインク吸収性の良化の観点から、重量平均分子量が500〜100000の化合物が好ましい。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子等のいずれの形態でも使用できる。
前記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的には、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。 その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、アリルアミン、ジアリルアミンやその誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的である。また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
前記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性或いはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、或いは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
前記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。 中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
前記非媒染モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基をエステル部分に有する(メタ)アクリレート含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基を有するスチリル型ポリマー等も好ましいものとして挙げることができる。
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号、特公平5‐35162号、同5-35163号、同5‐35164号、同5-88846号、特開平7-118333号、特開2000-344990号、特許第2648847号、同2661677号等の各公報に記載のもの等が挙げられる。中でもポリアリルアミン及びその誘導体が特に好ましい。
本発明における有機媒染剤としては、特に経時滲みの防止の観点から、重量平均分子量が100000以下のポリアリルアミン及びその誘導体が好ましい。
本発明において、ポリアリルアミン又はその誘導体としては、公知の各種アリルアミン重合体及びその誘導体が使用することができる。このような誘導体としては、ポリアリルアミンと酸との塩(酸としては塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸などの有機酸、或いはこれらの組合せや、アリルアミンの一部分のみを塩にしたもの)、ポリアリルアミンの高分子反応による誘導体、ポリアリルアミンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(該モノマーの具体例としては(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、(メタ)アクリルアミド類、アクリロニトリル、ビニルエステル類等)が挙げられる。
前記ポリアリルアミン及びその誘導体の具体例としては、特公昭62−31722号、特公平2−14364号、特公昭63−43402号、同63−43403号、同63−45721号、同63−29881号、特公平1−26362号、同2−56365号、同2−57084号、同4−41686号、同6−2780号、同6−45649号、同6−15592号、同4−68622号、特許第3199227号、同3008369号、特開平10−330427号、同11−21321号、特開2000−281728号、同2001−106736号、特開昭62−256801号、特開平7−173286号、同7−213897号、同9−235318号、同9−302026号、同11−21321号、WO99/21901号、WO99/19372号、特開平5−140213号、特表平11−506488号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
前記媒染剤としては無機媒染剤を用いることも可能で、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
無機媒染剤としては、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
本発明において、インク受容層に含まれる前記媒染剤量は、0.01g/m2〜5g/m2が好ましく、0.1g/m2〜3g/m2がより好ましい。
(その他の成分)
本発明に係る記録媒体は、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
本発明において、インク受容層は酸を含有していてもよい。酸を添加することで、インク受容層の表面pHを3〜8、好ましくは5〜7.5に調整する。これにより白地部の耐黄変性が向上するので好ましい。表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面pHの測定の内A法(塗布法)により測定を行う。例えば、前記A法に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用pH測定セット「形式MPC」を使用して該測定を行うことができる。
具体的な酸の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ほう酸、ボロン酸等が挙げられる。これらの酸の添加量は、インク受容層の表面pHが3〜8になるように決めればよい。前記の酸は金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
本発明においては、インク受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル化フェノール化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ヒドロキシアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が好ましい。
具体的な化合物としては、特開2002−307822号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号、特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号、同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号等の各公報に記載のものが挙げられる。
前記その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。この前記その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。本発明に係る記録媒体では、前記その他の成分の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
本発明において、インク受容層用塗布液は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液及び第2の塗布液において使用することができる。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号、特開昭59−49535号、同63−236546号、特開平5−303205号、同8−262742号、同10−282619号、特許第2514194号、特許2759795号、特開2000-351269号の各公報等に記載されているものを好適に使用できる。前記両性界面活性剤のなかでも、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型が好ましい。前記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム)、アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物が挙げられる。 例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
前記界面活性剤の含有量としては、インク受容層用塗布液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行う場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。前記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えば、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えば、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば、大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えば、リノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
(支持体)
本発明に係る記録媒体の支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用いレーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。該透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。更にポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、所謂型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
前記バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
(記録媒体の作製)
本発明に係る記録媒体のインク受容層は、例えば、支持体表面に少なくともポリマー微粒子と水溶性樹脂を含む第一の塗布液(以後、「塗布液(A)」と言うこともある。)を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかに少なくとも媒染剤を含むpHが8以上の第二の塗布液(以後、「塗布液(B)」と言うこともある。)を付与した後、該第二の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。ここで、本発明に係るポリマー微粒子は、前記塗布液(A)或いは塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。また、前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤も、前記塗布液(A)或いは塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。この様にして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
前述の様にすると、媒染剤がインク受容層の表面近くに多く存在するので、インクジェットのインク(インク組成物)が十分に媒染され、印字後の文字や画像の耐水性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は前記塗布液(A)に含有させてもよく、その場合は、塗布液(A)と塗布液(B)の媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
該インク受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
インク受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塗布液(B)が付与されるが、該塗布液(B)は、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、インク受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に媒染剤を導入することで好適に製造される。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
前述の通り、第一の塗布液の塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は前記範囲が適当である。
前記第一の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、(1)塗布液(B)を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)塗布液(B)中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
前記方法(1)において、塗布液(B)を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
該媒染剤溶液(塗布液(B))の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行われる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
また、前記媒染剤溶液(塗布液(B))を、インク受容層塗布液(塗布液(A))を塗布すると同時に付与する場合、インク受容層塗布液(塗布液(A))及び媒染剤溶液(塗布液(B))を、該インク受容層塗布液(塗布液(A))が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後、乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行うことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行われ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行われる。
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行った場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、前記のように同時塗布する際は、インク受容層塗布液(塗布液(A))及び媒染剤溶液(塗布液(B))の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を前記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。前記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行う必要がある。
前記カレンダー処理を行う場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
前記インク受容層の乾燥膜厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の乾燥膜厚としては、10〜100μmが好ましい。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。該ヘイズ値は、ヘイズメーター(スガ試験機(株)の「HGM−2DP」)を用いて測定することができる。
また、本発明に係る記録媒体は、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
<<記録方法>>
本発明の記録方法は、上述した記録媒体に対して、前述の油溶性化合物と疎水性ポリマー等を含む微粒子分散物を含有するインク組成物(以下、単に「インク」という場合がある。)を用いて記録を行うものであり、例えば、前記記録媒体上に、前記インク組成物を着弾することにより画像を形成する。このように、前記記録媒体に前記インク組成物を用いて記録させる方式としては、インクジェット記録方式、印刷方式、フォトリソ方式、転写方式等が挙げられ、中でも特に、インクジェット記録方式、フォトリソ方式が好ましい。
本発明の記録方法では、以上のようにして画像を形成した後、前記微粒子及びインク受容層に加熱処理、必要に応じて加圧処理を施して、前記微粒子を融着させる。
以下に、本発明において特に好ましい、インクをノズルより効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得るインクジェット記録方式を例に、本発明の記録方法を説明する。
前記インクジェット記録方式は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
インクジェット記録方式としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット記録方式を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、前記インクジェット記録方式で使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット記録方式により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
<加熱処理>
本発明においては、前記記録媒体に前記インク組成物を用いて画像を記録させた後、加熱処理を施す。具体的には、画像形成後の記録媒体に加熱処理を施すことにより皮膜を形成することが好ましい。該皮膜は、インク受容層中のポリマー微粒子の熱による融着によるものである。該皮膜がインク受容層表面を覆うことにより、耐水性、耐擦過性、耐光性、オゾン耐性を向上させることができる。なお、本発明においては、インク組成物中に顔料を含まないことから、耐擦過性において特に優れる。
加熱処理は、ポリマー微粒子のガラス転移温度(Tg)以上で行うことが好ましく、Tgより10℃程度高温で行うことがより好ましい。加熱手段は特に制限されず、熱風、アイロン、加熱したローラー、または赤外線などを用いることができる。塗布後より加熱するまでの時間は特に制限されないが、短時間の方がよい。好ましくは1秒〜3分であり、より好ましくは1秒〜1分である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、下記実施例中「部」は、特に限定のない限り「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
(実施例1)
[微粒子分散物(D1)の調製]
酢酸エチル20部、下記構造式で示す油溶性化合物(a)1.0部、疎水性ポリマー(t−ブチルアクリルアミド/n−ブチルアクリレート=50/50共重合体)3.0部の混合溶液を調製した。別途、水25部と(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム0.5部の混合溶液を調製した。前記2種の混合溶液を合わせ、ホモジナイザーを用いて乳化分散した後、酢酸エチルの除去を行ない、固形分15%の微粒子分散物を得た。微粒子分散物中の着色微粒子の粒径は、堀場製作所(製)粒径分布測定装置「LB−500」で測定したところ、体積平均粒径で80nmであった。以下、これを微粒子分散物(D1)と略記する。
Figure 2005297535
(インク組成物01の調製)
下記の成分を混合し、0.45μmのフィルターによりろ過を行ない、目的とする水性のインクジェット記録用のインク組成物(01)を調製した。
・前記微粒子分散物(D1) 50部
・ジエチレングリコール 5部
・グリセリン 15部
・オルフィン「E1010」 1部
・水 全体で100部になる量
(ポリマー微粒子懸濁液の調製)
イオン交換水160部にドデシル硫酸ナトリウム0.6部、メタクリル酸メチル27部、ジビニルベンゼン3部を加え、窒素気流下で撹拌しながら温度70℃に加熱した。ここにペルオキシ二硫酸カリウム0.40部をイオン交換水10部に溶解させた開始剤溶液を加えた。更に、窒素気流下で撹拌しながら温度70℃で2時間かけて反応させることで、ポリマー微粒子(1)の15.0%懸濁液を得た。得られたポリマー微粒子(1)の平均粒径は49nmであった。
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量して170g/m2の原紙を抄造した。
前記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となる様に前記原紙に含浸させ乾燥した後、更にカレンダー処理を施して密度1.05g/mlに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなる様にコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、該樹脂層面を「裏面」と略称する)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)を1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となる様に塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなる様に押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、該高光沢面を「オモテ面」と略称する。)、目的とする支持体を得た。
(インク受容層用塗布液Aの調製)
下記組成に示す順に、ポリマー微粒子懸濁液、界面活性剤溶液、ポリビニルアルコール溶液、イオン交換水を撹拌しながら混合し、インク受容層用塗布液(A)を調製した。
〈インク受容層用塗布液Aの組成〉
・前記ポリマー微粒子懸濁液(1) 10.0部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 0.14部
(花王(株)製「エマルゲン109P」、10%水溶液、HLB値13.6)
・ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)7%水溶液 2.40部
((株)クラレ製の「PVA420」、鹸化度78%、重合度2000)
・イオン交換水 7.76部
(インクジェット記録用シート(記録媒体)の作製)
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行った後、前記から得たインク受容層用塗布液(A)を、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて180ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて温度80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の架橋剤塗布液(B)に30秒間浸漬して前記塗布層上にその20g/m2を付着させ(架橋剤溶液を付与する工程)、更に、80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。
これにより、乾燥膜厚39μmのインク受容層が設けられたインクジェット記録用シート(1)を作製した。
〈架橋剤塗布液Bの組成〉
・硼酸(架橋剤) 6.6部
・ポリアリルアミン「PAA−10C」10%水溶液 66部
(媒染剤、日東紡(株)製)
・イオン交換水 157部
・塩化アンモニウム(表面pH調整剤) 2.6部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 26.4部
(花王(株)製の「エマルゲン109P」、2%水溶液、HLB値13.6)
・メガファック「F1405」10%水溶液 5.3部
(大日本インキ化学工業(株)製のフッ素系界面活性剤)
前記で得られたインクジェット記録用シート(1)上に、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−890C」を使用して、前記で調製したインク組成物(01)を用いて印字して、試験評価用のサンプル(A)を作製した。
(記録及び加熱処理)
次に、作製したインク組成物(01〜03)を、インクジェットプリンターPM890C(EPSON社製)のカートリッジに詰め、同プリンターにて前記インクジェット記録用シート(1)に画像を印刷(記録)した。印刷後、130℃に加熱したローラーを通し、加熱処理を行ないサンプル(A)を得た。
(実施例2)
実施例1の(インク組成物01の調製)において、微粒子分散物(D1)の代わりに、以下に示す微粒子分散物(D2)を用いてインク組成物(02)を調製し、このインク組成物(02)を用いたこと以外は実施例1と同様にして記録及び加熱処理を行ないサンプル(B)を得た。
[微粒子分散物(D2)の調製]
油溶性化合物(a)を下記構造式で示す油溶性化合物(染料(b))に変更したこと以外は、前記「微粒子分散物(D1)の調製と同様にして微粒子分散物(D2)を調製した。微粒子の体積平均粒子径は85nmであった。
Figure 2005297535
(実施例3)
実施例1の(インク組成物01の調製)において、微粒子分散物(D1)の代わりに、以下に示す微粒子分散物(D3)を用いてインク組成物(03)を調製し、このインク組成物(03)を用いたこと以外は実施例1と同様にして記録及び加熱処理を行ないサンプル(C)を得た。
[微粒子分散物(D3)の調製]
油溶性化合物(a)を下記構造式で示す油溶性化合物(染料(c))に変更したこと以外は、前記「微粒子分散物(D1)の調製と同様にして微粒子分散物(D3)を調製した。微粒子の体積平均粒子径は78nmであった。
Figure 2005297535
(インク組成物03の調製)
前記インク組成物(01)の調製において、微粒子分散物(D1)の代わりに、前記微粒子分散物(D3)を用いたこと以外は、インク組成物(01)の調製と同様にして水性のインクジェット記録用のインク組成物(03)を調製した。
(比較例1)
実施例1において、インク組成物01の代わりに、顔料インクとしてPM4000PX(セイコーエプソン(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして記録及び加熱処理を行ないサンプル(D)を得た。
[評価]
実施例1〜3及び比較例1で得られたサンプル(A)〜(D)に対して、以下の評価を行った。
<耐水性評価>
サンプル(A)〜(D)を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みがないものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、3段階で評価した。評価結果を表12に示す。
<耐擦過性評価>
サンプル(A)〜(D)を、画像印字後、30分間経時した画像について、消しゴムで10往復擦り、変化を観察した。濃度の低下がまったくないものをA、濃度の低下が僅かに生じたものをB、濃度の低下が多いものをCとして、3段階で評価した。評価結果を表12に示す。
<耐光性評価>
サンプル(A)〜(D)に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を4日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。いずれの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1または2点が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、3段階で評価した。評価結果を表12に示す。
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を3日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。色素残存率が90%以上の場合をA、89〜80%をB、79〜70%未満をC、69〜50%をD、49%未満をEとして5段階で評価した。評価結果を表12に示す。
Figure 2005297535
表12の結果から明らかなように、実施例1〜3の記録方法により画像を記録したインクジェット記録用シートは、にじみが少なく、耐水性、耐擦過性、耐光性、オゾン耐性に優れていた。これに対して、顔料インクを用いたインクジェット記録用シートを使用した比較例1では、耐水性、にじみ、耐擦過性において劣っていた。
インクジェット記録用シートの細孔分布曲線を示すグラフである。 インクジェット記録用シートの細孔分布曲線を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 少なくとも1種の油溶性化合物を含む微粒子分散物を含有するインク組成物を用い、少なくともポリマー微粒子を含有するインク受容層を設けてなる記録媒体に記録させた後、該記録媒体を加熱処理することを特徴とする記録方法。
  2. 前記微粒子分散物が少なくとも1種の疎水性ポリマーを含み、前記インク受容層が多孔質構造を有することを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
  3. 前記油溶性化合物が油溶性染料であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録方法。
  4. 前記油溶性化合物は酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録方法。
  5. 前記油溶性化合物は少なくとも1つの複素環を有するアゾ染料、又は少なくとも分子中に−SO−又は−SO2−の連結基を有するフタロシアニン染料であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録方法。
  6. 前記ポリマー微粒子は、ビニルモノマーの重合体及び共重合体、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、及びこれらの変性物又は共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録方法。
  7. 前記記録媒体のインク受容層が、窒素ガス吸着法による細孔分布曲線から求めた前記ポリマー微粒子の粒径と同一細孔直径以上におけるインク受容層の細孔容量A(×10-5ml/cm2)を、該インク受容層の乾燥膜厚B(μm)で除したインク受容層の単位厚み当たりの細孔容積(A/B)が、2.0(×10-5ml/cm2/μm)以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録方法。
  8. 前記記録媒体を加熱処理して皮膜を形成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録方法。
  9. 前記記録方法がインクジェット記録方式によることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録方法。
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